説明

化粧料封入パックおよびその製法

【課題】化粧料を取り出す手間を省き、周囲の汚染を防止する化粧料封入パックを提供する。
【解決手段】化粧料が保持された化粧料シート2と、上記化粧料シート2を封入する外袋3とを備えて構成され、上記外袋3のいずれかの一辺に沿う領域に、化粧料シート2の一辺を外袋3に固定する固定部6が設けられ、上記固定部6に沿う外袋3の一辺と固定部6との間に、外袋3を開封するためのカット領域7が設けられている。このため、この化粧料封入パック1を使用するときは、外袋3の一辺と固定部6との間に設けられたカット領域7をカットして外袋3を開封し、開封された部分に例えば指先等を入れて外袋3を構成する封入シート4に固定された化粧料シート2に指先等を擦り付ける等して化粧料を指先等に付着させることを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料が保持された化粧料シートが外袋に封入された化粧料封入パックおよびその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、手足の爪を装飾するために塗布されるマニキュアやペディキュアを除去する化粧料としては、ボトル詰めのリキッドタイプのもの、チューブタイプのもの、薬液が保持されたコットンが封入されたパウチタイプのもの等が普及している。
【0003】
上記リキッドタイプのものは、塗布されたマニキュアに刷毛等で直接塗布してからティッシュ等でふき取ったり、ティッシュやコットンに含浸させてから爪に塗布されたマニキュア等をふき取ったりすることが行われる。また、チューブタイプのものは、ティッシュやコットンに取ってから爪に塗布されたマニキュア等をふき取ることが行われる。また、パウチタイプのものは、外袋を開封して中に収容された化粧料含浸シートを取り出し、爪に塗布されたマニキュア等をふき取ることが行われる。
【特許文献1】特開平6−315412号公報
【特許文献2】特開平10−120528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リキッドタイプやチューブタイプのものは、容器から化粧料をティッシュやコットンに取り出してから使用しなければならないので、その作業に手間がかかる。一方、パウチタイプのものは、リキッドタイプやチューブタイプのようにティッシュやコットンを準備しなくてもすむが、外袋から化粧料含浸シートを取り出す手間が必要となる。また、いずれのタイプも、手や周囲に多くの化粧料が付着し、取り扱いが不便であるという問題がある。マニキュア除去用の化粧料としては、溶解性の強い薬液が用いられることから、周囲の物に付着すると塗装が解けて剥がれてしまうこともある。また、化粧料中の溶剤が暴露され揮発したときに起こる強い臭気が周りを汚染し、使用者だけでなく周りの人にも不快感を与える。さらに、ふき取りを行った使用済みのティッシュやコットンに付着した化粧料からも溶剤が揮発するため、ゴミ箱等に捨てたあとでも、臭気による汚染が続くという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、化粧料を取り出す手間を省き、周囲の汚染を防止する化粧料封入パックおよびその製法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の化粧料封入パックは、化粧料が保持された化粧料シートと、上記化粧料シートを封入する外袋とを備えて構成され、
上記外袋のいずれかの一辺に沿う領域に、化粧料シートの一辺を外袋に固定する固定部が設けられ、
上記固定部に沿う外袋の一辺と固定部との間に、外袋を開封するためのカット領域が設けられていることを要旨とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の化粧料封入パックの製法は、液体化粧料を保持するための化粧料シートと、上記化粧料シートを封入する外袋を形成するための封入シートとを準備し、
上記封入シートに対して化粧料シートを重ね、化粧料シートの一辺に沿って封入シートに化粧料シートを固定することにより、化粧料シートの一辺を外袋に固定する固定部を形成し、
上記固定部で化粧料シートが固定された状態で封入シートを二つ折りにして開放された3辺を封止し、
上記固定部に沿う外袋の一辺と固定部との間に、外袋を開封するためのカット領域を形成することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
すなわち、本発明の化粧料封入パックは、上記外袋のいずれかの一辺に沿う領域に、化粧料シートの一辺を外袋に固定する固定部が設けられ、上記固定部に沿う外袋の一辺と固定部との間に、外袋を開封するためのカット領域が設けられている。
このため、本発明の化粧料封入パックを使用するときは、外袋の一辺と固定部との間に設けられたカット領域をカットして外袋を開封し、開封された部分に例えば指先等を入れて外袋を構成する封入シートに固定された化粧料シートに指先等を擦り付ける等して化粧料を指先等に付着させることを行うことができる。このとき、外袋の開封された部分に沿って封入シートに対して化粧料シートが固定されているため、外袋から化粧料シートが出てこないうえ、外袋の中で化粧料シートがくしゃくしゃに丸まってしまうことも防止される。そして、使用後は化粧料シートが外袋内に収まった状態で破棄することができる。このように、化粧料シートを外袋から取り出さず、外袋を開封するだけでそのまま使用でき、化粧料シートに保持させた化粧料が目的とする場所以外の周囲に付着することを効果的に防止できるうえ、使用中および使用後の臭気の発散を大幅に低下させることができる。
【0009】
本発明の化粧料封入パックにおいて、上記固定部に沿う外袋の一辺に外袋の封止部が設けられ、上記封止部と固定部の間がカット領域に形成されている場合には、
外袋を開封する際には、封止部を手指でつまんで内部に封入された化粧料シートと封止部の間に形成されたカット領域に沿って外袋を開封すればよいので、開封作業が行いやすい。このとき、内部に封入された化粧料シートの一辺および固定部に沿って開封すればよいため、開封の際に外袋が斜めに裂けてしまうようなことが防止され、開封を極めてスムーズかつ正確に行うことができる。
【0010】
本発明の化粧料封入パックにおいて、上記化粧料シートが外袋内で二つ折りにされており、二つ折りの開放部がカット領域側に位置するよう配置されるとともに、上記化粧料シートは開放部側の両片がそれぞれ固定部で外袋に固定されている場合には、
外袋のカット領域をカットして開封した際に、二つ折りにされた化粧料シートの両片のそれぞれが外袋の両側に固定された状態で開く。このため、化粧料シートの開いた両片の間に指先等を入れて作業を行うことができる。このとき、化粧料シートの開いた両片がそれぞれ外袋に固定されていることから、開封した外袋を開くときに化粧料シートの開いた両片も開くため、外袋を開く動作で二つ折りの化粧料シートを開くことができ、極めて使い勝手がよい。
【0011】
本発明の化粧料封入パックにおいて、上記固定部が形成された一辺の対辺に沿う領域に、第2の固定部が設けられている場合には、
対向する2辺に固定部が形成されることとなり、外袋を開封して指先等を入れて化粧料シートに指先等を擦り付けるときに、外袋の動きに化粧料シートが追従するため、指先等に対して化粧料シートを充分擦り付けることができる。
【0012】
また、本発明の化粧料封入パックの製法は、上記封入シートに対して化粧料シートを重ね、化粧料シートの一辺に沿って封入シートに化粧料シートを固定することにより、化粧料シートの一辺を外袋に固定する固定部を形成し、上記固定部で化粧料シートが固定された状態で封入シートを二つ折りにして開放された3辺を封止し、上記固定部に沿う外袋の一辺と固定部との間に、外袋を開封するためのカット領域を形成する。
このようにすることにより、極めて容易かつ効率的に本発明の化粧料封入パックを製造することができる。そして、このようにして得られた化粧料封入パックを使用するときは、外袋の一辺と固定部との間に設けられたカット領域をカットして外袋を開封し、開封された部分に例えば指先等を入れて外袋を構成する封入シートに固定された化粧料シートに指先等を擦り付ける等して化粧料を指先等に付着させることを行うことができる。このとき、外袋の開封された部分に沿って封入シートに対して化粧料シートが固定されているため、外袋から化粧料シートが出てこないうえ、外袋の中で化粧料シートがくしゃくしゃに丸まってしまうことも防止される。そして、使用後は化粧料シートが外袋内に収まった状態で破棄することができる。このように、化粧料シートを外袋から取り出さず、外袋を開封するだけでそのまま使用でき、化粧料シートに保持させた化粧料が目的とする場所以外の周囲に付着することを効果的に防止できるうえ、使用中および使用後の臭気の発散を大幅に低下させることができる。
【0013】
本発明の化粧料封入パックの製法において、帯状の封入シートの両側辺がはみ出すよう、それよりやや幅の狭い帯状の化粧料シートを重ね、帯状の化粧料シートの両側辺に沿って封入シートに化粧料シートを固定することにより固定部を形成し、上記両固定部の中央付近で長手方向に沿って、封入シートと化粧料シートを二つ折りにし、長手方向における所定間隔で複数の封止部を形成するとともに、封入シートの重なった上記両側辺を封止する場合には、
極めて容易かつ効率的に本発明の化粧料封入パックを製造することができる。そして、このようにして得られた化粧料封入パックは、外袋を開封する際には、封止部を手指でつまんで内部に封入された化粧料シートと封止部の間に形成されたカット領域に沿って外袋を開封すればよいので、開封作業が行いやすい。このとき、内部に封入された化粧料シートの一辺および固定部に沿って開封すればよいため、開封の際に外袋が斜めに裂けてしまうようなことが防止され、開封を極めてスムーズかつ正確に行うことができる。また、外袋のカット領域をカットして開封した際に、二つ折りにされた化粧料シートの両片のそれぞれが外袋の両側に固定された状態で開く。このため、化粧料シートの開いた両片の間に指先等を入れて作業を行うことができる。このとき、化粧料シートの開いた両片がそれぞれ外袋に固定されていることから、開封した外袋を開くときに化粧料シートの開いた両片も開くため、外袋を開く動作で二つ折りの化粧料シートを開くことができ、極めて使い勝手がよい。
【0014】
本発明の化粧料封入パックの製法において、上記固定部が形成された一辺の対辺に沿う領域に、第2の固定部を形成する場合には、
対向する2辺に固定部が形成されることとなり、外袋を開封して指先等を入れて化粧料シートに指先等を擦り付けるときに、外袋の動きに化粧料シートが追従するため、指先等に対して化粧料シートを充分擦り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2は、本発明の一実施の形態の化粧料封入パック1を示す図である。
【0016】
本実施形態の化粧料封入パック1は、化粧料が保持された化粧料シート2と、上記化粧料シート2を封入する外袋3とを備えて構成されている。
【0017】
この例では、上記化粧料シート2は、熱融着が可能な合成繊維がウェッブ状に形成された不織布が用いられている。上記合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。
【0018】
上記外袋3は、長方形の封入シート4(図4および図5参照)が二つ折りにされ、二つ折りの開放された3辺が熱融着されて封止部5a、5b、5cが形成されている。上記二つ折りと封止部5a、5b、5cとにより形成された内部空間に、上記化粧料シート2が封入されて構成されている。
【0019】
上記外袋3を構成する封入シート4の材質としては、熱融着可能な合成樹脂フィルムが少なくともその構成の一部に使用された熱融着可能なシートが用いられる。合成樹脂フィルムとアルミニウム箔等の金属箔がラミネートされたラミネートシートや、複数種類の合成樹脂フィルムがラミネートされたラミネートシート、複数種類の合成樹脂フィルムとアルミニウム箔等の金属箔がラミネートされたラミネートシート等も用いることができる。この例では、ポリエチレンフィルムとアルミニウム箔とPETフィルムとが積層されラミネートされたラミネートシートを封入シート4として用いている。
【0020】
上記外袋3に封入された化粧料シート2には、化粧料が保持されている。この例では、上記化粧料としてマニキュアおよびペディキュア用の除光液が用いられ、化粧料シート2に含浸されて保持されている。
【0021】
この化粧料封入パック1は、上記外袋3のいずれかの一辺に沿う領域に、化粧料シート2の一辺を外袋3に固定する固定部6が設けられ、上記固定部6に沿う外袋3の一辺と固定部6との間に、外袋3を開封するためのカット領域7が設けられている。
【0022】
さらに、上記固定部6に沿う外袋3の一辺に外袋3の封止部5cが設けられており、上記封止部5cと固定部6の間がカット領域7に形成されている。さらに、上記化粧料シート2は、外袋3内で二つ折りにされており、二つ折りの開放部がカット領域7側に位置するよう配置されている。そして、上記二つ折りの化粧料シート2は開放部側の両片がそれぞれ固定部6で外袋3に固定されている。
【0023】
より詳しく説明すると、上記外袋3は、封入シート4が二つ折りに形成され、両側辺に帯状の封止部5a,5bが形成されるとともに、二つ折りの遊端側辺にも帯状の封止部5cが形成されている。一方、上記化粧料シート2は、外袋3内において外袋3の二つ折りと同じ方向に二つ折りされている。そして、二つ折りの化粧料シート2の両側辺は、外袋3の両側辺によって挟まれて封入シート4とともに熱融着され、上記封止部5a,5bを構成している。
【0024】
上記二つ折りの化粧料シート2の遊端側辺は、それぞれ外袋3を構成する封入シート4に熱融着され、帯状の固定部6が形成されている。上記外袋3における遊端側辺の封止部5cと両固定部6との間には、所定の間隔が隔てられており、この帯状の部分がカット領域7に形成されている。
【0025】
上記カット領域7は、化粧料シート2が外袋3に熱融着された帯状の固定部6と、外袋3を構成する封入シート4が熱融着された帯状の封止部5cの間において、化粧料シート2が存在しない帯状領域として存在している。両側辺の封止部5a,5bには、カット領域7に対応する部分に、外袋3の内部空間に達しない切れ込み8が形成されている。
【0026】
上記化粧料封入パック1は、例えば、つぎのようにして使用することができる。
【0027】
図3(A)に示すように、まず、外袋3のカット領域7に沿った封止部5cの切れ込み8近傍を手指で把持し、上記切れ込み8を起点に外袋3のカット領域7を切り裂き、カットする。このとき、上記カット領域7が、帯状の熱融着部である固定部6と、帯状の熱融着部である封止部5cに沿って、両者の間で化粧料シート2が存在しない帯状領域としてあるため、封止部5cを含む略帯状の切除部分が、帯状の固定部6に沿って切除され、外袋3を構成する封入シート4の切り裂きがスムーズかつ正確に行われる。
【0028】
このとき、例えば、上記封入シート4として、素材樹脂に配向性を持たせたものを用い、素材樹脂の配向方向をカット方向に合わせることにより、切断がよりスムーズに行えるようになる。
【0029】
図3(A)(B)に示すように、上記カット領域7の切り裂きが行われると、開封部9を開いて化粧料の塗布対象である指先を挿入し、化粧料シート2に保持させた化粧料を爪等に塗布することが行われる。このとき、二つ折りの化粧料シート2の遊端側が外袋3に対して固定部6で固定されているため、外袋3の開封部9を開くと封入された化粧料シート2も開くので、指先等の挿入作業が行いやすい。また、化粧料シート2が二つ折りにされ、二つ折りの化粧料シート2の両側辺が、外袋3の両側辺によって挟まれて封入シート4とともに熱融着されていることから、外袋3の開封部9を開いた状態で、外袋3内で化粧料シート2が袋状を呈するため、指先等を挿入してからの化粧料の塗布作業が行いやすい。
【0030】
つぎに、本発明の化粧料封入パック1の製法の一実施形態について説明する。
【0031】
図4(A)に示すように、まず、液体化粧料を保持するための化粧料シート2と、上記化粧料シート2を封入する外袋3を形成するための封入シート4とを準備し、上記封入シート4に対して化粧料シート2を重ねる。このとき、帯状の封入シート4の両側辺10がはみ出すよう、それよりやや幅の狭い帯状の化粧料シート2を、中心軸11および長手方向が揃うように重ねる。
【0032】
図4(B)に示すように、つぎに、化粧料シート2の一辺に沿って封入シート4に化粧料シート2を熱融着して固定することにより、化粧料シート2の一辺を外袋3に固定するための固定部6を形成する。この例では、帯状の化粧料シート2の両側辺に沿って封入シート4に化粧料シート2を熱融着して固定することにより2筋の固定部6を形成する。
【0033】
図4(C)に示すように、つぎに、上記固定部6で化粧料シート2が固定された状態で、封入シート4を二つ折りにする。この例では、上記両固定部6の中央付近すなわち中心軸11で長手方向に沿って、封入シート4と化粧料シート2を二つ折りにし、帯状の封入シート4の化粧料シート2からはみ出した両側辺10を重ねる。
【0034】
図5(A)に示すように、長手方向における所定間隔で複数の封止部5a,5bを形成する。このとき、封止部5a,5bは、二つ折りの封入シート4により二つ折りの化粧料シート2を挟み込んで同時に熱融着し、封止部5a,5bの両側にできる内部空間同士が連通しないように封止する。
【0035】
図5(B)に示すように、上記帯状の封止部5a,5bを、その中央のカット線12で切断することにより、化粧料封入パック1を形成する。すなわち、上記帯状の封止部5a,5bは、上述した封止部5aと封止部5bが形成されるものであり、封止部5aおよび封止部5bの幅寸法の2倍の幅寸法に形成される。また、この切断と同時に、封止部5a,5bに切れ込み8を形成する。
【0036】
図5(C)に示すように、上記封入シート4の重なった両側辺10を熱融着して封止し、二つ折りの封入シート4の開放された3辺を封止することが行われる。このとき、重なった両側辺10の熱融着幅を調節し、熱融着部が切れ込み8に重ならず、固定部6との間に所定の帯状領域を残すことにより、上記固定部6に沿う外袋3の一辺と固定部6との間に、外袋3を開封するためのカット領域7を形成する。
【0037】
なお、外袋3内部の化粧料シート2への化粧料の保持は、例えば、図5(A)に示す状態で、熱融着前の両側辺10の間からノズルを挿入して化粧料を注入することができる。また、図5(B)に示す状態で、熱融着前の両側辺10の間からノズルを挿入して化粧料を注入してもよい。
【0038】
図6および図7は、本発明の第2実施の形態の化粧料封入パック1を示す図である。
【0039】
この例では、本発明の化粧料封入パックにおいて、上記固定部6が形成された一辺の対辺に沿う領域に、第2の固定部6aが設けられている。
【0040】
すなわち、外袋3内で二つ折りにされた化粧料シート2の折れ線13の両側に、折れ線13に沿うよう第2の固定部6aが帯状に形成されている。このように、二つ折りの化粧料シート2の開放側の両片と、折れ線13側の両片にそれぞれ熱融着による固定部6、6aを設けている。それ以外は上記実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0041】
図8は、上記第2実施形態の使用状態を示す図である。この例によれば、対向する2辺に固定部6、6aが形成されることとなり、外袋3を開封して指先等を入れて化粧料シート2に指先等を擦り付けるときに、外袋3の動きに化粧料シート2が追従するため、指先等に対して化粧料シート2を充分擦り付けることができる。それ以外は、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0042】
図9および図10は、上記第2実施形態の化粧料封入パック1の製法を説明する図である。
【0043】
図9(A)に示すように、まず、化粧料シート2と封入シート4とを重ねる。このとき、帯状の封入シート4の両側辺10がはみ出すよう、それよりやや幅の狭い帯状の化粧料シート2を、中心軸11および長手方向が揃うように重ねる。
【0044】
図9(B)に示すように、つぎに、帯状の化粧料シート2の両側辺に沿って封入シート4に化粧料シート2を熱融着して固定することにより2筋の固定部6を形成する。また、上記中心軸11の両側に、中心軸11に沿うよう2筋の固定部6aを形成する。
【0045】
図9(C)に示すように、つぎに、上記固定部6、6aで化粧料シート2が固定された状態で、上記中心軸11が折れ線13となるよう封入シート4を二つ折りにし、帯状の封入シート4の化粧料シート2からはみ出した両側辺10を重ねる。
【0046】
図10(A)(B)(C)に示すように、長手方向における所定間隔で複数の封止部5a,5bを形成する。ついで、上記帯状の封止部5a,5bを、その中央のカット線12で切断することにより、化粧料封入パック1を形成する。この切断と同時に、封止部5a,5bに切れ込み8を形成する。さらに、上記封入シート4の重なった両側辺10を熱融着して封止し、二つ折りの封入シート4の開放された3辺を封止し、上記固定部6に沿う外袋3の一辺と固定部6との間に、外袋3を開封するためのカット領域7を形成する。
【0047】
以上のように、本実施形態の化粧料封入パック1は、上記外袋3のいずれかの一辺に沿う領域に、化粧料シート2の一辺を外袋3に固定する固定部6が設けられ、上記固定部6に沿う外袋3の一辺と固定部6との間に、外袋3を開封するためのカット領域7が設けられている。このため、上記化粧料封入パック1を使用するときは、外袋3の一辺と固定部6との間に設けられたカット領域7をカットして外袋3を開封し、開封された部分に例えば指先等を入れて外袋3を構成する封入シート4に固定された化粧料シート2に指先等を擦り付ける等して化粧料を指先等に付着させることを行うことができる。このとき、外袋3の開封された部分に沿って封入シート4に対して化粧料シート2が固定されているため、外袋3から化粧料シート2が出てこないうえ、外袋3の中で化粧料シート2がくしゃくしゃに丸まってしまうことも防止される。そして、使用後は化粧料シート2が外袋3内に収まった状態で破棄することができる。このように、化粧料シート2を外袋3から取り出さず、外袋3を開封するだけでそのまま使用でき、化粧料シート2に保持させた化粧料が目的とする場所以外の周囲に付着することを効果的に防止できるうえ、使用中および使用後の臭気の発散を大幅に低下させることができる。
【0048】
また、上記固定部6に沿う外袋3の一辺に外袋3の封止部5cが設けられ、上記封止部5cと固定部6の間がカット領域7に形成されている場合には、外袋3を開封する際には、封止部5cを手指でつまんで内部に封入された化粧料シート2と封止部5cの間に形成されたカット領域7に沿って外袋3を開封すればよいので、開封作業が行いやすい。このとき、内部に封入された化粧料シート2の一辺および固定部6に沿って開封すればよいため、開封の際に外袋3が斜めに裂けてしまうようなことが防止され、開封を極めてスムーズかつ正確に行うことができる。
【0049】
また、上記化粧料シート2が外袋3内で二つ折りにされており、二つ折りの開放部がカット領域7側に位置するよう配置されるとともに、上記化粧料シート2は開放部側の両片がそれぞれ固定部6で外袋3に固定されている場合には、外袋3のカット領域7をカットして開封した際に、二つ折りにされた化粧料シート2の両片のそれぞれが外袋3の両側に固定された状態で開く。このため、化粧料シート2の開いた両片の間に指先等を入れて作業を行うことができる。このとき、化粧料シート2の開いた両片がそれぞれ外袋3に固定されていることから、開封した外袋3を開くときに化粧料シート2の開いた両片も開くため、外袋3を開く動作で二つ折りの化粧料シート2を開くことができ、極めて使い勝手がよい。
【0050】
また、上記固定部6が形成された一辺の対辺に沿う領域に、第2の固定部6aが設けられている場合には、対向する2辺に固定部6、6aが形成されることとなり、外袋3を開封して指先等を入れて化粧料シート2に指先等を擦り付けるときに、外袋3の動きに化粧料シート2が追従するため、指先等に対して化粧料シート2を充分擦り付けることができる。
【0051】
また、本実施形態の化粧料封入パック1の製法は、上記封入シート4に対して化粧料シート2を重ね、化粧料シート2の一辺に沿って封入シート4に化粧料シート2を固定することにより、化粧料シート2の一辺を外袋3に固定する固定部6を形成し、上記固定部6で化粧料シート2が固定された状態で封入シート4を二つ折りにして開放された3辺を封止し、上記固定部6に沿う外袋3の一辺と固定部6との間に、外袋3を開封するためのカット領域7を形成する。このようにすることにより、極めて容易かつ効率的に本実施形態の化粧料封入パック1を製造することができる。そして、このようにして得られた化粧料封入パック1を使用するときは、外袋3の一辺と固定部6との間に設けられたカット領域7をカットして外袋3を開封し、開封された部分に例えば指先等を入れて外袋3を構成する封入シート4に固定された化粧料シート2に指先等を擦り付ける等して化粧料を指先等に付着させることを行うことができる。このとき、外袋3の開封された部分に沿って封入シート4に対して化粧料シート2が固定されているため、外袋3から化粧料シート2が出てこないうえ、外袋3の中で化粧料シート2がくしゃくしゃに丸まってしまうことも防止される。そして、使用後は化粧料シート2が外袋3内に収まった状態で破棄することができる。このように、化粧料シート2を外袋3から取り出さず、外袋3を開封するだけでそのまま使用でき、化粧料シート2に保持させた化粧料が目的とする場所以外の周囲に付着することを効果的に防止できるうえ、使用中および使用後の臭気の発散を大幅に低下させることができる。
【0052】
また、帯状の封入シート4の両側辺がはみ出すよう、それよりやや幅の狭い帯状の化粧料シート2を重ね、帯状の化粧料シート2の両側辺に沿って封入シート4に化粧料シート2を固定することにより固定部6を形成し、上記両固定部6の中央付近で長手方向に沿って、封入シート4と化粧料シート2を二つ折りにし、長手方向における所定間隔で複数の封止部5a,5bを形成するとともに、封入シート4の重なった上記両側辺を封止する場合には、極めて容易かつ効率的に本実施形態の化粧料封入パック1を製造することができる。そして、このようにして得られた化粧料封入パック1は、外袋3を開封する際には、封止部5cを手指でつまんで内部に封入された化粧料シート2と封止部5cの間に形成されたカット領域7に沿って外袋3を開封すればよいので、開封作業が行いやすい。このとき、内部に封入された化粧料シート2の一辺および固定部6に沿って開封すればよいため、開封の際に外袋3が斜めに裂けてしまうようなことが防止され、開封を極めてスムーズかつ正確に行うことができる。また、外袋3のカット領域7をカットして開封した際に、二つ折りにされた化粧料シート2の両片のそれぞれが外袋3の両側に固定された状態で開く。このため、化粧料シート2の開いた両片の間に指先等を入れて作業を行うことができる。このとき、化粧料シート2の開いた両片がそれぞれ外袋3に固定されていることから、開封した外袋3を開くときに化粧料シート2の開いた両片も開くため、外袋3を開く動作で二つ折りの化粧料シート2を開くことができ、極めて使い勝手がよい。
【0053】
なお、上記各実施形態では、化粧料シート2が外袋3の中で二つ折りになるようにしたものを説明したが、これに限定するものではなく、三つ折以上でもよいし、折らなくてもよい。
【0054】
また、上記各実施形態では、固定部6、6aを熱融着により形成するようにしたが、例えば接着剤等により形成することもできる。
【0055】
また、上記実施形態では、化粧料として除光液を適用した例を説明したが、これに限定するものではなく、爪研磨ペースト等、他の化粧料を適用することができる。また、化粧料シート2としては、化粧料を保持しうるものであれば、不織布に限定するものではなく、各種のシートを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の化粧料封入パックの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】上記化粧料封入パックを示すA−A断面図である。
【図3】上記化粧料封入パックの使用状態を説明する図である。
【図4】本発明の化粧料封入パックの製法の一実施形態の工程を説明する図である。
【図5】上記化粧料封入パックの製法の工程を説明する図である。
【図6】本発明の第2実施形態の化粧料封入パックを示す斜視図である。
【図7】第2実施形態の化粧料封入パックを示すA−A断面図である。
【図8】第2実施形態の化粧料封入パックの使用状態を説明する図である。
【図9】第2実施形態の化粧料封入パックの製法の工程を説明する図である。
【図10】第2実施形態の化粧料封入パックの製法の工程を説明する図である。
【符号の説明】
【0057】
1:化粧料封入パック
2:化粧料シート
3:外袋
4:封入シート
5a,5b,5c:封止部
6:固定部
6a:第2の固定部
7:カット領域
8:切れ込み
9:開封部
10:側辺
11:中心軸
12:カット線
13:折れ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料が保持された化粧料シートと、上記化粧料シートを封入する外袋とを備えて構成され、
上記外袋のいずれかの一辺に沿う領域に、化粧料シートの一辺を外袋に固定する固定部が設けられ、
上記固定部に沿う外袋の一辺と固定部との間に、外袋を開封するためのカット領域が設けられていることを特徴とする化粧料封入パック。
【請求項2】
上記固定部に沿う外袋の一辺に外袋の封止部が設けられ、上記封止部と固定部の間がカット領域に形成されている請求項1記載の化粧料封入パック。
【請求項3】
上記化粧料シートが外袋内で二つ折りにされており、二つ折りの開放部がカット領域側に位置するよう配置されるとともに、上記化粧料シートは開放部側の両片がそれぞれ固定部で外袋に固定されている請求項1または2記載の化粧料封入パック。
【請求項4】
上記固定部が形成された一辺の対辺に沿う領域に、第2の固定部が設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料封入パック。
【請求項5】
液体化粧料を保持するための化粧料シートと、上記化粧料シートを封入する外袋を形成するための封入シートとを準備し、
上記封入シートに対して化粧料シートを重ね、化粧料シートの一辺に沿って封入シートに化粧料シートを固定することにより、化粧料シートの一辺を外袋に固定する固定部を形成し、
上記固定部で化粧料シートが固定された状態で封入シートを二つ折りにして開放された3辺を封止し、
上記固定部に沿う外袋の一辺と固定部との間に、外袋を開封するためのカット領域を形成することを特徴とする化粧料封入パックの製法。
【請求項6】
帯状の封入シートの両側辺がはみ出すよう、それよりやや幅の狭い帯状の化粧料シートを重ね、
帯状の化粧料シートの両側辺に沿って封入シートに化粧料シートを固定することにより固定部を形成し、
上記両固定部の中央付近で長手方向に沿って、封入シートと化粧料シートを二つ折りにし、
長手方向における所定間隔で複数の封止部を形成するとともに、封入シートの重なった上記両側辺を封止する請求項5記載の化粧料封入パックの製法。
【請求項7】
上記固定部が形成された一辺の対辺に沿う領域に、第2の固定部を形成する請求項5または6記載の化粧料封入パックの製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−111603(P2010−111603A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283854(P2008−283854)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000219934)エア・ウォーター・ゾル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】