化粧料用の小球体及び該小球体を含有してなる化粧料
【課題】 優れた均一分散安定性を有する、化粧料用の輸送媒体を提供する。
【解決手段】 前記輸送手段として、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルである化粧料用小球体を提供する。該ホモポリマー乃至はコポリマーは、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及び/又はポリメタアクリロイルリジンであることがが好ましい。更に、前記、化粧料用小球体に、ε,γ−グルタミルリジン、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物、ウルソール酸類、ポンカン抽出物及びスフィンゴ糖脂質からなる群から選択される有効成分を含有するが好ましい。加えて、前記の化粧料用小球体を含有させた化粧料を提供する。
【解決手段】 前記輸送手段として、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルである化粧料用小球体を提供する。該ホモポリマー乃至はコポリマーは、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及び/又はポリメタアクリロイルリジンであることがが好ましい。更に、前記、化粧料用小球体に、ε,γ−グルタミルリジン、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物、ウルソール酸類、ポンカン抽出物及びスフィンゴ糖脂質からなる群から選択される有効成分を含有するが好ましい。加えて、前記の化粧料用小球体を含有させた化粧料を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料用小球体及び該小球体を含有してなる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、刺激物質などから生体を守る重要な防護器官であり、生体は皮膚によって外界より隔絶されていると言える。この隔絶は生存の上では非常に重要な機能であるが、この機能が時として不都合に働く場合も存する。例えば、皮膚状態の改善を目的として、或いは、皮膚の疾患などに対して有効成分を投与しようとする場合、この隔絶が有効成分の必要部位への到達を阻害することは、珍しいことではない。この為のこの様な場合の有効成分の経皮透過性を高める技術の開発は大きな課題となっている。この様な皮膚への配向性を高めるためには、リポソームなどの輸送媒体等が利用されるが(例えば、特許文献1を参照)、この様な輸送媒体は、エマルションなどの乳化粒子に比して、そのサイズは非常に大きく、この為、均一分散性の維持が次の課題として残っている。即ち、均一分散安定性に優れる経皮輸送媒体の開発が望まれていた。
【0003】
ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンは保湿剤或いは界面活性剤として浴用剤や洗浄料に含有させる技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)が、ベシクルを形成させる特性が存することも、かかる成分が含有されるベシクルがクレンジングの製剤成分や洗浄料の製剤成分中でも安定であり、且つ、擦過などの化粧動作にも安定でありながら、皮膚内への有効成分の輸送性に優れることは全く知られていなかった。
【0004】
一方、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン乃至はメタアクリロイルリジンと言った、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーが化粧料原料として、優れた保湿性を有することが既に知られている。(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照)又、これらの内、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーにつては、リポソームの外殻を安定化する作用が存することも既に知られている。(例えば、特許文献6を参照)しかしながら、ベシクルのような非リン脂質小球体の均一分散安定化との関係は全く知られていない。
【0005】
化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルは全く知られていないし、この様な構成のベシクルが優れた均一分散安定性を有することも全く知られていない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−238378号公報
【特許文献2】特開2007−191463号公報
【特許文献3】WO00/32560
【特許文献4】特開平6−157269号公報
【特許文献5】特開平5−70321号公報
【特許文献6】特開平6−178930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、優れた均一分散安定性を有する、化粧料用の輸送媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、優れた均一分散安定性を有する、化粧料用の輸送媒体を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルがその様な特性を備えていることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
<1>化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルであることを特徴とする化粧料用小球体。
<2>前記(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体は、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン乃至はメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、<1>に記載の化粧料用小球体。
<3>(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及び/又はポリメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の化粧料用小球体。
<4>ε,γ−グルタミルリジン、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物、ウルソール酸類、ポンカン抽出物及びスフィンゴ糖脂質からなる群から選択される有効成分を含有することを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の化粧料用小球体。
<5><1>〜<4>何れか1項に記載の化粧料用小球体を含有してなる化粧料。
<6>前記化粧料は、クレンジング化粧料又は水性洗浄料であることを特徴とする、<5>に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた均一分散安定性を有する、化粧料用の輸送媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)本発明のベシクル
本発明のベシクルは、化粧料用の小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルであることを特徴とする。
【0011】
ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンは、グルタミン酸にラウロイルクロリドを反応させ、N−ラウロイルグルタミン酸となし、このものとリジンとをDCCの様なペプチド合成試薬を用いて縮合することにより得ることが出来る。又、かかる成分については、既に化粧料用の原料として市販されているものが存し、かかる市販品を利用することが出来る。好ましい市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズから販売されている「ペリセア(登録商標)L−30」(ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジン)等が存する。かかる成分は、ベシクル中に1〜20質量%含有することが好ましく、2〜10質量%含有することがより好ましい。この範囲を外れるとベシクルを形成しない場合が存する。
【0012】
(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーについて、その必須構成モノマーである、(メタ)アクリル酸のアミノ酸誘導体としては、N−アクリロイルリジン、N−アクリロイルグリシン、N−メタアクリロイルリジン、メタアクリロイルグリシンなどのN−アシルアミノ酸類が好ましく例示できる。中でも、メタアクリロイルリジンが特に好ましい。これは小球体の均一分散安定化効果が著しいためである。又、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体としては、アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどが好適に例示でき、メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが特に好ましい。これは小球体の均一分散安定化効果が著しいためである。
【0013】
前記必須の構成モノマーを用いて、ポリマーを作成する場合、必須のモノマーのみを重合させてポリマーとすることも出来るし、他の任意のモノマーとともに共重合させてポリマーにすることも出来る。任意のモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、ビニルアルコールなどが好適に例示できる。
【0014】
前記必須のモノマーを、乃至は、必須のモノマーと任意のモノマーとを、常法に従って重合することにより、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは製造できる。かかる重合の方法としては、例えば、水性媒体中でアゾビスブチロニトリルなどの重合開始剤と非イオン界面活性剤の存在下乳化重合を行うことや、含水エタノールや含水イソプロパノールなどにモノマーを溶解し、アゾビスブチロニトリルなどの重合開始剤等を用いて溶液重合を行うことなどが好適に例示できる。(例えば、特開2001−200009号公報を参照)かかるポリマー類に関して、その重合度は、分子量が10000〜1000000になるように重合を調整することが好ましい。
【0015】
この様な、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ブチルコポリマー、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ステアリルコポリマー、ポリ(メタ)アクリロイルリジン、ポリ(メタ)アクリロイルグリシンなどが好適に例示できる。この様なものには、既に市販されているものが存し、この様な市販品を購入して利用することが出来る。好ましい市販品としては、例えば、リピジュアHM(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー(分子量100000);日本油脂株式会社製)、リピジュアPMB(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ブチルコポリマー(分子量600000);日本油脂株式会社製)、PMリジン(ポリメタアクリロイルリジン;岐阜シェラック株式会社製)等が好適に例示できる。
【0016】
かかる(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは、唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。かかる(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーの好ましい含有量は、前記本発明のベシクルにおいて、ベシクル全質量に対して0.1〜10質量%である。少なすぎると、均一分散安定化効果を得られない場合が存し、多すぎると、外殻の強度を損なう場合が存するためである。又、この様な形態のベシクルを投与することにより、経表皮水分蒸散(TEWL)を抑制し、皮膚バリア機能を向上させる副次的効果も発現する。
【0017】
前記の成分以外に、本発明のベシクルにおいては通常化粧料で使用される任意成分や、皮膚内に配向すべき有効成分を含有することが出来る。任意成分としては、例えば、セラミド類、レシチン、ホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質、コレステロール、フィトステロール、グリセリンや1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール等、外殻形成成分、セイヨウノコギリソウ等のノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、オウゴン抽出物、オウレン抽出物、ジュ抽出物、クジン抽出物、チョウジ抽出物、ポンカン抽出物、ミカン抽出物などの生薬抽出物、、好ましくは、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物及びポンカン抽出物から選択されるもの、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシドのようなアスコルビン酸配糖体、4−アルキルレゾルシノール、アルブチン、トラネキサム酸乃至はそのメチルアミドのような誘導体、或いはこれらの塩に代表される美白剤、、ウルソール酸、ウルソール酸ベンジル、ウルソール酸オレイルなどのウルソール酸エステル、好ましくは、ウルソール酸ベンジル、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴシンなどのスフィンゴ類、好ましくはスフィンゴ糖脂質等、皮膚に配向すべき有効成分などが好適に例示できる。かかる成分はそれぞれ、ベシクル全質量に対して、0.01〜10質量%含有することが好ましい。又、含有しないことも可能である。
【0018】
この様な成分を常法に従って処理することにより、本発明のベシクルは調整することが出来る。具体的な処理方法としては、粗乳化した後、エクストルーダーやマイクロフルイダイザーなどを用いて整粒し、調整することが好ましく例示できる。斯くして得られたベシクルは、化粧料中への均一安定分散性、皮膚内への配向性に優れる。又、リポソームなどの外殻を溶剤効果で破壊しやすいクレンジング料、多量に含有される界面活性剤の界面活性作用でリポソームなどの外殻を破壊しやすい水性洗浄料においても、その均一分散性も、外殻の強度も安定に存在する。かかるベシクルの化粧料における好ましい含有量は、化粧料全量に対し、0.005〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜5質量%である。
【0019】
(2)本発明の化粧料
本発明の化粧料は前記本発明のベシクルを含有することを特徴とする。この様な形態を採用することにより、ベシクル内に内包した有効成分を皮膚中へと効果的に配向させ、その有効性を高めることが出来る。又、均一分散安定性に優れるので、低粘度の化粧料、例えば、ローションなどに含有させても沈降などの不均一化を起こしにくい。この意味において、ローションなどの低粘度化粧料、具体的には粘度1000mP・s以下の化粧料に適用することも好ましい。又、本発明のベシクルを利用することにより、リン脂質を利用したリポソーム等の輸送小球体と異なり、化粧料の製剤成分により、輸送小球体が崩壊する蓋然性が極めて低く、この為、溶剤効果の高い油剤を含有するクレンジング料や、界面活性が極めて高い洗浄料に適用することが出来る。この類い希な点で、クレンジング料や水性洗浄料も好ましい実施形態となる。勿論、通常の化粧料に含有させても、優れた皮膚内配向性などの好ましい効果を奏するので、好ましい。
【0020】
本発明の化粧料に於いては、前記成分以外に、化粧料に於いて通常用いられる成分を任意に含有させることが出来る。この様な成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ビス(N−ラウロイルグルタミン酸)リジン等のアシル(ポリ)アミノ酸及び/又はその塩;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。かかる成分と、前記の必須の成分とを常法に従って処理することにより、本発明の化粧料は製造できる。
【0021】
以下に、実施例を挙げて、更に詳細に本発明について説明を加える。
【実施例1】
【0022】
以下に示す処方に従って、本発明の化粧料である、ローションを作成した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加温し、イに徐々にロを加え粗ベシクルを作成し、これをエクストルーダーで処理し、ベシクル分散液1を得た。ベシクルであることは偏光顕微鏡により、脂質二重膜構造の存在から確認した。別途、ハを80℃に加温し、攪拌下可溶化し、攪拌冷却を行った。温度が50℃になったところでニのベシクル分散液1を加え、30℃まで攪拌冷却し、ローション1(粘度500mP・s)を得た。ベシクル分散液のビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンを水添レシチンに置換してリポソーム分散液1、リピジュアHMを水に置換し、比較ベシクル分散液1を作成し、同様に処理して、比較例1、比較例2を作成した。
【0023】
【表1】
【0024】
<試験例1>
ローション1、比較例1、比較例2をそれぞれ3000rpmで5分間遠心分離処置を行い、上清の405nmの吸光度を測定し、ローション1の吸光度を1とした場合の吸光度比を求め、100を乗じて残存分散小球体量率(%)とした。結果を表2に示す。これより、本発明のベシクルの均一分散安定性に優れる性質が確かめられた。本発明のベシクルはローションのような低粘度の製剤であっても、分散状態を安定に維持することもわかる。
【0025】
【表2】
【0026】
<試験例2>
前腕内側部に2cm×4cmの部位を3つ作成し、テヴァメータ(インテグラル社製)で経皮水分蒸散(TEWL)を計測し、しかる後に、それぞれの部位にローション1、比較例1及び比較例2を40μLづつ投与し、投与後20分に再度部位のTEWLを計測した。(処置前のTEWL−処置後のTEWL)*100/処置前のTEWLの計算式でTEWL抑制率を算出した。結果を表3に示す。これより、本発明の化粧料のTEWL抑制効果に優れることがわかる。
【0027】
【表3】
【実施例2】
【0028】
下記の処方に従って、本発明のベシクル分散液2を作成し、実施例1と同様にローション2を作成した。(粘度500mP・s)このものの試験例2でのTEWL抑制値は55%であった。
【0029】
【表4】
【実施例3】
【0030】
下記の処方に従って、本発明のベシクル分散液3を作成し、実施例1と同様にローション3を作成した。(粘度500mP・s)このものの試験例2でのTEWL抑制値は52%であった。
【0031】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、化粧料に応用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料用小球体及び該小球体を含有してなる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、刺激物質などから生体を守る重要な防護器官であり、生体は皮膚によって外界より隔絶されていると言える。この隔絶は生存の上では非常に重要な機能であるが、この機能が時として不都合に働く場合も存する。例えば、皮膚状態の改善を目的として、或いは、皮膚の疾患などに対して有効成分を投与しようとする場合、この隔絶が有効成分の必要部位への到達を阻害することは、珍しいことではない。この為のこの様な場合の有効成分の経皮透過性を高める技術の開発は大きな課題となっている。この様な皮膚への配向性を高めるためには、リポソームなどの輸送媒体等が利用されるが(例えば、特許文献1を参照)、この様な輸送媒体は、エマルションなどの乳化粒子に比して、そのサイズは非常に大きく、この為、均一分散性の維持が次の課題として残っている。即ち、均一分散安定性に優れる経皮輸送媒体の開発が望まれていた。
【0003】
ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンは保湿剤或いは界面活性剤として浴用剤や洗浄料に含有させる技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)が、ベシクルを形成させる特性が存することも、かかる成分が含有されるベシクルがクレンジングの製剤成分や洗浄料の製剤成分中でも安定であり、且つ、擦過などの化粧動作にも安定でありながら、皮膚内への有効成分の輸送性に優れることは全く知られていなかった。
【0004】
一方、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン乃至はメタアクリロイルリジンと言った、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーが化粧料原料として、優れた保湿性を有することが既に知られている。(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照)又、これらの内、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーにつては、リポソームの外殻を安定化する作用が存することも既に知られている。(例えば、特許文献6を参照)しかしながら、ベシクルのような非リン脂質小球体の均一分散安定化との関係は全く知られていない。
【0005】
化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルは全く知られていないし、この様な構成のベシクルが優れた均一分散安定性を有することも全く知られていない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−238378号公報
【特許文献2】特開2007−191463号公報
【特許文献3】WO00/32560
【特許文献4】特開平6−157269号公報
【特許文献5】特開平5−70321号公報
【特許文献6】特開平6−178930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、優れた均一分散安定性を有する、化粧料用の輸送媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、優れた均一分散安定性を有する、化粧料用の輸送媒体を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルがその様な特性を備えていることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
<1>化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルであることを特徴とする化粧料用小球体。
<2>前記(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体は、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン乃至はメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、<1>に記載の化粧料用小球体。
<3>(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及び/又はポリメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の化粧料用小球体。
<4>ε,γ−グルタミルリジン、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物、ウルソール酸類、ポンカン抽出物及びスフィンゴ糖脂質からなる群から選択される有効成分を含有することを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の化粧料用小球体。
<5><1>〜<4>何れか1項に記載の化粧料用小球体を含有してなる化粧料。
<6>前記化粧料は、クレンジング化粧料又は水性洗浄料であることを特徴とする、<5>に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた均一分散安定性を有する、化粧料用の輸送媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)本発明のベシクル
本発明のベシクルは、化粧料用の小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルであることを特徴とする。
【0011】
ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンは、グルタミン酸にラウロイルクロリドを反応させ、N−ラウロイルグルタミン酸となし、このものとリジンとをDCCの様なペプチド合成試薬を用いて縮合することにより得ることが出来る。又、かかる成分については、既に化粧料用の原料として市販されているものが存し、かかる市販品を利用することが出来る。好ましい市販品としては、例えば、旭化成ケミカルズから販売されている「ペリセア(登録商標)L−30」(ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジン)等が存する。かかる成分は、ベシクル中に1〜20質量%含有することが好ましく、2〜10質量%含有することがより好ましい。この範囲を外れるとベシクルを形成しない場合が存する。
【0012】
(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーについて、その必須構成モノマーである、(メタ)アクリル酸のアミノ酸誘導体としては、N−アクリロイルリジン、N−アクリロイルグリシン、N−メタアクリロイルリジン、メタアクリロイルグリシンなどのN−アシルアミノ酸類が好ましく例示できる。中でも、メタアクリロイルリジンが特に好ましい。これは小球体の均一分散安定化効果が著しいためである。又、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体としては、アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどが好適に例示でき、メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが特に好ましい。これは小球体の均一分散安定化効果が著しいためである。
【0013】
前記必須の構成モノマーを用いて、ポリマーを作成する場合、必須のモノマーのみを重合させてポリマーとすることも出来るし、他の任意のモノマーとともに共重合させてポリマーにすることも出来る。任意のモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、ビニルアルコールなどが好適に例示できる。
【0014】
前記必須のモノマーを、乃至は、必須のモノマーと任意のモノマーとを、常法に従って重合することにより、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは製造できる。かかる重合の方法としては、例えば、水性媒体中でアゾビスブチロニトリルなどの重合開始剤と非イオン界面活性剤の存在下乳化重合を行うことや、含水エタノールや含水イソプロパノールなどにモノマーを溶解し、アゾビスブチロニトリルなどの重合開始剤等を用いて溶液重合を行うことなどが好適に例示できる。(例えば、特開2001−200009号公報を参照)かかるポリマー類に関して、その重合度は、分子量が10000〜1000000になるように重合を調整することが好ましい。
【0015】
この様な、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ブチルコポリマー、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ステアリルコポリマー、ポリ(メタ)アクリロイルリジン、ポリ(メタ)アクリロイルグリシンなどが好適に例示できる。この様なものには、既に市販されているものが存し、この様な市販品を購入して利用することが出来る。好ましい市販品としては、例えば、リピジュアHM(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー(分子量100000);日本油脂株式会社製)、リピジュアPMB(メタアクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・(メタ)アクリル酸ブチルコポリマー(分子量600000);日本油脂株式会社製)、PMリジン(ポリメタアクリロイルリジン;岐阜シェラック株式会社製)等が好適に例示できる。
【0016】
かかる(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは、唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。かかる(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーの好ましい含有量は、前記本発明のベシクルにおいて、ベシクル全質量に対して0.1〜10質量%である。少なすぎると、均一分散安定化効果を得られない場合が存し、多すぎると、外殻の強度を損なう場合が存するためである。又、この様な形態のベシクルを投与することにより、経表皮水分蒸散(TEWL)を抑制し、皮膚バリア機能を向上させる副次的効果も発現する。
【0017】
前記の成分以外に、本発明のベシクルにおいては通常化粧料で使用される任意成分や、皮膚内に配向すべき有効成分を含有することが出来る。任意成分としては、例えば、セラミド類、レシチン、ホスファチジルエタノールアミンなどのリン脂質、コレステロール、フィトステロール、グリセリンや1,3−ブタンジオールなどの多価アルコール等、外殻形成成分、セイヨウノコギリソウ等のノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、オウゴン抽出物、オウレン抽出物、ジュ抽出物、クジン抽出物、チョウジ抽出物、ポンカン抽出物、ミカン抽出物などの生薬抽出物、、好ましくは、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物及びポンカン抽出物から選択されるもの、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシドのようなアスコルビン酸配糖体、4−アルキルレゾルシノール、アルブチン、トラネキサム酸乃至はそのメチルアミドのような誘導体、或いはこれらの塩に代表される美白剤、、ウルソール酸、ウルソール酸ベンジル、ウルソール酸オレイルなどのウルソール酸エステル、好ましくは、ウルソール酸ベンジル、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴシンなどのスフィンゴ類、好ましくはスフィンゴ糖脂質等、皮膚に配向すべき有効成分などが好適に例示できる。かかる成分はそれぞれ、ベシクル全質量に対して、0.01〜10質量%含有することが好ましい。又、含有しないことも可能である。
【0018】
この様な成分を常法に従って処理することにより、本発明のベシクルは調整することが出来る。具体的な処理方法としては、粗乳化した後、エクストルーダーやマイクロフルイダイザーなどを用いて整粒し、調整することが好ましく例示できる。斯くして得られたベシクルは、化粧料中への均一安定分散性、皮膚内への配向性に優れる。又、リポソームなどの外殻を溶剤効果で破壊しやすいクレンジング料、多量に含有される界面活性剤の界面活性作用でリポソームなどの外殻を破壊しやすい水性洗浄料においても、その均一分散性も、外殻の強度も安定に存在する。かかるベシクルの化粧料における好ましい含有量は、化粧料全量に対し、0.005〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.05〜5質量%である。
【0019】
(2)本発明の化粧料
本発明の化粧料は前記本発明のベシクルを含有することを特徴とする。この様な形態を採用することにより、ベシクル内に内包した有効成分を皮膚中へと効果的に配向させ、その有効性を高めることが出来る。又、均一分散安定性に優れるので、低粘度の化粧料、例えば、ローションなどに含有させても沈降などの不均一化を起こしにくい。この意味において、ローションなどの低粘度化粧料、具体的には粘度1000mP・s以下の化粧料に適用することも好ましい。又、本発明のベシクルを利用することにより、リン脂質を利用したリポソーム等の輸送小球体と異なり、化粧料の製剤成分により、輸送小球体が崩壊する蓋然性が極めて低く、この為、溶剤効果の高い油剤を含有するクレンジング料や、界面活性が極めて高い洗浄料に適用することが出来る。この類い希な点で、クレンジング料や水性洗浄料も好ましい実施形態となる。勿論、通常の化粧料に含有させても、優れた皮膚内配向性などの好ましい効果を奏するので、好ましい。
【0020】
本発明の化粧料に於いては、前記成分以外に、化粧料に於いて通常用いられる成分を任意に含有させることが出来る。この様な成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ビス(N−ラウロイルグルタミン酸)リジン等のアシル(ポリ)アミノ酸及び/又はその塩;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。かかる成分と、前記の必須の成分とを常法に従って処理することにより、本発明の化粧料は製造できる。
【0021】
以下に、実施例を挙げて、更に詳細に本発明について説明を加える。
【実施例1】
【0022】
以下に示す処方に従って、本発明の化粧料である、ローションを作成した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加温し、イに徐々にロを加え粗ベシクルを作成し、これをエクストルーダーで処理し、ベシクル分散液1を得た。ベシクルであることは偏光顕微鏡により、脂質二重膜構造の存在から確認した。別途、ハを80℃に加温し、攪拌下可溶化し、攪拌冷却を行った。温度が50℃になったところでニのベシクル分散液1を加え、30℃まで攪拌冷却し、ローション1(粘度500mP・s)を得た。ベシクル分散液のビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンを水添レシチンに置換してリポソーム分散液1、リピジュアHMを水に置換し、比較ベシクル分散液1を作成し、同様に処理して、比較例1、比較例2を作成した。
【0023】
【表1】
【0024】
<試験例1>
ローション1、比較例1、比較例2をそれぞれ3000rpmで5分間遠心分離処置を行い、上清の405nmの吸光度を測定し、ローション1の吸光度を1とした場合の吸光度比を求め、100を乗じて残存分散小球体量率(%)とした。結果を表2に示す。これより、本発明のベシクルの均一分散安定性に優れる性質が確かめられた。本発明のベシクルはローションのような低粘度の製剤であっても、分散状態を安定に維持することもわかる。
【0025】
【表2】
【0026】
<試験例2>
前腕内側部に2cm×4cmの部位を3つ作成し、テヴァメータ(インテグラル社製)で経皮水分蒸散(TEWL)を計測し、しかる後に、それぞれの部位にローション1、比較例1及び比較例2を40μLづつ投与し、投与後20分に再度部位のTEWLを計測した。(処置前のTEWL−処置後のTEWL)*100/処置前のTEWLの計算式でTEWL抑制率を算出した。結果を表3に示す。これより、本発明の化粧料のTEWL抑制効果に優れることがわかる。
【0027】
【表3】
【実施例2】
【0028】
下記の処方に従って、本発明のベシクル分散液2を作成し、実施例1と同様にローション2を作成した。(粘度500mP・s)このものの試験例2でのTEWL抑制値は55%であった。
【0029】
【表4】
【実施例3】
【0030】
下記の処方に従って、本発明のベシクル分散液3を作成し、実施例1と同様にローション3を作成した。(粘度500mP・s)このものの試験例2でのTEWL抑制値は52%であった。
【0031】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、化粧料に応用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルであることを特徴とする化粧料用小球体。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体は、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン乃至はメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料用小球体。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及び/又はポリメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料用小球体。
【請求項4】
ε,γ−グルタミルリジン、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物、ウルソール酸類、ポンカン抽出物及びスフィンゴ糖脂質からなる群から選択される有効成分を含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料用小球体。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載の化粧料用小球体を含有してなる化粧料。
【請求項6】
前記化粧料は、クレンジング化粧料又は水性洗浄料であることを特徴とする、請求項5に記載の化粧料。
【請求項1】
化粧料に配合すべき小球体であって、ビス(N−ラウロイルグルタミル)リジンと、(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーとを含有する脂質二重膜構造の外殻を有するベシクルであることを特徴とする化粧料用小球体。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体は、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン乃至はメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料用小球体。
【請求項3】
(メタ)アクリル酸のアミノ酸乃至はアミン誘導体を構成モノマーとする、ホモポリマー乃至はコポリマーは、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンホモポリマー及び/又はポリメタアクリロイルリジンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料用小球体。
【請求項4】
ε,γ−グルタミルリジン、オウレン抽出物、ノコギリソウ抽出物、オトギリソウ抽出物、チョウジ抽出物、ウルソール酸類、ポンカン抽出物及びスフィンゴ糖脂質からなる群から選択される有効成分を含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の化粧料用小球体。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載の化粧料用小球体を含有してなる化粧料。
【請求項6】
前記化粧料は、クレンジング化粧料又は水性洗浄料であることを特徴とする、請求項5に記載の化粧料。
【公開番号】特開2009−256254(P2009−256254A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108264(P2008−108264)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】
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