説明

化粧料用分散剤及び該分散剤を含む化粧料組成物

【課題】化粧料組成物に配合される顔料、紫外線防御剤、抗菌剤、抗フケ剤等の水不溶性微粒子を水系に分散させた場合、一次粒子として微粒子が凝集し、微粒子本来の特性が阻害されるため、一次粒子の凝集を防ぐ分散性が良好で、更に分散時の高いペースト粘性の低減効果に優れる化粧料用分散剤、及び該分散剤を含む化粧料組成物を提供する。
【解決手段】共重合体1分子中にポリアマイドポリアミン基、ポリアルキレングリコール基を含む両性型共重合体で、(A)不飽和基を有するポリアマイドポリアミンアルキレンオキサイド付加物、(B)(メタ)アクリル酸またはその塩、(C)ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステルを(A):(B):(C)=5〜85:5〜85:5〜85(質量%)で合計が100質量%の割合で共重合させた、両性型共重合体である化粧料用分散剤及び該分散剤を含有する化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料組成物に配合される顔料、紫外線防御剤、懸濁剤、パール化剤、抗フケ剤、抗菌剤などの無機微粒子、及び皮脂吸収粉体などの無機化合物を化学的、物理的に表面処理した複合微粒子、金属セッケン、多価金属塩等を分散させる、化粧料用分散剤及び該分散剤を含む化粧料用組成物に関する。より詳しくは、化粧品に配合されるこれら無機微粒子、及び無機化合物を化学的、物理的に表面処理した複合微粒子等は、近年、その粒子径が一層小さくなっているため、これらを水系に分散させた場合、一次粒子としての微粒子が凝集して二次粒子となり易く、微粒子本来の特性が阻害されやすい。本発明は共重合体1分子中にポリアマイドポリアミン基、ポリアルキレングリコール基を併せもつことにより、水系での分散性に優れ、更にポリアルキレングリコール基部分が長鎖ポリアルキレングリコール基と短鎖ポリアルキレングリコール基の鎖長の異なる2種類を有することにより、この領域に特有の高いペースト粘性が低減され使用性が良好である化粧料用分散剤、及び該分散剤を含む化粧料用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料組成物には顔料、紫外線防御剤などの微粒子が配合されており、紫外線防御剤としては、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機化合物が用いられている。一方、化粧料用の色材として各種顔料が用いられ、二酸化チタン等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料、酸化鉄処理雲母チタン、カーボンブラック処理雲母チタン等が用いられている。さらに、皮脂吸収粉体等の複合粉体、懸濁剤、パール化剤、抗フケ剤、抗菌剤などの水不溶性粉体が用いられている。これらを安定的に配合するために各種分散剤が検討され、特許文献1にはポリエーテル化合物にエチレン性不飽和単量体を共重合させた水溶性共重合体を含む化粧料用顔料分散剤が、特許文献2には微生物由来の多糖類が紫外線散乱剤の沈降、凝集を防ぐ分散剤として配合された日焼け止め用外用組成物が、特許文献3及び特許文献4には架橋型ポリアクリル酸或いはアクリル酸/アクリル酸エステル共重合体を用いることで、抗菌剤、抗フケ剤などの水不溶性粉体を安定的に分散させることが、特許文献5には有機リン酸エステル塩を含有する微粒子用水系分散剤が化粧品を始めとした、塗料、電子材料、セメント、磁性材料等に用いられる無機、有機等の微粒子を水系に安定に分散させることができる微粒子用水系分散剤として示されているが、共重合体1分子中にポリアマイドポリアミン基、長鎖ポリアルキレングリコール基と短鎖ポリアルキレングリコール基を併せもつ構造の分散剤はもとより、共重合体1分子中にポリアマイドポリアミン基とポリアルキレングリコール基を併せもつ構造の分散剤も示されていない。
【0003】
一方、分散剤としては、セメント用分散剤、インク用分散剤などがあり、セメント用分散剤としては、特許文献6に(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリルスルホン酸塩、ポリエチレングリコ−ルアルキルエ−テルのモノアクリル酸エステルまたはポリプロピレングリコ−ルアルキルエ−テルのモノアクリル酸エステルの共重合体が開示されている。また共重合体1分子中に異なった鎖長のポリアルキレングリコール鎖を含むものとして特許文献7が、高シェアー下の粘性低減と凝結遅延抑制の両方を満足するものとしてW/C=29.0%時のフロー値および50cmに達するコンクリートの広がり速度(秒)で評価している。また共重合体1分子中に異なった鎖長のポリアルキレングリコール鎖を含む特許文献8としてW/C=25%時のフロー値を評価している。同様に共重合体1分子中に異なった鎖長のポリアルキレングリコール鎖を含むものとしては特許文献9が挙げられ、W/C=40%におけるフロー値および空気量を経時的に評価している。特許文献10、特許文献11、特許文献12では重合時の長鎖ポリアルキレングリコール基と短鎖ポリアルキレングリコール基を含む各単量体が反応途中において少なくとも1回変化される重合方法で製造されるセメント分散剤等のポリカルボン酸系セメント分散剤の開示がある。
【0004】
またポリアマイドポリアミン系単量体を共重合体に含む分散剤としては、特許文献13、特許文献14にセメント分散剤として開示されているが、何れもセメント用分散剤に関するもので、化粧品用分散剤としての記述はどこにも示されていない。
【0005】
さらに、ポリアマイドポリアミン系単量体を含む共重合体としては、特許文献15にカチオン性ポリマーとアニオン性の染料及び日焼け止め剤さらに両性洗浄剤化合物からなる毛髪等のケラチン繊維の処理組成物が示されており、カチオン性ポリマーの一つとしてポリアマイドポリアミン系単量体を含む共重合体が開示されているが、アニオン性の染料及び日焼け止め剤をケラチン繊維に吸着させることが目的で有り、化粧品用分散剤として前記共重合体が用いられることについての記述はどこにも示されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平10−204320号公報(1−3項)
【特許文献2】特開2001−220338号公報(1−3項)
【特許文献3】特公昭49−49117号公報
【特許文献4】特公昭54−16951号公報
【特許文献5】特開2002−166165号公報(1−4項)
【特許文献6】特開平1−226757号公報
【特許文献7】特許第3285526号公報
【特許文献8】特開平9−286645号公報
【特許文献9】特許第318469号公報
【特許文献10】特開2002−003258号公報
【特許文献11】特開2002−179448号公報
【特許文献12】特開2002−179449号公報
【特許文献13】特許第3235002号公報
【特許文献14】特許第3336456号公報(1−8項)
【特許文献15】特許第2575141号公報(5−7項)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、各種顔料、紫外線防御剤などの無機微粒子は、その粒子径が一層小さくなっているため、水系に分散させた場合、一次粒子としての微粒子が凝集して二次粒子となり易く、微粒子本来の特性が阻害される。そこで本発明は、一次粒子の凝集を防ぐ分散性が良好で、更にこの領域に特有の高いペースト粘性が低減され使用性が良好である化粧料用分散剤及び該分散剤を含む化粧料用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、共重合体1分子中にポリアルキレンポリアマイド系単量体、ポリアルキレングリコール系単量体ならびに(メタ)アクリル酸系単量体からなる共重合体が所望の効果を奏することを見出して本発明に至った。すなわち、本発明は ポリアルキレンポリアミン1.0モルと、二塩基酸または二塩基酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル0.5〜0.95モル(=xモル)と、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはアクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル0.05〜0.70モル(=yモル)を縮合させたポリアマイドポリアミンのアミノ残基1当量に対して、炭素原子数2ないし4のアルキレンオキサイド0〜8モルを付加させた少なくとも1種の化合物(化合物A)と、
一般式(1)
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基またはアルカノールアンモニウム基を表す)
で表される少なくとも1種の化合物(化合物B)と、
一般式(2)
【化2】

(式中、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を表し、R4は水素原子または炭素原子数1ないし24のアルキル基を表し、そしてmは1〜100の平均付加モル数を表す)
で表される少なくとも1種の化合物(化合物C)とを、主な単量体成分とし共重合し得られる両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩である化粧料用分散剤及び該分散剤を含む化粧料組成物である。
【0009】
更に、より好ましくは、化合物Cのポリアルキレングリコール系単量体が、下記の一般式(3)で表される少なくとも1種の化合物(化合物C1)と下記の一般式(4)で表される少なくとも1種の化合物(化合物C2)とからなるポリアルキレングリコール系単量体の少なくとも2種以上の混合物と、ポリアルキレンポリアマイド系単量体ならびに(メタ)アクリル酸系単量体からなる両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤である。
【化3】

(式中、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を表し、R4は水素原子または炭素原子数1ないし24のアルキル基を表し、そしてnは1〜35の平均付加モル数を表す)
【化4】

(式中、R5は水素原子またはメチル基を表し、R6は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を表し、R7は水素原子または炭素原子数1ないし24のアルキル基を表し、そしてqは40〜100の平均付加モル数を表す)
本発明の別の態様は、上述の化粧料用分散剤を含有することを特徴とする化粧料組成物にも関する。
【発明の効果】
【0010】
共重合体1分子中にポリアルキレンポリアマイド系単量体、ポリアルキレングリコール系単量体、ならびに(メタ)アクリル酸系単量体からなる共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む本発明品は、化粧料組成物に配合される顔料、紫外線防御剤、懸濁剤、パール化剤、抗フケ剤、抗菌剤などの無機微粒子、及び皮脂吸収粉体などの無機化合物を化学的、物理的に表面処理した複合微粒子、金属セッケン、多価金属塩等を水系に分散させた場合に一次粒子の凝集を防ぎ、さらに系の粘度を低くすることで使用時の感触を良好とする、分散安定性及び減粘効果等の分散性能に優れた化粧品用分散剤である。よって本発明は、分散安定性に優れた化粧料用分散剤及び該分散剤を含む化粧料用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において使用される化合物Aは上記したように、ポリアルキレンポリアミン(化合物a)と二塩基酸または二塩基酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル(化合物b)とアクリル酸もしくはメタクリル酸またはアクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル(化合物c)とを特定の割合で縮合させたポリアマイドポリアミンに、アルキレンオキサイド(化合物d)を特定量付加させた化合物である。
化合物aのポリアルキレンポリアミンとして、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン等を挙げることができるが、効果と経済性の点からジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が好ましい。
化合物bの二塩基酸およびその炭素原子数1ないし4の低級アルコールエステルとして、例えばマロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバチン酸、またはこれらの炭素原子数1ないし4の低級アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールまたは存在する場合にはそれらの異性体とのエステルを挙げることができる。その中でも効果と経済性の点からアジピン酸が最も好ましい。
化合物cのアクリル酸またはメタクリル酸およびその炭素原子数1ないし4の低級アルコールエステルとして、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
上記の化合物a、bおよびcの3成分からなるポリアマイドポリアミンは公知の縮重合技術により容易に得ることができる。また、ポリアマイドポリアミンのアミノ残基に付加させる化合物dである炭素原子数2ないし4のアルキレンオキサイドとはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドまたはブチレンオキサイドである。これらアルキレンオキサイドは1種類のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
【0012】
ポリアマイドポリアミンの製造、すなわち化合物a、bおよびcの縮重合反応には、例えば、最初に化合物aと化合物bのみを縮重合させ、しかる後に一塩基酸である化合物cを加えて更に縮重合を継続させる2段反応法、または最初から化合物a、bおよびcを同時に混合して縮重合を行わせる一括反応法等がある。しかしながら、いずれの方法を用いるにしてもこの縮重合反応すなわちアマイド化反応はアマイド交換反応と並行して進行するため、最終的には化合物cに由来するアクリル酸残基またはメタクリル酸残基はポリアマイド鎖の末端に位置することになり、同じ結果を与えるとみなしてよい。
【0013】
次に、ポリアマイドポリアミンを構成する上記3成分の反応モル比について説明する。化合物a(ポリアルキレンポリアミン)1.0モルに対する化合物b(二塩基酸またはそのエステル)の反応比は0. 5〜0. 95モルである。この範囲のモル比で反応させた化合物aと化合物bの縮重合物は平均的には(ポリアルキレンポリアミン2モル:二塩基酸1モル) 〜(ポリアルキレンポリアミン20モル:二塩基酸19モル) の縮重合によって構成される一定範囲の鎖長を有するポリアマイドとなり、このことより、これを用いて得られる分散剤は良好な分散性能を発揮する。このポリアマイドの鎖長がこれよりも短い場合(上記反応比が0.5モル未満の場合)には、一定のポリアマイドポリアミン構造が得られない。鎖長がこれより長い場合(上記反応比が0.95モルを越える場合)には分散性能がかなり低下し、好ましくない。
【0014】
本発明に係わるポリアマイドポリアミンは1分子当たり0. 10モル〔a:b:c=1.0:0.5:0.05(モル)の場合〕から、14モル〔a:b:c=1.0:0.95:0.70(モル)の場合〕のアクリル酸残基またはメタクリル酸残基を有するが、効果の面から好ましい範囲は0. 5〜2. 0モルである。この値が0.5モルを下回る場合(例えばa:b=1.0:0.5であって、化合物aに対する化合物cの量比が0.25未満の場合)には、これから得られる化合物Aが最終共重合体に組み込まれる割合が低下し、セメント分散剤としての性能を著しく低下させる。一方2.0モルを越えると(例えばa:b=1.0:0.95であって、化合物aに対する化合物cの量比が0.10を越える場合)、共重合体が三次元構造をとり過ぎてしまい十分な効果が得られない。
【0015】
特にポリアルキレンポリアミン1.0モルに対する、二塩基酸または二塩基酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル(=xモル)と、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはアクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル(=yモル)モル数の関係が0.6<y/(1−x)<1.4であり、0.6≧y/(1−x)の場合にはポリアマイドポリアミン系単量体が十分に共重合体に含まれないし、y/(1−x)≧1.4の場合には反応性基を両端に有するジアマイドポリアマイドポリアミン系単量体を多く含有してしまうため、重合体の高分子量化、ゲル化を生じてしまい、いずれにせよ十分な粘性低減効果を示さない。
【0016】
ポリアマイドポリアミンに付加させるアルキレンオキサイドの量はポリアマイドポリアミンのアミノ残基1当量に対し0〜8モルである。8モルを越えると化合物Aの分子量が大きくなるためにカチオン当量が低下し、本発明の両性型ポリマーとしての十分な効果が得られない。本発明において、上記アルキレンオキサイドの付加行われることが好ましく、その量は好ましくはポリアマイドポリアミンのアミノ残基1当量に対し0.5〜6.0、特に好ましくは1.0〜5.5である。
【0017】
本発明において使用される化合物Bは、例えばアクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン塩類を挙げることができるが、性能および経済性の面からアクリル酸もしくはメタクリル酸が好ましい。
【0018】
最終的に共重合体に組み込まれた後の化合物Bの形態としては、酸または/およびナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンによる(部分又は完全)中和塩であることが水溶性の面から好ましい。中和は酸の形態で合成した後に中和しても良く、また重合前から塩の形態として中和してあっても良い。
【0019】
本発明において使用されるポリアルキレングリコール系単量体である化合物C、及びポリアルキレングリコール系単量体中のポリアルキレングリコール鎖長が限定された、2種類のポリアルキレングリコール系単量体である化合物C1及び化合物C2は、例えばメトキシポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、エトキシポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、メタノールのエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0020】
本発明において使用される化合物Cのアルキレンオキサイド平均付加モル数は1〜100モルである。1以下では重合物の水溶性を著しく低下させてしまうし、100以上では分散性能を低下させてしまう。
【0021】
また、分散安定性を改善する他に、この分散状態に特有の高いペースト粘性をより低減するため、ポリアルキレングリコール鎖長の異なる2種類のポリアルキレングリコール系単量体を本発明の共重合体を構成する単量体として使用する場合、2種類のポリアルキレングリコール系単量体、化合物C1及び化合物C2のアルキレンオキサイド平均付加モル数は、短鎖長のポリアルキレングリコール系単量体である化合物C1においては、アルキレンオキサイド平均付加モル数は1〜35モルである。1以下では重合物の水溶性を著しく低下させてしまうし、35以上では分散性能を低下させてしまう。さらに、長鎖長のポリアルキレングリコール系単量体である化合物C2においては、アルキレンオキサイド付加モル数は40〜100である。40以下である場合には粘性の低下が悪化する傾向がみられ、100を超える場合には分散性能を著しく低下させてしまう。
【0022】
その他本発明の化合物A,B,C,C1,C2以外で共重合可能な単量体としては、以下の公知の単量体が挙げられる。(非)水系単量体類:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルアセトアミド、スチレン、アリルオキシ−ヒドロキシプロピル−ヒドロキシエチルセルロース、メタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタインなど、アニオン系単量体類:イタコン酸、(無水)マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、クロトン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルホスホン酸ナトリウム、アリルホスホン酸など、アミド系単量体類:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドのアルキレンオキサイド付加物など、ポリアルキレングリコール系単量体類:アリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコールと無水マレイン酸のモノまたはジエステル、ポリアルキレングリコールとイタコン酸のエステルなどである。
【0023】
その他共重合可能な単量体の配合割合は、全単量体の仕込み割合の30質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0024】
本発明において使用される化合物A、化合物B、化合物Cの配合割合は、5〜85質量%:5〜85質量%:5〜85質量%で合計が100質量%であり、化合物Cのポリアルキレングリコール系単量体が長鎖と短鎖の2種類のポリアルキレングリコール系単量体からなる場合、化合物A、化合物B、化合物C1及び化合物C2の配合割合は、5〜85質量%:5〜85質量%:5〜85質量%:5〜85質量%で合計が100質量%であり、この範囲において各々の化合物を適正量、選択することによって、分散性能が得られるが、これを外れると効果が得られない。
【0025】
本発明の化粧料用分散剤を得る為の製造方法としては、特に限定されず、例えば、重合開始剤を用いての溶液重合や塊状重合等の公知の重合方法が採用できる。
【0026】
溶液重合方法は回分式でも連続式でも行うことができ、その際使用される溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族あるいは脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物;等が挙げられるが、原料単量体および得られる共重合体の溶解性から、水および炭素数1〜4の低級アルコールよりなる群から選ばれた少なくとも1種を用いることが好ましく、その中でも水を溶媒に用いることがさらに好ましい。
【0027】
水溶液重合を行う場合は、ラジカル重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2‘−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2‘−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチリロニトリル等のアゾニトリル化合物の水溶性アゾ系開始剤等が使用され、この際、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフォン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩類、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。
【0028】
また、低級アルコール、芳香族あるいは脂肪族炭化水素、エステル化合物、あるいはケトン化合物を溶媒とする溶液重合には、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチリロニトリル等のアゾ化合物;等がラジカル重合開始時として用いられる。この際、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々のラジカル重合開始剤あるいはラジカル重合開始剤と促進剤の組み合わせから適宜選択して用いることができる。
【0029】
塊状重合を行う場合は、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシドとのパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチリロニトリル等のアゾ化合物が用いられる。
【0030】
共重合の際の反応温度は、特に制限はないが、例えば、過硫酸塩を開始剤とした場合は反応温度が30〜95℃の範囲が適当である。
【0031】
共重合の際には、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤を用いることができ、2種類以上の連鎖移動剤の併用も可能である。
【0032】
共重合の際の重合時間は、特に限定されないが、例えば、1〜10時間の範囲が適当であり、好ましくは1〜8時間、さらに好ましくは1.5〜6時間の範囲が良い。重合時間がこの範囲より短すぎたり長すぎたりすると、重合率の低下や生産性の低下をもたらし好ましくない。
【0033】
共重合の際の滴下方法は特に限定されないが、各単量体の一部または全量を反応容器に仕込み開始剤等を滴下する方法、各単量体の1種以上を反応容器に仕込みその他単量体、開始剤、連鎖移動剤等を滴下する方法、また特許第3235002号公報、特許第3336456号公報で開示されている単量体の混合物、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤を各々滴下する方法、各単量体と連鎖移動剤の混合物、ラジカル重合開始剤を各々滴下する方法が挙げられる。
【0034】
本発明で得られる共重合体の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリエチレングリコール換算)で3,000〜500,000の範囲が良く、これを外れると分散性が低下する。
【0035】
このようにして得られた本発明における両性型共重合体は、クレー分散能が優れることから、各種化粧料組成物に配合される顔料、紫外線防御剤などの無機微粒子の一次粒子の凝集を防ぎ、系の安定化と、二次凝集による製品性能の低下を防ぐ効果を有する。これらの効果は共重合体の分子構造中のカルボキシル基(アニオン性基)、ポリアマイドポリアミン基(カチオン性基)、及びポリアルキレングリコール基からなる非イオン性親水性基を併せ持つことによりもたらされると考える。このような特異的構造を有する共重合体を使用することが本発明の根幹をなすものである。特に前記ポリアマイドポリアミン基のカチオン性基部分の電気作用、水酸基の親水作用、さらには、非イオン性親水性基部分を短鎖ポリアルキレングリコール基と長鎖ポリアルキレングリコール基の2種類を適度に組み合わすことにより、長鎖ポリアルキレングリコールの立体障害作用が有効に機能することなどが相乗効果となって、低い水結合粒子比領域における少量の水の中でも無機微粒子に本発明品が効率的に吸着し、また短鎖ポリアルキレングリコールの存在が長鎖ポリアルキレングリコールを効率良く機能させることで系の粘度を低下させる役目を果たし、本発明の効果に結びついていると推察される。さらに本発明品が効率的に機能するということは、本発明品の添加量を減らすことにも繋がり、経済的である。この様に本発明の化粧料用分散剤が発揮する効果から、前記のメカニズムを推察しているが解明にまでは至っていない。また本発明の両性型共重合体は、共重合体を構成するポリアルキレングリコール基の機能を十分機能させるため、通常、両親媒性両性型共重合体及び水溶性両性型共重合体であることが望ましい。より好ましくは水溶性両性型共重合体であることが望ましい。
【0036】
本発明の両性型共重合体からなる化粧料用分散剤は、化粧料組成物に対する配合量は、組成物全体を100質量%として、0.05〜5質量%が好ましく、0.05質量%未満では分散性能が得られず、5質量%を越えると化粧料組成物の使用感が悪くなる傾向がある。
【0037】
上述のように、本発明の化粧料用分散剤を公知の処方により処方系内に所要量配合することで本発明の化粧料が得られるが、化粧料中の他の成分は特に限定されず、化粧料に一般に用いられる成分を任意成分として配合することが可能である。配合可能な他の成分を下記に例示するが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0038】
顔料及び紫外線防御剤としては、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、紅雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼きセッコウ)、リン酸カルシウム、セラミックパウダー、ヒドロキシアパタイト、弗化アパタイト、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム等)、窒化ホウ素、コバルトバイオレット、カーボンブラック等の無機粉末が挙げられる。
【0039】
抗菌剤、抗フケ剤、パール化剤、懸濁剤等の水不溶性微粉体としては、2−メルカプトピリジン−N−オキシド多価金属塩、二硫化セレン等が挙げられる。
【0040】
カチオン性水溶性高分子の例としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性デンプン、カチオン変性タマリンドガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性フェヌグリークガム、カチオン変性タラガム等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)等が挙げられる。
【0041】
両性水溶性高分子の例としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)等が挙げられる。
【0042】
アニオン界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)リン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルリン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルスルホコハク酸塩、アシル(炭素数8〜24)化アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化N−メチル-β-アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化グルタミン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化イセチオン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化サルコシン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化タウリン塩、アシル(炭素数8〜24)化メチルタウリン塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、長鎖(炭素数8〜24)カルボン酸塩等が挙げられる。
【0043】
ノニオン界面活性剤としては、アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0044】
両性界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルベタイン、アルキル(炭素数8〜24)カルボキシベタイン、アルキル(炭素数8〜24)スルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシホスホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミノカルボン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)アンホ酢酸ナトリウム、アルキル(炭素数8〜24)アミンオキシド、3級窒素、及び4級窒素を含むアルキル(炭素数8〜24)リン酸エステル等が挙げられる。
【0045】
アニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩等)、クロトン酸誘導体(酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0046】
ノニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライド及びその誘導体(グアーガム、ローカストビーンガム、デキストラン等)等が挙げられる。
【0047】
本発明の化粧料組成物に配合されるその他の成分としては、カチオン界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等)、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ワックス類(カルナバロウ、キャンデリラロウ等)、炭化水素油(流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na等)、エステル類(ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、トリミリスチン酸グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、セトステアリルアルコール、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、オレイン酸デシル、オレイン酸オイル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸エチル、酢酸ブチル酢酸アミル、酢酸ラノリン、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキシルパルミテート、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、セチル−2−エチルヘキサノエート、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、アセトグリセライド、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルラウレート、ミンク油脂肪酸エチル等)、酸化防止剤(トコフェロール、BHT等)、シリコーン(メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン、環状ポリシロキサン等)及びシリコーン誘導体(ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等)、高級アルコール、高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等)、アミノ酸類(アルギニン、グルタミン酸等)、アミドアミン化合物を有機酸及び/または無機酸等の中和剤で完全中和または部分中和したアミドアミン化合物の有機酸塩及び/または無機酸塩、パール化剤(脂肪酸エチレングリコール等)、懸濁剤(ポリスチレン乳化物等)、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、育毛剤、ビタミン類、抗炎症剤、色素、香料、起泡増進剤等が挙げられる。
【0048】
上述の本発明にかかる化粧料組成物の剤型は限定されず、任意の剤型を取ることができ、さらに上記(必須)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、その剤型によって通常当該化粧料組成物に配合される各種成分を加え、常法により製造することができる。剤型としては、ボディ用洗浄剤、洗顔料、ローション、クリーム、ハンドクリーム、日焼け止め等のスキンケア化粧料、アイライナー、アイシャドー、マスカラ等のアイメーキャップ化粧料、ファンデーション、メークアップ下地、口紅等のメークアップ化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアワックス、ヘアローション、ヘアミスト、酸性染毛料、酸化染毛料、パーマ剤等の毛髪処理組成物等が挙げられ、いずれも、本発明の両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤の分散性能を利用したものである。また、使用部位や使用場面に合わせて液状、乳液状、固形状、ペースト状、ゲル状、クリーム状、フォーム状、エアゾール等の様々な態様をとることが可能である。
【実施例】
【0049】
以下に本発明を実施例に基づいてより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特に指定のない限り、配合量は質量%で示す。
【0050】
『両性型共重合体の製造』
<化合物A−1製造方法>
攪拌器付き反応容器にジエチレントリアミン103g(1.00モル)、アジピン酸97.3g(0.67モル)を仕込み、窒素の導入による窒素雰囲気下で攪拌混合する。150℃になるまで昇温し縮重合に伴う反応生成物の水を除きながら、酸価が22となるまで20時間反応させた。次にハイドロキノンメチルエーテル1.1g、メタクリル酸27.5g(0.32モル)を仕込み、同温度(150℃)で10時間反応させた。これにより反応留出水の合計42gと共にポリアマイドポリアミン187g(融点122℃、酸価23)を得た。このポリアマイドポリアミン全量を水213gに溶解させ温度50℃となるまで昇温した。同温度(50℃)でエチレンオキサイド132g(未反応アミノ基を含めた総アミノ残基に対し3.0モル相当)を4時間かけて逐次導入し、2時間の熟成を行った。これにより本発明の化合物A−1(固形分60%)532gを得た。
<実施例1の製造方法1>
撹拌器付き反応容器に水180gを仕込み、窒素を導入し合成系内を窒素雰囲気とし温度80℃になるまで昇温した。また水150g、化合物A−1を98.2g、メタクリル酸(化合物B)72.0gおよび短鎖メトキシポリエチレングリコールモノメタアクリレート(化合物C1,分子量1000)60.9g、長鎖メトキシポリエチレングリコールモノメタアクリレート(化合物C2,分子量2000)183gの混合物(化合物BをNa塩とした場合の配合計算比は化合物A:化合物B:化合物C1:化合物C2=15質量%:23質量%:15質量%:47質量%の割合で合計100質量%)と5%チオグリコール酸水溶液66.4gとを各々2時間、また5%過硫酸ソーダ水溶液123gを3時間、合成系内へ滴下した。その後2時間熟成、冷却を行った。その後48%NaOH水溶液でpH7まで中和を行い、水溶性両性型共重合体(実施例1の(A))を1,003g得た。この共重合体(実施例1)はGPC分子量測定により重量平均分子量が46,000の共重合体であった。なおその測定条件は以下のとおりである:
カラム:OHpak SB−803HQ,OHpak SB−803HQ(昭和電工製)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液とアセトニトリルの比80:20
検出器:示差屈折計
検量線:ポリエチレングリコール。
<実施例1の製造方法2>
撹拌器付き反応容器に水180gを仕込み、窒素を導入し合成系内を窒素雰囲気とし温度80℃になるまで昇温した。また水150g、化合物A−1を98.2g、メタクリル酸(化合物B)72.0gおよび短鎖メトキシポリエチレングリコールモノメタアクリレート(化合物C1,分子量1000)60.9g、長鎖メトキシポリエチレングリコールモノメタアクリレート(化合物C2,分子量2000)183gの混合物(化合物BをNa塩基準とした場合の配合計算比は化合物A:化合物B:化合物C1:化合物C2=15質量%:23質量%:15質量%:47質量%の割合で合計100質量%)中に5%チオグリコール酸水溶液66.4gを加えた。水、各々の単量体及び5%チオグリコール酸水溶液の混合物を2時間、さらに5%過硫酸ソーダ水溶液123g中の82gを同様に2時間かけ、合成系内へ滴下した。その後更に1時間かけ残りの5%過硫酸ソーダ水溶液41gを滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却を行った。その後48%NaOH水溶液でpH7まで中和を行い、水溶性両性型共重合体(実施例1)を1,003g得た。この共重合体(実施例1の(B))はGPC分子量測定により重量平均分子量が45,000の共重合体であった。なおその測定条件は以下のとおりである:
カラム:OHpak SB−803HQ,OHpak SB−803HQ(昭和電工製)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液とアセトニトリルの比80:20
検出器:示差屈折計
検量線:ポリエチレングリコール。
【0051】
『実施例1の製造方法1及び2の比較』
実施例1の製造方法1で得られた実施例1の(A)と実施例1の製造方法2で得られた実施例1の(B)はGPC測定結果においてほぼ同一化合物が得られた。
【0052】
実施例2〜10
表1に示す化合物を基に、化合物A−1を得る製造方法と同様な方法でポリアマイドポリアミンアルキレンオキサイド付加物である化合物A−2〜A−6を得た。また表2に示される化合物A、化合物B、化合物C、化合物C1および化合物C2を用い実施例1の製造方法1と同様な方法で共重合を行い、水溶性両性型共重合体(実施例2〜10)を得た(ただし、得られた共重合体の最終濃度が固形分40%になるよう水分を調整した)。
【0053】
【表1】

*1 表中の化合物Aを製造するために使用される成分(a)〜(d)は上記した
化合物a〜dに相当し、各数値は構成モル比を表す。
*2 ジエチレントリアミン
*3 トリエチレンテトラミン
*4 化合物aと化合物bとの縮合物(中間縮合物)の酸価
*5 化合物aと化合物bと化合物cとの縮合物(最終縮合物)の酸価
【0054】
【表2】

配合比の計算方法:仕上がり共重合体の各単量体の割合を把握する為に、化合物Bは塩の形で計算している。
実施例1の配合比計算例)
化合物A−1:98.2g(固形分は98.2×0.6=58.9),
化合物B:72.0g(固形分は108(メタアクリル酸ナトリウム分子式)×72g/86(メタアクリル酸分子式)=90.4g)
化合物C1:60.9g,化合物C2:183gは100%固形分である。
化合物A:化合物B:化合物C1:化合物C2=58.9:90.4:60.9:183(固形分)=15質量%:23質量%:15質量%:47質量%
*1表中の化合物A〜C1、C2の値は固形分を基準とした構成質量部である。
*2 メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量250)
*3 メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量4000)
*4 メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量1000)
*5 メトキシポリエチレングリコールアクリレート(分子量250)
*6 メトキシポリエチレングリコールアクリレート(分子量1000)
*7 メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量2000)
*8 エトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量3000)
*9 メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量4000)
【0055】
比較例1〜2
ポリアルキレンポリアミンと二塩基酸および(メタ)アクリル酸からなるポリアルキレンポリアマイド系単量体を含まない、化合物Bと、化合物C1及び化合物C2とを共重合させた、水溶性共重合体を得た。表4にその合成例を示す。
【0056】
比較例3〜6
ポリアルキレンポリアミンと二塩基酸および(メタ)アクリル酸の反応割合を0.6<y/(1−x)<1.4を外れる本発明の範囲外としたことを除いて実施例1に示す方法と同様にして縮合化合物を合成した(化合物A’−1〜化合物A’−4)。表3にこの合成例を示す。次いでこれらの化合物A’−1〜A’−4と化合物B、化合物C及び化合物Dとを共重合させ、水溶性両性型共重合体(比較例3〜6)を得た。表4中にその合成例を示す。
【0057】
【表3】

*1 表中の化合物A’を製造するために使用される成分(a)〜(d)は上記し
た化合物a〜dに相当し、各数値は構成モル比を表す。
*2 ジエチレントリアミン
*3 トリエチレンテトラミン
*4 化合物aと化合物bとの縮合物(中間縮合物)の酸価
*5 化合物aと化合物bと化合物cとの縮合物(最終縮合物)の酸価
【0058】
【表4】

表2の配合比計算方法に準じて処方を決めている。
*1 表中の化合物A’、化合物Bおよび化合物C1、C2の値は固形分を基準とした構成質量部である。
*2 メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量1000)
*3 メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート(分子量2000)
【0059】
【表5】

*1 ○・・・高分子領域に肩が認められない。
△・・・高分子領域にピークとして確認できる程の肩を持つ。
*2 実施例1での化合物Aの反応割合を1とした時の反応割合の比率
*3 比較例1及び2は、化合物Aを含まないため、反応割合を算出できず。
【0060】
表5の結果から、化合物A’を構成する二塩基酸または二塩基酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル(=xモル)と、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはアクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル(=yモル)の割合が0.6≧y/(1−x)の場合には、化合物A’の水溶性両性型共重合体への反応割合が極端に低下するし、またy/(1−x)≧1.4である場合には高分子量化、さらにはゲル化してしまう。
【0061】
『両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤を配合した各化粧料の製造と評価』
実施例11 分散性能(その1:クレー分散能試験)
本発明品に無機化合物に対する分散性能を確認するため、無機化合物として、二酸化珪素、酸化鉄、酸化アルミニウムを含む無機粉体(JIS試験用粉体I 11種、日本粉体工業技術協会製)を用い、以下の方法で分散性能の評価を行った。
【表6】

【0062】
<評価>
(3)のクレー分散能判定溶液全量を内容量30mlの蓋付き試験管に移し入れ、蓋をし、20秒間激しく振る。この操作を上下交互に20回繰り返す。直射日光の当たらないところに20時間静置した後、上澄みをホールピペットで5ml採取し、波長380nmにおける吸光度を測定し、その値をクレー分散能とした。すなわち、吸光度が大きな値を示すほど、透過性が悪いことを示し、クレーが均一に分散していることを示すこととなる。
実施例1〜10で得た、実施例番号1〜10及び比較例1〜6で得た、比較例番号1〜6を含むクレー分散能判定溶液、及びブランクとして、化粧料用分散剤として水溶性両性共重合体を含まない判定溶液の吸光度を測定した。結果を表7に示した。さらに、各々のクレー分散能判定溶液の外観を目視にて分散状態を観察し、以下の判定方法により評価した。
尚、比較例5及び6で得た比較例番号5及び6は、得られた重合物の状態がゲル状であるため、本評価を実施できず。
(分散状態評価基準)
均一に分散 :○
一部凝集 :△
沈降粒子有り:×
【0063】
表7の結果から、本発明の水溶性両性重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤のクレー分散性能が良好であることが確認された。よって、各種無機化合物を配合した化粧料組成物の分散・安定性の改善が期待できる。
【0064】
【表7】

【0065】
実施例12 分散性能(その2、粘度低減効果)
<評価>
各種無機化合物に対する本発明品の分散性能を確認するため表8に示す本発明品と非分散物(各種無機化合物)及び水との懸濁液を調製し、その時の粘度を測定した。測定値を表8中に示した。
【0066】
表8の結果から、本発明の分散剤が各種無機化合物に対し、分散性能(粘度低減効果)の点で優れていることが確認された。また、本発明の分散剤を構成する単量体の一つである、ポリアルキレングリコール系単量体を鎖長の異なる2種類のポリアルキレングリコール系単量体にすることで、被分散物質の種類に関係なくより良好な粘度低減効果、または分散剤の使用量低減化が確認された。よって、本発明品は化粧料組成物に配合される顔料、紫外線防御剤、皮脂吸収粉体などの複合粉体、懸濁剤、抗菌剤、抗フケ剤等の無機化合物等の分散・安定性の改善が期待できる。
【0067】
【表8】

【0068】
以下に本発明品よって得られる分散性能を、剤型の異なる化粧料組成物それぞれにおいてさらに確認した。
【0069】
毛髪処理組成物
実施例13
表9に示す、抗フケ剤(ジンクピリチオン)を含む組成の毛髪処理組成物を調製し、これを40℃で2週間保存した後、分散安定性を目視により評価した。表9中に示した。尚、毛髪処理剤組成物の調製方法及び評価基準は以下の通りである。
【0070】
<調製>
13−a
実施例1、3及び7で得た実施例番号1、3及び7の本発明品を用いて、表9の(A)に示した組成の毛髪処理組成物を調製した。表9中の(A)の成分(11)の一部を65℃に加熱し、攪拌しながら成分(4)をゆっくり加えながら溶解させ、溶解を確認した後、成分(5)〜(10)を加え均一に混合・溶解したものに、表9中の成分(3)を(1)の水溶液に分散させたものを攪拌滴下し、評価用の毛髪処理組成物した。
【0071】
(比較品の調製)
13−b
比較例2及び3で得た比較例番号2及び3の比較品を用いて、表9の(B)に示した組成の毛髪処理組成物を調製した。表9中の(B)の成分(11)の一部を65℃に加熱し、攪拌しながら成分(4)をゆっくり加えながら溶解させ、溶解を確認した後、成分(5)〜(10)を加え均一に混合・溶解したものに、表9中の成分(3)を(2)の水溶液に分散させたものを攪拌滴下し、評価用の毛髪処理組成物した。
【0072】
(比較品の調製)
水溶性両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤を含まない、表9の(C)に示した組成の毛髪処理組成物を調製した。表9中の(C)の成分(11)の一部を65℃に加熱し、攪拌しながら成分(4)をゆっくり加えながら溶解させ、溶解を確認した後、成分(5)〜(10)を加え均一に混合・溶解したものに、表9中の成分(3)を(11)の残りに分散させたものを攪拌滴下し、評価用の毛髪処理組成物した。
【0073】
<評価基準>
○:均一に分散
△:一部凝集、沈降
×:分離
【0074】
【表9】

【0075】
表9の結果から、本発明の水溶性両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤は、水不溶性微粉体である抗フケ剤(ジンクピリチオン)の分散安定性に優れている。
【0076】
実施例18 アフターシャンプー用乳化頭皮・毛髪処理組成物
表10の本発明品含むアフターシャンプー用乳化頭皮・毛髪処理組成物を常法により調製し、これを40℃で2週間保存した後、分散安定性を目視により評価した。評価基準は実施例13の評価基準に準じて評価を行い表10中に示した。
【0077】
【表10】

【0078】
スキンケア化粧料
実施例14
表11の本発明品を含むスキンケア化粧料を調製し、これを40℃で2週間保存した後、分散安定性を目視により評価した。さらに、10名のテスターにより使用時の感触(塗布のしやすさ)について評価を実施した。結果を表11中に示した。尚、スキンケア化粧料の調製方法及び評価基準は以下の通りである。
【0079】
<調製>
表11中の成分(9)に(4)を溶解した後、成分(5)、(6)を分散させた分散液に、予め成分(1)〜(3)を均一に混合した後、成分(7)、(8)を添加溶解したエタノール溶液を滴下混合し、目的の化粧料組成物を得た。
【0080】
<評価基準>
分散安定性
○:均一に分散
△:一部凝集、沈降
×:分離
使用時の感触(塗布のしやすさ)
○:塗布しやすいが8名以上
△:塗布しやすいが5名以上8名未満
×:塗布しやすいが5名以下
【0081】
【表11】

【0082】
表11の結果より、本発明の両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤は、分散安定性を改善すると共に、分散時の系の粘度上昇を抑え、塗布時の使用感を良好なものとすることが確認された。
【0083】
実施例17 日焼け止め化粧料
表12の本発明品含む日焼け止め化粧料を常法により調製し、これを40℃で2週間保存した後、分散安定性を目視により評価した。評価基準は実施例13の評価基準に準じて評価を行い表12中に示した。
【0084】
【表12】

【0085】
メークアップ化粧料
実施例15 ファンデーション
表13の本発明品含む乳化ファンデーションを常法により調製し、これを40℃で2週間保存した後、分散安定性を目視により評価した。評価基準は実施例13の評価基準に準じて評価を行い表13中に示した。
【0086】
【表13】

【0087】
アイメークアップ化粧料
実施例16 マスカラ
表14の本発明品含む水系マスカラを常法により調製し、これを40℃で2週間保存した後、分散安定性を目視により評価した。評価基準は実施例13の評価基準に準じて評価を行い表14中に示した。
【0088】
【表14】

【0089】
実施例19 入浴剤
表15の本発明品含む入浴剤を常法により調製し、これを40℃で2週間保存した後、分散安定性を目視により評価した。評価基準は実施例13の評価基準に準じて評価を行い表15中に示した。
【0090】
【表15】

【0091】
以下に、本発明の化粧料用分散剤によって得られる、分散安定性及び減粘効果等を利用した、毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物等の配合例を示す。
【表16】

【0092】
【表17】

【0093】
【表18】

【0094】
【表19】

【0095】
【表20】

【0096】
【表21】

【0097】
【表22】

【0098】
配合例1〜7で製造した、剤型の異なる各化粧料組成物において分散安定性を確認した結果、各々安定性に優れるものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキレンポリアミン1.0モルと、二塩基酸または二塩基酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル0.5〜0.95モル(=xモル)と、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはアクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステル0.05〜0.70モル(=yモル)を縮合させたポリアマイドポリアミンのアミノ残基1当量に対して、炭素原子数2ないし4のアルキレンオキサイド0〜8モルを付加させた少なくとも1種の化合物(化合物A)と、
一般式(1)
【化1】

(式中、R1は水素原子またはメチル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基またはアルカノールアンモニウム基を表す)
で表される少なくとも1種の化合物(化合物B)と、
一般式(2)
【化2】

(式中、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を表し、R4は水素原子または炭素原子数1ないし24のアルキル基を表し、そしてmは1〜100の平均付加モル数を表す)
で表される少なくとも1種の化合物(化合物C)とを、主な単量体成分とし共重合し得られる両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む化粧料用分散剤。
【請求項2】
前記共重合体においてその割合が化合物A:化合物B:化合物C=5〜85質量%:5〜85質量%:5〜85質量%で合計が100質量%になるように共重合させた両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩である請求項1記載の化粧料用分散剤。
【請求項3】
請求項1記載の化合物Cのポリアルキレングリコール系単量体が、一般式(3)で表される少なくとも1種の化合物(化合物C1)と一般式(4)で表される少なくとも1種の化合物(化合物C2)とからなるポリアルキレングリコール系単量体の少なくとも2種以上の混合物であるところの両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩を含む、請求項1記載の化粧料用分散剤。
【化3】

(式中、R2は水素原子またはメチル基を表し、R3は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を表し、R4は水素原子または炭素原子数1ないし24のアルキル基を表し、そしてnは1〜35の平均付加モル数を表す)
【化4】

(式中、R5は水素原子またはメチル基を表し、R6は炭素原子数2ないし4のアルキレン基を表し、R7は水素原子または炭素原子数1ないし24のアルキル基を表し、そしてqは40〜100の平均付加モル数を表す)
【請求項4】
前記共重合体においてその割合が化合物A:化合物B:化合物C1:化合物C2=5〜85質量%:5〜85質量%:5〜85質量%:5〜85質量%で合計が100質量%になるように共重合させた両性型共重合体、またはその部分中和、完全中和塩である請求項3記載の化粧料用分散剤。
【請求項5】
前記化合物Aにおいて、二塩基酸または二塩基酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステルのモル数(=xモル)と、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはアクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素原子数1ないし4の低級アルコールとのエステルのモル数(=yモル)が次式
0.6<y/(1−x)<1.4
で示される関係にあることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の化粧料用分散剤。
【請求項6】
前記両性型共重合体が水溶性である請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の化粧料用分散剤。
【請求項7】
前記両性型共重合体が水溶性である請求項5記載の化粧料用分散剤。
【請求項8】
請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の化粧料用分散剤を含有することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項9】
請求項5記載の化粧料用分散剤を含有することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項10】
請求項6記載の化粧料用分散剤を含有することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項11】
請求項7記載の化粧料用分散剤を含有することを特徴とする化粧料組成物。


【国際公開番号】WO2005/072685
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【発行日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517534(P2005−517534)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001270
【国際出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】