説明

化粧料用塗布具

【課題】キャップ着脱時にブラシ毛がバラケない化粧料用塗布具を提供する。
【解決手段】塗布具1は、先端にブラシ2を保持するブラシ保持部18を設けた塗布具本体4と、この塗布具本体4と螺旋3,5により着脱する筒状のキャップ6とからなり、前記キャップ6は、内部に塗布液を収容する塗布液収容部7と、キャップ6内側に回転可能に設け、ブラシ2の先端部の移動をガイドするテーパー状内面8を設けた筒状のガイド部材9と、このガイド部材9と一体に設けたワイパー部材11とを設けてなり、塗布具本体4のブラシ保持部18とキャップ6のガイド部材9には、塗布具本体4の挿入方向にはフリー状態で、回転方向には連動するように係合部を設けてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラメ入り液状化粧料などの粘度の高い化粧料を塗布するためのアイライナーなどのブラシを有する化粧料用塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の化粧料用塗布具には、先端に化粧筆(ブラシ)を設けた塗布部材を有するキャップと、口部を有し内部に液状化粧料を収納する容器とからなるものがある(特許文献1参照)。前記塗布部材は、その化粧筆を口部から容器内に挿入した状態で前記口部を閉塞可能に構成し、前記口部には、化粧筆に付着した余分の液状化粧料を扱いて落とすための払拭部材(ワイパー)を設けてある
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−238741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の化粧料用塗布具は、ブラシを口部から容器内に挿入する際に、ブラシの先端部がワイパーに強く接触してブラシ毛の形状が乱れ、毛先がばらつくので、細い線が引きにくいという不都合がある。
【0005】
本発明は、上記不都合を解消することを課題とし、該課題を解決した化粧料用塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に係る本発明の化粧料用塗布具は、先端にブラシを保持するブラシ保持部を設けた塗布具本体と、一端を開放し他端を閉塞し、前記塗布具本体のブラシ側を前記開放端から挿入し、前記塗布具本体に螺旋により着脱可能に、かつ互いの中心線が一致するように装着し得る筒状のキャップとからなり、前記キャップは、内部に塗布液を収容する塗布液収容部と、この塗布液収容部より前記開放端側に位置してキャップの中心線を中心に回転可能に設け、前記塗布具本体が挿入される際にブラシ先端部をガイドするためのテーパー面を設けた筒状のガイド部材と、このガイド部材の前記塗布液収容部側に位置して前記ガイド部材と一体的に設け、ブラシ先端部をガイドするためのテーパー面を有するとともに、前記ブラシ先端部が挿入し得るワイパー孔を有するワイパー部材とを備え、前記塗布具本体のブラシ保持部と、前記キャップのガイド部材には、前記塗布具本体の挿入方向にはフリー状態で、回転方向には連動するよう係合部を設けてなるものである。
【0007】
また、請求項2に係る本発明の化粧料用塗布具は、前記請求項1に係る発明の構成を備えたうえ、係合部は、塗布具本体とキャップの中心線方向に伸びる複数の係合突縁で構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る本発明によれば、キャップと塗布具本体の着脱時に、螺合あるいは螺合を解くためにキャップに対して塗布具本体を回転した際、キャップ側と塗布具側の係合突部が係合し、ブラシがガイド部材及びワイパー部材と一緒に回転するので、ブラシはガイド部材及びワイパー部材と接触しても、回転力が付与されないのでねじれることがなく、キャップと塗布具本体との着脱時に、ブラシ毛がばらけないという効果を奏する。
【0009】
また、請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明の奏する効果に加えて、係合部を塗布具本体とキャップの中心線方向に伸びる複数の係合突縁で構成したので、ブラシ保持部とガイド部材とを確実に一緒に回転することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は塗布具の縦断正面図。
【図2】図2はキャップに塗布具本体に挿し込む前の状態を部分的に示す正面図。
【図3】図3は図2のA−A線拡大断面図。
【図4】図4は図2のB−B線拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面の図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、塗布具1は、先端にブラシ2を設け、先端小径部の外周に雄螺旋3を設けた塗布具本体4と、一端を開放する一方他端を閉塞し、前記雄螺旋3に螺合し得る雌螺旋5を前記開放端近傍の内周に設けた筒状のキャップ6とからなり、前記塗布具本体4と前記キャップ6は雌雄螺旋3,5により着脱可能である。そして、前記塗布具本体4と前記キャップ6の装着状態においては、互いの中心線は一致する。
【0013】
図1及び図4に示すように、前記キャップ6は、内部に塗布液(図示せず)を収容する塗布液収容部7と、この塗布液収容部7より前記開放端側に位置してキャップ6の中心線を中心に回転するように設け、開放端側から塗布液収容部7側に向って徐々に内径が縮小するテーパー状内面8を有する筒状のガイド部材9と、このガイド部材9の前記塗布液収容部7側に位置して前記ガイド部材9と緊密に接合することで一体的に設け、前記テーパー状内面8に連続するテーパー状内面24を有し、塗布液収容部7の前記開放端側を閉塞するとともに前記ブラシ2先端が挿通し得る三角形のワイパー孔10を先端に有するワイパー部材11とを備える。前記テーパー状内面8には、所定間隔をおいてブラシ2の挿入方向に伸びる複数の係合突縁12を突設する。
【0014】
図1及び図4に示すように、前記ガイド部材9は、キャップ6の中心線の周りを回転可能となるようにキャップ6内に嵌挿されたものである。このガイド部材9は、弾発スプリング13の一端に当接してキャップ6の開放端側に付勢される一方、その開放端側は、前記キャップ6内周に設けた段部14に係止している。前記弾発スプリング13の他端は、キャップ6の閉塞端を形成する閉塞体15の固定筒15a内端に支持されている。なお、図1中の符号16は、前記キャップ6とガイド部材9間から塗布液が漏洩するのを防ぐための密閉リングである。
【0015】
図1〜図3に示すように、塗布具本体4は、その先端に前記ブラシ2を保持するとともに、前記キャップ6のガイド部材9のテーパー状内面8に対応するような、塗布具本体4の先端に向ってその外径を徐々に縮小するテーパー状外面17を有するブラシ保持部18を設ける。前記テーパー状外面17には、前記キャップ6の各係合突縁12間に入り込み、これらに係合するための複数の係合突縁19を突設する。前記係合突縁12,19が係合部を構成する。そして、キャップ6と塗布具本体4との装着時には、前記各係合突縁12は前記テーパー状外面17に、また前記各係合突縁19は前記テーパー状内面6に近接した状態となる。さらに、前記キャップ6のガイド部材9のテーパー状内面8と、前記塗布具本4のブラシ保持部18のテーパー状外面17とは、複数の係合突縁12間に、複数の係合突縁19が対応位置して互いの中心線方向に移動可能なので、前記キャップ6への前記塗布具本体4の挿入は阻止されない。一方、塗布具本体4をキャップ6の中心線を中心に回転する際、すなわち、塗布具本体4とキャップ6とを螺合する際には、両係合突縁12,19どうしが係合するので、キャップ6のガイド部材9及びワイパー部材11が塗布具本体4とともに回転するのである。
【0016】
図1に示すように、前記塗布液収容部7内には、金属製の攪拌ボール20が移動可能に入っている。この攪拌ボール20は、塗布具1を振って移動させることによって塗布液収容部7内に収容された塗布液であるラメ入り液状化粧料などの粘度の高い化粧料を掻き混ぜて均一化するためのものである。
【0017】
図1に示すように、ガイド部材9には、前記ワイパー部材11の塗布液収容部7側に、ワイパー孔10から突出したブラシ2先端部に攪拌ボール20が当たって、これがばらけたり傷つくのを防ぐとともに、攪拌ボール20の移動を阻止するための保護部材21を一体的に設ける。この保護部材21は、前記ガイド部材9内壁に密接する円筒状の周壁を有し、ガイド部材9とともに回転する一方、中央に前記攪拌ボール20より小径で、かつ塗布液を内側の液溜22に通過させ得るようになした塗布液通過孔23aを設けた仕切板23を有する。なお、前記攪拌ボール20は、仕切板23から突出するブラシ2の最先端部分に当たって、この最終端部分が塗布液で凝固するのを防ぐとともに、塗布液が中心部まで侵入するようにする。
【0018】
図1及び図4に示すように、前記ワイパー部材11は、前記保護部材21の前記液溜22側に隣接するよう配置してあり、ワイパー孔10を先端に有し、他端が前述のガイド部材9のテーパー状内面8に連続するテーパー状内面24を有する。そして、このワイパー部材11は、柔軟性をもつシリコン材で構成される。また、前記ワイパー部材11は、前記保護部材21の前記液溜22を閉塞するように配置されるとともに、その先端のワイパー孔10は、保護部材21の液溜22内に位置する。
【0019】
以上のように構成した塗布具1の使用態様を以下に説明する。先ず、キャップ装着状態(螺合状態)において、塗布具1の天地を入れ替え、塗布液収容部7内で攪拌ボール20を移動させることによって、前記塗布液収容部7内の塗布液(図示せず)は掻き混ぜられ、ラメが塗布液中で均等に分布する。なお、前記塗布液収容部7内で移動する攪拌ボール20は、保護部材21の塗布液通過孔23aより径が大きいので、保護部材21の液溜22には入ることがない。一方、塗布液収容部7に充填した塗布液は、前記塗布液通過孔23aを通って保護部材21の液留22に入り込んだ状態となっており、ブラシ2先端部が液溜22内の塗布液に浸った状態となり、該ブラシ2先端部に塗布液が付着する。使用者は、キャップ2を外し、塗布液が付着したブラシ2を使ってアイラインを引くことができる。この際、後述するように、ブラシ2先端部がばらけることがないので、細い線を引くことができる。
【0020】
続いて、化粧終了後、塗布具本体4先端のブラシ2をキャップ6内にその開放端から挿入する際には、キャップ6側の複数の係合突縁12間に、塗布具本体4側の複数の係合突縁19を対応させ、雌螺旋5に雄螺旋3が達するまで挿し込む。次いで、塗布具本体4をキャップ6の中心線を中心に回転すると両係合突縁12,19どうしが係合して、キャップ6のガイド部材9、ワイパー部材11及び保護部材21が塗布具本体4とともに回転する。このようにキャップ6のガイド部材9及びワイパー部材11が塗布具本体4と一緒に回転すると、ブラシ2はガイド部材9及びワイパー部材11に接触しても、ねじれることなく進むので、ブラシ毛はばらけず、ブラシ2の先端部はワイパー孔10に導かれる。さらに、前記ワイパー部材11は柔軟材料であるシリコンで構成されているので、テーパー状内面24でブラシ2の先端部が当接しても、テーパー状内面24が変形してブラシ2の先端部に力が加わりにくい。前記螺合が完了すると、ブラシ2の先端部は、塗布液通過孔23aを挿通した状態で、その最先端は保護部材21の液溜22内に位置し、新たに塗布液が付着する。
【0021】
なお、本発明は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、例えば、適用する塗布液はアイライン用ではなく、他の化粧料であってもよい。また。係合突縁12,19は、複数ではなく単数であってもよい。さらに、保護部材21はガイド部材9と一体的に設けなくてもよく、この場合は保護部材21はガイド部材9とともに回転することはない。
【符号の説明】
【0022】
1 塗布具
2 ブラシ
3 雄螺旋
4 塗布具本体
5 雌螺旋
6 キャップ
7 塗布液収容部
8 テーパー状内面
9 ガイド部材
10 ワイパー孔
11 ワイパー部材
12 係合突縁
13 弾発スプリング
14 段部
15 閉塞体
15a 固定筒
16 密閉リング
17 テーパー状外面
18 ブラシ保持部
19 係合突縁
20 攪拌ボール
21 保護部材
22 液溜
23 仕切板
23a 塗布液通過孔
24 テーパー状内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にブラシを保持するブラシ保持部を設けた塗布具本体と、一端を開放し他端を閉塞し、前記塗布具本体のブラシ側を前記開放端から挿入し、前記塗布具本体に螺旋により着脱可能に、かつ互いの中心線が一致するように装着し得る筒状のキャップとからなり、前記キャップは、内部に塗布液を収容する塗布液収容部と、この塗布液収容部より前記開放端側に位置してキャップの中心線を中心に回転可能に設け、前記塗布具本体が挿入される際にブラシ先端部をガイドするためのテーパー面を設けた筒状のガイド部材と、このガイド部材の前記塗布液収容部側に位置して前記ガイド部材と一体的に設け、ブラシ先端部をガイドするためのテーパー面を有するとともに、前記ブラシ先端部が挿入し得るワイパー孔を有するワイパー部材とを備え、前記塗布具本体のブラシ保持部と、前記キャップのガイド部材には、前記塗布具本体の挿入方向にはフリー状態で、回転方向には連動するよう係合部を設けてなる化粧料用塗布具。
【請求項2】
係合部は、塗布具本体とキャップの中心線方向に伸びる複数の係合突縁で構成したことを特徴とする請求項1記載の化粧料用塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−200923(P2010−200923A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48634(P2009−48634)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(392020428)株式会社矢板製作所 (9)