説明

化粧料的に又は医薬的に活性な化合物を与えられている多孔性粒子

【課題】個別化された多孔性粒子の提供。
【解決手段】個別化された多孔性粒子であって、10μm以下の体積平均直径、及び1m2/g以上の比表面積を有すること及び、該粒子の内部に少なくとも存在するところの、少なくとも1の化粧料的に又は医薬的に活性な化合物を含むことを特徴とする粒子。上記粒子は、改善された有効性をもって少なくとも1の活性化合物を輸送し、それを毛嚢脂腺で放出することができ、特に、毛嚢脂腺単位における前記活性な化合物を輸送し放出するためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、10μm以下の体積平均直径を有し、かつ少なくとも1の化粧料的に又は医薬的に活性な化合物を含む個別化された(individualized)多孔性粒子、及び特に毛嚢脂腺単位における前記活性な化合物を輸送し放出するためのそれらの使用に関する。
【0002】
種類が化粧料であれ、あるいは医薬であれ、局所塗布のための配合物の有効性を高めるため、皮膚の表面層を形成する角質層へ該活性分子の浸透を改善することを目的とする幾つかの方法が既に提案された。これらの方法の例として、これらの活性分子のための輸送手段としてリポソーム、ナノカプセル、O/Wエマルジョン、短いアルコール、グリコール等の利用が挙げられる。
【0003】
毛嚢脂腺単位は、角質層、表皮、及び真皮内において毛嚢及び脂腺を含む鞘(invagination)を形成する。皮膚の外観に大きな影響を及ぼすのは重要な生物学的及び酵素的活性のある部位である。これらの影響の中で、例えば皮膚の油性または乾燥性への皮脂の生産の影響が挙げられ、また体毛あるいは頭髪の成長又は成長の欠損、あるいは皮膚の多毛性(pilosity)に対する影響が挙げられ得る。毛嚢脂腺単位は抗炎症プロセスの課題でもまたあり得る。そのようなプロセスは様々な原因を有する可能性があり、特に微生物の存在に関連され得る。このプロセスは幾つかの皮膚の状態、例えばニキビの発現をもたらす、又は貢献する可能性がある。その上、毛嚢脂腺単位は深い皮膚組織に作用することを意図された剤、例えば深い抗しわ剤のタイプ、痩身剤のタイプの潜在的な通路を構成する。
【0004】
毛の存在による形態学及び皮脂の連続的な流れによる生理学の両方による、この毛嚢脂腺単位の構造は、当然この構造の深い所の中における、あるいはその中への活性物質の浸透及び/又は拡散を妨害する。
【背景技術】
【0005】
しかし、毛嚢脂腺単位への活性物質をターゲットとする方法は既に提案されている。
【0006】
従って、欧州特許出願公開第0375520号は活性生成物を毛嚢脂腺単位へ好適に輸送するため、少なくとも1の活性剤を与えられた天然又は合成のポリマー、又は50℃より上の融点を有する脂肪質物質の微小球の使用を記載する(これらの微小球の少なくとも80重量%は、直径が3μm〜10μmである)。その出願に記載された微小球は架橋された物質からなる微小球であるか、あるいはその構成物質の部分的可溶化により与えられている中実微小球のいずれかであり、該微小球は1m2/g未満の比表面積を有する。その上、該書類に記載された微小球を製造するための方法は、微小球を作り上げる物質に対して十分な親和性を有する溶媒によるか、あるいは“乳化−気化”法のいずれかによる活性化合物のカプセル化を含み、得られる微小球の均一性のおよその制御を許すのみであり、その結果、活性化合物を与える低い容量以外に、この容量のばらつき、及び毛嚢脂腺単位において活性化合物を放出するその能力のばらつきをもたらす。
【0007】
国際特許出願公開第02/07674号は、毛嚢中へと導入され、そこで続いて膨潤剤と接触されることにより膨潤し、その結果そこで毛嚢への通路を作りだす性質を有する微小球又はリポソームの形における組成物を使用して、毛嚢脂腺単位への活性化合物の浸透を増加させる方法を提案する。しかし、国際特許出願公開第02/07674号は提案された方法を説明する具体的な実施例をなんら提供せず、従ってその有効性を確認することを可能としない。
【0008】
米国特許第6287549号は、発色剤を毛嚢脂腺単位に輸送するため、発色剤を与えられている有機微粒子(微粒子の少なくとも80重量%は大きさが3〜10μmである)を含む、組成物を用いる脱毛の方法を記載する。これらの微粒子は様々なタイプのものであり得、それらが生成されるときに発色団を与えられるかあるいは既に形成されたマイクロカプセルの含浸により与えられ得る。これらの微粒子において、輸送される化合物はそのままでは活性な化合物ではない。なぜならそれらは効果を発揮することができるために外部因子の介入を必要とするからである。その上、この効果の発揮は微粒子からのそれらの放出を要求しない。さらに、該書類は、微粒子からのそれらの放出を許すため、発色団の可溶化のための組成物の使用の任意的な段階を明らかに与えるが、受動的な放出の可能性を示唆せず、これに反する予め考えられるアイディアの存在を示すことすらしない。
【0009】
米国特許4690825は、活性成分の制御された放出のための、10〜100μmのサイズの多孔性粒子からなる媒体について記載する。これらの粒子は、やはり活性成分であるポロゲンの存在下、スチレン又はビニルステアレート及びジビニルベンゼン、又はメタクリル酸メチル及びエチレングリコールジメチルメタクリレートに基づくモノマーの共重合化により製造される。従って、得られる生成物がそれを製造するためのプロセスからの残渣を含む可能性があり、それはその無害性に影響を及ぼしそうである。
【0010】
国際特許出願公開第99/53904号はオイル性の懸濁物又はシリコーン/ポリエチレングリコールエマルジョン及び上に述べられた特に米国特許4690825号に従って製造された球形の多孔性微粒子を含むソフトカプセルについて記載する。より詳細には、この出願は20μmの重量平均粒子直径を有し、レチノール又はアスコルビン酸を与えられている多孔性微粒子について記載する。
【0011】
最後に、米国特許第6387995号は、0.02〜0.1g/cm3の範囲の体積当たりの非常に低い質量を有し、親水性化合物を捕捉できる凝集された、即ち個別化されていない微粒子の形の吸着ポリマーを製造する方法を記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
上で議論された実施態様に比較して、改善された有効性をもって少なくとも1の活性化合物を輸送し、それを毛嚢脂腺で放出することができることが今見出された。その手段は、今日まで提案された解決手段に比較して、同時に特に満足できる無害性を示しながら、活性化合物のカプセル化を改善することもまたできることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の、トリクロサンを含むシリカ粒子からなる電子顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の特徴に従って、本発明は10μm以下の体積平均直径及び1m2/g以上の比表面積を有する個別化された多孔性粒子であって、該粒子の内部に少なくとも存在するところの、少なくとも1の化粧料的又は医薬的に活性な化合物を含む多孔性粒子に関する。
【0015】
第2の特徴に従って、本発明は上で定義された粒子を含む化粧料的又は医薬的な組成物に関する。
【0016】
表現“多孔性粒子”は孔を含む構造を有する粒子を意味する。この多孔性構造は少なくとも部分的に、1以上の活性剤の該粒子への取り込みを許す。
【0017】
この構造は行列、例えばスポンジのタイプであり得る。それはベシクルのタイプでもまたあり得、すなわち該粒子は多孔性の壁により境界を画された内部の空洞を有する。
【0018】
粒子のサイズと関連する多孔性はその比表面積により定量的に特徴付けられる。本発明の多孔性粒子はBET法に従って測定されて、1m2/g以上の比表面積を有する。
【0019】
表現“個別化された粒子”は、集合体又は凝集物の形で集合化されていない粒子を意味する。これらの粒子は特に0.15g/cm3以上、特に0.2〜5g/cm3の範囲の体積当たりの質量を有する。
【0020】
表現“化粧的に又は医薬的に活性な化合物”は、本発明の文脈の中ではそれ自身、すなわちそれを活性化するための外部の剤の関与を要求しないで生物学的活性を有する化合物を意味することを意図される。その上、この活性は該化合物がそのターゲットと直接接触されることを必要とする。
【0021】
本発明に従って使用される粒子は、前もって形成された多孔性粒子、即ちカプセル化されるべき化合物の不在において形成された粒子から由来する。
【0022】
本発明の目的のため、表現“与えられている粒子”とは、それが由来し、活性化合物を含まないところの粒子材料からそれらを区別するようなやり方で、本発明の粒子を意味するために以後使用される。
【0023】
従って、本発明の与えられている粒子は、それが由来するところの粒子を製造するための方法に関する残渣を実質的に含まず、そのことはもちろん、活性化合物を与えるためにその存在下形成されなければならない粒子に比較して無害性の点で改善を構成する。さらに、それらは中実ではない。
【0024】
本発明の粒子は、BETにより測定された高い比表面積を特に特徴とする。
【0025】
BET(BRUNAUER−EMMET−TELLER)法は当業者に周知の方法である。それは特に“he Journal of the American Chemical Society”、第60巻、309ページ、2月号、1938年に記載され、国際標準ISO5794/1(付録D)に対応する。BET法に従って測定された比表面積は合計比表面積に対応し、即ちそれは孔により形成された表面積を含む。
【0026】
特定の実施態様に従って本発明の粒子は、BETにより測定されて2.5〜1000m2/gの範囲、特に3〜750m2/gの範囲、より特に300m2/g以上、あるいは500m2/g以上さえの比表面積を有する。
【0027】
上に述べられたように、本発明の粒子は10μm以上の体積平均直径を有する。
【0028】
実際、そのような粒子は機械的な力の施与による脂肪分泌毛嚢に浸透することができる。この機械的な力は一般的にはマッサージから来るのであり、マッサージはそれが及ぼす押すこと以外にポンプ効果を小胞に与える。
【0029】
粒子はこのようにゆっくりと毛嚢導管(follicle canal)に到達し、そこでそれらが運搬している活性化合物は拡散し、そして恐らく毛嚢導管を取り囲む組織に到達することができる。一方、担体、それは粒子を構成する、は皮脂の流れ及び/又は体毛の成長により捨てられ、その結果、粒子を構成する中実化合物に関して微生物による不利な反応はどれも避けることを可能にする。
【0030】
10μmより大きい直径を有する粒子は、同様の機械的力の施与によってもなお、皮膚に浸透せずにほとんど皮膚の表面の上に残り、従って角質化された層の上でのみ活性化合物を放出することができることが注目されるべきである。
【0031】
本発明の特定の実施態様に従って、0.1μm以上、特に0.5〜8μmの体積平均直径を有する。
【0032】
本発明に従って使用される粒子は特に多孔性の球形粒子であり、0.1〜50μm、特に0.1〜20μm、最も特に0.5〜10μmの範囲をとり得る数平均サイズを有する。
【0033】
表現“数平均サイズ”とは、母集団の半分に対する統計的平均粒子サイズにより与えられるサイズ、D50と呼ばれる、を意味する。
【0034】
本発明の変形により、粒子はその粒子サイズの均一性により特徴付けられる。特に、それらは1〜4の範囲、特に3以下の分散度、PIを有する。この分散度はD(4.3)/D(3.2)の比として定義され、ここでD(4.3)は体積平均直径を意味し、D(3.2)は表面平均直径を意味する。これらの2つの値は通常レーザー回折式粒子サイズ測定装置、例えばMALVERN社により“Mastersizer 2000”の名前で販売されている装置を用いて測定される。
【0035】
本発明の多孔性粒子は、様々な形、特に球形(globular)、そして特に実施的に球形(spherical)
を有し得る。
【0036】
本発明の与えられている粒子が由来するところの多孔性粒子は、特に可溶化及び可塑化に関して、特にこれが含浸のための有機溶媒を含むとき、活性化合物をカプセル化する方法に完全に反応しない物質からなる。
【0037】
これらの粒子は、有機、無機又は混合タイプであり得、最も一般的には、特に低い揮発性を有する粉末の形で提供される。
【0038】
有機タイプの多孔性粒子として、例として、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン12、又はナイロン6−12の粒子、例えばATOFINA社により “Orgasol”の一般名で販売されているもの、及びポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の粒子、例えばWAKER社により“Covabead(商標)”の名前で販売されているものが挙げられる。
【0039】
本発明の特定の実施態様において、使用される粒子は上に記載されたナイロン粒子から選択される。
【0040】
本発明の変形に従うと、本発明の粒子は無機質である。
【0041】
本発明に従う粒子において使用されることができる無機物質の例として、シリカ、アルミナ−シリカ、ハイドロキシアパタイト、2酸化チタン、セリサイト、マイカ、炭酸マグネシウム又は炭酸水素マグネシウム、アルミナタイプの酸化アルミニウム、及び混合ケイ酸塩、例えばアルミノシリケート及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0042】
本発明に適し得る多孔性の鉱物粒子の中で、中空のシリカ微小球、多孔性シリカ微小球及びガラス又はセラミックのマイクロカプセルが挙げられ得る。
【0043】
特に、本発明に適する多孔性の鉱物粒子は
− シリカ粒子例えばアサヒガラスにより“サンスフィアHシリーズ”の名前で販売されるもの、及び鈴木油脂により“ゴッドボール”の名前で販売されるもの、
− ハイドロキシアパタイト粒子、例えばMERCK社により販売されるもの(製品番号1051990010、平均粒子サイズ15μm)、さもなければLABORATORY SKIN CARE又はアサヒガラス及びセキスイによりそれぞれ“ヒドロキシゾーム”(LSC及びアサヒガラス)、AP20C及びAP12C(セキスイ)の名前で販売されるもの、及びセキスイプラスチック社による“ASP(商標)”
− アルミナ−シリカ粒子、例えば3Mにより“Zeeosphere(商標)”の名前で販売されるもの
− 酸化チタン粒子、例えば石原産業により販売されるもの
− これらの鉱物の混合物からなる粒子
から選択されることができる。
【0044】
本発明の実施態様において、使用される粒子は特にシリカ粒子及びハイドロキシアパタイト粒子から選択される。
【0045】
本発明において使用される多孔性粒子もまた有機及び無機複合物質から成る可能性がある。
【0046】
本発明に従う与えられている粒子は、少なくとも1の化粧料的又は医薬的に活性な化合物を含み、該化合物は少なくとも該粒子の中に存在する。活性化合物は与えられている粒子の表面上のもまた存在することができるが、そのような場合、それは一般的には大体該粒子の中に存在する。
【0047】
活性化合物:活性化合物を与えられていない多孔性粒子の重量比は一般的に1/1000〜10/1、特に1/100〜1/1である。
【0048】
使用される活性剤は、当業者に周知の化合物であり得る。それらは一般的に化粧料又は皮膚科学の分野で一般的である活性剤である。
【0049】
活性化合物は親水性又は親油性であり得る。本発明の特定の変形に従うと、該与えられている粒子は少なくとも1の親油性活性化合物を含む。それらは少なくとも1の親水性活性化合物をもまた含むことができ、後者は、その放出を許す皮脂中に存在する両親媒性化合物により十分に可溶化されることが可能である。
【0050】
以降考慮される活性化合物は、区別なく、親水性又は親油性である。
【0051】
活性化合物の中で、特に以下のものが挙げられ得る。
− 抗生剤、例えばトリクロサン、IPBC(ヨウ化−3−プロピニル−2−ブチルカーバメート)、ベンズアルコニウムクロライド、クロロヘキシジン、トタロール(商標)(トタラ−8,11,13−トリエン−13−オールを含む植物抽出物)等、
− 抗菌剤、例えばピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、クリムバゾール、リロピロックス、ケトコナゾール、イトラコナゾール等、
− 皮脂調節剤、例えばイミノジベンジル又は米国特許第6355687号に記載されるフルオレン誘導体、米国特許第6355686号に記載される置換された2級アミン誘導体、欧州特許出願公開第1219296号に記載されるグルクロン酸及びグルコサミン誘導体及びその塩、又は国際特許出願公開第02/067889号に記載されるニアシンナミドと、サリチル酸のC11〜C30アルキル又はアルケニルエステルとの組み合わせ、
− 皮脂刺激剤、例えばDHEA及びその合成又は天然誘導体、ビタミンD1のα−ヒドロキシ化誘導体例えば米国特許第6369099号に記載されるもの、
− 角質溶解剤、例えばサリチル酸及びその誘導体、例えばより詳細には5−n−オクタノイルサリチル酸、アルファ−ヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、乳酸又はリンゴ酸、及びレゾルシノール、
− ニキビ治療剤、例えばレチノール及びその誘導体、レチノン酸及びそのオールトランス又は13−シス異性体、過酸化ベンゾイル、米国特許第6399774号に記載されているチトクロームP450阻害剤及びそれらの誘導体及びアゼライン酸、
− マクロライド構造を有してもよいし、あるいは有しなくてもよいところの抗生物質、米国特許第6399652号に記載されているアベルメクチン化合物、国際特許出願公開第01/56556号に記載されているクロロエステリル及びワックスエステル合成の阻害剤としての、[(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)−アセチル]スルファミン酸2,6−ジイソプロピルフェニルエステル又はその塩、
− 脱毛阻害剤及びまた育毛刺激剤例えばミノキシジル、ビオチン、フィナステリド、2,4ジピリミジンN−オキサイド、パンテノール及びそれらの誘導体、フラバノンT、又はより一般的にアンチ−5−アルファ−レダクターゼのタイプI又はIIの活性を有する任意の植物抽出物、
− 頭髪又は体毛の成長を阻害する剤、例えば米国特許第6407056号に記載されているセリンプロテアーゼ、カフェイン酸、ケルセチン、プロピルガレート、ノルジヒドログアイアレチック酸又はNDGA、インドメタシン、塩酸エフロルニチン、米国特許第6171595号に記載されている植物抽出物、例えばクローブ、ローズヒップ、ワレモコウ、ガンビール等、米国特許第6075052号に記載されている化合物、米国特許第6020006号に記載されているテトラミゾール、オルトバナジン酸ナトリウム、レバミゾール、クロモグリケート2ナトリウム、硝酸バナジウム、及び硝酸ガリウム、また米国特許第4885289号、第4720489号,第5132293号、第5096911号、第5095007号、第5143925号、第5328686号、第5440090号、第5364885号、第5411991号、第5648394号、第5468476号、第5475763号、第5455608号、第5674477号、第5728736号、及び第5652273号、
及び国際特許出願公開第94/27586号、第94/27563号及び第98/03149号に記載されている化合物。また以下のものも使用され得る。米国特許第6375948号に記載されているセイヨウネズの抽出物、
− 抗フケ剤例えばジンクピリチオン、
− 抗酸化剤、例えばブチルヒドロキシトルエン(BHT)、カロテノイド例えばβカロテン、リコペン、カンサキサンチン、ユビキノン、ジブチルペンタエリスリチルヒドロキシシンナメート、ビタミンE、トロロックス、ビタミンC及びその誘導体、
− アストリンゼント及び毛穴収縮剤、例えば国際特許出願公開第02/32392号に記載されているもの
− 制汗剤、例えばアルミニウム塩及びジルコニウム塩、
− 上に述べられた以外のビタミン、例えばビタミンB3、ビタミンK、ビタミンH,ビタミンPP、ビタミンD、ビタミンB6、及びそれらの誘導体、及び
− 抗炎症剤、例えばα−ビサボロール、グリチルリジン酸2カリウム、グリチルレチン酸およびその誘導体、エラグ酸、ウルソル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、カルプロフェン、ケトプロフェン、ステロイド系抗炎症剤、例えばコーチゾン、プレグネノロン、デソナイド、及びアルコルアミン及びチロシンの混合物、例えば欧州特許出願公開第1192939号に記載されているもの。
【0052】
特に皮膚の老化に対する活性で知られる活性剤、例えば角質溶解剤又は落屑剤、例えばα―ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、β−ケト酸、レチノイド、及びそのエステル、レチナール、レチノイン酸及びその誘導体が挙げられ得る。
【0053】
ビタミン、例えばビタミンC,B3、又はPP、B5、E、K1及びこれらのビタミンの誘導体、及び特にそれらのエステル;遊離基捕捉剤;DHEA及びその誘導体;補酵素Q10;漂白及び脱色剤例えば麹酸、para‐アミノフェノール誘導体、アルブチン及びその誘導体、及びそれらの混合物もまた挙げられ得る。
【0054】
油性の皮膚に有用である活性剤、例えば亜鉛塩、及び特にグルコン酸亜鉛、;抗生物質例えばサリチル酸、トリクロサン、リパシド(lipacid)、クローブの抽出物、オクトピロックス、ヘキサミジン;抗ニキビ治療薬もまた挙げられ得る。
【0055】
粒子に導入される活性剤の量は、所望の効果に依存する。活性剤は与えられている粒子の合計重量に対して1〜50重量%、特に2〜40重量%、及び特に5〜30重量%の範囲の量において多孔性粒子中に存在し得る。
【0056】
本発明の与えられている粒子は慣用の方法、特に含浸によって製造される。
【0057】
特に本発明の与えられている粒子は、少なくとも1の活性化合物を用いる予備成形された多孔性粒子の含浸により得られる。有利には、このプロトコルは多孔化溶媒(porogen)の存在を要求しない。
【0058】
例として、含浸方法は、該粒子を含浸するのに適切であり必要かつ十分な量の溶媒中でカプセル化されるべき化合物を予備溶解させること、及び次にこの混合物を本発明に従う多孔性の粒子と接触に至らせることからなる。溶媒は次に乾燥した粉末が得られるまで蒸発除去される。そのようにして得られた粉末は一般的に非常に少量の割合、1/10ppmのオーダーの残存溶媒を含むにすぎない。
【0059】
そのような含浸方法において使用され得る溶媒として、特にアセトン、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、酢酸エチル等が挙げられ得る。もちろん溶媒の選択は、多孔性粒子の成分及びカプセル化されるべき化合物の性質を考慮に入れて行われる。
【0060】
カプセル化されるべき化合物が液体の形態であるとき、それは第2の溶媒の添加なしに多孔性の粒子と直接接触に至らせられ得る。
【0061】
当業者は乾燥粉末を得るように含浸条件を選択するように気をつける。
【0062】
本発明の与えられている粒子は、該化粧料的に又は医薬的に活性な化合物の毛嚢脂腺単位への特異的な投与を許す。
【0063】
これらの粒子は局所的施薬を意図された様々な化粧量的又は医薬的な配合物に導入されることができる。
【0064】
従って本発明は、上に定義されたような、与えられている粒子を含む化粧量的又は医薬的組成物にもまた関する。
【0065】
もちろん、該組成物は上に定義されたただ1つのタイプの粒子のみを含み得るかあるいはそのような粒子の混合物を含み得る。
【0066】
一般的に、該組成物は組成物の合計重量に対して、0.1〜50重量%、特に0.2〜20重量%の上に定義された粒子を含む。
【0067】
本発明の組成物は
− 基本的に毛嚢脂腺単位の外で作用することを意図された少なくとも1の化粧量的に又は医薬的に活性な化合物、及び/又は
− 少なくとも1の化粧量的に又は医薬的に許容できる添加物及び/又は
− 生薬の担体、任意の適切のタイプでよい、
もまた含みうる。
【0068】
用語“担体”は、化粧料的又は医薬的用途と両立する任意の形態の媒体、即ち液状タイプ例えば水、水性アルコール性溶媒、オイル、又はそれらの混合物、又は固体タイプ例えばワックス、を意味する。
【0069】
しかし、任意の追加的な化粧量的に又は医薬的に活性な化合物、任意的な添加剤、及び任意的な担体が組成物中で活性化合物の放出を起こさないことを保証するように注意される。
【0070】
本発明の組成物は慣用の助剤、例えば染料、顔料、香料、保存剤、物理的及び化学的サンスクリーン、封鎖剤、脂溶性又は水溶性の活性剤、保湿剤、例えばポリオール、及び特にグリセロール、pH調節剤(酸又は塩基)をもまた含み得る。
【0071】
特定の実施態様に従うと、本発明の組成物は実質的に界面活性剤を含まない。
【0072】
該化粧量的又は医薬的な組成物はローション、O/W又はW/Oエマルジョン、又は水性又は水性―アルコール性ジェル、あるいは無水の形、例えばスティック、スプレー又はコンパクト又はフリーパウダーの形で供給され得る。
【0073】
本発明の組成物は、体又は顔の皮膚のための又はケラチン性物質、例えば爪、睫、眉、又は毛髪のためのケア組成物、衛生組成物、又はメイクアップ組成物であり得る。
【0074】
それらは例えば毛髪の上での使用、特にシャンプー、コンディショナー、ヘアローション、特にヘアケアのためにもまた意図され得る。
【0075】
これらの組成物はメイクアップ落とし製品、特にオイル、ジェル、又はメイクアップ落とし又はフォーミングローションでもまたあり得る。
【0076】
それらはメイクアップスティック、例えば口紅、又は個人用衛生スティック、例えばデオドラントでもまたあり得る。
【0077】
それらはメイクアップ製品、特にファンデーション、着色されたクリーム、マスカラ、又はアイライナータイプでもまたあり得る。
【0078】
以後示される例は例として与えられ、本質的に制限するものではない。
【実施例1】
【0079】
活性化合物を含む鉱物粒子及び化粧料的組成物中における配合
20gのサリチル酸、1lのアセトン及び200gの多孔性シリカ(サンスフィアH33)の溶液が調整された。この溶液が攪拌下、活性剤が完全に溶解されるまで環境温度に保たれた。溶液は次に丸底フラスコに移され、アセトンは40℃においてロータリーエバポレーター中で蒸発除去された、溶媒の完全な蒸発後、多孔性シリカ粒子からなる粉末がこのようにして得られ、その孔は固体状態のサリチル酸を含む。得られた粒子の重量組成は、粒子の合計重量に対して10重量%のサリチル酸及び90重量%のシリカである。
【0080】
本発明に従う粒子を含む化粧料組成物が配合された。
a)マッティングフリーパウダー

【0081】
本発明の組成物、即ち本発明の粒子を20%含む組成物、の安定性が本発明の粒子を含まない対照組成物と比較して評価された。パウダーは10gの箱に充填された。箱は次に2月の期間の間80%の値に設定された相対湿度及び45℃の値に設定された温度のインキュベーター中に置かれた。次にインキュベーター中での保存後のパウダーの巨視的な外観は光学的に評価された。結果は下の表に与えられる:

【0082】
これらの結果は、湿気の多い環境で長期の保存後、本発明の組成物は魅力的ではない着色を全く示さない。
【実施例2】
【0083】
親油性の活性化合物、5−n−オクタノイルサリチル酸を含む2つの組成物、即ちそれぞれ、ナイロンの4μmの多孔性粒子(“Orgasol(商標)”)を含むジェル、これは本発明の対象である、及び同じ平均粒子サイズのO/Wエマルジョンが、毛嚢脂腺単位をターゲットとする有効性の点について比較される。活性源、5-n-オクタノイルサリチル酸の量は2つのタイプの組成物において同じであり、0.3重量%に設定される。
【0084】
試験された化合物
組成物1(本発明に従う)

*ナイロン−12の多孔性粒子はATOFINA社により“Orgasol 2002 UD Nat cos”の名前で販売されている。
【0085】
組成物2(比較のO/Wエマルジョン)

【0086】
額に拡張した毛穴を示す油性皮膚を有する8人の被験者について研究された。
【0087】
注意深く顔を石鹸で洗浄した後、各被験者に4mg/cm2の試験されるべき組成物が額の左側又は右側の半分に塗布され、処置された領域はその後1分間マッサージされ、15分間放置されて乾燥される。この塗布は同じ条件下、4日間繰り返される(すなわち1日1回の塗布で合計5日の期間の処置)。
【0088】
6日目に、表皮試料が各被験者からシアノアクリレート片により採取され、その上に1滴のシアノアクリレートが置かれたスライドガラスを各被験者の額に施こし、それから乾燥した後に該スライドを除き、スライドガラスはこのようにして表皮試料を取り込んでいる。
【0089】
小胞及び面皰は次に該試料から取り除かれ、その含有物はメタノール中に抽出される。活性化合物の量はHPLCにより定量される。
【0090】
結果は下の表1に示される。
【0091】
【表1】

【0092】
上に述べられた結果に従って、本発明の組成物1(5−n−オクタノイルサリチル酸を与えられている多孔性粒子を含む)は、同じ量の5−n−オクタノイルサリチル酸を含むエマルジョンの形の組成物と比較して、毛嚢中の5−n−オクタノイルサリチル酸の量を著しく、少なくとも50%の割合で増加させることができることが注目される。
【0093】
この試みは活性分子を毛嚢単位の中へと輸送するための本発明の多孔性粒子の有効性を示す。
【実施例3】
【0094】
活性物質を含む有機粒子の製造
粒子組成物

2.5gのトリクロサンが50mlのアセトン中に溶解される。7.5gの“Orgasol(商標)”がこの混合物に導入される。分散物は次にロータリーエバポレーターに導びかれ、アセトンを除去する。するとトリクロサンを与えられている粉末が得られる。
【0095】
このようにして得られた粉末は次に水、ジェル、又はエマルジョン中に再分散されることができる。その中へとトリクロサンを含む粒子が導入される組成物は生薬担体中への該トリクロサンの漏入を促進しないことを担保するように注意が払われる。
【実施例4】
【0096】
活性化合物を含む有機粒子の製造
粒子組成

【0097】
1.5gのビタミンEおよび1gの5−n−オクタノイルサリチル酸が50mlのアセトンに溶解される。7.5gの“ゴッドボール2EC(商標)”の多孔性粒子がこの混合物に導入される。分散物は次にロータリーエバポレーターに導びかれ、アセトンを除去する。するとビタミンE及び5−n―オクタノイルサリチル酸を与えられている粉末が得られる。
【0098】
このようにして得られた粉末は次に水、ジェル、又はエマルジョン中に再分散されることができる。その中へとビタミンE及び5−n―オクタノイルサリチル酸を含む粒子が導入される組成物は生薬担体中へのこれらの活性剤の漏入を促進しないことを担保するように注意が払われる。
【0099】
同様に、粒子のパウダーは、7.5gの“ゴッドボール2EC(商標)”、多孔性粒子及び2.5gのトリクロサンを用いて製造された。該パウダーは電子顕微鏡下で観察される。その電子顕微鏡写真が図1に示される(加速電圧:15.0kV;倍率:16000倍;WD:10.1;水分:3.5Torr)。
【0100】
このようにして得られたパウダーは個別化された粒子からなることが注目される。
【実施例5】
【0101】
抗ニキビクリーム(油/水エマルジョン)

【0102】
この滑らかで新鮮なクリームは良好な有効性を持ってニキビの問題と闘うことが可能である。
【実施例6】
【0103】
トニックローション

【実施例7】
【0104】
W/Oエマルジョン
相A

【0105】
相B:

相C:

【0106】
相Bは相A中において環境温度においてゆっくりと乳化され、次に相Cが添加される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別化された多孔性粒子であって、10μm以下の体積平均直径、及び1m2/g以上の比表面積を有すること及び、該粒子の内部に少なくとも存在するところの、少なくとも1の化粧料的に又は医薬的に活性な化合物を含むことを特徴とする粒子。
【請求項2】
2.5〜1000m2/gの範囲の比表面積を有することを特徴とする、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
3〜750m2/gの範囲の比表面積を有することを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項4】
0.15g/cm3以上の体積当たりの質量を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項5】
0.2〜5g/cm3の範囲の体積当たりの質量を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項6】
0.1μm以上の体積平均直径を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項7】
0.5〜8μmの範囲の体積平均直径を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項8】
0.1〜50μmの範囲の数平均サイズを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項9】
0.1〜20μmの範囲の数平均サイズを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項10】
0.5〜10μmの範囲の数平均サイズを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項11】
1〜4の範囲の分散度を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項12】
3以下の分散度を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項13】
粉末の形で提供されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項14】
有機多孔性粒子から由来することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項15】
前記有機多孔性粒子が、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン12、及びナイロン6−12の粒子、及びポリ(メチルメタクリレート)の粒子から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の粒子。
【請求項16】
無機多孔性粒子から由来することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項17】
前記無機多孔性粒子が、シリカ、アルミナ−シリカ、ハイドロキシアパタイト、二酸化チタンの粒子又はそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の粒子。
【請求項18】
有機及び無機の複合材料からできた多孔性粒子から由来することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項19】
活性化合物:活性化合物を与えられていない多孔性粒子の重量比が、1/1000〜10/1であることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項20】
活性化合物:活性化合物を与えられていない多孔性粒子の重量比が、1/100〜1/1であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項21】
抗微生物剤、抗菌剤、皮脂調節剤、皮脂刺激剤、抗皮膚老化剤、特に角質溶解剤又は落屑剤、ニキビ治療剤、抗生物質、毛損失阻害剤/毛成長刺激剤、毛髪又は体毛の成長を阻害する剤、抗フケ剤、抗酸化剤、アストリンゼント、毛穴収斂剤、制汗剤、ビタミン、抗炎症剤、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1の化粧料的に又は医薬的に活性な化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれか1項において定義された粒子を含むことを特徴とする、化粧料組成物又は医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物の合計重量に対する前記粒子の重量割合が0.1〜50%であることを特徴とする、請求項22に記載の化粧料組成物又は医薬組成物。
【請求項24】
前記組成物の合計重量に対する前記粒子の重量割合が0.2〜20%であることを特徴とする、請求項22に記載の化粧料組成物又は医薬組成物。
【請求項25】
ローション、O/Wエマルジョン、W/Oエマルジョン、又は水性又は水性アルコールジェルの形、又は無水の形、例えばスティック、スプレー又はコンパクト又はフリーパウダーの形で供給されることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の化粧料組成物又は医薬組成物。
【請求項26】
メイクアップ落とし製品、特にオイル、ジェル、又はメイクアップ落とし又はフォーミングローション、又はそれ以外のメイクアップ製品例えばファンデーション、着色されたクリーム、マスカラ、又はアイライナーの形で供給されることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の化粧料組成物又は医薬組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−254698(P2010−254698A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121953(P2010−121953)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【分割の表示】特願2007−34350(P2007−34350)の分割
【原出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】