説明

化粧料組成物及び該組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料

【課題】経時における凝集や沈殿を生ずることなく、水中に均一に分散し、塗布時の伸びがよく、みずみずしい使用感に優れ、肌のキメを整える効果に優れる化粧料組成物及び皮膚外用剤を提供すること。
【解決手段】 次の成分(A)〜(C);
(A)カタメンキリンサイ属カタメンキリンサイ(Betaphycus gelatinum)の抽出物
(B)0.1質量%水溶液の25℃における電気伝導度が6mS/m以下である水溶性高分子
(C)水
を含有し、高圧分散機により50〜250MPaの圧力下で分散処理することを特徴とする化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カタメンキリンサイ属カタメンキリンサイ(Betaphycus
gelatinum)の抽出物を安定に含有する化粧料組成物に関するものであり、更に詳しくは、みずみずしい使用感を有し、凝集やゲル化を生じることなく、肌のキメを整える効果がある化粧料組成物に関するものである。また該組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カタメンキリンサイ属カタメンキリンサイ(Betaphycus
gelatinum)は、スギノリ目ミリン科に属する紅藻類である。従来より、カタメンキリンサイの抽出物を化粧料成分として用いられており、保湿効果や肌にツヤを与える作用があることも知られている(特許文献1参照)。さらに、カタメンキリンサイ抽出物を顔料表面に被覆するメイクアップ化粧料(特許文献2参照)、メラニン生成抑制剤や抗炎症剤との組み合わせ(特許文献3参照)なども知られている。しかしながら、カタメンキリンサイ抽出物の分散方法や分散安定化方法については、検討されていない。
【0003】
【特許文献1】特開平1−221306号公報
【特許文献2】特開平3−38510号公報
【特許文献3】特開2005−154375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カタメンキリンサイ抽出物は、凝集性が強いため、水への分散性が悪く、凝集やゲル化を生じてしまい、水中に均一に配合することが困難であった。このため、みずみずしい使用感や均一な伸び広がりが充分でなく、結果として肌のキメを整えるなどの肌効果が満足できる水準にはなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、カタメンキリンサイ抽出物と0.1質量%水溶液の25℃における電気伝導度が6mS/m以下である水溶性高分子を高圧分散機により分散処理することで、上記問題点が解決することを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C);
(A)カタメンキリンサイ属カタメンキリンサイ(Betaphycus gelatinum)の抽出物
(B)0.1質量%水溶液の25℃における電気伝導度が6mS/m以下である水溶性高分子
(C)水
を含有し、高圧分散機により高圧力下で分散処理することを特徴とする化粧料組成物を提供するものである。
【0007】
更に、高圧分散機により50〜250MPaの圧力下で分散処理することを特徴とする化粧料組成物を提供するものである。
【0008】
また、成分(A)の固形分濃度と成分(B)の含有質量比が(A)/(B)=0.1〜50であることを特徴とする化粧料組成物を提供するものである。
【0009】
また、成分(B)がヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースから選ばれる一種又は二種であることを特徴とする化粧料組成物を提供するものである。
【0010】
更に、これらの化粧料組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤又は化粧料を提供するものである。
【0011】
更に、25℃における粘度が1〜3000mPa・sであることを特徴とする皮膚外用剤又は化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の化粧料組成物及び該化粧料組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料は、経時におけるカタメンキリンサイ属カタメンキリンサイ(Betaphycus gelatinum)の抽出物の凝集や沈殿を生ずることなく、これを水中に均一に分散し、塗布時の伸び広がりがよく、肌のキメを整える効果に優れるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の化粧料組成物及び皮膚外用剤又は化粧料に用いられる成分(A)のカタメンキリンサイ属カタメンキリンサイ(Betaphycus gelatinum)の抽出物は、調製法についても、特に限定されるものではないが、抽出溶媒を用いて抽出したものであり、得られた抽出液を減圧濃縮、凍結乾燥などの方法で乾固させ、溶媒を除去して得られる抽出物である。本発明においては、この抽出物をそのまま用いることもできるが、さらに、この抽出物を分子量分画、溶媒分画、各種の精製処理(イオン交換樹脂、吸着剤)等によって精製されたもの、凍結乾燥されたもの(乾燥粉末)、さらに乾燥粉末を水系溶媒に膨潤あるいは分散したもの等いずれのものでも用いることができる。このカタメンキリンサイの抽出物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0014】
カタメンキリンサイを海中から採取後、異物を十分除去し、水洗した全藻又はその一部が用いられる。乾燥粉末は、カタメンキリンサイを天日乾燥するか、凍結乾燥後、粉砕して得られる。粉末の形態で適用する場合の平均粒径は、3〜300μm程度が適当である。抽出物は、乾燥したカタメンキリンサイを細断又は粉砕し、抽出溶剤に浸漬して得られる。
【0015】
抽出溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコールなどのグリコール類、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類、n−ヘキサン、1so−ヘキサン、ジクロロメタン、シクロヘキサンおよびその誘導体、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤などの1種または2種以上が挙げられる。
【0016】
これらのうち、水又は水溶性の溶剤が好ましく、特に、水、エタノール、グリセリン、1,3−ブチレングリコールの1種または2種以上の混合溶剤が好ましい。
【0017】
抽出時間は溶剤の種類や抽出温度などによって異なるが通常10分間以上、好ましくは30分間ないし1時間である。抽出温度は、溶剤の種類によって異なるが、0℃以上、通常40〜60℃が適当である。得られた抽出物を減圧下に濃縮して濃度を調整してもよい。
【0018】
本発明の抽出物の調製に際して、抽出液の25℃におけるpHは5〜9の範囲に保持されることが好ましく、かかる意味で、必要ならば上記の抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、アルギニンなどのアルカリ性pH調整剤や、クエン酸、乳酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性pH調整剤等を配合し、所望のpHとなるように調整してもよい。
【0019】
ここに得られる抽出物溶液は、これをそのまま、もしくは希釈或いは減圧濃縮等により適宜の濃度に調整して、化粧料組成物及び皮膚外用剤又は化粧料に配合してもよく、又場合によっては、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末化して化粧料組成物及び皮膚外用剤に配合してもよい。成分(A)の市販品としては、ベータヘリン(テクノーブル社製)等が挙げられる。
【0020】
成分(A)の含有量は、特に限定されないが、固形分濃度として0.005〜1.5質量%(以下、単に「%」とする)であることが好ましく、さらには0.01〜1.2%であることが好ましい。
【0021】
本発明の成分(B)の水溶性高分子は、成分(A)の分散性を向上させ、経時による凝集を防ぐ目的で配合するものであり、25℃における0.1%水溶液の電気伝導度が6mS/m以下であることが特徴である。成分(B)の水溶性高分子の電気伝導度が6mS/mより高い場合、成分(A)との相互作用により、凝集を生じてしまうために好ましくない。なお、本発明において、化粧料組成物の電気伝導度は、電気伝導率計CM−60G(東亜電波工業社製)を用いて測定した。
【0022】
上記水溶性高分子の具体例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH−4000、信越化学工業社製)は0.244mS/m、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH−10000、信越化学工業社製)は0.965mS/m、ヒドロキシエチルセルロース(ナトロゾール250HHR、ハークレス社製)は4.56mS/m、クインスシードエキス(マルメロE、香栄興業社製)は5.94mS/m、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース(サンジェロース90L、大同化成工業社製)は0.244mS/m、高重合ポリエチレングリコール(アルコックスE−30、明成化学工業社製)は0.453mS/m、ポリビニルピロリドン(LUVISKOL K90、BASF社製)は、1.999mS/mなどが挙げられる。これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0023】
成分(B)の水溶性高分子の中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースは、伸び広がりがよくなり、より好ましい。
【0024】
本発明において凝集性の強い成分(A)を安定に分散し、かつ凝集やゲル化を抑制する目的で成分(B)を含有することによりその効果を得られる。これら成分(A)、成分(B)の含有質量比は特に限定されるものではないが、経時での凝集やゲル化を抑制するために(A)/(B)=0.1〜50の範囲、さらには0.1〜10の範囲にすることで経時での凝集やゲル化を抑制する効果に特に優れるものとすることが可能となる。
【0025】
本発明の化粧料組成物の製造方法は、高圧分散機により高圧力下で分散処理することで実現できる。この高圧分散機とは、流路に高圧を加えることにより高い剪断力を与えることが可能な装置であり、さらに、流路を折り曲げたり、複数の流路を合一させることで液に衝撃力を与える構造を有していてもよい。高圧分散機は、種類は問わないが、例えば、マントン−ゴーリン型高圧ホモジナイザー、ジェット水流反転型高圧乳化機、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディスク社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、アルティマイザー(スギノマシン社製)、DeBee2000(BEEインターナショナル社製)、超音波乳化機等が挙げられる。これらの高圧分散機を二種以上組み合わせて使うことや複数回処理することもできる。
【0026】
また、あらかじめ、プロペラ式攪拌機、ホモジナイザー等の、高圧分散機以外の方法で得た予備分散液に、高圧分散機を用いて分散処理を施すことにより、分散物を得ることもできる。
【0027】
高圧分散機における圧力は、特に限定されるものではない。成分(A)の分散を効果的に行うことから50MPa以上250MPa以下が好ましい。また、250MPa以上の処理圧で行うことも可能であるが、分散安定の効果が十分得られている場合もあることからこの範囲で行うことが好ましい。また高圧分散機における分散処理回数は、1回から必要に応じて複数回行ってもよい。
【0028】
本発明の化粧料組成物の用途は、化粧料組成物をそのまま本発明の皮膚外用剤又は化粧料とすることも可能であるが、本化粧料組成物を好ましくは1〜99%の範囲で用いて、これに他の成分を配合して皮膚外用剤又は化粧料とすることも可能である。
【0029】
本発明の皮膚外用剤又は化粧料は、25℃における粘度が1〜3000mPa・sであることが好ましい。さらに好ましくは、1〜1000mPa・sであり、さらには1〜200mPa・sの粘度範囲にした場合でも、安定に分散できることを特徴とする。これは成分(A)の水溶液は、通常では凝集状態で存在しているが、本発明の効果により低粘度の分散状態とすることが可能となるためである。そのため本発明の化粧料組成物を配合した皮膚外用剤又は化粧料においては、25℃における粘度が1〜3000mPa・s粘度範囲として用いる場合に、特に塗布時の伸び広がりがよいため、より好ましい。なお、本発明において粘度測定は、ビスメトロン粘度計VDA2(芝浦システム株式会社製)も用いて行った。
【0030】
本発明は、凝集性の強い成分(A)を安定に分散し、かつ凝集やゲル化を抑制する目的で成分(B)を含有することによりその効果を得られることを特徴とするものであり、得られた化粧料組成物、あるいは該組成物を含有する皮膚外用剤又は化粧料は、透明ないし半透明の外観を有するものであっても、凝集等がなく、美観性にも優れることから特に優位に使用することができる。またこれらを収容する容器類は、透明ないし半透明とすることも可能である。
【0031】
本発明の化粧料組成物及び皮膚外用剤又は化粧料は、上記成分の他に、通常、皮膚外用剤又は化粧料に使用される成分、界面活性剤、水溶性高分子、保湿剤、油剤、防腐剤、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0032】
本発明の皮膚外用剤の用途としては、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤等が挙げられる。
【0033】
本発明の化粧料の用途としては、化粧水、乳液、クリーム、アイクリーム、美容液、マッサージ料、パック料、ハンドクリーム、ボディクリーム、クレンジング料、日焼け止め料等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、化粧用下地化粧料を例示することが出来、その使用方法は、手又はコットンで使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法等が挙げられる。
【実施例1】
【0034】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0035】
本発明品1〜12及び比較品1〜4:化粧料組成物
表1に示す組成の化粧料組成物を下記製造方法により調製し、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1〜表4に示した。なお、比較品4は高圧分散機による分散処理を行っていない例である。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
(製造方法)本発明品1〜12及び比較品1〜3
A:成分1〜8を70℃で混合分散する。
B:Aを室温まで冷却する。
C:Bをマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディスク社製)で処理する。
マイクロフルイダイザーの処理圧は、表1〜表4に併せて示す。
D:Cを取り出し、化粧料組成物を得た。
【0041】
(製造方法)比較品4
A:成分1〜8を70℃で混合分散する。
B:Aを室温まで冷却して化粧料組成物を得た。
【0042】
(評価方法1)
「凝集及びゲル化の有無」については、40℃の恒温槽に1ヶ月保管し、外観の変化(凝集及びゲル化の有無)について以下の基準で評価を行い、判定した。なお、ここでのゲル化とは凝集が進行して部分的にゲル状態をなるものをさす。分離もしくは排液とは凝集が全体的に進行することで水を抱えきれなくなった状態をいう。評価については目視観察にて行った。
(判定)
◎:全く変化なし。
○:外観が僅かに変化(凝集傾向はあるが全体が均一である)。
△:外観に変化あり(凝集やゲル化が進行し全体が不均一となる)。
×:外観に大きな変化あり(分離若しくは排液)。
【0043】
(評価方法2)
「沈殿」については、40℃の恒温槽に1ヶ月保管し、外観の変化(沈殿)について以下の基準で評価を行い、判定した。
(判定)
◎:全く変化なし。
○:ほとんど沈殿はない。
△:沈殿がある。
×:激しい沈殿がある。
【0044】
表1〜表4の結果から明らかなように、本発明の発明品1〜12の化粧料組成物は、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿」の項目に優れた化粧料組成物であった。これに対して、成分(B)を配合しない比較品1では、「凝集及びゲル化の有無」が良好ではなかった。また、成分(B)のかわりに0.1%水溶液の25℃における電気伝導度が6mS/m以下ではない水溶性高分子を配合した比較品2および3では、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿」の点で劣っていた。そして、高圧分散機を用いなかった比較品4では、「凝集及びゲル化の有無」が良好ではなかった。
【実施例2】
【0045】
実施例2は、実施例1での本発明品12〜22及び比較品5〜9を含有する化粧料(化粧水)としての例である。
表5〜表7に示す化粧料組成物を含有した化粧水を下記の製法により調製した。得られた化粧水に対して、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿」の結果、並びに、「伸び広がりのよさ」、「キメの向上」の各項目については、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表5〜表7に示した。
【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
【表7】

【0049】
(製造方法)
A:成分1〜4を室温で混合溶解する。
B:成分5〜8を室温で混合溶解する。
C:BにAを添加混合する。
D:Cに成分9〜17を添加混合し、化粧水を得た。
【0050】
(評価方法1)
「凝集及びゲル化の有無」については、40℃の恒温槽に1ヶ月保管し、外観の変化(凝集・ゲル化の有無)について以下の基準で評価を行い、判定した。なお、ここでのゲル化とは凝集が進行して部分的にゲル状態をなるものをさす。分離もしくは排液とは凝集が全体的に進行することで水を抱えきれなくなった状態をいう。評価については目視観察にて行った。
(判定)
◎:全く変化なし。
○:外観が僅かに変化(凝集傾向はあるが全体が均一である)。
△:外観に変化あり(凝集やゲル化が進行し全体が不均一となる)。
×:外観に大きな変化あり(分離若しくは排液)。
【0051】
(評価方法2)
「沈殿の有無」については、40℃の恒温槽に1ヶ月保管し、外観の変化について以下の基準で評価を行い、判定した。
(判定)
◎:全く変化なし。
○:ほとんど沈殿はない。
△:沈殿がある。
×:激しい沈殿がある。
【0052】
(評価方法3)
化粧品評価専門パネル20名に、前記本発明品及び比較品の化粧料組成物を50%配合した化粧水を使用してもらい、「伸び広がりのよさ」、「キメの向上」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し化粧料組成物毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
評価基準:
[評価結果] :[評 点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
判定基準:
[評点の平均点] :[判 定]
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
【0053】
表5〜表7の結果から明らかなように、本発明の発明品12〜22の化粧料組成物は、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿」「伸び広がりのよさ」「キメの向上」の全ての項目に優れた化粧料組成物であった。これに対して、成分(B)を含有しない比較品5では、「凝集及びゲル化の有無」「伸び広がりのよさ」が良好ではなかった。また、成分(B)のかわりに0.1%水溶液の25℃における電気伝導度が6mS/m以下ではない水溶性高分子であるキサンタンガムやヒアルロン酸ナトリウムをそれぞれ含有した比較品6および7では、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿の有無」「伸び広がりのよさ」「キメの向上」の全ての点で劣っていた。そして、高圧分散機による分散処理を用いなかった比較品8では、「凝集及びゲル化の有無」「キメの向上」「伸び広がりのよさ」「キメの向上」の全てが良好ではなかった。成分(B)を高圧分散機による分散処理を用いないで後から含有した比較品9では、「凝集及びゲル化の有無」が良好でなかった。
【実施例3】
【0054】
美容液
(成分) (%)
1.本発明品1の化粧料組成物 50.0
2.カルボキシビニルポリマー 0.1
3.1,3−ブチレングリコール 10.0
4.1,2−ペンタンジオール 1.0
5.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
6.香料 0.1
7.ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
8.エタノール 10.0
9.水酸化ナトリウム 0.03
10.精製水 残量
【0055】
(製造方法)
A:成分10を70℃に加熱後、成分2をホモミキサーにて添加混合する。
B:成分3〜8を均一に混合する。
C:AにBを添加し、可溶化する。
D:Cに成分9を添加混合する。
E:Dに成分1を添加混合し、美容液を得た。
本発明の実施品である実施例3の美容液は、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿」、「伸び広がりのよさ」、「キメの向上」の全ての項目に優れた美容液であった。実施例3の粘度値は、3000mPa・s(25℃)であった。
【実施例4】
【0056】
クリーム状水中油型乳化下地化粧料
(成分) (%)
1.ステアリン酸 1.0
2.ベヘニルアルコール 0.5
3.自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 0.5
4.ポリオキシエチレン(30)コレステリルエーテル 0.5
5.α−オレフィンオリゴマー 10.0
6.2−エチルヘキサン酸セチル 2.0
7.N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・2−オクチルドデシル)
2.0
8.ジメチルポリシロキサン 10.0
9.パラメトキシ桂皮酸2−エチルへキシル 3.0
10.パルミチン酸オクチル 1.5
11.水酸化カリウム 0.2
12.精製水 残量
13.酸化チタン 1.0
14.タルク 0.5
15.雲母チタン 0.5
16.1,3−ブチレングリコール 5.0
17.エタノール 5.0
18.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
19.フェノキシエタノール 0.3
20.球状無水ケイ酸 2.0
21.香料 適量
22.キサンタンガム 0.1
23.実施例1の本発明品2 20.0
【0057】
(製造方法)
A:成分13〜16を3本ロールミルで分散処理する。
B:成分1〜10を70℃で均一に混合溶解する。
C:成分11、12、22を70℃で均一に混合溶解する。
D:CにBを70℃で添加混合後、室温まで冷却する。
E:DにAを添加混合する。
F:Eに成分17〜21を添加混合する。
G:Fに成分23を添加混合し、クリーム状水中油型乳化下地化粧料を得た。
【0058】
実施例4のクリーム状水中油型乳化下地化粧料は、「凝集及びゲル化の有無」、「沈殿」、「伸び広がりのよさ」、「キメの向上」の全ての項目に優れたであった。実施例4の粘度値は、8000mPa・s(25℃)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C);
(A)カタメンキリンサイ属カタメンキリンサイ(Betaphycus gelatinum)の抽出物
(B)0.1質量%水溶液の25℃における電気伝導度が6mS/m以下である水溶性高分子
(C)水
を含有し、高圧分散機により分散処理することを特徴とする化粧料組成物。
【請求項2】
高圧分散機により50〜250MPaの圧力下で分散処理することを特徴とする前記請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
成分(A)と成分(B)の含有質量比が(A)/(B)=0.1〜50であることを特徴とする前記請求項1又は2記載の化粧料組成物。
【請求項4】
成分(B)がヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はヒドロキシエチルセルロースから選ばれる一種又は二種であることを特徴とする前記請求項1〜3の何れかの項記載の化粧料組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかの項記載の化粧料組成物を含有することを特徴とする皮膚外用剤又は化粧料。
【請求項6】
25℃における粘度が1〜3000mPa・sであることを特徴とする請求項5記載の皮膚外用剤又は化粧料。


【公開番号】特開2010−248170(P2010−248170A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47072(P2010−47072)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】