説明

化粧料

【課題】 経時的に安定で、刺激が少なく感触の良いデオドラント効果を有する化粧料の提供。
【解決手段】(A)塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体 0.05〜5.0重量% (B)エタノール 10.0〜50.0重量%上記(A)と(B)を配合した化粧料。更にOctoxyglycerin(c)を0.001〜1.0重量%配合した化粧料。特に好ましい配合量は、(A)が0.2〜2.0重量%、(B)が15.0〜30.0重量%、(C)が0.01〜0.5重量%の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経時的に安定で、刺激が少なく感触の良いデオドラント効果を有する化粧料に関する。特に、制汗剤化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、健康で美しい肌や髪を保つために、化粧料は使用されている。しかしながら、夏場の高温高湿度や発汗などにより微生物が繁殖し、衛生上好ましくない。また、不快臭の発生により、健康や衛生面で問題になっている。
【0003】そのために従来は、トリクロサン等の殺菌剤を配合して菌の増殖を抑える方法等が知られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの殺菌剤は、菌に対する殺菌効果には優れているものの、刺激が強く、肌への感触もかさかさ感や強すぎるさっぱり感があり、感触が悪いという欠点を有していた。
【0005】また、塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体を単独で使用すると、刺激性があるという欠点を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記(A)と(B)の成分を配合することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の化粧料は、(A)塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体 0.05〜5.0重量%(B)エタノール 10.0〜50.0重量%(A)と(B)を配合することを特徴とするものである。
【0008】本発明の化粧料は、さらにOctoxyglycerinを0.001〜1.0重量%配合することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧料に用いられる各成分について具体的に説明する。まず、塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体は0.05〜5.0重量%配合される。さらに好ましくは0.2〜2.0重量%である。塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体の配合量が0.05重量%より少ない場合は、使用時の感触に滑らかさがなく、5.0重量%より多いと皮膚等への刺激が感じられ、好ましくない。
【0010】エタノールは、化粧料及び外用剤に使用できるエタノールであれば、変性エタノールでも可能であり、特に限定されるものではない。配合量としては、10.0〜50.0重量%であり、さらに好ましくは15.0〜30.0重量%である。エタノールの配合量が10.0重量%より少ない場合は、充分なデオドラント効果が得られず、50.0重量%より多いと皮膚への刺激があり、好ましくない。
【0011】Octoxyglycerinとしてはセイワサプライ株式会社製のSENSIVA SC50(商標名)がある。配合量は0.001〜1.0重量%であるが、好ましくは0.01〜0.5重量%である。Octoxyglycerinが、0.001重量%より少ないと充分なデオドラント効果が得られず制汗剤として適さない。また、Octoxyglyceriが、1.0重量%より多いと刺激が出てきて好ましくない。
【0012】また、本発明に使用できる成分としては本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で上記以外の任意の成分を配合することができ、化粧料に通常配合される成分、たとえば乳化剤、油性成分、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、各種ビタミン剤、キレート剤、着色剤、増粘剤、紫外線吸収剤、薬効成分等を配合することができる。
【0013】特に、デオドラント効果という目的から、製剤の経時安定性を損なわず、皮膚への刺激が発生しない範囲においては、スルホ石炭酸亜鉛、フェノキシエタノール、安息香酸、感光素101号、感光素201号、感光素301号、感光素401号、ピロクトンオラミン、グルコン酸クロルヘキシジン、デヒドロ酢酸、サリチル酸、パラオキシ安息香酸エステル、トリクロサン、ヒノキチオール、ヘキサクロロフェン、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤を配合することが好ましい。
【0014】さらに、刺激の緩和という目的で、製剤の経時安定性を損なわない範囲においては、アラントイン、プラセンタエキス、セラミド、グリチルレチン酸ステアリル等の甘草誘導体、ビタミンE、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤等を配合することが好ましい。
【0015】また、感触の調整剤として油性成分が配合できる。油性成分としては、化粧料及び外用剤に使用できる油性成分であれば特に限定されるものではない。好ましくは、流動パラフィン、流動イソパラフィン等の炭化水素系の液状油、サフラワー油、大豆油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、アボガド油、オリブ油、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ホホバ油等の植物性液状油、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、炭酸ジアルキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン等のエステル等が挙げられる。さらにシリコーン油を配合することもでき、化粧料及び外用剤で使用できるシリコーン油であれば特に限定されるものではなく、好ましくは、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0016】さらに、本発明の化粧料には銅クロロフィルを油性成分に溶解して、0.000001〜1重量%配合することが好ましい。
【0017】また本発明では、塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体と界面活性剤と油性成分の混合体であるサルケアSC96(商標名:チバスペシャルティケミカルズ社製)を使用することが好ましい。
【0018】さらに好ましくは、トレハロースを1.0〜3.0重量%配合する。
【0019】さらに、メントール、ピロリドンカルボン酸メンチル等のメントール誘導体を0.01〜1.0重量%配合することにより、清涼感が増し、好ましい。
【0020】つぎに、本発明を、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に明らかにする。なお、以下において配合量は重量%である。デオドラント化粧料としての評価は、男性10名、女性10名のモニターで行った。評価項目は皮膚への刺激、デオドラント効果、塗布中のさらさら感、塗布後のしっとり感、及び製剤の安定性を評価した。デオドラント効果は午前9時に塗布して午後2時の臭いの発生を評価した。
【0021】実施例1、比較例1〜4下記の表1に示す配合処方に従い化粧料を調整した。得られた供試化粧料の刺激、デオドラント効果、塗布中のさらさら感、塗布後のしっとり感及び製剤の安定性について評価した。評価は以下の基準に従い行った。得られた結果を表1に併記する。
◎ 極めて良好○ 特に問題はない× 悪い
【0022】
【表1】


【0023】表1中のサルケアSC96は、チバスペシャルティケミカルズ社製で、塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体とジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコールとポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・トリデシルアルコールの混合物である。
【0024】表1中のSENSIVA SC50は、セイワサプライ社製のOctoxyglycerinである。
【0025】表1の評価結果から明らかなように、実施例1においては、刺激、デオドラント効果、塗布中のさらさら感、塗布後のしっとり感及び製剤の安定性について、良好なデオドラント化粧料が得られることが分かる。これに対し比較例1のようにエタノールの配合量が少なすぎると、刺激は少ないもののデオドラント効果が弱く、さらさらした感触が出せず、デオドラント化粧料として適していない。また、比較例2のように、エタノールの配合量が多すぎると、エタノールによるさっぱり感やデオドラント効果は出るものの刺激が強くなり、しっとり感がなくなり、粘度が低くなって製剤の安定性が悪くなる。さらに、比較例3のように、サルケアSC96の配合量が少なすぎると、粘度がないために経時安定性が悪く、さらにさらさら感やしっとり感などの感触が著しく低下して、デオドラント化粧料としては適していない。また、比較例4のように、サルケアSC96の配合量が多すぎると、増粘剤が多すぎるために、さらさら感やしっとり感がなくなってしまう。
【0026】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の化粧料は、(A)塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体 0.05〜5.0重量%(B)エタノール 10.0〜50.0重量%(A)と(B)を配合することにより、経時的に安定で、刺激が少なく、感触の良いデオドラント効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)塩化メタクリル酸コリンエステル共重合体 0.05〜5.0重量%(B)エタノール 10.0〜50.0重量%(A)と(B)を配合することを特徴とする化粧料
【請求項2】 Octoxyglycerinを0.001〜1.0重量%配合することを特徴とする請求項1に記載の化粧料。

【公開番号】特開2002−161018(P2002−161018A)
【公開日】平成14年6月4日(2002.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−357167(P2000−357167)
【出願日】平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願人】(397032415)日興製薬株式会社 (2)
【Fターム(参考)】