説明

化粧料

【課題】無機顔料、有機顔料、染料及び天然色素等の色材原料の発色が良く、特にメークアップ化粧料に配合した時、化粧料基材への分散が均一であり、更に色が鮮明である化粧料を提供する。
【解決手段】水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを必須成分とする化粧料に、無機顔料、有機顔料、染料及び天然色素から選ばれる色材原料の1種又は2種以上を配合する化粧料を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを必須成分とする化粧料に、無機顔料、有機顔料、染料及び天然色素から選ばれる色材原料の1種又は2種以上を配合する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベンガラ、黒色酸化鉄、群青等の無機顔料や、赤色201号、赤色202号等の有機顔料等を化粧料基材に配合する時は、そのまま添加して混合するか、又は化粧料基材へ均一分散し易い様、予め顔料をタルクやマイカ等の体質顔料と混合分散させた製剤が用いられている。しかしながら、時として化粧料基材への分散性が完全ではなく、不均一な発色(色ムラ)となる場合があったり、予め体質顔料で処理した製剤では、顔料の鮮明さが低下するという欠点があった。この様な観点から、各種色材を配合した処方系の検討や、新規色材組成物の合成検討(特許文献1)、及び顔料分散方法等の検討がなされてきたが、未だ満足のいく状態ではなかった。
【特許文献1】特公平7−55890
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、無機顔料、有機顔料、染料及び天然色素等の色材原料の発色が良く、特にメークアップ化粧料に配合した時、化粧料基材への分散が均一であり、更に色が鮮明である化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを必須原料とする化粧料が、上記課題を解決し得ることを見出だし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを必須成分とする化粧料に、無機顔料、有機顔料、染料及び天然色素等の色材原料の1種又は2種以上を配合する化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明のポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを必須原料とする化粧料を用いる事により、無機顔料、有機顔料、染料及び天然色素等の色材原料の化粧料基材への分散が均一で、特にメークアップ化粧料に配合した時、発色が良く、色が鮮明で仕上がりが良く、更には、肌へのノビ、付着性にも優れている化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明で使用するポリグリセリン分枝脂肪酸エステルは、水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを使用する。この中でも、平均重合度2〜15のポリグリセリンと、炭素数9〜18の分岐脂肪酸がより好ましい。更に好ましくは、平均重合度4〜10のポリグリセリンと、分枝脂肪酸の炭素数が18のイソステアリン酸である。分枝脂肪酸の付加モル数は、ポリグリセリン1モルに対して2〜15モルがよく、より好ましくは7〜9モルである。この中でもポリグリセリンイソステアリン酸エステルが更に好ましい。
【0008】
本発明において、ポリグリセリン分枝脂肪酸エステルの配合量は、化粧料に対して1〜85重量%、本発明の効果の点から5〜75重量%が特に好ましい。
【0009】
本発明で使用する無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄(ベンガラ)、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青等の着色顔料、タルク、カオリン、セリサイト、色雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔料、酸化チタンコーテッド雲母、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、魚鱗泊、着色酸化チタンコーテッド雲母等のパール顔料、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料等であり、有機顔料は、赤色202号、赤色204号、赤色226号、黄色401号、青色404号であり、染料あるいは天然色素は人体に対して無害なものであればよく、それらの一種または二種以上の混合物を使用する。
【0010】
本発明において、上記色材原料は化粧料の全体量に対して、0.1〜60.0重量%配合する。上記範囲外では発色面や色の鮮明さの点で問題が生じる。更には肌へのノビ、付着性等の使用感においても問題が発生する。
【0011】
尚、本発明に係る化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、四弗化エチレンパウダー、ジスチレンベンゼンピンホールポリマーパウダー、微結晶性セルロース等の有機粉末、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリヤシ油脂肪酸グリセロール、オリーブ油、アボカド油、ミツロウ、ミリスチン酸ミリスチル、ミンク油、ラノリン等の各種炭化水素、高級脂肪酸、油脂類、エステル類、高級アルコール、ロウ類、等の油性成分、アセトン、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチル等の有機溶剤、アルキッド樹脂、尿素樹脂等の樹脂、カンファ、クエン酸アセチルトリブチル等の可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、界面活性剤、保湿剤、香料、水、アルコール、増粘剤等を配合することが出来る。
【0012】
本発明に係る化粧料の具体的な用途としては、ファンデーション、固形ファンデーション、パウダーファンデーション、ツーウェイファンデーション、ケーキファンデーション、乳化型ファンデーション、リキッドファンデーション、水性ファンデーション(水おしろい)、油性ファンデーション、粉おしろい、マスカラ、アイシャドー、アイライナー、アイブロー、頬紅、口紅、リップグロス、リップスティック、リップライナーペンシル、ネイルカラー、ベースコート、トップコート等が挙げられる。
【0013】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0014】
表1に示す処方にて、化粧料に係るアイシャドーを常法に従い調製した。
【0015】
表1に示した実施例1〜3及び比較例1〜2の化粧料に係るアイシャドーを用いて、以下に示す評価を実施した。
【0016】
(官能評価)
20名の健常女性パネラーに上記調製のアイシャドーを使用してもらい、「発色の良さ」、「色の鮮明さ」、「肌へのノビ」、「付着性」等4項目について官能評価した。尚、各評価項目を5点満点とし、20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した。その結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:4.5点以上(非常に良好である)
○:4.0点以上、4.5点未満(良好である)
△:3.0点以上、4.0点未満(やや悪い)
×:3.0点未満(悪い)
【0017】
【表1】

【0018】
表1に示したとおり、実施例1〜3の化粧料に係るアイシャドーは官能面上良好であった。
これに対し、比較例1〜2のアイシャドーは官能面において不十分な結果であった。
【0019】
実施例4 口 紅
A相 (重量%)
ノナイソステアリン酸デカグリセリル 37.50
重質流動イソパラフィン 14.00
セレシン 4.00
マイクロクリスタリンワックス 3.00
ワセリン 25.00
精製水 15.00
B相
赤色202号 1.50
黄色401号 2.00
A相を80℃にて加温して均一溶解した後、冷却しロールミルで均一に練る。これにB相を添加し脱泡後、型に流し込み急冷して口紅を得た。
【0020】
実施例5 油性ファンデーション(スティックタイプ)
A相 (重量%)
デカイソステアリン酸デカグリセリル 15.00
固形パラフィン 12.50
マイクロクリスタリンワックス 12.00
精製水 10.00
B相
カオリン 23.00
酸化チタン 23.00
ベンガラ 1.00
黄酸化鉄 3.00
黒酸化鉄 0.50
A相を85℃にて加温して均一溶解した後、これに予め混合粉砕したB相を撹拌しながら添加し、コロイドミルで磨砕分散する。脱気後70℃で型に流し込み急冷して、油性ファンデーションを得た。
【0021】
実施例4〜5に示した化粧料について、上記と同様に官能評価を実施した。その結果を表2に示す。
【0022】
【表2】

【0023】
表2に示したとおり、実施例4〜5に示した化粧料は官能面において良好な結果であった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の化粧料は、ファンデーション、固形ファンデーション、パウダーファンデーション、ツーウェイファンデーション、ケーキファンデーション、乳化型ファンデーション、リキッドファンデーション、水性ファンデーション(水おしろい)、油性ファンデーション、粉おしろい、マスカラ、アイシャドー、アイライナー、アイブロー、頬紅、口紅、リップグロス、リップスティック、リップライナーペンシル、ネイルカラー、ベースコート、トップコート等幅広い用途に利用が可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基価から算出した平均重合度2〜20のポリグリセリンと、炭素数8〜22の分枝脂肪酸でエステル化したポリグリセリン分枝脂肪酸エステルを必須成分とする化粧料に、無機顔料、有機顔料、染料及び天然色素から選ばれる色材原料の1種又は2種以上を配合する化粧料。

【公開番号】特開2006−143591(P2006−143591A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331341(P2004−331341)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(390028897)阪本薬品工業株式会社 (140)
【Fターム(参考)】