説明

化粧料

【目的】使用感触(柔らかさ、しっとり感)、保湿効果、化粧持ち改善効果、製剤安定性に優れた粉体化粧料を提供する。
【構成】粉体、トリメチルグリシン、寒天、エステル油、溶媒を含有してなるスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られる処理粉体を配合することを特徴とする化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリメチルグリシン、寒天、エステル油にて表面処理した処理粉体を配合してなる、使用感触(柔らかさ、しっとり感)、保湿効果、化粧持ち改善効果、製剤安定性に優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレードライヤーを用いて粉体の改質を行う方法は、一般的に、凝集の少ない、感触の優れた改質粉体が得られる点で有効な方法であり、親水性高分子や油剤を用いた改質等、数多くの例が報告されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。しかし、寒天のような親水性高分子にて粉体を処理した場合、得られる粉体は粉砕が困難な硬い凝集体なり、感触が著しく悪化する問題があった。噴霧乾燥法、凍結乾燥法、加熱乾燥法等にて粉体を親水性高分子で被覆処理する際に、天然物由来の三糖類であるラフィノースを併用することにより、粉砕が容易で、品質的に安定した粉体が得られることが報告されている(特許文献4参照)。
【0003】
一方、トリメチルグリシンは、帯電防止剤としてヘアコンディショナー、ヘアスプレー等に、保湿剤としてスキンケア化粧品等に汎用されているが、ぬるつき感や原体の潮解性に由来する経時でのべたつき等の感触上の問題があった。トリメチルグリシンとラフィノースを組み合わせて使用することにより、トリメチルグリシンのぬるつき感を改善する効果が得られることが報告されているが(特許文献5参照)、粉体を配合する化粧料に使用した場合には、経時でのべたつきによる粉体成分の凝集や塊化のための製剤特性が著しく損なわれるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−247790号公報
【特許文献2】特許第3524502号明細書
【特許文献3】特許第3524501号明細書
【特許文献4】特開2000−169341号公報
【特許文献5】特開2000−178119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、トリメチルグリシンを粉体と組み合わせる場合の問題点を克服し、使用感触(柔らかさ、しっとり感)、保湿効果、化粧持ち改善効果、製剤安定性に優れた、粉体を含有する化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記事情に鑑み、従来技術の難点を改良せんとして鋭意研究を重ねた結果、トリメチルグリシンと寒天を溶解させた粉体スラリーを、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥させ、粉体表面に高度に分散化されたトリメチルグリシンを被覆させると、トリメチルグリシンのぬるつき感や経時でのべたつき感が抑制され、使用感触が格段に向上した処理粉体が得られることを見出した。さらにエステル油を併用すると、寒天を使用する際の難点である、処理粉体の凝集性の問題が顕著に緩和されることを見出した。そして
、この処理粉体を化粧料に配合したところ、使用感触(柔らかさ、しっとり感)、保湿効果、化粧持ち改善効果、製剤安定性に優れた化粧料を提供できるに至った。
【0006】
即ち、本願第1の発明は、粉体100質量部に対して、トリチルグリシン0.1〜10質量部、寒天0.1〜10質量部、溶媒250〜1000質量部とを含有してなるスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られる処理粉体を配合してなる化粧料にあり、第2の発明は、前記スラリーが、エステル油0.1〜10質量部をさらに含有するものであることを特徴とする、上記処理粉体を配合してなる化粧料にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、トリメチルグリシン、寒天、エステル油にて被覆処理した処理粉体を配合した、使用感触(柔らかさ、しっとり感)、保湿効果、化粧持ち改善効果、製剤安定性に優れた化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。本発明で用いるトリメチルグリシン(ベタイン、トリメチルアミノ酢酸ベタイン)は、グリシンのアミノ基がトリメチル化されて分子内塩を形成している両性物質であり、サトウダイコン、キノコ類、ワタの実、エビ、カニ、貝類等、多くの動植物中に存在している。工業的にはサトウダイコンの副産物である糖蜜から取り出される等、市販品を容易に入手することが可能である。
【0009】
本発明で用いる寒天は、主にテングサ、オゴノリ、マクサ等の海藻を原料に得られる公知の物質で、市販品を容易に入手することが可能であり、1種単独または2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。寒天を溶解させる方法としては、熱水を用いる方法や電子レンジ等を用いて寒天を溶解させる方法等が挙げられる。
【0010】
本発明で用いるエステル油としては、アジピン酸ジデシル、(アジピン酸・2−エチルへキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸バチル、イソステアリン酸フィトステリル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソパルミチン酸2−エチルヘキシル、イソペラルゴン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、エルカ酸オクチルドデシル、オキシステアリン酸オクチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、オレイン酸グリセリル、オレイン酸ジグリセリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸デシル、オレイン酸フィトステリル、カプリル酸セチル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ジヤシ油脂肪酸ペンタエリスリット、ステアリン酸エチル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ジグリセリル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸コレステリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、テトラ
2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリオキシステアリン酸グリセリン、トリカプリル酸グリセリン、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、トリ(カプリル酸・カプリン酸・ミリスチン酸・ステアリン酸)グリセリン、トリウンデシル酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、トリ牛脂脂肪酸グリセリン、トリラノリン脂肪酸グリセリン、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、乳酸オクチルドデシル、乳酸ラウリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ブチル、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ラウリン酸イソステアリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・オクチルドデシル)、ラウリン酸ヘキシル、ラノリン脂肪酸イソステアリル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸グリセリル、リシノレイン酸セチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。これらのうち、フィトステロールエステル類、グリセロールエステル類から選ばれるエステル油が、効果が高いため好ましく用いられる。
【0011】
本発明で用いる粉体の例としては、赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黒色401号等の色素、青色1号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)、大きさに特に制限はない。これら各種の粉体は、それぞれ単独で処理したものを混合しても、混合物としてまとめて処理しても構わない。また、混合物の色を肌色などに調色したものを処理することも可能である。さらに、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の紫外線散乱成分を使用することで紫外線防御機能を有する処理粉体とすることも可能である。
【0012】
本発明では、上記各種の粉体をそのまま本発明の処理に用いても、他の従来公知の表面処理を施した処理粉体として用いても構わない。他の表面処理としては、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等が挙げられる。また、本発明の表面処理を施した後で、配合する化粧料の剤型やその目的に応じて、本願発明の効果を損なわない範囲で、前記各種の表面処理を施しても良い。
【0013】
本発明で用いる溶媒としては、水、特に精製水が最も好ましいが、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールと水との混合物を使用することも可能である。
【0014】
本発明の処理粉体は、粉体100質量部に対して、トリメチルグリシン0.1〜10質量部、寒天0.1〜10質量部、溶媒250〜1000質量部とを含有してなるスラリーを調製し、このスラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥させることにより製造する。スラリーは上記各成分を溶媒中で攪拌混合することにより製造されるが、トリメチルグリシンと寒天を事前に溶媒中に溶解させてから、粉体を投入したほうがより均一な処理粉体が得られるため好ましい。粉体に対してトリメチルグリシン量が上記範囲より少ないと処理の効果が得られず、上記範囲を超えると粉体表面上にトリメチルグリシンを高度に分散化された状態で処理することが難しくなる。本発明ではトリメチルグリシンを寒天と共に処理することにより、トリメチルグリシンのぬるつき感や経時でのべたつき感を顕著に抑制することが可能となるが、寒天の処理量が上記の範囲を超えると、処理粉体が粉砕困難な凝集体を形成するという寒天の欠点が顕在化する惧れがある。また、処理量に加えて、寒天の量をトリメチルグリシンの量を超えないようにすることが、粉体の凝集化を防ぐためにも好ましい。溶媒量は、生産性や処理状態の(品質)の安定制御の点から、上記範囲とすることが好ましい。スラリーの温度は、特に限定されないが、寒天、トリメチルグリシンを完全に溶解させ、その他の成分の分散状態を高めることから、70〜95℃の範囲とすることが好ましい。
【0015】
本発明では、前記スラリーにおいて、粉体100質量部に対して、エステル油を0.1〜10質量部をさらに含有させて処理することも可能である。エステル油を併用して処理することにより、寒天を用いる欠点である粉砕困難な凝集体の形成の危険度を顕著に緩和することが可能となる。エステル油の量が上記範囲に満たないと十分な効果が得られず、上記範囲を超えてもそれに見合った効果の上昇は見られない。
【0016】
本発明で使用するスプレードライヤーは、噴霧微細化方式がディスク式、ノズル式のどちらでも用いることができ、乾燥温度条件としては150〜250℃の範囲が好ましく、180〜200℃の範囲が特に好ましい。
【0017】
上記の処理粉体を配合してなる、本発明の化粧料は、トリメチルグリシンと寒天の効果により、保湿効果、しっとり感に優れ、ぬるつき感や経時でのべたつき感が抑えられたものとなる。さらにエステル油との併用の効果により、感触が一段と向上し、化粧料処方中での粉体の安定性にも優れたものとなる。化粧料中における処理粉体の配合量は、その剤型により異なるが、化粧料の総量を基準として、0.1〜99質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜95質量%である。また、化粧料中の全粉体量に対して、本願処理粉体が10質量%以上であることが好ましい。
【0018】
本発明の化粧料には、上記の各成分以外に、通常化粧料に用いられる油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤(有機系、無機系を含み、UV−A、Bのいずれに対応していても構わない)、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤等の成分を使用することができる。
【0019】
上記の油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性および不揮発性の油剤、溶剤、ならびに樹脂等が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体のいずれであっても構わない。油剤の例としては、例えばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ミリ
スチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等のエステル類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等のロウ、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等の油脂、ポリエチレンワックス、エチレン・α−オレフィン・コオリゴマー、エチレンプロピレンポリマー等が挙げられる。
【0020】
また、別の形態の油剤の例としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等のシリコーン化合物、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール等のフッ素化合物が挙げられる。
【0021】
粉体の例としては、前記の粉体とその一般的な表面処理物が挙げられる。
【0022】
溶媒の例としては、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【0023】
界面活性剤としては、例えばアニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤を用いることができる。
【0024】
粘剤、樹脂の例としては、ポリアクリル酸ナトリウム、セルロースエーテル、アルギン酸カルシウム、カルボキシビニルポリマー、エチレン/アクリル酸共重合体、ビニルピロリドン系ポリマー、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体、窒素置換アクリルアミド系ポリマー、ポリアクリルアミド、カチオン化ガーガム等のカチオン系ポリマー、ジメチルアクリルアンモニウム系ポリマー、アクリル酸メタクリル酸アクリル共重合体、POE/POP共重合体、ポリビニルアルコール、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、ガーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン、セルロース、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、カチオン化シリコーン重合体、合成ラテックス等が挙げられる。
【0025】
本発明における化粧料とは、粉体を構成成分として含有する化粧料を指し、例えばファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、チーク、口紅、ネイルカラー等のメイクアップ化粧料や、ボディパウダーやベビーパウダーのようなボディ用化粧料等が挙げられる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例、製造例及び比較例に基づいて本発明を詳明する。実施例及び比較例の化粧料の各種特性に対する評価方法を以下に示す。
皮膚有用性評価
専門パネラーを各評価項目ごとに10名ずつ用意し(但し、項目によりパネラーが重複
する場合もある)、表1に示す評価基準に従って評価を行い、全パネラーの合計点数を以て評価結果とした。従って、点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す。(満点:50点)
[表1]
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基 準 点 数
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効果が高く感じられる 5
効果が感じられる 4
効果はやや感じられる 3
効果はわずかしか感じられない 2
効果が感じられない 1
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製造例1
80℃以上に加熱攪拌した精製水1800gに、寒天8g、トリメチルグリシン16gを添加し、完全に溶解するまでよく加熱攪拌を行った。これに酸化チタン400gを加え均一に分散させた。このように調製したスラリーを、温度を80℃以上に保ちながら、スプレードライヤー(大川原化工機社製)を用いて、乾燥温度200℃、噴霧圧力1.96×10Paにて噴霧乾燥させ、処理粉体1を330g得た。
製造例2
80℃以上に加熱攪拌した精製水2000gに、寒天8g、トリメチルグリシン20gを添加し、完全に溶解するまでよく加熱攪拌を行った。これに混合顔料(酸化チタン20質量部、セリサイト10質量部、マイカ20質量部の割合で混合したもの)400gを加え均一に分散させたところに、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン8gを加え攪拌を続けた。このように調製したスラリーを、温度を80℃以上に保ちながら、スプレードライヤー(大川原化工機社製)を用いて、乾燥温度200℃、噴霧圧力1.96×10Paにて噴霧乾燥させ、処理粉体2を335g得た。
製造例3
80℃以上に加熱攪拌した精製水2200gに、寒天6g、トリメチルグリシン10gを添加し、完全に溶解するまでよく加熱攪拌を行った。これに混合顔料(赤色202号1質量部、赤色201号0.5質量部、ベンガラ1質量部、酸化チタン1.5質量部、雲母チタン3質量部、酸化鉄処理雲母チタン5質量部の割合で混合したもの)400gを加え均一に分散させたところに、トリイソステアリン酸グリセリン6gを加え攪拌を続けた。このように調製したスラリーを、温度を80℃以上に保ちながら、スプレードライヤー(大川原化工機社製)を用いて、乾燥温度200℃、噴霧圧力1.96×10Paにて噴霧乾燥させ、処理粉体3を320g得た。
比較製造例1
酸化チタン400gに対して、寒天8g、トリメチルグリシン16gを加え、ミキサーにて攪拌を行い、混合粉体1を424g得た。
比較製造例2
混合顔料(酸化チタン20質量部、セリサイト10質量部、マイカ20質量部の割合で混合したもの)400gに対して、寒天8g、トリメチルグリシン20g、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン8gを加え、ミキサーにて攪拌を行い、混合粉体2を435g得た。
比較製造例3
混合顔料(赤色202号1質量部、赤色201号0.5質量部、ベンガラ1質量部、酸化チタン1.5質量部、雲母チタン3質量部、酸化鉄処理雲母チタン5質量部の割合で混合したもの)400gに対して、寒天6g、トリメチルグリシン10g、トリイソステアリン酸グリセリン6gを加え、ミキサーにて攪拌を行い、混合粉体3を422g得た。
実施例1(ファンデーション)
表2に示す処方と下記製造方法に従い、ファンデーションを作製した。尚、顔料としては製造実施例1、2で製造した処理粉体1、2を用いた。
[表2]
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成分名 配合量(質量%)
――――――――――――――――――――――――
成分A
(1)ベンガラ 0.5
(2)黄酸化鉄 2.0
(3)黒酸化鉄 0.2
(4)処理粉体1(製造例1) 5.3
(5)処理粉体2(製造例2) 50.0
(6)タルク 20.0
(7)板状硫酸バリウム 5.0
(8)球状ナイロンパウダー 5.0
成分B
(9)流動パラフィン 4.0
(10)リンゴ酸ジイソステアリル 4.0
(11)ジメチルポリシロキサン 4.0
――――――――――――――――――――――――
製造方法
成分Aをミキサーにて混合した。次いで、均一に混合・溶解した成分Bを成分Aに加えてさらに混合した。得られた粉末をアトマイザーにて粉砕し、メッシュを通した後、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
比較例1(全て未処理の粉体を使用した例)
表3に示す処方と下記製造方法に従い、ファンデーションを作製した。
[表3]
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成分名 配合量(質量%)
――――――――――――――――――――――――
成分A
(1)ベンガラ 0.5
(2)黄酸化鉄 2.0
(3)黒酸化鉄 0.2
(4)酸化チタン 25.3
(5)セリサイト 10.0
(6)マイカ 20.0
(7)タルク 20.0
(8)板状硫酸バリウム 5.0
(9)球状ナイロンパウダー 5.0
成分B
(10)流動パラフィン 4.0
(11)リンゴ酸ジイソステアリル 4.0
(12)ジメチルポリシロキサン 4.0
――――――――――――――――――――――――
製造方法
成分Aをミキサーにて混合した。ついで、均一に混合・溶解した成分Bを成分Aに加えてさらに混合した。得られた粉末をアトマイザーにて粉砕し、メッシュを通した後、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
比較例2(スプレードライヤーによる処理をせず、各成分を単純混合物として加えた例)
表2の処方中の(4)処理粉体1及び(5)処理粉体2の代わりに、比較製造例1の混合粉体1及び比較製造例2の混合粉体2を用いた他は、実施例1と同様にしてファンデーションを作製した。
実施例2(口紅)
表4に示す処方と下記製造方法に従い、口紅を作製した。但し、顔料としては製造例3で製造した処理粉体3を用いた。
[表4]
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成分名 配合量(質量%)
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成分A
(1)パラフィン 8.0
(2)セレシン 6.0
(3)キャンデリラロウ 2.0
(4)リンゴ酸ジイソステアリル 20.0
(5)トリ-2-ヘプチル 10.0
ウンデカン酸グリセリル
(6)液状ラノリン 5.0
(7)イソノナン酸イソトリデシル 5.0
(8)トリオクタン酸グリセリル 残量
成分B
(9)処理粉体3(製造例3) 12.0
――――――――――――――――――――――――
製造方法
成分Aを90℃にて溶解後、成分Bを混合し、ローラーを用いてさらに混合・粉砕を行った後、再溶解、脱気を行い、金型に充填し、冷却後とり出して容器に設置し製品を得た。
比較例3(スプレードライヤーによる処理をせず、各成分を単純混合物として加えた例)
表4の処方中の(9)処理粉体3の代わりに、比較製造例3の混合粉体3を用いた他は、実施例2と同様にして口紅を作製した。
【0027】
上記の各実施例および比較例で得られた化粧料の評価結果を表5に示す。
[表5]
(評価結果)
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評価項目
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感触の しっとり 保湿 化粧持ち 経時での
なめらかさ 感 効果 改善効果 べたつき抑制
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実施例1 44 43 46 44 42
比較例1 29 28 22 13 35
比較例2 17 34 35 30 15
実施例2 42 40 43 42 42
比較例3 20 33 30 30 20
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表5の結果より、本発明の各実施例は比較例と比べてより高い効果を示していることが判った。実施例1は本発明の処理粉体を用いたファンデーションに関するものであり、いずれの評価項目に関しても高い評価を得た。また、実施例2は本発明の処理粉体を用いた口紅(油性化粧料)に関するものであり、同様に各評価項目に関して高い評価を得た。これに対して、比較例1は全て未処理の粉体で製造した例であり、各項目の評価は低かった。比較例2、3は製品中に粉体、トリメチルグリシン、寒天、エステル油を単純混合物として加えた例であるが、単純に混合したものを加えただけでは、感触のなめらかさや経時でのべたつき抑制効果において効果が発揮されていないことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のトリメチルグリシン、寒天、エステル油をスプレードライヤーにて被覆処理した処理粉体を配合することで、使用感触(柔らかさ、しっとり感)、保湿効果、化粧持ち改善効果、製剤安定性に優れた化粧料を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体100質量部に対して、トリチルグリシン0.1〜10質量部、寒天0.1〜10質量部、溶媒250〜1000質量部とを含有してなるスラリーを、スプレードライヤーにより噴霧乾燥して得られる処理粉体を配合してなる化粧料。
【請求項2】
前記スラリーが、エステル油0.1〜10質量部をさらに含有するものであることを特徴とする、請求項1記載の処理粉体を配合してなる化粧料。

【公開番号】特開2006−8559(P2006−8559A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186164(P2004−186164)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504180206)株式会社カネボウ化粧品 (125)
【Fターム(参考)】