説明

化粧料

【課題】感触に優れ、均質な化粧塗膜を持ち、かつ自然な肌質感を持つ化粧料を得ること。
【解決手段】オートクレーブを用いて製造された平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される見かけ上の平均粒子径が0.1〜3μmである球状二酸化チタン集合体と平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料とを配合した化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料として優れたすべり性を有する球状二酸化チタン集合体を使用した粉末化粧料に関する。
また、本発明は、(X) 球状二酸化チタン集合体と(Y)摩擦が強い特性を有する平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料とを組み合わせて用いることで感触に優れ、かつ均質な化粧塗膜を持った化粧料に関する。
さらに、本発明は、(X)、(Y)両成分の組合せにより化粧塗膜が自然な肌質感を持つことを特徴とする化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタンの製造方法としては、代表的には硫酸チタニルや塩基性硫酸チタンを原料とする硫酸法、四塩化チタンを酸化分解するか四塩化チタン水溶液を熱加水分解する塩素法が知られているが、近年、オートクレーブを利用した、いわゆるオートクレーブ法によって製造することも知られている。
以前、本発明者らは、特許文献1にあるようにオートクレーブ法によって球状二酸化チタン集合体がすべり性を改善することを見出した。
また、このすべり性は粒子径が大きくなったことによるものではなく、特許文献2等において類似の凝集体を形成した酸化チタンでは、すべり性が認められないことからみて、オートクレーブを用いて製造されたこの粒子に特有の性質であることを見出すことができた。
一方、化粧料においてすべり性を向上させる素材は各種知られている。例えば摩擦が少ないことが知られている特許文献3の窒化ホウ素、ベアリング効果ですべり性に優れる特許文献4の球状シリコーンレジンパウダー、板状でなめらかな感触を持つ特許文献5の板状硫酸バリウム等が挙げられる。しかしながら、これらの素材は、全て隠蔽力に劣る特性があり、隠蔽力に優れたすべり性素材としては、球状二酸化チタン集合体が特に優れた性質を持っていることが判明した。
また、隠蔽力を高めるために被覆力のある酸化チタンを多量に配合した場合には、太陽光のように強い光の下では、青みがでる一般的に白浮きと呼ばれる現象があり、色調での被覆はできるものの不自然なメイクアップの仕上がりに見えるという問題があった。そこで、平均粒子径が0.5〜1.5μm及び/又は0.1〜0.5μmの酸化チタンを特定割合量併用することによって、自然仕上がりを向上せしめることも報告された(引用文献6)が、すべり性という面で満足すべきものではなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2000−191325号公報
【特許文献2】特開平11−158035号公報
【特許文献3】特開昭61−100508号公報
【特許文献4】特開昭63−297313号公報
【特許文献5】特開昭61−129107号公報
【特許文献6】特開2005−225827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、化粧料、特にパウダーファンデーションにおいては、摩擦が強い粉体は塗布し始めの段階で多く肌に付着し、摩擦が弱い粉体は塗布し始めの段階では付着量が少ない傾向を持つ。この傾向が顕著になると化粧が汚く見えるため、造粒技術や油剤成分であるバインダーの効果を利用してなるべく塗膜が均一に見えるように工夫されている。
しかしながら、化粧塗膜を電子顕微鏡等で観察すると、実際には均一に見える塗膜であっても、顔料の付着状態、分布は異なることが多い。特に平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料は、他の粒子と造粒状態で挙動しているか、バインダーと一緒になって挙動していることが多い。また、平均一次粒子径が0.15〜0.3μmの範囲にある顔料級酸化チタンは、隠蔽材料として必須の素材であるが、摩擦が強く、塗布初期の付着量が多くなり勝ちであるので、ユーザーは重ねづけ等の化粧テクニックでこれらの問題に対応しているのが実態であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、隠蔽力があり、すべり性に優れた(X)球状二酸化チタン集合体と(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料を組み合わせて用いることにより、隠蔽力の変化を抑制し、より均質な化粧塗膜をつくることに成功した。
得られた塗膜は、さらっとしていて感触にも優れていた。
本発明で使用する、(X)球状二酸化チタン集合体は、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料と混合すると、両者は化粧料塗布時にばらばらに挙動するのではなく、比較的協同して挙動する傾向があり、このことが均質な化粧塗膜をつくることに役立っていると考えられる。
さらに、(X)この球状二酸化チタン集合体は、顔料級酸化チタンと比べて透明感に優れており、上記無機顔料と組み合わせて使用することで塗膜の透明感をより向上させ、自然な肌質感を持つ化粧塗膜を得ることができた。
【0006】
すなわち、本発明の基本的な構成は、(X)オートクレーブを用いて製造された平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される見かけ上の平均粒子径が0.1〜3μmである球状二酸化チタン集合体と、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料とを配合した化粧料にある。
【0007】
第2の発明は、(Y)無機顔料が、(Y1)平均一次粒子径0.005〜0.1μmの範囲にある二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム及びその誘導体、無水珪酸又はアルミナの1種以上から選ばれることを特徴とする上記の化粧料にある。
【0008】
第3の発明は、(Y)無機顔料が、(Y2)平均一次粒子径0.15〜0.3μmの範囲にある二酸化チタン、黄色酸化鉄、ベンガラ又は黒色酸化鉄の1種以上から選ばれることを特徴とする上記の化粧料にある。
【0009】
第4の発明は、(X)球状二酸化チタン集合体1質量部に対して、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料の合計配合質量が0.1〜10質量部の範囲にあることを特徴とする上記の化粧料にある。
【0010】
第5の発明は、さらにセルロース系粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、金属石鹸、アルギン酸系粉末、シルク末、ウレタン系粉末、アクリル系粉末又はシリコーンエラストマーから選ばれる1種以上を配合したことを特徴とする上記の化粧料にある。
【0011】
第6の発明は、(X)球状二酸化チタン集合体と(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料がシリコーン化合物、アルキルシラン化合物、金属石鹸又はフッ素化合物から選ばれる1種以上の表面撥水化処理されたものであることを特徴とする上記の化粧料にある。
【発明の効果】
【0012】
以上説明するように、本発明の化粧料では、(X)球状二酸化チタン集合体を (Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料を組み合わせて使用すると、肌上で両者が協同して挙動するため、塗膜の均一性が高いメリットがある。
すなわち、本発明の化粧料は、(X)オートクレーブを用いて製造された平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される見かけ上の平均粒子径が0.1〜3μmである球状二酸化チタン集合体と(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料とを配合することで、感触に優れ、均質な化粧塗膜を持ち、かつ自然な肌質感が優れているという効果が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、上記本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる(X)球状二酸化チタン集合体とは、図1に示すような球状〜略球状の形状を持つ酸化チタン集合体であり、平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される、見かけ上の平均粒子径が0.1〜3μmのものである。
ここで平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子は、X線回折法により測定された数値を用いている。また、見かけ上の平均粒子径としては、走査型電子顕微鏡観察やレーザー回折法により得られたものが使用可能であるが、走査型電子顕微鏡観察により得られたものを用いることが好ましい。
【0014】
本発明における(Y)球状二酸化チタン集合体は、チタン塩溶液に該溶液中に含まれているチタン塩のTiO2 換算での重量に対して過酸化水素水をH2 2 換算で0.5〜20質量%添加し、オートクレーブ中で昇温速度0.1〜2℃/分、設定温度150〜230℃で、1時間以上水熱処理することによって得ることができる。
原料に使用するチタン塩溶液は、特に限定されることなく各種のものが使用可能であるが、例えば、硫酸チタン又はオキシ硫酸チタン等の硫酸塩の溶液が好適に用いられ、特にオキシ硫酸チタン溶液が好ましい。
【0015】
また、本発明では、平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子を製造するのに、オートクレーブを使用して製造しているが、オートクレーブ中での水熱処理は、150〜230℃(6〜28kg/cm2 )の温度で行うことが好ましく、特に180〜210℃(10〜20kg/cm2 )で水熱処理することが好ましい。
この処理温度が、150℃より低くなったり、230℃より高くなると、チタン塩の加水分解物の溶解・析出速度のバランスがくずれ、形状が不均一になったり、あるいは一次粒子界面での結合が活発になるため、粒界がなくなり、集合体ではなく一つの大きな粒子に変化するおそれがある。
また、昇温速度が速すぎる場合も、上記処理温度の場合と同様の悪影響を与えるため、昇温速度0.1〜2℃/分で昇温することが必要であり、特に1.0〜1.5℃/分で昇温することが好ましい。また、処理時間は、短すぎると水熱処理によるチタン塩の加水分解が充分に進行しないので、1時間以上が必要であり、12時間程度までが適している。
【0016】
本発明で用いる(X)球状二酸化チタン集合体の見かけ上の平均粒子径は0.1〜3μmの範囲にあるが、すべり性を指標にした場合、粒子径が大きくなる程すべり性は良くなる。
一方、付着性は、粒子径が小さいほど良くなる特性があり、これらの領域にある複数の大きさの(X)球状二酸化チタン集合体を組み合わせて使用するか、すべり性と付着性が両立する0.3〜1μmの範囲のものを使用することが好ましい。
【0017】
本発明の化粧料では、上記(X)球状二酸化チタン集合体と共に(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料を用いるが、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料は、一般に肌に対する摩擦や付着性が強く、きしみを感じる顔料である。
本発明の化粧料では、上記(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料を、すべり性に優れる上記(X)球状二酸化チタン集合体と組み合わせて使用することにより、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料のきしみ感を改善すると共に、化粧塗膜の均一性を向上させる。
【0018】
一般に化粧料において、緻密、微細で絹光沢・真珠様光沢を現出する添加剤として用いられるセリサイト、タルク等の滑剤は、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料と併用すると、肌上でばらばらに挙動する場合が多い。
しかしながら、本発明におけるように、(X)球状二酸化チタン集合体を (Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料を組み合わせて使用すると、肌上で両者が協同して挙動するため、塗膜の均一性が高いメリットがある。このメリットが得られやすい配合領域としては、(X)球状二酸化チタン集合体1質量部に対して、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料の合計配合質量が0.05〜20質量部の範囲が挙げられ、好ましくは0.1〜10質量部の範囲にあることが好ましい。
【0019】
本発明における(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料としては、従来化粧料に用いられるものであれば、特に限定されない。
また、形状についても球状、棒状、紡錘状又は不定形状等特に限定されない。
これらの例としては、例えば二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、微粉砕タルク、カオリン、微粉砕セリサイト、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、第二リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化ボロン、シリカ、アルミナ、黒酸化鉄、ベンガラ、黄色酸化鉄、酸化コバルト又は低次酸化チタン等が挙げられる。
【0020】
これらの内、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料が、(Y1)平均一次粒子径0.005〜0.1μmの範囲にある二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム及びその誘導体、無水珪酸又はアルミナの1種以上から選ばれることが好ましい。これらの顔料は、球状二酸化チタン集合体と一緒に挙動することで、紫外線防御効果、皮脂吸着効果等の特性をより有効に示すことができる。
【0021】
一方、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料が、(Y2)平均一次粒子径0.15〜0.3μmの範囲にある二酸化チタン、黄色酸化鉄、ベンガラ又は黒色酸化鉄の1種以上から選ばれることも有効である。特に、二酸化チタンについては、化粧料のカバー力の均一化を図るのに有効であり、好ましい。
【0022】
本発明の化粧料では、上記の各種顔料は、各種の表面処理が行われていてもいなくても構わないが、何らかの表面処理が行われていることが好ましい。
撥水化表面処理の例としては、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛処理等の金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理等のシラン処理、有機チタネート処理、有機アルミネート処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理、N-ラウロイル-L-リジン処理等のアミノ酸処理、スクワラン処理等の油剤処理、アクリル酸アルキル処理等のアクリル処理等が挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
また、親水化表面処理の例としては、寒天処理、デオキシリボ核酸処理、レシチン処理、ポリアクリル酸処理、シリカ処理、アルミナ処理又はジルコニア処理等が挙げられる。
【0023】
これらの表面処理の内、特にパウダーファンデーション、パウダーアイシャドウ又は頬紅等の粉末化粧料において、本発明を適用する場合は、(X)球状二酸化チタン集合体と(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料がシリコーン化合物、アルキルシラン化合物、金属石鹸又はフッ素化合物から選ばれる1種以上の表面撥水化処理されたものであることが好ましい。これらの表面処理は、帯電性が高く、(X)球状二酸化チタン集合体と(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料が協同して挙動する効果をより高めることができるメリットがある。
【0024】
本発明の化粧料では、上記の各顔料以外に通常化粧料に用いられる各種の顔料、紫外線吸収剤、油剤、顔料、界面活性剤、フッ素化合物、樹脂、粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤又は生理活性成分等の成分を使用することができる。
【0025】
顔料としては、例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、タール色素又は天然色素等が挙げられる。この内、特に上記の各顔料以外にセルロース系粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、金属石鹸、アルギン酸系粉末、シルク末、ウレタン系粉末、アクリル系粉末又はシリコーンエラストマーから選ばれる1種以上を配合すると、化粧塗膜の質感をより自然に見せることができる。
【0026】
本発明で用いる(X)球状二酸化チタン集合体は、粒子径が大きい分、その間隙が大きく、顔料級酸化チタンと比較して透明感が強い顔料であるが、上記顔料と組み合わせることでよりその透明感を高めることが可能である。また、追加する顔料も前記同様各種の表面処理が行われていることが好ましい。これらの具体的な例としては、前記の大きさ、形状に該当する素材を除く次のような成分が挙げられる。
【0027】
追加する顔料類の無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン又はシリカ等が挙げられる。
【0028】
また、有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、12ナイロンや6ナイロン等のナイロンパウダー、ポリアクリルパウダー、ポリアクリルエラストマー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等が挙げられる。
【0029】
さらに、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等が挙げられる。有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等が挙げられる。
【0030】
さらに、パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母又は酸化チタン・酸化鉄被覆マイカ等が挙げられる。
【0031】
金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられる。天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン又はクロシン等から選ばれる顔料が挙げられる。
この内、パール顔料は、肌にツヤ感を与える等特徴があり、本発明と組み合わせて用いると、塗布膜の透明感をより強調できることから使用が好ましい成分である。
【0032】
本発明で用いる有機系紫外線防御成分としては、例えばパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名が挙げられる。パラメトキシケイ皮酸オクチル)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルPABA、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体及びシラン誘導体等が挙げられる。
【0033】
また、有機系紫外線防御成分がポリマー粉末中に封止されたものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくても良く、平均一次粒子径としては0.1〜50μmの範囲にあれば良く、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。
ポリマーの種類としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン又はアクリルアミド樹脂等が挙げられる。
【0034】
本発明の化粧料で用いる油剤としては、例えばアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス又はワセリン等が挙げられる。
【0035】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸又は12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
高級アルコール系の油剤としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)又はモノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0036】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル又はリンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
【0037】
グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル又はミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。
【0038】
また、ジメチルオルガノポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、アルコール性水酸基含有オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン等のシリコーン油も好ましく用いることができる。また、これらのシリコーンのシリコーン鎖長に制限はなく、重合度で1〜30000位の範囲であれば用いることが可能である。
【0039】
また、フッ素変性シリコーン、パーフルオロポリエーテル、フッ化ピッチ、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等のフルオロカーボン、フルオロアルコール又はパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系油剤を配合することも可能である。
【0040】
本発明で用いる保湿剤としては、例えばソルビトール、マルトース、マルチトール等の糖アルコール等、ステロールとして、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、ラフィノース、トレハロース、キシリトール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド又はエチルグルコシド等が挙げられる。
【0041】
本発明で用いる増粘剤としては、アラビアゴム、トラガカント、アラビノガラクタン、ローカストビーンガム(キャロブガム)、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、スメクタイト、サポナイト、ヘクトライト又は無水ケイ酸等の無機系増粘剤等が挙げられる。
【0042】
また、他の増粘剤として、油溶性ゲル化剤があり、例えば、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイト又はオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムモンモリナイト等の有機変性粘土鉱物等から選ばれる少なくとも1種のゲル化剤を用いることができる。
【0043】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤があるが、特に制限されるものではなく、製剤の種類によって適宜選択され、通常化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。
以下に具体的に例示すると、アニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩又はN−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
【0044】
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩、芳香族四級アンモニウム塩、ピリジウム塩又はイミダゾリウム塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、アルカノールアミド、糖エーテル又は糖アミド等が挙げられる。
【0045】
両性界面活性剤としては、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体、ポリエーテル変性シリコーン、側鎖又は末端にグリセリル基又はポリグリセリル基を有するシリコーン化合物、糖変性シリコーン等が挙げられる。
界面活性剤の配合量としては、化粧料の総量に対して0.1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜10質量%である。また、界面活性剤は1種、又は2種以上を用いることが可能である。
【0046】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素又はフェノキシエタノール等がある。
【0047】
本発明で用いる揮発性成分としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン等の揮発性シリコーン、テルペン系油剤、イソパラフィン系油剤、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系油剤等が挙げられる。
【0048】
本発明で用いる樹脂成分としては、上記ワックス類の他に、トリメチルシロキシケイ酸、フッ素化シリコーンレジン等のシリコーンレジン系樹脂、アクリルシリコーン、アルキル変性シリコーン又はポリアミド変性シリコーン等の変性シリコーン類を用いることができる。ワックス類を含めた樹脂成分は、球状二酸化チタン集合体を肌に固定するのに有効で、化粧持続性の向上に役立つメリットがある。
【0049】
本発明で用いる生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。その中でも、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分又は生薬成分が特に好ましい。
本発明では、これらの生理活性成分を1種、又は2種以上配合することが好ましい。特に本発明で用いた球状二酸化チタン集合体は多孔質であり、これらの生理活性成分を保持する効果を有しているため、事前に生理活性成分と球状二酸化チタン集合体を混合し、生理活性成分を保持した形で配合することも好ましい。
【0050】
これらの生理活性成分としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス又はローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0051】
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ、またキレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム又はリン酸等が挙げられる。
【0052】
また、エラストマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、架橋型シリコーン末、シリコーンゲル、ポリエーテル変性シリコーンゲル、ポリグリセリン変性シリコーンゲル又はアクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。
【0053】
本発明の化粧料の用途として、主にメイクアップ化粧料が挙げられ、例えば、ファンデーション、コンシーラー、白粉、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、チーク、ネイルカラー、リップクリーム、口紅、サンスクリーン剤、化粧下地料等が挙げられるが、特にファンデーション、コンシーラー、口紅、ネイルカラーに好適である。
また、製品の形態についても、特に限定は無く、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状又はスティック状等のであってよい。
【0054】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
〔実施例1〕
表1に示す処方によりファンデーションを作成した。
(X)球状二酸化チタン集合体として、オートクレーブを用いて製造された平均一次粒子径が0.03μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される、見かけ上の平均粒子径が0.9μmである球状二酸化チタン集合体(アナターゼ型酸化チタン)をメチルハイドロジェンポリシロキサンにて2質量%焼付け処理した試料を用いた。
また、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料としては、平均一次粒子径が0.28μmのルチル型酸化チタンを同じくメチルハイドロジェンポリシロキサンにて2質量%焼付け処理した試料と、平均一次粒子径35nmのシリコーン処理微粒子酸化チタンを用いた。
なお、表中の単位は質量%であり、粒径は、平均一次粒子径を意味する。
【0056】
【表1】

【0057】
成分Aをミキサーを用いて混合粉砕し、その上から均一に溶解した成分Bを加え、さらに混合、粉砕した。次いで得られた混合物をメッシュ(60メッシュ)に通した後、金型を用いて金皿に打型して製品を得た。
【0058】
〔比較例1〕
実施例1において、シリコーン処理球状二酸化チタン集合体の代わりにシリコーン処理ルチル型酸化チタンを用いた他は全て実施例1と同様にして製品を得た。
【0059】
〔実施例2〕
以下の表2に示す処方によりルースパウダーを作成した。
(X)球状二酸化チタン集合体としてオートクレーブを用いて製造された平均一次粒子径が0.02μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される見かけ上の平均粒子径が0.4μmである球状二酸化チタン集合体(アナターゼ型酸化チタン)をオクチルトリエトキシシランにて2質量%焼付け処理した試料を用いた。
また、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料としては、平均一次粒子径が30nmのメチルハイドロジェンポリシロキサンにて3質量%焼付け処理したシリコーン処理微粒子酸化亜鉛を用いた。
なお、表中の単位は質量%である。
【0060】
【表2】

【0061】
成分Aをミキサーを用いて混合粉砕し、その上から成分Bを加え、さらに混合、粉砕した。次いで得られた混合物をメッシュ(60メッシュ)に通した後、容器に充填して製品とした。
【0062】
〔比較例2〕
実施例2において、シリコーン処理微粒子酸化亜鉛の代わりにオクチルシリル化球状二酸化チタン集合体を用いた他は全て実施例2と同様にして製品を得た。
【0063】
〔実施例3〕
以下の表3に示す処方によりW/O型リクイドファンデーションを作成した。
(X)球状二酸化チタン集合体としてオートクレーブを用いて製造された平均一次粒子径が0.05μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される見かけ上の平均粒子径が1.2μmである球状二酸化チタン集合体(アナターゼ型酸化チタン)を用いた。
また、(Y)平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料としては、オクチルトリエトキシシランにて3質量%処理した平均一次粒子径が15nmの微粒子酸化チタンと、オクチルトリエトキシシランにて3質量%処理した平均一次粒子径が20nmの微粒子酸化亜鉛と、ステアリン酸亜鉛にて3質量%処理した平均一次粒子径が0.22μmの酸化チタンを用いた。
なお、表中の単位は質量%である。
【0064】
【表3】

【0065】
[製造方法]
成分Aを良く混合し、粉砕した。これを70℃にて均一に溶解した成分Bに加え、よく撹拌した。ここに70℃にて均一に溶解させた成分Cを撹拌下に加え、ホモミキサーにて良く混合しながら冷却した後、容器に充填して製品を得た。
【0066】
〔比較例3〕
実施例3で用いた球状二酸化チタン集合体の代わりに平均一次粒子径が1.2μmの不定形の形状を持つ酸化チタンを用いた他は全て実施例3と同様にして製品を得た。
【0067】
以下の表4に実施例及び比較例の評価結果を示す。
評価結果は、パネラー10名を用い、実際に試験する製品を半顔ずつ塗布してもらい、その結果をアンケート形式で評価した。
また、評価は、それぞれ0〜5点の点数で行い(0点は評価が悪く、5点は評価が良いことを示す)、パネラー全員の平均点を以って評価結果とした。
従って、点数が高い程各評価項目に対して優れていると判断されていることを示している。
【0068】
【表4】

【0069】
上記(表4)の結果から、本発明の実施例は比較例と比べて感触に優れ、かつ均質な化粧塗膜を持ち、さらに、化粧塗膜が自然な肌質感を持っていることがわかる。
比較例1は、実施例1のシリコーン処理球状二酸化チタン集合体の代わりにシリコーン処理ルチル型酸化チタンを用いた例(球状二酸化チタン集合体を用いない例)であるが、すべすべ感がなくなり、化粧がきれいでない、不自然と評価されていることがわかる。
次に、比較例2は、実施例2のシリコーン処理微粒子酸化亜鉛の代わりにオクチルシリル化球状二酸化チタン集合体を用いた例(平均一次粒子径が0.005〜0.3μmの範囲にある無機顔料を用いない例)であるが、なめらかさ等の塗布感は向上したものの、やや粉があばれて、化粧塗膜が均質でなくなり、質感も悪くなった。
さらに、比較例3は、実施例3の球状二酸化チタン集合体の代わりに平均一次粒子径が1.2μmの不定形の形状を持つ酸化チタンを用いた例(球状二酸化チタン集合体を用いずに、同等の粒子径の酸化チタンを用いた例)であるが、塗布時の感触が悪くなっていること、化粧塗膜の特性も劣っていることがわかる。
総体的に、実施例は比較例と比べて肌にハリがあるように見えるとの評価であった。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】球状二酸化チタン集合体の走査型電子顕微鏡写真の例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(X)平均一次粒子径が0.01〜0.07μmの二酸化チタンの小球状粒子から形成される見かけ上の平均粒子径が0.1〜3μmである球状二酸化チタン集合体と、(Y)(Y1)平均一次粒子径が0.005〜0.1μmの範囲にある無機顔料及び/又は(Y2)平均一次粒子径が0.15〜0.3μmの範囲にある無機顔料とを配合した化粧料。
【請求項2】
(Y1)平均一次粒子径0.005〜0.1μmの範囲にある無機顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム及びその誘導体、無水珪酸又はアルミナの1種以上から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(Y2)平均一次粒子径0.15〜0.3μmの範囲にある無機顔料が、二酸化チタン、黄色酸化鉄、ベンガラ又は黒色酸化鉄の1種以上から選ばれることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の化粧料。
【請求項4】
(X)球状二酸化チタン集合体1質量部に対して、(Y)無機顔料の合計配合質量が0.1〜10質量部の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
さらに(Z)セルロース系粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、金属石鹸、アルギン酸系粉末、シルク末、ウレタン系粉末、アクリル系粉末、シリコーンエラストマーから選ばれる1種以上を配合したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
(X)球状二酸化チタン集合体と(Y)無機顔料が、シリコーン化合物、アルキルシラン化合物、金属石鹸、フッ素化合物から選ばれる1種以上の表面撥水化処理されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2007−84478(P2007−84478A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274806(P2005−274806)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000215800)テイカ株式会社 (108)
【Fターム(参考)】