説明

化粧料

【課題】被乳化分散成分の油性基剤及び/または顔料と乳化分散剤と水を含む化粧料において、熱安定性や経時安定性が向上した化粧料およびその化粧料の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 粒子構造をした多糖類を主成分とした乳化分散剤と、2種以上の被乳化分散成分を含有する化粧料である。その被乳化分散成分の誘電率が1〜5(F/m)であり、且つ無機性値と有機性値の比が0〜0.5の範囲であることを特徴とする化粧料及びその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被乳化分散成分である2種類以上の油性基剤又は、2種類以上の油性基剤と顔料と、多糖類の乳化分散剤と、水を含む化粧料であり、熱安定性や経時安定性が向上した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には、化粧料の種類に応じて多機能な効能を求められることから、極めて多様な成分が含まれている。例えば、皮膚面に対し清浄、保水性、スクラブ効果、エモリエント効果、保護効果等の機能や化粧料の展延性、滑沢性、光沢性、付着性等を向上させる機能を有する油性基剤または顔料や、さらに有機溶剤、保湿剤、収れん剤、美白剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、香料等の添加成分が含まれている。
【0003】
この油性基剤または顔料を化粧料に使用する場合、油性基剤の所要HLBや顔料の表面の性質に応じて、多種類の界面活性剤を選択、使用して、乳化および分散を行っていた。また、乳化・分散剤として用いられる界面活性剤は、個々の所要HLB値に基づき、水中油滴型(O/W型)エマルションを作る場合と、油中水滴型(W/O型)エマルションを作る場合とで、それぞれに応じて使い分ける必要があり、さらに十分な熱安定性や経時安定性を得るために多種多様な界面活性剤の中から最適な界面活性剤を選択しなければならなかった。(例えば、非特許文献1〜4等参照。)。
【0004】
化粧料は多機能を求められることから、多様な油性基剤および顔料、添加成分を一つの化粧料の中に安定に維持することが要求され、これを満たすことは非常に難しい。例えば、シリコーンオイルは化学的に安定で安全性が高く、無臭でべたつきが少ない、さらに表面張力が低く延びが良いうえになめらかな感触があることから、一般のクリーム、乳液、ローション、ジェル等の多くの化粧料に配合されている。
【0005】
油性基剤としてステアリン酸(有機酸)、セタノール(高級アルコール)、顔料として酸化チタン、酸化鉄(無機粒子)を含む化粧料にジメチルシロキサンを配合する場合、ジメチルシロキサンは疎水性が強く、且つ汎用の炭化水素系界面活性剤との相溶性に乏しいため、水中に安定な乳化が困難である。そこにさらにステアリン酸(脂肪酸)やセタノール(高級アルコール)を乳化させたり酸化チタン、酸化鉄などの無機粒子を乳化・分散させることは一層困難になる場合がある。
【0006】
そのために化粧料に最適な乳化剤を選択するためには非常に煩雑かつ多大な労力を必要としながらも、多種類の油性基剤が混在している化粧料では安定な乳化を得ることが困難な場合が多かった。
従来の界面活性剤を用いた乳化法では、油と水との界面に界面活性剤が吸着し、その界面エネルギーを低下させることを乳化法の基本としていたので、その界面張力を低下させるために界面活性能の高い乳化剤の使用と多量の乳化剤を必要とするものであった。そのため、化粧料に使用している界面活性剤の皮膚刺激性が指摘され、その軽減を求められていた。さらに近年、乳化能の高い界面活性剤は一般に生分解性が低く、排水の泡立ちの原因となることなどの環境汚染の問題が指摘され、その使用の削減が社会的要求となっている。
【0007】
そこで、界面活性剤の使用量を少なくして乳化する方法や、界面活性剤を用いずに乳化する方法等の改善方法が種々提案されてきた。例えば、特定の構造を有するひまし油のエチレンオキシド6〜15モル付加物とカチオン界面活性剤を用いた三相乳化分散法によって油性基剤(あるいは顔料)をO/W型エマルションに乳化分散させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法で従来の界面活性剤による乳化分散法と同等の乳化分散性を得るには、ひまし油のエチレンオキシド6〜15モル付加物とカチオン性界面活性剤の合計量は従来の界面活性剤量に比べて少量でよく、界面活性剤の使用量の低減となっている。この方法では水に不溶性のひまし油のエチレンオキシド付加物が乳化剤の役割を果たしていると考えられる。
【0008】
本発明者らは、ひまし油のエチレンオキシド付加物と同様の機能を示す物質を種々検討した結果、特定の多糖類を乳化分散剤として用いた三相乳化分散法により、乳化分散に界面活性剤を用いることなく、高い乳化分散安定性を有する化粧料を発明した(例えば、非特許文献5、6参照。)。この方法は従来の界面活性剤を用いた乳化と比較して、油性基剤の所要HLBや顔料の表面の性質に応じて、多種類の界面活性剤を選択する等の煩雑な検討の必要がなく、簡便な優れた方法である。しかし、特定の多糖類を用いて行う三相乳化分散法は、被乳化分散成分が単一物質である場合は、その乳化は安定であるが、2種類以上の油性成分を配合した場合は、熱安定性や経時安定性に優れた乳化形成が不十分で、その改善が強く求められていた。特に特定の顔料を併用配合した場合には、その乳化が数分で破壊される現象もあり、多種多様な成分を配合する化粧品に適用することは困難であった。
【0009】
【特許文献1】特開2004―130300号公報
【非特許文献1】“Emulsion Science” Edited by P.Sherman, Academic Press Inc.(1969)
【非特許文献2】“Microemulsions−Theory and Practice” Edited by Leon M.price,Academic Press lnc.(1977)
【非特許文献3】「乳化・可溶化の技術」辻薦,工学図書出版(1976)
【非特許文献4】「機能性界面活性剤の開発技術」シー・エム・シー出版(1998)
【非特許文献5】(社)日本化学会 コロイドおよび界面化学部会 平成16年大会要旨集 2C04 柔らかいナノ粒子による新規な乳化法 三相乳化の原理
【非特許文献6】(社)日本油化学会 平成16年大会要旨集 P102 三相乳化法による炭化水素やシリコーン油の乳化・安定
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、2種類以上の油性基剤、又は2種類以上の油性基剤と顔料を被乳化分散成分として、多糖類の乳化分散剤と、水を含む化粧料の熱安定性や経時安定性に関して鋭意研究を重ねた結果、特定の多糖類を用いた水系での三相乳化分散法において、特定の誘電率と特定の無機性値と有機性値の比を持つ油性基剤を用いることで、2種類以上の油性基剤を配合している化粧料の経時安定性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
そこで本発明の課題は、2種類以上の油性基剤、又は2種類以上の油性基剤と顔料と、水を含む化粧料において、三相乳化分散法を用い、熱安定性や経時安定性が向上した化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1の本発明は、粒子構造をした多糖類を主成分とした乳化分散剤と被乳化分散成分を含有する化粧料において、被乳化分散成分は、少なくとも誘電率が1(F/m)〜5(F/m)であり、且つ、無機性値/有機性値の比が0〜0.5の範囲である2種類以上の被乳化分散成分を含有する化粧料である。
【0012】
請求項1の本発明では、粒子構造をした多糖類を主成分とした乳化分散剤と被乳化分散成分を含有する化粧料において、被乳化分散成分は、少なくとも誘電率が1(F/m)〜5(F/m)であり、且つ、無機性値/有機性値の比が0〜0.5の範囲である。このため、粒子構造をした多糖類と、少なくとも誘電率と無機性値/有機性値の比が上記の範囲である被乳化分散成分を使用した化粧料は、被乳化分散成分である油性基剤混合物と水との界面に対して、熱安定性や経時安定性に優れた乳化および分散系を形成することができる。従って、長期間に亘り、幅広い温度領域で乳化および分散安定化した化粧料を得ることが可能となる。また、粒子構造をした多糖類を主成分として含む乳化分散剤を用いて、本発明の被乳化分散成分(油性基剤)を使用すると、被乳化分散成分において、特に表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、二酸化チタン粉末、マイカ粉末、あるいは添加物として、析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等の乳化安定性を損なう成分が含まれていても、安定した乳化状態を維持することができる。
【0013】
請求項2の本発明は、粒子構造をした多糖類を主成分とした乳化分散剤が被乳化分散成分の周囲に層状付着し中間層を形成する化粧料である。
【0014】
請求項2の本発明では、粒子構造をした多糖類は、被乳化分散成分の性質にかかわらず、被乳化分散成分の周囲にファンデルワールス力により層状付着し中間層を形成することができるため、被乳化分散成分を安定的に乳化させ、乳化状態を維持することができる。即ち、被乳化分散成分と溶媒との界面に乳化分散剤相が形成されるので、被乳化分散成分は、乳化後に合一が起こりにくく、被乳化分散成分の種類に依存することなく、その乳化分散層は、極めて熱安定性、経時安定性に優れている。
【0015】
請求項3の本発明は、粒子構造をした多糖類の平均粒子径は8nm〜500nmである化粧料である。
【0016】
請求項3の本発明では、平均粒子径が8nm〜500nmの範囲で被乳化分散成分が安定した乳化分散状態を得ることができる。平均粒子径を8nmより小さくすると、ファンデルワールス力に起因する付着作用が小さくなり、上記の乳化分散した単粒子が油滴の表面に付着しにくくなるからであり、また、粒子径を500nmよりも大きくすると、安定したエマルションを維持できなくなるためである。
【0017】
請求項4の本発明は、粒子構造をした多糖類は、単粒子化された多糖類である化粧料である。
【0018】
請求項4の本発明では、多糖類は、単粒子化されているため、その単粒子が多数被乳化分散成分の周囲に層状付着し、独立相を形成し、単粒子化された乳化分散剤が第三の相として安定的に存在して、長期間乳化状態を維持することができる。
【0019】
請求項5の本発明は、粒子構造をした多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む化粧料である。
【0020】
請求項5の本発明では、これらの多糖類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含むため、粒子構造をした多糖類が内部に被乳化分散成分を保持して、外面が親水性、親溶媒性の相をなす構造を形成して、被乳化分散成分―粒子構造の多糖類―溶媒の分散構造を形成することができる。
【0021】
請求項6の本発明は、粒子構造をした多糖類は、少なくとも下記の一般式(化1)で表される多糖が含まれている化粧料である。
【化1】

【0022】
請求項6の本発明では、一般式(化1)で表される多糖類が含まれているため、粒子構造を形成することができ、外面がOH基等の親水性基を含むため、粒子構造をした多糖類が内部に被乳化分散成分を保持して、外面が親水性、親溶媒性を有して、被乳化分散成分―粒子構造の多糖類―溶媒の分散構造を形成することができる。
【0023】
請求項7の本発明は、粒子構造をした多糖類を主成分とした乳化分散剤が、被乳化分散成分との重量比が1:50〜1:1000の割合で存在する化粧料である。
【0024】
請求項7の本発明では、粒子構造をしているため、被乳化分散成分に対して、乳化分散剤を少量使用しても安定な乳化分散物を得ることができる。乳化分散剤が、被乳化分散成分との重量比が1:50以下では、乳化分散剤が多くなりコストアップとなり、1:1000以上では、粒子構造を形成しにくくなるため、重量比が50〜1000の割合が好ましい。
【0025】
請求項8の本発明は、粒子構造をした上記多糖類の配合量は、化粧料全量に対して0.001重量%〜1重量%である化粧料である。
【0026】
請求項8の本発明では、粒子構造をした上記多糖類の配合量は、化粧料全量に対して0.001重量%〜1重量%であるため、非乳化分散成分を安定的に分散させることができるとともに、化粧料のコストを大きく増加させることがない。
【0027】
請求項9の本発明は、被乳化分散成分が、レーキ顔料、有機顔料、着色顔料、白色顔料、体質顔料等の無機顔料、真珠光沢顔料、金属光沢顔料、シリカフリット顔料、金属被覆無機顔料、樹脂顔料、高分子粉体、機能性顔料のいずれか2種類以上である化粧料である。
【0028】
請求項9の本発明では、上記の乳化分散剤を使用するため、被乳化分散成分として上記の顔料を成分として含有していても、2種類以上の上記の被乳化分散成分を安定して分散させることができる。
【0029】
請求項10の本発明は、化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいは炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まない化粧料である。
【0030】
請求項10の本発明では、化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいは炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まないため、皮膚へのなじみやすさも向上し、満足しうる使用感を得ることができるだけでなく、長期にわたって化粧料と接する皮膚への影響だけでなく、自然環境への影響も軽減することができる。
【0031】
請求項11の本発明は、多糖類がランダムな粒径に細分化された化粧料である。
【0032】
請求項11の本発明では、多糖類がランダムな粒径に細分化されたため、多糖類が結晶構造をとることなく、被乳化分散成分の乳化状態が安定した化粧料を得ることができる。
【0033】
請求項12の本発明は、尿素及び/又はチオ尿素を化粧料全体に対して0.1重量%〜10重量%含む化粧料である。
【0034】
請求項12の本発明では、尿素及び/又はチオ尿素を化粧料全体に対して0.1重量%〜10重量%含むため、被乳化分散成分の粒子構造の形成が促進される。
【発明の効果】
【0035】
本発明による粒子構造をした多糖類と被乳化分散成分として特定の油性基剤を使用した化粧料は、油性基剤混合物と水との界面に対して、熱安定性や経時安定性に優れた乳化および分散系を形成するため、長期間に亘り、幅広い温度領域で乳化および分散安定化した化粧料を得ることが可能となる。また、粒子構造をした多糖類を主成分として含む乳化分散剤を用いて、本発明の被乳化分散成分(油性基剤)を使用すると、被乳化分散成分、特に表面活性を持つ粉体であるセラミド粉末、酸化亜鉛粉末、二酸化チタン粉末、マイカ粉末、あるいは添加物として、析出易いアルコルビン酸リン酸マグネシウム塩、アスコルビン酸グルコシド等の乳化安定性を損なう成分が含まれていても、安定した乳化状態を維持することができる。また、界面活性剤を乳化分散剤として使用しないために皮膚へのなじみやすさも向上し、満足しうる使用感を得ることができるだけでなく、長期にわたって化粧料と接する皮膚への影響だけでなく、自然環境への影響も軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、被乳化分散成分として2種以上の油性基剤、又は2種以上の油性基剤と顔料と水を含む化粧料において、特定の誘電率及び無機性値と有機性値の比である油性基剤と、粒子構造をした多糖類を主成分として含む乳化分散剤を用いた三相乳化分散法により、2種類以上の油性基剤又は2種類以上の油性基剤と顔料を乳化分散して得られ、熱安定性や経時安定性が向上した化粧料である。
【0037】
本発明の対象となる化粧料は、水と2種以上の油性基剤、又は2種以上の油性基剤と顔料を被乳化分散成分として含み、粒子構造をした多糖類を主成分として含む乳化分散剤で水に乳化分散した化粧料である。具体的には、乳液状、クリーム状、ペースト状あるいはジェル状等の化粧料であり、洗顔クリーム、クレンジングクリーム、化粧水、パック、マッサージクリーム、保湿乳液、保湿クリーム、リップクリーム等の基礎化粧品;ファンデーション、アイシャドー、マスカラ、口紅等の仕上げ化粧品;ヘアジェル、ヘアクリーム、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアコンデショナー、ヘアムース、ヘアリキッド、セットローション等の頭髪用化粧品;香水(パフューム、パルファム)、オードパルファム(パフュームコロン)、オードトワレ(パフュームドトワレ、パルファンドトワレ)、オーデコロン(コロン、フレッシュコロン)等のフレグランス化粧品;サンスクリーンジェル、サンスクリーンクリーム、サンスクリーン乳液等の日焼け止め化粧品などである。
【0038】
被乳化分散成分である油性基剤は、一般に化粧料に配合して皮膚の保護効果、湿潤効果、保湿効果、栄養効果等を期待して配合される有機物であり、本発明における乳化分散剤としての油性基剤は誘電率が1(F/m)〜5(F/m)であり、且つ無機性値と有機性値の比(以下『「無機性値/有機性値」比』とする)が0〜0.5である。本発明における油性基剤の無機性値及び有機性値は、有機概念図論(参考文献:「系統的有機定性分析」藤田穆、風間書房(1974)、「有機概念図―基礎と応用」甲田善生、三共出版(1984))により提案されている「無機性値/有機性値」比であり、有機化合物の構成要素、官能基に対して予め設定された数値を基に有機性値及び無機性値を算出し、その比を求めて得られる。2種類以上の油性基剤を使用する場合は、個々の油性基剤の誘電率及び「無機性値/有機性値」比が本発明の範囲であることが必要である。前述の誘電率及び「無機性値/有機性値」比の範囲は、実績から見出された範囲であり、誘電率が1(F/m)〜5(F/m)、且つ「無機性値/有機性値」比が0〜0.5の範囲を外れた場合には本発明の効果は得られない。
【0039】
具体的な油性基剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、イコサンなどの炭素数6〜20の炭化水素;石油系ワックス等のワックス;1−ブロモオクタン、フッ化炭化水素等のハロゲン化炭化水素;テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、ベヘニルアルコールなどの炭素数14〜22の高級アルコール;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニル酸などの炭素数14〜22の高級脂肪酸;ミリスチン酸エチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、ベヘニル酸メチルなどの炭素数14〜22の高級脂肪酸エステル;ひまし油、ナタネ油、ごま油等の油脂類;テルペン油、ローズ油、バラ油、椿油等の香料;ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジメチルポリオキシシラン−ポリオキシアルキレン共重合体などなどがあり、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
被乳化分散成分である顔料としては、化粧料に配合して被膜効果(カバー効果)、顕色効果、呈色効果等を期待して配合される物質であり、例えば酸化チタン、酸化鉄(無機粒子)、塩化亜鉛等の無機鉱物系の粉体;レーキ顔料、有機顔料、着色顔料、白色顔料、体質顔料、真珠光沢顔料、金属光沢顔料、ガラスフレーク顔料、金属被覆無機顔料、樹脂顔料、高分子粉体(顔料)、機能性顔料等があげられ、これらの1種以上が使用される。
【0041】
レーキ顔料には2つの種類があり、1つは水に溶けやすい染料をカルシウム等の塩として水に不溶化した顔料で、例えば赤色202号、204号、206号、207号、208号、220号等がある。他の1つは、硫酸アルミニウム、硫酸ジルコニウム等で水不溶性にしてアルミナに吸着させた顔料で黄色5号、赤色230号等である。
有機顔料は、分子構造内に親水性基を持たず、水、油や溶剤に溶解しない有色粉末であり、着色力、耐光性に優れている。アゾ系顔料の赤色228号、インジゴ系顔料の赤色226号、フタロシアニン系顔料の青色404号等があげられる。
【0042】
無機顔料は、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の色調の異なる酸化鉄、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化コバルト、チタン酸コバルトカーボンブラック、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等があげられる。
白色顔料は、着色や被覆等の目的で用いられ、2酸化チタンと酸化亜鉛等があげられる。酸化チタン・酸化チタン焼結物、酸化亜鉛・酸化亜鉛焼結物は、例えば、シリカ処理、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン化合物による処理、パーフルオロポリエーテルリン酸やパーフルオロアルキルリン酸、弗素変性シリコーン等の弗素化合物による処理、ラウリン酸亜鉛等の金属石鹸処理、N−長鎖アシルアミノ酸等のアミノ酸処理、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス等の油処理等、通常公知の方法で表面処理されているものを用いても良い。
【0043】
体質顔料は、着色よりも製品の形状維持や伸展性、付着性、光沢等の調節、色調の調整(希釈剤)に用いられ、例えば雲母(マイカ)、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母等の雲母系顔料、セリサイト、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト等の粘度鉱物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、含硫ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の合成無機粉体等があげられる。
【0044】
真珠光沢顔料は、真珠光沢、あるいは虹彩色、メタリック感を与えるために使用される顔料であり、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔、オキシ塩化ビヒマスなどが挙げられる。また、酸化チタンの代わりに酸化鉄で被覆した顔料、酸化チタンの被覆層の上に透明な異なった色の顔料を被覆させた顔料なども使用される。
金属光沢顔料としては、アルミニウム粉、真鍮粉、銅粉、錫粉、金粉、銀粉など、さらに、これらの金属粉を着色した着色金属粉顔料などが挙げられる。
シリカフリット顔料は、フレーク状ガラスが金属などで被覆されている。
金属被覆無機顔料は、金属蒸着などで金属、および/あるいは金属酸化物が被覆された無機顔料であり、例えば、酸化鉄被覆アルミニウム、酸化鉄被覆雲母、アルミニウム−マンガン被覆雲母状酸化鉄などがあげられる。
【0045】
樹脂顔料とは、樹脂フィルムに着色し、裁断された薄片などがあり、例えば、ポリエステルフィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ナイロンパウダー等などが挙げられる。
機能性顔料としては、窒化ホウ素、合成フッ素金雲母、フォトクロミック顔料、複合化微粒子粉体等があげられる。
【0046】
本発明の光輝性顔料の形態は、特に限定されるものではなく、粒状、板状、棒状等、目的および使用顔料により適宜、選択されれば良い。また、顔料の大きさは、特に限定されるものではなく、目的および使用顔料により適宜、選択されれば良く、粒状の顔料であれば、通常、平均粒子径が0.01μm〜5000μmのものが使用され、箔片状や棒状の粉体であれば、通常、長径が0.1μm〜5000μmのものが使用されている。
【0047】
以下、油性基剤を含む化粧料を例にとり、本発明の化粧料と従来の化粧料を比較して説明する。図1に従来型の化粧料に用いられる界面活性剤による乳化法と、本発明の化粧料に用いられる乳化分散剤による三相乳化法の概念図を示した。
従来の界面活性剤による乳化法においては、図1(A)に示されるように、界面活性剤は同一分子内に性質の異なる親水基と親油基を持つため、界面活性剤の親油基が油相に相溶し、親水基は油相の外側に配向した状態で並び、水になじみやすくなり、水媒体中に均一に混ざり合ってO/W型エマルションを生成する。また、水の粒子に対しては、界面活性剤の親水基が配向し、親油基が外側に向いた状態で並んで油相になじみやすくなり、油媒体中に均一に混ざり合い、W/O型エマルシヨンが生成する。
【0048】
しかし、従来型のこのような乳化法によると、界面活性剤が油相表面に吸着し、単分子膜状の乳化膜を形成しているために、界面活性剤の種類により界面の物性が変化する不都合がある。また、図2(A)に示されるように油滴の熱衝突による合一によって油滴のサイズは次第に大きくなり、遂には油と界面活性剤水溶液とに分離する。これを防ぐためにはマイクロエマルションを形成させるなどのような乳化膜の配向を強固にする方法が必要であり、多量の界面活性剤を用いなければならない不都合がある。
【0049】
油性基剤の親油成分はその化学構造に由来する親油性と親水性を持っているためにこれを乳化させるには、従来はHLBのような被乳化油性基材に対する相対的な溶解性の指標値を基に界面活性剤を選択し、至適なものを選択している。しかし、化粧品には多くの親油成分が配合されているので、全ての親油成分に適応した界面活性剤あるいは複数の界面活性剤の組み合わせを選択することは非常に難しく、多くは経験に頼らざるを得なくなっている。さらに使用する界面活性剤の量も通常、5〜20%となる。この高い配合量のために化粧料の熱安定性、保存安定性に不具合が生じる。
【0050】
そこで、図1(B)に示されるように化粧料における油相や水の粒子に対して粒子構造をした多糖類を成分として含む乳化分散剤粒子を付着させ、水相一乳化分散剤相一油相の三相構造を形成させてエマルションを形成する新規な乳化法(三相乳化法)を用いることで、従来の界面活性剤を用いた乳化分散方法と異なり、相溶性による界面エネルギーの低下がなくなる。その結果、図2(B)に示されるように熱衝突による合一が起こりにくく、乳化物の長期安定化が図られた化粧料が得られる。
【0051】
その際、その理由について正確なことはわからないが、2種類以上の油性基剤を使用する場合は、個々の油性基剤の誘電率が1(F/m)〜5(F/m)及び「無機性値/有機性値」比が0〜0.5の範囲を外れた場合には本発明の効果は得られない。おそらく、この範囲外の油性基剤が含まれる場合は、粒子構造をした多糖類と油性基剤との間のファンデルスワールス力が十分に得られないことから、粒子構造をした多糖類が油性基剤の表面に安定付着せず、水相一乳化分散剤相一油相の三相構造が崩れ、乳化状態も喪失するためである。
さらに、油性基剤と水を含む化粧料において、粒子構造をした多糖類を主成分として含む乳化分散剤を用いた水系で、三相乳化分散法を用いて油性基剤を乳化分散することにより、熱安定性や経時安定性に優れた化粧料が得られる。
【0052】
本発明の三相乳化を実現するための乳化分散剤は、粒子構造をした多糖類を主成分として含む乳化分散剤(以下「本発明の乳化分散剤」とする)である。粒子構造をした多糖類とは、水和して溶解した多糖類及び/又は水和しているが溶解するまでには至っておらず、水系に安定に分散した状態の多糖類で、多糖類の長鎖分子が球状あるいは蹴鞠状になって水系に安定に分散している状態の多糖類あり、水系で未溶解あるいは析出状態の多糖類ではない。
【0053】
また、単粒子化された多糖類とは、多糖類の球状物(あるいは蹴鞠状物)が1個で存在している状態の多糖類であり、被乳化分散成分表面に付着して三相乳化分散効果を発揮するには単粒子化された多糖類であることが好ましい。粒子構造をした多糖類が複数個集合して見かけ上の1個の単粒子化した多糖類として存在していれば、三相乳化分散効果は減り、好ましくない。粒子構造をした多糖類(以下「本発明の多糖類」とする)の平均粒子径は8nm〜500nmとすることが好ましい。粒子構造をした多糖類の平均粒子径が8nmより小さいと、ファンデルワールス力に起因する吸引作用が小さくなり、多糖類が被乳化分散成分の表面に付着し難くなる場合がある。また、平均粒子径が500nmよりも大きいと、安定したエマルションを維持できなくなる場合がある。
【0054】
本発明に用いる多糖類は、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内、少なくとも1種を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類である。好ましくはフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖としてフコースおよび/又はラムノースを側鎖に含む多糖類であり、より好ましくは下記式(1)に示されるようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖からなり、主鎖中の1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造からなっている多糖類である。
【化1】

(1)

【0055】
上記一般式(1)の多糖類は、例えばアルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の産生物として得ることができる。アルカリゲネス レータスB−16株細菌は、通常の微生物培養方法で培養され、培養後、該培養液にアセトン、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を入れると産出多糖類が不溶解物として析出する。析出物を分離して多糖類を得ることができる。
【0056】
微生物は一般に2種以上の多糖類を産生することが多いが、本発明の効果を妨げるものでなければ、他種の多糖類が含まれていても差し支えない。例えば、アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類には少なくとも2種の多糖類が含まれていることが確かめられており、培養液から分離した多糖類の構成単糖比率はモル比でフコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:(0.5〜4):(0.5〜2):(0.5〜2)である。その2種の多糖類を分離すると、一つは、前記一般式(化1)に示すようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖中にある1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造を有する多糖類であり、他はフコースとマンノースを繰り返し単位とする多糖類である。前者は、本発明の多糖類であり、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノースの単糖構成比は1:2:1:1であり、分子量は109程度の高分子成分である(1998年度日本農芸化学会大会要旨集、371頁参照)。後者は、フコースとマンノースが1:1の繰り返し構造の多糖類であり、分子量が103〜107の低分子成分である(Y.Nohata,J.Azuma,R.Kurane,Carbohydrate Research 293,(1996)213〜222参照)。この低分子成分は本発明の多糖類の範囲外であるが、本発明の安定化効果を妨げるようなことはなく、結果的に本発明に用いられることになっても差し支えない。
【0057】
この多糖類は、アルカシーラン〔商品名、INCIname:Alcaligenes Polysacchaides、伯東(株)製〕として市販されている。また、アルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の代わりに、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582)又は、SPH−012(FERM BP−08579)を使用しても、本発明の多糖類を得ることができる。
【0058】
本発明の乳化分散剤の配合量は、乳化分散剤に含まれる粒子構造をした多糖類として、被乳化分散成分に対する重量比で1:50〜1:1000であり、好ましくは1:100〜1:500である。乳化分散剤の被乳化分散成分との重量比が1:50以下では、乳化分散剤が多くなりコストアップとなり、1:1000以上では、粒子構造を形成しにくくなるため、重量比が50〜1000の割合が好ましい。化粧料のように極めて多様な成分が入っている場合は、乳化および分散を2段階に分けて行うと更に効率的である。
【0059】
また、化粧料における本発明の多糖類の配合量は、対象とする化粧料の種類と当該化粧料の乳化分散安定性の要求の程度に応じて適宜決定されればよく、通常は化粧料全量に対して0.001重量%〜1重量%、好ましくは0.01重量%〜0.5重量%、更に好ましくは0.05重量%〜0.2重量%である。多糖類濃度0.001重量%未満では十分な乳化分散効果が得られない場合があり、多糖類濃度1重量%を超えると配合量の増加に伴い乳化分散効果の向上も得られるものの、多糖類濃度の増加に見合うだけの乳化分散効果の向上が小さく、コストパフォーマンスで劣る場合がある。
【0060】
本発明の乳化分散剤の調製は、ホモジナイザー、ディスパーザー、ディスパミキサーのように強いシェアーがかかる溶解装置を用いて、本発明の多糖類に剪断力を加えて多糖類を粒子構造として、水に溶解(あるいは分散)させた多糖類の水溶液(あるいは水分散液)である。ホモジナイザー、ディスパーザー、ディスパミキサーの剪断力としては、先端速度で0.5m/s以上、好ましくは0.9m/s以上である。剪断力が先端速度で0.5m/s未満であれば、本発明の多糖類の単粒子化が十分に得られない場合がある。また、本発明の乳化分散剤の調製を行う際に、多糖類の溶解、分散性を向上させるために予め多糖類をメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールで湿潤させて使用しても良い。
【0061】
上記多糖類が粒子構造、特に単粒子化された粒子を形成する場合に、多糖類の溶液中に尿素及び/又はチオ尿素を添加すると粒子構造の形成が促進される。尿素及び/又はチオ尿素の添加量は、化粧料全体に対して0.1〜10重量%を使用することが好ましい。
【0062】
本発明の化粧料の製造方法は、粒子構造をした多糖類(本発明の多糖類)を含む乳化分散剤と、誘電率が1(F/m)〜5(F/m)、且つ「無機性値/有機性値」比が0〜0.5の油性基剤及び/又は顔料からなる被乳化分散成分と、水を接触、混合し、乳化分散させて、熱安定性や経時安定性が向上した化粧料を製造する方法である。具体的には、粒子構造をした多糖類(本発明の多糖類)を成分として含む乳化分散剤と、誘電率が1(F/m)〜5(F/m)、且つ、「無機性値/有機性値」比が0〜0.5の油性基剤及び/又は顔料からなる被乳化分散成分を撹拌下、混合し、「水相(溶媒)−粒子構造をした多糖類を含む中間層−被乳化分散相」からなる三相乳化分散系を作り、熟成した後、撹拌下、冷却して本発明の化粧料を得ることができる。
【0063】
また、本発明で用いる多糖類は水に分散しにくいため、本発明で用いる多糖類を成分として含む乳化分散剤をホモジナイザー、ディスパーザー、ディスパミキサー等を用いて乳化分散剤水溶液(あるいは水分散液)を調製した後、当該乳化分散剤水溶液に油性基剤(誘電率が1(F/m)〜5(F/m)、且つ「無機性値/有機性値」比が0〜0.5の油性基剤)及び/又は顔料からなる被乳化分散成分を混合、撹拌して、「水相(溶媒)−粒子構造をした多糖類を含む乳化剤−被乳化分散相」からなる三相乳化分散系を作り、熟成した後、撹拌下、冷却して本発明の化粧料を製造する方法もある。いずれの方法でも、乳化分散を行う際にホモジナイザー、ディスパーザー、ディスパミキサー等を用いて、先端速度0.5m/s以上の剪断力をかけて、粒子構造をした多糖類を単粒子化させることが好ましい。
【0064】
乳化分散剤中の本発明の多糖類の割合は、目的とする化粧料への本発明の多糖類の配合量及び化粧料に求められる乳化分散性の安定性の程度を考慮して適宜決定さればよい。例えば本発明の多糖類は、通常、化粧料全量に対して0.001重量%〜1重量%、好ましくは0.01重量%〜0.5重量%、更に好ましくは0.05重量%〜0.2重量%配合されることを考慮して、乳化分散剤中の本発明の多糖類の配合割合を決定すればよい。
【0065】
また、本発明の多糖類を成分として含む乳化分散剤を予め水に分散させて用いる方法の場合、多糖類の水溶液濃度は、通常、0.01重量%〜0.8重量%、好ましくは0.05重量%〜0.2重量%である。多糖類濃度が0.01重量%未満では化粧料を調製した場合に該多糖類量が十分でなく、本発明の期待する効果が得られない可能性があり、多糖類濃度が0.8重量%を超えると該多糖類の水溶液が粘凋になり、その取扱性が劣り、作業性が低下する場合がある。また、乳化分散剤と被乳化分散剤の混合の際に、乳化分散の促進のために加熱を行っても良い。
【0066】
本発明の化粧料の製造において、乳化分散を行う際にホモジナイザー、ディスパーザー、ディスパミキサー等を用いて周先端速度0.5m/s以上の剪断力をかけて、乳化分散剤に含まれる多糖類を粒子構造として、被乳化分散成分の周囲を取り囲み、層状に付着することで、水と被乳化分散成分の間に中間層を形成し、三相乳化分散状態を作る。特に該多糖類が単粒子化されていることが好ましい。
【0067】
乳化分散を行う際の乳化分散剤と被乳化分散成分との混合比は、乳化分散剤中の粒子構造を形成する多糖類と被乳化分散成分の重量比として1:50〜1:1000、好ましくは1:100〜1:500である。この範囲外では本発明の乳化分散状態が得られない場合がある。また、乳化分散を行う際の本発明の多糖類の平均粒子径は8nm〜500nmとすることが好ましい。粒子構造をした多糖類の平均粒子径が8nmより小さいと、ファンデルワールス力に起因する吸引作用が小さくなり、多糖類が被乳化分散成分の表面に付着し難くなる場合がある。また、平均粒子径が500nmよりも大きいと、安定したエマルションを維持できなくなる場合がある。
【0068】
従来の界面活性剤を用いた乳化分散方法では、界面活性剤が被乳化分散成分の周囲表面に単分子膜を形成し、表面エネルギーを低下させることにより乳化分散させてエマルションを形成する。そのため、熱的な衝突によりこのエマルションの合一が生じて、経時安定性が低い。一方、本発明の三相乳化方法では、表面エネルギーの変化がほとんど無いうえに、被乳化分散成分の油性基剤を上述の特定の誘電率及び「無機性値/有機性値」比に限定することにより、よりエマルションの合一が起こりにくく、熱安定性及び経時安定性が高いエマルションが得られる。
本発明で示す誘電率は測定できるが、広く知られている物質特有の値であり化学便覧等に示されている。また無機性値、有機性値も広く知られている物質特有の値であり、上述の非特許文献5で示した、「乳化・可溶化の技術」辻薦,工学図書出版(1976)により求めることができる。
【0069】
本発明の化粧料は、その使用目的により種々のものがあり、必要によりさらに精製水、温泉水、深層水、増粘剤、色素、保湿剤、収れん剤、美白剤、紫外線防止剤、抗炎症(消炎)剤、皮膚(細胞)賦活化剤、抗菌剤、経皮吸収促進剤、清涼剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、褪色防止剤、緩衝剤などが任意に加えられる。本発明は、その目的とする効果を妨げない範囲でこれら各種添加剤の配合することを制限するものではない。
【0070】
増粘剤としては、例えばアラビアゴム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲンなどの天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどの半合成高分子、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子などであり、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライトなどの無機鉱物などを併用することもある。
【0071】
保湿剤(成分)としては、アルカリ単純温泉水、深層水、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン及びケラタン硫酸などのムコ多糖類またはそれらの塩、コラーゲン、エラスチン、ケラチンなどのタンパク質またはそれらの誘導体並びにそれらの塩、大豆及び卵由来のリン脂質、糖脂質、セラミド、ムチン、ハチミツ、エリスリトール、マルトース、マルチトール、キシリトール、キシロース、ペンタエリスリトール、フルクトース、デキストリン及びその誘導体、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、トレハロース、ブドウ糖等の糖類、尿素及び/又はチオ尿素、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、オルチニン、グルタミン、グリシン、グルタミン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、システイン、シスチン、シトルリン、スレオニン、セリン、チロシン、トリプトファン、テアニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、ピロリドンカルボン酸及びその塩、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、リジンなどのアミノ酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩、D−パンテノール、植物抽出液類が上げられる。植物抽出液類としては、更にアボカド抽出物、アーモンド油、イナゴマメ抽出物、イネ抽出物、イチゴ抽出物、ウイキョウ抽出物、ウスベニアオイ抽出物、オウレン抽出物、オリーブ油、オドリコソウ抽出物、カカオ脂、カラスムギ抽出物、キズタ抽出物、クマザサ抽出物、クチナシ抽出物、グレープフルーツ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ゲンチアナ抽出物、ゴボウ抽出物、コボタンヅル抽出物、ゴマ抽出物、サボテン抽出物、サボンソウ抽出物、ショウガ抽出物、ジオウ抽出物、シア脂、シモツケ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ツバキ抽出物、トウモロコシ抽出物、トウチュウカソウ抽出物、トルメンチラ抽出物、ドクダミ抽出物、バクモンドウ抽出物、ハウチマメ抽出物、ハマメリス抽出物、ハッカ抽出物、ミドリハッカ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、パセリ抽出物、バラ抽出物、ヒマワリ抽出物、ヒノキ抽出物、ヘチマ抽出物、プルーン抽出物、ブッチャーズブルーム抽出物、ボラージ油、ボタン抽出物、ホホバ油、ボダイジュ抽出物、ホップ抽出物、マツ抽出物、マロニエ抽出物、マカデミアナッツ油、マルメロ抽出物、ムラサキ抽出物、メドウホーム油、メリッサ抽出物、ヤグルマソウ抽出物、ユリ抽出物、ユズ抽出物、ライム抽出物、ラベンダー抽出物、リンドウ抽出物、ワレモコウ抽出物及びリンゴ抽出物等が挙げられる。酵母代謝物,酵母菌抽出エキス,米発酵エキス,米糠発酵エキス,ユーグレナ抽出物,生乳・脱脂粉乳の乳酸発酵物やトレハロース又はその誘導体などをあげることができる。また、アルコール類・多価アルコール類として、エタノール,イソピロパノール,ラウリルアルコール,セタノール,ステアリルアルコール,オレイルアルコール,ラノリンアルコール,コレステロール,フィトステロールなどの天然アルコール,2−ヘキシルデカノール,イソステアリルアルコール,2−オクチルドデカノールなどの合成アルコール。酸化エチレン,エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモノエチルエーテル,ポリエチレングリコール,酸化プロピレン,プロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,1,3−ブチレングリコール,グリセリン,ペンタエリトリトール,ソルビトール,マンニトールなどをあげることができる。これらの保湿成分は、1種又は2種以上を適宜選択して配合され、その配合量は、保湿成分の種類により異なり、一律に決められないが、通常、0.5〜20%である。
【0072】
収れん剤(成分)としては、スルホ石炭酸亜鉛、スルホ石炭酸ナトリムおよび、植物抽出液類が上げられる。植物抽出液類としては、アルニカ、サンザシ、キナ、サルビア、ボダイジュ、オタネニンジン、トショウ、マンネンロウ、オトギリソウ、イチョウ、メリッサ、オノニス、マロニエ、センブリ、ニンニク、カミツレ、サイム、ハッカ、イラクサ、トウガラシ、ショウガ、ホップ、西洋トチノキ、ラベンダー、ニンジン、カラシナ、ケイ、マツ、センキュウ、ニワトコ、ヤマゼリ、ハシリドコロ、ボタン、ヤマモモ、ドクダミ、コウホネ、シブガキ、トウキンセンカ、グビジンソウ、リンドウ、ブドウ、ハマボウフウ、ダイダイ、ユズ、ショウブ、ナツミカン、ハマメリス、メリーロート、ウイキョウ、サンショウ、シャクヤク、ユーカリ、ヨモギ、エンメイソウ、コメ、クララ、ショウキョウ、チョウジ、クルミの葉、オウゴン、セージ、ホップ、ローズマリー、オトギリソウ、ハッカ、カミツレ、何首鳥、黄連、黄柏、黄苓、重薬、陳皮、人参、シャクヤク、トウシン、プロポリス、タクシア、タンニン、ハマメリス、ボタン、樺木タール、ローヤルゼリー、コウボエキスなどの植物抽出物があげられる。収れん剤としては、これらの1種または2種以上を合わせて使用することができる。その使用量は、通常、化粧料組成物全量の0.001〜5重量%であり、好ましくは0.01〜3重量%である。
【0073】
美白剤(成分)としては、チロシナーゼ阻害薬、エンドセリン拮抗薬、α−MSH阻害薬、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン、エラグ酸およびその塩やその誘導体、コウジ酸およびその塩さらにはその誘導体、アルブチン及びその塩さらにはその誘導体、システインおよびその塩さらにはその誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸リン酸マグネシウムなどのビタミンC類及びそれらの塩やその誘導体、グルタチオン及びその塩さらにはその誘導体、レゾルシン及びその塩さらにはその誘導体、ルシノール、ネオアガロビオース、アガロースオリゴサッカライド、植物抽出液類が上げられる。植物抽出液類としては、アスパラガス抽出物、アルテア抽出物、イブキトラノオ抽出物、インチンコウ抽出物、エンドウ豆抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、オノニス抽出物、海藻抽出物、火棘抽出物、カンゾウ抽出物、キイチゴ抽出物、クジン抽出物、黒砂糖抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シャクヤク抽出物、シラユリ抽出物、センプクカ抽出物、ソウハクヒ抽出物、大豆抽出物、胎盤抽出物、タラノキ抽出物、茶抽出物、トウキ抽出物、糖蜜抽出物、ノイバラ抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ種子抽出物、ブナノキ抽出物、フローデマニータ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物、羅漢果抽出物などをあげることができる。その1種または2種以上を適宜選択して配合される。美白剤成分の配合量は、通常0.01〜10%である。植物抽出物等を抽出液のまま用いる場合は乾燥固形分換算の量である。
【0074】
紫外線防止剤(成分)としては、有機化合物系の紫外線吸収剤と無機化合物系の紫外線散乱剤があり、紫外線吸収剤には、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などがあげられ、その1種以上が配合される。紫外線吸収剤のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤には、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロプロピル、パラジメチルパラアミノ安息香酸アミル、パラメチルパラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸イソブチルなどがある。ケイ皮酸系紫外線吸収剤としては、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジイソプロピルケイ皮酸エステル、メトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ,2−エチルへキサン酸グリセリルなどがあり、サリチル酸系紫外線吸収剤としては、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸鳥エタノールアミン、サリチル酸アミル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p−tertブチルフェニル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸などがある。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシクロロベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’メチルベンゾフェノン、オクタベンゾンなどがある。その他にもウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸などがあげられる。紫外線散乱剤として用いられる無機化合物には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄などがあげられる。
【0075】
抗炎症剤(成分)としては、酸化亜鉛、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなどのグリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、β−グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、3−サクシニルオキシグリチルレチン酸二ナトリウムなどのグリチルレチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩、トラネキサム酸、コンドロイチン硫酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、アラントイン、グアイアズレン及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、各種微生物及び動植物の抽出物などがあげられる。
【0076】
皮膚(細胞)賦活化剤(成分)としては、デオキシリボ核酸及びその塩、アデノシン三リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体及びそれらの塩、リボ核酸及びその塩、サイクリックAMP、サイクリックGMP、フラビンアデニンヌクレオチド、グアニン、アデニン、シトシン、チミン、キサンチン及びそれらの誘導体、カフェイン、テオフェリンおよびその塩、レチノール及びパルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール誘導体、レチナール及びデヒドロレチナール等のレチナール誘導体、カロチンなどのカロチノイド及びビタミンA類、チアミンおよびチアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩等のチアミン塩類、リボフラビンおよび酢酸リボフラビンなどのリボフラビン塩類、ピリドキシンおよび塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等のピリドキシン塩類、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸およびニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸誘導体、コリン類などのビタミンB類、γ−リノレン酸およびその誘導体、エイコサペンタエン酸及びその誘導体、エストラジオール及びその誘導体並びにそれらの塩、グリコール酸、コハク酸、乳酸、サリチル酸などの有機酸及びそれらの誘導体並びにそれらの塩などがあげられる。
【0077】
抗菌剤(成分)としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、フェノキシエタノール及びチアントール、イソプロピルメチルフェノールなどがあげられる。
【0078】
酸化防止剤(成分)としては、レチノール、デヒドロレチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、レチナール、レチノイン酸、ビタミンA油などのビタミンA類およびそれらの誘導体及びそれらの塩、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、クリプトキサンチン、アスタキサンチン、フコキサンチンなどのカロテノイド類及びその誘導体、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサール−5−リン酸エステル、ピリドキサミンなどのビタミンB類、それらの誘導体及びそれらの塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸リン酸マグネシウム等のビタミンC類、それらの誘導体及びそれらの塩、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、1,2,5−ジヒドロキシ−コレカルシフェロールなどのビタミンD類、それらの誘導体及びそれらの塩、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類、それらの誘導体及びそれらの塩、トロロックス、その誘導体及びそれらの塩、ジヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、α−リポ酸、デヒドロリポ酸、グルタチオン、その誘導体及びそれらの塩、尿酸、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム等のエリソルビン酸、その誘導体及びそれらの塩、没食子酸、没食子酸プロピルなどの没食子酸、その誘導体及びそれらの塩、ルチン、α−グリコシル−ルチンなどのルチン、その誘導体及びそれらの塩、トリプトファン、その誘導体及びそれらの塩、ヒスチジン、その誘導体及びそれらの塩、N−アセチルシステイン、N−アセチルホモシステイン、N−オクタノイルシステイン、N−アセチルシステインメチルエステル等のシステイン誘導体及びそれらの塩、N,N’−ジアセチルシスチンジメチルエステル、N,N’−ジオクタノイルシスチンジメチルエステル、N,N’−ジオクタノイルホモシスチンジメチルエステルなどのシスチン誘導体及びそれらの塩、カルノシン及びその誘導体及びそれらの塩、ホモカルノシン及びその誘導体及びそれらの塩、アンセリン及びその誘導体及びそれらの塩、カルシニン及びその誘導体及びそれらの塩、ヒスチジン及び/又はトリプトファン及び/又はヒスタミンを含むジペプチド又はトリペプチド誘導体及びそれらの塩、フラバノン、フラボン、アントシアニン、アントシアニジン、フラボノール、クエルセチン、ケルシトリン、ミリセチン、フィセチン、ハマメリタンニン、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのフラボノイド類、タンニン酸、コーヒー酸、フェルラ酸、プロトカテク酸、カルコン、オリザノール、カルノソール、セサモール、セサミン、セサモリン、ジンゲロン、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、クロバミド、デオキシクロバミド、ショウガオール、カプサイシン、バニリルアミド、エラグ酸、ブロムフェノール、フラボグラシン、メラノイジン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンヌクレオチド、ユビキノン、ユビキノール、マンニトール、ビリルビン、コレステロール、エブセレン、セレノメチオニン、セルロプラスミン、トランスフェリン、ラクトフェリン、アルブミン、ビリルビン、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、メタロチオネイン、O−ホスホノ−ピリドキシリデンローダミン、及び米国特許第5,594,012記載のN−(2−ヒドロキシベンジル)アミノ酸、その誘導体及びそれらの塩、及びN−(4−ピリドキシルメチレン)アミノ酸、並びにその誘導体及びそれらの塩などをあげることができる。抗酸化成分の含有量は、抗酸化成分の種類により異なり、一律に決められないが、通常0.01〜10%である。植物抽出物等を抽出液のまま用いる場合は、乾燥固形分換算の量である。
【0079】
香料(成分)としては、天然香料や合成香料があり、天然香料の代表例は、バラ油、ジャスミン油、ネロリ油、ラベンダー油、チュベローズ油、イランイラン油、クラリセージ油、クローブ油、ペパーミント油、ゼラニウム油、パッチュリー油、サンダルウッド油、シンナモン油、コリアンダー油、ナツメグ油、パイン油、バニラ油、ペルーバルサム油、バナナ油、アップル油、フェンネル油、トンカビーンズ油、ペパー油、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、オポポナックス油、ベチバー油、オリス油、オークモス油、アニス油、ボアドローズ油などの植物性香料、ムスク油、シベット油、カストリウム油、アンバーグリス油などの動物性香料である。
【0080】
合成香料の代表例は、リモネン、β−カリオフィリンなどの炭化水素類、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β−フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロール、ターピネオール、メントール、サンタロール、バクダノール、ブラマノールなどのアルコール類、リラノール、リリアール、2,6−ノナジエナール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒドなどのアルデヒド類、β−イオノン、l−
カルボン、シクロペンタデカノン、ダマスコン、メチルイオノン、イロン、イソイースーパー、アセチルセドレン、ムスコンなどのケトン類、ベンジルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、リナリルアセテート、ベンジルベンゾエートなどのエステル類、γ−ウンデカラクトン、ジャスミンラクトン、シクロペンタデカノリッド、エチレンブラシレートなどのラクトン類、ガラクソリッド、アンブロキサン、ローズオキサイドなどのオキサイド類、オイゲノールなどのフェノール類、インドールなどの含窒素化合物、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールなどのアセタール類、オーランチオールなどのシッフ塩基類などである。香料は一般的に一種類単独で使用することは少なく、目的に応じて複数種を組み合わせた調合香料として用いられる。
【0081】
有機溶剤(成分)としては、エタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ブタノール、プロパノールなどがあげられる。
【0082】
金属イオン封鎖剤及び防腐剤としては、例えば、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩類、フェナセチン、EDTA及びその塩、パラベン類、スズ酸塩類等が挙げられ、高分子化合物としては、ポリ(ジメチルアリルアンモニウムハライド)型カチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン及び牛脂脂肪酸より得られるタロイルアミンの縮合生成物型であるカチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン及びヤシ油脂肪酸より得られるココイルアミンの縮合生成物型であるカチオン性高分子、ビニルピロリドン、ジメチルアミノメタアクリレート共重合体型カチオン性高分子、第4級窒素含有セルロースエーテル型カチオン性高分子類等が挙げられる。
pH調製剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、ぎ酸、レブリン酸等の有機酸や、リン酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。
【実施例】
【0083】
次に本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例に使用する多糖類(A−1)〜(A−8)は次のとおりである。
(1)多糖類(A−1):アルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(粗製品)
グルコース〔和光純薬工業(株)製、試薬〕40.0g、リン酸水素二カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕4.0g、リン酸二水素カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕2.0g、塩化ナトリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.1g、硫酸マグネシウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕0.2g、硝酸カリウム〔和光純薬工業(株)製、試薬〕1.0g、イーストエキストラクト〔オキソイド(OXOID)社製〕1.5gをイオン交換水に溶解し、水酸化ナトリウムあるいは硫酸を用いpH6.5に調製し、全量を1リットルとした。この水溶液150mLを500mLの三角フラスコに取り、オートクレーブにより加熱滅菌(121℃、15分間)した後、室温まで戻し、アルカリゲネスレータスB−16株(FERM BP−2015号)を1白金耳接種し、30℃にて6日間振とう培養(180rpm)した。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してアルカリゲネス レータスB−16株細菌の産出多糖類(A−1)を得た。この多糖類は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含み、その存在比は7:1(重量比)である。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
【0084】
(2)多糖類(A−2):上記「多糖類(A−1)」の精製品
多糖類A−1の0.5重量%水溶液を調製し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを12とした。この水溶液をイオン交換樹脂「ダイヤイオンHPA−75(OH−)(商品名)」(日本錬水(株)製)のカラムを用いて8Ru以下で処理し、さらに濾過助剤「ラジオライトRL700」と5μmメンブランフイルターで濾過し、タンパク質、核酸、微生物類を除去した。濾液を希塩酸にてpHが7にしてから減圧濃縮し、アセトンを投入して多糖類を沈澱させ、さらに10倍量のアセトンで洗浄し、フコース:グルコース:グルクロン酸:ラムノース=1:2:1:1で構成され、分子量が5,000万の多糖類(A−2)を得た。
【0085】
(3)多糖類(A−3):アルカシーラン(伯東社製)
(4)多糖類(A−4)、多糖類(A−5):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011、SPH−012株細菌の産出多糖類(粗製品)
下記組成の培地50Lを、マルビシエンジニアリング社製の90Lの発酵槽に入れ、滅菌後、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011(FERM BP−08582)又はSPH−012(FERM BP−08579)をそれぞれ摂取し、培養を行った。発酵槽の攪拌羽にはタービン攪拌羽根を用いて、700rpm〜800rpmの範囲で撹拌し、通気量は1vvm〜2vvmの範囲とした。pHは6.5±0.4の範囲となるようにNaOH・1N水溶液を使用してコントロールした。また、培養温度は30℃±0.2でコントロールを行った。培養は6日間行った。培養終了後、培養物に約3倍容量のイソプロピルアルコールを加えて攪拌混合し、析出した凝集物を濾過、回収、減圧下にて乾燥してスフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011細菌の産出多糖類(A−4)およびSPH−012細菌の産出多糖類(A−5)を得た。多糖類(A−4)は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他ラムノースをマンノースをモル比2:1で構成される多糖類を含む。また多糖類(A−5)は、フコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースをモル比1:2:1:1で構成される多糖類を主成分とし、この他フコースとマンノースをモル比1:1で構成される多糖類を含む多糖類である。尚、構成単糖類は、多糖類を硫酸で加水分解した後高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
<培地の組成>
グルコース 〔和光純薬工業(株)製〕4.00g
リン酸水素二カリウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.40g
リン酸二水素カリウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.20g
塩化ナトリウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.01g
硫酸マグネシウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.02g
硝酸カリウム 〔和光純薬工業(株)製〕0.10g
イーストエキストラクト HY−YEAST412〔シグマ社製〕0.15g
【0086】
(5)多糖類(A−6)、(A−7):スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−011、SPH−120株細菌の産出多糖類(精製品)
多糖類:A−4,A−5の0.5重量%水溶液に0.02重量%濃度になるように水酸化ナトリウムを添加し、一晩撹拌を行い多糖類を分散させた。更に121℃、10分間の条件で加熱して溶解させた。次に遠心分離(40,000G、40分)行った。菌体除去の確認は、上清の透明度で判断した。次に、前記メンブレンフィルターシステムにて濾過を行い濾過残渣を得た。この濾過残渣に再度、体積として約100倍量純水を足し撹拌した後、再濾過をおこなう。この操作を5回繰り返し水不溶成分の脱塩を行なった。メンブレンフィルターシステムによりある程度脱水したゲル状の水不溶成分をそのまま常温減圧乾燥し、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH011株細菌の産出多糖類(A−6)(精製品)を得た。また、スフィンゴモナス・トゥルーペリSPH−012株細菌の産出多糖類(A−7)(精製品)を得た。
【0087】
(6)比較例に使用した多糖類(A−8):キサンタンガム(ケルザンAX ケルコ社製)
【0088】
(7)被乳化分散物
本発明の実施例に使用した被乳化分散物(B−1)〜(B−22)の種類と誘電率、有機性値、無機性値を表1に示した。

【表1】

【0089】
本発明の実施例において使用する乳化分散剤と被乳化分散成分の乳化分散試験を以下のように実施した。
(乳化分散試験1)
多糖類(A−1)を水に入れ、0.05重量%の水分散液を作った。次いでホモジナイザー(特殊機化(株)製)を用い、0.05重量%の水分散液を8000rpmでせん断力をかけて20分間撹拌して分散させ、多糖類(A−1)分散液(多糖類(A−1)の0.05重量%水溶液)とした。当該多糖類(A−1)分散液100mLをホモジナイザーで8000rpmに撹拌しながら被乳化分散物:テトラデカノール(B−1)30mLを加えて、1分撹拌して乳化分散させた。得られた乳化分散物を室温、50℃の恒温槽に静置し、1週間後、3ヶ月後の乳化分散物の経時安定性を以下のように目視評価した。
○:エマルションが分離していない。
△:上方と下方で濃度差が認められる。
×:水および油の分離が認められる。
【0090】
同様に表1に示した種々の被乳化分散物について乳化分散物を調製し、経時安定性評価を行った。結果を表2に示す。三相乳化の確認は、乳化分散物を一滴取り、光学顕微鏡により乳化分散した液滴を観察し、図3に示したように、油滴と油滴が接触し、押し合った状態でも、各油滴は変形して安定に存在し、合一しないことが確認できれば、三相乳化が安定に維持されていると判断した(界面活性剤による乳化分散では、油滴と油滴が接触した場合は合一してしまう)。
【0091】

【表2】

【0092】
本発明で用いる多糖類を主体とした乳化分散剤と、誘電率1(F/m)〜5(F/m)で且つ「無機性値/有機性値」比が0〜0.5の範囲に入る被乳化分散成分(油性基剤)2種以上とから得られた乳化分散物は、乳化分散剤濃度が0.05wt%という低濃度であっても乳化分散物は50℃で3ヶ月間、安定性を維持し、比較例1〜8の誘電率1(F/m)〜5(F/m)で且つ「無機性値/有機性値」比が0〜0.5の範囲に入らない被乳化分散成分(油性基剤)の配合あるいは一部を含む場合と比べて、優れた乳化分散安定性を示していることが分かる。
【0093】
次に本発明の化粧料の調製及び評価結果を説明する。
実施例31〜37は、乳液1〜7を調製したものであり、実施例38〜43は、クリーム1〜6を調製したものであり、実施例44〜45は、サンスクリーン1〜2を調製したものである。比較例7〜10は、それぞれ乳液8〜9、クリーム7、サンスクリーン3を調製したものである。
(実施例31:乳液1)
乳液1の組成を表3に示す。

【表3】

乳液1の調製方法は、以下のとおりである。
1.区分cの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し、分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1) 。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液1を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却して乳液1(実施例31)を得た。
【0094】
(実施例32:乳液2)
実施例31の成分bのテトラデカノール(B−1)の代わりに同量のオクタデカノール(B−3)、ステアリン酸(B−5)の代わりに同量のパルミチン酸(B−4)に置き換えて調製し、乳液2(実施例32)を得た。
【0095】
(実施例33:乳液3)
実施例31の成分bのテトラデカノール(B−1)の代わりに同量の1−テトラデカノール(B−8)、ステアリン酸(B−5)の代わりに同量のオレイン酸(B−6)に置き換えて調製し、乳液3(実施例33)を得た。
【0096】
(実施例34:乳液4)
実施例31の成分bのテトラデカノール(B−1)の代わりに同量のエチルオレート(B−9)、ステアリン酸(B−5)の代わりに同量のシクロヘキサン(B−7)に置き換えて調製し、乳液4(実施例34)を得た。
【0097】
(実施例35:乳液5)
乳液5の組成を表4に示す。実施例31:乳液1と同様にして調製し、乳液5(実施例35)を得た。
【表4】

【0098】
(実施例36:乳液6)
実施例35の成分bのブチルオレート(B−10)の代わりに同量のドデカン(B−15)、1−ブロモオクタン(B−11)の代わりに同量のオレイン酸(B−6)、ヘキサン(B−12)の代わりに同量のシクロヘキサン(B−7)に置き換えて調製し、乳液6(実施例36)を得た。
【0099】
(実施例37:乳液7)
乳液7の組成を表5に示す。
【表5】


乳液7の調製方法は、以下のとおりである。
1.区分cの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。3.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1) 。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液2を徐々に添加した(分散液3)。
5.ハイビスワコー105を予めディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液4)。
6.分散液3に分散液4を加え、均一混合した(分散液5)。
7.区分eの各成分を均一に分散させた(分散液6)。
8.分散液5に分散液6を加えて中和後、攪拌を行い、室温まで冷却して乳液7(実施例37)を得た。
【0100】
(比較例7:乳液8)
実施例31の成分bのテトラデカノール(B−1)の代わりに同量のオクタノール(B−17)に置き換えて調製し、乳液8(比較例7)を得た。
【0101】
(比較例8:乳液9)
実施例31の成分bのステアリン酸(B−5)の代わりに同量のオクタン酸(B−19)に置き換えて調製し、乳液9(比較例8)を得た。
【0102】
(実施例38:クリーム1)
クリーム1の組成を表6に示す。
【表6】


クリーム1の調製方法は、以下のとおりである。
1.区分bの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液9と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分cの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1) 。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液1を徐々に添加した(分散液3)。
5.添加後10分間攪拌を行う。
6.区分dのハイビスワコー104、105を予めティスパーザを用いて水に分散させた(分散液4)。
7.区分eの各成分を均一に分散させた(分散液5)。
8.分散液3に分散液4を加えて均一混合した(分散液6)。
9.分散液6に分散液5を加えて中和後、室温まで冷却し、クリーム1(実施例77)を得た。
【0103】
(実施例39:クリーム2)
実施例38の成分dのカルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー104、105)を同量の疎水化ヒドトキシプロピルメチルセルロース(サンジェロース90L:大同化学工業社製)に置き換えて調製し、クリーム2(実施例39)を得た。
【0104】
(実施例40:クリーム3)
実施例38の成分dのカルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー104、105)を同量のデンプン・アクリル酸ナトリウムクラフト重合体(サンフレッシュ ST−500D:三洋化成社製)に置き換えて調製し、クリーム3(実施例40)を得た。
【0105】
(実施例41:クリーム4)
実施例77の成分dのカルボキシビニルポリマー(ハイビスワコー104、105)を同量のセルロース結晶体(RC−591S:旭化成ケミカルズ社製)に置き換えて調製し、クリーム4(実施例41)を得た。
【0106】
(実施例42:クリーム5)
クリーム5の組成を表7に示す。

【表7】


クリーム7の調製方法は、以下のとおりである。
1.区分bの多糖類(A−3)を80℃にて加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分cの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1) 。
4.混合液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、分散液2を徐々に添加した。
添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却してクリーム5(実施例42)を得た。
【0107】
(実施例43:クリーム6)
クリーム6の組成を表8に示す。

【表8】


クリーム6の調製方法は、以下のとおりである。
1.区分aの多糖類(A−3)を80℃にて加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分bの各成分を計量し、70℃にて加温溶解させた(混合液1)。
3.区分cの各成分を計量し、70℃にて加温溶解させた(混合液2)
4.区分d、区分eの各成分を計量し均一溶解した後、均一混合した(混合液3)。
5.分散液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、70℃にて混合液1を徐々に添加し、さらに70℃にて混合液2を徐々に添加した。
6.添加後、更に10分間、加温攪拌を行った(分散液2)。
7.分散液2に混合液2を加えて、均一混合した(分散液3)。
8.区分f、区分g、区分hの各成分を計量し均一溶解を行った後、分散液3に加えて攪拌し、室温まで冷却してクリーム6(実施例84)を得た。
【0108】
(比較例9:クリーム7)
実施例38の成分cのオクタデカノール(B−3)を同量のヘキサノール(B−16)、に置き換えて調製し、クリーム7(比較例9)を得た。
【0109】
(実施例44:サンスクリーン1)
サンスクリーン1の組成を表9に示す。
【表9】


サンスクリーン1の調製方法は、以下のとおりである。
1.区分dの多糖類(A−3)を80℃にて加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し、均一混合し、80℃にて加温分散させた(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、均一混合し、80℃にて加温分散させた(分散液3)。
4.分散液2を過熱攪拌しながら分散液3を徐々に添加した(分散液4)。
5.区分cの各成分を計量し、均一混合し80℃にて加温分散させた(分散液5)。
6.分散液1をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、分散液5を徐々に添加した。次いで分散液4も徐々に添加した。
5.添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却してサンスクリーン1(実施例44)を得た。
【0110】
(実施例45:サンスクリーン2)
サンスクリーン2の組成を表10に示す。
【表10】


サンスクリーン2の調製方法は、以下のとおりである。
1.区分cの多糖類(A−3)を80℃に加温後、ディスパーザを用いて水に前分散させた(分散液1)。
2.区分aの各成分を計量し分散液1と均一に混合、80℃にて加温溶解した(分散液2)。
3.区分bの各成分を計量し、80℃にて加温溶解させた(混合液1) 。
4.分散液2をホモジナイザー(またはホモミキサー)で8000rpmに攪拌しながら、混合液1を徐々に添加した。添加後、更に10分間攪拌を行い、室温まで冷却してサンスクリーン2(実施例45)を得た。
【0111】
(比較例10:サンスクリーン3)
実施例88の成分bのオレイン酸(B−6)を同量のシクロヘキサノール(B−20)に置き換えて調製し、サンスクリーン3(比較例10)を得た。
【0112】
〔化粧料組成物の安定性試験〕
実施例31〜45及び比較例7〜10の化粧料組成物を調製した後、100ml共栓付メスシリンダーに100ml取り、栓をして45℃の恒温器内に静置した。12週間後に100ml共栓付メスシリンダー内の化粧料組成物の分離を目視にて測定した。以下の評価基準に従い、結果を表14に示した。すべての実施例で良好な結果を示している。
(安定性の評価基準)
○:目視により、分離・沈澱が認められない。
×:目視により、分離・沈澱が認められる。
【0113】
〔化粧料組成物の官能試験(使用感の評価)〕
調製直後の化粧料組成物(実施例31〜45及び比較例7〜10)と、45℃の恒温器内に12週間連続で静置した化粧料組成物(実施例31〜45及び比較例7〜10)を10組の外観の同じ容器に小分けし、両者の区別が付かないようにした。次いで、10才代から50才代までの各年代から2人ずつ、合計10人のパネラーを選び、各自、適量の化粧料組成物を指でとり、次に両手の甲に着けて伸ばし、「なめらかさ」の官能評価を行なった。「なめらかさ」の評価基準は、以下のようにした。結果を表11に示した。すべての実施例で良好な結果を示している。
・「なめらかさ」の評価基準
○:10名中8名以上が、なめらかな感触があると評価
×:10名中7名以下が、なめらかな感触があると評価。
【0114】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】乳化メカニズムを説明する概念図であり、図1(A)は、従来の界面活性剤の単分子膜吸着メカニズムを説明する概念図、図1(B)は粒子構造の多糖類の付着メカニズムを説明する概念図である。
【図2】乳化分散した粒子の熱衝突による現象を説明する概念図であり、 図2(A)は従来の吸着分子型での熱衝突による現象を説明する概念図であり、図2(B)は乳化剤相付着型での熱衝突による現象を説明する概念図である。
【図3】本発明の被乳化分散成分の乳化分散状態を示す光学顕微鏡の観察写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子構造をした多糖類を主成分とした乳化分散剤と被乳化分散成分を含有する化粧料において、該被乳化分散成分は、少なくとも誘電率が1(F/m)〜5(F/m)であり、且つ、無機性値/有機性値の比が0〜0.5の範囲である2種類以上の被乳化分散成分を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
上記粒子構造をした多糖類を主成分とした上記乳化分散剤が上記被乳化分散成分の周囲に層状付着し中間層を形成する請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
粒子構造をした上記多糖類の平均粒子径が8nm〜500nmである請求項1又は請求項2に記載の化粧料。
【請求項4】
粒子構造をした上記多糖類が単粒子化された多糖類である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】
粒子構造をした上記多糖類がフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースの内少なくとも1種類を構成単糖とし、フコースおよび/又はラムノースを側鎖に含んでいる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の化粧料。
【請求項6】
粒子構造をした上記多糖類が、少なくとも下記の一般式(1)で表される多糖類を含んでいる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の化粧料。
【化1】

(1)
【請求項7】
粒子構造をした上記多糖類を主成分とした上記乳化分散剤と上記被乳化分散成分が重量比で1:50〜1:1000で存在する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の化粧料。
【請求項8】
粒子構造をした上記多糖類の配合量は、上記化粧料全量に対して0.001重量%〜1重量%である請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の化粧料。
【請求項9】
上記被乳化分散成分が、レーキ顔料、有機顔料、着色顔料、白色顔料、体質顔料等の無機顔料、真珠光沢顔料、金属光沢顔料、シリカフリット顔料、金属被覆無機顔料、樹脂顔料、高分子粉体、機能性顔料のいずれか2種類以上である請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の化粧料。
【請求項10】
上記化粧料が、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤あるいは炭素数2〜4のアルキレンオキシド付加物からなる非イオン界面活性剤のいずれも含まない請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の化粧料。
【請求項11】
上記多糖類がランダムな粒径に細分化された請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の化粧料。
【請求項12】
尿素及び/又はチオ尿素を上記化粧料全体に対して0.1重量%〜10重量%含む請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−7442(P2008−7442A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177500(P2006−177500)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】