説明

化粧料

【課題】本発明の目的は、有機溶剤系化粧料のような早い乾燥性を有し、かつ良好な艶、造膜性、耐水性等をもたらす水系の化粧料を提供することにある。
【解決手段】架橋型高分子エマルジョンと、1分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジン誘導体(B)とを含有する化粧料であって、
前記架橋型高分子エマルジョンが、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)を含むエチレン性不飽和単量体を乳化重合してなることを特徴とする化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、更に詳しくは乾燥性が早く、艶、耐水性、造膜性に優れる皮膚、口唇、及び毛髪用の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪用、メイクアップ用、薬用等の化粧料には水溶性又は油溶性の造膜性ポリマーが配合されている。
【0003】
しかし、化粧料中に水溶性ポリマーを配合した場合には耐水性が劣ることから、該化粧料は汗や水によりとれやすい。一方、油溶性ポリマーを配合した場合、該化粧料は皮脂によりとれやすいという欠点を有する。
【0004】
これらの欠点を解決するために、従来、ポリマーエマルジョンを含有する化粧料が提案されている。特許文献1には、アクリル系水性ポリマーエマルジョンからなる化粧料が開示されているが、乾燥性、艶、成膜性、耐水性、密着性において未だ満足のいくものではない。
【0005】
そこで、優れた乾燥性、艶、造膜性、耐水性等をもたらす各種の化粧料の開発が望まれていた。
【特許文献1】特開平6−80537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、有機溶剤系化粧料のような早い乾燥性を有し、かつ良好な艶、造膜性、耐水性等をもたらす水系の化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の架橋型高分子エマルジョンとヒドラジン誘導体とを含有する化粧料が上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、第1の発明は、架橋型高分子エマルジョン(A)と、1分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジン誘導体(B)とを含有する化粧料であって、
前記架橋型高分子エマルジョン(A)が、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)を含むエチレン性不飽和単量体を乳化重合してなることを特徴とする化粧料に関する。
【0009】
又、第2の発明は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量%中、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)を0.1〜20重量%含むことを特徴とする第1の発明の化粧料に関する。
【0010】
又、第3の発明は、架橋型高分子エマルジョン(A)が、加水分解性シランの存在下において乳化重合してなることを特徴とする第1の発明又は第2の発明の化粧料に関する。
【0011】
又、第4の発明は、架橋型高分子エマルジョン(A)の分散粒子の平均粒子径が、10nm〜1μmである第1〜3いずれかの発明の化粧料に関する。
【0012】
又、第5の発明は、皮膚、口唇、及び毛髪用のメイクアップ又はケア組成物であることを特徴とする第1〜4いずれかの発明の化粧料に関する。
【0013】
又、第6の発明は、ファンデーション、ブラッシャー、フェースパウダー、アイシャドー、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、コンシーラー、リップスティック、リップグロス、リップペンシル、ヘアムース、ヘアフォーム、ヘアスプレー及びヘアジェルからなる群のうち少なくともいずれかの用途に用いられることを特徴とする第1〜5いずれかの発明の化粧料に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化粧料は、架橋型高分子エマルジョン(A)と、ヒドラジン誘導体(B)とを含む水性分散体を使用することにより、有機溶剤系化粧料のような早い乾燥性を有し、かつ良好な艶、造膜性、耐水性等をもたらす水系の化粧料を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
【0016】
本発明の化粧料は、架橋型高分子エマルジョン(A)と、1分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジン誘導体(B)とを含有することを特徴とする。
【0017】
まず、架橋型高分子エマルジョン(A)について説明する。架橋型高分子エマルジョン(A)は、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)を含むエチレン性不飽和単量体を乳化重合して得られる、アクリル重合体の水性分散体である。
【0018】
本発明に使用する、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)としては、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、N−ビニルホルムアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシプロピルアクリレート、アセトアセトキシブチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシプロピルメタクリレート、アセトアセトキシブチルメタクリレートなどの1種又は2種以上から選択することができる。
【0019】
本発明においては、架橋型高分子エマルジョン(A)を得るにあたって、エチレン性不飽和単量体として、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)以外のエチレン性不飽和単量体(a2)を用いることができる。エチレン性不飽和単量体(a2)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボニルなどのアクリル酸アルキルエステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボニルなどのメタクリル酸アルキルエステル類;
スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系不飽和単量体;
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などの重合性不飽和カルボン酸及びそれらの無水物などのカルボキシル基含有不飽和単量体;
アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシ基含有不飽和単量体;
N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタアクリルアミドなどのN−置換アクリル、メタクリル系不飽和単量体;
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有不飽和単量体; 並びにアクリロニトリルなどの1種又は2種以上から選択することができる。
【0020】
本発明においては、上記エチレン性不飽和単量体(a2)の中で、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有不飽和単量体を使用するのが好ましい。カルボキシル基含有不飽和単量体は、使用するラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体[単量体(a1)と単量体(a2)との合計]中に0.1〜5重量%使用することが好ましい。カルボキシル基含有不飽和単量体が0.1%重量より少ないと、得られる架橋型高分子エマルジョン(A)の経時安定性が低下する場合がある。一方、5重量%より多いと、中和時の粘度が高くなるとともに、化粧料として使用した際、塗膜の耐水性が悪くなる場合がある。
【0021】
1分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体[単量体(a1)と単量体(a2)との合計]中に0.1〜20重量%であるのが好ましい。単量体(a1)が0.1重量%より少ないと、得られる化粧料の乾燥性の効果が低下する場合がある。一方、20重量%より多いと、重合安定性、保存安定性が悪くなる場合がある。
【0022】
更に架橋型高分子エマルジョン(A)は、加水分解性シランの存在下において乳化重合せしめて得られることが好ましい。本発明に使用することができる加水分解性シランとしては、炭素数1〜14のアルコキシル基が結合したアルコキシシリル基含有化合物が挙げられる。本発明の化粧料は、上記アルコキシシリル基含有化合物を含有しない場合においても優れた性質を有しているが、上記アルコキシシリル基含有化合物を含むと、得られる皮膜に優れた耐水性、光沢保持性、耐温度変化性などをさらに付与することができる。
【0023】
上記アルコキシシリル基含有化合物は、炭素数1〜14のアルコキシル基を有するアルコキシシリル基を含有する化合物であれば特に限定されず、上記炭素数1〜14のアルコキシル基は直鎖状又は分枝状であってもよい。又、上記アルコキシル基は上記アルコキシシリル基を構成する珪素原子に1〜4個結合していてもよい。
【0024】
上記アルコキシシリル基含有化合物としては特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、エトキシトリエチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。なお、アルコキシシリル基含有化合物としてエチレン性不飽和結合を有する化合物を使用する場合には、当該化合物は、重合体のガラス転移温度の計算に用いる単量体として取り扱わないものとする。
【0025】
上記アルコキシシリル基含有化合物は、エチレン性不飽和単量体の合計に対し、0.1〜10重量%使用することが好ましい。上記アルコキシシリル基含有化合物が0.1重量%未満であると、シロキサン結合に基づく架橋ないし高分子量化が不充分となって、添加効果に乏しく、10重量%を超えると重合時の安定生産が困難となる場合がある。より好ましくは、0.5〜8重量%であり、特に好ましくは1〜7重量%である。
【0026】
架橋型高分子エマルジョン(A)の分散粒子の平均粒子径について説明する。本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)の分散粒子の平均粒子径は、化粧料の外観や粘度、粘性に多大な影響をもたらすので重要である。即ち、架橋型高分子エマルジョン(A)の分散粒子の平均粒子径は10nm〜1μmあることが好ましく、30nm〜200nmであることがより好ましい。又、粒子径が10μmを超えるような粗大粒子が多く含有されるようになると透明性が著しく損なわれ外観が悪くなると共に、化粧料の溶液粘度が低い場合、粒子が沈降・ハードケーキ化して再分散出来なくなることがあるので、10μmを超える粗大粒子は、分散粒子の合計100重量%中、多くとも5重量%以下であることが好ましい。又、分散粒子の平均粒子径が1μmより大きいと、化粧料として高度の外観を求められる場合には、その再現性が若干低下する場合があるが、求められる外観再現性の程度によっては使用することも当然可能である。又、分散粒子の平均粒子径が10nmより小さい場合は、分散体自体の粘度が上昇して、化粧料としての保存安定性や使用の際の使いやすさに影響を与える場合がある。尚、この平均粒子径は、動的光散乱法により測定出来る。
【0027】
又、架橋型高分子エマルジョン(A)を構成する樹脂の分子量を調整するために連鎖移動剤を使用することが出来る。連鎖移動剤のうちメルカプト基(チオール基)を有する連鎖移動剤は、一般に極めて不快な特有の臭気があり、化粧料のような用途には到底使い得ないものである。しかし、下記一般式(1)にて示されるメルカプトプロピオン酸誘導体(c)は、無臭であり、本発明の化粧料にも好ましく使用することができる。
【0028】
一般式(1)
(HS−CH2―CH2―COO―)n
n=1の場合、Rは炭素数4以上のアルキル基又は炭素数4以上のアルコキシアルキル基を表す。n=2〜4の場合、Rはn価の有機残基を表し、好ましくは炭素数2〜8の炭化水素基又はイソシアヌレート環又は芳香環を表す。
【0029】
尚、臭気抑制の観点から、メルカプトプロピオン酸誘導体(c)以外の連鎖移動剤を極少量使用することも可能である。しかし、実用上の臭気のレベルを考慮すると、他の連鎖移動剤のみでは分子量調整に効果を発現することができない。
【0030】
本発明においては、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、メルカプトプロピオン酸誘導体(c)を0.1〜10.0重量部用いることが好ましく、0.5〜5.0重量部用いることがより好ましい。メルカプトプロピオン酸誘導体(c)が、0.1重量部未満だと架橋型高分子エマルジョン(A)を構成する樹脂の重量平均分子量が100,000を超えてしまい、皮膜の除去性が悪くなってしまう場合がある。一方、メルカプトプロピオン酸誘導体(c)が10.0重量部よりも多いと、架橋型高分子エマルジョン(A)を構成する樹脂の重量平均分子量が5,000未満になり、皮膜の機械物性が低下する場合がある。
【0031】
本発明において用いられるメルカプトプロピオン酸誘導体(c)のうち、n=1のものとしては、例えば、メルカプトプロピオン酸オクチル、n−ブチル−3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸トリデシル等のメルカプトプロピオン酸アルキルや、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル等のメルカプトプロピオン酸アルコキシアルキルが挙げられる。メルカプトプロピオン酸アルキルのアルキル基としては、直鎖型でも分岐型でもいずれでもよい。例えば、メルカプトプロピオン酸オクチルが好ましく、メルカプトプロピオン酸−n−オクチルでもメルカプトプロピオン酸−2−エチルヘキシルのいずれでも良く、両者を併用してもよい。n=2〜4のものとしては、例えば、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トチメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリス(β−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。本発明においては、これら公知のものを1種以上もしくは多種を混合して使用することができる。これら誘導体の中でも、特にメルカプトプロピオン酸オクチルの存在下に単量体を重合せしめた場合、化粧料として使用する場合に問題となる臭気もなく、かつ分子量を好適に調整した架橋型高分子エマルジョン(A)を提供することが可能となる。
【0032】
又、架橋型高分子エマルジョン(A)を構成する樹脂のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、0〜100℃が好ましく、30℃〜80℃が更に好ましい。Tgが0℃より低い場合、室温における機械物性が低下する傾向にある。又、Tgが100℃を超える場合、被膜が脆弱となる傾向がある。Tgが0〜100℃の範囲にあると、化粧料として使用した場合の室温下の機械物性及び温水下の機械物性に起因する化粧持ちが更に向上するのでより好ましい。 尚、本明細書中におけるTgは北岡協三著、「塗料用合成樹脂入門」(高分子刊行会)に記載されている下記式から求めることができる。
【0033】
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)・・・・+(Wn/Tgn)
ここで、Tgは、共重合により得られる樹脂のガラス転移温度(K)、Tg1、Tg2等はそれぞれの単量体から形成され得る単独重合体のガラス転移温度(K)、W1、W2等はそれぞれの単量体の重量比率(W1+W2+・・・+Wn=1)を表す。
【0034】
尚、乳化重合の際に乳化剤として、エチレン性不飽和基を有するものを使用する場合には、エチレン性不飽和基を有する乳化剤は、上記Tgの計算に用いる単量体として取り扱わないものとする。
【0035】
又、本発明においては架橋型高分子エマルジョン(A)の粒子構造を多層構造いわゆるコアシェル粒子にすることも出来る。例えば粒子表層であるシェル部に単量体(a1)を局在化させたり、コアとシェルによってTgや組成に差を設けさせたりすることにより、乾燥性や成膜性を向上させることが出来る。
【0036】
本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)は、従来既知の乳化重合方法により合成される。乳化重合方法により合成することで、得られる架橋型高分子エマルジョン(A)の分散粒子の平均粒子径、分子量調整等が容易であり、更に化粧料として使用する場合の安定性に優れる。
【0037】
本発明において乳化重合の際に用いられる乳化剤としては、エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤、及び/又はエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤など、従来公知のものを任意に使用することができる。
【0038】
エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤は更に大別して、アニオン系、非イオン系のノニオン系のものが例示できる。特にエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤を単独で用いると、共重合体の分散粒子径が微細となるとともに粒度分布が狭くなるため、化粧料として使用した際に外観再現性をより飛躍的に向上するために好ましい。このエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤は、1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いても良い。
【0039】
エチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤の一例として、以下にその具体例を例示するが、本願発明において使用可能とする乳化剤は、以下に記載するもののみを限定するものではない。前記乳化剤としては、アルキルエーテル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、KH−20、旭電化工業株式会社製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、花王株式会社製ラテムルPD−104等);
スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS−120、S−120A、S−180P、S−180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS−2等);
アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンH−2855A、H−3855B、H−3855C、H−3856、HS−05、HS−10、HS−20、HS−30、旭電化工業株式会社製アデカリアソープSDX−222、SDX−223、SDX−232、SDX−233、SDX−259、SE−10N、SE−20N、SE−等);
(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製アントックスMS−60、MS−2N、三洋化成工業株式会社製エレミノールRS−30等);
リン酸エステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製H−3330PL,旭電化工業株式会社製アデカリアソープPP−70等)が挙げられる。
【0040】
本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)を乳化重合により作成する場合においては、必要に応じて前記したアニオン系反応性乳化剤と共に、もしくは単独でノニオン型反応性乳化剤を使用することができる。本発明で用いることのできるノニオン系反応性乳化剤としては、例えばアルキルエーテル系(市販品としては、例えば、旭電化工業株式会社製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、花王株式会社製ラテムルPD−420、PD−430、PD−450等);
アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、旭電化工業株式会社製アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40等);
(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製RMA−564、RMA−568、RMA−1114等)が挙げられる。
【0041】
本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)を乳化重合により得るに際しては、得られる水性分散体の性能に悪影響を及ぼさない範囲において、前記したエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤とともに、必要に応じエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤を併用することができる。非反応性乳化剤は、非反応性アニオン系乳化剤と非反応性ノニオン系乳化剤とに大別することができる。
【0042】
非反応性ノニオン系乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;
オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル等を例示することができる。
【0043】
又、非反応性アニオン系乳化剤の例としては、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;
ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;
ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;
モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩およびその誘導体類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩類等を例示することができる。
【0044】
本発明において用いられる乳化剤の使用量は、必ずしも限定されるものではなく、架橋型高分子エマルジョン(A)が最終的に化粧料として使用される際に求められる物性に従って適宜選択できる。例えば、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、乳化剤は通常0.1〜30重量部であることが好ましく、0.3〜20重量部であることがより好ましく、0.5〜10重量部の範囲内であることがさらに好ましい。
【0045】
本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)を得るための乳化重合に際しては、得られる水性樹脂分散体の性能に悪影響を及ぼさない範囲において、水溶性保護コロイドを併用することもできる。上記の水溶性保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;
グアガムなどの天然多糖類;などが挙げられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。水溶性保護コロイドの使用量としては、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部当り0.1〜5重量部であり、更に好ましくは0.5〜2重量部である。
【0046】
本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)を得るための乳化重合に際して用いられる水性媒体としては、水が挙げられ、親水性の有機溶剤も本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
【0047】
本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)を得るに際して用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾビス化合物等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混合して使用することができる。これら重合開始剤は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、0.1〜10.0重量部の量を用いるのが好ましい。
【0048】
本発明においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなど、従来既知のものを好適に使用することができる。又、乳化重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、乳化重合速度を促進したり、低温において乳化重合を行ったりすることが容易になる。このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩等の還元性有機化合物;
チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物;
その他、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、0.05〜5.0重量部の量を用いるのが好ましい。尚、前記した重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行うことができる。重合温度は、各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。
【0049】
架橋型高分子エマルジョン(A)を得るための単量体として、カルボキシル基含有不飽和単量体等の酸性官能基を有する単量体を使用した場合、重合前や重合後に塩基性化合物で中和することができる。中和する際、アンモニアもしくは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン類;
2−ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルコールアミン類;
モルホリン等の塩基で中和することができる。ただ、乾燥性に効果が高いのは揮発性の高い塩基であり、好ましい塩基はアミノメチルプロパノール、アンモニアである。
【0050】
次にヒドラジン誘導体(B)について説明する。本発明のヒドラジン誘導体とは、1分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有する化合物であり、架橋型高分子エマルジョン(A)中に存在する樹脂のアルド基またはケト基と反応しうる化合物である。ヒドラジン誘導体(B)と架橋型高分子エマルジョン(A)とを配合する際の添加方法としては、ヒドラジン誘導体(B)が水溶性のものはそのまま、あるいは水で希釈して添加する。ヒドラジン誘導体(B)が油溶性のものは、本発明の形態からするとあまり好ましくないが、使用する場合は必要に応じて界面活性剤で乳化して添加する方がよい。
【0051】
本発明の、1分子中に少なくとも2つのヒドラジド基を有するヒドラジン誘導体(B)としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの脂肪族ジヒドラジドの他、炭酸ポリヒドラジド、脂肪族、脂環族、芳香族ビスセミカルバジド、芳香族ジカルボン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸のポリヒドラジド、芳香族炭化水素のジヒドラジド、ヒドラジン−ピリジン誘導体及びマレイン酸ジヒドラジドなどの不飽和ジカルボン酸のジヒドラジドなどが挙げられる。
【0052】
ヒドラジド誘導体(B)の配合量は、ヒドラジド誘導体(B)中のヒドラジド基が、架橋型高分子エマルジョン(A)中に存在する樹脂のアルド基又はケト基1当量に対して0.1〜1.0当量になるような比率で配合するのが好ましい。ヒドラジド基が0.1当量未満では、化粧料の乾燥性の効果に乏しい。一方、1.0当量より多いと、得られる塗膜の耐水性が劣る場合がある。
【0053】
本発明の架橋型高分子エマルジョン(A)には、架橋剤として多価金属を配合することも可能である。添加方法としては、水に多価金属塩を溶解してから添加する。より好ましくは多価金属塩水溶液に塩基性物質を加えて金属錯体として添加した方がよい。又、多価金属添加前の樹脂溶液もあらかじめpHを高くしておいた方が好ましい。
【0054】
多価金属としては、銅、銀、ベリリウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、ニッケル、鉛、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、スズ、ジルコニウム、モリブデン、マグネシウム等が使用できる。又、これらの金属は水もしくは塩基性水に溶解できる酸化物、水酸化物、炭酸化物、塩化物等の形で用いることができる。
【0055】
多価金属の添加量は、架橋型高分子エマルジョン(A)に含有される樹脂のアルド基又はケト基と、カルボキシル基との合計1モルに対して0.05〜0.5モルの金属を添加する。0.05モル未満だと乾燥性の効果が顕著に現れない場合がある。又、0.5モルを超えると化粧料の安定性が悪くなるとともに、塗膜の耐水性も悪くなる場合がある。
【0056】
本発明には、化粧料として許容できる油、より一般的には、生理学的に許容できる親油性媒体を使用することができ、これらは特に、鉱物、動物、植物又は合成由来の、炭素ベース油類、炭化水素ベース油類、フルオロ油類及び/又はシリコーン油類から、単独で、又は安定で均質な混合物を形成しかつ意図される使用に適合できるという条件で混合物として選択することができる。前記油は、非揮発性油または揮発性油、好ましくは揮発性油でよい。
【0057】
従って、本発明に用いることができる油としては、例えば、流動パラフィン及び液体ワセリンなどの炭化水素ベースの油類;
ミンク油、タートル油、大豆油、ペルヒドロスクワレン、スイートアーモンド油、テリハボク(ビューティーリーフ)油、パーム油、ブドウ種子油、ゴマ種子油、トウモロコシ油、パールリーム(parleam)油、アララ(arara)油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、アンズ油、ヒマシ油、アボガド油、ホホバ油、及びオリーブ油などの穀類胚芽油類;
ラノリン酸エステル類、オレイン酸エステル類、ラウリン酸エステル類、またはステアリン酸エステル類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、乳酸2−オクチルドデシル、コハク酸2−ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、及びトリイソステアリン酸ジグリセリルなどの脂肪酸エステル類;
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸及びイソステアリン酸などの高級脂肪酸;
セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール及びオクチルドデカノールなどの高級脂肪族アルコール類;
ポリジメチルシロキサン(PDMS)類などのシリコーン油(これは、フェニルトリメチコーン類のように場合によってはフェニル化される。又は、場合によってはフッ素化されている脂肪族基及び/又は芳香族基、ヒドロキシ基、チオール基、及びアミン基などの官能基で置換されている。);
脂肪酸類、脂肪族アルコール類、ポリオキシアルキレン類で修飾されたポリシロキサン類、フルオロシリコーン類、及びペルフルオロ油類を挙げることができる。
【0058】
本発明の化粧料は、室温で揮発性である1種類以上の油を含むことができる。ここで揮発性油とは、室温および大気圧下で、0.13〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲の蒸気圧を有する油類を含む。これらの揮発性油類は、皮膚に対する組成物の塗布を特に促進する。これらの油類は、炭化水素ベースの油類、シリコーン油類(シリコーンの側鎖又は末端に、アルキル基又はアルコキシル基を有する油類を含む。)、及びフルオロ油類であり得る。
【0059】
揮発性シリコーン油としては、2〜7個のケイ素原子を含有する直鎖又は環式シリコーン類を挙げることができ、これらのシリコーン類は、場合によっては1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基又はアルコキシ基を含む。従って、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0060】
揮発性炭化水素ベースの油類としては、アイソパー(エクソンモービル社製)、及びパーメチル(EC Eldorchemie社製、日本光研工業社製)製品などのC8〜C16のイソパラフィン類、特にイソドデカン、イソオクタン、イソデカン、イソヘキサデカン、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0061】
本発明の化粧料は、化粧料の全重量に対して特に5〜97.5重量%に相当する油等を含むことができ、油、特に揮発性油の20〜75重量%までに相当するものを含むことがなおいっそう好ましい。
【0062】
本発明の化粧料には、少なくとも1種の着色剤を含むことができる。前記着色剤は、化粧料に通常使用される染料、顔料、真珠光沢顔料、及びこれらの混合物から選択できる。前記着色剤は一般に、化粧料の全重量に対して0.01〜50重量%までの割合、好ましくは1〜30重量%までの割合で配合する。
【0063】
前記染料としては、例えば、スダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β−カロテン、大豆油、スダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエロー、アナトー、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0064】
前記顔料としては、白色又は有色、無機及び/又は有機、被覆又は非被覆、通常サイズ又はナノメートルサイズであり得る。無機顔料として挙げられるものには、二酸化チタン、場合によっては表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム、フェリックブルー、及びそれらの混合物がある。有機顔料として挙げられるものには、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、コチニールカルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム並びにアルミニウムベースのレーキ、及びそれらの混合物がある。前記顔料を、特にポリジメチルシロキサン類などの少なくとも1種のシリコーン化合物及び/又はポリマー類、特にポリエチレン類及び/又は少なくとも1種のフルオロ化合物及び/又は少なくとも1種のアミノ酸で特に被覆できる。Miyoshi社により販売されているポリメチルヒドロゲノシロキサン被覆顔料である「SIオキシド類」も挙げることができる。
【0065】
前記真珠光沢顔料としては、チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆された雲母などの白色真珠光沢顔料、酸化鉄類で被覆されたチタン雲母、フェリックブルー又は酸化クロムで被覆されたチタン雲母、上記記載の有機顔料で被覆されたチタン雲母などの有色真珠光沢顔料、オキシ塩化ビスマスベース真珠光沢顔料、及びそれらの混合物から選択できる。
【0066】
本発明の化粧料の中で、特にファンデーションに望まれる、特に脂性皮膚を有する個人のためのファンデーション又はデイクリームに望まれるつや消し製品を特に得るために、少なくとも1種のフィラーを含有することができる。用語の「フィラー」とは、単独または組み合わせて使用される室温かつ大気圧で固体である任意の粒子であって、組成物の成分が室温を超えた温度、特にそれらの軟化点またはそれらの融点となっても、前記フィラーは、組成物の種々の成分と化学的に反応せず、またこれらの成分に不溶性である粒子を意味する。これらの不活性フィラーは、少なくとも170℃より高く、更に好ましくは200℃より高い融点を有する。それらは、吸収性または非吸収性であり得る。すなわち、特に組成物の油類、及び皮膚により分泌される生体物質も吸収し得る。これらのフィラーは、0.01〜150μmまでの範囲、好ましくは0.5〜120μm、更に好ましくは1〜80μmまでの範囲の見かけの直径を有することが好ましい。見かけの直径は、基本粒子が最小の寸法(ラメラの厚さ)に内接する円周の直径に相当する。
【0067】
本発明に使用できるフィラーとしては、無機又は有機、ラメラ、球形又は楕円形であり得る。例えば、タルク、雲母、シリカ、カオリン、ポリアミド粉体[Nylon(登録商標)、AtochemからのOrgasol(登録商標)]、ポリ−β−アラニン粉体、ポリエチレン粉体、アクリルポリマー粉体、特にポリメタクリル酸メチル(PMMA)粉体[参照CovabeadLH−85(粒径10〜12μm)でWackherrにより販売されている製品]、アクリル酸コポリマー粉体[Dow CorningのPolytrap(登録商標)]、ポリテトラフルオロエチレン粉体[Teflon(登録商標)]、ラウロイルリシン、窒化ホウ素、デンプン、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルの中空ポリマーミクロスフェア、[Expancel(登録商標)(Nobel Industrie)]、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム並びに炭酸水素マグネシウムなどの炭酸類、ハイドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア[MaprecosのSilica Beads(登録商標)]、ガラスミクロカプセル類、セラミックミクロカプセル類、ポリエステル粒子、及びそれらの混合物を挙げられる。これらのフィラーは、特に親油性にするために表面処理できる。
【0068】
本発明の化粧料は、1種類以上のワックス類を含有することができる。本発明において、ワックスは固体/液体状態の変化が可逆的で室温(25℃)で固体であり、45℃より高く、更に好ましくは55℃より高く、200℃まであり得る融点を有し、固体状態で異方性結晶構造を有する親油性脂肪族化合物である。本発明においては、前記ワックス類は、一般に化粧料に用いられるものである。これらは、特に天然起源のものであり、例えば、蜜蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、オウリキュウリ蝋、木蝋、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス、ミクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、モンタン蝋、オゾケライト、及び水素化油(例えば、水素化ホホバ油)が挙げられる。又、合成起源のワックス類としては、例えば、エチレン重合由来のポリエチレンワックス類、Fischer−Tropsch合成により得られるワックス類、40℃で固体の脂肪酸並びにグリセリド類のエステル類、及びシリコーンワックス類[例えば、40℃で固体のポリ(ジ)メチルシロキサンのアルキル及び/又はアルコキシエステル類である。]合成起源のワックス類は、天然起源のワックス類よりも再現性が高いため好ましく使用される。
【0069】
本発明の化粧料は、抗酸化剤、精油、保存剤、芳香剤、中和剤、脂溶性又は媒体に分散できるポリマー類(例えば、エモリエント)、湿潤剤、ビタミン類、必須脂肪酸、サンスクリーン剤、フリーラジカル捕捉剤、分散剤[例えばポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)]、及びそれらの混合物など、化粧料の有効剤から選ばれた当該の分野に通常使用される任意の添加物を含むこともできる。これらの添加物は、化粧料の全重量に対して0.01〜30重量%、更に好ましくは0.01〜10重量%の割合で存在できる。有利には、前記化粧料は、少なくとも1種の有効剤を含有する。
【0070】
言うまでもなく、当業者なら、本発明による化粧料の有利な性質が、意図した添加により悪影響を受けないか、または実質的に悪影響を受けないように、任意で追加の添加物及び/又はその量を選択するために注意を払うであろう。
【0071】
本発明による化粧料は、油性又は水性連続相を含有する単純または多重エマルション、イオン性及び/又は非イオン性脂質を含有する小胞を含む水性相中油性分散液、懸濁液、水又は水性−アルコール性媒体中の分散液または溶液、ムース、及び、イオン性又は非イオン性脂質の小胞分散液の形態であってもよい。
【0072】
前記化粧料は、クリーム、ゲル、ペースト、固体(特にスティック)、皿型に注型された固体エマルション、水性又は水性−アルコール性ゲル、親水性ムース、乳化ゲル、二相又は多相ローション、及びスプレーの外観を有することができる。
【0073】
一方では、使用される成分の性質、特に支持体への溶解性、他方では、組成物の意図された用途を考慮して、一般的な知識に基づき適切な提供形態、又それを調製する方法を選択することが当業者には可能である。
【0074】
次に、本発明による化粧料をそれぞれの用途に使用した場合の特性を述べる。
【0075】
本発明による化粧料は、リップスティック、リップグロス又はリップペンシルなどのリップメイクアップ製品、又は他にリップケア製品とした場合には、塗布時の匂い、塗布後のつや、耐水性、耐油性、付着性に優れ、特に、化粧もちにおいて、つやが良好であると同時にコーヒーカップ、衣類等に色移りしないものとすることが出来る。
【0076】
又、本発明による化粧料は、ファンデーション、ブラッシャー、フェースパウダー、アイシャドー、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、コンシーラー製品とした場合には、塗布時の匂い、塗布後のつや、耐水性、耐油性、付着性に優れ、特に、汗、涙、水泳、皮脂等で化粧くずれしない、化粧もちに極めて優れた効果を発揮するものとすることが出来る。
【0077】
本発明による化粧料は、ヘアムース、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアジェル等の整髪用化粧料製とした場合には、つや出し、セット効果、くし通り、色および匂いに優れ、更には洗浄性に優れた効果を発揮するものとすることが出来る。
【実施例】
【0078】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において「部」、「%」はそれぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
【0079】
[製造例1](高分子エマルジョンの製造)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水265.0部と反応性乳化剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬社製)5.9重量部とを仕込み、別途ダイアセトンアクリルアミド11.7重量部、スチレン39.4重量部、メタクリル酸メチル204.2重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル129.6重量部、アクリル酸3.9重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3.9重量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(S−710、チッソ株式会社製)1.9重量部、イオン交換水263.7部及び反応性乳化剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬社製)5.9重量部をあらかじめ混合して得られたプレエマルジョンのうちの5重量%を更に加えた。
【0080】
内温を60℃に昇温し充分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液6.0部とメタ重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液14.7重量部を添加し重合を開始した。反応系内を70℃で5分間保持した後、内温を70℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液9.8部とメタ重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液24.6重量部を3時間かけて滴下し、更に3時間攪拌を継続した。尚、乳化重合中重合反応液のpHは3.0に保った。反応終了後、温度を30℃まで冷却し、25%アンモニア水を3.9重量部添加して高分子エマルジョンを得た。得られた高分子エマルジョンのpHは8.5であり、不揮発分濃度は40.5%であった。尚、不揮発分濃度は、150℃20分焼き付け残分により求めた。得られた高分子エマルジョン中の樹脂のガラス転移温度(計算値)は30℃であった。得られた高分子エマルジョンの分散粒子の平均粒子径は60nmであった。平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置により測定した。
【0081】
更にそこにアジピン酸ジヒドラジドを所定量(含有アルド基又はケト基1当量に対し0.5当量)添加し、水性分散体(1)を得た。
【0082】
[製造例2、3]
製造例1と同様に「表1」の割合で反応させて高分子エマルジョンを作製した。更に製造例2はアジピン酸ジヒドラジドを添加して水性分散体(2)を得た。尚、製造例3は、ヒドラジン誘導体を含まない水性分散体(3)である。
【0083】
【表1】

【0084】
[実施例1](アイシャドー)
製造例1で得られた水性分散体(1)を用いて下記の製造方法により、以下に示す組成のアイシャドーを製造した。
【0085】
組成 (重量%)
(1)マイクロクリスタリンワックス 3.0
(2)ステアリン酸 3.0
(3)流動パラフィン 8.5
(4)ラノリン 1.0
(5)ソルビタンモノステアレート 1.5
(6)グリセリン 5.5
(7)トリエタノールアミン 1.5
(8)メチルセルロース 0.5
(9)水性分散体(1) 10.0
(10)パール顔料 10.0
(11)群青 2.0
(12)イオン交換水 残量
(13)香料 微量
(14)防腐剤 微量
【0086】
イオン交換水にメチルセルロース、グリセリン、トリエタノールアミンを溶解し、その後、加温してパール顔料及び群青を均一に分散する。次いで、マイクロクリスタリンワックス等の油相成分を加熱溶解し、前記水相中に攪拌しながら添加し乳化を行なう。冷却後、製造例1で得られた水性分散体(1)、香料、及び防腐剤を加えて青色のクリームタイプアイシャドーとした。
【0087】
[比較例1、2](アイシャドー)
製造例1で得られた水性分散体(1)の代わりに製造例2、3で得られた水性分散体(2)、(3)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にしてアイシャドーを製造した。
【0088】
[アイシャドーの評価]
(1)乾燥の早さ、乾燥後のつや及び化粧もち
実施例1と比較例1、2を試料とし、乾燥の早さ、乾燥後のつや及び化粧もち(化粧効果の持続性)についてパネル10名での使用テストによる評価を行った。なお評価基準は次のように定めた。
【0089】
「評価基準」
☆:10名全員が極めて良好とした。
◎:10名中8名以上が良好とした。
○:10名中6名以上が良好とした。
△:10名中4名以上が良好とした。
×:10名中3名以下が良好とした。
【0090】
(2)耐水性
長さ5cm、幅1cm、厚さ1cmのナイロン板に実施例1、比較例1、2の試料アイシャドーを均一に塗布し、乾燥後、10ミリリットルのイオン交換水を入れた20ミリリットルのガラス製サンプル管の中にセットし、振とう機で10分間振とうし、各試料について、塗膜の剥離等の状態を比較評価した。
【0091】
(3)耐油性
(2)と同様の方法で試料を作成し、10ミリリットルの油(トリグリセライド)を入れた20ミリリットルのガラス製サンプル管の中にセットし、(2)と同様に振とうして、各試料について塗膜の剥離、指触した時の擦取強度、指先への色移りを評価した。
【0092】
(4)付着性
(2)と同様の方法で試料を試作し、10gの米粒状ジュラコン樹脂をいれた20ミリリットルのガラス製サンプル管の中にセットし、(2)と同様に振とうして、各試料について塗膜の剥離等の付着状態を評価した。尚、(2)〜(4)の評価基準は次の様に定めた。
【0093】
「評価基準」
◎:極めて良好
○:良好
△:不良
×:極めて不良
【0094】
[実施例2](マスカラ)
製造例1で得られた水性分散体(1)を用いて下記の製造方法により、以下に示す組成のマスカラを製造した。
【0095】
組成 (重量%)
(1)水性分散体(1) 45.0
(2)黒色酸化鉄 15.0
(3)タルク 10.0
(4) メチルヒドロキシプロピルセルロース 2.0
(5)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート 1.5
(6)グリセリン 5.0
(7)イオン交換水 残量
(8)香料 微量
(9)防腐剤 微量
【0096】
イオン交換水にメチルヒドロキシプロピルセルロース、タルク及び水性分散体(1)を添加し、均一に攪拌混合した後に、黒色酸化鉄、グリセリン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートからなる着色ペーストを添加して均一に混合し、香料及び防腐剤を加えて黒色のマスカラとした。
【0097】
[比較例3、4](マスカラ)
製造例1で得られた水性分散体(1)の代わりに製造例2、3で得られた水性分散体(2)、(3)をそれぞれ用いた以外は、実施例2と同様にしてマスカラを製造した。
【0098】
[マスカラの評価]
(1)塗布後の乾燥の早さ及び乾燥後のつや及び化粧もち
実施例2と比較例3、4とを試料とし、塗布時の匂い及び乾燥後のつや、化粧もち(化粧効果の持続性)についてパネル10名での使用テストによる評価を行った。尚、評価基準は前記のアイシャドーの場合と同一とした。
【0099】
(2)耐水性、(3)耐油性、(4)付着性
前記のアイシャドーの場合と同一の方法と評価基準で評価した。
【0100】
[実施例3](アイライナー)
製造例1で得られた水性分散体を用いて下記の製造方法により、以下に示す組成の液状皮膜タイプのアイライナーを製造した。
【0101】
組成 (重量%)
(1)水性分散体(1) 58.0
(2)カーボンブラック 6.0
(3)二酸化チタン 3.0
(4)ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 1.0
(5)グリセリン 3.0
(6)メチルセルロース 1.0
(7)イオン交換水 残量
(8)香料 微量
(9)防腐剤 微量
【0102】
イオン交換水にポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートを溶解し、それにカーボンブラック及び二酸化チタンを混合し、コロイドミルを用いて均一に分散させる。これをグリセリン、メチルセルロース及び水性分散体(1)を添加し、均一に混合し、最後に香料、防腐剤を添加して黒色の皮膜タイプアイライナーとした。
【0103】
[比較例5、6](アイライナー)
製造例1で得られた水性分散体(1)の代わりに製造例2、3で得られた水性分散体(2)、(3)をそれぞれ用いた以外は、実施例3と同様にしてアイライナーを製造した。
【0104】
[アイライナーの評価]
(1)塗布後の乾燥の早さ及び乾燥後のつや及び化粧もち
実施例3と比較例5、6を試料とし、塗布時の匂い及び乾燥後のつや、化粧もち(化粧効果の持続性)についてパネル10名での使用テストによる評価を行った。尚、評価基準は前記のアイシャドーの場合と同一とした。
【0105】
(2)耐水性、(3)耐油性、(4)付着性
前記のアイシャドーの場合と同一の方法と評価基準で評価した。
【0106】
[実施例4](O/W乳化型ファンデーション)
製造例1で得られた水性分散体(1)を用いて下記の製造方法により、以下に示す組成の液状皮膜タイプのO/W乳化型ファンデーションを製造した。
【0107】
配合成分 配合量(重量%)
(1)タルク 3.0
(2)二酸化チタン 5.0
(3)ベンガラ 0.5
(4)黄酸化鉄 1.4
(5)黒酸化鉄 0.1
(6)ベントナイト 0.5
(7)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.9
(8)トリエタノールアミン 1.0
(9)プロピレングリコール 10.0
(10)水性分散体(1) 5.0
(11)イオン交換水 残部
(12)ステアリン酸 2.2
(13)イソヘキサデシルアルコール 7.0
(14)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(15)液状ラノリン 2.0
(16)流動パラフィン 8.0
(17)エチルパラベン 0.1
(18)香料 適量
【0108】
(6)を分散した(9)を(11)に加え、70℃でホモミキサー処理した後、残りの水相成分(7)、(8)、(10)を添加し、十分に攪拌する。これに十分混合粉砕された粉体部を攪拌しながら添加し、70℃でホモミキサー処理する。つぎに70〜80℃で加熱溶解された油相(12)〜(16)及び(17)を徐々に添加し、70℃でホモ処理する。これを攪拌しながら冷却し、45℃で(18)を加え、室温まで冷却する。最後に脱気し、容器に充填する。得られた乳化型ファンデーションは、しっとりとし、なめらかで、化粧持ちのよいものであった。
【0109】
[比較例7、8](O/W乳化型ファンデーション)
製造例1で得られた水性分散体(1)の代わりに製造例2、3で得られた水性分散体(2)、(3)をそれぞれ用いた以外は、実施例4と同様にしてO/W乳化型ファンデーションを製造した。
【0110】
[O/W乳化型ファンデーションの評価]
(1)塗布後の乾燥の早さ及び化粧もち
実施例4と比較例7、8を試料とし、塗布後の乾燥の早さ、化粧もち(化粧効果の持続性)についてパネル10名での使用テストによる評価を行った。尚、評価基準は前記のアイライナーの場合と同一とした。
【0111】
(2)耐水性、(3)耐油性、(4)付着性
前記のアイライナーの場合と同一の方法と評価基準で評価した。
【0112】
[実施例5](ヘアジェル)
製造例1で得られた水性分散体(1)を用いて下記の製造方法により、以下に示す組成のヘアジェルを製造した。
【0113】
配合成分 配合量(重量%)
(1)カルボキシビニルポリマー 0.7
(2)水性分散体(1) 5.0
(3)グリセリン 2.5
(4)1,3−ブチレングリコール 2.5
(5)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40EO) 0.5
(6)ジメチルポリシロキサン100cs 5.0
(7)ポリエーテル変性シリコーン 1.0
(商品名;KF6011、信越化学工業株式会社製)
(8)水酸化ナトリウム 適量(pH7.5に調製)
(9)エタノール 20.0
(10)ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル 0.1
(11)香料 0.1
(12)エデト酸三ナトリウム 0.03
(13)イオン交換水 残余
【0114】
(4)、(5)、(6)、(8)、一部の(14)に(7)を添加し、ホモミキサーにより乳化する。次いで、一部の(14)を加えて乳化部とする。一方、残りの(14)に(1)、(2)、(3)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)を均一溶解し、これに先の乳化部を添加し、乳化状ヘアジェルを得た。
【0115】
[比較例9、10](ヘアジェル)
製造例1で得られた水性分散体(1)の代わりに製造例2、3で得られた水性分散体(2)、(3)をそれぞれ用いた以外は、実施例5と同様にしてヘアジェルを製造した。
【0116】
[ヘアジェルの評価]
(1)セット効果
長さ18cm、重さ1gの毛束12束の各々に実施例5及び比較例9、10の各試料一定量を均一に噴霧し、直径2cmのロッドに巻いて自然乾燥した。乾燥後、ロッドを取り外し、カールのついた毛束を温度25℃、湿度90%の高湿度環境下でつり下げ、カールの伸び具合を評価した。評価は高湿度環境下につり下げた直後の毛束の長さをa(cm)、30分後の毛束の長さをb(cm)、カールしていない元の毛束の長さをh(cm)として、式(1)に従ってカール保持率R(%)を算出し、(イ)評価基準に従って4段階で判定した。
【0117】
カール保持率:R(%)=(h−b)/(h−a)×100・・・(1)
つり下げた直後の毛束の長さ:a(cm)
つり下げて30分後の毛束の長さ:b(cm)
カールしていない元の毛束の長さ:h(cm)
【0118】
(イ)評価基準
◎:76〜100%(非常に良い)
○:51〜75%(良い)
△:26〜50%(やや悪い)
×:0〜25%(悪い)
【0119】
(2)つや出し:パネル10名での使用テストによる評価を行った。
(3)くし通り:パネル10名での使用テストによる評価を行った。
(4)洗浄性:パネル10名での使用テストによる評価を行った。
【0120】
評価パネル10名として、実使用により、つや出し、くし通り、洗浄性の各々について、(ロ)絶対評価基準を用いて5段階評価をおこなった。
【0121】
(ロ)絶対評価基準
4:非常に良い
3:良い
2:変わらない
1:やや悪い
0:悪い
【0122】
【表2】

【0123】
表2に示すように、実施例1〜5の各化粧料は、乾燥性、つや、化粧もち等が良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋型高分子エマルジョン(A)と、1分子中に少なくとも2個のヒドラジド基を有するヒドラジン誘導体(B)とを含有する化粧料であって、
前記架橋型高分子エマルジョン(A)が、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)を含むエチレン性不飽和単量体を乳化重合してなることを特徴とする化粧料。
【請求項2】
エチレン性不飽和単量体の合計100重量%中、1分子中に少なくとも1個のアルド基又はケト基を有するエチレン性不飽和単量体(a1)を0.1〜20重量%含むことを特徴とする請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
架橋型高分子エマルジョン(A)が、加水分解性シランの存在下において乳化重合してなることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧料。
【請求項4】
架橋型高分子エマルジョン(A)の分散粒子の平均粒子径が、10nm〜1μmである請求項1〜3いずれか記載の化粧料。
【請求項5】
皮膚、口唇、及び毛髪用のメイクアップ又はケア組成物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の化粧料。
【請求項6】
ファンデーション、ブラッシャー、フェースパウダー、アイシャドー、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、コンシーラー、リップスティック、リップグロス、リップペンシル、ヘアムース、ヘアフォーム、ヘアスプレー及びヘアジェルからなる群のうち少なくともいずれかの用途に用いられることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の化粧料。

【公開番号】特開2009−120520(P2009−120520A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295022(P2007−295022)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】