説明

化粧料

【課題】自然由来のリモナイトを利用して、より人間の皮膚に優しい化粧料を提供することであり、また、リモナイトが有する酸化作用を効果的に利用可能な化粧料を提供すること。
【解決手段】リモナイトを含有する、好ましくは、リモナイトの含有率が、0.01〜2重量%である化粧料。より好ましくは、トレハロース、プルラン、ヘスペリジンから選ばれる酸化抑制剤のいずれか1つを少なくとも含む該化粧料。さらに好ましくはパック用である該化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、特に、リモナイトを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料に、金属酸化物や金属水酸化物を含有させることが行われている。このような金属酸化物や金属水酸化物を含有した化粧料の主な利用方法は、以下の特許文献1又は2に示すような、肌の”しみ”や”そばかす”などを隠蔽するための顔料として利用する方法、また、特許文献3乃至5に示すような角栓や老化した角質を除去するためのパック料として利用する方法がある。
【特許文献1】特開昭62−16408号公報
【特許文献2】特開2000−273352号公報
【特許文献3】特開平9−104615号公報
【特許文献4】特開平9−110626号公報
【特許文献5】特開平10−7523号公報
【0003】
顔料として使用する際には、マイカ粒子や鱗片状基材を被覆する被覆材として金属酸化物や金属水酸化物が利用されている。また、パック料として使用する際は、金属酸化物や金属水酸化物の微粒子として利用されている。
【0004】
他方、自然由来の金属酸化物や金属水酸化物を含むものとして、リモナイトが知られている。リモナイトは、褐鉄鉱、沼鉄鉱とも呼ばれ、酸化鉄をはじめ多くのミネラル分を含むものであり、水中では、水中の過剰なリンを吸着除去し、有用なミネラルの水への付加を行う作用を持つ。このため、水質浄化(藻の分解除去や透明度の向上など)に必要なバクテリアの活動を活発にし、水質の浄化を促進する機能を有するものである。
【0005】
近年では、リモナイトを土壌改良剤、水質浄化剤として利用するだけでなく、畜産飼料の添加剤やペットの健康補助食品として、多様な用途が見出されつつある。本発明者も、このリモナイトの優れた効果に着目し、以下の特許文献6において、撒き餌の原料の一部として利用することを提案している。
【特許文献6】国際公開WO2005/084433号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、自然由来のリモナイトを利用して、より人間の皮膚に優しい化粧料を提供することである。
また、リモナイトが有する酸化作用を効果的に利用可能な化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段としては、請求項1に係る発明は、リモナイトを含有することを特徴とする化粧料である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の化粧料において、リモナイトの含有率は、0.01〜2重量%であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の化粧料において、酸化抑制剤を含有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の化粧料において、該酸化抑制剤は、トレハロース、プルラン、ヘスペリジンのいずれかを少なくとも含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の化粧料において、該化粧料はパック用の化粧料であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明により、リモナイトを含有することを特徴とする化粧料であるため、自然由来の原料であり、有用な酸化作用を有するリモナイトの効能で、より人間の皮膚に優しく、美容効果の高い化粧料を提供することが可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明により、リモナイトの含有率は、0.01〜2重量%であるため、リモナイトの強い酸化作用を適度に抑制しながら、人間の皮膚に優しい化粧料を提供することが可能となる。
【0014】
請求項3に係る発明により、酸化抑制剤を含有するため、リモナイトの強い酸化作用をさらに適度に抑制しながら、人間の皮膚に優しい化粧料を提供することが可能となる。
【0015】
請求項4に係る発明により、酸化抑制剤は、トレハロース、プルラン、ヘスペリジンのいずれかを少なくとも含むため、酸化抑制剤自体が人間の皮膚に優しい原料であり、しかもリモナイトの酸化作用を効果的に制御することも可能となる。
【0016】
請求項5に係る発明により、化粧料はパック用の化粧料であるため、人間の皮膚の新陳代謝を効果的に促す、美容効果の高い化粧料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る化粧料について、以下に詳細に説明する。
本発明の化粧料は、リモナイトを含有することを特徴とする。
リモナイトは、上述したように褐鉄鉱、沼鉄鉱とも呼ばれ、酸化鉄をはじめ多くのミネラル分を含むものであり、世界各地で産出されるが、特に、日本の阿蘇山の火口湖で産出されるリモナイトは、特に鉄分が豊富であり、本発明の化粧料に適した原料である。
【0018】
化粧料におけるリモナイトの含有率は、0.01〜2重量%が好ましい。含有率が0.01重量%より低いと、リモナイトの持つ有効成分の効能が期待できず、また、2重量%を超えると、人間の皮膚に対する刺激が強くなり過ぎ、広範な利用者に対応可能な化粧料としては適さなくなる。
【0019】
本発明の化粧料は、リモナイトが有する酸化作用を制御するため、酸化抑制剤を含有することが好ましい。特に、酸化抑制剤としては、トレハロース、プルラン、ヘスペリジンのいずれかを含むことがより好ましい。これらの酸化抑制剤は、それ自体が人間の皮膚に優しい原料であると共に、リモナイトの酸化作用を効果的に制御することが、本発明者による研究で解明されている。
【0020】
トレハロースは、澱粉の還元性末端をトレハロース構造に変換する酵素と、トレハロース部分を遊離する酵素の二つの働きで作られている。トレハロースは、ブドウ糖2分子がα、α―1、1で結合した、非還元性の糖質である。
【0021】
トレハロースの酸化抑制効果としては、トレハロースは非還元性のためアミノ酸(PH調整剤)と共存加熱しても、変色 (メーラード反応)を起こさないため、リモナイトが及ぼすPH調整に対する酸化を保護する役目がある。また、トレハロース自体も熱や酸に対して、天然の2糖類の中では最も安定的な糖質であり、着色や分解が少ないため、パックなどの化粧料の品質安定にも役立っている。
【0022】
プルランは、デンプンを原料とし、黒酵母の一種であるAureobasidium pullulansを培養して得られた、マルトトリオースが規則正しくα−1,6結合した天然多糖類である。
プルランは、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、変異原性の各試験において安全性が確認されており、我が国で使用制限のない添加物として扱われている。
また、プルランは、冷水、温水のいずれにも速やかに溶解し、ジメチルホルムアミドやジメチルスロホキシド以外の一般の有機溶媒には不溶である。しかも、プルラン水溶液は他の多糖類に比べ、比較的低粘性で、ゲル化することがなく、粘着性の強い溶液になる性質を有する。また、pHや各種塩類の影響を受けにくい。
【0023】
プルランの酸化抑制効果としては、プルランは皮膜性に優れており、リモナイトによる他の材料を酸化させるコーティング剤の役割を果たす。プルランは食品でも品質改善、老化防止向上剤としても使用されており、パックなどの化粧料全体の品質劣化を防ぐ働きも期待できる。
【0024】
ヘスペリジンは、特に、株式会社林原微生物研究所が提供するヘスペリジンのグルコース残基にグルコース1分子がα―グルコシド結合をした構造のグルコシルヘスペリジン(商品名:林原ヘスペリジン)が好ましい。
【0025】
ヘスペリジンの酸化抑制効果としては、色素の退色を効果的に防止できる作用があるため、リモナイトが及ぼす酸化による変色を防止できる。また、上記のトレハロースは加熱時に、ヘスペリジンは常温時に、効果が期待できる。
【0026】
通常、化粧料に添加されている酸化抑制剤(酸化防止剤)は、化粧料中の水分に対する酸化防止の役目を果たすためのものであるが、本発明の化粧料においては、上述のようにリモナイトの酸化作用に対して効果的に抑制効果が働き、リモナイトの酸化作用を維持しながら、PHを6前後に近づけ、化粧料自体の変色のみならず、人間の皮膚へのアレルギー反応を起こしにくくする効果が期待できる。
【0027】
本発明の化粧料は、人間の皮膚の新陳代謝を促し、皮膚を浄化するなど、美容効果の高い化粧料であるため、パック料として利用する方が好ましい。
【0028】
本発明の化粧料には、その他、必要に応じて各種の添加剤を添加することが可能であり、例えば、皮膚の保湿効果を高めるため、保湿剤を添加したり、化粧料中にリモナイトが均質に分散したり、化粧料の皮膚への密着性を高めるため、分散剤やゲル化剤なども適宜添加することが可能である。
【0029】
また、リモナイトと酸化抑制剤を少なくとも含む中間体を製造し、その後、この中間体に各種の添加剤を加え、最終製品に加工することも可能であり、本発明の化粧料は、最終製品のみならず、この中間体も含むものである。当然、中間体におけるリモナイトの含有率は、2重量%より高くなる可能性があるが、最終製品に加工した際に、0.01〜2重量%の含有率に調整するものであれば、本発明の技術的範囲内と考える。
【実施例】
【0030】
本発明の化粧料の一実施例を、表1に示す成分の項番1乃至7までを配合し攪拌・混合して中間体を製造した。次に、該中間体に、表1に示す成分の項番8乃至20までを添加し、攪拌・混合を行って、化粧料の最終製品を得た。
また、リモナイトを含まない比較例1と、プルラン、ヘスペリジンS、トレハロースを含まない比較例2についても、実施例と同様に製造した。
【0031】
【表1】

【0032】
実施例及び比較例1,2の化粧料を、皮膚に塗布し、数分間放置後、水で洗い流した。この操作を1時間置きに合計5回行ったところ、実施例のものは、処置前と比較して、皮膚の色、弾力、保水性が改善していることが確認された。
また、比較例1のものは、保水性が幾分増した程度であり、実施例のような顕著な効果は見られなかった。
さらに、比較例2のものは、皮膚の赤みが増し、過度の刺激があることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明によれば、自然由来のリモナイトを利用して、より人間の皮膚に優しい化粧料を提供することができる。
また、リモナイトが有する酸化作用を効果的に利用可能な化粧料を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモナイトを含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載の化粧料において、リモナイトの含有率は、0.01〜2重量%であることを特徴とする化粧料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化粧料において、酸化抑制剤を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項4】
請求項3に記載の化粧料において、該酸化抑制剤は、トレハロース、プルラン、ヘスペリジンのいずれかを少なくとも含むことを特徴とする化粧料。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の化粧料において、該化粧料はパック用の化粧料であることを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2009−167106(P2009−167106A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3643(P2008−3643)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508010547)株式会社プルナイト (1)
【Fターム(参考)】