説明

化粧料

【課題】コラ−ゲン線維束構造の崩壊、シワの形成、たるみの形成、くすみの形成、表皮弾力性の低下、皮膚表面状態の変化などの皮膚老化現象の予防又は改善に好適な、植物抽出物を有効成分とする新規な角層中におけるアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation Endproducts)分解剤を提供する。
【解決手段】レンゲソウなどのマメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる植物抽出物よりなるAGEs分解剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation end product)分解剤に関し、さらに詳しくは、当該成分を含有する化粧料、並びに、当該化粧料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1912年にL.C.Mallardにより発見された、アミノ酸及び還元糖の非酵素的な縮合反応により褐色の色素が生成する糖化反応は、メイラ−ド反応と呼ばれる。メイラ−ド反応を大略すると、アミノ酸が有するアミノ基とグルコ−スなどの還元糖が有するカルボニル基が非酵素的に反応することによりシッフ塩基を形成した後、中間体のエナミノ−ルを経由し、アマドリ転移反応などによりアマドリ化合物を生成する前期反応と、アマドリ化合物及びアマドリ化合物より生成したα−ジカルボニル化合物、シッフ塩基などの化合物が、更に分解反応、脂質過酸化反応、転移反応や縮合反応を経由し、終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation end products)を生成する後期反応に分けることが出来る。AGEsは、その特性により数十種類の化合物(例えば、クロスリン、ピロピリジン、ペントシジン、ピラリン、カルボキシメチルリジンなど)が存し、様々な性質を示すことが知られている。
【0003】
AGEsには、AGE化した蛋白質(AGE修飾蛋白質)をリガンドとして認識するAGE受容体の存在が明らかとなっている。該受容体は、サイトカインや成長因子の産生亢進などの細胞情報伝達系に作用(例えば、非特許文献1を参照)することにより、様々な生物活性を引き起こす。このため、AGEsは、糖尿病性血管合併症、動脈硬化、アルツハイマ−病などの様々な疾患と深く関与する(例えば、非特許文献2を参照)ことが知られている。また、皮膚に関しては、表皮(例えば、特許文献1を参照)及び真皮(例えば、特許文献2を参照)におけるAGEsの存在は、既に知られている。特に、真皮AGEsに関する研究は盛んに行われており、真皮中のAGEs産生量を減少させることにより、紫外線照射によるくすみなどに対する予防又は改善作用(例えば、特許文献3を参照)が発現することが報告されている。一方、角層中におけるAGEsの存在は明らかになったものの、その役割に関しては、全く解明されていない。
【0004】
真皮中におけるAGEs産生抑制作用を有する物質としては、クロメン誘導体(例えば、特許文献4を参照)等が既に知られている。さらに、真皮中におけるAGEs分解作用を有する植物抽出物としては、モクセイ科オリ−ブ属(例えば、特許文献5を参照)、ユキノシタ科ユキノシタ属(例えば、特許文献6を参照)、バラ科ポテンチラ属(例えば、特許文献7を参照)、マメ科アスパラトゥス属ルイボス(例えば、特許文献8を参照)、バラ科シモツケソウ属シモツケソウ(例えば、特許文献9を参照)、キク科ヨモギ属(例えば、特許文献10を参照)に属する植物より得られる抽出物が知られている。しかしながら、この様なAGEs産生抑制剤又は分解剤は、何れも真皮中に存在するAGEsに作用することにより生物活性を発現するものであり、角層中に存在するAGEsに対する作用は全く知られていない。また、マメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる抽出物が、AGEs分解作用、取り分け、角層中に存在するAGEs量を減少させることは全く知られていなかった。角層中におけるAGEs含有量は、皮膚表面における肌の状態、例えば、表皮弾力性、皮膚の肌理等に深く関与する。このため、角層中に存在するAGEs含有量を減少させる物質には、皮膚表面状態の悪化を予防又は改善する効果が期待させる。角層中のAGEsは、例えば、抗AGEs抗体を反応させ、該反応部位を検知することにより、定量することが出来る(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−008460号公報
【特許文献2】特開2003−261432号公報
【特許文献3】特開2001−122758号公報
【特許文献4】特開2009−096773号公報
【特許文献5】特開2001−122758号公報
【特許文献6】特開2001−131051号公報
【特許文献7】特開2007−161660号公報
【特許文献8】特開2007−161661号公報
【特許文献9】特開2007−161662号公報
【特許文献10】特開2007−161663号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】繁田幸雄 等 編集、蛋白の糖化 AGEsの基礎と臨床(医学書院)、P163(1997)
【非特許文献2】山岸昌一 編集、AGEs研究の最前線 糖化蛋白質関連疾患研究の現状(メディカルレビュ−社、P231、(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下において為されたものであり、皮膚外用剤として好適な、新規AGEs分解剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明者等は、角層中に存在するAGEs存在量を減少させる作用を有する新規AGEs分解剤を求めて、鋭意努力・研究を重ねた結果、マメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる抽出物が、優れたAGEs分解作用を有することを見出し、発明を完成させるに至った。本発明は、以下に示す通りである。
<1> マメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる植物抽出物よりなるアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation Endproducts)分解剤。
<2> 前記マメ科ゲンゲ属に属する植物が、レンゲソウであることを特徴とする、アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤
<3> 前記アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解作用が、皮膚の角層中に存在するアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツの分解作用であることを特徴とする、アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ産分解剤。
<4> 前記アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤を含有することを特徴とする、皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
<5> 前記アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%であることを特徴とする、<4>に記載の皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
<6> 皮膚老化が、コラ−ゲン線維束構造の崩壊、シワの形成、たるみの形成、くすみの形成、表皮弾力性の低下、皮膚表面状態の変化であることを特徴とする、<4>又は<5>に記載の皮膚外用剤。
<7> 皮膚表面状態の変化が、肌理の変化であることを特徴とする、<4>〜<6>の何れか一項に記載の皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
<8> 化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、<4>〜<7>に記載の皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
<9> パネラ−より採取された角層を、抗AGEs(アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ)抗体で処理し、該抗AGEs抗体との反応部位を定量化し、該反応部位が平均値より多い場合、前記パネラ−にその使用を勧められるべき皮膚外用剤であることを特徴とする、<4>〜<8>の何れか一項に記載の皮膚老化防止用又は改善用の皮膚外用剤。
<10> マメ科ゲンゲ属の植物体を溶媒で抽出し、抽出物を得て、所望により、前記抽出物を分画、精製、溶媒除去した後、これを化粧料に含有させる場合において、前記抽出物と1−フェニル−1,2−プロパンジオンとをインキュベ−ションし、生成する安息香酸の量を確認し、しかる後に該抽出物を含有せしめることを特徴とする、化粧料の製造方法。
<11> マメ科ゲンゲ属の植物体を溶媒で抽出し、抽出物を得て、所望により、前記抽出物を分画、精製、溶媒除去をした後、これを化粧料に含有させる場合において、前記抽出物とアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ・牛血清アルブミン複合体を共にインキュベ−ションし、インキュベ−ション後にアドバンスド・グリケーション・エンドプロダクツ・牛血清アルブミン複合体を定量し、該定量値がマメ科ゲンゲ属に属する植物の抽出物乃至はその分画精製物の非存在下に比して減少していることを確認した上で、化粧料に含有させることを特徴とする、化粧品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、皮膚外用剤として好適な、新規AGEs分解剤を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】角層中におけるAGEsの存在量を評価するための標準標本を示す図である。
【図2】角層AGEsのグレ−ド値とImage Jによる評価値との関係を示す図である。
【図3】角層AGEsと表皮弾力性の関連性を示す図である。
【図4】角層AGEsと皮膚表面形態(水平方向の平均粗さ:Ra)の関連性を示す図である。
【図5】角層AGEsと皮膚表面形態(垂直方向の平均粗さ:Ra)の関連性を示す図である。
【図6】マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物のヒト角層中AGEsの分解作用を示す図である。
【図7】マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物のヒト角層中AGEsの生成抑制作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明のアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation Endproducts)分解剤>
本発明の皮膚外用剤は、マメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる植物抽出物よりなるAGEs分解剤を必須成分として含有することを特徴とする。本発明のAGEs分解剤は、マメ科ゲンゲ属に属する植物、より好ましくは、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物よりなるAGEs分解剤であることを特徴とする。ここで、本発明における植物抽出物とは、抽出物自体、抽出物の分画、精製した分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。本発明におけるマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤は、マメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物の内、皮膚中におけるAGEsの存在量、取り分け、角層中に存在するAGEsの存在量を減少させる作用を有する物質を意味し、具体的には、角層中に存在するAGEsを分解することによりAGEs存在量を減少させる作用を有するAGEs分解剤のみならず、角層中におけるAGEs産生を抑制する作用を有するAGEs産生抑制剤なども包含する。本発明におけるAGEs分解剤としては、前記の角層中におけるAGEs存在量を減少させる作用を有する物質であれば、特段の限定なく適応することが出来る。本発明のマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤の内、好ましいものとしては、後述するAGEs分解作用評価1及び2においてAGEs分解作用を示す物質、さらに好ましくは、後述するヒト角層中に存在するAGEs分解作用評価において、ヒト角層中に存在するAGEsを分解する作用を示すAGEs分解剤、又は、ヒト角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を示すAGEs分解剤が好適に例示出来る。かかるヒト角層中に存在するAGEs分解作用を有する物質とは、パネラ−より採取された角層標本に、抗AGEs抗体を反応させ、該反応部位を検知し、前記AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中に存在するAGEsの分解作用を有する物質と言うことが出来る。また、かかるヒト角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を有する物質とは、角層標本をグルコ−ス溶液に浸漬させて37度で放置してAGEsを生成させた場合、前記AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を有する物質と言うことが出来る。本発明者の検討によれば、角層内におけるAGEsの蓄積量は、皮膚の粘弾性などの物性と相関し、角層内に蓄積されているAGEs量が多いほど低下し、老化が進んだ状態にあることが分かっている。即ち、角層内のAGEsを判別し、この量が多い場合には、本発明のAGEs分解剤で処理することにより、この様な老化を元に戻し、皮膚の粘弾性を増加させるなどの効果を奏することが出来る。本発明のAGEs分解剤は、前記AGEs分解剤の唯1種を含有させることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。
【0012】
かかるマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物の作製に用いる部位としては、植物体の何れの部分も使用可能であり、特に好ましくは、全草及び種子が好適に例示出来る。マメ科ゲンゲ属レンゲソウは、中国を原産地とする越年草であり、日本各地において、栽培・野生化していることが確認されている。また、当該植物は、蜂蜜のよい蜜源植物として利用されている。本発明におけるマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物は、日本に於いて自生又は生育された植物、漢方生薬原料などとして販売される日本産のものを用い、抽出物を作製することも出来るし、一丸ファルコス株式会社などの植物抽出物を取り扱う会社より販売されている市販の抽出物を購入し、使用することも出来る。抽出に際しては、植物体、種子、地上部又は木幹部は予め、粉砕或いは細切して抽出効率を向上させるように加工することが好ましい。抽出物は、植物体、種子、地上部乃至はその乾燥物1質量に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬する。浸漬後は、室温まで冷却し、所望により不溶物を除去した後、溶媒を減圧濃縮するなどにより除去することが出来る。しかる後、シリカゲルやイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィ−などで分画精製し、所望の抽出物を得ることが出来る。
【0013】
前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、1,3−ブタンジオ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどの多価アルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル類から選択される1種乃至は2種以上が好適に例示出来る。
【0014】
本発明のマメ科ゲンゲ属より得られる植物抽出物は、皮膚中に存在するAGEs、取り分け、角層中に存在するAGEsに作用することにより、角層中に存在するAGEsの存在量を減少させる作用を有する。角層中に存在するAGEsの存在量を減少させる作用としては、既に角層中に存在するAGEsを分解する作用を有するAGEs分解剤のほか、角層において生成されるAGEsの産生抑制作用を有するAGEs産生抑制剤も包含する。これまで、真皮中のAGEsに関する研究は盛んに行われ、真皮中のAGEs存在量が、年齢、皮膚弾力性と相関関係を示すことが明らかにされてきた。しかしながら、角層中にAGEsが存在することは、全く知られておらず、その機能も解明されていなかった。しかしながら、後記の試験例に示す通り、角層中のAGEs存在量は、表皮弾力性又は皮膚表面形態、取り分け、肌の肌理に関係する平均粗さ(Ra)との間に相関関係を示すことが明らかになった。このことにより、角層中におけるAGEsの存在量を減少させるAGEs分解剤は、表皮の弾力性、肌の肌理等の皮膚表面形態の悪化を防止、改善する作用を有し、皮膚老化作用防止又は改善を発揮することが期待される。また、本物質は、優れた角層中におけるAGEs分解作用に加え、標的部位への集積性及び選択性に優れ、高い安全性及び安定性を有するため、医薬、食品、化粧料などへの配合が好ましい。
【0015】
本発明のマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤は、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.001質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.01質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、AGEs分解剤の含有量が、少なすぎると角層中におけるAGEs存在量を減少させる作用を奏さない場合が存し、多すぎても、効果が頭打ちになり、この系の自由度を損なう場合が存するためである。さらに、本発明の皮膚外用剤において、前記のマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤を、保湿などのAGEs分解作用以外の作用を目的に配合した場合であっても、前記抽出物が、角層中におけるAGEsの存在量を減少させる作用を有する場合は、本願発明の構成と効果を充足するので、本発明の技術的範囲に属する。
【0016】
<試験例1: 本発明の角層中におけるAGEsの存在量のスコア化による定量化検討>
以下の手順に従い、角層中におけるAGEsの存在量をスコア化した。
1)被験者
2007年10月に静岡県在住の健常成人女性40名(20〜56歳、平均年齢38.1歳)の顔頬部を対象に皮膚状態を評価した。
2)角層中におけるAGEsの免疫組織染色
頬部よりセロハンテ−プで採取した角層をスライドガラスに転写し、一次抗体(anti AGE monoclonal antibody,
mouse、TransGenic社製)、二次抗体(Biotin-Rabbit Anti Mouse IgG conjugate、ZYMED社製)で反応後、ABC試薬(R.T.U VECTASTAIN社製)で反応させてAEC基質(DAKO社製)で発色させた。
3)角層中におけるAGEs存在量のスコア化検討
免疫組織染色した画像を用い、グレ−ド1〜5までの角層AGEs標準標本を作製し、これらを基準にとして各角層AGEs標本の5段階によるスコア化を行った。角層AGEs標準標本におけるグレ−ド1〜5は、標本中における角層AGEsの免疫組織染の色度合いを指標としてグレ−ドを分類した(図1参照)。角層中におけるAGEs評価グレ−ドを用い、40名の角層中におけるAGEs含有量を評価した。
4)角層中におけるAGEs存在量のImage Jを用いた画像解析検討
顕微鏡にて20〜50倍に拡大された染色された角層AGEs標本の拡大画像をデジタル式のマイクロスコ−プ等を利用して、コンピュ−タに取り込み、汎用的な画像解析ソフトウエアを用いて、手動又は自動処理を行い、AGEsの存在量を定量化することが出来る。デジタル式のマイクロスコ−プとしては、例えば、(株)モリテックスのコスメテック用マイクロスコ−プ、汎用的画像解析のソフトウエアとしては、例えば、三谷商事(株)のWinRooF(登録商標)が好適に例示出来る。画像処理は、一般的な手法によって行えばよく、例えば、角層AGEs標本の拡大イメ−ジ画像であるカラ−画像をモノクロ濃淡画像に変換後、当該モノクロ画像に必要に応じてフィルタ−を処理後、二値化処理を行い、統計処理によって角層AGEsの存在割合に相関する染色部の総面積を算出した。
【0017】
角層中におけるAGEs存在量のスコア化検討の結果、並びに、Image Jを用いた画像解析検討の結果の相関関係を検討した。結果を図2に示す。目視による角層中におけるAGEsグレ−ド値と角層中におけるAGEsのImage Jによる評価値には、明らかな相関関係が認められ、標準標本を用いた目視によるスコア化した評価方法とImage Jを用いた画像解析による角層中のAGEsの存在量の結果はよく一致した。これにより、Image Jを利用した画像解析により角層中におけるAGEsの存在量を測定することを、目視によるスコア化により定量化することにより推定することが出来る。この様な角層内におけるAGEsの量を定量した結果、平均的なレベルよりもAGEs蓄積量が多い人を、使用対象とすることが、本発明のAGEs分解剤においては好ましい。
【0018】
<試験例2: 本発明の表皮弾力性評価>
以下の手順に従い、表皮弾力性を評価した。表皮の弾力性は、ヴィ−ナストロン(アクシム社製)を用い、頬部を50Hzセンサ−にて測定し、5g pressureでの測定値から算出(△△f(5g))した。
【0019】
<試験例3: 本発明の皮膚表面形態評価>
本発明の皮膚表面形態(水平又は垂直方向への平均粗さ:Ra)を以下の手順に従い評価した。頬部に印象剤(ASB−01−WW、アサヒバイオメッド社製)を塗布してレプリカを作製した。1cm四方を対象に転写された皮膚表面三次元情報を、レ−ザ−イメ−ジプロセッサ−LIP50(商標登録、サイエンスシステムズ社製)を用いて測定し、解析ソフトTalymap(Taylor Hobson社製)を用いてガウシアンフィルタ−処理を行い、水平又は垂直方向への平均粗さ(JISパラメ−タ−Ra)を算出した。
【0020】
前記方法に従い得られた角層中におけるAGEsの存在量に関するグレ−ド値と、表皮弾力性及び皮膚表面形態(水平又は垂直方向への平均粗さ:Ra)との関係を検討した。結果を図3〜図5に示す。図3〜5の結果より、角層中におけるAGEsの存在量と表皮弾力性(△△f(5g))及び皮膚表面形態(水平又は垂直方向への平均粗さ:Ra)には、相関関係が認められた。このことより、角層中におけるAGEsの存在量が少ない場合には、「表皮弾力性が高い」、「皮膚表面形態の水平又は垂直方向への平均粗さ(Ra)が大きい」ことがわかった。皮膚表面形態の水平又は垂直方向への平均粗さ(Ra)が大きいことは、皮溝が深く、肌の肌理が細かい好ましい肌状態にあることを表す。このことにより、角層中におけるAGEsの存在量が少ない場合には、皮膚状態が好ましい状態であると認められる。
【0021】
<本発明のAGEs分解剤を含有する皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、必須成分としてマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤を含有することを特徴とする。ここで、本発明における植物抽出物とは、抽出物自体、抽出物の分画、精製した分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。本発明におけるマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤は、マメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物の内、皮膚中におけるAGEsの存在量、取り分け、角層中に存在するAGEsの存在量を減少させる作用を有する物質を意味し、具体的には、角層中に存在するAGEsを分解することによりAGEs存在量を減少させる作用を有するAGEs分解剤のみならず、角層中におけるAGEs産生を抑制する作用を有するAGEs産生抑制剤なども包含する。本発明におけるAGEs分解剤としては、前記の角層中におけるAGEs存在量を減少させる作用を有する物質であれば、特段の限定なく適応することが出来る。本発明のマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤の内、好ましいものとしては、後述するAGEs分解作用評価1及び2においてAGEs分解作用を示す物質、さらに好ましくは、後述するヒト角層中に存在するAGEs分解作用評価において、ヒト角層中に存在するAGEsを分解する作用を示すAGEs分解剤が好適に例示出来る。かかるヒト角層中に存在するAGEs分解作用を有する物質とは、パネラ−より採取された角層標本に、抗AGEs抗体を反応させ、該反応部位を検知し、前記AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中に存在するAGEsの分解作用を有する物質と言うことが出来る。また、かかるヒト角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を有する物質とは、角層標本をグルコ−ス溶液に浸漬させて37度で放置してAGEsを生成させた場合、前記AGEs分解剤との共存下では、非共存下よりも明らかに反応部位が少なかった場合に、角層中におけるAGEsの生成を抑制する作用を有する物質と言うことが出来る。また、当該AGEs分解剤を含有する皮膚外用剤をパネラ−に勧める際の抗AGEs抗体との反応部位を定量化する方法としては、抗体染色による程度を分析機器等により定量化する方法を用いることも出来るし、試験例1に記載した角層中におけるAGEsの存在量のスコア化による定量化方法を用いることも出来る。本発明のAGEs分解剤は、前記AGEs分解剤の唯1種を含有させることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明のマメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs皮膚外用剤は、マメ科ゲンゲ属に属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤を配合することにより、表皮の弾力性、肌の肌理等の皮膚表面形態の悪化を防止、改善する作用を有し、皮膚老化作用防止又は改善を発揮する。予め、使用しようとする人から採取された角層を、抗AGEs抗体と反応させ、反応した部位を検知し、該反応部位が多い人を選抜し、使用者として設定することが、本発明の皮膚外用剤においては、好ましい。この様な選択を行うことにより、AGEs蓄積に起因する、くすみの蓄積、皮膚弾力性の低下を改善することが出来る。
【0022】
本発明の皮膚外用剤においては、前記必須成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリ−ブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル等の高級アルコ−ル、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコ−ル、グリセリン、1,3−ブタンジオ−ル等の多価アルコ−ル類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を含有することができる。製造は、常法に従い、これらの成分を処理することにより、困難なく、為しうる。
【0023】
これらの必須成分、任意成分を常法に従って処理し、ロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗浄料などに加工することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。皮膚に適応させることの出来る剤型であれば、いずれの剤型でも可能であるが、有効成分が皮膚に浸透して効果を発揮することから、皮膚への馴染みの良い、ロ−ション、乳液、クリ−ム、エッセンスなどの剤型がより好ましい。
【0024】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0025】
<実施例1: 本発明のAGEs分解作用を有する植物抽出物の製造>
マメ科ゲンゲ属レンゲソウの全草及び種子の乾燥物1(kg)を細断し、10(L)のエタノ−ル溶液を加え、50℃以下の温度にて一晩浸漬した後、濾過にて不溶物を除去することにより、エタノ−ル溶液抽出物である抽出物1を得た。また、溶出溶媒にメタノ−ル及びクロロホルムの混合溶媒を用い、シリカゲル又は樹脂処理などにより分画精製し、分画液を濃縮、オリビキ処理し、抽出物2を得た。
【実施例2】
【0026】
<実施例2: AGEs分解作用評価1(α−ジケトンのC−C結合切断能の測定)>
22mM 1−フェニル−1,2−プロパンジオン/メタノ−ル+0.1M リン酸緩衝液(PH7.4) 1mLと、マメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる抽出物(抽出物1)又は分画精製物(抽出物2)1mLを混合し、37℃で10時間反応させ、安息香酸の量をHPLCにて定量した。
(HPLC条件)
分析条件 検出器 :紫外吸光光度計(測定波長:260nm)
カラム :東ソ− TSK−ODS80TsQA
カラム温度:室温
移動層 :氷酢酸2g/アセトニトリル 500mL+エデト酸二ナトリウム溶液(1→250) 500mL
流量:1ml/min
【0027】
前記測定において1−フェニル−1,2−プロパンジオンの量からの理論的な安息香酸の生成量に対して、30%以上、より好ましくは40%以上あった場合に、本発明の化粧料に含有させるのに適切なAGEs分解作用を有する植物抽出物と判断し、化粧料に配合する。このとき、力価が一定になるように、安息香酸の生成量が30乃至は40%になる量に抽出物乃至は分画精製物を水や1,3−ブタンジオ−ルなどで希釈して配合することもできる。
【0028】
前記の抽出物について、実施例2のAGEs分解作用評価(α−ジケトンのC−C結合切断能の測定)に記載の方法に従い、α−ジケトンのC−C結合切断能の測定を行った。抽出物1は切断能が42%であり、分画精製により有効性を高める必要があることが判明した。分画精製を行った抽出物2は75.3%であり、化粧料に配合するのに適切な効果を有することがわかった。
【0029】
更に、AGEs分解作用としての確実性を期す場合には、前記の評価に加えて、実際にグルコ−スと牛血清アルブミンとをインキュベ−トし作製したAGEsを分解せしめ、分解量を確認した上で配合することが好ましい。AGEsの分解能の評価の一例を次に示す。
【実施例3】
【0030】
<実施例3: AGEs分解作用評価2(グルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能の測定)>
以下の試験材料を用い、AGEs分解作用評価を実施した。
AGE-BSA:グルコ−スとBSAを37℃で12週間以上インキュベ−トし、PD−10 columns(Amersham Biosciences 17−0851−01)にて余分なglucoseを除いたもの、1次抗体 :Anti-Albumin、Bovine Serum、Rabbit−Poly ROCKLAND 201−41331/20000、2次抗体 :Goat anti−rabbit IgG horseradish peroxidase conjugate BioRAD 170−6515 1/10000、基質 :TBS solution Wako 546−01911
(手順)
Type I コラ−ゲンコ−トした96穴マイクロプレ−ト(Bio Coat 35 4407)に10μg/mLのAGE−BSAを100μl加え、1.0μg(AGE−BSA/well) 37℃にて4時間静置した後、0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄(マイクロミキサ−上で室温、3分間振とうし)、PBS(−)に溶解した各濃度の試料を100μlを加え、37℃で10時間以上反応させる。その後、0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、1次抗体を各wellに100μl/well加え、室温で30分間静置する。0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、2次抗体を100μl/well入れ、室温30分間静置する。0.05%Tween20/PBS(−)にて3回洗浄し、TMBを100μl/well加え、室温15分反応させる。1N 塩酸を100μl/well入れ、反応を止め、450nmの吸光度を測定する。AGEsの量を変え、検量線を引き、この検量線より残存AGEs量を定量した。残存AGEsを添加したAGEsより減じ、添加したAGEsで除し、100を乗じてAGEs分解率を算出した。
【0031】
この評価において、AGEsの分解率が15%以上であった場合には本発明の化粧料への配合に適当な抽出物或いは分画精製物であると判断する。配合に当たっては、分解率が15%になるように調製して用いれば、安定した力価の成分を含有することができる。又、有効濃度の設定については、かかる検討で有効と認められた濃度を含有する様に設定することが好ましい。
【0032】
前記の抽出物1及び抽出物2について、[0029]に記載したグルコ−ス−牛血清アルブミンAGEs分解能の測定を行った。抽出物1のAGEs分解率は21.2%(1X10−5%)、24.5%(1X10−4%)、26.19%(1X10−3%)であった。分画精製により有効性を高める必要があることが判明した。分画精製を行った抽出物2は84.8%であり、化粧料に配合するのに適切な効果を有することがわかった。
【実施例4】
【0033】
<実施例4: ヒト角層中に存在するAGEs分解作用評価>
角層中のAGEsは次のようにして検出できる。皮膚より市販の粘着テ−プ等を利用してテ−プストリッピングにより角層採取を行い、溶剤で半日処理して粘着テ−プ部分を除去する。得られた角層に対して免疫組織染色を行い、染色された角層標本を顕微鏡下で観察する。前記溶剤としては、有機溶媒、特にキシレンが好ましく例示できる。免疫組織染色の条件として、一次抗体(anti AGE monocronal antibody(mouse) TransGenic KH001)、ヒ゛オチン化2 次抗体(Biotin-Rabbit Anti Mouse IGg conjugate ZYMED 81-6740)、ABC 試薬(R.T.U VECTASTAIN Elite ABC REAGENT BECTOR PK-7100)、AEC基質(ENVISION kit/HRP(AEC) Dako K3464)が好ましく例示できる。角層標本を70%エタノ−ル溶液に浸漬する。前記抽出物1が0.1%共存下、非共存下で、37度で一晩放置後、AGEsを検知した結果、0.1%抽出物1共存下では、非共存下に比べて明らかに反応部位が少なく、抽出物1がヒト角層中に存在するAGEs分解作用を有することがわかった。結果を図6に示す。この度合いは、標識の存在面積比によって定量化することができるし、該標識の存在割合は、後述の如く、スコアなどで簡便に数値化できる。
【実施例5】
【0034】
<実施例5: ヒト角層中におけるAGEsの産生抑制作用評価>
角層中のAGEsは次のようにして検出できる。皮膚より市販の粘着テ−プ等を利用してテ−プストリッピングにより角層採取を行い、溶剤で半日処理して粘着テ−プ部分を除去する。得られた角層に対して免疫組織染色を行い、染色された角層標本を顕微鏡下で観察する。結果を図7に示す。前記溶剤としては、有機溶媒、特にキシレンが好ましく例示できる。免疫組織染色の条件として、一次抗体(anti AGE monocronal antibody(mouse) TransGenic KH001)、ヒ゛オチン化2次抗体(Biotin-Rabbit Anti Mouse IGg conjugate ZYMED 81-6740)、ABC 試薬(R.T.U VECTASTAIN Elite ABC REAGENT BECTOR PK-7100)、AEC基質(ENVISION kit/HRP(AEC) Dako K3464)が好ましく例示できる。角層標本を、100mMグルコ−スを溶解した70%エタノ−ル溶液に浸漬する。前記抽出物1が0.1%共存下、非共存下で、37度で8日間放置後、AGEsを検知した。対照として、70%エタノ−ル溶液に浸漬した角層標本を用意した。抽出物1非共存下は、対照と比較して明らかに反応部位が多く、グルコ−スによりAGEsが産生したことがわかった。0.1%抽出物1共存下では、非共存下に比べて明らかに反応部位が少なく、抽出物1がヒト角層中におけるAGEsの産生抑制作用を有することがわかった。この度合いは、標識の存在面積比によって定量化することができるし、該標識の存在割合は、後述の如く、スコアなどで簡便に数値化できる。結果を図7に示す。
【実施例6】
【0035】
<製造例1;本発明のマメ科ゲンゲ属レンゲソウに属する植物抽出物よりなるAGEs分解剤を含有する皮膚外用剤の製造>
表1に示す処方に従い化粧水(化粧料1)を作製した。また、表1に示す処方成分中、マメ科ゲンゲ属レンゲソウに属する植物抽出物を水に置換した比較例1(化粧料2)も同時に作製した。
【0036】
【表1】

【実施例7】
【0037】
<本発明の皮膚外用剤を用いた皮膚老化改善作用評価>
化粧料1及び比較例1の化粧料を用い、表皮弾力性に対する効果を調べた。皮膚老化現象(シワ、しみ、くすみ、たるみ、肌の肌理、皮膚弾力性等)に悩みを有する無作為に集めた20人のパネラ−を、年齢構成にばらつきが出ない様に一群10名に分けた。1群は、本発明のマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られた植物抽出物よりなるAGEs分解剤を含有する化粧水(化粧料1)を、残りの1群には、前記AGEs分解剤を水に置換した比較例1(化粧料2)を、朝晩2回1ケ月使用してもらい、化粧料に対する満足度をスコア5(非常に満足)、スコア4(満足)、スコア3(可もなく不可もなく)、スコア2(不満)、スコア1(大いに不満)で評価してもらった。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
表2に示したアンケ−ト結果より、本発明のマメ科ゲンゲ属レンゲソウより得られる植物抽出物よりなるAGEs分解剤を含有する皮膚外用剤の使用は、皮膚老化現象(シワ、しみ、くすみ、たるみ、肌の肌理、皮膚粘弾力性等)に対する改善作用を有することが分かった。このことは、本発明のマメ科ゲンゲ属より得られる植物抽出物よりなるAGEs分解剤が、角層中におけるAGEsを分解する、又は、AGEsの産生を抑制することにより、皮膚老化現象が改善したものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、化粧料に応用出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マメ科ゲンゲ属に属する植物より得られる植物抽出物よりなるアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ(AGEs:Advanced Glycation Endproducts)分解剤。
【請求項2】
前記マメ科ゲンゲ属に属する植物が、レンゲソウであることを特徴とする、アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤
【請求項3】
前記アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解作用が、皮膚の角層中に存在するアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツの分解作用であることを特徴とする、アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤。
【請求項4】
前記アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤を含有することを特徴とする、皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ分解剤を、皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%であることを特徴とする、請求項4に記載の皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
【請求項6】
皮膚老化が、コラ−ゲン線維束構造の崩壊、シワの形成、たるみの形成、くすみの形成、表皮弾力性の低下、皮膚表面状態の変化であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
皮膚表面状態の変化が、肌理の変化であることを特徴とする、請求項4〜6の何れか一項に記載の皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
【請求項8】
化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項4〜7に記載の皮膚老化防止又は改善用の皮膚外用剤。
【請求項9】
パネラ−より採取された角層を、抗AGEs(アドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ)抗体で処理し、該抗AGEs抗体との反応部位を定量化し、該反応部位が平均値より多い場合、前記パネラ−にその使用を勧められるべき皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項4〜8の何れか一項に記載の皮膚老化防止用又は改善用の皮膚外用剤。
【請求項10】
マメ科ゲンゲ属の植物体を溶媒で抽出し、抽出物を得て、所望により、前記抽出物を分画、精製、溶媒除去した後、これを化粧料に含有させる場合において、前記抽出物と1−フェニル−1,2−プロパンジオンとをインキュベ−ションし、生成する安息香酸の量を確認し、しかる後に該抽出物を含有せしめることを特徴とする、化粧料の製造方法。
【請求項11】
マメ科ゲンゲ属の植物体を溶媒で抽出し、抽出物を得て、所望により、前記抽出物を分画、精製、溶媒除去をした後、これを化粧料に含有させる場合において、前記抽出物とアドバンスド・グリケ−ション・エンドプロダクツ・牛血清アルブミン複合体を共にインキュベ−ションし、インキュベ−ション後にアドバンスド・グリケーション・エンドプロダクツ・牛血清アルブミン複合体を定量し、該定量値がマメ科ゲンゲ属に属する植物の抽出物乃至はその分画精製物の非存在下に比して減少していることを確認した上で、化粧料に含有させることを特徴とする、化粧品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−11981(P2011−11981A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154495(P2009−154495)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】