説明

化粧料

【課題】アスコルビン酸誘導体を配合し、製剤の経時的な安定性が高く、皮膚に塗布した際刺激性が低く、アスコルビン酸が元来有する機能を有した化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】アスコルビン酸の2位及び3位の水酸基に置換基を導入した、特定構造のアスコルビン酸誘導体、並びに増粘剤及び/又は界面活性剤を化粧料に配合し、ジェル、クリーム、乳液等の製剤を調製することにより、経時的な安定性が高く、使用感に優れた、アスコルビン酸酸が元来有する機能を有した化粧料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。さらに詳しくは、2,3位置換型のアスコルビン酸誘導体を配合し、増粘剤及び/又は界面活性剤を含有した、安定性に優れ使用感の良い化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸は、安全かつ有用な物質であり、抗酸化効果、コラーゲン産生促進効果、優れた美白効果等を有する化合物として知られており、皮膚の状態を改善し、健康な状態に保つ作用がある。しかし、アスコルビン酸は、光、熱、酸化に対して非常に不安定であり、化粧品、食品、医薬品等での利用が妨げられていた。そこで、アスコルビン酸より経時安定性が向上したものとして、アスコルビン酸グルコシドやアスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸エチル等のアスコルビン酸誘導体又はその塩が提案されており、美白用の皮膚外用剤への配合等の目的で化粧料への配合が提案されている。(特許文献1、特許文献2)
【0003】
しかし、アスコルビン酸や上記のアスコルビン酸誘導体はイオン性の化合物であり乳化系を壊しやすく、クリーム、乳液、ジェル等の化粧料に配合した際、経時的な粘度の変化、水層と油層が2層に分離するといった外観の変化等が起こり問題となっている。また、それを防ぐために、多量の界面活性剤、増粘剤等を必要としていた。このため、界面活性剤による皮膚への刺激性、増粘剤による使用感の悪化などが問題となり、アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体は化粧料に使用し難いものとなっていた。
【0004】
また、本発明者らは、グリセリルアスコルビン酸の保湿効果、コラーゲン産生促進効果、メラニン産生促進効果、美白効果に優れる化粧料への配合等に関しては充分に熟知したものであるが(特許文献3)、2,3位置換型のアスコルビン酸誘導体を化粧料に配合した際の製剤の安定性、化粧料への使用感等については充分に検討されておらず、アスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸誘導体と界面活性剤及び/又は増粘剤とを組み合わせて使用する影響については解明されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−60239号公報
【特許文献2】特開2005−120023号公報
【特許文献3】WO2009/025328公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の問題を解決するものであり、アスコルビン酸誘導体を配合し製剤の安定性が高く、化粧料の剤系が変化し難く、アスコルビン酸が元来有する機能を有する化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、アスコルビン酸の2位及び3位の水酸基の水素が置換基により置換された特定構造のアスコルビン酸誘導体、並びに増粘剤及び/又は界面活性剤を配合することで、経時的に安定で使用感の良いジェル、クリーム、乳液等の化粧料が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
【0008】
本発明は、(A)の成分として、下記一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上と、(B)の成分として、増粘剤及び/又は界面活性剤を配合し、その(A):(B)の質量比が、1:50〜50:1であることを特徴とする化粧料である。
【化1】

〔式中、RおよびRはそれぞれ、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R−CH(OH)−CH−およびヒドロキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる基であり、ここで、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基またはフェニル基であり、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基またはフェニル基である。但し、Rが炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基またはベンジル基のとき、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基およびベンジル基のいずれでもない〕
【0009】
なお、この一般式(I)において、炭素原子、及び該炭素原子に結合する水素原子は省略されている。例えば、この式における1〜4の位置は炭素であり、5の位置はCH基であり、6の位置はCH基である。以下の式においても同様である。
【0010】
請求項2の発明は、(A)の成分が、上記一般式(I)において、Rが、−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであり、Rが−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであるアスコルビン酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上であり、(B)の成分が、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーであることを特徴とする請求項1記載の化粧料であり、グリセリル基を有しているアスコルビン酸誘導体を用いることで、保湿性に優れた化粧料が得られる。さらに、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを用いることにより、より経時的に安定な化粧料を製造することができる。請求項2は、この特に好ましい態様に該当するものである。
【0011】
請求項3の発明は、(A)の成分が、上記一般式(I)において、Rが、−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであり、Rが−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであるアスコルビン酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上であり、(B)の成分が、イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の化粧料であり、(B)の成分として、イオン性の界面活性剤を用いることにより、クリームや乳液等の2層への分離が抑えられ、より経時的に安定な化粧料を製造することができる。請求項3は、この特に好ましい態様に該当するものである。
【0012】
本発明に係る化粧料中への(A)の成分の上記一般式(I)の2,3位置換型アスコルビン酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上、の配合量は用途により異なり特に限定されないが、(A)の成分の合計としては通常、化粧料全体の0.01質量%〜20.0質量%の範囲配合するのが好ましい。0.01%未満の場合は、コラーゲン産生促進効果や美白効果等のアスコルビン酸が元来有する効果が低い場合が多く、20.0質量%を超える場合は、配合量に見合ったコラーゲン産生促進効果や美白効果等の効果が望めない場合が多い。
【0013】
また、(B)の成分の増粘剤及び/又は界面活性剤の配合量も用途により異なり特に限定されないが、(B)の成分の合計としては通常、化粧料全体の0.01質量%〜20.0質量%の範囲配合するのが好ましい。0.01%未満の場合は、製剤の外観の変化、粘度の低下が起こる場合が多く、20.0質量%を超える場合は、刺激性の増加、使用感の悪化が起こる場合が多い。
【0014】
また、上記(A)の成分と(B)の成分を化粧料に混合する場合、化粧料の製造、製剤の安定性、使用感等の理由から、質量比で1:50〜50:1の割合の範囲で配合することが好ましい。
【0015】
本発明の(A)の成分と(B)の成分を配合した化粧料は、美白効果やコラーゲン産生促進効果等アスコルビン酸が元来有する機能を有しているので、皮膚用化粧料として好適に用いられる。また、剤系としては特に限定はないが、皮膚に塗布した際に化粧料が流れにくく使用感が良いという点において、ジェル、クリーム、乳液といった化粧料が好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化粧料は、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸エチル、2−グリセリルアスコルビン酸といったイオン性のアスコルビン酸誘導体を配合した化粧料とは異なり、化粧料の剤系が変化し難く製剤の安定性に優れ、刺激性が少なく使用感に優れ、アスコルビン酸が元来有する美白効果、コラーゲン産生促進効果等の機能を有するアスコルビン酸誘導体を配合した化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の(A)の成分の一般式(I)のアスコルビン酸誘導体、(B)の成分の増粘剤、界面活性剤の具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。
【0018】
一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体の具体例を以下に示す。なお、以下の例示において、
グリセリル基とは、HOCH−CH(OH)−CH−又はHOCH−CH(CHOH)−を示し、
アルキルグリセリル基とは、R−O−CH−CH(OH)CH−又はR−O−CH−CH(CHOH)−(Rはアルキル基を示す。)を示し、
アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基等を示し、
アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、イソブテニル基、クロチル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等を示し、
ヒドロキシアルキル基とは、R−CH−CH(OH)−又はR−CH(OH)−CH−(Rはアルキル基を示す。)を示し、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシノナデシル基、ヒドロキシエイコシル基、ヒドロキシベヘニル基等を示す。
【0019】
(A)の成分のアスコルビン酸誘導体としては、(1)2,3−ジ−O−グリセリルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−ヒドロキシアルキルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−ヒドロキシアルケニルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸
(2)3−O−グリセリル−2−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−ヒドロキシアルキルグリセリルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−アルキルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−アルケニルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸
(3)2−O−グリセリル−3−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グリセリル−3−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グリセリル−3−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グリセリル−3−O−ヒドロキシアルキルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グリセリル−3−O−アルキルアスコルビン酸、2−O−グリセリル−3−O−アルケニルアスコルビン酸、2−O−グリセリル−3−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸
(4)3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸(但し、3−O−アルキルと2−O−アルキルは異なっている。)、3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−ヒドロキシアルキルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルキルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルケニルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸
(5)2−O−アルキルグリセリル−3−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−アルキルグリセリル−3−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−アルキルグリセリル−3−O−ヒドロキシアルキルグリセリルアスコルビン酸、2−O−アルキルグリセリル−3−O−アルキルアスコルビン酸、2−O−アルキルグリセリル−3−O−アルケニルアスコルビン酸、2−O−アルキルグリセリル−3−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸等を挙げることができる。
【0020】
(B)の成分の増粘剤としては、アラビアガム、トラガカントガム、キャブロガム、グアーガム、ペクチン、寒天、クインスシード、デンプン、アルゲコロイド、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、カルボキシメチルデンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンアクリレート、ポリアクリルアミド、カチオンポリマー、高分子のジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0021】
(B)の成分の界面活性剤としては、高級脂肪酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシル−N−メチルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン等の両性界面活性剤、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0022】
本発明の化粧料には、上記(A)成分と(B)成分の他に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、油性原料、保湿剤、酸化防止剤、美白剤、薬剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤等を適宜配合することができる。
【0023】
油性原料としては、例えば、オリーブ油、椿油、マカデミアナッツ油、茶実油、ヒマシ油、トリ(カプリン/カプリル)グリセリル等の油脂類、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、ミツロウ等のロウ類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、2−エチルへキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ−2−エチルヘキサノイン等のエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン類等が挙げられる。
【0024】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、マルチトール、ソルビトール、1,3-ブチレングリコール、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0025】
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンEやタンニン、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)等を挙げることができる。
【0026】
美白剤としては、エラグ酸、カミツレエキス、甘草エキス、ルシノール、ローズマリーエキス、アルブチン、トラネキサム酸、4−メトキシサリチル酸カリウム塩等を挙げることができる。
【0027】
他の薬剤としては、肌荒れ防止剤または抗炎症剤を挙げることができる。肌荒れ防止剤または抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、サリチル酸メチル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、海塩、ソウハクヒエキス、アロエエキス、クチナシエキス、カミツレエキス、カンゾウエキス、ムクロジエキス、キョウニンエキス、オウゴンエキス、甜茶エキス、ビワエキス、イチョウエキス、オトギリソウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ベニバナエキス、トウヒエキス、サルビアエキス、シラカバエキス、チンピエキス、トウニンエキス、ガイヨウエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、ニンジンエキス、シャクヤクエキス、センキュウエキス、ゲンチアナエキス、冬虫夏草エキス、オウバクエキス、インチンコウエキス、ゲンノショウコエキス、モモ葉エキス、クマザサエキス、ヨクイニンエキス、マロニエエキス、サンザシエキス、オウレンエキス、レイシエキス、トウキンセンカエキス、ペパーミントエキス、コンフリーエキス、ブッチャーブルームエキス、ウスベニアオイエキス、ヤグルマルソウエキス、トゲナシエキス等が挙げられる。その他、育毛用薬剤、ニキビ用薬剤、ふけ・かゆみ用薬剤、腋臭防止用薬剤等も他の薬剤として挙げることができる。
【0028】
タンパク加水分解物としては、例えば、乳タンパク、絹タンパク、小麦タンパク、米タンパク、エンドウタンパク、コラーゲン、ケラチン、大豆、ゴマ、コンキオリン、海洋コラーゲン等のタンパク加水分解物ならびにその誘導体等が挙げられる。
【0029】
アミノ酸又はそれらの誘導体としては、例えば、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン、プロリン、ヒスチジン等のアミノ酸とその誘導体が挙げられる。
【0030】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0031】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0032】
色素としては、タール色素、天然色素、無機顔料、高分子粉体等が挙げられる。香料としては、天然香料、合成香料、調合香料等が挙げられる。
【0033】
本発明の化粧料の剤系は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、ゲル系、粉末分散系等いずれも可能であり、目的とする製品に応じて上記(A)及び(B)と上記任意配合成分とを配合して製造することができる。
【0034】
(A)の成分と(B)の成分とを化粧料に混合する方法としては、化粧水、クリーム、乳液等を調製する際のように水相部と油相部(非水相部)をそれぞれ溶解させ混合させる方法等が挙げられる。その際、(A)の成分は水相部に溶解させ配合することが多く、(B)の成分は油相部(非水相部)に加えて配合することが多いが、化粧料の調製方法は特に限定されない。
【実施例】
【0035】
次に、本発明を実施するための具体的な形態を実施例によって説明するが、本発明の範囲は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例に先立って、実施例で使用するアスコルビン酸誘導体の製造例を示す。
【0036】
製造例1 2,3−ジ−O−グリセリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、水に、L−アスコルビン酸(100g)、炭酸水素ナトリウム(14.4g)を加え、室温で30分攪拌し、グリシドール(42.0g)を加えた。加温して50℃とし5時間攪拌を行った。その後、グリシドール(57.5g)を加え80℃に加温し4時間攪拌を行った後、減圧下に濃縮した。得られた残渣232gをアルミナカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム/メタノール/水=6/4/1混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、化2で示される2,3−ジグリセリルアスコルビン酸(23.0g)を得た。
【0037】
得られた生成物について、1H−NMR、13C−NMR測定を行い、この測定結果から、この生成物は、下記構造式で表される2,3−ジグリセリルアスコルビン酸であることが確認された。
【0038】
【化2】

【0039】
NMR(核磁気共鳴分光法)による分析結果は以下のとおりであった。
1H−NMR (400MHz,CDOD):
δ ppm 3.58(2H,m),3.61(2H,m),3.65(2H,m),3.88(1H,m),3.91(1H,m),3.93(1H,m),3.99(1H,m),4.16(1H,m),4.53(1H,m),4.65(1H,dd),4.88(1H,m)
13C−NMR (100MHz, CDOD):
δ ppm 63.22,63.60,63.63,63.95,63.98,64.44,70.57,70.60,71.68,71.94,71.98,73.87,74.27,74.33,75.06,76.83,123.02,159.48,172.29
【0040】
なお、以下に示す製造例でも、得られた生成物について、1H−NMR、及び13C−NMR測定を行い、その測定結果を示す。
【0041】
製造例2 3−O−グリセリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、水に、L−アスコルビン酸(300g)、炭酸水素ナトリウム(42.9g)を加え、室温で30分攪拌した後、グリシドール(126g)を加えた。その後、加温して50℃とし5時間攪拌を行った。メタノールを加えろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、得られた残渣457gを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水=65/35/5で溶出し、減圧下にて濃縮を行い、化3で示される3−O−グリセリルアスコルビン酸(296g)を得た。
【0042】
【化3】

【0043】
NMR(核磁気共鳴分光法)による分析結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(600MHz,CDOD):
δ ppm 3.59(2H,m),3.66(2H,m),3.89(1H,m),3.92(1H,m),4.45/4.49(1H,dd),4.59/4.62(1H,dd),4.82(1H,d)
13C−NMR (150MHz, CDOD):
δ ppm 63.4, 63.7, 70.56, 70.61, 71.79, 71.89, 73.4, 73.6, 76.9, 121.17, 121.24, 151.84, 151.88, 173.04, 173.07
【0044】
製造例3 3−O−グリセリル−2−O−オクチルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、製造例2で得られた3−O−グリセリルアスコルビン酸(54.1g)をDMSO(200mL)中で攪拌し、さらに炭酸水素ナトリウム(18.5g)を加え室温で30分攪拌を行った。その後臭化オクチル(63.7g)を加え100℃に加温し3時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮をした。得られた残渣131gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水=10/3/0.4混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、化4で示される3−O−グリセリル−2−O−オクチルアスコルビン酸(48.0g)を得た。
【0045】
【化4】

【0046】
NMR(核磁気共鳴分光法)による分析結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(600MHz,CDOD):
δ ppm 0.90(3H,t),1.32(8H,m),1.42(2H,m),1.70(2H,m),3.60(2H,brd),3.65(2H,m),3.89(1H,m),3.91(1H,m),4.02(1H,m),4.47(1H,dd),4.48(1H,dd),4.57(1H,dd),4.59(1H,dd),4.86(1H,d)
13C−NMR(150MHz,CDOD):
δ ppm 14.4,23.7,26.9,30.37,30.44,30.8,33.0,63.2,63.56,63.59,70.5,70.6,71.5,71.6,74.01,74.04,74.1,76.7,123.27,123.30,159.2,159.3,172.2
【0047】
製造例4 3−O−グリセリル−2−O−ベンジルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、製造例2で得られた3−O−グリセリルアスコルビン酸(2.93g)に、水と炭酸水素ナトリウム(1.42g)を加え室温で30分間攪拌した後、臭化ベンジル(2.61g)を加え50℃に加温し2時間攪拌した。その後、減圧下に濃縮しメタノールに溶解した。得られた溶液を、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮し、得られた残渣6.13gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水=10/3/0.4混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、化5で示される3−O−グリセリル−2−O−ベンジルアスコルビン酸(2.47g)を得た。
【0048】
【化5】

【0049】
NMR(核磁気共鳴分光法)による分析結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(500MHz,CDOD):
δ ppm 3.49(2H,m),3.65(2H,m),3.81(1H,m),3.88(1H,m),4.47(1H,dd),4.28(1H,dd),4.36(1H,dd),4.37(1H,dd),4.85(1H,brs),5.05(2H,m),7.35(3H,m),7.43(2H,m)
13C−NMR(175MHz,CDOD):
δ ppm 63.21,63.51,63.54,70.54,70.57,71.42,71.49,74.12,74.20,75.25,75.28,76.80,76.82,122.27,122.31,129.60,129.95,130.11,137.61,159.90,159.94,172.17
【0050】
製造例5 3−O−ブチルグリセリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、水に、L−アスコルビン酸(100g)、炭酸水素ナトリウム(14.3g)、を加え、室温で30分攪拌し、ブチルグリシジルエーテル(73.8g)を加えた。80℃に加温し12時間攪拌を行った。その後、n−ブタノールで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。得られた残渣96.8gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水=20/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、化6で示される3−O−ブチルグリセリルアスコルビン酸(74.2g)を得た。
【0051】
【化6】

【0052】
1H−NMR(500MHz,CDOD):
δ ppm 0.93(3H,m), 1.38(2H,m),1.56(2H,m),3.49(2H,m),3.50(2H,m),3.66(2H,m),3.88(1H,m),4.03(1H,m),4.44(1H,dd),4.46(1H,dd),4.59(1H,dd),4.62(1H,dd),4.81(1H,d)
13C−NMR(125MHz,CDOD):
δ ppm 14.2, 20.3, 32.8, 63.36, 63.39, 70.2, 70.4, 70.56, 70.61 , 72.4 , 72.5, 72.6, 73.8, 73.9, 76.8, 121.1, 121.2 , 151.7, 151.8, 172.9, 173.0
【0053】
製造例6 3−O−ブチルグリセリル−2−O−アリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、製造例5で得られた3−O−ブチルグリセリルアスコルビン酸(3.56g)に、水、炭酸水素ナトリウム(0.98g)を加え室温で30分間攪拌した。その後、臭化アリル(1.68g)を加え、60℃に加温し5時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮をし得られた残渣3.53gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、化7で示される3−O−ブチルグリセリル−2−O−アリルアスコルビン酸(3.00g)を得た。
【0054】
【化7】

【0055】
NMR(核磁気共鳴分光法)による分析結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(500MHz,CDOD):
δ ppm 0.93(3H,t),1.39(2H,m),1.55(2H,m),3.48(4H,m),3.65(2H,m),3.89(1H,m),4.01(1H,m),4.457/4.464(1H,dd),4.54(2H,m),4.586/4.594(1H,dd),4.87(1H,1d),5.25(1H,m),5.35(1H,m),6.04(1H,m)
13C−NMR(175MHz,CDOD):
δ ppm 14.24, 20.33, 32.83, 63.19, 70.00, 70.10, 70.50, 70.54, 72.42, 72.45, 72.50, 74.14, 74.63, 74.63, 76.77, 76.79, 119.25, 122.50, 122.54, 134.52, 159.67, 159.72, 172.08
【0056】
製造例7 3−O−オクチルグリセリル−2−O−ヘキサデシルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、L−アスコルビン酸(100g)に、炭酸水素ナトリウム(14.3g)及びDMSO200mlを加え、さらにオクチルグリシジルエーテル(127g)を加えた。80℃に加温し24時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣150gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、3−O−オクチルグリセリルアスコルビン酸(36g)を得た。得られた3−O−オクチルグリセリルアスコルビン酸(5.17g)をアルゴン雰囲気下、DMSO(10mL)中で攪拌し、炭酸水素ナトリウム(1.20g)、臭化ヘキサデシル(5.22g)を加え、100℃に加温し3時間攪拌した。その後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣9.06gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム/メタノール/水=50/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、化8で示される3−O−オクチルグリセリル−2−O−ヘキサデシルアスコルビン酸(3.41g)を得た。
【0057】
【化8】

【0058】
NMR(核磁気共鳴分光法)による分析結果は以下のとおりであった。
1H−NMR(600MHz,d−DMSO):
δ ppm 0.90(6H,m),1.24(34H,brs),1.34(2H,m),1.48(2H,m),1.60(2H,m),3.38(4H,m),3.46(2H,m),3.72(1H,m),3.87(1H,m),3.94(2H,m),4.25(1H,dd),4.31(1H,dd),4.42(1H,dd),4.45(1H,dd),4.82(1H,d)
13C−NMR(150MHz,d−DMSO,40℃):
δ ppm 13.95,22.13,25.40,25.42,25.63,25.71,28.74,28.78,28.87,28.97,29.09,29.20,29.28,29.30,31.34,61.72,68.04,68.09,68.81,70.88,71.48,71.52,72.14,73.24,73.43,74.55,121.29,157.71,157.85,169.42
【0059】
実施例1 (ジェル)
2,3位置換型アスコルビン酸誘導体、比較としてアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸エチル、2−O−グリセリルアスコルビン酸)を3.0%配合し、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーをそれぞれ0.05%、0.5%、2.0%配合し、pHを5付近に調整したジェルを表1に示した組成で調製した。なお、表中の数値は質量%を表し、残余とは配合量を計100重量部とするために必要な量を意味する。
【0060】
【表1】

【0061】
調製したジェルの直後の外観、50℃で24時間保存した際の外観、使用感、よれについて下記の基準で10人のパネラーに評価させた。
【0062】
外観(直後):
3: ヨーグルト状となっている。
2: ヨーグルト状ではあるが、流動性がある。
1: 液体状である。
外観(24h):
3: ヨーグルト状となっている。
2: ヨーグルト状ではあるが、流動性がある。
1: 液体状である。
使用感:
3: べとつき、重たさがほとんど無く、非常に良い。
2: べとつき、重たさが少し感じられるが、良い。
1: べとつき、重たさが強く感じられ、悪い。
よれ:
3: 塗布1時間後、よれがほとんど確認されない。
2: 塗布1時間後、よれが少し確認される。
1: 塗布1時間後、よれが確認される。
【0063】
この評価結果に基づき、下記のように分類した。その結果を表2〜4に示す。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が15〜24
×:10人の総合点が14以下
【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
表2〜4の結果から、本発明の化粧料は、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを0.05%配合した場合においてもジェルを調製することができ、カルボキシビニルポリマーを0.5%、2.0%配合した場合では経時的にも安定なジェルが得られた。また、本発明の化粧料は使用感、よれにおいても優れるものであった。しかし、比較例では、カルボキシビニルポリマーを0.05%、0.5%配合したものではジェルは調製できなかった。また、カルボキシビニルポリマーを2.0%配合した場合においては、ジェルのような外観を得ることはできたが、経時的に不安定で、使用感が悪く、よれが確認された。
【0068】
さらに、表1記載のカルボキシビニルポリマーの代わりに増粘剤として、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、メチルセルロースを用いて、他の成分、配合量は同じにして、同様の試験を行ったところ表2〜4に示す結果と同様の結果が得られた。
【0069】
実施例2 (クリーム)
2,3位置換型アスコルビン酸誘導体、比較としてアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸エチル、2−O−グリセリルアスコルビン酸)を3.0%配合し、各種界面活性剤として5.0%または10.0%(5.0%でクリームが調製できないものについて調製)配合し、pHを5付近に調整したクリームを表5に示した組成で調製した。なお、表中の数値は質量%を表し、残余とは配合量を計100重量部とするために必要な量を意味する。
【0070】
【表5】

【0071】
調製したクリームの直後の外観、50℃で24時間保存した際の外観、使用感について10人のパネラーに評価させた。
【0072】
外観(直後):
3: 均一な層となっている。
2: 水又は油の粒が確認される。
1: 二層に分離している。
外観(24h):
3: 均一な層となっている。
2: 水又は油の粒が確認される。
1: 二層に分離している。
使用感:
3: 肌に塗布した際、異物感が無く非常に良い。
2: 肌に塗布した際、異物感がほとんど無く良い。
1: 肌に塗布した際、異物感があり悪い。
【0073】
この評価結果に基づき、下記のように分類した。その結果を表6〜9に示す。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が15〜24
×:10人の総合点が14以下
【0074】
【表6】

【0075】
【表7】

【0076】
【表8】

【0077】
【表9】

【0078】
表6〜9の結果から、上記一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体と界面活性剤を含有する実施例のクリームは、経時的にも安定で使用感の良いクリームであった。しかし、比較例のアスコルビン酸誘導体を配合したものでは、各種界面活性剤においてクリームは得られず、水層と油層が分離し、使用感の悪いものとなった。さらに、界面活性剤を高濃度配合した場合においても、24時間後には2層に分離したものとなりクリームが得られず、異物感があり使用感の悪いものとなった。
【0079】
実施例3 (乳液)
2,3位置換型アスコルビン酸誘導体、比較としてアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸エチル、2−O−グリセリルアスコルビン酸)を0.5%配合し、界面活性剤としてジグリセロールジオレイン酸エステルを5.0%、増粘剤としてクインスシード15.0%配合し、pHを5付近に調整した乳液を表10に示した組成で調製した。なお、表中の数値は質量%を表し、残余とは配合量を計100重量部とするために必要な量を意味する。
【0080】
【表10】

【0081】
調製した乳液の直後の外観、50℃で24時間保存した際の外観、使用感について10人のパネラーに評価させた。
【0082】
外観(直後):
3: 均一な層となっている。
2: 水又は油の粒が確認される。
1: 二層に分離している。
外観(24h):
3: 均一な層となっている。
2: 水又は油の粒が確認される。
1: 二層に分離している。
使用感:
3: 肌に塗布した際、異物感が無く非常に良い。
2: 肌に塗布した際、異物感がほとんど無く良い。
1: 肌に塗布した際、異物感があり悪い。
【0083】
この評価結果に基づき、下記のように分類した。その結果を表11に示す。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が15〜24
×:10人の総合点が14以下
【0084】
【表11】

【0085】
表11の結果から、上記一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体と界面活性剤及び増粘剤を含有する実施例の乳液は、経時的にも安定で使用感の良い乳液であった。しかし、比較例のアスコルビン酸誘導体を配合したものでは、水層と油層が分離し、安定性の良い乳液は得られず、使用感の悪いものとなった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)の成分として、下記一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上、(B)の成分として、増粘剤及び/又は界面活性剤を配合し、その(A):(B)の質量比が、1:50〜50:1であることを特徴とする化粧料。
【化1】

〔式中、RおよびRはそれぞれ、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R−CH(OH)−CH−およびヒドロキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる基であり、ここで、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基またはフェニル基であり、RおよびRは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基またはフェニル基である。但し、Rが炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基またはベンジル基のとき、Rは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基およびベンジル基のいずれでもない〕
【請求項2】
(A)の成分が、上記一般式(I)において、Rが、−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであり、Rが−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであるアスコルビン酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上であり、(B)の成分が、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーであることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
(A)の成分が、上記一般式(I)において、Rが、−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであり、Rが−CH−CH(OH)−CHOHまたは−CH(CHOH)−CHOHであるアスコルビン酸誘導体から選ばれる1種又は2種以上であり、(B)の成分が、イオン性界面活性剤の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の化粧料。

【公開番号】特開2011−225487(P2011−225487A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97463(P2010−97463)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000147213)株式会社成和化成 (45)
【Fターム(参考)】