説明

化粧料

【課題】
硬度10〜200の化粧料製剤の、保存安定化を図った容器に収容された化粧料を提供する。
【解決手段】
有効成分を含有する硬度10〜200の化粧料製剤を、最内層が着色剤を含まない低密度ポリエチレンであるチューブ容器に収容させてなることを特徴とする化粧料。有効成分としては、ビタミン類又はそれらの誘導体、生薬エキス、グリチルレチン酸又はその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、ピロクトンオラミン、ハイドロキノン誘導体、ポリフェノール誘導体から選ばれた1種又は2種以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分を含有する硬度10〜200の化粧料製剤を、最内層が着色剤を含まない低密度ポリエチレンであるチューブ容器に収容したことを特徴とする、保存性に優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流動性の化粧料を収容する容器としてチューブ容器が知られている。このチューブ容器は、筒状の容器本体が可撓性シートで形成され、この容器本体内に流動性の化粧料が充填されている。そして、チューブ容器の容器本体に適度の外力を加えて押し潰すことで取出口から流動性の化粧料を取り出していた。チューブの素材としては、プラスチック(樹脂)やアルミニウムの積層、樹脂と樹脂と樹脂の積層、アルミニウムなどがあった。(非特許文献1参照)
【0003】
このチューブ容器の中には、高級感を備えて商品性や意匠性を高めるために、容器本体の素材に着色剤を配合したものがあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本化粧品技術者会編「化粧品辞典」 275頁、2003年12月15日、丸善株式会社発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、着色料を配合したチューブ容器に化粧料を充填すると、有効成分の量が経時で減少するという問題点があった。そこで、本発明は、硬度10〜200の化粧料製剤の、保存安定化を図った容器に収容された化粧料に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、有効成分を含有する硬度10〜200の化粧料製剤を、最内層が着色剤を含まない低密度ポリエチレンであるチューブ容器に収容したことを特徴とする、保存性に優れた化粧料を提供する。
【0007】
さらに、前記有効成分が、ビタミン類又はそれらの誘導体、生薬エキス、グリチルレチン酸又はその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、ピロクトンオラミン、ハイドロキノン誘導体、ポリフェノール誘導体から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料は、有効成分を含有する硬度10〜200の化粧料製剤を、最内層が着色剤を含まない低密度ポリエチレンであるチューブ容器に収容することにより、高温下での保存安定性に優れるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0010】
本発明の化粧料は、有効成分を含有する硬度10〜200の化粧料製剤を、最内層が着色剤を含まない低密度ポリエチレンであるチューブ容器に収容するものである。
【0011】
本発明の化粧料における硬度とは、25℃で、RHEO METER(レオテック社製)を用いて測定するものである。標準針入プランジャーはステンレス鋼からなる直径20mmのもので、レオテック社から市販されている。硬度は、化粧料の中心表面から10mmまでの距離を、標準プランジャーを6cm/分で動かすときに必要な最大の力を示す。
【0012】
本発明の化粧料製剤において、硬度が10〜200の範囲外の場合、チューブ容器に収納した際の使用ができなくなる場合がある。
【0013】
本発明の化粧料製剤に配合する有効成分としては、ビタミン類又はそれらの誘導体、生薬エキス、グリチルレチン酸又はその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、ピロクトンオラミン、ハイドロキノン誘導体、ポリフェノール誘導体から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とすることが好ましく、最も好ましくはピロクトンオラミンである。
【0014】
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧料に配合しうる成分を任意に配合することができる。
【0015】
本発明の化粧料は機能的には、抗フケ剤、育毛剤、トリートメント剤、美白剤、シミ、シワ防止剤等である。
【0016】
チューブの容器に用いられる素材としては、低密度ポリエチレン、エバール、アルミニウムなどがあり、これらを積層させた容器も多く見られる。本発明においては単層若しくは積層どちらの素材を用いてもよいが、化粧料と直接接触する最内層が、着色剤を含まない低密度ポリエチレンを用いる。着色剤を含むポリエチレンを最内層に用いると、化粧料に配合した有効成分量の減少が認められる。
【0017】
チューブ容器のデザインとして、低密度ポリエチレンに着色剤を用いることが一般に行われている。ここで、低密度ポリエチレンに用いられる着色剤としては、酸化チタン、酸化鉄、群青、紺青、有機色素等が挙げられるが、特に酸化チタンを配合した場合、有効成分の減少が顕著に認められる。
【実施例】
【0018】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0019】
表1に示した処方にて、毛髪トリートメント製剤を定法により調製し、各種チューブに充填し、50℃30日間の保存安定性試験に供した。保存安定性の評価は、ピロクトンオラミンの定量により行い、調製時のピロクトンオラミン量を100%とした場合の定量値が上下3%以内のものを○、3%を超えるものを×として評価した。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
表2に示したとおり、最内層に着色剤を含有する低密度ポリエチレンを用いた比較例の場合、有効成分であるピロクトンオラミン量の減少が認められた。これに対し、最内層に着色剤を含有しない低密度ポリエチレンを用いた実施例の場合、有効成分であるピロクトンオラミンの量は維持されていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を含有する硬度10〜200の化粧料製剤を、最内層が着色剤を含まない低密度ポリエチレンであるチューブ容器に収容させてなることを特徴とする化粧料。
【請求項2】
有効成分が、ビタミン類又はそれらの誘導体、生薬エキス、グリチルレチン酸又はその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール、ピロクトンオラミン、ハイドロキノン誘導体、ポリフェノール誘導体から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の化粧料。

【公開番号】特開2011−251923(P2011−251923A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125466(P2010−125466)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】