説明

化粧料

【課題】
使用感触、特に使用後(剥離後)のなめらか感に優れたシート及び化粧料を提供する。
【解決手段】
(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコンを0.1〜8.0質量%と、(b)下記一般式(II)で示されるハイドロゲンジメチコンを0.05〜2.0質量%と、(c)下記一般式(III)で示されるメチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマーを0.01〜0.8質量%と、を配合したことを特徴とする化粧料。
【化1】
【化2】
【化3】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料及びシート状化粧料に関し、更に詳しくは使用感触、特に使用後(剥離後)の肌のなめらか感に優れた化粧料及びシート状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パック化粧料(ピールオフタイプ、ふき取りタイプ、洗い流しタイプ、シート状タイプ等)は、皮膚などの油分や汚れを取り去り、また保湿効果を与える目的で使用されている。
パック化粧料の中で汎用されているシート状タイプのシート基材としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン等の合成繊維、パルプ、絹、綿、麻、レーヨン、コラーゲン等の天然繊維や再生繊維等からなる織布、不織布、またはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂の薄肉シート、耐水紙、シルクフィブロインシート、コラーゲンシート、キトサンシート、アロエシート等がある(特許文献1)。中でも、ポリエステルシートが一般的に使われる。
しかしながら、このポリエステルシートを使用すると、肌への密着性及び使用後(剥離後)の肌のなめらかさが十分発揮されないなどの解決すべき課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−64146
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用感触、特に使用後(剥離後)の肌のなめらか感に優れた化粧料及びシート状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)ビニルジメチコンと(B)ビスビニルジメチコン、ハイドロゲンジメチコン、及びメチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマーの混合物とを、好ましくは白金触媒の存在下で混合した粘稠液または、それをシート状に成型・乾燥して得られるシートが、使用感触、特に使用後の肌のなめらか感に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明の化粧料は、(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコンを2.2〜9.9質量%と、(b)下記一般式(II)で示されるハイドロゲンジメチコンを0.05〜2.0質量%と、(c)下記一般式(III)で示されるメチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマーを0.01〜0.8質量%と、を配合したことを特徴とする。
【化1】

(式中、nは50〜500である)


【化2】

(式中、nは10〜300である)

【化3】

(式中、xは10〜350、yは1〜150である)

【0007】
更に、本発明の化粧料は、前記(a)〜(c)成分が、(A)前記(a)成分を95質量%以上と有効量の白金触媒とを含有する第一剤と、(B)前記(a)成分を65〜94質量%、前記(b)成分を5〜25質量%、及び前記(c)成分を1〜10質量%を含有する第二剤との混合物を、5〜10質量%配合したものであることを特徴とする。
更に、本発明の化粧料は、(A)前記第一剤と(B)前記第二剤とを混合するときの質量比が8:2〜2:8であることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のシート状化粧料は、(A)前記第一剤と、(B)前記第二剤とを混合して成型したシートに化粧料が塗布されていることを特徴とする。
更に、本発明のシート状化粧料は、(A)前記第一剤と(B)前記第二剤とを混合するときの質量比が3:7〜5:5であることを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧料及びシート状化粧料は、使用感触、特に使用後(剥離後)の肌のなめらか感に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明について詳述する。
本発明の化粧料に用いられる(a)ビスビニルジメチコン、(b)ハイドロゲンジメチコン、及び(c)メチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマーは、一般に市販されており、また、本発明の一剤、二剤の例としては、Skin Adhesive Sillicone SM9010A&B(KCC社)が市販されている。
【0011】
また、本発明の化粧料において、(A)(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコンを95質量%以上と有効量の白金触媒とを含有する第一剤と、(B)(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコン65〜94質量%、(b)下記一般式(II)で示されるハイドロゲンジメチコンを5〜25質量%、及び(c)下記一般式(III)で示されるメチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマー1〜10質量%を含有する第二剤とを混合する際の質量比は、(A):(B)=8:2〜2:8が好ましい。(A):(B)の質量比が当該範囲を外れると、使用感触がべたつく傾向にある。
また、本発明のシート状化粧料において使用するシートにおいては、(A):(B)の混合質量比が3:7〜5:5であることが好ましい。質量比が当該範囲を外れると、膜を形成しにくくなる。
なお、白金触媒としては、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体が好ましく、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体溶液として市販されているものが使用できる。その配合量は、(A)(B)混合物に期待する粘度等の物性により、適宜決定できるが、錯体として(A)(B)合計量に対して0.02%以下で十分である。
【0012】
本発明の化粧料及びシート状化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記必須成分のほかに、通常化粧料に基剤として配合される、水、油分、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、美白剤、抗炎症剤、各種抽出物や、化粧料を修飾する成分として、防腐剤、香料、キレート剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【実施例】
【0013】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限りすべて質量%である。
【0014】
実施例1:(A)(a)ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体を0.002%含むビスビニルジメチコンからなる第一剤と、(B)(a)ビスビニルジメチコン85%、(b)ハイドロゲンジメチコン10%、及び(c)メチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマー5%を含有する第二剤とを5:5(質量比)で混合して成型したシート。
比較例1:ポリエステルシート
【0015】
(1) 使用姓(官能評価:シート剥離後のなめらか感)
シート剥離後の肌のなめらか感を専門パネラー10名により、実施例1及び比較例1の実施用試験を実施した。評価基準、及び結果は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、なめらか感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、なめらか感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、なめらか感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、なめらか感があると認めた。
【0016】
【表1】

【0017】
(2)シート形成能
(A)第一剤と、(B)第二剤について、表2のように重量比を変えて混合したシートの形成能をみた。評価基準、及び結果は以下の通りである。
【0018】
[評価基準]
(A)第一剤と、(B)第二剤とを室温で混合してから24時間後の状態を観察した。
◎…硬いシート状に固まる
○…柔らかいシート状に固まる
△…粘着性があり、手に付く場合もあるが、ポロポロ剥がれる
×…全く固まらず、液状
【0019】
【表2】

【0020】
以下、さらに処方例を示す。なお、配合量は特記しない限りすべて質量%である。
【0021】
処方例1 シート状パック化粧料
(1)精製水 31.8%
(2)グリセリン 3.0%
(3)精製水 10.0%
(4)キサンタンガム 0.1%
(5)カオリン 3.0%
(6)黒酸化鉄 1.0%
(7)シリカ 0.5%
(8)エタノール 25.0%
(9)ポリビニルピロリドン(分子量4万) 25.0%
(10)マカデミアナッツ油 0.5%
(11)メチルパラベン 0.1%
(製法及び評価)
(1)〜(2)を加え均一に攪拌した後、(3)〜(7)をホモミキサーにて分散したものを加え、更に攪拌しながら(8)に(9)〜(11)を溶解させたものを加えて混合し、本発明のパック化粧料を得た。このパック化粧料を(a)ビスビニルジメチコンと、(b)ビスビニルジメチコン、ハイドロゲンジメチコン及び、メチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマーの混合物からなるシートフィルム上に深さ0.1mmのアプリケーターにより均一に塗布し、乾燥してシート状パック化粧料を得た。得られたシート状パック化粧料は、使用感触に優れていた。
【0022】
処方例2 シート状パック化粧料
(1)精製水 73.79%
(2)ソルビトール(70%) 3.0%
(3)精製水 10.0%
(4)メタリン酸ナトリウム 0.01%
(5)二酸化チタン 3.0%
(6)エタノール 5.0%
(7)ポリビニルピロリドン(分子量4万) 5.0%
(8)ビタミンEアセテート 0.1%
(9)メチルパラベン 0.1%
(製法及び評価)
(1)〜(2)を加え均一に攪拌した後、(3)〜(5)をホモミキサーにて分散したものを加え、更に攪拌しながら(6)に(7)〜(9)を溶解させたものを加えて混合し、本発明のパック化粧料を得た。このパック化粧料を(a)ビスビニルジメチコンと、(b)ビスビニルジメチコン、ハイドロゲンジメチコン及び、メチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマーの混合物からなるシートフィルム上に深さ0.1mmのアプリケーターにより均一に塗布し、乾燥してシート状パック化粧料を得た。得られたシート状パック化粧料は、使用感触に優れていた。
【0023】
処方例3 乳化型洗い流しタイプパック化粧料
(1)精製水 85.85質量%
(2)ヒドロキシエチルセルロース 1.0
(3)ポリオキシエチレン(30モル)ステアリン酸エステル 0.5
(4)ステアリン酸カリウム 0.5
(5)高重度メチルポリシロキサン(2)
−メチルポリシロキサン溶液(20%) 2.0
(6)オクタメチルシキロペンタシロキサン 5.0
(7)(A)(B)混合物(試験例2) 5.0
(8)メチルパラベン 0.15
(製法及び評価)
(1)〜(2)及び(7)〜(8)を加え攪拌した後、攪拌しながら(3)〜(6)を加えて混合し、本発明のパック化粧料を得た。得られたパック化粧料は、使用感触に優れ、温度安定性も良好であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(I)で示されるビニルジメチコンを2.2〜9.9質量%と、(b)下記一般式(II)で示されるハイドロゲンジメチコンを0.05〜2.0質量%と、(c)下記一般式(III)で示されるメチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマーを0.01〜0.8質量%と、を配合したことを特徴とする化粧料。
【化1】

(式中、nは50〜500である)


【化2】

(式中、nは10〜300である)


【化3】

(式中、xは10〜350、yは1〜150である)

【請求項2】
前記(a)〜(c)成分が、(A)前記(a)成分を95質量%以上と有効量の白金触媒とを含有する第一剤と、(B)前記(a)成分を65〜94質量%、前記(b)成分を5〜25質量%、及び前記(c)成分を1〜10質量%を含有する第二剤との混合物を、5〜10質量%配合したものであることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
前記(A)第一剤と前記(B)第二剤との混合質量比が8:2〜2:8であることを特徴とする請求項2記載の化粧料。
【請求項4】
(A)(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコンを95質量%以上と有効量の白金触媒とを含有する第一剤と、(B)(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコン65〜94質量%、(b)下記一般式(II)で示されるハイドロゲンジメチコンを5〜25質量%、及び(c)下記一般式(III)で示されるメチルハイドロゲンシロキサンジメチルシロキサンコポリマー1〜10質量%を含有する第二剤とを混合して成型したシートに化粧料が塗布されていることを特徴とするシート状化粧料。
【化4】

(式中、nは50〜500である)


(式中、nは10〜300である)

【化6】

(式中、xは10〜350、yは1〜150である)

【請求項5】
(A)前記第一剤と(B)前記第二剤との混合質量比が3:7〜5:5であることを特徴とする請求項4記載のシート状化粧料。




【公開番号】特開2012−111749(P2012−111749A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240207(P2011−240207)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】