説明

化粧料

【課題】シクラメンの花、葉、茎の少なくともいずれかからアントシアニンやサポニンなどの抗酸化物質を抽出し、化粧基材に配合して化粧料にする。
【解決手段】シクラメンの少なくも花、茎及び葉のいずれかを溶媒で抽出し濾過する。この濾液であるシクラメンエキスを化粧品基材に配合してなる。シクラメンエキスは、化粧品基材に約0.5〜15重量%配合するとよい。また、溶媒は、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ジグリセリン、トリグリセリドを使用するとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクラメンからの抽出物を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
シクラメンは、サクラソウ科シクラメン属に属する多年草であり、アントシアニン、サポニンなどの肌の保湿や美白などの効果を有する成分(抗酸化物質)を有する。
このうち、サポニンを抽出した皮膚外用剤がある(特許文献1)。
しかし、この皮膚外用剤は、抗酸化物質であるアントシアニンなどを廃棄していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−133955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、シクラメンからアントシアニンやサポニンなどの抗酸化物質を抽出し、化粧料に配合することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、シクラメンの少なくも花、茎及び葉のいずれかを溶媒で抽出し濾過した液を化粧品基材に配合してなる。
請求項2の発明は、前記濾液を化粧品基材に0.5〜15重量%配合してなる。
請求項3の発明は、前記シクラメンが、香りシクラメンであることを特徴とする。
上記化粧品基材は、水性基材、油性基材、粉体基材、高分子基材(パックなどの被膜を作るための基材)、界面活性剤(高分子乳化剤)及びこれらの混合物であり、公知のいずれのものであってもよい。また、上記溶媒は、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ジグリセリン、トリグリセリド、液状の炭化水素からなる群の1種以上から組成されるものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明の化粧料は、塗布後の肌の水分量、肌の柔軟性、美白の改善度合いが大きい。
請求項2の発明の化粧料は、沈殿物が生じず、請求項1に示す効果が得られる。
請求項3の発明の化粧料は、美白などの効果に加え、芳香によるリラックス効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る化粧水と対照品の肌の水分量の経時変化を示す図である。
【図2】本発明に係る化粧水と対照品の肌の柔軟性の経時変化を示す図である。
【図3】本発明に係るクリームと対照品を3週間にわたり使用したときの肌の水分・弾力性・油分・明度の変化を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る化粧料について説明する。
先ず、溶媒にシクラメンの花、茎、葉、あるいは全草を浸漬する。
この溶媒は、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ジグリセリン、トリグリセリド、液状の炭化水素からなる群の1種以上から組成されるものである。 そして、5〜100℃で3〜24時間放置後、濾過し、濾液(シクラメンエキス)を得る。この濾液を化粧品基材に0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%配合し、混合、調製などして化粧料とする。
シクラメンエキスの配合量を0.5〜15重量%としたのは、これより少ないと、肌の保湿や美白などの効果がほとんど得られないからであり、これより多いと、沈殿物を生じるおそれがあるからである。
なお、シクラメンエキスを抽出する溶媒として、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ジグリセリン、トリグリセリドを使用すると、保湿効果がシクラメンエキスと相乗する。
【0009】
シクラメンは、花の色が赤や紫のものが好ましいが、黄色や白などであってもよい。ただし、芳香を放つ香りシクラメンを使用すると、香料としての効能を併せ持つシクラメンエキスが得られる。
【実施例1】
【0010】
グリセリン50gを85℃にし、この中に赤いシクラメンの花と茎を合わせて2gを入れ、3時間放置する。その後放冷し、濾過し、濾液(シクラメンエキス)を得る。濾液は赤色の粘稠液である。
この濾液を10重量%、精製水を84.75重量%、1,3−ブチレングリコールを5重量%、メチルパラペンを0.2重量%、エチルパラペンを0.05重量%配合して混合し、薄橙色の化粧水(ローション)を得た。
この化粧水について、8時間閉塞パッチテストを行った結果、被験者5名全員において赤み、腫れ、発疹などの刺激による肌の変化が確認できなかった。
さらに、この化粧水と、対照品(グリセリン10重量%精製水を84.75重量%、1,3−ブチレングリコールを5重量%、メチルパラペンを0.2重量%、エチルパラペンを0.05重量%配合し混合してなる溶液)をそれぞれ腕に塗布し、その後の肌の状態を肌診断測定機(株式会社ジャパンギャルズの商品名「サイバースキンチェッカー」)で測定した。その結果を図1,図2に示す。
対照品よりも本化粧水の方が、塗布後の肌の水分量及び肌の柔軟性の改善度合いが大きい。
【実施例2】
【0011】
グリセリン50gを85℃にし、この中に赤いシクラメンの花と茎を合わせて2gを入れ、3時間放置する。その後放冷し、濾過し、濾液(シクラメンエキス)を得る。濾液は赤色の粘稠液である。
この濾液を10重量%、精製水を78.7重量%、ペンチレングリコールを3重量%、フェノキシエタノールを0.3重量%、米ヌカ油を5重量%、高分子乳化剤混合物を3重量%配合し、高速で攪拌して、クリームを得た。
このクリームと対照品(、精製水を78.7重量%、ペンチレングリコールを3重量%、フェノキシエタノールを0.3重量%、米ヌカ油を5重量%、高分子乳化剤混合物を3重量%配合し、高速で攪拌しクリーム状にしたもの)をそれぞれ起床後、就寝前の1日2回、3週間にわたり毎日顔に塗布し、肌の水分、弾力性、油分、明度を、肌診断測定機(株式会社ジャパンギャルズの商品名「サイバースキンチェッカー」)で測定した。その結果を図3に示す。
対照品よりも本クリームの方が、水分、弾力性、明度において優れた結果が得られた。
シクラメンエキスに含まれるアントシアニン類、サポニンなどの抗酸化物質の相乗作用であると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクラメンの少なくも花、茎及び葉のいずれかを溶媒で抽出し濾過した液を化粧品基材に配合してなる化粧料。
【請求項2】
前記濾液を化粧品基材に0.5〜15重量%配合してなる請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記シクラメンが、香りシクラメンであることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−144501(P2012−144501A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5530(P2011−5530)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(399071421)株式会社実正 (1)
【Fターム(参考)】