説明

化粧料

【課題】ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと保湿剤を含有し、保湿剤のみの配合では維持できない保湿効果が持続され、保湿効果の高い化粧品を提供することを課題とする。
【解決手段】保湿剤とポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9であるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含有する化粧料を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の使用目的の一つは、皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚表面の水分を調節し、そして皮膚にしっとり感を与えることである。このため化粧品には保湿剤として種々の成分が添加される。保湿剤として通常用いられるものとしては、グリセリンや1,3ブチレングリコール(1,3BG)ソルビトールなどの多価アルコールやアミノ酸や有機酸、ヒアルロン酸など生体系保湿成分がある。
また、上記以外にも化粧品用の保湿剤として、ポリオキシアルキレングリコールモノアクリレート又はポリオキシアルキレングリコールなどの重合物に化粧品基材としての保湿効果があることが知られている(特許文献1:特開平1−131106号公報)。またポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(メチルエーテルメタクリレート重合体)が豚皮を用いた保湿性試験により保湿効果を有することが確認され、これを配合した化粧品の提案がなされている (特許文献2:特開2003−171257号公報)。特許文献2には、ポリオキシエチレン鎖の平均重合度4.5のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを配合したローションとポリオキシエチレン鎖の平均重合度22.7のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを配合したO/W型乳液が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平01−131106号公報
【特許文献2】特開2003−171257号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】武田克之他監修、「化粧品の有用性−評価技術の進歩と将来展望−」、第1刷、株式会社薬事日報社、2001年3月31日、82p.82−101
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと保湿剤を含有し、保湿剤のみの配合では維持できない長時間の保湿効果が持続された、保湿効果の高い化粧品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)保湿剤とポリオキシエチレン鎖の平均重合度が4〜23であるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含有することを特徴とする化粧料。
(2)ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールのポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9である(1)記載の化粧料
(3)保湿剤が多価アルコール系の保湿剤であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の化粧料。
(4)ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールが、保湿剤1重量部に対して0.01〜0.5重量部含有していることを特徴とする(1)〜(3)に記載の化粧料。
(5)多価アルコール系の保湿剤が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール(1,3BG)、ソルビトールから選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする(3)又は(4)に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施により、皮膚に塗布したときの保湿性が高まるとともに、保湿時間の延長効果を示す新規な化粧料を実現することができた。特に、本発明の化粧料は、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと、保湿剤として多価アルコールを用い、さらに多価アルコールのなかでもグリセリンを配合することで、皮膚の保湿効果、保湿時間の延長効果が高い保湿性に優れた化粧料を提供することができる。また、ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9であるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと保湿剤とを組み合わせることにより、さらに角層の水分量を相乗的に高めることができ、配合する保湿剤の量を減らすことが可能となり、化粧品のべたつきを改善することができる。
さらにまた本発明の化粧料は、皮膚のしっとり感をもたらし、肌荒れ改善、肌荒れ防止に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】試験例1〜6の角層水分量の経時変動を測定した試験結果を示すグラフ
【図2】試験例1、2、7〜10の角層水分量の経時変動を測定した試験結果を示すグラフ
【図3】試験例1、2、10〜14の角層水分量の経時変動を測定した試験結果を示すグラフ
【図4】試験例1、2、15〜24の角層水分量の経時変動を測定した試験結果を示すグラフ
【図5】試験例1、2、25、26の角層水分量の経時変動を測定した試験結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを単独重合させて得ることができる。本発明を実施するに最良のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、ポリオキシエチレン鎖の平均重合度4〜23のものであれば良く、さらに好ましくはポリオキシエチレン鎖の平均重合度が7〜15のものがよく、特に好ましくは平均重合度9のものである。
【0010】
たとえば、ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9であるメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、特許文献2に開示されているように、ポリエチレングリコールメチルエーテルとメタクリル酸クロリドとを反応させて得ることができる。また、合成原料の一部は試薬として市販されているものもある。新中村化学工業株式会社製のNKエステルM−90G(n≒9)、日本油脂株式会社製のブレンマーPME−400(n≒9)をモノマーとして用いることができる。重合体の製造方法については、上記特許文献2に開示されている方法に従えば良く、モノマーを溶媒中で重合開始剤の存在下、反応させて得られる。化粧品原料としてのポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した場合、平均分子量が1,000〜100,000のものであり、好ましくは2,500〜100,000であり、特に好ましくは3,000〜50,000のものである。
【0011】
本発明に用いる保湿剤とは、化粧品として必要な皮膚の保湿機能(湿潤機能)を有する成分であればよい。例えば、天然由来の成分としては、生体系成分としてはムコ多糖類、コラーゲン、有機酸、アミノ酸を例示でき、多価アルコール系成分としてはグリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、メチルグルセス、トレハロース、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等を例示できる。
ムコ多糖類としてはヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸等を、有機酸としては乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等を、アミノ酸としてはバリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等を例示できる。
グリセリンは化粧品として広く普及しており、ライオン(株)社製の化粧品用濃グリセリン、花王(株)社製の濃グリセリン等を入手して用いることができる。またソルビトールの市販品としては、三菱商事フードテック(株)社製のソルビットD−70等を入手して用いることができる。ソルビットD−70は、ソルビトール70重量%と水30重量%から成る混合原料である。1,3−ブチレングリコールの市販品としては、ダイセル化学工業(株)社製の1,3−ブチレングリコール、協和発酵バイオ(株)社製の1,3−ブチレングリコール等を入手して用いることができる。またここには例示しないが、上記以外の保湿成分についても、化粧品原料として提供されているものであれば問題なく使用可能である。
【0012】
保湿剤の配合量は、通常化粧品に配合される範囲であれば、目的とする化粧品に適宜、適切な量を配合することができる。例えば化粧料全質量当たり0.01重量%以上25重量%以下が好ましい。0.01重量%に満たないと化粧品としての保湿性が不十分になる恐れがあり、25重量%を超えるとべたつく恐れがある。
本発明の化粧料では、上記重合体が化粧料全体に対して、0.01〜25重量%、好ましくは0.01〜15重量%の範囲で含有される。
【0013】
さらに、本発明で使用するポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、保湿剤1重量部に対して0.01〜0.5重量部の範囲で配合することにより、より適切な効果を発揮することができる。この比率より少ない場合には、保湿効果を高めたり、保湿持続時間を延長したりする効果を発揮できない。またこの比率より多くしても効果はそれほど増加しないため、この範囲で配合することが好ましい。
【0014】
本発明の化粧料には、通常化粧料に用いられる成分を配合することができ、油剤、界面活性剤、水溶性高分子、有機粉体、無機粉体、香料、pH調整剤、防腐剤、ビタミン等の美容成分を含有させることができる。
【0015】
本発明の化粧料は主に皮膚に適用され、皮膚の保湿に効果を与えるものであれば薬事法の分類でいうところの医薬品や医薬部外品も含まれる。
【0016】
本発明の化粧料の剤型としては、化粧水、乳液、クリーム、水性ジェル、パック、洗顔料等が挙げられ、乳化剤型については、水中油乳化、油中水乳化のいずれも可能である。
【実施例】
【0017】
以下に効果確認の試験例、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0018】
試験1
本発明化粧料の配合成分である保湿剤とポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを化粧品に配合する比率で混合した組成物を調製し、これを直接皮膚に塗布して保湿効果を測定する。
表1〜3に本試験に用いた試料の処方を示す。表4〜6に保湿効果を測定した結果を示す。また、表4〜表6のデータのうち、角層の水分量の経時変化をグラフ化して図1〜図3に示した。図1は表4、図2は表5、図3は表6に対応している。尚、試料1は水のみでありこれを、を塗布した試験例1は本試験におけるコントロールである。試験に用いるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは下記に示した参考例で調製したものを用いた。また保湿剤は化粧品原料として市販されているものを用いた。
【0019】
なお保湿効果の判定は皮膚の角層の水分を試験試料の塗布前と塗布後一定時間経過後に測定し、塗布前の値と比較して判定した。角層の水分測定は以下の手順に従って標準化して実施した。
【0020】
角層水分量の測定方法
測定手順
(1)前腕内側部を洗顔料で洗浄し、ぬるま湯で10秒流す。
(2)前腕の水分をふき取り、24℃、相対湿度25%の環境下で20分安静に保つ。
(3)左右前腕に2.5cm×2.5cmの領域を記し、試料を塗布する。試料の塗布 方法は、ヘラを精密電子天秤に載せ、試料を10mg秤り採り、そのヘラを用い て2.5cm×2.5cmの領域に塗布する。
(4)試料を塗布する前と、試料を塗布後30分、60分または90分経過した時点の 角層水分量を測定する。
なお、角層水分量は、皮膚表面コンダクタンスを測定する装置であるIBS社 製SKICON−200EXを用いた。3回または5回測定し、得られたコンダ クタンス数値を平均して得られた値を水分量として取り扱った。以下の試験の結 果でいう水分量とは、コンダクタンス量である。また、基準を合わせるために試 料を塗布後の測定値から試料を塗布する前の測定値を引いた値(ΔμS)を求 め、試料の保湿性を評価するときの参考とした。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
【表4】

【0025】
【表5】

【0026】
【表6】

【0027】
試験結果
皮膚に水(試料1)を塗布したコントロールの角層水分量は、塗布前後で殆ど変化しなかった(試験例1)。
皮膚に参考例に示した合成方法によって調製した重合度9のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールのみを含む(試料2)を塗布しても、角層水分量は殆ど変化しなかった(試験例2)。このことからポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールだけを皮膚に塗布しても、角層水分量を増大させる効果(保湿効果)はほとんど無いと評価した。この結果は先行技術文献1に記載されたブタ乾燥皮膚を用いた試験の評価と異なる結果となった。なお先行技術文献1の試験はブタ乾燥皮膚を用いたインビトロ試験であり、本発明は直接ヒト皮膚に塗布した試験であり、生体自身の持つ保湿効果が反映されたために、このような評価になったものと判断した。ヒト皮膚の保湿効果試験としては、角層水分保持効果と角層バリアー効果の測定法が確立されている。両者は密接な関係を有するものの、別個の効果である(武田克之他監修、「化粧品の有用性−評価技術の進歩と将来展望−」、第1刷、株式会社薬事日報社、2001年3月31日、82p.82−101)。本発明では前者の角層水分保持効果を評価している。一方、先行技術文献1の測定法は豚皮からの水分損失率を測定するものであり、水分保持効果と蒸散遮蔽(バリアー)効果を合わせた効果と考えられ、本発明とは測定対象が異なるものである。
一方、保湿剤(1,3BG、ソルビトール、グリセリン)のみを含む試料3、7、11を皮膚に塗布すると、いずれも角層水分量は増大し、保湿効果を確認できた(試験例3、7、11)。
【0028】
本発明で用いる重合度9のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(合成例1)と、保湿剤(1,3BG、ソルビトール、グリセリン)とを含有する試料4、8、12を皮膚に塗布した試験例4、8、12は、保湿剤を単独で皮膚に塗布した時(試験例3、7、11)よりも角層水分量が増大し、保湿保持時間が明らかに延長した。
また、重合度4.5と重合度22.5のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(合成例2、合成例3)と、保湿剤(1,3BG、ソルビトール、グリセリン)とを含有する試料5,6,9,10,13、14を皮膚に塗布した試験例5,6,9,10,13、14の結果はコントロールと比べて角層水分量が増加しているが、前記の重合度9のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと比較すると劣っていた。
以上の試験結果から、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールは、単独ではヒト皮膚の保湿効果を示さないが、保湿剤と組み合わせて使用すると保湿効果を増強し、保湿時間を延長することが確認できた。またその効果は平均重合度9の物質がもっとも有効であることを確認した。
【0029】
試験3
次に、試験1で、保湿性の評価が優れていた平均重合度9のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの含量を固定して保湿剤(グリセリン)の配合量を1、5、10、15、25重量%と変化させて、保湿性の評価試験(角層水分量の測定)を行った。表7に本実験に用いた試料の処方を示す。表8に結果を示す。また表8のデータを試験1と同様にグラフ化した結果を図4に示す。
【0030】
【表7】

【0031】
【表8】

【0032】
試験結果
重合度9のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと、グリセリンとを含有する試料20〜24を皮膚に塗布した場合、グリセリンを単独で皮膚に塗布したよりも、いずれも角層水分量が増大し、保湿維持時間が延長した。ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの保湿効果を増大させる作用は、グリセリン1重量部に対し、ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール0.02〜0.5重量部の範囲であれば、増大させることが確認された。
【0033】
試験3
重合度9のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと2種類の保湿剤(グリセリン5%とソルビトール3%)を組み合わせて保湿性の評価試験(角層水分量の測定)を行った。表9に本試験に用いた試料の処方を示す。表10に結果を示す。また、図5に試験1、試験2と同様に角層の水分量の経時変化を示した。
【0034】
【表9】

【0035】
【表10】

【0036】
試験結果
保湿剤を複数組み合わせ、さらに重合度9のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを配合することで、保湿効果が増強され、保湿維持時間を延長できることが確認された。
【0037】
上記、試験1〜試験3の結果、本発明の構成のポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9であるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールと保湿剤とを含む組成物は、皮膚の角層水分量を高め、保湿時間を延長することが明らかとなった。
【0038】
〔参考例〕
以下に、参考例として本発明に使用するポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの合成例を示す。
【0039】
合成例1 :ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9)
100mlナスフラスコに重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.0403g量り、フラスコ内をアルゴンガスで3回置換した後、30mlの蒸留ベンゼンを加えてAIBNが溶解するまで室温下で攪拌した。これにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGの平均重合度は9)を5ml加え、60℃で48時間、続いて70℃で24時間加熱し、重合を行なった。その後、重合を停止し目的物を回収した。
【0040】
合成例2 :ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール (ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が4.5)
100mlナスフラスコに重合開始剤AIBNを0.0306g量り、フラスコ内をアルゴンガスで3回置換した後、30mlの蒸留ベンゼンを加えてAIBNが溶解するまで室温下で攪拌した。これにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGの平均重合度は4.5)を5ml加え、60℃で48時間、続いて70℃で24時間加熱し、重合を行なった。その後、重合を停止し目的物を回収した。
【0041】
合成例3 :ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が22.7)
100mlナスフラスコに重合開始剤AIBNを0.00753g量り、フラスコ内をアルゴンガスで3回置換した後、30mlの蒸留ベンゼンを加えてAIBNが溶解するまで室温下で攪拌した。これにポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(PEGの平均重合度は22.7)を5ml加え、60℃で48時間、続いて70℃で24時間加熱し、重合を行なった。その後、重合を停止し目的物を回収した。
【0042】
得られたポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールの分子量を、GPCを用いて測定した。合成例1の分子量はポリスチレン換算で数平均分子量は15363、質量平均分子量は35680であった。
【0043】
合成例2の分子量はポリスチレン換算で数平均分子量は13800、質量平均分子量は40400であった。合成例3の分子量はポリスチレン換算で数平均分子量は8300、質量平均分子量は10000であった。
【0044】
処方例1 化粧水
(配合成分) (重量%)
1.合成例1のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール
(ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9) 1
2.グリセリン 5
3.1,3−ブチレングリコール 4
4.1,2−ペンタンジオール 1
5.キサンタンガム 0.1
6.クエン酸三ナトリウム 0.04
7.クエン酸 0.01
8.フェノキシエタノール 0.2
9.精製水 残余

成分1〜9を混合し化粧水を調製した。
本発明の化粧水は保湿性が高く、肌荒れ改善、防止効果に優れていた。

【0045】
処方例2 美容液
(配合成分) (重量%)
1.ジステアリン酸ポリグリセリル−10 0.6
2.ステアリン酸ポリグリセリル−10 1.4
3.オリーブ油 4
4.ホホバ油 4
5.合成例1のポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコール
(ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9) 2
6.ソルビトール 8
7.グリセリン 10
8.カルボキシビニルポリマー 0.1
9.1,2−ペンタンジオール 1
10.エラスチン 0.1
11.ヒアルロン酸 0.1
12.コラーゲン 0.1
13.水酸化カリウム 0.03
14.精製水 残余

80度に加熱溶解した配合成分1〜4と、80度に加熱溶解した配合成分5〜9、13および14を混合して乳化し、40度まで撹拌冷却して成分10〜12を加え、室温まで撹拌冷却して美容液を調製した。

本発明の美容液は保湿性が高く、肌荒れ改善、防止効果に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保湿剤とポリオキシエチレン鎖の平均重合度が4〜23であるポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールを含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールのポリオキシエチレン鎖の平均重合度が9である請求項1記載の化粧料
【請求項3】
保湿剤が多価アルコール系の保湿剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
ポリメタクリル酸メトキシポリエチレングリコールが、保湿剤1重量部に対して0.01〜0.5重量部含有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】
多価アルコール系の保湿剤が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール(1,3BG)、ソルビトールから選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の化粧料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−167053(P2012−167053A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29262(P2011−29262)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】