説明

化粧料

【課題】ゲル状の化粧料の増粘剤として適したカルボキシル基含有水溶性重合体とアニオン性膜形成剤を加えることで、粘度が高く、べたつきが少なく、さらさら感を有し、皺のばし効果を有する化粧料を提供する。
【解決手段】(a)(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部および、0〜0.1質量部のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物とを重合させて得られるアルキル変性カルボキシビニルポリマーと、(b)アニオン性膜形成剤と、を含む化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、詳しくは粘度が高く、べたつきが少なく、さらさら感を有し、さらに皺のばし効果を有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カルボキシビニルポリマーやアルキル変性カルボキシビニルポリマー等のカルボキシル基含有水溶性重合体は、少量で化粧料の粘度を増粘し、べたつきが少ない使用感が発現できることから、化粧料の増粘剤として広く使用されている。具体的には、カルボキシル基含有水溶性重合体を水等に溶解させた後、アルカリで中和して0.1〜1質量%程度の粘稠液を作製することにより、化粧料に用いられている。
【0003】
しかしながら、化粧料の分野においては、感触、効能効果を発揮する原料中に塩を含むものが多く存在する。そのため、上記粘稠液は、塩の影響により粘度が低下する問題があった。
【0004】
そのため、塩の存在下でも粘度が低下しないカルボキシビニルポリマーやアルキル変性カルボキシビニルポリマーが求められており、特許文献1および特許文献2には、塩化ナトリウムやカチオン性ポリマーの存在下においても、高粘度を有するアルキル変性カルボキシビニルポリマーが開示されている。
【0005】
一方、特許文献3および特許文献4には、皺伸ばし効果のために膜形成剤を化粧料に配合する技術が開示されている。また、特許文献5および特許文献6には、毛髪の整髪や光沢付与のために膜形成剤を使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2010−202627号公報
【特許文献2】 特開2010−209156号公報
【特許文献3】 特開2006−169145号公報
【特許文献4】 特開1993−000933号公報
【特許文献5】 特開2011−068646号公報
【特許文献6】 特開2010−001271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3〜6記載の膜形成剤のうち、アニオン性膜形成剤は、静電的な力によりべとつき、からみつき、髪の広がりを防ぐ等の優れた性質を持っているものの、カルボキシビニルポリマーやアルキル変性カルボキシビニルポリマーで作製した増粘体に配合すると粘度が極端に低下するという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1および2には、塩化ナトリウムやカチオン性ポリマーと組み合わせについては開示されているものの、アニオン性膜形成剤による影響については、全く検討されていなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、前記の従来技術の問題を解決し、粘度が高く、べたつきが少なく、さらさら感を有し、さらに皺のばし効果を有する化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のアルキル変性カルボキシビニルポリマーとアニオン性膜形成剤を配合することによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の化粧料は、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、および0〜0.1質量部のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、を重合させて得られるアルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)と、アニオン性膜形成剤(b)と、を含むことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の化粧料は、前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)の配合量が0.1〜20.0質量%であり、かつ、前記アニオン性膜形成剤(b)の配合量が0.5〜70質量%であることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の化粧料は、前記アニオン性膜形成剤(b)がポリスチレンスルホン酸塩であることが好ましく、さらにまた、前記ポリスチレンスルホン酸塩がポリスチレンスルホン酸Naであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、粘度が高く、べたつきが少なく、さらさら感を有し、さらに皺のばし効果を有する化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の化粧料について具体的に説明する。
本発明の化粧料は、(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、および0〜0.1質量部のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、を重合させて得られるアルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)と、アニオン性膜形成剤(b)と、を含むものである。これにより、べたつきが少なく、さらさら感を有し、皺のばし効果を有する化粧料、特にゲル状粧料を得ることができる。
【0016】
本発明において、前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)としては、例えば、住友精化株式会社製の「アクペック SER W−150C」(商品名)あるいは「アクペック SER W−300C」(商品名)等を挙げることができる。
【0017】
また、前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)としては、特開2010−202627号公報、特開2010−209156号公報記載の方法により製造されたものを用いることができる。
【0018】
本発明において、前記アニオン性膜形成剤(b)としては、通常化粧料に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリアスパラギン酸ナトリウム等を挙げることができる。また、これらアニオン性膜形成剤(b)は、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
また、本発明の化粧料は、前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)の配合暈が0.1〜20.0質量%であり、かつ、前記アニオン性膜形成剤(b)の配合量が0.5〜70質量%であることが好ましく、前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)の配合量が0.5〜3.0質量%であり、かつ、前記アニオン性膜形成剤(b)の配合量が2〜20質量%であることがさらに好ましい。
【0020】
前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)の配合量が0.1質量%未満であるとゲル状を保つことができないおそれがあり、一方、前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)の配合量が30質量%より多いと粘度が大きく皮膚に塗布しづらくなるおそれがあり、好ましくない。さらに好ましくは前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)の配合量が0.5〜3.0質量%であると、指どれがよく、皮膚に塗布しやすくなる。
【0021】
また、前記アニオン性膜形成剤(b)の配合量が0.5質量%未満であると、皺のばし効果において充分な効果が得られないおそれがあり、一方、前記アニオン性膜形成剤(b)の配合量が30質量%より多いとツッパリ感強くなりすぎるおそれがあり、好ましくない。さらに好ましくはアニオン性膜形成剤(b)の配合量が2〜20質量%であると皺のばし効果に優れかつ皮膚へのツッパリ感がなくなる。
【0022】
さらに、本発明の化粧料は、前記アニオン性膜形成剤(b)がポリスチレンスルホン酸塩であることが好ましい。
【0023】
かかるポリスチレンスルホン酸塩としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸Na、ポリスチレンスルホン酸K、ポリスチレンスルホン酸Ca等を挙げることができるが、中でも、前記ポリスチレンスルホン酸塩がポリスチレンスルホン酸Naであることがさらに好ましい。
【0024】
また、前記ポリスチレンスルホン酸Naとしては、特に限定されないが、アクゾノーベル社製の「FLEXAN II」等を挙げることができる。
【0025】
また、本発明の化粧料に使用できる成分としては本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で上記以外の任意の成分を配合することができ、化粧料に通常配合される成分、例えば、乳化剤、油性成分、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、香料、各種ビタミン剤、着色剤、前記以外の他の増粘剤、紫外線吸収剤、薬効成分等を配合することができる。
【実施例】
【0026】
次に本発明を実施例および比較例を挙げて、より具体的に説明する。なお、以下において配合量は質量%である。
【0027】
(試料の作製)
下記表1の組成に従って、次の方法で試料を作製した。純水中に増粘剤類を少量ずつ投入し攪拌した。次いで、保湿剤、ポリスチレンスルホン酸塩、防腐剤等を投入しながら攪拌し、最後にアルカリ剤を投入しながら攪拌して中和した。すべての成分投入後、ホモミクサー(T.K.ホモミクサーMARK II2.5型、PRIMIX製)にて3000rpmの速度で均一になるまで攪拌して、試料を作製した。なお、中和を先に行ってもよい。
【0028】
【表1】

【0029】
(粘度の測定方法)
上記で得られた試料の粘度を次の方法で測定した。粘度は、ブルックフィールド粘度計(DV−II+ProRV)を用いて、20℃の条件下で、T字スピンドル(エントリーコード 91)、回転速度2.5rpmに設定して測定した。得られた結果を下記表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
実施例1および比較例1は粘度を保つことができたが、比較例2および3は粘度を保つことができなかった。
【0032】
<感触評価の方法>
粘度を保つことができた上記実施例1および比較例1の試料について、下記条件で「さっぱり感」の官能評価を行った。
年齢24〜55歳の健常者(男6名、女6名)に、上上記実施例1および比較例1の試料を手の甲に塗布し、以下の評価基準で官能評価を行った。結果を下記表3に示す。
1点:ぬるつく
2点:ややぬるつく
3点:どちらともいえない
4点:ややさっぱりしている
5点:さっぱりしている
【0033】
【表3】

【0034】
表3の結果から、実施例1は、比較例1と比較して、粘度を保ちながらもさっぱりとした感触を有しているということが示された。
【0035】
上記(試料の作製)にしたがって、下記表4の組成でリフトアップゲル(実施例2)を作製した。
【0036】
【表4】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸100質量部、アルキル基の炭素数が18〜24である(メタ)アクリル酸アルキルエステル0.5〜5質量部、および0〜0.1質量部のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物と、を重合させて得られるアルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)と、アニオン性膜形成剤(b)と、を含むことを特徴とする化粧料。
【請求項2】
前記アルキル変性カルボキシビニルポリマー(a)の配合量が0.1〜20.0質量%であり、かつ、前記アニオン性膜形成剤(b)の配合量が0.5〜70質量%である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
前記アニオン性膜形成剤(b)がポリスチレンスルホン酸塩である請求項1または2記載の化粧料。
【請求項4】
前記ポリスチレンスルホン酸塩がポリスチレンスルホン酸Naである請求項3記載の化粧料。

【公開番号】特開2013−6817(P2013−6817A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153303(P2011−153303)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(508001073)株式会社シーエスラボ (4)
【Fターム(参考)】