説明

化粧料

【構成】 下記一般式(1)で表わされるホスホベタイン化合物を含有する化粧料。
【化1】


〔式中、Zは構成単糖の縮合度が10以上の、置換基を有していてもよい多糖類又はその部分加水分解物由来の基を示す。〕
【効果】 柔軟性ある良好な使用感を与え、しかも水洗・汗等によって損なわれることのない優れた保湿効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化粧料、さらに詳しくは汗や水洗等により損なわれにくい優れた保湿効果を有し、皮膚及び毛髪に対してべとつかず、しっとりとした感触を与える化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、化粧料中には、皮膚及び毛髪に対する保護効果を有する各種保湿剤が配合されている。しかしながらこれらの保湿剤は汗等の水分に弱く、プール等で用いたり、リンス、ボディリンス等の洗い流して用いるタイプの化粧料においては、その本来の効果を発揮できないことが多い。また、洗い流してもさらに保湿効果が充分残るよう保湿剤を多量に配合すると、べとつき等、使用感の悪化が問題となってくる。従って、汗等に強く、さらに洗い流して用いても充分な保湿効果を有し、かつべとつきを生ぜず、しっとりとした良好な感触を与える化粧料の開発が望まれていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状況に鑑み鋭意検討した結果、特定のホスホベタインを含有する化粧料が、前記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表わされるホスホベタイン化合物を含有する化粧料を提供するものである。
【0004】
【化2】


【0005】で示される基は、それぞれZにおいて除かれた水酸基が結合していた炭素原子と結合する基であり、R1、R2及びR3は同一でも異なってもよく、水素原子、又は水酸基を有していてもよい直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜24のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキルフェニル基を示し、M1及びM2は同一でも異なってもよく、水素原子又は陽イオン性基を示し、mは0以上、nは1以上の数を示す。但し、m+nは上記多糖類又はその部分加水分解物がそれぞれ有する水酸基の数を超えない数を示す。)
【0006】上記一般式(1)における残基Zのもととなる構成単糖の縮合度が10以上の多糖類としてはデンプン、アミロース、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、カードラン、プルラン、イヌリン、ガラクタン、アラビナン、アガロース、キシラン、マンナン、キチン、キトサン、アルギン酸等が挙げられる。多糖類の部分加水分解物としては、上記多糖類を酸や酵素で加水分解した生成物が挙げられる。また、これら多糖類又は部分加水分解物に置換し得る基としては、例えばアシル化、エーテル化、アルキレンオキサイド付加、アセタール化などにより修飾された基が挙げられる。なお、該多糖類として構成単糖の縮合度が異なる多糖の混合物や2種類以上の多糖の混合物を用いることは、本発明を実施するにあたり何ら問題はない。例えばデンプンやセルロースの如き天然多糖は、グルコース縮合度が通常数百から数万の混合物であるが、当該多糖類として好ましいものである。
【0007】水酸基で置換された直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、ヒドロキシオクチル、ヒドロキシノニル、ヒドロキシデシル、ヒドロキシウンデシル、ヒドロキシドデシル、ヒドロキシトリデシル、ヒドロキシテトラデシル、ヒドロキシペンタデシル、ヒドロキシヘキサデシル、ヒドロキシヘプタデシル、ヒドロキシオクタデシル、ヒドロキシノナデシル、ヒドロキシエイコシル、ヒドロキシヘンエイコシル、ヒドロキシコシル、ヒドロキシトリコシル、ヒドロキシテトラコシル、ヒドロキシメチルヘキシル、ヒドロキシエチルヘキシル、ヒドロキシメチルヘプチル、ヒドロキシエチルヘプチル、ヒドロキシメチルノニル、ヒドロキシメチルウンデセニル、ヒドロキシメチルヘプタデカニル、ヒドロキシヘキシルデシル、ヒドロキシオクチルデシルブチル等の基が挙げられる。また水酸基で置換された直鎖又は分岐鎖のアルケニル基としては、例えばヒドロキシエテニル、ヒドロキシプロペニル、ヒドロキシブテニル、ヒドロキシペンテニル、ヒドロキシヘキセニル、ヒドロキシヘプテニル、ヒドロキシオクテニル、ヒドロキシノネニル、ヒドロキシデセニル、ヒドロキシドデセニル、ヒドロキシウンデセニル、ヒドロキシトリデセニル、ヒドロキシテトラデセニル、ヒドロキシペンタデセニル、ヒドロキシヘキサデセニル、ヒドロキシヘプタデセニル、ヒドロキシオクタデセニル、ヒドロキシノナデセニル、ヒドロキシエイコセニル、ヒドロキシヘンエイコセニル、ヒドロキシドコセニル、ヒドロキシトリコセニル、ヒドロキシテトラコセニル等の基が挙げられる。
【0008】またM1又はM2で示される陽イオン性基としては、例えばアルカリ金属、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、酸性アミノ酸基、トリアルカノールアミンの陽イオン残基が挙げられる。
【0009】mは0以上の数、nは1以上の数であるが、mは0が好ましい。
【0010】本発明に使用されるホスホベタイン化合物(1)は、例えば次の反応式に従って製造される。
【0011】
【化3】


【0012】〔式中、Z、R1、R2、R3、M1、M2、m及びnは前記と同じ意味を示し、X-は陰イオンを示す〕
【0013】すなわち、糖リン酸エステル(2)とエポキシ化合物(3)を反応させることにより本発明に使用のホスホベタイン化合物(1)が合成される。本反応に用いられる糖リン酸エステル(2)は公知の方法、例えば多糖とオルトリン酸との反応による方法(米国特許第2,824,870号明細書)や多糖とサリシルリン酸塩との反応による方法(特開昭47−34779号公報)などにより容易に製造することができる。これをデンプンを例にとり、式で示せば例えば次の通りである〔澱粉科学ハンドブック、二国二郎監修(1977)510頁〕。
【0014】
【化4】


【0015】糖リン酸エステル(2)は、精製して用いてもよいが、その製造において副生することのあるジエステル型多糖リン酸エステルや未反応原料多糖の混在するまま用いることもできる。
【0016】また、もう一方の原料であるエポキシ化合物(3)は公知の方法に従って、例えば対応するアルキルアミン類、アルカノールアミン類、アルケノールアミン類等とエピハロヒドリンとの反応により容易に製造することができる。
【0017】一般式(3)におけるX-は特に限定されないが、例えばハロゲンイオンやアルキル硫酸エステルの陰イオン基などが挙げられる。
【0018】本反応を実施するには、例えば上記多糖リン酸エステル(2)とエポキシ化合物(3)を、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒又はこれらから選ばれる二種以上の混合溶媒の存在下、好ましくは水又は水と低級アルコールの混合溶媒の存在下において、20〜150℃、好ましくは40〜90℃の温度で反応させればよい。本反応におけるエポキシ化合物(3)の使用量は、製造しようとする本発明の多糖誘導体(1)のm及びnの数に応じて適宜設定すればよいが、通常多糖リン酸エステル(2)のリン酸残基の数(m+n)に対して0.1〜20倍モルが好ましい。
【0019】反応生成物には、本発明に使用のホスホベタイン化合物(1)の他、通常副生成物としての無機塩、未反応のエポキシ化合物(3)もしくはこれのエポキシ開環物が含まれている。この反応物中の各成分の割合は、使用する原料である多糖リン酸エステル(2)やエポキシ化合物(3)の種類、それらの反応モル比、使用する反応溶媒の量、反応温度等の条件に依存する。従って、使用目的によっては反応生成物をそのまま用いることも可能であるが、更に高純度品が必要とされる場合には、例えば、溶媒分別法、透析法、ゲル濾過法などの公知の方法により適宜精製して使用すればよい。
【0020】前記ホスホベタイン化合物(1)は、本発明化粧料中に通常0.1〜20重量%含有せしめることが好ましく、0.5〜10重量%含有せしめることが特に好ましい。
【0021】本発明化粧料には、上記成分の他に、通常の化粧料に用いられる成分、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、それ以上のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、それ以上のポリプロピレングリコール類、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等のブチレングリコール類、グリセリン、ジグリセリン、それ以上のポリグリセリン類、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール類、グリセリン類のエチレンオキシド(以下、EOと略記)、プロピレンオキシド(以下、POと略記)付加物、糖アルコール類のEO、PO付加物、ガラクトース、グルコース、フルクトース等の単糖類とそのEO、PO付加物、マルトース、ラクトース等の多糖類とそのEO、PO付加物などの多価アルコール;流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィン等の炭化水素、オリーブ油、ホホバ油、月見草油、ヤシ油、牛脂等の天然油、イソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールなどのエステル油、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン油、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸などの油性成分;POEアルキルエーテル、POE分岐アルキルエーテル、POEソルビタンエステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、ソルビタンエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの界面活性剤;ビタミン類、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、賦活剤、紫外線吸収剤、グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤、ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤、メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤、アルキルアミンオキサイド、脂肪酸アルカノールアミド等の増泡剤、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコールジステアレート、エタノール等の粘度調整剤、パール化剤、香料、色素、酸化防止剤などの薬剤;モンモリナイト、サポナイト、ヘクライト、ビーガム、クニビア、スメクトンなどの水膨潤性粘土鉱物;カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、プルラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成高分子などの他の高分子;酸化チタン、カオリン、マイカ、セリサイト、亜鉛華、タルク等の体質顔料、ポリメチルメタクリル酸、ナイロンパウダー等の高分子粉体などの顔料等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0022】本発明化粧料は、通常の方法により製造することができ、その剤型は液体状、クリーム状、固型状、粉末状等任意の剤型とすることができるが、特に液体状又はクリーム状とすることが好ましい。
【0023】
【発明の効果】本発明化粧料は、汗や水洗等により損なわれにくい、優れた保湿効果を有し、皮膚及び毛髪に対して柔軟で、べとつかず、しっとりとした良好な感触を与えるものであり、特に洗い流して用いるタイプのリンス、ボディリンスとして好適である。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】参考例1反応器に水2lを入れ、撹拌しながら60℃まで昇温し、リン酸デンプン(リン酸モノエステル化度0.06)50gを徐々に添加し溶解させた。次に反応系を60℃に保ちながら、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド17.0g(0.11モル:リン酸デンプンのリン酸基に対して7倍モル)を添加した後、60℃で15時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、これにエタノール2lを加え、反応生成物を沈澱させた。得られた粗生成物を1.6lの水に再溶解し、これにエタノール2lを加え反応生成物を再沈させ、得られた沈澱を少量のエタノールで数回洗浄した後、減圧下で乾燥し、デンプンのポリ〔3−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピルホスフェート〕(化合物1とする)を27g得た。本化合物の1H−NMRより、本化合物にはグルコース残基約15個当たり1個の3−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピルホスフェート基が結合していた。
【0026】参考例2反応器に水2lを入れ、撹拌しながら60℃まで昇温し、リン酸デンプン(リン酸モノエステル化度0.10)50gを徐々に添加し溶解させた。次に反応系を60℃に保ちながら、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド2.2g(0.014モル:リン酸デンプンのリン酸基に対して0.5倍モル)を添加した後、60℃で15時間反応させた。反応終了後、反応液を室温までに冷却し、これにエタノール2lを加え、反応生成物を沈澱させた。得られた粗生成物を1.6lの水に再溶解し、これにエタノール2lを加え反応生成物を再沈させ、得られた沈澱を少量のエタノールで数回洗浄した後、減圧下で乾燥し、デンプンのポリ〔3−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピルホスフェート〕(化合物2とする)を21g得た。本化合物のリン及び窒素含量と1H−NMRより、本化合物にはグルコース残基約30個当たり1個の3−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピルホスフェート基と3個のリン酸基がそれぞれ結合していた。
【0027】参考例3反応器に水2lを入れ、撹拌しながら60℃まで昇温し、リン酸デンプン(リン酸エステル化度0.1)50gを徐々に添加し溶解させた。次に反応系を60℃に保ちながら、グリシジルジメチルドデシルアンモニウムクロライド31.3g(0.13モル:リン酸デンプンのリン酸基に対して5倍モル)を200mlの水に溶解させた溶液を徐々に滴下した後、60℃で15時間反応させた。この後、減圧下で反応溶媒を留去して反応液を濃縮し、更に凍結乾燥した。得られた残渣を500mlのアセトンで3回洗浄した後、水1.5lに溶解させ、これにアセトン1.5lを加え反応生成物を沈澱させた。得られた沈澱を少量のアセトンで洗浄した後、減圧下で乾燥し、デンプンのポリ〔3−(N−ドデシル−N,N−ジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピルホスフェート〕(化合物3とする)を21g得た。本化合物の1H−NMRより、本化合物にはグルコース残基約10個当たり1個の3−(N−ドデシル−N,N−ジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピルホスフェート基が結合していた。
【0028】参考例4反応器に水2lを入れ、撹拌しながら60℃まで昇温し、リン酸デンプン(リン酸モノエステル化度0.06)50gを徐々に添加し溶解させた。次に反応系を60℃に保ちながら、グリシジル−(2−ヒドロキシエチル)−ジメチルアンモニウムクロライド20.2g(0.11モル:リン酸デンプンのリン酸基に対して7倍モル)を添加した後、60℃で15時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、これにエタノール2lを加え、反応生成物を沈澱させた。得られた粗生成物を1.6lの水に再溶解し、これにエタノール2lを加え反応生成物を再沈させ、得られた沈澱を少量のエタノールで数回洗浄した後、減圧下で乾燥し、デンプンのポリ〔2−ヒドロキシ−3−{N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニオ}プロピル〕ホスフェート(化合物4とする)を32g得た。本化合物の1H−NMRより、本化合物にはグルコース残基約16個当たり1個の〔2−ヒドロキシ−3−{N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニオ}プロピル〕ホスフェート基が結合していた。
【0029】参考例5反応器に水2lを入れ、撹拌しながら、60℃まで昇温し、リン酸デンプン(リン酸モノエステル化度0.06)50gを徐々に添加し溶解させた。次に反応系を60℃に保ちながら、グリシジル−ジ(2−ヒドロキシエチル)メチル−アンモニウムクロライド23.3g(0.11モル:リン酸デンプンのリン酸基に対して7倍モル)を添加した後、60℃で15時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、これにエタノール2lを加え、反応生成物を沈澱させた。得られた粗生成物を1.6lの水に再溶解し、これにエタノール2lを加え反応生成物を再沈させ、得られた沈澱を少量のエタノールで数回洗浄した後、減圧下で乾燥し、デンプンのポリ〔2−ヒドロキシ−3−{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアンモニオ}プロピル〕ホスフェート(化合物5とする)を25g得た。本化合物の1H−NMRより、本化合物にはグルコース残基約15個当たり1個の〔2−ヒドロキシ−3−{N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアンモニオ}プロピル〕ホスフェート基が結合していた。
【0030】参考例6反応器に水2lを入れ、撹拌しながら、60℃まで昇温し、リン酸デンプン(リン酸モノエステル化度0.10)50gを徐々に添加し溶解させた。次に反応系を60℃に保ちながら、グリシジル−(2−ヒドロキシエチル)−ジメチルアンモニウムクロライド2.5g(0.014モル:リン酸デンプンのリン酸基に対して0.5倍モル)を添加した後、60℃で15時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、これにエタノール2lを加え、反応生成物を沈澱させた。得られた粗生成物を1.6lの水に再溶解し、これにエタノール2lを加え反応生成物を再沈させ、得られた沈澱を少量のエタノールで数回洗浄した後、減圧下で乾燥し、デンプンのポリ〔2−ヒドロキシ−3−{N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−メチルアンモニオ}プロピル〕ホスフェート(化合物6とする)を29g得た。本化合物のリン及び窒素含量と1H−NMRより、本化合物にはグルコース残基約30個当たり1個の〔2−ヒドロキシ−3−{N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニオ}プロピル〕ホスフェート基と3個のリン酸基がそれぞれ結合していた。
【0031】実施例1下記表1に示す組成のヘアリンス組成物を調製し、今までにコールドパーマ、ブリーチ等の美容処理を受けたことのない日本人女性パネラー10人に、シャンプー後の毛髪に2g塗布してなじませたのち、40℃の流水ですすぎを行い、タオルドライ後ドライヤーで乾燥し、その性能を評価してもらった。結果を平均して表1に示す。なお評価基準は以下のとおりであった。
(評価基準)
(1)柔軟性◎:非常に柔らかい。
○:柔らかい。
△:硬いとも、柔らかいともいえない。
×:硬い。
(2)べとつき感◎:べとつかず使用感が良好である。
○:べとつかない。
△:どちらとも言えない。
×:べとつく。
(3)しっとり感◎:非常にしっとりする。
○:しっとりする。
△:どちらともいえない。
×:しっとりしない。
【0032】
【表1】


【0033】表1から明らかなように本発明のヘアリンスはべとつき感がない、柔軟性及びしっとり感にすぐれるものであった。
【0034】実施例2下記に示す組成の、ヘアトリートメントを調製した。
(重量%)
(1) 2−ドデシルヘキサデシルトリメチルア ンモニウムクロリド 2(2) ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド 2(3) 化合物2 5(4) ステアリルアルコール 5(5) ラノリン 3(6) 流動パラフィン 3(7) ポリペプタイド (コラーゲン加水分解物) 5(8) ヒドロキシエチルセルロース (1%水溶液粘度8,000cp) 0.5(9) ポリエチレン(5)オレイルエーテル 0.5(10)メチルパラベン 0.2(11)香料 0.4(12)水 バランス得られた本発明のヘアトリートメントはべとつき感がない一方、柔軟性及びしっとり感のある、使用感の良好なものであった。
【0035】実施例3以下に示す組成の、ボディトリートメントを調製した。
(重量%)
(1) 2−ヘキサデシルリン酸アルギニン塩 1(2) 2−エチルヘキサン酸ジグリセライド 20(3) 2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 20(4) 化合物4 5(5) N−トリス(ヒドロキシメチル)−イソステ アリン酸アミド 3(6) オリーブ油 3(7) スクワラン 3(8) ソルビトール 10(9) ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10(10)香料、色素 適量(11)水 バランス得られた本発明のボディトリートメントはべとつき感がない一方、しっとり感のある、使用感の良好なものであった。また、上記感触は水洗い後でもほとんど損なわれることはなかった。
【0036】実施例4以下に示す組成の、パック化粧料を調製した。
(重量%)
(1) ポリビニルアルコール*1 12(2) ポリエチレングリコール4000 2(3) ポリオキシエチレンメチルグルコシド (20EO付加物)*2 3(4) 化合物5 5(5) スクワラン 3(6) エタノール 7.7(7) 香料 0.5(8) 防腐剤 適量(9) モノステアリン酸ソルビタン*3 0.5(10)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン (20EO付加物)*4 0.2(11)水 バランス*1 ゴーセノールEG−30:日本合成化学工業(株)製*2 グルカムE−20:アマコールコーポレーション製*3 レオドールSPS10:花王(株)製*4 レオドールTWS120:花王(株)製得られた本発明のパック化粧料は、べとつき感のない一方、柔軟性及びしっとり感のある、使用感の良好なものであった。また、上記感触は水洗後にも持続していた。
【0037】実施例5以下に示す組成の化粧水を調製した。
(重量%)
(1) 乳酸 0.03(2) 乳酸ナトリウム 0.84(3) 化合物1 5(4) グリセリン 2(5) ポリオキシエチレンオレイルエーテル (20EO付加物) 1(6) エタノール 10(7) 香料 0.3(8) 水 バランス得られた本発明の化粧水は、べとつき感のない一方、しっとり感のある、使用感の良好なものであった。
【0038】実施例6下記に示す組成の粉末入浴剤を調製した。
(重量%)
(1) 炭酸水素ナトリウム 67(2) デキストリン 30(3) 化合物1 2(4) 香料 0.5(5) 色素 0.5得られた本発明の粉末入浴剤は、べとつき感のない、しっとり感の良好なものであった。
【0039】実施例7以下に示す組成の固型入浴剤を調製した。
(重量%)
(1) 炭酸水素ナトリウム 37(2) コハク酸 36(3) デキストリン 25(4) 化合物2 1.5(5) 香料 0.5得られた本発明の固型入浴剤は、べとつき感のない、しっとり感の良好なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1)で表わされるホスホベタイン化合物を含有することを特徴とする化粧料。
【化1】


【公開番号】特開平5−132410
【公開日】平成5年(1993)5月28日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−294531
【出願日】平成3年(1991)11月11日
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)