説明

化粧料

次の3成分を含有する化粧料である。
(a)式(1)


[式中Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はフッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシ置換アルキル基等の有機基、Rは基−Q−O−X(Qはエーテル又はエステルを有してもよいC〜C20の二価炭化水素基、Xは水酸基を有する多価アルコール置換炭化水素基)、Rは基


(1≦n≦5、0≦h≦500)のオルガノシロキサン基を示し、a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5を示す]で示される多価アルコール変性シリコーン、
(b)リン脂質、
(c)水
この化粧料は、べたつきがなく、使用後のしっとりとした保湿感に優れ、且つ、経時安定性が良好なものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、べたつきがなく、使用後のしっとりとした保湿感に優れ、且つ、経時安定性が良好な化粧料に関するものである。
【背景技術】
従来から化粧料成分として、さっぱりとして油性感がなく、化粧もちを向上させるシリコーン油が多く使用されている。しかし、シリコーン油は、肌なじみの悪さや保湿性に劣る、きしむなどの欠点が指摘されている。そこで、それらを解決する為に、パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンや、ポリオキシアルキレン基を導入したオルガノポリシロキサンなど様々な変性シリコーンが上市されて応用されている(例えば、特許第2754108号、特開平7−277923号、特開平7−33622号等)。
しかしながら、パーフルオロアルキル変性オルガノポリシロキサンでは、その効果が充分なものではなく、また、ポリオキシアルキレン基を導入したオルガノポリシロキサンは、水の存在下において加水分解によりpHが低下するといった経時での安定性に問題がある等、これらのシリコーン化合物でも肌なじみの悪さや保湿性、経時安定性に関し未だ満足し得るものではなく、さらなる開発が求められていた。
最近、肌への付着性が優れ、べとつかず、さっぱりした使用感を有する油剤として、多価アルコール変性シリコーンが報告されている(特開2002−179798号)。
しかし、この油剤を使用した場合であっても、化粧料としての機能、性質が十分でないことがあり、より優れた化粧料の提供が求められていた。
【発明の開示】
本発明者は、上記実状において鋭意検討を重ねた結果、特定の多価アルコール変性シリコーン化合物と、リン脂質と水とを組み合わせて用いることにより、べたつきがなく、使用後のしっとりとした保湿感に優れ、且つ、経時安定性が良好な化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(c):
(a)下記一般式(1)

[式中Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はフッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシ置換アルキル基及び下記一般式(2)

(ここで、Rは炭素数4〜30の炭化水素基又はR−(CO)−(ここでRは炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは0≦m≦15の整数、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数を示す)
で表される有機基から選択される有機基を、
は下記一般式(3)

(式中、Qはエーテル結合又はエステル結合の少なくとも一方を含有してもよい炭素数3〜20の二価の炭化水素基を示し、Xは水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール置換炭化水素基を示す)
を、
は下記一般式(4)

(式中、Rは上記と同様であり、nは1≦n≦5の整数、hは0≦h≦500の整数を示す)
で表されるオルガノシロキサン基を示し、
a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5を示す]
で示される多価アルコール変性シリコーン、
(b)リン脂質、
(c)水
を含有することを特徴とする化粧料である。
また本発明は、成分(b)が脂質二分子膜を形成している上記化粧料である。
更に本発明は、成分(d)として、コレステロール及び/またはフィトステロールを含有し、これが成分(b)とともに複合化脂質二分子膜を形成している上記化粧料である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明に使用される成分(a)の多価アルコール変性シリコーンは、下記の組成式(1)で示されるものである。

(式中、R、R、R、a、bおよびcは前記した意味を有する)
この多価アルコール変性シリコーン(1)において、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、トリフロロプロピル基、ヘプタデカフロロデシル基などのフッ素置換アルキル基、3−アミノプロピル、3−〔(2−アミノエチル)アミノ〕プロピル基等のアミノ置換アルキル基、3−カルボキシプロピル基等のカルボキシ置換アルキル基等が挙げられる。
このRの一部は、下記一般式(2)

(式中、R、m、d、eは前記した意味を有する)
上記式(2)の有機基は、アルコール残基又はアルケニル付加型残基で、m=0のとき、下記基(2’)

となる。
この基において、d=0、e=0であれば、この基は、炭素数4〜30のアルコキシ基、例えばブトキシ基などの低級アルコキシ基からセチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール等のオレイロキシ基、ステアロキシ基などの高級アルコキシ基あるいは酢酸、乳酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸残基を示すことになる。
一方、前記基(2’)において、d>1、e>1であれば、この基は、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(末端は水酸基)のアルコール残基を示すこととなる。
更に、前記基(2’)において、m≧1、d=e=0の場合は、特にmが3、5あるいは11が好ましく、この場合はアリルエーテル、ペンテニルエーテル、ウンデセニルエーテル残基となり、R4の置換基によって例えばアリルステアリルエーテル残基、ペンテニルベヘニルエーテル残基、ウンデセニルオレイルエーテル残基などとなる。
更にまた、基(2’)において、d若しくはeが0で無い場合は、ポリオキシアルキレンを介してアルコキシ基やエステル基が存在することとなる。
d若しくはeが0で無い場合は、d、eが何であれ、m=0のときは耐加水分解性に劣る場合があり、また、mが15以上であると油臭が強い為、3〜5であることが望ましい。
前記の多価アルコール変性シリコーン(1)においては、特に、R全体の50%以上がメチル基であることが望ましく、100%がメチル基であっても良い。
また、上記の基Rは、下記一般式(3)

(式中、QおよびXは、前記した意味を有する)
この基(3)で、Qとしては、−(CH−、−(CH−、−CHCH(CH)CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−CH(CHCHCH)−、−CH−CH(CHCH)−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−O−(CH−、−(CH−O−CHCH(CH)−、−CH−CH(CH)−COO(CH−等を例示することができる。
また、Xである水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール置換炭化水素基は、グリセリン誘導体または糖誘導体から選択される炭化水素基である。
上記多価アルコール置換炭化水素基を導くのに用いられるグリセリンの例としては、下記一般式(A)〜(D)に示す化合物が挙げられる。


(式中、l、p及びqは1〜20の整数であり、Qは前記した意味を有する)
上記化合物中の水酸基の一部は、アルコキシ基あるいはエステル基で置換されていても良い。
一方、上記多価アルコール置換炭化水素基を導くのに用いられる糖誘導体としては、単糖、オリゴ糖若しくは多糖から誘導される糖残基が挙げられ、例えばグルコシル基、マンノシル基、ガラクトシル基、リボシル基、アラビノシル基、キシロシル基、フルクトシル基等の単糖基、マルトシル、セロビオシル基、ラクトシル基、マルトトリオシル基等のオリゴ糖基、セルロース、でんぷんなどの多糖基が例示される。このうち、好ましい基としては、単糖基及びオリゴ糖基が挙げられる。
更に、上記の基Rは、下記一般式(4)

(式中、Rは上記と同様であり、nは1≦n≦5の整数、hは0≦h≦500、好ましくは1≦h≦50の整数を示す)
で表される基である。
なお、本発明の多価アルコール変性シリコーン(1)において、平均組成式中のaは1.0〜2.5、好ましくは1.2〜2.3である。aが1.0より小さいと油剤との相溶性に劣り、2.5より大きいと親水性に乏しくなる。bは0.001〜1.5、好ましくは0.05〜1.0である。bが0.001より小さいと親水性に乏しくなり、1.5より大きいと親水性が高くなりすぎる。cは0.001〜1.5、好ましくは0.05〜1.0である。cが0.001より小さいとシリコーン油との相溶性に劣り、1.5より大きくなると親水性に乏しくなる。
また、本発明で用いられる多価アルコール変性シリコーン(1)の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、500〜200000が好ましく、さらに好ましくは1000〜100000である。この多価アルコール変性シリコーン(1)は、必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。
本発明の多価アルコール変性シリコーン(1)は、基本的に特開2002−179798号に従って製造することにより入手できる。すなわち、多価アルコール変性シリコーン(1)は、上記公開特許公報の実施例中に示された方法に従い、容易に製造することができる。
また、多価アルコール変性シリコーン(1)の市販品としては、例えばKF−6100、KF−6104、KF−6105(信越化学工業社製)等が挙げられる。
以上説明した本発明の多価アルコール変性シリコーン(1)のうち、特に好ましいものとしては、Rが炭素数1〜30のアルキル基で、Rが上記一般式(D)で表されるものである。また、平均組成式で表した場合は、次の式(5)で表されるものであり、前記公開特許公報では、シロキサン化合物1および2として示されたものがこれに含まれる。

[上記組成式中、「M」はMeSiO基又はMeSi基(ここで、Meはメチル基を示す)を、「D」はMeSiO基を意味し、D中のメチル基をいずれかの置換基によって 変性した単位をDと表記する]
上記式(5)中、Wは1〜100、Xは0〜30であり、Yは1〜30、Zは1〜30が好ましい。よりこの好ましくは、Wは1〜70、Xは0〜20、Yは1〜10、Zは1〜10である。また、R*1は炭素数4〜30のアルキル基が好ましい。R*2は上記一般式(D)で示したものであり、R*3は前記一般式(4)で示されるものである。この式(4)の基においては、hは1〜10の整数が好ましく、nは1〜5の整数が好ましい。
一方、本発明化粧料の成分(b)であるリン脂質としては、種々のリン脂質、具体的には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質等を用いることができる。また、これらに代えてこれらを含有する組成物、すなわち、大豆レシチン、卵黄レシチンまたはこれらの水素添加物を用いることができる。これらのリン脂質は、必要に応じて一種又は二種以上を適宜選択して用いても良い。これらのリン脂質は、主に、油分、粉体の乳化、分散及び使用後の保湿感を与える目的で含有される。
本発明に用いられるリン脂質は、経時安定性の観点から、リン脂質中のホスファチジルコリン(以下、「PC」と略す)含有量が70質量%(以下、単に「%」と記す)以上であることが好ましく、また、酸性リン脂質を含有することがより好ましい。酸性リン脂質としては、具体的には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等が挙げられる。これらは、単独で配合しても、大豆レシチン等の酸性リン脂質を含むリン脂質を配合することによってもその効果を得ることができる。リン脂質中のPCと酸性リン脂質の質量比は、特に限定されないが、PCと酸性リン脂質の比で、99.9:0.1〜95:5であることが好ましい。
更に、本発明の化粧料においては、該リン脂質を用いて、脂質二分子膜もしくは脂質二分子膜により閉鎖されている小胞体(リポソーム)を形成させることによって、経時安定性及び使用後の保湿感をより向上することができる。
脂質二分子膜を形成する方法としては、通常公知の方法であれば、特に限定されるものではないが、超音波を用いる方法または加圧下にホモジナイザーを用いる方法等が挙げられる。また、脂質二分子膜による小胞体の粒径は、特に限定されるものではないが、経時安定性の観点から、100〜300nmであることが好ましい。
本発明の化粧料は、成分(a)である多価アルコール変性シリコーンおよび成分(b)であるリン脂質の他、成分(c)として水を配合することにより調製される。
本発明で用いられる成分(a)の含有量は、特に限定されるものではないが、0.01〜20%が好ましく、0.1〜10%がより好ましい。 成分(a)の配合量が上記の範囲より少なすぎると当該成分の効果が得られず、また、多すぎるとべたつきが生じたり、使用性が重くなったりする。
また、成分(b)の含有量は、特に限定されるものではないが、経時安定性及び使用中のべたつきのなさ、使用後の良好な保湿感の観点から0.05〜10%が好ましく、0.1〜5%がより好ましい。
更に、成分(c)の水の含有量は、化粧料の形態によって異なり、特に限定されないが好ましくは10〜99%、より好ましくは、15〜90%である。
本発明の化粧料の調製に当たり、成分(b)を用いて脂質二分子膜を形成させる場合、さらに成分(d)として、コレステロール及び/又はフィトステロールを配合し、成分(b)とともに複合化脂質二分子膜を形成させることができる。成分(b)と成分(d)を組み合わせて使用することにより、該二分子膜の安定性がより向上し、経時安定性及び使用後の良好な保湿感がより顕著なものとなる。
成分(b)と併用する場合の成分(d)の含有量は、特に限定されるものではないが、経時安定性の観点から、リン脂質:コレステロール及び/またはフィトステロールの質量比が1:0.1〜1:1であることが好ましい。
本発明の化粧料の製造方法は特に限定されず、例えば、上述した成分(a)〜(c)(更に、必要に応じて成分(d))を単純に配合して化粧料としても良いし、予め成分(b)及び(c)(更に必要に応じて成分(d))にて調製した脂質二分子膜又は複合化脂質二分子膜を含有する水性成分と、成分(a)並びに油剤等を含有する成分とを乳化又は混合分散させて化粧料としても良い。
本発明の化粧料には、上記各成分の他に、通常化粧料に用いられる成分を本発明の効果を損なわない範囲にて配合することができる。これらの成分としては、例えば、油剤、界面活性剤、水性成分、水溶性高分子、粉体、酸化防止剤、紫外線吸収剤、香料、防腐剤、着色剤、美容剤等が挙げられる。
以上のようにして、水性成分と油性成分を含有する本発明化粧料が調製されるが、その好ましい形態としては、水系可溶化型化粧料、水中油型乳化化粧料、油中水型乳化化粧料等が挙げられる。
また、上記のようにして得られる本発明化粧料の剤形としては、美容液、化粧水、乳液、クリーム、パック、洗顔料、整髪剤、シェービングローション等の基礎化粧料やファンデーション、白粉、頬紅、コンシーラー、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、口紅、日焼け止め料等のメーキャップ化粧料等が挙げられる。
【実施例】
次に実施例および合成例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれによって何ら制約されるものではない。なお、下記組成式においてMeSiO基又は、MeSi基(ここでMeはメチル基を示す)を「M」、MeSiO基を「D」、HMeSiO基を「H」と表記し、M及びD中のいずれかの置換基によって変性した単位をM及びDと表記する。
合成例 1
多価アルコール変性シリコーン1
(1)反応器に、平均組成式MR*11040(ここでR*1=−C1225を示す)で表されるラウリル基含有メチルハイドロジェンポリシロキサン120gを仕込み、これに下記平均組成式(6)に示すオルガノポリシロキサン22gと塩化白金酸0.5質量%のトルエン溶液0.2gの混合物を滴下して室温下で攪拌して分岐ポリシロキサンを得た。

(2)別の反応器に、トリグリセリンモノアリルエーテル15g及びIPA(イソプロピルアルコール)200gと塩化白金酸0.5質量%のIPA溶液を0.3g仕込み、先に合成した分岐ポリシロキサンを溶媒還流下に滴下した。反応物を減圧下で加熱して溶媒を留去することにより、平均組成式MR*11040R*3R*2(ここで、R*2は−CO[CHCH(OH)CHO]H、R*3は下記に示す基)で表される多価アルコール変性シリコーン1を得た。

実施例1〜10及び比較例1〜6
化粧水:
下記表1、表2に示す組成および下記製法により化粧水を調製した。得られた化粧水について、(1)べたつきのなさ、(2)使用後の保湿感、(3)経時安定性の評価項目について下記の方法により評価した。この、結果も併せて表1、表2に示した。
(組成)
【表1】

【表2】

注1:PC含有量が75%で、PC:酸性リン脂質=99.5:0.5(質量比)
注2:KF−96A−6CS(信越化学工業社製)
注3:KF−6100(信越化学工業社製)
注4:KF−6011(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜5を均一に混合し、75℃に加熱する。
B:成分6を75℃に加熱し、Aに添加混合して室温まで冷却する。
C:Bを高圧ホモジナイザーで混合処理する。
D:Cに成分7〜10を添加混合して化粧水を得た。
なお、実施例10については、高圧ホモジナイザー処理を省略した。また、各実施例で得た化粧水は、脂質二重膜のリポソームが形成されていた。
[評価項目1〜2及びその評価方法]
化粧歴10年以上の女性20名をパネルとし、(1)べたつきのなさ、(2)使用後の保湿感、それぞれの評価項目について良いと感じた人数により以下の判定基準Aに従い評価した。
(判定基準A)
良いと感じた人の数 : 評 価
16名以上 : ◎
12〜15名 : ○
8〜11名 : △
7名以下 : ×
[評価項目3及びその評価方法]
経時安定性の評価方法としては、表1及び表2に示す化粧水を調製し、調製直後と、40℃及び5℃で1ヶ月間保存した時の外観変化を目視により判定し、以下の判定基準Bに従い安定性を評価した。
(判定基準B)
化粧水外観 : 評 価
変化なし : ◎
若干変化あり : ○
変化あり : ×
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜10の化粧水は、比較例1〜6の化粧水に比較して、べたつきがなく、使用後のしっとりとした保湿感に優れ、且つ、経時安定性が良好なものであった。
【実施例11】
美容液:
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質(注5) 2.0
2.フィトステロール 1.0
3.スクワラン 2.0
4.グリセリン 10.0
5.精製水 74.5
6.多価アルコール変性シリコーン(注6) 5.0
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
8.エタノール 5.0
9.ヒアルロン酸ナトリウム 0.3
注5:PC含有量が90%以上で、PC:酸性リン脂質=99:1(質量比)
注6:KF−6100(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜4を75℃に加熱する。
B:成分5を75℃に加熱する。
C:AにBを添加混合した後、室温に冷却する。
D:Cに成分6〜8,9を順次、添加、混合し、美容液を得た。
実施例11の美容液は、べたつきがなく、使用後のしっとりとした保湿感に優れ、且つ、経時安定性が良好なものであった。また、当該美容液中には、脂質二重膜のリポソームが形成されていた。
【実施例12】
クリーム:
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質(注5) 1.0
2.コレステロール 0.5
3.ジプロピレングリコール 10.0
4.グリセリン 10.0
5.精製水 56.5
6.乳酸ナトリウム 1.0
7.多価アルコール変性シリコーン(注7) 3.0
8.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
9.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5.0
10.メドゥフォーム油 3.0
注7:KF−6105(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜4を75℃に加熱する。
B:成分5、6を75℃に加熱する。
C:AにBを添加して混合した後、室温に冷却する。
D:成分7〜10にCを攪拌しながら徐々に添加混合してクリームを得た。
実施例12のクリームは、べたつきがなく、使用後のしっとりとした保湿感に優れ、且つ、経時安定性が良好なものであった。また、当該クリーム中には、脂質二重膜のリポソームが形成されていた。
【実施例13】
ファンデーション
(成分) (%)
1.水素添加大豆リン脂質(注5) 0.5
2.フィトステロール 0.1
3.スクワラン 1.0
4.グリセリン 2.0
5.1,3−ブチレングリコール 2.0
6.精製水 残 量
7.塩化ナトリウム 1.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
9.エタノール 3.0
10.多価アルコール変性シリコーン(注7) 2.0
11.多価アルコール変性シリコーン(注8) 1.0
12.ジイソステアリン酸ジグリセリル 1.0
13.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3.0
14.トリ2−エチルヘキサンサングリセリル 5.0
15.ロジン酸ペンタエリスリット 0.1
16.パルミチン酸デキストリン 0.5
17.イヌリンステアレート 0.5
18.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1.0
19.シリコーン処理酸化チタン 10.0
20.シリコーン処理ベンガラ 0.3
21.シリコーン処理黄酸化鉄 1.5
22.シリコーン処理黒酸化鉄 0.05
23.シリコーン処理微粒子酸化チタン 2.0
24.ナイロン末 2.0
25.デカメチルシクロペンタシロキサン 18.0
注8:KF−6104(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜5を75℃に加熱する。
B:成分6を75℃に加熱する。
C:AにBを添加混合した後、室温に冷却する。
D:Cに成分7〜9を添加混合する。
E:成分10〜25をロールミルで混合する。
F:DにEを撹拌しながら添加混合し、ファンデーションを得た。
【産業上の利用可能性】
本発明で使用する多価アルコール変性シリコーン化合物は、油剤としての性質を有するものでありながら、肌にべたつきを与えることなく保湿性を付与することが可能であり、また、リン脂質が脂質二重膜を形成する際には、経時的な安定性を良好とすることができるものである。
従って、本発明化粧料は、べたつきがなく、使用後のしっとりとした保湿感に優れ、且つ、経時安定性が良好な、水性成分と油性成分を含有する化粧料として、例えば、水系可溶化型化粧料、水中油型乳化化粧料、油中水型乳化化粧料等として有利に使用することができるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c):
(a)下記一般式(1)

[式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はフッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシ置換アルキル基及び下記一般式(2)

(ここで、Rは炭素数4〜30の炭化水素基又はR−(CO)−(ここでRは炭素数1〜30の炭化水素基を示し、mは0≦m≦15の整数、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数を示す)
で表される有機基から選択される有機基を、
は下記一般式(3)

(式中、Qはエーテル結合又はエステル結合の少なくとも一方を含有してもよい炭素数3〜20の二価の炭化水素基を示し、Xは水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール置換炭化水素基を示す)
を、
は下記一般式(4)

(式中、Rは上記と同様であり、nは1≦n≦5の整数、hは0≦h≦500の整数を示す)
で表されるオルガノシロキサン基を示し、
a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5を示す]
で示される多価アルコール変性シリコーン、
(b)リン脂質、
(c)水
を含有することを特徴とする化粧料
【請求項2】
水系可溶化型化粧料、水中油型乳化化粧料又は油中水型乳化化粧料である請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
成分(b)が脂質二分子膜を形成しているものである請求項1記載の化粧料。
【請求項4】
さらに、成分(d)として、コレステロール及び/またはフィトステロールを含有し、これが成分(b)とともに複合化脂質二分子膜を形成している請求項1または3記載の化粧料。
【請求項5】
脂質二分子膜の平均粒径が100〜300nmである請求項1、3または4の何れかの項に記載の化粧料。

【国際公開番号】WO2004/100916
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506205(P2005−506205)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006582
【国際出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】