説明

化粧方法

【課題】肌の悩みの元となるシミやソバカス等を隠しながら、立体感があると共に自然な仕上がりとなり、化粧持ちがする化粧方法を実現する。
【解決手段】化粧対象者に化粧料を施すための化粧方法であって、前記化粧対象者の正面顔から前記対象者の頬部位を特定するための特定部位を抽出する特定部位抽出手順と、前記特定部位抽出手順によって得られる複数の特定部位に基づき、前記化粧対象者の頬部位を塗布領域として抽出する塗布領域抽出手順と、前記塗布領域抽出手順によって抽出された塗布領域に対応する顔面上の領域に対して化粧料を施す化粧手順とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧対象者にメーキャップ化粧料を施すための化粧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の化粧方法では、メーキャップ化粧料としてのファンデーションは、顔全体に塗布することが通常とされてきた。また、ファンデーションは、シミ、ソバカス、くすみ、クマ、毛穴、にきび、にきび跡等の様々な肌の悩みを隠すための効果的な方法として用いられ、ファンデーションの使用量を多くすることにより、このような肌の悩みを解消することが行われてきた。
【0003】
しかしながら、ファンデーションを顔全体に塗布する場合、肌の悩みを隠すためにファンデーションの使用量を多くすると、顔全体の印象が「のっぺりと厚ぼったく」見えてしまう。そこで、従来から、肌の悩みを隠し、ファンデーションを美しく仕上げるための化粧方法として様々な方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の方法として、例えば肌の悩みがある部分はファンデーションを重ね付けして厚く塗布し、その他の部分は薄く塗布して、ファンデーションの塗布を指やスポンジを使って肌の表面をすべらせながらなじませていく等の方法が提案されているが、このような方法では、立体感のある仕上がりや、自然な仕上がりにはならないという問題があった。また、肌の悩みを隠すためにファンデーションを厚く塗ると、化粧持ちがせず、化粧くずれが起きやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、肌の悩みの元となるシミやソバカス等を隠しながら、立体感があると共に自然な仕上がりとなり、化粧持ちがする化粧方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、化粧対象者に化粧料を施すための化粧方法であって、前記化粧対象者の正面顔から前記対象者の頬部位を特定するための特定部位を抽出する特定部位抽出手順と、前記特定部位抽出手順によって得られる複数の特定部位に基づき、前記化粧対象者の頬部位を塗布領域として抽出する塗布領域抽出手順と、前記塗布領域抽出手順によって抽出された塗布領域に対応する顔面上の領域に対して化粧料を施す化粧手順とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記特定部位抽出手順は、前記正面顔の中央線と、前記正面顔の目頭を通って前記中央線に垂直に交わる垂直線との交点と、前記交点と前記目頭とを結んだ線を3分割し、前記目頭から1/3線上の位置である第1の点と、前記第1の点から、前記中央線に平行に引いた線上であって、前記正面顔の鼻の下と上唇の上端との間の中央の位置である第2の点と、前記正面顔の目尻から前記垂直線に平行に引いた線が髪の生え際と交わる交点と、前記目尻との間の中央の位置である第3の点とを抽出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記塗布領域抽出手順は、前記特定部位抽出手順によって抽出された前記第1の点と前記第2の点とを直線で結んだ第1の線と、前記第1の点と前記第3の点を前記正面顔の下まぶたのふくらみの下の線に沿って円を描くように結んだ曲線である第2の線と、前記第2の点と前記第3の点と頬骨を基準に円を描くように結んだ曲線である第3の線とによって結んだ領域を塗布領域として抽出し、前記塗布領域は、前記正面顔の頬骨の膨らみを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記化粧手順は、前記化粧料を前記顔面上の領域の肌の表面に対して水平方向にすべらせず、垂直方向の動きによってパッティングしながら塗布し、前記肌の表面に前記化粧料を載せることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記化粧手順は、前記化粧料を施した前記顔面上の領域と前記化粧料を施していない領域との境界領域の肌の表面に対して、前記化粧料を水平方向にすべらせてぼやかせることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記パッティングは、前記肌の表面を垂直方向に1mm以上10mm以内で動かす力によって、前記肌の表面に前記化粧料を載せることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記化粧手順は、前記化粧料を指、又はスポンジ、パフ、ブラシを含む化粧用具を用いて前記肌の表面に塗布することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記化粧料は、ファンデーションを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、肌の悩みの元となるシミやソバカス等を隠しながら、立体感があると共に自然な仕上がりとなり、化粧持ちがする化粧方法を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る塗布領域を設定する方法について説明するための図である。
【図2】本実施形態に係る塗布領域に対する化粧方法を説明するための図である。
【図3】本実施形態の化粧方法に用いられる塗布方法と、その比較例の塗布方法を実施したときの調査結果を示す図である。
【図4】本実施形態に係る塗布領域とその比較領域を示す図である。
【図5】本実施形態のパッティング方法を用いて本実施形態に係る塗布領域と、その比較領域とを比較した場合の調査結果を示す図である。
【図6】本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法を施した場合における写真パネルを示す図である。
【図7A】本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法による塗布状態を示す肌表面の拡大画像と時間経過後の拡大画像を示す図(その1)である。
【図7B】本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法による塗布状態を示す肌表面の拡大画像と時間経過後の拡大画像を示す図(その2)である。
【図7C】本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法による塗布状態を示す肌表面の拡大画像と時間経過後の拡大画像を示す図(その3)である。
【図8】本実施形態の化粧方法に用いられる化粧ブラシの正面図である。
【図9】同斜視図である。
【図10】本実施形態の化粧方法に用いられる他の化粧ブラシの正面図である。
【図11】同斜視図である。
【図12】本実施形態の化粧方法に用いられる他の化粧ブラシの正面図である。
【図13A】本実施形態の化粧方法においてパウダリーファンデーションに対するアンケート結果を示す図(その1)である。
【図13B】本実施形態の化粧方法においてパウダリーファンデーションに対するアンケート結果を示す図(その2)である。
【図13C】本実施形態の化粧方法においてパウダリーファンデーションに対するアンケート結果を示す図(その3)である。
【図14A】本実施形態の化粧方法においてリキッドファンデーションに対するアンケート結果を示す図(その1)である。
【図14B】本実施形態の化粧方法においてリキッドファンデーションに対するアンケート結果を示す図(その2)である。
【図14C】本実施形態の化粧方法においてリキッドファンデーションに対するアンケート結果を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明について>
本発明は、例えば化粧対象者の肌の悩みが特に集中する頬の部位にファンデーションを塗布するための塗布領域を設定し、設定した塗布領域にファンデーションを効果的に塗布することにより、肌の悩みの元となるシミやソバカス等を隠しながら、立体感があると共に自然な仕上がりとなり、化粧持ちがする化粧方法を実現する。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
<本実施形態に係る塗布領域>
図1は、本実施形態に係る塗布領域を設定する方法について説明するための図である。
図1に示すように、化粧対象者の正面顔10の塗布領域20を抽出するため、まず第1の点30、第2の点40、及び第3の点50を特定する。
【0019】
具体的には、第1の点30は、化粧対象者の正面顔10の中央線60と、化粧対象者の目頭61を通って中央線60に垂直に交わる垂直線62との第1の交点63と、第1の交点63と目頭61とを結んだ線を3分割し、目頭61から約1/3線上の位置とする。
【0020】
次に、第2の点40は、第1の点30から、中央線60に平行に引いた線上であって、化粧対象者の鼻の下64と上唇の上端65との間の中央の位置とする。
【0021】
次に、第3の点50は、化粧対象者の目尻66から垂直線62に平行に引いた線67が髪の生え際と交わる第2の交点68と、目尻66との間の中央の位置とする。
【0022】
次に、このようにして特定した第1の点30〜第3の点50を用いて塗布領域20を抽出する。具体的には、塗布領域20は、第1の点30と第2の点40とを直線で結んだ第1の線70と、第1の点30と第3の点50を化粧対象者の下まぶたのふくらみの下の線に沿って円を描くように結んだ曲線である第2の線80と、第2の点40と第3の点50と頬骨を基準に円を描くように結んだ曲線である第3の線90とを結んだ領域とする。
【0023】
なお、このように抽出された塗布領域20は、化粧対象者10の頬骨の膨らみを含むものとする。
【0024】
上述のように抽出した塗布領域20は、様々なアンケート調査の結果、一般的に化粧対象者の顔面において、シミ、ソバカス、くすみ、クマ、毛穴、にきび、にきび跡等の様々な肌の悩みが集中している部分である。したがって、化粧対象者の塗布領域20にファンデーション等の化粧料をしっかりと塗布することで、シミ、ソバカス、くすみ等の肌の悩みを隠して、肌の悩みを解消することが可能となる。なお、塗布領域20に対する化粧方法については後述する。
【0025】
また、塗布領域20は、化粧対象者の頬骨の膨らみを含み、例えば化粧対象者の顔を横から見たときに顔の頬の部分において最も高く、一番突き出ている部分である。したがって、化粧対象者の塗布領域20と、それ以外の領域に対して、後述する化粧方法でファンデーションを塗布することにより、立体感がある仕上がりを得ることが可能となる。
【0026】
なお、上述のように抽出する塗布領域20は、例えばビューティーサロン等において美容技術者が、化粧対象者の正面顔にペンシル等をあてながら、大体の目安、感覚によって設定しても良く、例えばデジタルカメラ等で化粧対象者の正面顔を撮影し、撮影画面に基づいて塗布領域を設定しても良い。
【0027】
<本実施形態に係る塗布領域20に対する化粧方法>
次に、図2を用いて、本実施形態に係る塗布領域20に対する化粧方法について説明する。図2は、本実施形態に係る塗布領域に対する化粧方法を説明するための図である。
【0028】
図2に示すように、上述の方法で抽出した塗布領域20に対応する化粧対象者の顔面上にファンデーションを塗布する場合には、片側ずつ化粧対象者の顔面上の塗布領域20A、塗布領域20Bに対して、以下に示す方法により化粧料としてのファンデーションを塗布していく。なお、ファンデーションは、例えばパウダリーファンデーションであっても良く、リキッドファンデーションであっても良い。
【0029】
具体的には、化粧対象者の塗布領域20A、塗布領域20Bに対応する肌の表面に対して、化粧料としてのファンデーションを、水平方向にすべらせず、例えばトントンと垂直方向の動きによるパッティングにより、肌の表面にファンデーションを載せるように塗布していく。
【0030】
このとき、垂直方向の動きによるパッティングは、ファンデーションを載せる部位の中心部分の肌の表面を、例えば垂直方向に約1mm以上10mm以内動かす程度、肌の表面を押す圧力によって、肌の表面にファンデーションを載せるようにする。ここで、例えば肌の表面が1mm未満しか動かないような弱いパッティング圧力の場合には、ファンデーションと肌の表面との接触が悪いため、美しく仕上げることが難しい。また、例えば肌の表面を10mm越す程動かす程度のパッティング圧力によって、肌の表面にファンデーションを載せる場合にも、ファンデーションと肌の表面との接触が悪くなり、美しく仕上げることが難しい。
【0031】
上述した動きを繰り返しながら、塗布領域20A及び塗布領域20Bに対して、肌の悩みとなる部分をしっかりとカバーするだけのファンデーションの量を使用して、シミやソバカス等の肌の悩みを隠しながらファンデーションを塗布していく。
【0032】
また、上述した方法によるファンデーションの塗布は、指、又はスポンジ、パフ、ブラシを含む化粧用具、又は身近にある布やコットン等の肌上がりの良い塗布具を用いることにより、ファンデーションを肌の表面に塗布する。なお、化粧用具のうち、ブラシでファンデーションを塗布する場合には、後述する専用の化粧ブラシを用いることで肌の表面にファンデーションを均一に効果的に載せることが可能となる。
【0033】
更に、化粧対象者のファンデーションを施した塗布領域20と、ファンデーションを施していない領域との境界領域の肌の表面に対しては、ファンデーションを水平方向に薄くすべらせるように塗布してぼかせると良い。
【0034】
これにより、化粧対象者の塗布領域20と、ファンデーションを施していない領域との境界領域をぼかせ、ファンデーションを肌によくなじませる。また、化粧対象者の塗布領域20以外の他の領域に対しては、ファンデーションを薄くすべらすようになじませながらファンデーションを塗布すると良い。
【0035】
上述した塗布方法により、立体感があると共に自然な仕上がりとなり、化粧持ちがする化粧方法を実現することが可能となる。
【0036】
<本実施形態に係る化粧方法と比較例についての調査結果>
次に、図3を用いて、本実施形態の化粧方法に用いられるファンデーション塗布方法と、その比較例1〜4の塗布方法を実施したときの調査結果について説明する。図3は、本実施形態の化粧方法に用いられる塗布方法と、その比較例1〜4の塗布方法を実施したときの調査結果を示している。
【0037】
図3に示すように、本調査における実施例1は、塗布方法1の方法でファンデーションを塗布したものであり、比較例1〜4は、塗布方法2〜5でファンデーションを塗布したものである。
【0038】
具体的には、塗布方法1は、上述した本実施形態の垂直方向の動きによるパッティング方法によって塗布領域20にファンデーションを塗布し、それ以外の領域には、例えばファンデーションを薄くすべらせてなじませながら塗布する方法等である。
【0039】
また、塗布方法2は、本実施形態のパッティング方法によって、肌の悩みをしっかりとカバーするように顔全体に均一に塗布する方法であり、塗布方法3は、従来における例えばファンデーションを肌の表面にすべらせてなじませながら塗布する塗布方法により、悩みをしっかりとカバーするように顔全体に均一に塗布する方法である。
【0040】
また、塗布方法4は、本実施形態のパッティング方法によって、全体的に薄く顔全体に均一に塗布する方法であり、塗布方法5は、従来の塗布方法により、全体的に薄く顔全体に均一に塗布する方法である。
【0041】
なお、本調査は、美容の専門パネル5名によって、上述した実施例1及び比較例1〜4に対して、「悩みカバーの程度」、「拡大して観察したときの均一さ」、「顔全体の均一な仕上がり」、「顔全体の自然な仕上がり」、「顔全体の透明感のある仕上がり」、「顔全体のつやのある仕上がり」、「顔全体の立体感」、「顔全体の美しさ」についてそれぞれ評価及び総合評価を行ったものである。また、図3は、各質問に対して評価段階を、非常に良い場合は「◎」、良い場合は「○」、あまり良くない場合は「△」、良くない場合は「×」として、最も数の多かった評価を示したものである。
【0042】
図3に示す評価結果から、本実施形態に係る塗布方法1は、どの項目に対しても評価が非常に良かったことが分かる。
【0043】
一方、比較例1〜4の塗布方法2〜5に対する評価を見ると、「悩みカバーの程度」は、従来の塗布方法で悩みがしっかりとカバーできるように塗布している塗布方法3の評価は良い「○」となっているが、全体的に薄く塗布するだけの塗布方法4及び塗布方法5の評価はあまり良くない「△」であった。
【0044】
また、「拡大して観察したときの均一さ」は、本実施形態のパッティング方法を用いた塗布方法2及び塗布方法4の評価が非常に良い「◎」及び良い「○」であったが、従来の塗布方法を用いた塗布方法3及び塗布方法5の評価はあまり良くない「△」であった。同様に、「顔全体の均一な仕上がり」についても、従来の塗布方法を用いた塗布方法3及び塗布方法5の評価はあまり良くない「△」であり、従来の塗布方法は、ファンデーションが肌表面に対して均一に付いていないことが分かる。
【0045】
また、「顔全体の自然な仕上がり」について、本実施形態のパッティング方法を用いて悩みがしっかりとカバーできるように顔全体に均一に塗布する塗布方法2の評価は良くない「×」であり、顔全体の自然な仕上がりには、本実施形態のように塗布領域と塗布領域以外に対してそれぞれのファンデーション塗布方法を用いる必要があることが分かる。
【0046】
また、同様に「顔全体の透明感のある仕上がり」についても、塗布方法2と塗布方法3の評価は良くない「×」であり、顔全体の透明感のある仕上がりのためには、顔全体に対して均一に悩みがしっかりとカバーできるように塗布するのは良くないことが分かる。
【0047】
また、塗布方法2〜5は、特に「顔全体の立体感」についての評価がいずれも良くない「×」であり、本実施形態のように塗布領域20、それ以外の領域に対するそれぞれのファンデーション塗布方法によって立体感のある仕上がりが実現されていることが分かる。
【0048】
<本実施形態に係る塗布領域と比較例についての顔全体の調査結果>
また、図4及び図5を用いて、ファンデーションの塗布領域を比較した場合の調査結果について説明する。図4は、本実施形態に係る塗布領域とその比較領域を示している。また、図5は、本実施形態のパッティング方法を用いて塗布した場合の本実施形態に係る塗布領域と、その比較領域とを比較した場合の調査結果を示している。
【0049】
図5に示すように、本調査における実施例1〜4は、ファンデーションを塗布する領域を塗布領域1〜4としたものであり、比較例5〜9は、塗布領域5〜9としたものである。なお、実施例1〜4とその比較例5〜9のファンデーションの塗布方法は、本実施形態のパッティング方法によるものである。
【0050】
具体的には、図4(A)に示す塗布領域1は、本実施形態に係る塗布領域20を示しており、図4(B)に示す塗布領域2は、第1の点30と第2の点40の中間点を第4の点91として、第2の点40の代わりに第1の点30と、第4の点91と、第3の点50をそれぞれ上述した方法で結んだ領域である。
【0051】
また、図4(C)に示す塗布領域3は、塗布領域20を全体的に8割程度縮小した領域であり、図4(D)に示す塗布領域4は、塗布領域20に加えて、顔全体をより薄く塗布したものである。
【0052】
また、図4(E)に示す塗布領域5は、塗布領域20に鼻筋を含めた領域であり、図4(F)に示す塗布領域6は、塗布領域20に目の回りも含めた領域であり、図4(G)に示す塗布領域7は、第3の点50の代わりに、目尻66と第2の交点68とを結んだ線67を三等分し、目尻66から2/3等分した位置を第5の点92として、第1の点30と第2の点40と第5の点92とを上述した方法で結んだ領域である。
【0053】
また、図4(H)に示す塗布領域は、塗布領域20に加えて、第2の点40と第3の点50を、円を描くように結ぶのではなく、第3の点50を通り中央線60と平行となる直線を引き、第2の点40を通り垂直線62と平行となる直線を引き、それぞれの直線が交わる交点を交点93として、第1の点30と、第2の点40、第1の点30と、第3の点50をそれぞれ上述した方法で結び、第2の点40と交点93、第3の点50と交点93とを直線で結んだ領域である。また、図4(I)に示す塗布領域9は、塗布領域20に加えて、更に頬全体を含む領域である。
【0054】
図5に示す調査結果は、美容の専門パネル5名によって、上述した塗布領域1〜9に対して「悩みカバーの程度」、「拡大して観察したときの均一さ」、「顔全体の均一な仕上がり」、「顔全体の自然な仕上がり」、「顔全体の透明感のある仕上がり」、「顔全体のつやのある仕上がり」、「顔全体の立体感」、「顔全体の美しさ」についてそれぞれ評価及び総合評価を行ったものである。また、各質問に対して評価段階を、非常に良い場合は「◎」、良い場合は「○」、あまり良くない場合は「△」、良くない場合は「×」として、最も数の多かった評価を示したものである。
【0055】
図5に示す評価結果から、本実施形態の塗布領域1を塗布した実施例1及び、本実施形態の塗布領域を本実施形態のパッティング方法により塗布し、それ以外の顔全体を薄く塗布した実施例4が、どの項目に対しても評価が高かったことが分かる。
【0056】
一方、その他の塗布領域に対する評価を見ると、まず「悩みカバーの程度」について、塗布領域2及び塗布領域3の評価が良い「○」であり、塗布領域2及び塗布領域3以外のその他の塗布領域に対する評価が非常に良い「◎」である。したがって、塗布領域2の実施例2及び塗布領域3の実施例3では、シミやソバカス等の肌の悩みをしっかりとカバーしきれていない部分があることが分かる。
【0057】
また、「顔全体の自然な仕上がり」について塗布領域5の評価があまり良くない「△」であり、塗布領域6〜9の評価が良くない「×」であることから、本実施形態のパッティング方法により本実施形態の塗布領域1を越えた範囲に対してファンデーションを塗布すると、顔全体の自然な仕上がりを実現できていないことが分かる。
【0058】
また、同様に、「顔全体の透明感のある仕上がり」についても塗布領域5〜7の評価があまり良くない「△」であり、塗布領域8〜9の評価が良くない「×」であることから、頬の塗布領域の幅方向の範囲が広がるにつれて顔全体の透明感のある仕上がりが実現できないことが分かる。
【0059】
また、塗布領域5〜9は、「顔全体の立体感」についての評価がいずれも良くない「×」であり、塗布領域1〜4の評価がいずれも非常に良い「◎」であることから、本実施形態の頬骨を含む塗布領域1を越えた範囲に対して、本実施形態のパッティング方法によりファンデーションを塗布すると、顔全体に立体感がない仕上がりとなってしまうことが分かる。
【0060】
上述したように、本実施形態の塗布領域をパッティング方法によって塗布し、それ以外の領域に対しては例えば薄くファンデーションを塗布することで、肌の悩みの元となるシミやソバカス等を隠しながら、立体感があると共に自然な仕上がりとなる化粧方法を実現できることが分かる。
【0061】
<従来の化粧方法と本実施形態に係る化粧方法を施した写真パネル>
次に、図6を用いて、本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法を施した場合における写真パネルについて説明する。図6は、本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法を施した場合における写真パネルを示している。
【0062】
具体的には、図6(A)は、上述した図3の比較例3に示す従来の方法によりファンデーションを塗布したときの写真パネルであり、図6(B)は、上述した図5の実施例4に示す本実施形態のパッティング方法により塗布領域20を塗布し、それ以外の領域を薄く塗布したときの写真パネルであり、図6(C)は、上述した図3の比較例1に示す本実施形態のパッティング方法により顔全体にファンデーションを塗布したときの写真パネルである。
【0063】
図6(A)の従来の方法の場合、化粧対象者の目の下のクマが残っており、顔全体に透明感がない仕上がりとなっており、また顔全体に立体感がない。
【0064】
図6(B)の本実施形態の方法の場合は、図6(C)の方法と比べて、顔全体が自然な仕上がりとなっており、顔全体の透明感のある仕上がりとなっており、更に立体感が出ていることが分かる。
【0065】
<本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法による塗布状態を示す肌表面の拡大画像と時間経過後の拡大画像>
次に、図7を用いて、本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法による肌表面の塗布状態の違いと、時間が経過したときの塗布状態(化粧持ち)の違いについて説明する。図7は、本実施形態に係る化粧方法と従来の化粧方法による塗布状態を示す肌表面の拡大画像とそれぞれの時間経過後の拡大画像を示している。なお、図7は、CCDカメラ式顕微鏡による肌表面の拡大画像である。
【0066】
具体的には、図7A〜図7Cの(A)は、本実施形態に係るパッティング方法により塗布領域にファンデーションを施したときの肌表面の拡大画像であり、図7A〜図7Cの(B)は、同じ領域に対して従来の方法により肌の表面をすべらせてなじませながらファンデーションを施したときの肌表面の拡大画像である。
【0067】
また、図7A及び図7Bは、ファンデーションを塗布した直後の塗布状態と、温度34℃、湿度80%の高温高湿度環境において90分間、時間経過した後の肌表面の塗布状態を示している。図7Cは、ファンデーションを塗布した直後の塗布状態と、温度20℃、湿度40%の低温低湿度環境において90分間、時間経過した後の肌表面の塗布状態を示している。
【0068】
まず、図7A(A)の直後と、図7A(B)の直後の拡大画像を比較する。図7A(B)の従来の化粧方法では、例えば太線Dに示すように肌のシミがカバーしきれず、全体的にファンデーションが塗布されている部分と塗布されていない部分とがまだら状となり、ファンデーションの付き方にムラが生じてしまっている。これに対して、図7A(A)の本実施形態に係るパッティング方法では、ファンデーションが肌の表面に均一に付いており、肌のシミをしっかりとカバーしていることが分かる。
【0069】
また、時間経過後の拡大画像を比較すると、図7A(B)の従来の化粧方法では、ファンデーションが剥がれ落ちてファンデーションの下から肌が見えてしまっているが、図7A(A)の本実施形態のパッティング方法では、時間経過後であってもファンデーションが均一に付いたままであり、化粧持ちが良いことが分かる。
【0070】
次に、別の例である図7B(A)の直後と、図7B(B)の直後の拡大画像を比較すると、図7B(B)の化粧方法では、肌表面に白い線が目立ち、肌表面の皮溝にファンデーションが入り込んでしまっているのが分かる。これに対して、図7B(A)の本実施形態のパッティング方法では、肌表面上の白い線は目立たず、肌表面にファンデーションが均一に付いている。また、時間経過後においても、図7B(B)の従来の化粧方法では、ファンデーションが剥がれ落ちてほとんど肌が見えてしまっており、ファンデーションは皮溝にのみ付いているが、図7B(A)の本実施形態のパッティング方法では、ファンデーションが剥がれ落ちている部分は少なく、化粧持ちが良いことが分かる。
【0071】
次に、低温低湿度環境における塗布状態を示す図7Cでは、図7C(A)及び図7C(B)のどちらも塗布直後と時間経過後の拡大画像の状態の変化は少ないが、上述した図7A及び図7Bの例と同様に、図7C(B)の従来の化粧方法よりも、図7C(A)の本実施形態のパッティング方法の方が、ファンデーションが肌の表面に均一に付いていることが分かる。
【0072】
上述したように、本実施形態のパッティング方法では、シミ等の肌の悩みの元をしっかりとカバーして隠し、ファンデーションは肌の表面に均一に付いていること、また時間経過後においても化粧落ちが少なく、化粧持ちが良いことが分かる。
【0073】
<本実施形態の化粧方法に用いられる化粧ブラシ>
次に、図8〜図12を用いて、本実施形態の化粧方法に用いることが可能な化粧ブラシについて説明する。図8は、化粧ブラシの正面図であり、図9は、同斜視図である。また、図10は、他の化粧ブラシの正面図であり、図11は、同斜視図である。また、図12は、本実施形態の化粧方法に用いられる他の化粧ブラシの正面図である。
【0074】
図8〜図12に示す化粧ブラシ100は、上述した本実施形態のパッティング方法において塗布領域20をブラシの毛先の毛先面部で複数回叩くように、もしくは叩きながら滑らせるようにしてファンデーションを塗布することで、肌の表面に均一にファンデーションを塗布することが可能となる。
【0075】
具体的には、化粧ブラシ100は、例えば毛先を約2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときに屈曲点が発生せず、毛先を約2mm〜4mm押し曲げるための荷重をかけたときの荷重の増加がほぼ一定であるか、又は荷重の増加の傾きが約0.62N/mm以下であるとの毛の柔軟性についての条件を有し、毛先の長さが約25mm以下であるとの毛先の長さについての条件を有し、ブラシの口径が約16mm以上〜44mm以下であるとのブラシ口径についての条件を有し、毛の束の広がり角度が、毛の延伸方向軸に対して外側に約20度以内であるとの毛の束の広がり角度についての条件を備える。
【0076】
また、化粧ブラシ100のブラシの毛先の毛先面部は、図8及び図9に示すように、平坦状を呈するように形成され、図10及び図11に示すように、ブラシの毛先の毛先面部の側面形状が傾斜状を呈するように形成されていると良い。
【0077】
次に、上述した化粧ブラシ100について、更に具体的に説明する。化粧ブラシ100は、柄102の先に口金103を介して毛先104を取り付けて構成されている。
【0078】
毛先104を構成する毛の材質は、馬毛やイタチ、灰リス、松リス、カナダリス,山羊、狸、鹿、牛、羊、兎、猿、猫、狐、豚、狼、ムササビ等の獣毛を使用したり、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ナイロン、PET等の合成繊維毛を使用したり、それらを適切な混合比率で混毛したりしてブラシ全体にコシと弾力性を与え、ブラシの耐久性と使い易さと、毛先105の肌面への接触感(肌あたり)を向上させる。
【0079】
また、ヤング率と毛の断面積を乗じた値が6kNより大きくなると、使用時に多少不快感があるため、6kN以下の場合の方が好ましい。また毛先については、肌あたりを良くするためのテーパー処理を行うとより好ましい。
【0080】
化粧ブラシ100は、上記のブラシ毛を束ねて口金103で絞りながらしっかりと柄102に取り付けることにより毛先104が形成され、毛先104の毛先面部105は平坦状に形成されている。なお、図中の符号L1は、毛先104の長さを示し、L2はブラシの口径を示している。
【0081】
また、化粧ブラシ100は、下記のA式に示されるものが、使用感と仕上がりにおいて良好な結果が得られ、仕上げられた化粧の化粧持ちが良い。
【0082】
具体的には、A式とは、A=(毛の柔軟性の条件)+(毛先の長さの条件)+(ブラシの口径の条件)+(ブラシの毛束の広がりの角度の条件)である。次に、それぞれの条件について以下に説明する。
【0083】
(毛の柔軟性の条件)
毛先を折り曲げたとき、毛先が約2mm〜4mm押し曲げられているときに、実際にブラシを使用したときの状況を再現していると考えられるため、その物性について測定したところ、毛先が約2mm〜4mm押し曲げられたときの荷重(N)の大きさに関して、測定したどの形状のブラシも40N以内におさまっていた。
【0084】
一方、毛先を押し曲げたときの距離に対する荷重をプロットして得たグラフについて、毛先を約2mm〜4mm押し曲げたときの荷重の変化が、下記Bの条件をもつとき、フィット感や肌あたりのやわらかさ等の使用感と仕上がりの均一さにおいて良好な結果を示すことが分かった。なお、測定には株式会社島津製作所製のオートグラフを用いた。
【0085】
すなわち、Bの条件とは、B−1(約2mm〜4mm押し曲げたときの荷重の増加がなめらかであり、屈曲点がないこと)、B−2(約2mm〜4mm押し曲げたときの荷重の増加がほぼ一定であるか、または増加の傾きが約0.62N/mm以下のゆるやかな増加であること)である。
【0086】
なお、毛先面部105が斜めのブラシについては、毛先面部105の面に平行になるように荷重をかけて測定した。
【0087】
(毛先の長さの条件)
毛先が短くなるとやや硬い感触となり使用感が低下するが問題はなく、長すぎる場合には、使用時にブラシの毛先が屈折してしまい、均一に荷重をかけることが難しく、使用感の面でも仕上がりの均一さにおいても問題となる。検討の結果、毛先の長さL1は、約25mm以下が好ましいことが判明した。
【0088】
(ブラシの口径の条件)
ブラシの口径L2が小さすぎる場合には、細かい部分まで美しく仕上げることができるが、顔全体にファンデーションを塗布するためには多くの時間を要することとなり、口径L2が大きすぎる場合には、顔全体にファンデーションを塗布するためにはあまり時間がかからず利便性が高いが、細かい部分を美しく仕上げることは難しい。
【0089】
そこで、検討の結果、例えば適度な口径L2は、下記の条件を満たすものであることが判明した。なお、ブラシの口径L2とは、ブラシ1の毛先104を接合する口金103部分の寸法のことで、その断面形状が円状であればその直径、断面形状が楕円状であればその短径のことを意味する。具体的には、ブラシの口径L2は約16mm以上〜44mm以下が好ましいことが判明した。
【0090】
(ブラシの毛束の広がり角度の条件)
一般的に良く見られる毛先の広がった形状のものは、ファンデーションを塗布する形状のブラシとしては適さない。例えば、化粧ブラシ100において、ほぼ均一な長さの素材を用いて柄102の部分に対する毛先の広がりが、柄102と毛が直線状になっている場合から多少外側に広がっている場合には、使用感と仕上がりに問題はない。
【0091】
しかしながら、毛の延伸方向軸106と毛束の最外側の広がり延伸方向軸107とが交差して形成されるブラシの毛束の広がり角度αが、外側に20度を超えて広がっている場合には、使用時に毛先104が更に広がり、フィット感が低下し、均一に仕上げることが難しい。そこで、例えばブラシの毛束の広がり角度αは、毛の延伸方向軸6に対して外側に20度以内である必要がある。
【0092】
また、毛先104が外側に広がっておらず柄102の口金103部分とほぼ同一線上にあるものに関しては、良好な結果を示し、毛先104が柄102と同一線上よりも内側に食い込んでいるもの(毛の延伸方向軸106よりも内側に向いている場合)に関しても、同様に良好な結果を示した。
【0093】
化粧ブラシ100の構造上、毛の延伸方向軸106よりも内側に20度以上食い込んでいるようなブラシを作製することは困難であったが、毛先が柄102の部分よりも、内側に入り込んでいる場合は、どのような角度でも問題がなく良好な結果を示した。
【0094】
更に、化粧ブラシ100の毛先104の毛先面部105が平坦状を呈していると、毛先面部が肌にまんべんなく平均圧で触れることになり、良好な結果を示した。図10及び図11に示すように、ブラシの毛先104の毛先面部105の側面形状が傾斜状を呈する場合には、更に使用感や仕上がりが良好で、使い易さも向上した。
【0095】
上述したように、本実施形態のパッティング方法において、上記専用の化粧ブラシを使用して、毛先の毛先面部105の平坦状部を肌に垂直状にあたるように、トントンと複数回叩くように、もしくは叩きながら滑らせることで、一般のユーザーであってもメーキャップアーティストが仕上げたようなきれいな化粧を実現することが可能となる。
【0096】
<本実施形態の化粧方法についてのアンケート調査>
次に、図13〜図14を用いて、本実施形態の化粧方法についてアンケート調査を実施した調査結果について説明する。本調査は、毛穴の目立ち、クマ、シミ、ソバカス等による肌の悩みがある20代〜50代のファンデーションユーザー80名に、本実施形態の化粧方法と普段行っている化粧方法それぞれを用いた場合の各項目に対するアンケート調査を実施したものである。ファンデーションは、パウダリータイプ、リキッドタイプを用いてそれぞれユーザー40名に分けて実施した。
【0097】
アンケートの項目は、「カバー力」、「肌にフィットした」、「毛穴が目立たない」、「シミ・ソバカスが目立たない」、「透明感があるか」、「キメ細かい」、「ツヤのある」、「厚ぼったくない」、「粉っぽくない」、「立体感のある」、「自然な」、「明るい」、「色が肌に合っている」、「きれいか」について調査を行った。
【0098】
また、アンケートの項目として、3時間経過後のファンデーションの塗布状態に対して、「粉浮きしない」、「粉よれしない」、「脂うきしない」、「薄れがない」、「毛穴が目立たない」、「シミ・ソバカスが目立たない」、「透明感がある」、「キメが細かい」、「ツヤがある」、「くすみが目立たない」、「立体感を感じる」、「化粧持ちが満足である」、「きれいな状態である」、「化粧くずれしていない」について調査を行った。
【0099】
図13は、パウダリーファンデーションに対するアンケート結果であり、図14は、リキッドファンデーションに対するアンケート結果である。また、図13Aは、パウダリーファンデーションユーザー全体の結果を示し、図13Bは、年代別の結果を示し、図13Cは、3時間経過後のアンケート結果を示している。同様に、図14Aは、リキッドファンデーションユーザー全体の結果を示し、図14Bは、年代別の結果を示し、図14Cは、3時間経過後のアンケート結果を示している。
【0100】
図13A〜図13B及び図14A〜図14Bに示すように、パウダリーファンデーション、リキッドファンデーション共に、どの年代のユーザーも、本実施形態の化粧方法について、いずれの項目に対しても平均スコアを越えた評価を与えていることが分かる。特に、「カバー力のある」「立体感」「きれいな」に対して高い結果を得ていることが分かる。
【0101】
また、3時間経過後のファンデーションの塗布状態に対して、図13C及び図14Cに示すように、パウダリーファンデーション、リキッドファンデーション共に、どの年代のユーザーも、本実施形態の化粧方法について、いずれの項目に対しても平均スコアを超えた評価を与えていることが分かる。また、パウダリーファンデーションの場合も、リキッドファンデーションの場合も、特に「立体感を感じる」「化粧持ちが満足である」、「きれいな状態である」、「化粧くずれしていない」について高い評価を得た。
【0102】
上述したように、本発明によれば、肌の悩みの元となるシミやソバカス等を隠しながら、立体感があると共に自然な仕上がりとなり、化粧持ちがする化粧方法を実現する。
【0103】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本
発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、ビューティーサロン、デパートの化粧品販売コーナー、メーキャップ教室、美容院等にて行われるメーキャップ化粧方法に利用可能であり、産業上の利用可能性がある発明である。
【符号の説明】
【0105】
10 正面顔
20 塗布領域
30 第1の点
40 第2の点
50 第3の点
60 中央線
61 目頭
63 第1の交点
64 鼻の下
65 上唇の上端
66 目尻
67 線
68 第2の交点
70 第1の線
80 第2の線
90 第3の線
93 交点
100 化粧ブラシ
102 柄
103 口金
104 毛先
105 毛先の毛先面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧対象者に化粧料を施すための化粧方法であって、
前記化粧対象者の正面顔から前記対象者の頬部位を特定するための特定部位を抽出する特定部位抽出手順と、
前記特定部位抽出手順によって得られる複数の特定部位に基づき、前記化粧対象者の頬部位を塗布領域として抽出する塗布領域抽出手順と、
前記塗布領域抽出手順によって抽出された塗布領域に対応する顔面上の領域に対して化粧料を施す化粧手順とを有することを特徴とする化粧方法。
【請求項2】
前記特定部位抽出手順は、
前記正面顔の中央線と、前記正面顔の目頭を通って前記中央線に垂直に交わる垂直線との交点と、前記交点と前記目頭とを結んだ線を3分割し、前記目頭から1/3線上の位置である第1の点と、
前記第1の点から、前記中央線に平行に引いた線上であって、前記正面顔の鼻の下と上唇の上端との間の中央の位置である第2の点と、
前記正面顔の目尻から前記垂直線に平行に引いた線が髪の生え際と交わる交点と、前記目尻との間の中央の位置である第3の点とを抽出することを特徴とする請求項1に記載の化粧方法。
【請求項3】
前記塗布領域抽出手順は、
前記特定部位抽出手順によって抽出された前記第1の点と前記第2の点とを直線で結んだ第1の線と、前記第1の点と前記第3の点を前記正面顔の下まぶたのふくらみの下の線に沿って円を描くように結んだ曲線である第2の線と、前記第2の点と前記第3の点と頬骨を基準に円を描くように結んだ曲線である第3の線とによって結んだ領域を塗布領域として抽出し、
前記塗布領域は、前記正面顔の頬骨の膨らみを含むことを特徴とする請求項2に記載の化粧方法。
【請求項4】
前記化粧手順は、
前記化粧料を前記顔面上の領域の肌の表面に対して水平方向にすべらせず、垂直方向の動きによってパッティングしながら塗布し、前記肌の表面に前記化粧料を載せることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化粧方法。
【請求項5】
前記化粧手順は、
前記化粧料を施した前記顔面上の領域と前記化粧料を施していない領域との境界領域の肌の表面に対して、前記化粧料を水平方向にすべらせて、ぼかせることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧方法。
【請求項6】
前記パッティングは、
前記肌の表面を垂直方向に1mm以上10mm以内で動かす力によって、前記肌の表面に前記化粧料を載せることを特徴とする請求項4に記載の化粧方法。
【請求項7】
前記化粧手順は、
前記化粧料を指、又はスポンジ、パフ、ブラシを含む化粧用具を用いて前記肌の表面に塗布することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の化粧方法。
【請求項8】
前記化粧料は、ファンデーションを含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化粧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2011−121915(P2011−121915A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282265(P2009−282265)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】