化粧材の取付構造
【課題】化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができ、破風のような雨曝しになる箇所に化粧材を取り付けた場合でも、建物躯体を劣化させにくい取り付け構造を提供する。
【解決手段】化粧材Aの延出部120を、取付金具160を介して建物躯体10の第1の面20に取り付け、化粧材Aの基板部112を、固定具15によって建物躯体10の第2の面22に取り付ける。
【解決手段】化粧材Aの延出部120を、取付金具160を介して建物躯体10の第1の面20に取り付け、化粧材Aの基板部112を、固定具15によって建物躯体10の第2の面22に取り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破風や鼻隠し等の化粧材を建物躯体に取り付ける取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から建築用化粧材は、破風や鼻隠し等に用いられている。この化粧材は、化粧材の表側の面(建物の外側)の2箇所からビスによって建物躯体に取り付けられる(特許文献1参照)。また、化粧材は、その取り付けを容易にするために、建物躯体よりも若干大きめに作られている。このため、従前の化粧材を下側から上側に向かって押し付けるようにして、建物躯体に取り付けた場合には、化粧材と建物躯体の上面との間に隙間が生ずる可能性があった。
【0003】
特に、破風として化粧材が取り付けられる箇所は、化粧材の上方に屋根が存在しない所であるため、雨曝しの状態になる。このため、化粧材と建物躯体の上面との間に隙間が生じていた場合には、その隙間から雨水が侵入し、建物躯体を劣化させてしまう可能性が高かった。
【0004】
また、上述したような問題を解決するために、化粧材の表側の面だけでなく、化粧材の上側の面もビスによって建物躯体に取り付ける取り付け方も考えられる。しかし、このようにしたときは、ビスを取り付けるために化粧材に形成されたビス穴を介して雨水が侵入する場合があり、十分な対策がされたものではなかった。
【特許文献1】特開平8−270164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができ、破風のような雨曝しになる箇所に化粧材を取り付けた場合でも、建物躯体を劣化させにくい取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような目的を達成するために、本発明においては、化粧材の延出部を、取付金具を介して建物躯体の第1の面に取り付け、化粧材の基板部を、固定具によって建物躯体の第2の面に取り付ける。
【0007】
具体的には、本発明に係る取付構造は、
第1の面と前記第1の面に対して所定の角をなす第2の面とを有する建物躯体に、取付金具を介して化粧材を取り付ける取付構造であって、
前記化粧材は、基板部と、前記基板部から延出する延出部と、を含み、
前記延出部は、前記取付金具を介して前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられ、かつ、前記基板部は、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る取付構造は、建物躯体に、取付金具及び固定具より化粧材を取り付けるものである。建物躯体は、第1の面と第2の面とを有する。第2の面は、第1の面に対して所定の角をなす。例えば、第1の面が建物躯体の上面(水平面)であり、第2の面が建物躯体の前面(垂直面)であるときには、所定の角は略直角となる。
【0009】
この化粧材は、基板部と延出部とを含む。延出部は、基板部から延出する。化粧材の延出部は、取付金具を介して建物躯体の第1の面に取り付けられる。一方、化粧材の基板部は、固定具によって建物躯体の第2の面に取り付けられる。
【0010】
このように、第1の面を取付金具によって、第2の面を固定具によって取り付けるようにしたことにより、化粧材の延出部と建物躯体の第1の面との間に隙間を生じさせにくくすることができ、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができ、雨水等によって建物躯体が劣化することを防止することができる。特に、施工手順を考慮すると、固定具により化粧材の基板部を先に取り付けようとした場合には、延出部を取付金具に係止または嵌合させることが困難となる。よって、まず化粧材の延出部を取付金具に、的確に係止または嵌合させて、続いて固定具により化粧材の基板部を取り付けることとなり、必然的に化粧材の延出部と建物躯体の第1の面との間の隙間を生じにくくすることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る取付構造は、
前記化粧材が、前記延出部と前記基板部とが、前記所定の角に対応した角をなすように形成されたことが好ましい。
【0012】
すなわち、化粧材の延出部と基板部とのなす角を、「所定の角」に対応した角にするのが好ましい。このようにすることで、延出部を第1の面に的確に対応させ、基板部を第2の面に的確に対応させることができるので、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。なお、化粧材に凹凸がある場合には、延出部を構成する主要な面によって把握できる面と、基板部を構成する主要な面によって把握できる面とのなす角が、所定の角に対応した角となるようにすればよい。
【0013】
ここで、化粧材は、合成樹脂製であるものが望ましい。具体的には、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、AAS樹脂(アクリロニトリル/アクリルゴム/スチレン)、AES樹脂(アクリロニトリル/エチレンプロピレンゴム/スチレン)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン)、PS樹脂(ポリスチレン樹脂)、PMMA樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、MS樹脂(メチルメタクリレート/スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PE(ポリエチレン樹脂)、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)およびPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)等のいずれであってもよく、これらに加えて、木粉等を混合してもよい。また、通常押出成形等で使用される種々の添加剤等を加えても良い。破風用化粧材100の成形方法は特に限定されるものではないが、通常は、押出成形、特に、発泡押出成形や、低発泡押出成形が用いられる。
【0014】
さらに、本発明に係る取付構造は、
前記取付金具が、前記第1の面に対応した第1取付面と、前記第2の面に対応した第2取付面と、を有するものが好ましい。
【0015】
取付金具は、第1取付面と第2取付面とを有する。この第1取付面は、建物躯体の「第1の面」に対応し、第2取付面は、建物躯体の「第2の面」に対応する。このようにすることで、第1取付面を、建物躯体の「第1の面」に的確に取り付けることができ、第2取付面を、建物躯体の「第2の面」に的確に取り付けることができ、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。本発明の取付構造では、化粧材の延出部が、取付金具を介して建物躯体の第1の面に取り付けられるものであり、この取付金具は、第1取付面のみを有する構成であればよく、この第1取付面をネジ、ビス等の固定具により、第1の面に固定できればよい。さらに、取付金具が、第2の面に対応した第2取付面を有することで、建物躯体の「第1の面」又は「第2の面」において、取付金具の固定が容易な面(例えば、破風の場合、建物躯体の前面の方が、上面よりも固定しやすい。)を適宜選択して的確に取り付けることが可能となり、取付金具の固定作業がより容易となる。なお、第1取付面と第2取付面との双方を建物躯体に固定具等を用いて固定してもよい。
【0016】
さらにまた、本発明に係る取付構造は、
前記第2取付面が、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることによって、前記取付金具は、前記建物躯体の前記第1の面から前記2の面に亘って取り付けられるものが好ましい。
【0017】
第2取付面が、固定具によって建物躯体の「第2の面」に取り付けられる。この固定具は、例えば、ネジ、ビス、釘等の締結具のほか、接着剤等の樹脂でもよく、取付金具の材料と建物躯体の材料とに応じて適宜選択することができる。
【0018】
第2取付面が、固定具によって建物躯体の「第2の面」に取り付けられることで、取付金具は、建物躯体の第1の面から第2の面に亘って取り付けられる。ここで、「亘って」とは、建物躯体の第1の面の少なくとも一部と建物躯体の第2の面の少なくとも一部とを覆うように取り付けられることを意味する。
【0019】
このようにすることで、取付金具を建物躯体に的確に取り付けることができ、その結果として、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。また、取付金具が第1の面に取り付けられるので、化粧材と建物躯体の「第1の面」との間に隙間を生じさせにくくすることができ、雨水等によって、建物躯体が劣化することを防止することができる。
【0020】
また、本発明に係る取付構造は、
前記取付金具が、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられかつ前記第2の面から突出する水切り部材を迂回する迂回部を含むものが好ましい。
【0021】
水切り部材は、建物躯体の「第2の面」から突出するように、建物躯体の「第1の面」に取り付けられる。取付金具は、迂回部を含むので、建物躯体に水切り部材が取り付けられている場合であっても、取付金具を建物躯体に的確に取り付けることができ、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。
【0022】
さらに、本発明に係る取付構造は、
前記化粧材の前記延出部が、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具が、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に設けられた受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられるときに、前記突出部が前記受入部と当接する箇所を支点に、前記化粧材が回転できるものがより好ましい。
【0023】
化粧材の延出部は、突出部を含む。突出部は、延出部から突出する。さらに、取付金具の第1取付面には、受入部が設けられている。この受入部は、突出部を受け入れることができるように形成されている。
【0024】
化粧材が建物躯体に取り付けられるとき、すなわち、化粧材を建物躯体に取り付ける作業が行われるときに、突出部と受入部とが当接する箇所を支点にして、化粧材を回転させることができる。このようにすることで、支点を回転中心にして化粧材を回転移動させることができ、化粧材を建物躯体に対して的確に位置づけることができ、化粧材を建物躯体の所望する位置に取り付けることができるとともに、化粧材の取付作業を容易にすることができる。
【0025】
さらにまた、本発明に係る取付構造は、
前記化粧材の前記延出部が、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具が、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に形成された受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられたときには、前記突出部は、前記受入部によって係止され、前記延出部は、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられるものがより好ましい。
【0026】
化粧材の延出部は、突出部を含む。突出部は、延出部から突出する。さらに、取付金具の第1取付面には、受入部が設けられている。この受入部は、突出部を受け入れることができるように形成されている。
【0027】
化粧材が建物躯体に取り付けられたとき、すなわち、化粧材を建物躯体に取り付ける作業を終えたときに、突出部は、受入部によって係止される。突出部が受入部に係止されるので、化粧材の延出部を、建物躯体の第1の面に的確に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0028】
化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができ、破風のような雨曝しになる箇所に化粧材を取り付けた場合でも、建物躯体を劣化させにくい取り付け構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
<<第1の実施の形態>>
<破風・鼻隠し>
図1は、建物において化粧材が用いられる箇所を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すAの箇所が破風であり、Bの箇所が鼻隠しである。
【0032】
なお、本明細書では、破風とは、切妻屋根の側面(妻側)にある山形の合掌の部分をいい、破風板とは、破風に取り付けられる装飾用の板をいう。また、鼻隠しとは、屋根の軒先に出る垂木(たるき)の先端の木口を隠すために取り付けられる板をいう。
【0033】
また、本明細書における化粧材は、上述した破風や鼻隠しに用いることができ、屋根の近傍の上面と側面とを有する建物躯体に取り付けることができる装飾用の板をいう。なお、本明細書における化粧材は、破風に用いるものが望ましい。
【0034】
以下の説明では、化粧材の好ましい具体例として破風用のものについて説明する。
【0035】
<破風用化粧材100の取付状態>
図2は、本実施例の破風用化粧材100の取付状態を示す断面図である。なお、図2においては、図面の右側が建物躯体10及び建物の内側を示し、図面の左側が建物躯体10の外側を示す。
【0036】
図2に示すように、建物躯体10は、屋根材12と、垂木14と、取付下地材16と、水切り材18と、を含む。
【0037】
<建物躯体10>
屋根材12は、建物躯体10の上部に配置され、垂木14は、屋根材12の下部に配置される。屋根材12と垂木14との前面側(建物の屋外側)には、取付下地材16が取り付けられている。取付下地材16の上面20には、取付下地材16の下部に雨水が侵入しないようにするための水切り材18が取り付けられている。水切り材18の端部は、鋭角をなすように折り曲げられている。このようにすることで、水切り材18に付着した雨水が下方に流れ落ちたり落下したりするのを防止することができる。
【0038】
上述した取付下地材16は、上面20と前面22とを含む。前面22は、上面20に対して略直角をなす。取付下地材16の上面20が、「第1の面」に相当し、取付下地材16の前面22が、建物の外側の面であり、「第2の面」に相当する。また、この「第1の面」は、水切り材18の上面としてもよい。実質的に建物躯体10の上面と判断できる面が、「第1の面」に相当する。同様に、実質的に建物躯体10の前面と判断できる面が、「第2の面」に相当する。なお、「第1の面」と「第2の面」とがなす角度は、直角である場合に限られず、他の角度でもよい。
【0039】
<破風用化粧材100>
取付下地材16の前面22には、破風用化粧材100が取り付けられる。破風用化粧材100は、図2の紙面に垂直な方向に延在する長尺な形状を有する。破風用化粧材100が破風に取り付けられるときには、破風の長手方向に沿って取り付けられる。
【0040】
また、破風用化粧材100は、合成樹脂製のものが好ましい。この破風用化粧材100を構成する合成樹脂は、特に限定されず、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、AAS樹脂(アクリロニトリル/アクリルゴム/スチレン)、AES樹脂(アクリロニトリル/エチレンプロピレンゴム/スチレン)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン)、PS樹脂(ポリスチレン樹脂)、PMMA樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、MS樹脂(メチルメタクリレート/スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PE(ポリエチレン樹脂)、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)およびPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)等のいずれであってもよく、これらに加えて、木粉等を混合してもよい。また、通常押出成形等で使用される種々の添加剤等を加えても良い。破風用化粧材100の成形方法は特に限定されるものではないが、通常は、押出成形、特に、発泡押出成形や、低発泡押出成形が用いられる。特に、破風用化粧材100は、基材層と表面層との2層構造で形成され、基材層がABS樹脂からなり、表面層がPMMA樹脂からなるとともに、基材層を低発泡させた共押出成形品が望ましい。
【0041】
図2に示すように、破風用化粧材100の前面には、3段の化粧面111,112及び113が形成されている。これらの3段の化粧面111,112及び113は、上から下へ順に建物躯体10に向かって次第に奥まった位置となるように形成されている。
【0042】
化粧面111と112との間には、湾曲部114が形成されている。また、化粧面112と113との間には、取り付けビス15によって、建物躯体10の取付下地材16に取り付けるために、横溝116が形成されている。
【0043】
化粧面111,112及び113によって、破風用化粧材100の「基板部」が構成される。これらの化粧面111,112及び113の各々が、後述する取付下地材16に対して略平行となるように、すなわち、地面に対して略垂直となるように、破風用化粧材100は取り付けられる。
【0044】
破風用化粧材100の裏面には、破風用化粧材100を取付下地材16に的確に当接させるための当接突起117が形成されている。また、破風用化粧材100の下端部には、破風用化粧材100から略水平に延出する下延出部140が形成されている。下延出部140の先端部には、下延出部140から上に向かって突出する突出部142が形成されている。
【0045】
破風用化粧材100の上端部には、化粧面111,112及び113に対して略直角に延出する上延出部120が形成されている。上延出部120は、取付下地材16は、上面20に対応し、化粧面111,112及び113は、取付下地材16の前面22に対応する。なお、上延出部120と化粧面111,112及び113とのなす角度は、略直角である場合に限られず、上面20と前面22とのなす角度に対応するように、上延出部120と化粧面111,112及び113とを形成すればよい。この上延出部120が「延出部」に対応する。
【0046】
上延出部120の先端部には、上延出部120から下方向に向かって突出する突出部122が形成されている。図2,図3及び図4に示すように、突出部122には、建物の内側に向かって伸びる突出部124aと建物の外側に向かって伸びる突出部124bとが形成されている。なお、図2及び図4において、図面の左側が建物の外側であり、図面の右側が建物の内側である。この突出部124aと124bとの上側には、略水平に形成された係止面126aと126bとが形成されている。また、この突出部124aと124bとの下部には、傾斜部128aと128bとが形成されている。傾斜部128aと128bとの間には、突出部122の下面130が形成されている。この突出部122が、「前記延出部から突出する突出部」に対応する。
【0047】
<取付金具160>
図2に示すように、取付下地材16の上端部には、取付金具160が取り付けられる。具体的には、取付金具160は、取付下地材16の上面から前面に亘って取り付けられる。
【0048】
取付金具160は、図5及び図6に示すように、取付部170と受入部180とからなる。
【0049】
取付部170は、金属を押出成形することにより形成される。この金属は、例えば、アルミからなるものが好ましい。取付部170は、垂直部172と迂回部176と水平部178とからなる。
【0050】
垂直部172には、2つの貫通孔174a及び174bが形成されている。この2つの貫通孔174a及び174bにビス17を通し、ビス17によって垂直部172を取付下地材16の前面22に取り付けることにより、図2に示すように、取付金具160を取付下地材16に固定することができる。図2に示すように、垂直部172は、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときに、垂直に配置される。
【0051】
迂回部176は、断面が略Cの字状の形状を有する。迂回部176は、水平な第1迂回部176aと、垂直な第2迂回部176bと、水平な第3迂回部176cと、垂直な第4迂回部176dと、からなる。図4に示すように、第1迂回部176aは、垂直部172の上端部から水平方向に建物の外側に向かって延出する。第2迂回部176bは、第1迂回部176aの下端から垂直方向に上向きに向かって延出する。第3迂回部176cは、第2迂回部176bの上端から水平方向に建物の内側に向かって延出する。第4迂回部176dは、第3迂回部176cの内側の端部から垂直方向に下向きに向かって延出する。第4迂回部176dの下端は、水平部178の外側の端部に接続する。第3迂回部176cは、第1迂回部176aよりも長く形成されており、図2や図4に示すように、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときには、第4迂回部176dは、取付下地材16の前面22よりも屋内側に位置する。また、第4迂回部176dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されている。
【0052】
上述したように、第3迂回部176cは、第1迂回部176aよりも長く形成され、第4迂回部176dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されているので、図2及び図4に示すように、取付金具160が水切り材18の障害とならないように、取付金具160を取付下地材16に取り付けることができる。なお、取付金具160の迂回部176は、取付下地材16に取り付けられたときに、水切り材18の障害にならないように形成されていればよく、本実施の形態で示した形状以外のもの、例えば、断面が円弧状の形状でもよい。
【0053】
取付金具160の水平部178は、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときには、水切り材18と密着するように固定される。
【0054】
上述した水平部178が、「第1取付面」に対応し、垂直部172が、「第2取付面」に対応する。
【0055】
水平部178には、受入部180が接合されている。受入部180は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、弾性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス鋼板からなるものが好ましい。受入部180は、基部182と、基部182に対して略垂直に折り曲げられた2つの脚部184a及び184bと、2つの脚部184a及び184bの各々の端部が折り曲げられて形成された係止端186a及び186bと、を含む。
【0056】
破風用化粧材100が、建物躯体10の取付下地材16に取り付けられたときには、図4に示すように、突出部122が、受入部180に受け入れられ、突出部122の係止面126aは、係止端186aによって係止され、突出部122の係止面126bは、係止端186bによって係止される。このようにすることで、受入部180によって、突出部122を的確に係止することができ、破風用化粧材100を、建物躯体10の取付下地材16に的確に取り付けることができる。
【0057】
<破風用化粧材100の建物躯体10への取付>
以下では、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。
【0058】
破風用化粧材100を建物躯体10に取り付けるときには、取付金具160を取付下地材16に予め取り付ける。上述したように、取付金具160の垂直部172には、2つの貫通孔174a及び174bが形成されている。この2つの貫通孔174a及び174bにビス17を通し、ビス17によって垂直部172を取付下地材16の前面22に取り付けることにより、図2に示すように、取付金具160を取付下地材16に固定することができる。なお、取付金具160の取付下地材16への取り付けは、取付金具160の水平部178が、水切り材18の上面と密着するように固定される。また、取付金具160には、迂回部176が形成されており、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときには、迂回部176は、水切り材18を迂回するように配置され、取付金具160が水切り材18の障害にならないように取り付けられる。
【0059】
取付金具160を図5及び図6に示した形状にし、上述したような取り付け方をすることによって、取付金具160を、取付下地材16の上面から前面に亘って取り付けることができる。
【0060】
この取付金具160を取付下地材16に固定した後、破風用化粧材100を取付下地材16に取り付ける。
【0061】
まず、上延出部120の突出部122が、取付金具160の受入部180に受け入れられるようにするために、図7に示すように、破風用化粧材100の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。次いで、図7及び図8に示すように、突出部122の係止面126aが、受入部180の係止端186aに当接するように、突出部122の一部を受入部180に挿入する。
【0062】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このようにすることで、上延出部120の突出部122は、取付金具160の受入部180に押し入れられる。このとき、図9に示すように、突出部124bの傾斜部128bは、受入部180の係止端186bに当接するとともに、受入部180の脚部184bを変形させる。上述したように、受入部180は、弾性を有する金属で形成されているので、受入部180は、突出部124bの傾斜部128bによって弾性変形する。また、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させたときには、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所が、破風用化粧材100の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100を的確に建物躯体10に近づけることができる。
【0063】
さらに、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させると、突出部124bの傾斜部128bと受入部180の脚部184bとの当接が解消されて、図2及び図4に示したように、突出部122の係止面126bは、係止端186bによって係止される。なお、傾斜部128bと脚部184bとの当接が解消されるときには、弾性変形していた脚部184bが付勢力によって急激に元の位置に戻るので、解消音が発せられる。この解消音を聞くことで、傾斜部128bと脚部184bとの当接が解消されたことを認識することができる。
【0064】
傾斜部128bと脚部184bとの当接が解消されたときには、破風用化粧材100の当接突起117と横溝116の裏面とが、取付下地材16の前面22と当接し、破風用化粧材100の位置を定めることができる。この状態で、横溝116に形成された貫通孔を介してビス15を取付下地材16に取り付けることで、破風用化粧材100を建物躯体10に固定することができる。
【0065】
上述したように、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける作業をするときに、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所を支点にすることができるので、この支点を中心にして破風用化粧材100を回転移動させることができ、破風用化粧材100を建物躯体10に対して的確に位置づけることができ、破風用化粧材100を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100の取付作業を容易にすることができる。
【0066】
上述した図9では、脚部184bのみが変形する場合を示したが、上述したように、受入部180は弾性を有するので、脚部184aも変形する場合がある。このような場合には、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所が変形によって移動するが、この当接している箇所が破風用化粧材100の回転中心であることに変わりはなく、この箇所が、破風用化粧材100の支点となる。したがって、脚部184aが変形する場合でも、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所を中心にして破風用化粧材100を回転移動させることができ、破風用化粧材100を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100の取付作業を容易にすることができる。
【0067】
上述したように、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける作業をするときに、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所を支点にすることができる。さらに、破風用化粧材100が建物躯体10に取り付けられたときには、係止端186aによって係止面126aが係止され、係止端186bによって係止面126bが係止される。このように、突出部122は受入部180によって係止されるので、突出部122が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100が上方向に移動することを制限することができる。突出部122の移動を制限することによって、突出部122の下面130が基部182の上面に密着するように破風用化粧材100を位置づけたり、突出部122の下面130を基部182の上面に十分に近づけて破風用化粧材100を位置づけたりして、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122が受入部180に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0068】
また、封止部材、例えば、ゴム等の可撓性を有する合成樹脂を、突出部122の下面130と基部182の上面との間に設けたときには、破風用化粧材100と建物躯体10との密着性をより高めることができる。
【0069】
<<第2の実施の形態>>
図10は、第2の実施の形態を示す破風用化粧材100’の上延出部120’の一部と取付金具260とを示す側面図である。なお、図10では、図面の左側が建物の外側であり、図面の右側が建物の内側である。
【0070】
<上延出部120’>
上延出部120’の先端部には、上延出部120’から下方向に向かって突出する突出部122’が形成されている。図10(a)に示すように、突出部122’には、建物の内側に向かって伸びる突出部124a’と、建物の外側に向かって伸びる突出部124b’とが形成されている。
【0071】
この突出部124a’の上側には、略水平に形成された係止面126a’が形成されており、突出部124b’の上側には、下方に向かって傾斜するように形成された係止面126b’が形成されている。また、この突出部124a’の下部には、傾斜部128a’が形成されている。突出部122’の下側には下面130’が形成されている。さらに、下面130’には、両面テープ等の接着部材によって、所定の厚さを有するシール材が、下面130’の長手方向(図10(a)の表裏方向)に沿って帖設されている。このシール材の材質は、発泡ポリウレタン、ブチルゴム、ポリエチレン、EPDM等が好ましい。このように、下面130’にシール材を設けたことにより、破風用化粧材100’が、後述する取付金具260の受入部280に取り付けられたときには、破風用化粧材100’と取付金具260との間の防水効果を極めて高くすることができる。なお、この第2の実施の形態の破風用化粧材100’では、この突出部122’の形状が異なり、他の箇所については、第1の実施の形態の破風用化粧材100と同じである。
【0072】
<取付金具260>
図10に示すように、取付金具260は、取付部170と受入部280とからなる。なお、取付部170は、第1の実施の形態のものと同じである。
【0073】
水平部178には、受入部280が接合されている。受入部280は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、弾性を有するものが好ましく、例えば、ステンレスからなるものが好ましい。受入部280は、基部282と、基部282に対して略垂直に折り曲げられた2つの脚部284a及び284bと、脚部284aの端部が折り曲げられて形成された係止端286aと、脚部284bの端部が折り曲げられて形成された係合部286bと、を含む。係合部286bは、脚部284bに対して所定の角度で内側(図10(b)の右方向)に突出するように折り曲げられた第1の係合部287bと、第1の係合部287bに対して略90の角度で外側(図10(b)の左方向)に向くように折り曲げられた第2の係合部288bと、からなる。
【0074】
<破風用化粧材100’の建物躯体10への取付>
以下では、第2の実施の形態における、破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。
【0075】
まず、上延出部120’の突出部122’が、取付金具260の受入部280に受け入れられるようにするために、破風用化粧材100’の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。突出部122’の係止面126a’が、受入部280の係止端286aに当接するように、突出部122’の一部を受入部280に挿入する。
【0076】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100’を、第1の実施の形態で説明した図7と同様に、図7の矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100’の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このとき、第1の実施の形態で説明した図9と同様に、突出部124b’の傾斜部128b’は、受入部280の第2の係合部288bに当接する。この当接によって受入部280の脚部284bは、外向きに変位するように変形する。上述したように、受入部280は、弾性を有する金属で形成されているので、受入部280は、突出部124b’の傾斜部128b’によって弾性変形する。破風用化粧材100’をさらに回転させると、突出部124b’の傾斜部128b’は、第2の係合部288b上を摺動して、第1の係合部287bと第2の係合部288bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎる。
【0077】
このようにすることで、上延出部120’の突出部122’は、取付金具260の受入部280に収納される。このとき、突出部124b’の傾斜部128b’と受入部280の第2の係合部288bとの当接が解消されて、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部287bによって係止される。なお、傾斜部128b’と係合部286bとの当接が解消されるときには、弾性変形していた脚部284b’が付勢力によって急激に元の位置に戻るので、解消音が発せられる。この解消音を聞くことで、傾斜部128b’と第2の係合部288bとの当接が解消されたことを認識することができる。
【0078】
このように、破風用化粧材100’を、図7に示す矢印の方向に回転させたときには、第1の実施の形態と同様に、係止面126a’と係止端286aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100’の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100’を的確に建物躯体10に近づけ、破風用化粧材100’を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100’の取付作業を容易にすることができる。
【0079】
破風用化粧材100’が建物躯体10に取り付けられたときには、係止端286aによって係止面126a’が係止され、第1の係合部287bによって係止面126b’が係止される。このようにして、突出部122’は受入部280によって係止されるので、突出部122’が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100’が上方向に移動することを制限することができる。突出部122’の移動を制限することによって、突出部122’の下面130’が基部282の上面に密着するように破風用化粧材100’を位置づけたり、突出部122’の下面130’を基部282の上面に十分に近づけて破風用化粧材100’を位置づけたりして、破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122’が受入部280に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0080】
また、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すときには、第1の実施の形態で説明した図7の矢印の方向とは反対方向に破風用化粧材100’を回転させる。この場合も、破風用化粧材100’を取り付けるときと同様に、係止面126a’と係止端286aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となる。このとき、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部287bと当接し、受入部280の脚部284bは変形する。上述したように、上延出部120’の係止面126b’は、下方に向かって傾斜するように形成されている。このため、破風用化粧材100’を回転させるに従って、係止面126b’は、第1の係合部287b上を円滑に摺動することができ、第1の係合部287bと第2の係合部288bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎることができる。第1の係合部287bと第2の係合部288bと頂部を通り過ぎることによって、係止面126b’と係合部286bとの当接が解消され、取付金具260の受入部280に収納されていた突出部122’を受入部280から外すことができ、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すことができる。
【0081】
<<第3の実施の形態>>
図11は、第3の実施の形態を示す取付金具360を示す側面図である。なお、この第3の実施の形態では、第2の実施の形態で説明した破風用化粧材100’を用いる。すなわち、破風用化粧材100’の上延出部120’には、下方向に向かって突出する突出部122’が設けられている。この突出部122’は、第2の実施の形態で説明した図10(a)に示したものと同様の形状を有する。
【0082】
<取付金具360>
図11に示すように、取付金具360は、取付部と受入部とが一体になった形状を有する。すなわち、取付金具360は、金属を押出成形することにより、又は1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、例えば、アルミやステンレス等からなる。
【0083】
取付金具360は、垂直部372と、迂回部376と、係合部386bと、脚部384bと、基部382と、基部382に対して略垂直に折り曲げられた脚部384aと、脚部384aの端部が折り曲げられて形成された係止端386aとからなる。この第3の実施の形態では、係合部386bと脚部384bと基部382と脚部384aと係止端386aとから受入部380が構成される。
【0084】
垂直部372には、第1の実施の形態の2つの貫通孔174a及び174bと同様の2つの貫通孔(図示せず)が形成されている。この2つの貫通孔を介してビス17を取付下地材16に取り付けることにより、第1の実施の形態で説明した図2と同様に、取付金具360を取付下地材16に固定することができる。
【0085】
迂回部376は、断面が略Cの字状の形状を有する。迂回部376は、水平な第1迂回部376aと、垂直な第2迂回部376bと、水平な第3迂回部376cと、からなる。図11に示すように、第1迂回部376aは、垂直部372の上端部から水平方向に建物の外側に向かって延出する。第2迂回部376bは、第1迂回部376aの下端から垂直方向に上向きに向かって延出する。第3迂回部376cは、第2迂回部376bの上端から水平方向に建物の内側に向かって延出する。第3迂回部376cは、第1迂回部376aよりも長く形成されている。
【0086】
上述したように、受入部380は、係合部386bと脚部384bと基部382と脚部384aと係止端386aとからなる。脚部384aと脚部384bとは、基部382に対して略垂直に折り曲げられて形成されている。係止端386aは、脚部384aの端部が折り曲げられて形成されている。係合部386bは、脚部384bの端部が折り曲げられて形成されている。
【0087】
係合部386bは、脚部384bに対して所定の角度で内側(図11の右方向)に突出するように折り曲げられた第1の係合部387bと、第1の係合部387bに対して略90の角度で外側(図11)に向くように折り曲げられた第2の係合部388bと、からなる。第2の係合部388bの上端部は、迂回部376の第3迂回部376cの右端部に接続する。図11に示すように、取付金具360が取付下地材16に取り付けられたときには、係合部386bや脚部384bは、取付下地材16の前面22よりも内側に位置する。また、係合部386bの上端部は、水切り材18が折り曲げられた部分よりも高い位置に位置するように形成されている。
【0088】
上述したように、第3迂回部376cは、第1迂回部376aよりも長く形成され、係合部386bの上端部は、水切り材18が折り曲げられた部分よりも高い位置に位置するように形成されているので、図11に示すように、取付金具360が水切り材18の障害とならないように、取付金具360を取付下地材16に取り付けることができる。なお、取付金具360の迂回部376は、取付下地材16に取り付けられたときに、水切り材18の障害にならないように形成されていればよく、本実施の形態で示した形状以外のもの、例えば、断面が円弧状の形状でもよい。
【0089】
基部382は、取付金具360が取付下地材16に取り付けられたときには、水切り材18と密着するように固定される。
【0090】
<破風用化粧材100’の建物躯体10への取付>
以下では、第3の実施の形態における破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。なお、上述したように、この破風用化粧材100’は、第2の実施の形態のものと同じものである。
【0091】
まず、上延出部120’の突出部122’が、受入部380に受け入れられるようにするために、破風用化粧材100’の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。突出部122’の係止面126a’が、受入部380の係止端386aに当接するように、突出部122’の一部を受入部380に挿入する。
【0092】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100’を、第2の実施の形態と同様に、図7に示す矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100’の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このとき、第2の実施の形態と同様に、突出部124b’の傾斜部128b’は、受入部380の第2の係合部388bに当接する。この当接によって受入部380の脚部384bは、外向きに変位するように変形する。上述したように、受入部380は、弾性を有する金属で形成されているので、受入部380は、突出部124b’の傾斜部128b’によって弾性変形する。破風用化粧材100’をさらに回転させると、突出部124b’の傾斜部128b’は、第2の係合部388b上を摺動して、第1の係合部387bと第2の係合部388bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎる。
【0093】
このようにすることで、上延出部120’の突出部122’は、取付金具360の受入部380に収納される。このとき突出部124b’の傾斜部128b’と受入部380の第2の係合部388bとの当接が解消されて、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部387bによって係止される。なお、傾斜部128b’と係合部386bとの当接が解消されるときには、弾性変形していた脚部384bが付勢力によって急激に元の位置に戻るので、解消音が発せられる。この解消音を聞くことで、傾斜部128b’と第2の係合部388bとの当接が解消されたことを認識することができる。
【0094】
第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様に、破風用化粧材100’を回転させたときには、係止面126a’と係止端386aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100’の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100’を的確に建物躯体10に近づけ、破風用化粧材100’を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100’の取付作業を容易にすることができる。
【0095】
また、第2の実施の形態と同様に、破風用化粧材100’が建物躯体10に取り付けられたときには、係止端386aによって係止面126a’が係止され、第1の係合部387bによって係止面126b’が係止される。このようにして、突出部122’は受入部380によって係止されるので、突出部122’が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100’が上方向に移動することを制限することができる。突出部122’の移動を制限することによって、突出部122’の下面130’が基部382の上面に密着するように破風用化粧材100’を位置づけたり、突出部122’の下面130’を基部382の上面に十分に近づけて破風用化粧材100’を位置づけたりして、破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122’が受入部380に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0096】
また、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すときには、第1の実施の形態で説明した図7の矢印の方向とは反対方向に破風用化粧材100’を回転させる。この場合も、破風用化粧材100’を取り付けるときと同様に、係止面126a’と係止端386aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となる。このとき、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部387bと当接し、受入部380の脚部384bは変形する。上述したように、上延出部120’の係止面126b’は、下方に向かって傾斜するように形成されている。このため、破風用化粧材100’を回転させるに従って、係止面126b’は、第1の係合部387b上を円滑に摺動することができ、第1の係合部387bと第2の係合部388bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎることができる。第1の係合部387bと第2の係合部388bと頂部を通り過ぎることによって、係止面126b’と係合部386bとの当接が解消され、取付金具360の受入部380に収納されていた突出部122’を受入部380から外すことができ、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すことができる。
【0097】
<<第4の実施の形態>>
図12は、第4の実施の形態を示す取付金具460を示す側面図である。なお、この第4の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した破風用化粧材100を用いる。すなわち、破風用化粧材100の上延出部120には、下方向に向かって突出する突出部122が設けられている。この突出部122は、第1の実施の形態で説明した図4に示したものと同様の形状を有する。
【0098】
<取付金具460>
図12に示すように、取付金具460は、取付部170と受入部480とからなる。なお、取付部170は、第1の実施の形態のものと同じである。
【0099】
水平部178には、受入部480が接合されている。受入部480は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、弾性を有するものが好ましく、例えば、ステンレスからなる。受入部480は、基部482と、基部482に対して略垂直に折り曲げられた2つの脚部484a及び484bと、2つの脚部484a及び484bの各々の端部が2箇所で曲げられて形成された水平端部486a及び486bと、傾斜端部488a及び488bとを含む。水平端部486aは、脚部484aに対して略直角に折り曲げられ、傾斜端部488aは、水平端部486aに対して鋭角をなして折り曲げられている。同様に、水平端部486bは、脚部484bに対して略直角に折り曲げられ、傾斜端部488bは、水平端部486bに対して鋭角をなして折り曲げられている。
【0100】
<破風用化粧材100の建物躯体10への取付>
以下では、第4の実施の形態における、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。
【0101】
まず、上延出部120の突出部122が、取付金具460の受入部480に受け入れられるようにするために、第1の実施の形態の図7と同様に、破風用化粧材100の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。次いで、突出部122の係止面126aが、受入部480の傾斜端部488aの一部に当接するように、突出部122の一部を受入部480に挿入する。
【0102】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100を、第1の実施の形態で説明した図7と同様に、図7の矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このようにすることで、上延出部120’の突出部122は、取付金具460の受入部480に収納される。このように、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させたときには、第1の実施の形態と同様に、係止面126aと傾斜端部488aの一部とが当接している箇所が、破風用化粧材100の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100を的確に建物躯体10に近づけ、破風用化粧材100を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100の取付作業を容易にすることができる。
【0103】
破風用化粧材100が建物躯体10に取り付けられたときには、傾斜端部488aの一部によって係止面126aが係止され、傾斜端部488bの一部によって係止面126bが係止される。このようにして、突出部122は受入部480によって係止されるので、突出部122が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100が上方向に移動することを制限することができる。突出部122の移動を制限することによって、突出部122の下面130が基部482の上面に密着するように破風用化粧材100を位置づけたり、突出部122の下面130を基部482の上面に十分に近づけて破風用化粧材100を位置づけたりして、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122が受入部480に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0104】
また、上述した第1〜第3の実施の形態と同様に、封止部材、例えば、ゴム等の可撓性を有する合成樹脂を、突出部122の下面130と基部482の上面との間に設けたときには、破風用化粧材100と建物躯体10との密着性をより高めることができる。
【0105】
<<第5の実施の形態>>
図13は、第5の実施の形態を示す取付金具560を示す側面図である。なお、この第5の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した破風用化粧材100を用いる。すなわち、破風用化粧材100の上延出部120には、下方向に向かって突出する突出部122が設けられている。この突出部122は、第1の実施の形態で説明した図4に示したものと同様の形状を有する。
【0106】
<取付金具560>
図12に示すように、取付金具560は、取付部570と受入部180とからなる。なお、受入部180は、第1の実施の形態のものと同じである。
【0107】
取付部570は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、例えば、アルミからなる。取付部570は、垂直部572と迂回部576と水平部578とからなる。
【0108】
迂回部576は、断面が略Cの字状の形状を有する。迂回部576は、水平な第1迂回部576aと、垂直な第2迂回部576bと、水平な第3迂回部576cと、垂直な第4迂回部576dと、からなる。図13に示すように、第1迂回部576aは、垂直部572の上端部から水平方向に建物の外側に向かって延出する。第2迂回部576bは、第1迂回部576aの下端から垂直方向に上向きに向かって延出する。第3迂回部576cは、第2迂回部576bの上端から水平方向に建物の内側に向かって延出する。第4迂回部576dは、第3迂回部576cの内側の端部から垂直方向に下向きに向かって延出する。第4迂回部576dの下端は、水平部578の内側の端部に接続する。第3迂回部576cは、第1迂回部576aよりも長く形成されており、図13に示すように、取付金具560が取付下地材16に取り付けられたときには、第4迂回部576dは、取付下地材16の前面22よりも屋内側に位置する。また、第4迂回部576dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されている。
【0109】
上述したように、第3迂回部576cは、第1迂回部576aよりも長く形成され、第4迂回部576dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されているので、図13に示すように、取付金具560が水切り材18の障害とならないように、取付金具560を取付下地材16に取り付けることができる。なお、取付金具560の迂回部576は、取付下地材16に取り付けられたときに、水切り材18の障害にならないように形成されていればよく、本実施の形態で示した形状以外のもの、例えば、断面が円弧状の形状でもよい。
【0110】
上述した第3迂回部576cには、受入部180が接合されている。上述したように、受入部180は、第1の実施の形態のものと同じである。したがって、破風用化粧材100の建物躯体10への取り付けは、第1の実施の形態で説明したものと同様の手順で行うことができる。
【0111】
上述したように、受入部180は、水平な第3迂回部576cに接合されている。このため、図13に示すように、受入部180は、取付下地材16や水切り材18に対して高い位置に配置される。このような構造としたことにより、受入部180が雨水等の水分と接触する可能性を低くすることができ、受入部180が錆びる等の劣化を防止することができる。
【0112】
<<第6の実施の形態>>
上述した第1〜第5の実施の形態では、取付金具160,260,360,460又は560と、水切り材18とが、別体になったものを示したが、これらの取付金具と水切り材18とを、一体にしてもよい。このようにすることで、これらの部材を1度に取り付けることができ、取付作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】建物において化粧材が用いられる箇所を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態による破風用化粧材100の取付状態を示す断面図である。
【図3】第1の実施の形態による破風用化粧材100を示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態による破風用化粧材100が建物躯体10に取り付けられたときの状態を示す拡大断面図である。
【図5】第1の実施の形態による取付金具160を示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態による取付金具160を示す斜視図である。
【図7】第1の実施の形態による破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程を示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態による破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程の詳細を示す断面図である。
【図9】上延出部120の突出部122が、取付金具160の受入部180に押し入れられた状態を示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態を示す上延出部120’の一部と取付金具260とを示す側面図である。
【図11】第3の実施の形態による取付金具360を示す断面図である。
【図12】第4の実施の形態による取付金具460を示す断面図である。
【図13】第5の実施の形態による取付金具560を示す断面図である。
【符号の説明】
【0114】
10 建物躯体
17 ビス(固定具)
18 水切り部材
20 上面(第1の面)
22 前面(第2の面)
100,100’ 破風用化粧材(化粧材)
111,112,113 化粧面(基板部)
120,120’ 上延出部(延出部)
122,122’ 突出部
160,260,360,460,560 取付金具
178,578 水平部(第1取付面)
172,372,572 垂直部(第2取付面)
176,376,576 迂回部
180,280,380,480 受入部
382 基部(第1取付面)
A 破風
B 鼻隠し
【技術分野】
【0001】
本発明は、破風や鼻隠し等の化粧材を建物躯体に取り付ける取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から建築用化粧材は、破風や鼻隠し等に用いられている。この化粧材は、化粧材の表側の面(建物の外側)の2箇所からビスによって建物躯体に取り付けられる(特許文献1参照)。また、化粧材は、その取り付けを容易にするために、建物躯体よりも若干大きめに作られている。このため、従前の化粧材を下側から上側に向かって押し付けるようにして、建物躯体に取り付けた場合には、化粧材と建物躯体の上面との間に隙間が生ずる可能性があった。
【0003】
特に、破風として化粧材が取り付けられる箇所は、化粧材の上方に屋根が存在しない所であるため、雨曝しの状態になる。このため、化粧材と建物躯体の上面との間に隙間が生じていた場合には、その隙間から雨水が侵入し、建物躯体を劣化させてしまう可能性が高かった。
【0004】
また、上述したような問題を解決するために、化粧材の表側の面だけでなく、化粧材の上側の面もビスによって建物躯体に取り付ける取り付け方も考えられる。しかし、このようにしたときは、ビスを取り付けるために化粧材に形成されたビス穴を介して雨水が侵入する場合があり、十分な対策がされたものではなかった。
【特許文献1】特開平8−270164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができ、破風のような雨曝しになる箇所に化粧材を取り付けた場合でも、建物躯体を劣化させにくい取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような目的を達成するために、本発明においては、化粧材の延出部を、取付金具を介して建物躯体の第1の面に取り付け、化粧材の基板部を、固定具によって建物躯体の第2の面に取り付ける。
【0007】
具体的には、本発明に係る取付構造は、
第1の面と前記第1の面に対して所定の角をなす第2の面とを有する建物躯体に、取付金具を介して化粧材を取り付ける取付構造であって、
前記化粧材は、基板部と、前記基板部から延出する延出部と、を含み、
前記延出部は、前記取付金具を介して前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられ、かつ、前記基板部は、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る取付構造は、建物躯体に、取付金具及び固定具より化粧材を取り付けるものである。建物躯体は、第1の面と第2の面とを有する。第2の面は、第1の面に対して所定の角をなす。例えば、第1の面が建物躯体の上面(水平面)であり、第2の面が建物躯体の前面(垂直面)であるときには、所定の角は略直角となる。
【0009】
この化粧材は、基板部と延出部とを含む。延出部は、基板部から延出する。化粧材の延出部は、取付金具を介して建物躯体の第1の面に取り付けられる。一方、化粧材の基板部は、固定具によって建物躯体の第2の面に取り付けられる。
【0010】
このように、第1の面を取付金具によって、第2の面を固定具によって取り付けるようにしたことにより、化粧材の延出部と建物躯体の第1の面との間に隙間を生じさせにくくすることができ、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができ、雨水等によって建物躯体が劣化することを防止することができる。特に、施工手順を考慮すると、固定具により化粧材の基板部を先に取り付けようとした場合には、延出部を取付金具に係止または嵌合させることが困難となる。よって、まず化粧材の延出部を取付金具に、的確に係止または嵌合させて、続いて固定具により化粧材の基板部を取り付けることとなり、必然的に化粧材の延出部と建物躯体の第1の面との間の隙間を生じにくくすることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る取付構造は、
前記化粧材が、前記延出部と前記基板部とが、前記所定の角に対応した角をなすように形成されたことが好ましい。
【0012】
すなわち、化粧材の延出部と基板部とのなす角を、「所定の角」に対応した角にするのが好ましい。このようにすることで、延出部を第1の面に的確に対応させ、基板部を第2の面に的確に対応させることができるので、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。なお、化粧材に凹凸がある場合には、延出部を構成する主要な面によって把握できる面と、基板部を構成する主要な面によって把握できる面とのなす角が、所定の角に対応した角となるようにすればよい。
【0013】
ここで、化粧材は、合成樹脂製であるものが望ましい。具体的には、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、AAS樹脂(アクリロニトリル/アクリルゴム/スチレン)、AES樹脂(アクリロニトリル/エチレンプロピレンゴム/スチレン)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン)、PS樹脂(ポリスチレン樹脂)、PMMA樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、MS樹脂(メチルメタクリレート/スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PE(ポリエチレン樹脂)、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)およびPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)等のいずれであってもよく、これらに加えて、木粉等を混合してもよい。また、通常押出成形等で使用される種々の添加剤等を加えても良い。破風用化粧材100の成形方法は特に限定されるものではないが、通常は、押出成形、特に、発泡押出成形や、低発泡押出成形が用いられる。
【0014】
さらに、本発明に係る取付構造は、
前記取付金具が、前記第1の面に対応した第1取付面と、前記第2の面に対応した第2取付面と、を有するものが好ましい。
【0015】
取付金具は、第1取付面と第2取付面とを有する。この第1取付面は、建物躯体の「第1の面」に対応し、第2取付面は、建物躯体の「第2の面」に対応する。このようにすることで、第1取付面を、建物躯体の「第1の面」に的確に取り付けることができ、第2取付面を、建物躯体の「第2の面」に的確に取り付けることができ、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。本発明の取付構造では、化粧材の延出部が、取付金具を介して建物躯体の第1の面に取り付けられるものであり、この取付金具は、第1取付面のみを有する構成であればよく、この第1取付面をネジ、ビス等の固定具により、第1の面に固定できればよい。さらに、取付金具が、第2の面に対応した第2取付面を有することで、建物躯体の「第1の面」又は「第2の面」において、取付金具の固定が容易な面(例えば、破風の場合、建物躯体の前面の方が、上面よりも固定しやすい。)を適宜選択して的確に取り付けることが可能となり、取付金具の固定作業がより容易となる。なお、第1取付面と第2取付面との双方を建物躯体に固定具等を用いて固定してもよい。
【0016】
さらにまた、本発明に係る取付構造は、
前記第2取付面が、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることによって、前記取付金具は、前記建物躯体の前記第1の面から前記2の面に亘って取り付けられるものが好ましい。
【0017】
第2取付面が、固定具によって建物躯体の「第2の面」に取り付けられる。この固定具は、例えば、ネジ、ビス、釘等の締結具のほか、接着剤等の樹脂でもよく、取付金具の材料と建物躯体の材料とに応じて適宜選択することができる。
【0018】
第2取付面が、固定具によって建物躯体の「第2の面」に取り付けられることで、取付金具は、建物躯体の第1の面から第2の面に亘って取り付けられる。ここで、「亘って」とは、建物躯体の第1の面の少なくとも一部と建物躯体の第2の面の少なくとも一部とを覆うように取り付けられることを意味する。
【0019】
このようにすることで、取付金具を建物躯体に的確に取り付けることができ、その結果として、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。また、取付金具が第1の面に取り付けられるので、化粧材と建物躯体の「第1の面」との間に隙間を生じさせにくくすることができ、雨水等によって、建物躯体が劣化することを防止することができる。
【0020】
また、本発明に係る取付構造は、
前記取付金具が、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられかつ前記第2の面から突出する水切り部材を迂回する迂回部を含むものが好ましい。
【0021】
水切り部材は、建物躯体の「第2の面」から突出するように、建物躯体の「第1の面」に取り付けられる。取付金具は、迂回部を含むので、建物躯体に水切り部材が取り付けられている場合であっても、取付金具を建物躯体に的確に取り付けることができ、化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができる。
【0022】
さらに、本発明に係る取付構造は、
前記化粧材の前記延出部が、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具が、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に設けられた受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられるときに、前記突出部が前記受入部と当接する箇所を支点に、前記化粧材が回転できるものがより好ましい。
【0023】
化粧材の延出部は、突出部を含む。突出部は、延出部から突出する。さらに、取付金具の第1取付面には、受入部が設けられている。この受入部は、突出部を受け入れることができるように形成されている。
【0024】
化粧材が建物躯体に取り付けられるとき、すなわち、化粧材を建物躯体に取り付ける作業が行われるときに、突出部と受入部とが当接する箇所を支点にして、化粧材を回転させることができる。このようにすることで、支点を回転中心にして化粧材を回転移動させることができ、化粧材を建物躯体に対して的確に位置づけることができ、化粧材を建物躯体の所望する位置に取り付けることができるとともに、化粧材の取付作業を容易にすることができる。
【0025】
さらにまた、本発明に係る取付構造は、
前記化粧材の前記延出部が、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具が、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に形成された受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられたときには、前記突出部は、前記受入部によって係止され、前記延出部は、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられるものがより好ましい。
【0026】
化粧材の延出部は、突出部を含む。突出部は、延出部から突出する。さらに、取付金具の第1取付面には、受入部が設けられている。この受入部は、突出部を受け入れることができるように形成されている。
【0027】
化粧材が建物躯体に取り付けられたとき、すなわち、化粧材を建物躯体に取り付ける作業を終えたときに、突出部は、受入部によって係止される。突出部が受入部に係止されるので、化粧材の延出部を、建物躯体の第1の面に的確に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0028】
化粧材を建物躯体に的確に取り付けることができ、破風のような雨曝しになる箇所に化粧材を取り付けた場合でも、建物躯体を劣化させにくい取り付け構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
<<第1の実施の形態>>
<破風・鼻隠し>
図1は、建物において化粧材が用いられる箇所を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すAの箇所が破風であり、Bの箇所が鼻隠しである。
【0032】
なお、本明細書では、破風とは、切妻屋根の側面(妻側)にある山形の合掌の部分をいい、破風板とは、破風に取り付けられる装飾用の板をいう。また、鼻隠しとは、屋根の軒先に出る垂木(たるき)の先端の木口を隠すために取り付けられる板をいう。
【0033】
また、本明細書における化粧材は、上述した破風や鼻隠しに用いることができ、屋根の近傍の上面と側面とを有する建物躯体に取り付けることができる装飾用の板をいう。なお、本明細書における化粧材は、破風に用いるものが望ましい。
【0034】
以下の説明では、化粧材の好ましい具体例として破風用のものについて説明する。
【0035】
<破風用化粧材100の取付状態>
図2は、本実施例の破風用化粧材100の取付状態を示す断面図である。なお、図2においては、図面の右側が建物躯体10及び建物の内側を示し、図面の左側が建物躯体10の外側を示す。
【0036】
図2に示すように、建物躯体10は、屋根材12と、垂木14と、取付下地材16と、水切り材18と、を含む。
【0037】
<建物躯体10>
屋根材12は、建物躯体10の上部に配置され、垂木14は、屋根材12の下部に配置される。屋根材12と垂木14との前面側(建物の屋外側)には、取付下地材16が取り付けられている。取付下地材16の上面20には、取付下地材16の下部に雨水が侵入しないようにするための水切り材18が取り付けられている。水切り材18の端部は、鋭角をなすように折り曲げられている。このようにすることで、水切り材18に付着した雨水が下方に流れ落ちたり落下したりするのを防止することができる。
【0038】
上述した取付下地材16は、上面20と前面22とを含む。前面22は、上面20に対して略直角をなす。取付下地材16の上面20が、「第1の面」に相当し、取付下地材16の前面22が、建物の外側の面であり、「第2の面」に相当する。また、この「第1の面」は、水切り材18の上面としてもよい。実質的に建物躯体10の上面と判断できる面が、「第1の面」に相当する。同様に、実質的に建物躯体10の前面と判断できる面が、「第2の面」に相当する。なお、「第1の面」と「第2の面」とがなす角度は、直角である場合に限られず、他の角度でもよい。
【0039】
<破風用化粧材100>
取付下地材16の前面22には、破風用化粧材100が取り付けられる。破風用化粧材100は、図2の紙面に垂直な方向に延在する長尺な形状を有する。破風用化粧材100が破風に取り付けられるときには、破風の長手方向に沿って取り付けられる。
【0040】
また、破風用化粧材100は、合成樹脂製のものが好ましい。この破風用化粧材100を構成する合成樹脂は、特に限定されず、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂)、AAS樹脂(アクリロニトリル/アクリルゴム/スチレン)、AES樹脂(アクリロニトリル/エチレンプロピレンゴム/スチレン)、AS樹脂(アクリロニトリル/スチレン)、PS樹脂(ポリスチレン樹脂)、PMMA樹脂(ポリメチルメタクリレート樹脂)、PVC樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂)、MS樹脂(メチルメタクリレート/スチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PE(ポリエチレン樹脂)、PBT(ポリブチレンテレフタレート樹脂)およびPC樹脂(ポリカーボネート樹脂)等のいずれであってもよく、これらに加えて、木粉等を混合してもよい。また、通常押出成形等で使用される種々の添加剤等を加えても良い。破風用化粧材100の成形方法は特に限定されるものではないが、通常は、押出成形、特に、発泡押出成形や、低発泡押出成形が用いられる。特に、破風用化粧材100は、基材層と表面層との2層構造で形成され、基材層がABS樹脂からなり、表面層がPMMA樹脂からなるとともに、基材層を低発泡させた共押出成形品が望ましい。
【0041】
図2に示すように、破風用化粧材100の前面には、3段の化粧面111,112及び113が形成されている。これらの3段の化粧面111,112及び113は、上から下へ順に建物躯体10に向かって次第に奥まった位置となるように形成されている。
【0042】
化粧面111と112との間には、湾曲部114が形成されている。また、化粧面112と113との間には、取り付けビス15によって、建物躯体10の取付下地材16に取り付けるために、横溝116が形成されている。
【0043】
化粧面111,112及び113によって、破風用化粧材100の「基板部」が構成される。これらの化粧面111,112及び113の各々が、後述する取付下地材16に対して略平行となるように、すなわち、地面に対して略垂直となるように、破風用化粧材100は取り付けられる。
【0044】
破風用化粧材100の裏面には、破風用化粧材100を取付下地材16に的確に当接させるための当接突起117が形成されている。また、破風用化粧材100の下端部には、破風用化粧材100から略水平に延出する下延出部140が形成されている。下延出部140の先端部には、下延出部140から上に向かって突出する突出部142が形成されている。
【0045】
破風用化粧材100の上端部には、化粧面111,112及び113に対して略直角に延出する上延出部120が形成されている。上延出部120は、取付下地材16は、上面20に対応し、化粧面111,112及び113は、取付下地材16の前面22に対応する。なお、上延出部120と化粧面111,112及び113とのなす角度は、略直角である場合に限られず、上面20と前面22とのなす角度に対応するように、上延出部120と化粧面111,112及び113とを形成すればよい。この上延出部120が「延出部」に対応する。
【0046】
上延出部120の先端部には、上延出部120から下方向に向かって突出する突出部122が形成されている。図2,図3及び図4に示すように、突出部122には、建物の内側に向かって伸びる突出部124aと建物の外側に向かって伸びる突出部124bとが形成されている。なお、図2及び図4において、図面の左側が建物の外側であり、図面の右側が建物の内側である。この突出部124aと124bとの上側には、略水平に形成された係止面126aと126bとが形成されている。また、この突出部124aと124bとの下部には、傾斜部128aと128bとが形成されている。傾斜部128aと128bとの間には、突出部122の下面130が形成されている。この突出部122が、「前記延出部から突出する突出部」に対応する。
【0047】
<取付金具160>
図2に示すように、取付下地材16の上端部には、取付金具160が取り付けられる。具体的には、取付金具160は、取付下地材16の上面から前面に亘って取り付けられる。
【0048】
取付金具160は、図5及び図6に示すように、取付部170と受入部180とからなる。
【0049】
取付部170は、金属を押出成形することにより形成される。この金属は、例えば、アルミからなるものが好ましい。取付部170は、垂直部172と迂回部176と水平部178とからなる。
【0050】
垂直部172には、2つの貫通孔174a及び174bが形成されている。この2つの貫通孔174a及び174bにビス17を通し、ビス17によって垂直部172を取付下地材16の前面22に取り付けることにより、図2に示すように、取付金具160を取付下地材16に固定することができる。図2に示すように、垂直部172は、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときに、垂直に配置される。
【0051】
迂回部176は、断面が略Cの字状の形状を有する。迂回部176は、水平な第1迂回部176aと、垂直な第2迂回部176bと、水平な第3迂回部176cと、垂直な第4迂回部176dと、からなる。図4に示すように、第1迂回部176aは、垂直部172の上端部から水平方向に建物の外側に向かって延出する。第2迂回部176bは、第1迂回部176aの下端から垂直方向に上向きに向かって延出する。第3迂回部176cは、第2迂回部176bの上端から水平方向に建物の内側に向かって延出する。第4迂回部176dは、第3迂回部176cの内側の端部から垂直方向に下向きに向かって延出する。第4迂回部176dの下端は、水平部178の外側の端部に接続する。第3迂回部176cは、第1迂回部176aよりも長く形成されており、図2や図4に示すように、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときには、第4迂回部176dは、取付下地材16の前面22よりも屋内側に位置する。また、第4迂回部176dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されている。
【0052】
上述したように、第3迂回部176cは、第1迂回部176aよりも長く形成され、第4迂回部176dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されているので、図2及び図4に示すように、取付金具160が水切り材18の障害とならないように、取付金具160を取付下地材16に取り付けることができる。なお、取付金具160の迂回部176は、取付下地材16に取り付けられたときに、水切り材18の障害にならないように形成されていればよく、本実施の形態で示した形状以外のもの、例えば、断面が円弧状の形状でもよい。
【0053】
取付金具160の水平部178は、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときには、水切り材18と密着するように固定される。
【0054】
上述した水平部178が、「第1取付面」に対応し、垂直部172が、「第2取付面」に対応する。
【0055】
水平部178には、受入部180が接合されている。受入部180は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、弾性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス鋼板からなるものが好ましい。受入部180は、基部182と、基部182に対して略垂直に折り曲げられた2つの脚部184a及び184bと、2つの脚部184a及び184bの各々の端部が折り曲げられて形成された係止端186a及び186bと、を含む。
【0056】
破風用化粧材100が、建物躯体10の取付下地材16に取り付けられたときには、図4に示すように、突出部122が、受入部180に受け入れられ、突出部122の係止面126aは、係止端186aによって係止され、突出部122の係止面126bは、係止端186bによって係止される。このようにすることで、受入部180によって、突出部122を的確に係止することができ、破風用化粧材100を、建物躯体10の取付下地材16に的確に取り付けることができる。
【0057】
<破風用化粧材100の建物躯体10への取付>
以下では、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。
【0058】
破風用化粧材100を建物躯体10に取り付けるときには、取付金具160を取付下地材16に予め取り付ける。上述したように、取付金具160の垂直部172には、2つの貫通孔174a及び174bが形成されている。この2つの貫通孔174a及び174bにビス17を通し、ビス17によって垂直部172を取付下地材16の前面22に取り付けることにより、図2に示すように、取付金具160を取付下地材16に固定することができる。なお、取付金具160の取付下地材16への取り付けは、取付金具160の水平部178が、水切り材18の上面と密着するように固定される。また、取付金具160には、迂回部176が形成されており、取付金具160が取付下地材16に取り付けられたときには、迂回部176は、水切り材18を迂回するように配置され、取付金具160が水切り材18の障害にならないように取り付けられる。
【0059】
取付金具160を図5及び図6に示した形状にし、上述したような取り付け方をすることによって、取付金具160を、取付下地材16の上面から前面に亘って取り付けることができる。
【0060】
この取付金具160を取付下地材16に固定した後、破風用化粧材100を取付下地材16に取り付ける。
【0061】
まず、上延出部120の突出部122が、取付金具160の受入部180に受け入れられるようにするために、図7に示すように、破風用化粧材100の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。次いで、図7及び図8に示すように、突出部122の係止面126aが、受入部180の係止端186aに当接するように、突出部122の一部を受入部180に挿入する。
【0062】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このようにすることで、上延出部120の突出部122は、取付金具160の受入部180に押し入れられる。このとき、図9に示すように、突出部124bの傾斜部128bは、受入部180の係止端186bに当接するとともに、受入部180の脚部184bを変形させる。上述したように、受入部180は、弾性を有する金属で形成されているので、受入部180は、突出部124bの傾斜部128bによって弾性変形する。また、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させたときには、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所が、破風用化粧材100の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100を的確に建物躯体10に近づけることができる。
【0063】
さらに、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させると、突出部124bの傾斜部128bと受入部180の脚部184bとの当接が解消されて、図2及び図4に示したように、突出部122の係止面126bは、係止端186bによって係止される。なお、傾斜部128bと脚部184bとの当接が解消されるときには、弾性変形していた脚部184bが付勢力によって急激に元の位置に戻るので、解消音が発せられる。この解消音を聞くことで、傾斜部128bと脚部184bとの当接が解消されたことを認識することができる。
【0064】
傾斜部128bと脚部184bとの当接が解消されたときには、破風用化粧材100の当接突起117と横溝116の裏面とが、取付下地材16の前面22と当接し、破風用化粧材100の位置を定めることができる。この状態で、横溝116に形成された貫通孔を介してビス15を取付下地材16に取り付けることで、破風用化粧材100を建物躯体10に固定することができる。
【0065】
上述したように、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける作業をするときに、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所を支点にすることができるので、この支点を中心にして破風用化粧材100を回転移動させることができ、破風用化粧材100を建物躯体10に対して的確に位置づけることができ、破風用化粧材100を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100の取付作業を容易にすることができる。
【0066】
上述した図9では、脚部184bのみが変形する場合を示したが、上述したように、受入部180は弾性を有するので、脚部184aも変形する場合がある。このような場合には、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所が変形によって移動するが、この当接している箇所が破風用化粧材100の回転中心であることに変わりはなく、この箇所が、破風用化粧材100の支点となる。したがって、脚部184aが変形する場合でも、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所を中心にして破風用化粧材100を回転移動させることができ、破風用化粧材100を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100の取付作業を容易にすることができる。
【0067】
上述したように、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける作業をするときに、係止面126aと係止端186aとが当接している箇所を支点にすることができる。さらに、破風用化粧材100が建物躯体10に取り付けられたときには、係止端186aによって係止面126aが係止され、係止端186bによって係止面126bが係止される。このように、突出部122は受入部180によって係止されるので、突出部122が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100が上方向に移動することを制限することができる。突出部122の移動を制限することによって、突出部122の下面130が基部182の上面に密着するように破風用化粧材100を位置づけたり、突出部122の下面130を基部182の上面に十分に近づけて破風用化粧材100を位置づけたりして、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122が受入部180に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0068】
また、封止部材、例えば、ゴム等の可撓性を有する合成樹脂を、突出部122の下面130と基部182の上面との間に設けたときには、破風用化粧材100と建物躯体10との密着性をより高めることができる。
【0069】
<<第2の実施の形態>>
図10は、第2の実施の形態を示す破風用化粧材100’の上延出部120’の一部と取付金具260とを示す側面図である。なお、図10では、図面の左側が建物の外側であり、図面の右側が建物の内側である。
【0070】
<上延出部120’>
上延出部120’の先端部には、上延出部120’から下方向に向かって突出する突出部122’が形成されている。図10(a)に示すように、突出部122’には、建物の内側に向かって伸びる突出部124a’と、建物の外側に向かって伸びる突出部124b’とが形成されている。
【0071】
この突出部124a’の上側には、略水平に形成された係止面126a’が形成されており、突出部124b’の上側には、下方に向かって傾斜するように形成された係止面126b’が形成されている。また、この突出部124a’の下部には、傾斜部128a’が形成されている。突出部122’の下側には下面130’が形成されている。さらに、下面130’には、両面テープ等の接着部材によって、所定の厚さを有するシール材が、下面130’の長手方向(図10(a)の表裏方向)に沿って帖設されている。このシール材の材質は、発泡ポリウレタン、ブチルゴム、ポリエチレン、EPDM等が好ましい。このように、下面130’にシール材を設けたことにより、破風用化粧材100’が、後述する取付金具260の受入部280に取り付けられたときには、破風用化粧材100’と取付金具260との間の防水効果を極めて高くすることができる。なお、この第2の実施の形態の破風用化粧材100’では、この突出部122’の形状が異なり、他の箇所については、第1の実施の形態の破風用化粧材100と同じである。
【0072】
<取付金具260>
図10に示すように、取付金具260は、取付部170と受入部280とからなる。なお、取付部170は、第1の実施の形態のものと同じである。
【0073】
水平部178には、受入部280が接合されている。受入部280は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、弾性を有するものが好ましく、例えば、ステンレスからなるものが好ましい。受入部280は、基部282と、基部282に対して略垂直に折り曲げられた2つの脚部284a及び284bと、脚部284aの端部が折り曲げられて形成された係止端286aと、脚部284bの端部が折り曲げられて形成された係合部286bと、を含む。係合部286bは、脚部284bに対して所定の角度で内側(図10(b)の右方向)に突出するように折り曲げられた第1の係合部287bと、第1の係合部287bに対して略90の角度で外側(図10(b)の左方向)に向くように折り曲げられた第2の係合部288bと、からなる。
【0074】
<破風用化粧材100’の建物躯体10への取付>
以下では、第2の実施の形態における、破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。
【0075】
まず、上延出部120’の突出部122’が、取付金具260の受入部280に受け入れられるようにするために、破風用化粧材100’の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。突出部122’の係止面126a’が、受入部280の係止端286aに当接するように、突出部122’の一部を受入部280に挿入する。
【0076】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100’を、第1の実施の形態で説明した図7と同様に、図7の矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100’の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このとき、第1の実施の形態で説明した図9と同様に、突出部124b’の傾斜部128b’は、受入部280の第2の係合部288bに当接する。この当接によって受入部280の脚部284bは、外向きに変位するように変形する。上述したように、受入部280は、弾性を有する金属で形成されているので、受入部280は、突出部124b’の傾斜部128b’によって弾性変形する。破風用化粧材100’をさらに回転させると、突出部124b’の傾斜部128b’は、第2の係合部288b上を摺動して、第1の係合部287bと第2の係合部288bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎる。
【0077】
このようにすることで、上延出部120’の突出部122’は、取付金具260の受入部280に収納される。このとき、突出部124b’の傾斜部128b’と受入部280の第2の係合部288bとの当接が解消されて、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部287bによって係止される。なお、傾斜部128b’と係合部286bとの当接が解消されるときには、弾性変形していた脚部284b’が付勢力によって急激に元の位置に戻るので、解消音が発せられる。この解消音を聞くことで、傾斜部128b’と第2の係合部288bとの当接が解消されたことを認識することができる。
【0078】
このように、破風用化粧材100’を、図7に示す矢印の方向に回転させたときには、第1の実施の形態と同様に、係止面126a’と係止端286aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100’の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100’を的確に建物躯体10に近づけ、破風用化粧材100’を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100’の取付作業を容易にすることができる。
【0079】
破風用化粧材100’が建物躯体10に取り付けられたときには、係止端286aによって係止面126a’が係止され、第1の係合部287bによって係止面126b’が係止される。このようにして、突出部122’は受入部280によって係止されるので、突出部122’が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100’が上方向に移動することを制限することができる。突出部122’の移動を制限することによって、突出部122’の下面130’が基部282の上面に密着するように破風用化粧材100’を位置づけたり、突出部122’の下面130’を基部282の上面に十分に近づけて破風用化粧材100’を位置づけたりして、破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122’が受入部280に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0080】
また、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すときには、第1の実施の形態で説明した図7の矢印の方向とは反対方向に破風用化粧材100’を回転させる。この場合も、破風用化粧材100’を取り付けるときと同様に、係止面126a’と係止端286aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となる。このとき、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部287bと当接し、受入部280の脚部284bは変形する。上述したように、上延出部120’の係止面126b’は、下方に向かって傾斜するように形成されている。このため、破風用化粧材100’を回転させるに従って、係止面126b’は、第1の係合部287b上を円滑に摺動することができ、第1の係合部287bと第2の係合部288bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎることができる。第1の係合部287bと第2の係合部288bと頂部を通り過ぎることによって、係止面126b’と係合部286bとの当接が解消され、取付金具260の受入部280に収納されていた突出部122’を受入部280から外すことができ、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すことができる。
【0081】
<<第3の実施の形態>>
図11は、第3の実施の形態を示す取付金具360を示す側面図である。なお、この第3の実施の形態では、第2の実施の形態で説明した破風用化粧材100’を用いる。すなわち、破風用化粧材100’の上延出部120’には、下方向に向かって突出する突出部122’が設けられている。この突出部122’は、第2の実施の形態で説明した図10(a)に示したものと同様の形状を有する。
【0082】
<取付金具360>
図11に示すように、取付金具360は、取付部と受入部とが一体になった形状を有する。すなわち、取付金具360は、金属を押出成形することにより、又は1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、例えば、アルミやステンレス等からなる。
【0083】
取付金具360は、垂直部372と、迂回部376と、係合部386bと、脚部384bと、基部382と、基部382に対して略垂直に折り曲げられた脚部384aと、脚部384aの端部が折り曲げられて形成された係止端386aとからなる。この第3の実施の形態では、係合部386bと脚部384bと基部382と脚部384aと係止端386aとから受入部380が構成される。
【0084】
垂直部372には、第1の実施の形態の2つの貫通孔174a及び174bと同様の2つの貫通孔(図示せず)が形成されている。この2つの貫通孔を介してビス17を取付下地材16に取り付けることにより、第1の実施の形態で説明した図2と同様に、取付金具360を取付下地材16に固定することができる。
【0085】
迂回部376は、断面が略Cの字状の形状を有する。迂回部376は、水平な第1迂回部376aと、垂直な第2迂回部376bと、水平な第3迂回部376cと、からなる。図11に示すように、第1迂回部376aは、垂直部372の上端部から水平方向に建物の外側に向かって延出する。第2迂回部376bは、第1迂回部376aの下端から垂直方向に上向きに向かって延出する。第3迂回部376cは、第2迂回部376bの上端から水平方向に建物の内側に向かって延出する。第3迂回部376cは、第1迂回部376aよりも長く形成されている。
【0086】
上述したように、受入部380は、係合部386bと脚部384bと基部382と脚部384aと係止端386aとからなる。脚部384aと脚部384bとは、基部382に対して略垂直に折り曲げられて形成されている。係止端386aは、脚部384aの端部が折り曲げられて形成されている。係合部386bは、脚部384bの端部が折り曲げられて形成されている。
【0087】
係合部386bは、脚部384bに対して所定の角度で内側(図11の右方向)に突出するように折り曲げられた第1の係合部387bと、第1の係合部387bに対して略90の角度で外側(図11)に向くように折り曲げられた第2の係合部388bと、からなる。第2の係合部388bの上端部は、迂回部376の第3迂回部376cの右端部に接続する。図11に示すように、取付金具360が取付下地材16に取り付けられたときには、係合部386bや脚部384bは、取付下地材16の前面22よりも内側に位置する。また、係合部386bの上端部は、水切り材18が折り曲げられた部分よりも高い位置に位置するように形成されている。
【0088】
上述したように、第3迂回部376cは、第1迂回部376aよりも長く形成され、係合部386bの上端部は、水切り材18が折り曲げられた部分よりも高い位置に位置するように形成されているので、図11に示すように、取付金具360が水切り材18の障害とならないように、取付金具360を取付下地材16に取り付けることができる。なお、取付金具360の迂回部376は、取付下地材16に取り付けられたときに、水切り材18の障害にならないように形成されていればよく、本実施の形態で示した形状以外のもの、例えば、断面が円弧状の形状でもよい。
【0089】
基部382は、取付金具360が取付下地材16に取り付けられたときには、水切り材18と密着するように固定される。
【0090】
<破風用化粧材100’の建物躯体10への取付>
以下では、第3の実施の形態における破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。なお、上述したように、この破風用化粧材100’は、第2の実施の形態のものと同じものである。
【0091】
まず、上延出部120’の突出部122’が、受入部380に受け入れられるようにするために、破風用化粧材100’の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。突出部122’の係止面126a’が、受入部380の係止端386aに当接するように、突出部122’の一部を受入部380に挿入する。
【0092】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100’を、第2の実施の形態と同様に、図7に示す矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100’の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このとき、第2の実施の形態と同様に、突出部124b’の傾斜部128b’は、受入部380の第2の係合部388bに当接する。この当接によって受入部380の脚部384bは、外向きに変位するように変形する。上述したように、受入部380は、弾性を有する金属で形成されているので、受入部380は、突出部124b’の傾斜部128b’によって弾性変形する。破風用化粧材100’をさらに回転させると、突出部124b’の傾斜部128b’は、第2の係合部388b上を摺動して、第1の係合部387bと第2の係合部388bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎる。
【0093】
このようにすることで、上延出部120’の突出部122’は、取付金具360の受入部380に収納される。このとき突出部124b’の傾斜部128b’と受入部380の第2の係合部388bとの当接が解消されて、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部387bによって係止される。なお、傾斜部128b’と係合部386bとの当接が解消されるときには、弾性変形していた脚部384bが付勢力によって急激に元の位置に戻るので、解消音が発せられる。この解消音を聞くことで、傾斜部128b’と第2の係合部388bとの当接が解消されたことを認識することができる。
【0094】
第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様に、破風用化粧材100’を回転させたときには、係止面126a’と係止端386aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100’の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100’を的確に建物躯体10に近づけ、破風用化粧材100’を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100’の取付作業を容易にすることができる。
【0095】
また、第2の実施の形態と同様に、破風用化粧材100’が建物躯体10に取り付けられたときには、係止端386aによって係止面126a’が係止され、第1の係合部387bによって係止面126b’が係止される。このようにして、突出部122’は受入部380によって係止されるので、突出部122’が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100’が上方向に移動することを制限することができる。突出部122’の移動を制限することによって、突出部122’の下面130’が基部382の上面に密着するように破風用化粧材100’を位置づけたり、突出部122’の下面130’を基部382の上面に十分に近づけて破風用化粧材100’を位置づけたりして、破風用化粧材100’を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122’が受入部380に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0096】
また、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すときには、第1の実施の形態で説明した図7の矢印の方向とは反対方向に破風用化粧材100’を回転させる。この場合も、破風用化粧材100’を取り付けるときと同様に、係止面126a’と係止端386aとが当接している箇所が、破風用化粧材100’の回転中心となる。このとき、突出部122’の係止面126b’が、第1の係合部387bと当接し、受入部380の脚部384bは変形する。上述したように、上延出部120’の係止面126b’は、下方に向かって傾斜するように形成されている。このため、破風用化粧材100’を回転させるに従って、係止面126b’は、第1の係合部387b上を円滑に摺動することができ、第1の係合部387bと第2の係合部388bと頂部(内側に最も突出した箇所)を通り過ぎることができる。第1の係合部387bと第2の係合部388bと頂部を通り過ぎることによって、係止面126b’と係合部386bとの当接が解消され、取付金具360の受入部380に収納されていた突出部122’を受入部380から外すことができ、破風用化粧材100’を建物躯体10から取り外すことができる。
【0097】
<<第4の実施の形態>>
図12は、第4の実施の形態を示す取付金具460を示す側面図である。なお、この第4の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した破風用化粧材100を用いる。すなわち、破風用化粧材100の上延出部120には、下方向に向かって突出する突出部122が設けられている。この突出部122は、第1の実施の形態で説明した図4に示したものと同様の形状を有する。
【0098】
<取付金具460>
図12に示すように、取付金具460は、取付部170と受入部480とからなる。なお、取付部170は、第1の実施の形態のものと同じである。
【0099】
水平部178には、受入部480が接合されている。受入部480は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、弾性を有するものが好ましく、例えば、ステンレスからなる。受入部480は、基部482と、基部482に対して略垂直に折り曲げられた2つの脚部484a及び484bと、2つの脚部484a及び484bの各々の端部が2箇所で曲げられて形成された水平端部486a及び486bと、傾斜端部488a及び488bとを含む。水平端部486aは、脚部484aに対して略直角に折り曲げられ、傾斜端部488aは、水平端部486aに対して鋭角をなして折り曲げられている。同様に、水平端部486bは、脚部484bに対して略直角に折り曲げられ、傾斜端部488bは、水平端部486bに対して鋭角をなして折り曲げられている。
【0100】
<破風用化粧材100の建物躯体10への取付>
以下では、第4の実施の形態における、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程について説明する。
【0101】
まず、上延出部120の突出部122が、取付金具460の受入部480に受け入れられるようにするために、第1の実施の形態の図7と同様に、破風用化粧材100の姿勢を建物躯体10に対して斜めにする。次いで、突出部122の係止面126aが、受入部480の傾斜端部488aの一部に当接するように、突出部122の一部を受入部480に挿入する。
【0102】
次に、この当接の状態を維持しつつ、破風用化粧材100を、第1の実施の形態で説明した図7と同様に、図7の矢印の方向に回転させる。すなわち、破風用化粧材100の下端が、建物躯体10の下端に近づくようにする。このようにすることで、上延出部120’の突出部122は、取付金具460の受入部480に収納される。このように、破風用化粧材100を、図7に示す矢印の方向に回転させたときには、第1の実施の形態と同様に、係止面126aと傾斜端部488aの一部とが当接している箇所が、破風用化粧材100の回転中心となり、その箇所が、破風用化粧材100の支点となる。このように支点が形成されるように構成したことにより、破風用化粧材100を的確に建物躯体10に近づけ、破風用化粧材100を建物躯体10の所望する位置に取り付けることができるとともに、破風用化粧材100の取付作業を容易にすることができる。
【0103】
破風用化粧材100が建物躯体10に取り付けられたときには、傾斜端部488aの一部によって係止面126aが係止され、傾斜端部488bの一部によって係止面126bが係止される。このようにして、突出部122は受入部480によって係止されるので、突出部122が上方向に移動すること、すなわち、破風用化粧材100が上方向に移動することを制限することができる。突出部122の移動を制限することによって、突出部122の下面130が基部482の上面に密着するように破風用化粧材100を位置づけたり、突出部122の下面130を基部482の上面に十分に近づけて破風用化粧材100を位置づけたりして、破風用化粧材100を建物躯体10に取り付けることができる。このようにすることで、突出部122が受入部480に取り付けられた箇所からの雨水の侵入を的確に防止することができる。
【0104】
また、上述した第1〜第3の実施の形態と同様に、封止部材、例えば、ゴム等の可撓性を有する合成樹脂を、突出部122の下面130と基部482の上面との間に設けたときには、破風用化粧材100と建物躯体10との密着性をより高めることができる。
【0105】
<<第5の実施の形態>>
図13は、第5の実施の形態を示す取付金具560を示す側面図である。なお、この第5の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した破風用化粧材100を用いる。すなわち、破風用化粧材100の上延出部120には、下方向に向かって突出する突出部122が設けられている。この突出部122は、第1の実施の形態で説明した図4に示したものと同様の形状を有する。
【0106】
<取付金具560>
図12に示すように、取付金具560は、取付部570と受入部180とからなる。なお、受入部180は、第1の実施の形態のものと同じである。
【0107】
取付部570は、1枚の金属を折り曲げることにより形成される。この金属は、例えば、アルミからなる。取付部570は、垂直部572と迂回部576と水平部578とからなる。
【0108】
迂回部576は、断面が略Cの字状の形状を有する。迂回部576は、水平な第1迂回部576aと、垂直な第2迂回部576bと、水平な第3迂回部576cと、垂直な第4迂回部576dと、からなる。図13に示すように、第1迂回部576aは、垂直部572の上端部から水平方向に建物の外側に向かって延出する。第2迂回部576bは、第1迂回部576aの下端から垂直方向に上向きに向かって延出する。第3迂回部576cは、第2迂回部576bの上端から水平方向に建物の内側に向かって延出する。第4迂回部576dは、第3迂回部576cの内側の端部から垂直方向に下向きに向かって延出する。第4迂回部576dの下端は、水平部578の内側の端部に接続する。第3迂回部576cは、第1迂回部576aよりも長く形成されており、図13に示すように、取付金具560が取付下地材16に取り付けられたときには、第4迂回部576dは、取付下地材16の前面22よりも屋内側に位置する。また、第4迂回部576dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されている。
【0109】
上述したように、第3迂回部576cは、第1迂回部576aよりも長く形成され、第4迂回部576dは、水切り材18が折り曲げられた部分の高さよりも長く形成されているので、図13に示すように、取付金具560が水切り材18の障害とならないように、取付金具560を取付下地材16に取り付けることができる。なお、取付金具560の迂回部576は、取付下地材16に取り付けられたときに、水切り材18の障害にならないように形成されていればよく、本実施の形態で示した形状以外のもの、例えば、断面が円弧状の形状でもよい。
【0110】
上述した第3迂回部576cには、受入部180が接合されている。上述したように、受入部180は、第1の実施の形態のものと同じである。したがって、破風用化粧材100の建物躯体10への取り付けは、第1の実施の形態で説明したものと同様の手順で行うことができる。
【0111】
上述したように、受入部180は、水平な第3迂回部576cに接合されている。このため、図13に示すように、受入部180は、取付下地材16や水切り材18に対して高い位置に配置される。このような構造としたことにより、受入部180が雨水等の水分と接触する可能性を低くすることができ、受入部180が錆びる等の劣化を防止することができる。
【0112】
<<第6の実施の形態>>
上述した第1〜第5の実施の形態では、取付金具160,260,360,460又は560と、水切り材18とが、別体になったものを示したが、これらの取付金具と水切り材18とを、一体にしてもよい。このようにすることで、これらの部材を1度に取り付けることができ、取付作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】建物において化粧材が用いられる箇所を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態による破風用化粧材100の取付状態を示す断面図である。
【図3】第1の実施の形態による破風用化粧材100を示す断面図である。
【図4】第1の実施の形態による破風用化粧材100が建物躯体10に取り付けられたときの状態を示す拡大断面図である。
【図5】第1の実施の形態による取付金具160を示す断面図である。
【図6】第1の実施の形態による取付金具160を示す斜視図である。
【図7】第1の実施の形態による破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程を示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態による破風用化粧材100を建物躯体10に取り付ける過程の詳細を示す断面図である。
【図9】上延出部120の突出部122が、取付金具160の受入部180に押し入れられた状態を示す断面図である。
【図10】第2の実施の形態を示す上延出部120’の一部と取付金具260とを示す側面図である。
【図11】第3の実施の形態による取付金具360を示す断面図である。
【図12】第4の実施の形態による取付金具460を示す断面図である。
【図13】第5の実施の形態による取付金具560を示す断面図である。
【符号の説明】
【0114】
10 建物躯体
17 ビス(固定具)
18 水切り部材
20 上面(第1の面)
22 前面(第2の面)
100,100’ 破風用化粧材(化粧材)
111,112,113 化粧面(基板部)
120,120’ 上延出部(延出部)
122,122’ 突出部
160,260,360,460,560 取付金具
178,578 水平部(第1取付面)
172,372,572 垂直部(第2取付面)
176,376,576 迂回部
180,280,380,480 受入部
382 基部(第1取付面)
A 破風
B 鼻隠し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面に対して所定の角をなす第2の面とを有する建物躯体に、取付金具を介して化粧材を取り付ける取付構造であって、
前記化粧材は、基板部と、前記基板部から延出する延出部と、を含み、
前記延出部は、前記取付金具を介して前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられ、かつ、前記基板部は、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記化粧材は、前記延出部と前記基板部とが、前記所定の角に対応した角をなすように形成された請求項1記載の取付構造。
【請求項3】
前記取付金具は、前記第1の面に対応した第1取付面と、前記第2の面に対応した第2取付面と、を有する請求項1記載の取付構造。
【請求項4】
前記第2取付面が、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることによって、前記取付金具は、前記建物躯体の前記第1の面から前記第2の面に亘って取り付けられる請求項3記載の取付構造。
【請求項5】
前記取付金具は、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられかつ前記第2の面から突出する水切り部材を迂回する迂回部を含む請求項1記載の取付構造。
【請求項6】
前記化粧材の前記延出部は、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具は、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に設けられた受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられるときに、前記突出部が前記受入部と当接する箇所を支点に、前記化粧材が回転できる請求項1記載の取付構造。
【請求項7】
前記化粧材の前記延出部は、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具は、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に形成された受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられたときには、前記突出部は、前記受入部によって係止され、前記延出部は、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられる請求項1記載の取付構造。
【請求項1】
第1の面と前記第1の面に対して所定の角をなす第2の面とを有する建物躯体に、取付金具を介して化粧材を取り付ける取付構造であって、
前記化粧材は、基板部と、前記基板部から延出する延出部と、を含み、
前記延出部は、前記取付金具を介して前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられ、かつ、前記基板部は、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることを特徴とする取付構造。
【請求項2】
前記化粧材は、前記延出部と前記基板部とが、前記所定の角に対応した角をなすように形成された請求項1記載の取付構造。
【請求項3】
前記取付金具は、前記第1の面に対応した第1取付面と、前記第2の面に対応した第2取付面と、を有する請求項1記載の取付構造。
【請求項4】
前記第2取付面が、固定具によって前記建物躯体の前記第2の面に取り付けられることによって、前記取付金具は、前記建物躯体の前記第1の面から前記第2の面に亘って取り付けられる請求項3記載の取付構造。
【請求項5】
前記取付金具は、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられかつ前記第2の面から突出する水切り部材を迂回する迂回部を含む請求項1記載の取付構造。
【請求項6】
前記化粧材の前記延出部は、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具は、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に設けられた受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられるときに、前記突出部が前記受入部と当接する箇所を支点に、前記化粧材が回転できる請求項1記載の取付構造。
【請求項7】
前記化粧材の前記延出部は、前記延出部から突出する突出部を含み、
前記取付金具は、前記突出部を受け入れ可能に前記第1取付面に形成された受入部を含み、
前記化粧材が前記建物躯体に取り付けられたときには、前記突出部は、前記受入部によって係止され、前記延出部は、前記建物躯体の前記第1の面に取り付けられる請求項1記載の取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−126886(P2007−126886A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320772(P2005−320772)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
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