説明

化粧板の防水処理方法

【課題】化粧板Aの基材1木口面に防水処理剤を塗布して防水処理層13を形成する場合に、基材1表面の化粧シート等に防水処理剤を付着させることなく、基材1に防水処理層13を欠損部無く表面全体に形成できるようにする。
【解決手段】浸透性基材1の木口面において、防水処理がされていない露出部8に対する防水処理剤の塗布範囲を表面化粧層2から僅かに離れた非塗布部10,11を残した範囲の塗布部12に特定し、その非塗布部10,11には塗布部12に塗布した防水処理剤15を浸透させ、これらによって基材1の露出部8の表面層全体を防水処理剤15の浸透層からなる防水処理層13に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧板の防水処理方法に関し、特に、化粧板の浸透性基材の木口面に防水処理を施す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、ラワン合板、針葉樹合板、木質繊維板又は早生樹合板からなる基材の表面に化粧シートが、また基材の裏面に耐水性紙又は耐水性樹脂からなる裏貼りシートがそれぞれ貼着されており、各シートにより被覆されていない基材側面に耐水性樹脂層が形成されてなる床用化粧材は知られている。
【0003】
ところで、この特許文献1のものの耐水性樹脂層を形成するに当たり、従来の耐水性樹脂を塗布又は噴霧するためには、一般的にはスプレーやスポンジロールコーターといった塗布装置が用いられる。しかし、これらの塗布装置によると、塗布したい部分の周辺に耐水性樹脂が飛び散り、化粧シート表面に付着してそれを汚染するという問題があった。その場合、特許文献1のように樹脂製の化粧シートであると、その表面を汚染した樹脂を拭き取りにより除去することも可能であるが、特に突板化粧シートを使用していると、耐水性樹脂を完全に除去することが難しく、突板化粧シート表面の塗装むらの原因となるという問題があった。
【0004】
他方、特許文献2に示されるように、極小幅カーテンコータ用ノズルによる塗布装置が開発されている。この塗布装置は、ノズルの液体吐出ノズル孔より塗液を笹の葉状の液膜となるように吐出させ、その液膜の両側縁上に発生する肉厚部に対し両側方よりノズルからのエア流を吹き付けて挟圧することで、肉厚部を薄肉化せしめて液膜の厚さを均一化するとともに、同時に上記液膜吐出と共に飛び散る小液滴を、上記液膜の両側のエア流及びそれらが合流して降下するエア流の間に封じ込めて、液膜の両側縁の外方に飛散するのを遮断しつつコートするようにしたものである。
【0005】
この塗布装置により、被塗物面上には、厚さの均一化されかつその両側縁の境界線の鮮明な液膜が得られるので、周辺へ耐水性樹脂を飛び散らせることなく防水処理を施すことができる。
【特許文献1】特開2006−97321号公報
【特許文献2】特開平6−178959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この特許文献2の塗布装置を用いる場合、塗布しようとする樹脂の飛び散りは防止できても、化粧シート表面に付着した汚染を確実に解決することはできない。すなわち、基材の耐水性を向上させるには防水処理層を欠損部無く表面全体に形成することが肝要であるが、このように防水処理層を形成するために、通常は耐水性樹脂等の防水処理剤を化粧シートで被覆されていない部分よりも大きい範囲まで塗布する、つまり化粧シートにかかるように塗装することが行われる。その場合、やはり化粧シートに汚れが付着するのは避けられず、この汚れを後から拭き取る等の作業が生じる。
【0007】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、防水処理剤の基材に対する塗布方法を改良することで、基材表面の化粧シート等への防水処理剤の付着を招くことなく、基材に防水処理層を欠損部無く表面全体に形成できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、浸透性基材では防水処理剤が浸透して広がっていくことに着目し、その塗布範囲を表面の化粧シート等から僅かに離れた範囲に特定し、その非塗布範囲には塗布範囲に塗布した防水処理剤を浸透させるようにし、もって防水処理層を基材に欠損部無く形成するようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明では、浸透性基材と、この浸透性基材の表面に積層された表面化粧層とを備え、浸透性基材の木口面に防水処理がされていない露出部を有する化粧板の防水処理方法が対象である。そして、上記露出部のうち、浸透性基材の表面化粧層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の表面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、該防水処理剤を露出部の塗布部ないし表面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を上記浸透性防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成することを特徴とする。
【0010】
一方、請求項2の発明では、浸透性基材と、この浸透性基材の表面に防湿層を介して積層された表面化粧層とを備え、浸透性基材の木口面に防水処理されていない露出部を有する化粧板の防水処理方法が対象である。そして、上記露出部のうち、浸透性基材の防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の表面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、該防水処理剤を露出部の塗布部ないし表面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を上記浸透性防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成することを特徴とする。
【0011】
これら請求項1及び2の発明では、浸透性基材の木口面の露出部のうち、表面化粧層又は防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲が表面側非塗布部とされ、この表面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤が塗布される。基材は浸透性であるので、その塗布された防水処理剤は塗布部ないし表面側非塗布部に亘り基材に浸透する。このことで、露出部の表面層全体が塗布部だけでなく表面側非塗布部についても防水処理剤の浸透した浸透層からなる防水処理層に形成される。よって、基材に表面化粧層が直接又は防湿層を介して積層された化粧板に、その表面化粧層を汚すことなく、木口面の防水処理層を欠損部無く形成することができる。
【0012】
請求項3の発明では、上記浸透性基材の裏面に裏面防湿層が設けられている。また、上記塗布部は、上記露出部のうち、上記浸透性基材の裏面防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の裏面側非塗布部を残した範囲である。そして、この塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、該防水処理剤を塗布部ないし裏面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を浸透性防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成することを特徴とする。
【0013】
この請求項3の発明では、浸透性基材の木口面の露出部のうち、浸透性基材の裏面防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の裏面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤が塗布される。この塗布された防水処理剤は塗布部ないし裏面側非塗布部に亘り基材に浸透し、このことで、露出部の表面層全体が塗布部だけでなく裏面側非塗布部についても防水処理剤の浸透した浸透層からなる防水処理層に形成される。よって、基材に裏面防湿層が積層された化粧板に、その裏面防湿層を汚すことなく、木口面の防水処理層を欠損部無く形成することができる。
【0014】
請求項4の発明では、化粧板の木口面に面取部及び雌雄実部が浸透性基材の露出部を含むように設けられており、この面取部及び雌雄実部が設けられた浸透性基材の塗布部に防水処理剤を塗布することを特徴とする。
【0015】
この請求項4の発明では、化粧板の木口面に面取部及び雌雄実部が基材の露出部を含むように設けられていても、その塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して非塗布部に浸透させることができ、面取部及び雌雄実部を有する化粧板の浸透性基材の木口面に防水処理層を欠損部無く形成することができる。
【0016】
請求項5の発明では、防水処理剤を塗布する塗布装置は、極小幅カーテンコーターによる非接触型のストライプ状フィルムコーティング装置であることを特徴とする。
【0017】
この請求項5の発明では、極小幅カーテンコーターによる非接触型のストライプ状フィルムコーティング装置を用いることにより、防水処理剤の飛び散りがなく、防水処理剤が両側縁の境界線の鮮明な液膜により塗布されるので、浸透性基材の露出部に非塗布部を確実に残して、つまり塗布部に対し非塗布部と正確に区画して浸透性防水処理剤を塗布することができ、防水処理層を安定して精度よく形成することができる。
【0018】
請求項6の発明では、上記非塗布部の幅は0.5mm〜1.0mmであることを特徴とする。この請求項6の発明では、塗布部に塗布された防水処理剤を確実に非塗布部まで浸透させて、上記発明の作用が有効に発揮されるのに最適な非塗布部の幅が得られる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、請求項1の発明では、浸透性基材の表面に表面化粧層が積層され、基材の木口面に防水処理がされていない露出部を有する化粧板を防水処理する場合に、露出部のうち、基材の表面化粧層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の表面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、その防水処理剤を露出部の塗布部ないし表面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成した。また、請求項2の発明では、浸透性基材の表面に防湿層を介して表面化粧層が積層され、その基材の木口面に防水処理されていない露出部を有する化粧板を防水処理する場合に、露出部のうち、基材の防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の表面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、防水処理剤を露出部の塗布部ないし表面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成した。従って、これらの発明によると、基材に表面化粧層が直接又は防湿層を介して積層された化粧板に、表面化粧層を汚すことなく、木口面の防水処理剤による防水処理層を欠損部無く形成することができる。
【0020】
請求項3の発明によると、裏面に裏面防湿層が設けられている浸透性基材木口面の露出部のうち、浸透性基材の裏面防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の裏面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、防水処理剤を塗布部ないし裏面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成したことにより、浸透性基材に裏面防湿層が積層された化粧板に、その裏面防湿層を汚すことなく、木口面の防水処理層を欠損部無く形成することができる。
【0021】
請求項4の発明によると、化粧板の木口面に面取部及び雌雄実部が浸透性基材の露出部を含むように設けられた浸透性基材の塗布部に防水処理剤を塗布することにより、面取部及び雌雄実部を有する化粧板の基材木口面に防水処理層を欠損部無く形成することができる。
【0022】
請求項5の発明では、防水処理剤を塗布する塗布装置は、極小幅カーテンコーターによる非接触型のストライプ状フィルムコーティング装置としたことにより、浸透性防水処理剤を塗布部に対し非塗布部と区画して正確に塗布することができ、防水処理層を安定して精度よく形成することができる。
【0023】
請求項6の発明によると、非塗布部の幅は0.5mm〜1.0mmとしたことにより、最適な幅の非塗布部が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0025】
[実施形態1]
図6〜図9は本発明の実施形態に係る方法により防水処理しようとする化粧板A1〜A4の例を示す。図6に示す化粧板A1は、浸透性基材1と、その表面に積層一体化された表面化粧層2とからなる。図7に示す化粧板A2は、浸透性基材1と、その表面に防湿層4を介して積層一体化された表面化粧層2とからなる。図8に示す化粧板A3は、浸透性基材1と、その表面に積層された表面化粧層2と、基材1の裏面に設けられた裏面防湿層5とからなる。さらに、図9に示す化粧板A4は、浸透性基材1と、その表面に防湿層4を介して積層された表面化粧層2と、浸透性基材1の裏面に設けられた裏面防湿層5とからなる。
【0026】
いずれの化粧板A1〜A4も、浸透性基材1の例えば四周の木口面に、防水処理がされていない露出部8を有する。上記浸透性基材1及び表面化粧層2はいずれの化粧板A1〜A4でも同じものであり、防湿層4及び裏面防湿層5ついても同じである。
【0027】
(浸透性基材)
上記浸透性基材1としては、浸透性防水処理剤15の浸透を妨げない板状材が用いられる。特に、その厚さ方向の浸透が肝要なため、無機質繊維板や木質繊維板等の繊維状物をバインダーにより成形した繊維状物成形板(以下、繊維板ともいう)が用いられる。例えば合板の場合は、厚さ方向の浸透性がそれほど高くないために好ましくないので、少なくとも非塗布部、及び塗布部の非塗布部との近傍を構成する材料として繊維板を用いた、合板及び繊維板の複合基材を使用するのがよい。
【0028】
繊維板には、ユリアメラミン系樹脂を結合剤として用いた「Uタイプ」、メラミン系樹脂を結合剤として用いた「Mタイプ」、フェノール系樹脂を結合剤として用いた「Pタイプ」がある。その他、イソシアネート系樹脂やポリオール系樹脂を用いた繊維板等が用いられる。優れた「形態安定性」を実現するためには、結合剤としては「Uタイプ」以外のものを使用するのが好ましい。
【0029】
例えば無機質繊維板としては、比重0.4〜1.2程度のものが好ましく、ロックウール板や火山性ガラス質複層板等が用いられる。無機質繊維板の比重としては、耐傷性、耐荷重性、樹脂浸透性等に配慮して選択され、具体的には、比重0.4〜1.2の無機質繊維板が選択される。比重が0.4よりも小さい場合は耐傷性及び耐荷重性に劣る化粧板Aとなる一方、比重が1.2よりも大きくなると、樹脂浸透性が悪くなり、浸透性防水処理剤15の浸透を妨げるため、好ましくない。
【0030】
例えば木質繊維板としては、比重0.4〜1.0程度のものが好ましく、一般的な中質木質繊維板(以下、MDFという)や硬質木質繊維板(以下、ハードボードという)等が使用される。広葉樹系木質繊維や針葉樹系木質繊維を用いたものがあり、これらの木質繊維と結合剤とを任意に組み合わせて使用することができる。木質繊維板の比重としては、耐傷性、耐荷重性、水分による膨れ等に配慮して選択され、具体的には、比重0.4〜1.0の木質繊維板が選択される。比重が0.4よりも小さい場合は耐傷性及び耐荷重性に劣る化粧板となる一方、比重が1.0よりも大きくなると、水分による膨れが大きくなる。
【0031】
(表面化粧層)
表面化粧層2の材質や厚みに特に制限はない。従って、例えば厚みが0.05mm〜1.0mm程度の化粧紙、化粧含浸紙、木質化粧薄単板、化粧樹脂シート等が使用される。但し、化粧紙、化粧含浸紙、木質化粧薄単板等の防湿性を有しないシート材を用いる場合には、表面にウレタン塗料やアクリル塗料等による透明塗膜層を設け、防水性を付与するのが好ましい。
【0032】
好適には、0.05〜0.2mm程度の厚みの化粧紙、0.1〜0.2mm程度の化粧含浸紙、0.2〜0.6mm程度の木質化粧薄単板等の表面にアクリル型紫外線硬化型塗料による防水性透明塗膜層が設けられたもの、又は0.15〜0.6mm程度の防水性を有する化粧樹脂シートが使用される。
【0033】
(防湿層又は裏面防湿層)
また、図7及び図9に示すように、表面化粧層2と浸透性基材1との界面に1層の防湿層4を設けてもよい。表面化粧層2として、特に薄い突板、化粧紙や化粧含浸紙を使用した場合は、後述するように、浸透性基材1に浸透させた浸透性防水処理剤15が表面化粧層2まで染み上がってくる可能性がある。この場合、防湿層4を1層設けておくことで、染み上がりを防ぐことができる。さらに、表面側の防湿処理を確実に行うことができる。
【0034】
上記防湿層4としては、表裏に接着用シーラーを塗布した樹脂シートや金属シート、又は極薄樹脂シートや金属シートの表裏を紙層で積層一体化したポリサンド紙やアルミサンド紙等が用いられる。また、防湿性を有する樹脂膜を形成してもよい。この場合は、ホットメルトや反応性PURホットメルト等が好適に用いられる。
【0035】
上記表面化粧層2と浸透性基材1との間に設けられる防湿層4は、好ましくは0.02mm〜0.5mm程度の薄膜がよい。最も好適には、極薄樹脂膜や極薄金属膜の両面に薄葉紙を積層一体化した、一般的なアルミサンド紙やポリサンド紙といわれる防湿シート状物が用いられる。
【0036】
また、図8及び図9に示すように、浸透性基材1の裏面に裏面防湿層5を積層一体化してもよい。この場合、浸透性基材1に対する湿気や水分の影響を小さくすることができる。
【0037】
この裏面防湿層5は、厚さに拘わらず防湿性があればよい。一般的には、0.02mm〜6.0mm程度のものが用いられる。0.02mm〜0.5mm程度の薄膜からなる防湿層(図4及び図5参照)でもよいし、2.0mm〜6.0mm程度の厚い防湿層(図10及び図11参照)でもよい。
【0038】
上記薄膜からなる防湿層としては、表裏に接着用シーラーを塗布した樹脂シートや金属シート、又は極薄樹脂シートや金属シートの表裏を紙層で積層一体化したポリサンド紙やアルミサンド紙等が用いられる。また、防湿性を有する樹脂膜を形成してもよい。この場合は、ホットメルトや反応性PURホットメルト等が好適に用いられる。
【0039】
一方、厚い防湿層の場合は、オレフィン系樹脂や塩化ビニル系樹脂や、これらの樹脂と炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の無機微細粉状体とが混合された高比重樹脂シート等が好適に用いられる。
【0040】
(浸透性基材と表面化粧層又は防湿層との接着)
これら浸透性基材1と表面化粧層2又は防湿層4,5とは、接着剤を介して積層一体化される。この接着剤としては一般的な接着剤が使用される。例えば尿素メラミン系樹脂、酢ビ系樹脂、ラテックス系樹脂、水性ビニルウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、イソシアネート系樹脂及びこれらの変性物等が単独又は混合して使用される。
【0041】
(防水処理方法)
次に、このような化粧板A1〜A4を防水処理する本発明の実施形態に係る防水処理方法について説明する。この防水処理方法は、化粧板A1〜A4における浸透性基材1四周の木口面の、防水処理がされていない露出部8に浸透性防水処理剤15を塗布することで行われる。
【0042】
具体例として、図8に示す化粧板A3(浸透性基材1と、その表面に積層された表面化粧層2と、基材1の裏面に設けられた裏面防湿層5とからなるもの)についての防水処理方法を説明する。図1〜図5に示すように、上記浸透性基材1四周の木口面の露出部8のうち、浸透性基材1の表面化粧層2との境界端部から、化粧板厚さ方向に所定の距離d1だけ離れた位置B1までの範囲の表面側非塗布部10を残しかつ上記浸透性基材1の裏面防湿層5との境界端部から、化粧板厚さ方向に所定の距離d2だけ離れた位置B2までの範囲の裏面側非塗布部11を残した範囲からなる塗布部12を設定し、その塗布部12に塗布装置24を用いて浸透性防水処理剤15を塗布して、その塗布部12に塗布された防水処理剤15を塗布部12ないし露出部8の表面側非塗布部10及び裏面側非塗布部11に浸透させ、このことで露出部8の表面層全体を上記浸透性防水処理剤15が浸透した浸透層からなる防水処理層13に形成する。
【0043】
上記表面側非塗布部10の幅、つまり露出部8のうち浸透性基材1の表面化粧層2との境界端部から塗布部12までの距離d1、及び裏面側非塗布部11の幅、つまり露出部8のうち浸透性基材1の浸透性基材1の裏面防湿層5との境界端部から塗布部12までの距離d2はいずれも同じで、塗布部10に塗布された浸透性防水処理剤15が基材1に浸透可能な距離であり、d1=d2=0.5mm〜1.0mmが望ましい。
【0044】
図1は、化粧板A3の浸透性基材1の例えば幅方向に対向する木口面の塗布部12,12にそれぞれ1対の塗布装置24,24を用いて同時に浸透性防水処理剤15を塗布している途中の状態を示す側面図である。また、図2は同状態を示す正面図、図3は同状態を示す平面図であり、固定された各塗布装置24に対し化粧板A3を相対的に移動させることで、各塗布装置24が、木口面に垂直な方向から浸透性防水処理剤15を塗布するようにしている。そして、図4は木口面の塗布部12に浸透性防水処理剤15を塗布した直後の状態の化粧板A3の一部を拡大して示し、図5は塗布後にしばらく経過した状態を拡大して示している。
【0045】
図4に示すように、上記基材1の木口面の塗布部12に浸透性防水処理剤15を塗布すると、その塗布部12表面に塗布された浸透性防水処理剤15は、時間の経過に伴って浸透性基材1中に浸透していくとともに、塗布部12から浸透性基材1の塗布されていない周りの表面側非塗布部10及び裏面側非塗布部11にも化粧板厚さ方向に浸透して広がっていく。こうして、露出部8の表面に塗布された浸透性防水処理剤15は、浸透性基材1の露出部8全体の表面近傍に浸透して拡散し、図5に示すように、露出部8の表面層全体を、浸透性防水処理剤15が基材1に一定深さに浸透した層からなる防水処理層13に形成する。このように、境界端部に対し非塗布部10,11の幅d1,d2を空けて塗布することにより、表面化粧層2を汚染することがなくなる。
【0046】
このとき、最も好ましくは、化粧板A表面の化粧面を下方に向けて防水処理するのが好ましい。こうすると、万が一浸透性防水処理剤15の飛び散りがあったときでも、その飛び散った防水処理剤15はそのまま落下するので、化粧面を汚染する可能性を極力避けることができる。
【0047】
また、浸透性防水処理剤15の浸透性を向上させるために、予め化粧板Aを40〜50℃程度の表面温度になるように加温しておいてもよい。
【0048】
さらに好ましくは、浸透・拡散後に乾燥、加熱又は紫外線照射等により浸透性防水処理剤15を硬化させるのがよい。
【0049】
(塗布装置)
上記塗布装置24としては、特許文献2に示される塗布装置が最も好適に用いられる。この塗布装置24は、極小幅カーテンコーターによる非接触型のストライプ状フィルムコーティング装置であり、防水処理剤15を笹の葉状の薄い液膜(図1の紙面と直交する方向、図2及び図3の左右方向が液膜の厚さとなる)となるように吐出させる1つの液体吐出ノズル孔25と、この液体吐出ノズル孔25の周りに配置された4つのエアノズル孔26,26,…とが開口するノズル27を備え、液体吐出ノズル孔25より吐出された防水処理剤15の笹の葉状の液膜を、その幅方向の両側縁上に発生する肉厚部に対し、両側方よりエアノズル孔26,26,…から吹き付けられるエア流により挟圧することで薄肉化せしめて液膜の厚さを均一化するとともに、液膜吐出と共に飛び散る小液滴を、液膜の両側のエア流及びそれらが合流したエア流の間に封じ込めて、液膜の両側縁の外方に飛散するのを遮断しつつコートするようにしたものである。
【0050】
このような塗布装置24を用いることにより、浸透性防水処理剤15の飛び散りがなく、両側縁の境界線の鮮明な液膜により塗装されるので、基材4木口面の露出部8に確実に僅かな幅の非塗布部10,11を残して浸透性防水処理剤15を塗布することができる。
【0051】
(浸透性防水処理剤)
上記浸透性防水処理剤15としては、使用する浸透性基材1との相性で、浸透性のよいものを選択する。例えば水系のアクリル系樹脂エマルジョン、エポキシ系樹脂エマルジョン、ウレタン系樹脂エマルジョン、酢ビ系樹脂エマルジョンやポバール樹脂等の水系アクリルエマルジョンやアクリル系紫外線硬化型樹脂が好適に使用される。
【0052】
この場合、これらの樹脂にシリコン変性を行ったり、ワックス系の樹脂を添加することにより撥水性を強化してもよい。
【0053】
浸透性防水処理剤15として最も好適には、シリコン変性アクリル系エマルジョン樹脂が用いられる。
【0054】
(実施形態1の効果)
したがって、この実施形態においては、化粧板A3の浸透性基材1の木口面における露出部8のうち、表面化粧層2又は防湿層4との境界端部から、浸透性防水処理剤15が浸透可能な所定の距離d1だけ離れた位置B1までの範囲の表面側非塗布部10を残しかつ裏面防湿層5との境界端部から、浸透性防水処理剤15が浸透可能な所定の距離d2だけ離れた位置B2までの範囲の裏面側非塗布部11を残した範囲の塗布部12に浸透性防水処理剤15が塗布される。この塗布された防水処理剤15は塗布部12に加えて表面側非塗布部10及び裏面側非塗布部11まで基材1を浸透し、このことで、露出部8の表面層の全体が、塗布部12だけでなく表面側非塗布部10及び裏面側非塗布部11にあっても防水処理剤15の浸透層からなる防水処理層13に形成される。よって、基材1に表面化粧層2及び裏面防湿層5が積層された化粧板A3に、表面化粧層2や裏面等を汚すことなく、木口面の防水処理層13を欠損部無く形成することができる。
【0055】
尚、図6、図7及び図9に示す各化粧板A1,A2,A4の防水処理方法は上記化粧板A3の場合と同様である。すなわち、図6に示す化粧板A1の防水処理方法では、その化粧板A1の浸透性基材1の木口面における露出部8のうち、浸透性基材1の表面化粧層2との境界端部から、所定距離d1だけ離れた位置B1までの範囲の表面側非塗布部10を残した範囲の塗布部12に浸透性防水処理剤15を塗布して、該防水処理剤15を露出部8の塗布部12から表面側非塗布部10に至るまで浸透させることで、露出部8の表面層全体を上記浸透性防水処理剤15の浸透層からなる防水処理層13に形成する。
【0056】
また、図7に示す化粧板A2の防水処理方法では、化粧板A2の浸透性基材1の木口面における露出部8のうち、浸透性基材1の防湿層4との境界端部から、所定距離d1だけ離れた位置B1までの範囲の表面側非塗布部10を残した範囲の塗布部12に浸透性防水処理剤15を塗布して、該防水処理剤15を露出部8の塗布部12から表面側非塗布部10に至るまで浸透させることで、露出部8の表面層全体を浸透性防水処理剤15の浸透層からなる防水処理層13に形成する。
【0057】
さらに、図9に示す化粧板A4の防水処理方法では、その化粧板A4の浸透性基材1の木口面における露出部8のうち、浸透性基材1の防湿層4との境界端部から、所定距離d1だけ離れた位置B1までの範囲の表面側非塗布部10を残しかつ浸透性基材1の裏面防湿層5との境界端部から、所定距離d2だけ離れた位置B2までの範囲の裏面側非塗布部11を残した範囲の塗布部12に浸透性防水処理剤15を塗布して、該防水処理剤15を露出部8の塗布部12ないし表面側非塗布部10及び裏面側非塗布部11に浸透させることで、露出部8の表面層全体を浸透性防水処理剤15の浸透層からなる防水処理層13に形成する。
【0058】
[実施形態2]
図10及び図11は本発明の実施形態2を示し(尚、図1〜図9と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明を省略する)、木口面に面取加工や実加工が施された化粧板A5を防水処理するものである。
【0059】
すなわち、この実施形態では、化粧板A5は浸透性基材1と、その表面に積層一体化された表面化粧層2と、基材1の裏面に積層一体化された裏面防湿層5とからなり、この裏面防湿層5は厚いタイプとされている。この化粧板A5の例えば四周の木口面には、表面側を表面化粧層2の全体ないし浸透性基材1の一部に亘り斜めに切り欠いてなる面取部17が形成されている。
【0060】
また、化粧板A5の例えば幅方向に対向する木口面の一方には、化粧板厚さ方向の略中央部を浸透性基材1及び裏面防湿層5に亘り断面コ字状に切り除いた凹条18を有する雌実部19が、また他方には、化粧板厚さ方向の略表面側半部及び裏面防湿層5の略裏面側半部を矩形状に切り除いた残りの部分からなる凸条20を有する雄実部21がそれぞれ設けられている。こうして得られた化粧板Aの面取部17や実部19,21において、浸透性基材1の木口面は、防水処理が行われていない露出部8になっている。つまり、化粧板A5の木口面に面取部17及び雌雄実部19,21が浸透性基材1の露出部8を含むように設けられている。
【0061】
尚、化粧板A5は、上記例とは異なり、その長さ方向に対向する木口面の一方に雌実部を、また他方に雄実部をそれぞれ設けたものでもよく、幅方向及び長さ方向の双方に雌雄実部を設けたものでもよい。
【0062】
そして、図10に示すように、このように化粧板A5の木口面に上記面取部17、雌実部19及び雄実部21が設けられた浸透性基材1の露出部8のうち、その非塗布部10,11を除いた塗布部12に対し、上記実施形態1と同様にして防水処理剤15を塗布して、その防水処理剤15を露出部8の塗布部12ないし表面側非塗布部10及び裏面側非塗布部11に浸透させることで、図11に示すように、露出部8の表面層全体を浸透性防水処理剤15が基材1に一定深さに浸透した層からなる防水処理層13に形成する。
【0063】
図10は、化粧板Aの木口面のうち、幅方向に対向する木口面を1対の塗布装置24,24を用いて同時に塗布している状態を示している。この場合、雌実部19が形成された図で右側の木口面については、塗布装置24を化粧板Aの表側(図で下側)に向けて、また雄実部21が形成された図で左側の木口面については、塗布装置24を逆に化粧板Aの裏側(図で上側)に向けてそれぞれ傾斜させた状態で、防水処理剤15を浸透性基材1の露出部8に塗布する。こうすれば、凹凸形状の露出部8でも防水処理剤15を均一な厚さに塗布することができる。
【0064】
図11はその塗布後に化粧板A5を反転させた状態を示している。その他の構成は実施形態1と同じである。
【0065】
(実施形態2の効果)
したがって、この実施形態では、化粧板A5の木口面に面取部17及び雌雄実部19,21が基材1の露出部8を含むように設けられていても、実施形態1と同様に、その塗布部12に浸透性防水処理剤15を塗布して非塗布部10,11に浸透させることができ、面取部17及び雌雄実部19,21を有する化粧板Aの浸透性基材1の木口面に防水処理層13を欠損部無く形成することができる。
【0066】
[その他の実施形態]
尚、上記各実施形態では、浸透性基材1の裏面に裏面防湿層5が設けられている化粧板A1〜A5を示しているが、この裏面防湿層5のさらに裏面側に木質材を積層一体化してもよい。その木質材としては、繊維板やパーティクルボード等の湿気や水分による寸法変化の大きな繊維板やフレークボードは好ましくなく、合板やLVL等の単板積層体や無垢材からなる木質材が好適に用いられる。
【0067】
また、上記実施形態では、浸透性基材1木口面の露出部8に表面側非塗布部10及び裏面側非塗布部11の双方を設定しているが、本発明では、表面側化粧層2との境界ではない側にある裏面側非塗布部11は必須でなく、裏面側に設けられる厚いタイプの裏面防湿層5や上記裏面に設けられる木質材の一部をも覆う(含む)ように浸透性防水処理剤15を塗布してもよい。
【実施例】
【0068】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0069】
(実施例1)
厚さ0.17mmのオレフィン樹脂性化粧シートからなる表面化粧層と、比重0.8、厚さ2.7mmのMDFからなる浸透性基材と、3mmの高比重樹脂マット(炭酸カルシウム70重量部と塩ビ系樹脂30重量部との混練物)からなる裏面防湿層とを記載順に、水性ビニルウレタン系の接着剤で冷圧により積層一体化して積層体(化粧板)を得た。この積層体の木口面に0.5mm幅の面取部と雌雄実部とをそれぞれ設けた。
【0070】
この積層体を表面温度が45℃になるように加温した後に、その木口面において、浸透性基材の表面化粧層との境界端部から0.5mm離れた範囲の表面側非塗布部、及び浸透性基材の裏面防湿層との境界部から0.5mm離れた範囲の裏面側非塗布部を除く塗布部にシリコン変性アクリル樹脂エマルジョンからなる浸透性防水処理剤を極小幅カーテンコーターにて塗布した。塗布後に60秒放置すると、表面に塗布された浸透性防水処理剤は全て浸透し、非塗布部及び面取部を含む浸透性基材の露出部全体は全て濡れ色になっていた。この積層体の突板化粧シートの表面にアクリル系紫外線硬化型塗料により透明塗膜層を設け、防水処理層が形成された化粧板を得た。この化粧板は、化粧むらのない好適な意匠の化粧板であった。
【0071】
(実施例2)
厚さ0.1mmの厚みの化粧紙からなる表面化粧層と、比重0.8、厚さ5.5mmのMDFからなる浸透性基材と、0.1mmのポリサンド紙からなる裏面防湿層とを記載順に、水性ビニルウレタン系の接着剤で冷圧により積層一体化して積層体(化粧板)を得た。この積層体の木口面に1mm幅の面取部と雌雄実部とをそれぞれ設けた。
【0072】
この積層体を表面温度が45℃になるように加温した後に、その木口面において、浸透性基材の表面化粧層との境界端部から0.5mm離れた範囲の表面側非塗布部、及び浸透性基材の裏面防湿層との境界部から0.5mm離れた範囲の裏面側非塗布部を除く塗布部にシリコン変性アクリル樹脂エマルジョンからなる浸透性防水処理剤を極小幅カーテンコーターにて塗布した。塗布後に60秒放置すると、表面に塗布された浸透性防水処理剤は全て浸透し、非塗布部及び面取部を含む浸透性基材の露出部全体は、全て濡れ色になっていた。この積層体の突板化粧シートの表面にアクリル系紫外線硬化型塗料により透明塗膜層を設け、防水処理層が形成された化粧板を得た。この化粧板も、化粧むらのない好適な意匠の化粧板であった。
【0073】
(実施例3)
厚さ0.25mmの厚みのオーク材薄突板化粧シートからなる表面化粧層と、比重0.8、厚さ2.7mmのMDFからなる浸透性基材とを、尿素メラミン系の接着剤により熱圧一体化して、化粧シート貼り基材とした。さらに、この化粧シート貼り基材と、0.1mm厚のポリサンド紙からなる裏面防湿層と、厚さ9mmの5プライ合板とを記載順に、水性ビニルウレタン系の接着剤で冷圧により積層一体化して積層体(化粧板)を得た。この積層体の木口面に0.5mm幅の面取部と雌雄実部とをそれぞれ設けた。
【0074】
この積層体を表面温度が45℃になるように加温した後に、その木口面において、浸透性基材の表面化粧層との境界端部から0.5mm離れた範囲の表面側非塗布部、及び裏面防湿層と浸透性基材との境界部から0.5mm離れた範囲の裏面側非塗布部を除く塗布部にシリコン変性アクリル樹脂エマルジョンからなる浸透性防水処理剤を極小幅カーテンコーターにて塗布した。塗布後に60秒放置すると、表面に塗布された浸透性防水処理剤は全て浸透し、非塗布部及び面取部を含む浸透性基材の露出部全体は全て濡れ色になっていた。この積層体の突板化粧シートの表面にアクリル系紫外線硬化型塗料により透明塗膜層を設け、防水処理層が形成された化粧板を得た。この化粧板も、化粧むらのない好適な意匠の化粧板であった。
【0075】
(比較例1)
上記実施例3において、面取部の木質薄突板部分を覆うように浸透性防水処理剤を塗布した以外は、同じ方法で処理した。この方法では、塗布した浸透性防水処理剤の一部が表面の木質薄突板部分にはみ出しており、はみ出した部分の浸透性防水処理剤を拭き取った後にアクリル系紫外線硬化型塗料により透明塗膜層を設け、防水処理層が形成された化粧板を得た。この例では、浸透性防水処理剤を塗布した部分には着色剤が付着せず、色むらのある化粧板しか得ることはできなかった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、基材表面の化粧シート等に防水処理剤を付着させることなく、基材に防水処理層を欠損部無く表面全体に形成できるので、極めて有用で産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、本発明の実施形態1に係る防水処理方法により化粧板の浸透性基材の幅方向に対向する木口面の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布している途中の状態を示す側面図である。
【図2】図2は、同状態を示す正面図である。
【図3】図3は、同状態を示す平面図である。
【図4】図4は、木口面の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布した直後の状態の化粧板の一部を拡大して示す正面図である。
【図5】図5は、塗布後にしばらく経過した状態を示す図4相当図である。
【図6】図6は、防水処理する化粧板の例を示す正面図である。
【図7】図7は、防水処理する化粧板の例を示す正面図である。
【図8】図8は、防水処理する化粧板の例を示す正面図である。
【図9】図9は、防水処理する化粧板の例を示す正面図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態2を示す図1相当図である。
【図11】図11は、塗布後にしばらく経過した状態の図10の化粧板を反転して示す正面図である。
【符号の説明】
【0078】
A1〜A5 化粧板
B1 浸透性基材の表面化粧層との境界端部から浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置
B2 浸透性基材の裏面防湿層との境界端部から浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置
d1,d2 距離
1 浸透性基材
2 表面化粧層
4 防湿層
5 裏面防湿層
8 露出部
10 表面側非塗布部
11 裏面側非塗布部
12 塗布部
13 防水処理層
15 浸透性防水処理剤
17 面取部
19 雌実部
21 雄実部
24 塗布装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透性基材と、該浸透性基材の表面に積層された表面化粧層とを備え、該浸透性基材の木口面に防水処理がされていない露出部を有する化粧板の防水処理方法であって、
上記露出部のうち、浸透性基材の表面化粧層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の表面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、該防水処理剤を露出部の塗布部ないし表面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を上記浸透性防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成することを特徴とする化粧板の防水処理方法。
【請求項2】
浸透性基材と、該浸透性基材の表面に防湿層を介して積層された表面化粧層とを備え、該浸透性基材の木口面に防水処理されていない露出部を有する化粧板の防水処理方法であって、
上記露出部のうち、浸透性基材の防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の表面側非塗布部を残した範囲の塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、該防水処理剤を露出部の塗布部ないし表面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を上記浸透性防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成することを特徴とする化粧板の防水処理方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の化粧板の防水処理方法において、
浸透性基材の裏面に裏面防湿層が設けられており、
塗布部は、露出部のうち、上記浸透性基材の裏面防湿層との境界端部から、該境界端部とは浸透性防水処理剤が浸透可能な距離だけ離れた位置までの範囲の裏面側非塗布部を残した範囲であり、
上記塗布部に浸透性防水処理剤を塗布して、該防水処理剤を塗布部ないし裏面側非塗布部に浸透させることで、露出部の表面層全体を浸透性防水処理剤の浸透層からなる防水処理層に形成することを特徴とする化粧板の防水処理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つの化粧板の防水処理方法において、
化粧板の木口面に面取部及び雌雄実部が浸透性基材の露出部を含むように設けられており、
上記面取部及び雌雄実部が設けられた浸透性基材の塗布部に防水処理剤を塗布することを特徴とする化粧板の防水処理方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つの化粧板の防水処理方法において、
防水処理剤を塗布する塗布装置は、極小幅カーテンコーターによる非接触型のストライプ状フィルムコーティング装置であることを特徴とする化粧板の防水処理方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つの化粧板の防水処理方法において、
非塗布部の幅は0.5mm〜1.0mmであることを特徴とする化粧板の防水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−48057(P2010−48057A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215690(P2008−215690)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】