説明

化粧板原紙及び化粧板

【課題】低圧メラミン化粧板の製造において、化粧板原紙の熱水pHの中性を維持しつつ既存の生産設備で安価に高光沢な化粧板を提供でき、且つ熱圧成形時間が短縮できる化粧板原紙の提供。
【解決手段】紙の熱水pHが6.5〜7.8に調整されたベースの化粧板原紙に、水溶液のpHが2.5〜4.5の範囲の弱酸緩衝液好ましくはクエン酸系―リン酸系緩衝液を付着量が0.3〜1.0g/mの範囲で外添し製造された熱水pHが6.0〜7.5に調整された化粧板原紙。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧板原紙及び化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
テーブルや家具や床材などに使われるメラミン化粧板はその熱圧成型時の圧力により、高
圧メラミン化粧板(70〜120kgf/cm)と低圧メラミン化粧板(10〜40k
gf/cm)に分けられる。高圧メラミン化粧板は上層と下層にそれぞれメラミン樹脂
を含浸した化粧板原紙1枚づつと中層にフェノール樹脂を含浸したコア紙を5枚積層し、
最外層にメラミンを含浸したオーバーレイ紙を1枚づつ積層して製造される。低圧メラミ
ン化粧板はパーティクルボードや合板に代表される木質系ボードにメラミン樹脂を含浸し
た化粧板原紙を貼り合わせることにより製造されている。木質ボードにメラミン樹脂を含
浸した化粧板原紙1枚を表面に、木質ボードの裏側にバランス紙を1枚熱圧成型して貼り
合わせる(特許文献1)。
【0003】
厳しい世界情勢の中、様々な商品の競争が激化しており、化粧板も勝ち残るために新たな
付加価値をもったメラミン化粧板が様々提案されている。
【0004】
高圧メラミン化粧板に付加価値としてポストフォーム性を付与することが提案されている
(特許文献2及び特許文献3)。
【0005】
高圧メラミン化粧板に使用されるオーバーレイ紙に光沢付与物質を抄き混むことが提案さ
れている(特許文献4)。ただこれだと光沢付与物質が高価であることやメラミン含浸工
程で光沢付与物質の脱落が問題になる場合がある。
【0006】
低圧メラミン化粧板で立体感を出すためのインキが提案されている(特許文献5)。
【0007】
耐摩耗性と施工性を両立した低圧メラミン化粧板が提案されている(特許文献6)。
【0008】
化粧板の耐熱耐水接着性を向上させる方法として、化粧紙に塩化アンモニウムをグラビア
コートし、更にエチレン酢酸ビニル樹脂を押し出しラミネートし、更にメラミン樹脂を塗
布したものが提案されている(特許文献7)。
【0009】
低圧メラミン化粧板に高級感を持たせる公知の方法として、熱圧成型プレス板を艶有り仕
様の金属板にして熱圧成型すると高光沢が得られるが、それではまだ不十分である。高光
沢付与物質を塗工した化粧板原紙を用いるとコスト的な問題や高光沢付与物質のメラミン
含浸工程での脱落が問題となる場合がある。高光沢付与物質を内添したオーバーレイ紙を
使用すると、そのオーバーレイ含浸紙自体のコストと成型時にオーバーレイ紙と化粧板原
紙の2枚積層せねばならず生産性低下により大幅なコストアップとなる。化粧板原紙1枚
を変更するだけで、それまでと同様な設備で高光沢の低圧メラミン化粧板の製造が可能と
なる安価な化粧板原紙が待ち望まれている。
【0010】
また、低圧メラミン化粧板の熱圧成形時間は60秒程度が主流だが、生産効率アップの為
、熱圧成形時間を短くできる化粧板原紙が待ち望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−68202号公報
【特許文献2】特許3215190公報,
【特許文献3】特開2008−106411号公報
【特許文献4】特開平05−318669号公報
【特許文献5】特開2002−220788号公報
【特許文献6】特開2000−265652号公報
【特許文献7】特許1723900公報、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来技術の持つ欠点を克服し、化粧板原紙の熱水pHの中性を維持しつつ、高
光沢で熱圧成形時間を短縮できる化粧板、特に低圧メラミン化粧板の製造が可能となる化
粧板原紙を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、かかる課題を解決するため、特定のベースの化粧板原紙に特定の弱酸塩を
外添することにより、化粧板原紙の熱水pHの中性を維持しつつ、低圧メラミン化粧板を
高光沢にでき、且つ熱圧成形時間を短縮できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
た。 すなわち本発明は、
(1)、ベースの化粧板原紙の熱水pH6.5〜7.8である化粧板原紙。
(2)、(1)の化粧板原紙に弱酸塩を0.3〜1.0g/m外添された化粧板原紙。
(3)、(2)の弱酸塩がクエン酸系或いはリン酸系或いはそれらの混合で、その水溶
液のpHが2.5〜4.5に調整された化粧板原紙。
(4)、(3)の化粧板原紙の熱水pHが6.0〜7.5である化粧板原紙。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低圧メラミン化粧板にしたときに高光沢が発現し、熱圧成形時間が短縮
できる安価な低圧メラミン化粧板原紙が提供される。さらに、ベースとなる化粧板原紙の
pHを調整することで、原紙に酸を添加しても中性となるように制御した高光沢な化粧板
原紙を提供可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。 本発明で用いられる原紙は、木材パルプを主成分とす
るものである。 使用できるパルプとしては、NBKP、NBSP、LBKP、LBSP
等が挙げられるが、特にLBKP単独或いはNBKPとLBKPを混合して使用すること
が好ましい。
【0016】
パルプはろ水度を400〜550mlCSFに叩解する。叩解する方法としては公知のも
のであれば特に限定するものでなく、例としてはビーターやダブルディスクリファイナー
やコニカルリファイナーやシンリンダーリファイナーが挙げられる。
【0017】
紙に化粧板原紙としての特性を持たせるため、遮蔽剤である2酸化チタンを添加する。ま
た、意匠性を持たせるために公知の顔料や染料や意匠材料を添加することも可能である。
顔料としては例えば弁柄(酸化鉄)がある。
【0018】
また公知の製紙薬品を内添する。例えば湿潤紙力増強剤であるポリアクリルアミドエピク
ロロヒドリンがある。その他の助剤を添加しても良い。
【0019】
紙の原料は最終的には化粧板原紙の熱水pHが6.8〜7.7になるよう公知のpH調整
剤で調整する。公知の酸としては硫酸アルミニウムが、アルカリとしてはアルミン酸ナト
リウムが例示される。
【0020】
上記の方法で作製した紙料を公知の抄造法で紙にする。具体的には長網抄紙機による抄造
法がある。
【0021】
弱酸塩を付与する方法としては公知の外添方法であればよく、ディッピング含浸、サイズ
プレス含浸、塗工、スプレーが挙げられる。含浸による付与が好ましい。
【0022】
外添する弱酸塩はその水溶液が弱酸性であれば特に制限はなく、クエン酸―リン酸水素2
ナトリウム弱酸緩衝液が例示される。更に具体的にはクエン酸―リン酸水素2ナトリウム
緩衝液が好ましく、モル比はリン酸水素2ナトリウム/クエン酸=1.39で、0.9%
水溶液のpH3.4が例示される。高光沢を発現させるためには、弱酸塩水溶液のpHは
、2.5〜4.5が好ましい。
【0023】
得られる化粧板原紙の熱水pHが6.0〜7.5になるように、その弱酸塩の外添付着量
を0.3〜1.0g/mに調整する。
【0024】
一般的に低圧メラミン化粧板用の化粧板原紙の熱水pHは中性領域(7.0±1.0)の
品質が求められる。熱水pHが6.0未満だと、化粧板原紙を長期保存した場合に黄変に
より色相が変わってしまう場合がある。メラミンを含浸してからのメラミン含浸紙として
のポットライフが短くなってしまう場合がある。逆に熱水pHが7.5より高いと熱圧成
形時間を長く取らなければならない場合がある。
【0025】
低圧メラミン化粧板は公知の作り方であれば特に問題はない。具体的には以下の工程で製
造される。
【0026】
化粧板原紙にメラミン樹脂或いはユリア樹脂を含浸するか、或いはユリア樹脂を含浸した
後、更にメラミン樹脂を含浸する2段含浸がある。含浸樹脂の例示としては主剤としてマ
ドリットMW559(メラミン樹脂、ヘキスト製)100部と、硬化剤としてマドリッド
ハードナーMH835(ヘキスト製)0.2部、浸透剤としてハイバザールVXT373
9(ヘキスト製)1部を水に溶かした55%溶液を含浸液とする。
【0027】
この含浸液をディップ含浸により、化粧板原紙に含浸率が90〜150%になるように含
浸する。含浸率とは化粧板原紙の米坪が100g/mで、メラミン樹脂含浸後の含浸紙
の米坪が200g/mとなれば、含浸率100%である。含浸紙の米坪が250g/m
となれば、含浸率150%となる。
【0028】
得られたメラミン樹脂含浸紙をパーティクルボードの上に乗せ、熱圧成型機で180℃x
20kgf/cmx60秒の条件で熱圧成型して、ボードに化粧板原紙を貼り合わせる
と低圧メラミン化粧板が得られる。
【0029】
この熱圧成型するときのプレス板は艶有り仕様のものを使う。低圧メラミン化粧板の光沢
度は高級感を出すためには90以上が望ましい。
【実施例】
【0030】
以下実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。 本実施例、比較例における評価は、以下
の方法によった。
(1)米坪JIS P8124に基づき測定した。
(2)灰分JIS P 8252に基づき測定した。
(3)熱水PHJIS P 8133に基づき測定した。紙の熱水pHが7.0±1.0の範囲にある場合を中性とした。
(4)光沢度JIS Z 8741に基づきハンディ光沢計IG―320(堀場製作所製)で測定した。光沢度90以上で高光沢性良好な低圧メラミン化粧板とした。
(5)成形時間の短縮成形時間の短縮については熱圧成形時間を60秒から45秒と短くして作製した低圧メラミン化粧板の光沢度が90以上なら、熱圧成形時間が短縮できたとした。
【0031】
(実施例1) 広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)100重量部をダブルディスクリ
ファイナーで叩解し、500mlCSFとした。これに2酸化チタン50重量部、及び無
機凝結剤、湿潤紙力剤:ポリアクリルアミドエピクロロヒドリン、助剤及び着色顔料を加
え、アルミン酸ナトリウムでpHを8.3に調整した。これを長網抄紙機で抄造して米坪
99.5g/m、灰分29%、熱水pH6.55のベースの化粧板原紙を得た。
【0032】
得られたベースの化粧板原紙に、クエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液0.9%液(
リン酸水素2ナトリウム/クエン酸モル比1.39、pH=3.44)をディッピング含
浸により付与し、シリンダードライヤーで乾燥し、米坪100.3g/m、熱水pH6
.46の化粧板原紙を得た。塗布量は0.8g/mであった。
【0033】
(実施例2)針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)10重量部と広葉樹晒しクラフトパ
ルプ(LBKP)90重量部をダブルディスクリファイナーで叩解し、460mlCSF
とした。これに2酸化チタン50重量部、及び無機凝結剤、湿潤紙力剤:ポリアクリルア
ミドエピクロロヒドリン、助剤及び着色顔料を加え、アルミン酸ナトリウムでpHを8.
9に調整した。これを長網抄紙機で抄造して米坪100.5g/m、灰分31%、熱水
pH7.45のベースの化粧板原紙を得た。
【0034】
得られたベースの化粧板原紙に、クエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液0.4%液(
リン酸水素2ナトリウム/クエン酸モル比8.52、pH=2.57)をディッピング含
浸により付与し、シリンダードライヤーで乾燥し、米坪100.8g/m、熱水pH6
.04の化粧板原紙を得た。塗布量は0.3g/mであった。
【0035】
(実施例3) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液0.6%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比1.22、pH=3.50)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.0g/m、熱水pH6.33の化粧板原紙を得た。塗布
量は0.5g/mであった。
【0036】
(実施例4) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液0.9%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比1.39、pH=3.44)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.4g/m、熱水pH6.01の化粧板原紙を得た。塗布
量は0.9g/mであった。
【0037】
(実施例5) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液0.6%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比0.73、pH=4.30)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.0g/m、熱水pH7.05の化粧板原紙を得た。塗布
量は0.5g/mであった。
【0038】
(実施例6) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液0.9%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比1.14、pH=3.58)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.5g/m、熱水pH6.16の化粧板原紙を得た。塗布
量は1.0g/mであった。
【0039】
(実施例7)針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)20重量部と広葉樹晒しクラフトパ
ルプ(LBKP)80重量部をダブルディスクリファイナーで叩解し、400mlCSF
とした。これに2酸化チタン60重量部、及び無機凝結剤、湿潤紙力剤:ポリアクリルア
ミドエピクロロヒドリン、助剤及び着色顔料を加え、アルミン酸ナトリウムでpHを9.
1に調整した。これを長網抄紙機で抄造して米坪80.6g/m、灰分34%、熱水p
H7.79のベースの化粧板原紙を得た。
【0040】
得られたベースの化粧板原紙に、クエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液0.9%液(
リン酸水素2ナトリウム/クエン酸モル比1.39、pH=3.44)をディッピング含
浸により付与し、シリンダードライヤーで乾燥し、米坪81.3g/m、熱水pH6.
21の化粧板原紙を得た。塗布量は0.7g/mであった。
【0041】
(実施例8)針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)10重量部と広葉樹晒しクラフトパ
ルプ(LBKP)90重量部をダブルディスクリファイナーで叩解し、430mlCSF
とした。これに2酸化チタン40重量部、及び無機凝結剤、湿潤紙力剤:ポリアクリルア
ミドエピクロロヒドリン、助剤及び着色顔料を加え、アルミン酸ナトリウムでpHを8.
5に調整した。これを長網抄紙機で抄造して米坪81.0g/m、灰分25%、熱水p
H7.29の化粧板原紙を得た。
【0042】
上記の抄造の際には長網抄紙機内で、クエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液2.6%
液(リン酸水素2ナトリウム/クエン酸モル比1.39、pH=3.14)を0.8g/
付与した。
【0043】
(比較例1) 含浸液を水道水に変更した以外は実施例1と同様な方法で化粧板原紙を得
た。
【0044】
(比較例2) 含浸液を水道水に変更した以外は実施例2と同様な方法で化粧板原紙を得
た。
【0045】
(比較例3) 含浸液を水道水に変更した以外は実施例7と同様な方法で化粧板原紙を得
た。
【0046】
(比較例4)針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)10重量部と広葉樹晒しクラフトパ
ルプ(LBKP)90重量部をダブルディスクリファイナーで叩解し、430mlCSF
とした。これに2酸化チタン40重量部、及び無機凝結剤、湿潤紙力剤:ポリアクリルア
ミドエピクロロヒドリン、助剤及び着色顔料を加え、アルミン酸ナトリウムでpHを8.
5に調整した。これを長網抄紙機で抄造して米坪80.2g/m、灰分25%、熱水p
H7.47の化粧板原紙を得た。
【0047】
(比較例5) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液1.7%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比8.52、pH=2.23)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪102.0g/m、熱水pH4.40の化粧板原紙を得た。塗布
量は1.5g/mであった。
【0048】
(比較例6) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液1.2%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比1.22、pH=3.45)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.6g/m、熱水pH5.81の化粧板原紙を得た。塗布
量は1.1g/mであった。
【0049】
(比較例7) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液1.0%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比0.43、pH=5.37)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.4g/m、熱水pH7.23の化粧板原紙を得た。塗布
量は0.9g/mであった。
【0050】
(比較例8) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液1.3%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比1.39、pH=3.32)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.7g/m、熱水pH5.62の化粧板原紙を得た。塗布
量は1.2g/mであった。
【0051】
(比較例9) 含浸液をクエン酸―リン酸水素2ナトリウム水溶液1.0%液(リン酸水
素2ナトリウム/クエン酸モル比1.70、pH=3.16)に変更した以外は実施例2
と同様な方法で、米坪101.4g/m、熱水pH5.63の化粧板原紙を得た。塗布
量は0.9g/mであった。
【0052】
(比較例10) 含浸液を硫酸アルミニウム水溶液0.4%液(pH=3.82)に変更
した以外は実施例2と同様な方法で、米坪100.8g/m、熱水pH4.79の化粧
板原紙を得た。塗布量は0.3g/mであった。
【0053】
(比較例11) 含浸液を硫酸アルミニウム水溶液0.1%液(pH=4.04)に変更
した以外は実施例2と同様な方法で、米坪100.6g/m、熱水pH5.89の化粧
板原紙を得た。塗布量は0.1g/mであった。
【0054】
(比較例12) 含浸液をポリ塩化アルミニウム水溶液0.3%液(pH=4.13)に
変更した以外は実施例2と同様な方法で、米坪100.8g/m、熱水pH4.89の
化粧板原紙を得た。塗布量は0.3g/mであった。
【0055】
(比較例13) 含浸液をポリ塩化アルミニウム水溶液0.1%液(pH=4.25)に
変更した以外は実施例1と同様な方法で、米坪99.6g/m、熱水pH5.51の化
粧板原紙を得た。塗布量は0.1g/mであった。
【0056】
(実施例9)実施例1〜8及び比較例1〜13で作製した化粧板原紙に、主剤としてマド
リットMW559(メラミン樹脂、ヘキスト製)100部と、硬化剤としてマドリッドハ
ードナーMH835(ヘキスト製)0.2部、浸透剤としてハイバザールVXT3739
(ヘキスト製)1部を水に溶かした55%溶液の含浸液をディッピング含浸して、含浸率
100〜130%のメラミン含浸紙を得た。
【0057】
(実施例10)実施例9で得たメラミン含浸紙と市販のパーティクルボード(厚さ12m
m、密度0.60)を併せて、艶有り仕様にした熱圧成型機にセットし、180℃x20
kgf/cmの条件で、熱圧成型時間を45秒と60秒でそれぞれ成型して、低圧メラ
ミン化粧板を得た。得られた低圧メラミン化粧板の光沢度を測定して、光沢度90以上を
高光沢性良好とした。熱圧成形時間45秒の低圧メラミン化粧板の光沢度が90以上で成
形時間を短縮できたとした。結果を別紙表1〜3に示す。
【0058】
実施例1〜8は、熱水pHを6.0〜7.5に維持し、光沢度90以上で成形時間の短縮
が可能であった。一方、比較例5、6、8、9、10、12は、光沢度は90以上であっ
たが、熱水pHが、6.0以下となった。
【0059】
実施例1〜8の物性
【表1】

【0060】
比較例1〜9の物性
【表2】

【0061】
比較例10〜13の物性
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0062】
以上本発明によると、本発明の化粧板原紙を用いるだけで生産工程を変えることなく、安
価に高光沢で且つ熱圧成形時間が短縮できる低圧メラミン化粧板を提供することができる


【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材パルプにより作製され、二酸化チタンが内添された化粧板原紙において、紙の熱水p
Hが6.5〜7.8に調整されたベースの化粧板原紙に外添により弱酸塩を付与し、添加
後の化粧板原紙の熱水pHが6.0〜7.5の範囲になるよう弱酸塩の外添付着量を0.
3〜1.0g/mに調整することにより作製されたことを特徴とする化粧板原紙。
【請求項2】
弱酸塩がクエン酸系或いはリン酸系或いはそれらの混合である請求項1の化粧板原紙。
【請求項3】
外添する弱酸塩水溶液のpHが2.5〜4.5である請求項1または2記載の化粧板原。

【請求項4】
請求項1或いは2或いは3の化粧板原紙を用いて作製された低圧メラミン化粧板。

【公開番号】特開2011−106073(P2011−106073A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264045(P2009−264045)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000142252)株式会社興人 (182)
【Fターム(参考)】