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化粧板及び化粧板の製造方法
説明

化粧板及び化粧板の製造方法

【課題】高強度かつ環境配慮型である上、反りの発生が少なく、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板を提供する。
【解決手段】基材の一方の面に、接着剤層、原紙、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を含有する樹脂組成物の硬化物層であり、該樹脂組成物中の(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%であることを特徴とする化粧板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高強度かつ環境配慮型である上、反りの発生が少なく、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板、ならびに前記性状を有する化粧板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、代表的な化粧板として、ポリエステル化粧板、ジアリルフタレート(DAP)化粧板及びメラミン樹脂化粧板が広く用いられている。これらの化粧板は、一般に絵柄層を有する、又は単色に着色されたチタン紙などの強化紙に、それぞれポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びメラミン樹脂を含浸させ、基材、例えば木材、MDF(中密度ファイバーボード)、パーティクルボード、木質合板、窯業系ボードなどに載置し、含浸によって被覆された樹脂の上にプレス用鏡面版を当て、全体をプレス装置内に入れて加熱型締めし、樹脂を硬化させることによって製造されている。
【0003】
しかしながら、これらのポリエステル化粧板、ジアリルフタレート化粧板及びメラミン樹脂化粧板の製造においては、(1)その製造過程で、それぞれスチレンモノマー、ジアリルフタレートモノマー及びホルムアルデヒドなどの有害物質が発生するという、環境衛生面での問題、さらには(2)その製造過程において、プレス装置を使用し、加熱圧締め、養生などにより樹脂の硬化を行うため、連続的な作業を行うことができず、非能率的であると共に、場所、人手、時間を要するといった問題がある。
【0004】
前記(1)の問題に対処するために、例えば電子線硬化型化粧板の製造方法として、基材の一方の面に基材の膨張を抑制する膨張抑制層を形成し、前記基材の他方の面に強化紙を貼付した後、この強化紙表面にシーラーによるシーラー処理および目止め塗料による目止め処理を施して目止め層を形成し、塗装原板を得る原板製造工程と、この原板製造工程で得られた前記塗装原板の目止め層表面を研磨し、この目止め層上に電子線硬化型クリヤーを塗布した後、不活性ガス雰囲気下で電子線照射を行い、前記電子線硬化型クリヤーを硬化させて塗膜層を形成する塗膜層形成工程とを有する化粧板の製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、前記(2)の問題に対処するために、例えば化粧板の含浸樹脂の硬化に際して、プレス装置による加熱圧締め、養生などを必要とせず、連続作業により短時間で硬化でき、かつ性能にも優れ、生産性の向上と同時に省力化及び省スペース化を実現し得る化粧板の製造方法として、紙の表面に印刷または着色を施し、その裏面に接着剤を用いて基材を貼り合わせた後、該紙の印刷または着色面上の全面に電子線硬化型樹脂を塗布し、該樹脂を硬化させる前に、更にその上に剥離可能なフィルムを積層し、フィルムの上から電子線を照射して電子線硬化型樹脂を硬化させ、しかる後、フィルムを剥離する化粧板の製造方法が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−154191号公報
【特許文献2】特開平8−192504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、塗装原板の目止め層上に、電子線硬化型樹脂を直接塗工するため、塗工量が多くなると共に、塗工量のばらつきが大きくなるのを免れないという問題が生じる。したがって、この技術を合板やMDFなどの薄膜基材を用いた薄膜化粧板の製造に適用した場合、電子線硬化型樹脂の硬化収縮による基材の反りや割れが発生しやすく、かつ意匠のコントロールが難しいなどの問題が発生する。さらに、電離放射線の照射により、強化紙が黄変するなどの問題も生じる。
【0008】
一方、特許文献2に記載の方法で化粧板を作製する場合、チタン紙を使用すると浸み込みが良過ぎるため、平滑性などの意匠性や、耐汚染性、耐薬品性が悪化する。また、印刷を施した薄紙を使用すると、電子線硬化型樹脂の浸透が場所によって異なるため、浸透ムラが生じるなどの問題が発生する。
さらに、特許文献2に記載の方法において、電子線硬化型樹脂の代わりに熱硬化型樹脂を用いて化粧板を作製した場合には、該熱硬化型樹脂は紙への浸透性が低いために、化粧板表面の耐傷性や鉛筆硬度が低下する。また、熱硬化型樹脂は粘度が高いため、塗工時に溶剤を添加する必要があり、環境への負荷となる。
本発明は、このような状況下になされたもので、高強度かつ環境配慮型である上、反りの発生が少なく、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板、ならびに、前記性状を有する化粧板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構成を有する化粧板がその目的に適合し得ること、そして前記性状を有する化粧板は、特定の工程により効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]基材の一方の面に、接着剤層、原紙、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を含有する樹脂組成物の硬化物層であり、該樹脂組成物中の(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%であることを特徴とする化粧板、
[2]工程(a):基材の一方の面に、接着剤層を介して原紙を貼付する工程、工程(b):電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を含有し、(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%である樹脂組成物を、工程(a)で得られた基材上の原紙上、又は賦型シート上に塗布し、樹脂組成物層を設ける工程、工程(c):工程(b)で原紙上に設けられた樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は工程(b)で賦型シート上に設けられた樹脂組成物層と工程(a)で基材上に貼付した原紙とを対面させてラミネートした後、電離放射線を照射して該樹脂組成物層を硬化させ、表面保護層を形成する工程を順に有する、基材、接着剤層、原紙、表面保護層及び賦型シートを順に積層してなる化粧板の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高強度かつ環境配慮型である上、反りの発生が少なく、耐薬品性、耐汚染性及び高平滑性を有する化粧板、ならびに前記性状を有する化粧板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の化粧板の層構成の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の化粧板の層構成の別の例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の化粧板の製造方法における一例の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の化粧板について説明する。
[化粧板]
本発明の化粧板は、基材の一方の面に、接着剤層、原紙、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を含有する樹脂組成物の硬化物層であり、該樹脂組成物中の(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%であることを特徴とするものである。
【0014】
≪基材≫
本発明の化粧板における基材としては、特に制限はなく、従来各種の化粧板に基材として慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。このような基材としては、例えば木材、MDF(中密度ファイバーボード)、パーティクルボード、木質合板、窯業系ボードなどを挙げることができる。
これらの基材の厚さは、通常2〜50mm程度であり、当該化粧板では、厚さが好ましくは2〜30mm、より好ましくは2〜5mmの木質合板やMDFなどの薄厚基材を用いた薄厚化粧板が特に有利である。このような薄厚の化粧板でも、本発明に用いられる、電離放射線により硬化する樹脂組成物の硬化収縮による基材の反りや割れなどを防止し得るためである。
【0015】
≪原紙≫
本発明の化粧板において、前記基材の一方の面に接着剤層を介して貼付する原紙としては、隠蔽性を有するとともに、基材の色による化粧板の色ムラを防ぐためのものであれば特に限定はなく、例えば、チタン紙、含浸紙、中性紙等を採用することができる。なお、これらの原紙は着色されていてもよく、また予め印刷絵柄層を設けておくことで、化粧板に意匠性を付与することもできる。
ここで、鏡面仕様の化粧板を製造する場合には、上記原紙には平滑処理が施されていることが好ましい。なお、原紙に上記印刷絵柄層を設けることにより、該平滑処理と同様の効果が得られる。
上記平滑処理としては、例えば原紙の表面を、弾性ロールと金属ロールとからなる組み合わせを少なくとも1つ含む平坦化処理手段によって行うことができる。弾性ロールと金属ロールとからなる平坦化処理手段としては、熱ソフトカレンダーなどが挙げられる。熱ソフトカレンダーは、通常金属ロールを100℃以上に加温して、原紙表面を加圧し、該原紙の表面を平滑にする手法であり、これにより高い表面平滑性や印刷光沢を得ることができる。
また、樹脂の原紙中への浸透をコントロールして意匠性を向上させる観点から、原紙の坪量は、通常20〜200g/m2程度であり、好ましくは20〜100g/m2、より好ましくは25〜90g/m2である。
【0016】
≪接着剤層≫
本発明の化粧板において、原紙を基材に貼付するための接着剤層としては、感熱接着剤や感圧接着剤などで構成されるものが挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂が使用される。該接着剤層は、選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、フローコーター法、ロールコーター法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
この接着剤層の厚さは、通常1〜200μmであり、好ましくは10〜100μm、より好ましくは30〜80μmである。
【0017】
≪シーラー層≫
本発明の化粧板は、浸み込みムラの抑制や、鉛筆硬度の向上のため、所望する性能に応じて、前記原紙と表面保護層との間にシーラー層を有していてもよい。具体的には、例えば、前記原紙上あるいは前記印刷絵柄層上にシーラー層を設けることができる。
シーラー層は、後述する樹脂組成物の原紙あるいは基材への浸み込みを抑制する、すなわち目止め効果に有効なものであれば、有機シーラー、無機シーラー及びそれらの混合物のいずれにより形成してもよい。
有機シーラーとしては、ポリエステルポリオール樹脂、アクリルポリオールとイソシアネートとによるアクリルウレタン樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂、1液硬化型(湿気硬化型)ウレタン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリル樹脂、2液硬化型アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂などの樹脂が好ましく挙げられ、これらを一種単独で、又はこれらから選ばれる複数種を用いることができる。
また、無機シーラーとしては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、カオリナイト及び二酸化チタンなどが好ましく挙げられ、これらを一種単独で、又はこれらから選ばれる複数種を用いることができる。無機シーラーを用いる場合は、バインダー樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルブチラール、アクリルウレタン樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂などを用いることができる。
上記した中でも、浸み込みムラの抑制、鉛筆硬度の向上などのシーラー層の効果の点で2液硬化型樹脂を用いることが好ましく、アクリル系2液硬化型樹脂を用いることがより好ましい。
【0018】
シーラー層の厚さは、通常5〜100μm程度であり、好ましくは20〜80μmである。シーラー層の厚さが上記範囲内であれば、シーラー層としての機能が効率的に、かつ十分に得られる。
また、シーラーの塗布量は、好ましくは10〜150g/m2となる範囲であり、より好ましくは20〜100g/m2となる範囲である。
【0019】
≪表面保護層≫
本発明の化粧板は、高強度を付与するとともに、耐汚染性、耐薬品性、耐光性などの向上を図る観点から、表面保護層を有する。この表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を含有し、該樹脂組成物中の(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%である樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称することがある。)の硬化物層である。
【0020】
<樹脂組成物>
本発明の化粧板の表面保護層に用いられる樹脂組成物は、電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を必須の成分として含有する組成物であり、電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物である。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
【0021】
(電離放射線硬化型樹脂(A))
電離放射線硬化型樹脂(A)としては、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができ、例えば(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられる。中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマー、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。これらのモノマー、オリゴマーは併用して用いてもよく、また組成物の粘度調整などの目的で単官能性(メタ)アクリレートを適宜併用することができる。
【0022】
〈多官能性(メタ)アクリレートモノマー〉
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性を優れたものとする観点、及び、反りの軽減、耐傷性及び外観性の向上の観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは3〜6である。
【0023】
〈多官能性(メタ)アクリレートオリゴマー〉
多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えばウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0024】
さらに、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
上記多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性を優れたものとする観点、及び、反りの軽減、耐傷性及び外観性の向上の観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。
また、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
【0025】
〈単官能性(メタ)アクリレート〉
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
(光重合開始剤)
電離放射線硬化型樹脂(A)として紫外線硬化型樹脂を用いる場合には、前記樹脂組成物に、光重合開始剤を電離放射線硬化型樹脂(A)100質量部に対して0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、フェニルケトン系、ベンソフェノン系、アントラキノン系などの光重合開始剤が好ましく挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
【0027】
本発明においては、電離放射線硬化型樹脂(A)として電子線硬化型樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化型樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。電子線硬化型樹脂としては、前記の多官能性(メタ)アクリレートモノマー、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく用いられ、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(熱硬化型樹脂(B))
本発明に用いられる樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(B)を所定量含有する。これにより、該樹脂組成物の原紙への浸透をコントロールすることができるため、浸み込みムラを抑制し、化粧板の耐汚染性や意匠性を向上させることができる。また、化粧板の鉛筆硬度や耐傷性を維持しつつ、反りの発生を抑制することができる。
熱硬化型樹脂(B)としては、加熱により、単独で、又は後述する硬化剤(C)と併用することで硬化可能な樹脂を用いることができる。該熱硬化型樹脂としては、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基などの官能基を分子中に2個以上有する化合物が挙げられる。
上記官能基を分子中に2個以上有する化合物としては、耐傷性及び表面硬度の向上の観点から、ポリオール化合物が好ましい。ポリオール化合物は、分子中に2個以上の水酸基を有するものであり、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらのうち、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールがより好ましい。
上記熱硬化型樹脂(B)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、熱硬化型樹脂(B)は、重量平均分子量が500〜10,000であることが好ましく、1,000〜4,000であることがより好ましい。熱硬化型樹脂(B)の重量平均分子量が上記範囲であれば、基材への浸透性が良好であるとともに、低粘度であることから無溶剤化が可能であり、環境対応の点で好ましい。
【0029】
前記樹脂組成物中の熱硬化型樹脂(B)の含有量は、前記電離放射線硬化型樹脂(A)及び該(B)の合計量に対し2〜40質量%であることを要する。該(B)の含有量が2質量%未満であると、化粧板の反りを抑制する効果が十分でなく、40質量%を超えると、鉛筆硬度や耐傷性などの物性が低下する。
上記熱硬化型樹脂(B)の含有量は、(A)及び(B)の合計量に対し3〜35質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
【0030】
(硬化剤(C))
本発明で用いられる樹脂組成物は、前記熱硬化型樹脂(B)の硬化促進、及び化粧板の強度向上の観点から、さらに硬化剤(C)を含有していてもよい。硬化剤(C)としては、前記熱硬化型樹脂(B)との反応により該熱硬化型樹脂(B)を硬化させ得る化合物であればよく、熱硬化型樹脂(B)の種類に応じて、公知の硬化剤を適宜選択して用いることができる。例えば、熱硬化型樹脂(B)としてポリオール化合物を用いた場合には、反応性の観点から、硬化剤(C)としてポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物は、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)ビシクロヘプタン等の脂肪族ポリイソシアネートや、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香環を有するポリイソシアネートが挙げられる。これらのうち、硬化性及び耐光性の観点から、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが好ましい。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる硬化剤(C)の含有量は、前記熱硬化型樹脂(B)100質量部に対し、好ましくは5〜200質量部であり、より好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは20〜70質量部である。
【0031】
(隠蔽性顔料)
本発明で用いられる樹脂組成物は、得られる化粧板における表面保護層の隠蔽性向上、原紙の黄変防止や耐光性の向上などを図る目的で、隠蔽性顔料を含有していてもよい。
隠蔽性顔料としては、例えば酸化チタン、(TiO2:チタニウムホワイト)、亜鉛華(ジンクホワイト)、鉛白(主成分:塩基性炭酸鉛)、リトポン(硫化亜鉛と硫酸バリウムとの混合物)、バライト(主成分:硫酸バリウム)、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、沈降性シリカ(ホワイトカーボン)、アルミペーストなどの無機顔料が挙げられるが、これらの中で隠蔽性、耐光性などの観点から、酸化チタンやアルミペーストが好ましい。この酸化チタンには、ルチル形とアナターゼ形があるが、前者の方が、着色力、隠蔽力が大きく、隠蔽性顔料の中で最も好ましい。該酸化チタンの平均粒径は、通常0.3〜1.0μm程度である。なお、隠蔽性顔料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記樹脂組成物中の隠蔽性顔料の含有量は、該隠蔽性顔料として酸化チタン(TiO2:チタニウムホワイト)を用いる場合、その効果及び塗工適性のバランスの観点から、前記電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)の合計量100質量部に対して、通常10〜80質量部、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは20〜50質量部である。
また、前記樹脂組成物は、前述した隠蔽性顔料と共に、必要に応じて隠蔽性のある無機系着色顔料や、カーボンブラックなどを含有することができる。
【0033】
(耐摩耗フィラー及び/又は低艶形成フィラー)
本発明で用いられる樹脂組成物は、必要に応じ耐摩耗フィラー及び/又は低艶形成フィラーを含有させることができる。
耐摩耗フィラーは、本発明の化粧板に高耐摩耗性を付与するために用いられるフィラーであって、耐摩耗性を有するフィラーであればよく、特に制限はないが、アルミナ粒子が好適である。この耐摩耗フィラーの平均粒径は、通常1〜50μm程度、好ましくは5〜30μm、また、耐摩耗フィラーの含有量は、前記樹脂組成物の全固形分量に対して、通常2〜70質量%程度、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%である。
【0034】
また、低艶形成フィラーは、本発明の化粧板に低艶調(マット調)を付与するために用いられるフィラーであり、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウムなどの無機物、アクリル樹脂、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)などの有機高分子などからなる粒子が用いられる。これらのうち、取り扱いが容易で、かつ安価なシリカが好適である。
この低艶形成フィラーの平均粒径は、通常0.1〜50μm程度、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜20μmである。また、低艶形成フィラーの含有量は、前記樹脂組成物の全固形分量に基づき、通常2〜70質量%程度、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは2〜30質量%である。
【0035】
さらに、本発明で用いられる樹脂組成物には、得られる化粧板の耐擦傷性を向上させるため、必要に応じ耐傷フィラーを含有させることができる。耐傷フィラーとしては、上記効果を奏するものであれば特に制限はないが、本発明では、カオリナイトなどが好適に用いられる。
また、樹脂組成物には、後述する賦型シートからの離型性を向上させるために、シリコーンを含有させることもできる。さらには、得られる化粧板に耐候性を付与するため、必要に応じて、紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系などの光安定剤(HALS)を含有させることもできる。
【0036】
<表面保護層の形成>
本発明の化粧板における表面保護層は、前述した樹脂組成物からなる樹脂組成物層に、電離放射線、好ましくは電子線を照射して該樹脂組成物層を硬化させることにより形成することができる。
この表面保護層の形成については、後述する化粧板の製造方法において詳述する。
【0037】
≪賦型シート≫
本発明の化粧板は、表面保護層上に、該保護層表面に所定形状の賦型を施すために用いられる賦型シートを有していてもよい。
賦型シートとしては、通常、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルシート、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンシートなどのプラスチックシートが挙げられる。この賦型シートの厚さについては特に制限はないが、通常12〜200μm程度である。
賦型シートは、その表面にシリコーン樹脂などの剥離剤を塗布し、剥離層を設けたものであってもよい。また、賦型シートは、剥離層面が所望により鏡面仕様であってもよいし、マット仕様やエンボスタイプ(木目、抽象柄などの意匠)などの凹凸状であってもよい。賦型シートの剥離層面の凹凸形状をコントロールすることにより、前述の表面保護層の表面状態を自由に制御することが可能である。
また、上記賦型シートは、本発明の化粧板の表面保護フィルム(マスキングフィルム)としての機能をも有しており、別途保護フィルムを用いる必要がないことから、材料削減、工程簡略化を図ることができ、コスト削減、環境配慮の点で有利である。
【0038】
≪反り防止機能層≫
本発明の化粧板においては、基材の表面保護層とは反対の面に、反り防止機能層を設けることができる。反り防止機能層としては、化粧板において、基材の表裏面における温度、湿度などの外部環境条件の違いにより反りを生じるおそれがある基材の場合には、例えばウレタンコート紙などを設けることができる。
また、温度などの環境条件の変化により反りが生ずるおそれはないが、水滴の付着による吸水で反りが生ずるおそれがある基材の場合には、防水塗料を用いて形成された塗布層であることが好ましい。ここで、防水塗料としては、例えば、アクリル樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料などを採用することができる。
【0039】
図1は、本発明の化粧板の層構成の一例を示す断面模式図であり、図2は、本発明の化粧板の層構成の別の例を示す断面模式図である。
図1における化粧板10は、基材1上に、接着剤層2、原紙3、及び樹脂組成物の硬化物層(表面保護層)5を順に有する構成である。
また、図2における化粧板11は、基材1上に、接着剤層2、原紙3、シーラー層4、樹脂組成物の硬化物層(表面保護層)5、及び賦型シート6を有する構成である。
【0040】
このような構成の本発明の化粧板は、高強度かつ環境配慮型である上、反りの発生が少なく、耐薬品性、耐汚染性及び高平滑性であるなどの好ましい性状を有しており、特に垂直面や水平面使用の建築材用化粧板として好適である。
【0041】
[化粧板の製造方法]
次に、化粧板の製造方法について説明する。
本発明の化粧板の製造方法は、下記の工程(a)、工程(b)及び工程(c)を順に有し、基材、接着剤層、原紙、表面保護層及び賦型シートを順に積層してなることを特徴とする化粧板の製造方法である。
【0042】
≪工程(a)≫
本発明の製造方法における工程(a)は、基材の一方の面に、接着剤層を介して、必要に応じてシーラー層を設けた原紙を貼付する工程である。
シーラー層を設ける場合は、例えばシーラーを塗布した原紙を、通常80〜120℃、0.3〜1MPaの荷重下で熱プレス処理などを行うことにより、基材、接着剤層、原紙及びシーラー層を積層することができる。
本工程(a)における基材、原紙、接着剤層、及びシーラー層は、前述した本発明の化粧板の説明において示したとおりである。
【0043】
≪工程(b)≫
本発明の製造方法における工程(b)は、電離放射線硬化型樹脂(A)、熱硬化型樹脂(B)、及び好ましくは硬化剤(C)を含有し、(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%である樹脂組成物を、工程(a)で得られた基材上の原紙上、又は賦型シート上に塗布し、樹脂組成物層を設ける工程である。当該工程(b)における賦型シート、電離放射線硬化型樹脂(A)、熱硬化型樹脂(B)、硬化剤(C)及びこれらを含有する樹脂組成物は、前述した本発明の化粧板の説明において示したとおりである。
工程(b)においては、工程(a)で得られた基材上の原紙上、又は賦型シート上(賦型シートが剥離層を有する場合には剥離層上)に、前述した樹脂組成物をグラビア印刷やロールコートなどの公知の塗工手段により塗布し、硬化後の表面保護層の厚さが、通常1〜200μm、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは10〜80μmになるように樹脂組成物層を設ける。また、樹脂組成物の塗布量は、通常1〜300g/m2程度、好ましくは20〜200g/m2、さらに好ましくは50〜150g/m2である。
【0044】
≪工程(c)≫
本発明の製造方法における工程(c)は、工程(b)で原紙上に設けられた樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は工程(b)で賦型シート上に設けられた樹脂組成物層と工程(a)で基材上に貼付した原紙とを対面させてラミネートした後、電離放射線を照射して該樹脂組成物層を硬化させ、表面保護層を形成する工程である。
【0045】
(電離放射線の照射)
電離放射線としては、通常電子線や紫外線などが用いられるが、本発明においては、電子線を用いることが好ましい。電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で電離放射線硬化型樹脂組成物の層を硬化させることが好ましい。
また、照射線量は、樹脂組成物層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜200kGy(1〜20Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
【0046】
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを照射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
【0047】
上記の電離放射線の照射により、樹脂組成物層に含有される電離放射線硬化型樹脂(A)を硬化させる。なお、樹脂組成物層に含有される熱硬化型樹脂(B)の硬化に関しては、加熱して熱硬化させる工程を必ずしも要するものではなく、該樹脂組成物層に電離放射線を照射した後に、そのまま室温で放置することで硬化させることもできる。化粧板における反りの発生を抑制する観点からは、室温で放置して硬化させることが好ましい。
したがって、少なくとも電離放射線を照射する工程を有していれば、上記樹脂組成物層の硬化物層からなる表面保護層を形成することができる。
【0048】
以上のようにして、基材、接着剤層、原紙、表面保護層及び賦型シートを順に有する化粧板が得られる。
【0049】
≪工程(d)≫
本発明の化粧板の製造方法は、さらに賦型シートを剥離する工程(d)を有することができる。これにより、基材、接着剤層、原紙、表面保護層を順に有する化粧板が得られる。なお、該賦型シートは表面保護フィルム(マスキングフィルム)としての機能も有するため、本発明の化粧板を使用する直前に剥離するといった利用も可能である。
【0050】
≪工程(e)≫
本発明の化粧板の製造方法は、さらに基材の他方の面に、反り防止機能層を設ける工程(e)を有することができる。該反り防止機能層については、前述した本発明の化粧板の説明において示したとおりである。
【0051】
次に、化粧板の具体的な本発明の製造方法について、添付図面に従って説明する。
図3は、化粧板の本発明の製造方法における一例の製造工程図である。
図3(a)は、前述の工程(a)に相当し、基材1の一方の面に、接着剤層2を介して、必要に応じてシーラー層5を設けた原紙3を貼付して、化粧板用原板20を形成する工程である。なお、化粧板用原板20における基材1の他方の面には、必要に応じて反り防止機能層を設けることができる。
【0052】
図3(b)は、前述の工程(b)に相当し、本発明で用いられる樹脂組成物を、図3(a)で得られた化粧板用原板20における原紙3上、又は賦型シート6上(賦型シート6が剥離層を有する場合には剥離層上)に塗布し、樹脂組成物層7を設ける工程である。
【0053】
図3(c)は、前述の工程(c)に相当する工程である。図3(c)では、まず、図3(b)において化粧板用原板20における原紙3上に設けられた樹脂組成物層7と、賦型シート6とを対面させてラミネートするか、又は、図3(b)で賦型シート6上に設けられた樹脂組成物層7と、図3(a)で得られた化粧板用原板20における原紙3とを対面させてラミネートすることにより、積層体30を形成する。次に、積層体30に電離放射線、好ましくは電子線を照射して、樹脂組成物層7を硬化させ、表面保護層5を形成する。これにより、基材1上に、接着剤層2、原紙3、表面保護層5及び賦型シート6が順に積層された構成からなる化粧板12を形成する。さらに必要に応じて、化粧板12における賦型シート6を剥離して、基材1上に、接着剤層2、原紙3、及び表面保護層5が順に積層された構成からなる化粧板13を形成する。
【0054】
本発明の製造方法により得られる化粧板12及び13は、高強度かつ環境配慮型である上、反りの発生が少なく、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する。とりわけ、図3(b)において、賦型シート6上に樹脂組成物層7を設ける工程を採用した場合には、該樹脂組成物の塗布量が少なくてすみ、かつ塗布量のばらつきが小さく、しかも樹脂組成物層7の硬化収縮による反りや割れなどを防止し得るので、本発明の製造方法は、特に上記硬化収縮による反りや割れが生じやすい薄厚化粧板の作製に好適に適用することができる。
また、賦型シートの剥離層面の状態をコントロールすることにより、表面保護層の表面状態(例えば、鏡面仕様、マット仕様、木目、抽象柄など)を自由に制御することが可能である。
【実施例】
【0055】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、この実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた化粧板の意匠性及び物性は、下記のようにして評価した。
【0056】
<意匠性>
(1)面状態(平滑性)
実施例及び比較例で用いた表面保護層形成用の樹脂組成物を、#40のバーを用いて、木質基材上に原紙を設けた化粧板用原板上に直接塗布した際の塗布面の状態を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎;塗布面が平滑であった。
○+;塗布面に凹凸が微かに確認された。
○;塗布面に凹凸がやや確認されたが、実用上問題なかった。
△;塗布面に凹凸が確認された。
×;塗布面に著しい凹凸が確認された。
【0057】
(2)浸み込みムラ
各実施例及び比較例で得られた化粧板について、樹脂組成物の基材への浸み込みムラを目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎;浸み込みムラがなく、表面が平滑であった。
○+;浸み込みムラ起因の凹凸が微かに確認された。
○;浸み込みムラ起因の凹凸がやや確認されたが、実用上問題なかった。
△;浸み込みムラ起因の凹凸が確認された。
×;著しい浸み込みムラ起因の凹凸が確認された。
【0058】
(3)隠蔽性
実施例5で得られた化粧板について、下地の単色ベタ層が隠れるかを目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎;下地が完全に隠れる。
△;下地が透けて見えるのが認識できる。
×;下地がほぼ完全に透けて見える。
【0059】
(4)反り
各実施例及び比較例の記載に基づき、木質基材(縦:15cm、横:15cm、厚さ:2mm)を用いて反り評価用サンプルを作製した。該サンプルを水平面に置いた際の、端部の浮きの高さを測定し、下記の基準で評価した。
◎;端部の浮きが0.5mm未満であった。
○;端部の浮きが0.5mm以上1.0mm未満であった。
△;端部の浮きが1.0mm以上2.0mm未満であった。
×;端部の浮きが2.0mm以上であった。
【0060】
<物性>
(5)耐傷性
スチールウール(ボンスター#0000)を用いて、各実施例及び比較例の記載に基づいて作製した化粧板の表面保護層に300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎;外観に全く変化がなかった。
○;外観にほとんど変化がなかった。
△;外観に傷つきがあり、艶変化があった。
×;外観の傷つきが著しく、艶変化も著しかった。
【0061】
(6)鉛筆硬度
各実施例及び比較例の記載に基づいて作製した化粧板の表面保護層に対し、JIS K5600−5−4に準拠した「引っかき硬度(鉛筆法)試験」を500g荷重で行い、試験後の外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎;2Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
○+;Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
○;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが微かに発生した。
△;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生したが、目立たない程度である。
×;Fの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生した。
【0062】
(7)耐光性
各実施例及び比較例の記載に基づいて作製した化粧板を、岩崎電気(株)製「アイス−パーUVテスタ−」にセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で48時間試験後、25℃、50%RHの条件下で2日間保持してから、化粧板表面の変色やクラックなどの外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎;外観変化は全くなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
○−;外観変化は若干あるが、実用上問題なかった。
△;認識できる外観変化が生じた。
【0063】
(8)耐薬品性
各実施例及び比較例の記載に基づいて作製した化粧板表面に1%水酸化ナトリウム、1%塩酸水溶液、10%アンモニア水をそれぞれ滴下後、時計皿で覆った。24時間経過後に薬品を水で拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の膨れ、艶変化等の外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○;外観変化はなかった。
○−;膨れもしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
×;著しい膨れもしくは艶変化等の外観変化が生じた。
【0064】
(9)耐汚染性
各実施例及び比較例の記載に基づいて作製した化粧板表面を赤クレヨン、靴墨、染料、2%マーキュロクロムにてそれぞれ汚染した後、時計皿で覆った。24時間経過後に汚染物を水、中性洗剤、エタノールでそれぞれ拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の汚染残り、膨れ、艶変化等の外観を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○;外観変化はなかった。
○−;汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
×;著しい汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化が生じた。
【0065】
各実施例及び比較例における材料として、下記に示すものを用いた。
・基材:厚さ2mmの木質合板
・接着剤:酢酸ビニル系接着剤[アイカ工業(株)製、商品名「アイカエコエコボンド」]
・原紙:
坪量30g/m2の平滑処理白薄紙
坪量80g/m2の白チタン紙
・シーラー:2液硬化型アクリル系樹脂塗料[(株)昭和インク工業所製、商品名「FW(NT)」]
・電離放射線硬化型樹脂:
3官能(メタ)アクリレートモノマー[(株)昭和インク工業所製]
3官能(メタ)アクリレートオリゴマー[新中村化学工業(株)製、商品名「UA−7100」、3官能ウレタンアクリレートオリゴマー、重量平均分子量:2,000]
・熱硬化型樹脂:
アクリルポリオール系熱硬化性樹脂[(株)昭和インク工業所製、重量平均分子量:2,500]
ポリエステルポリオール系熱硬化性樹脂[DIC(株)製、商品名「OD−X−2044」、アジピン酸とネオペンチルグリコールとの重合物、重量平均分子量:2,000]
・硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
・隠蔽性顔料:酸化チタン顔料[石原産業(株)製、商品名「R−980」]
・賦型シート:厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[三菱樹脂(株)製、商品名「E−130」、剥離層:なし]
【0066】
実施例1
厚さ2.0mmの木質合板の一方の面に、酢酸ビニル系接着剤を用いて厚さ60μmの接着剤層を形成し、その上に、原紙である平滑処理白薄紙(坪量30g/m2)を貼付し、化粧板用原板を作製した。この原紙上に水系アクリル樹脂インクを用いて単色のベタ層を形成し、さらにセルロース系インク(体質顔料:硫酸バリウム、シリカ及びクレーの混合物を樹脂に対して500質量%含有)を用いて木目状の印刷絵柄層を形成した。
表1に記載した配合で樹脂組成物を調製し、厚さ25μmの賦型シート(未処理)上に、硬化後の厚さが60μmになるように、上記樹脂組成物をロールコート法にて塗布し、樹脂組成物層を形成した。
上記賦型シート上に形成された樹脂組成物層を、前記化粧板用原板上の原紙上の絵柄層と対面させてラミネートしたのち、加速電圧200kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して該樹脂組成物層を硬化させ、表面保護層を形成した。次いで、賦型シートを剥離することにより、図1で示される構成である、基材、接着剤層、原紙、及び表面保護層の構成からなる化粧板を得た。
得られた化粧板の意匠性及び物性の評価結果を表1に示す。
【0067】
実施例2〜4
樹脂組成物の配合を表1に示されるとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、各々実施例2〜4の化粧板を作製した。
得られた化粧板の意匠性及び物性評価結果を表1に示す。
【0068】
実施例5
基材上に貼付した原紙上に単色のベタ層を形成したのち、印刷絵柄層の形成を行わなかったこと、及び、樹脂組成物に隠蔽性顔料として酸化チタンを添加したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例5の化粧板を作製した。
得られた化粧板の意匠性及び物性評価結果を表1に示す。
【0069】
実施例6
基材上に貼付した原紙上に単色のベタ層を形成したのち、印刷絵柄層の形成を行わなかったこと、及び、原紙の種類及び樹脂組成物の塗布量を表1に示されるとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例6の化粧板を作製した。
得られた化粧板の意匠性及び物性評価結果を表1に示す。
【0070】
実施例7
基材上に貼付した原紙上に、シーラーを、硬化時の塗布量が60〜80g/m2になるようにロールコート法で塗布し、次いで100℃、0.5MPaの荷重下で1分間熱プレス処理して、基材、接着剤層、原紙、及びシーラー層の構成からなる化粧板用原板を作製したこと、及び樹脂組成物の塗布量を表1に示されるとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例7の化粧板を作製した。
得られた化粧板の意匠性及び物性評価結果を表1に示す。
【0071】
比較例1〜5
樹脂組成物の配合を表1に示されるとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、各々比較例1〜5の化粧板を作製した。
得られた化粧板の意匠性及び物性評価結果を表1に示す。
【0072】
比較例6〜7
実施例1において、樹脂組成物の配合を表1に示されるとおりに変更し、及び、電子線を照射せずに100℃、2.9MPaの荷重下で10分間熱プレス処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、各々比較例6〜7の化粧板を作製した。
得られた化粧板の意匠性及び物性評価結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
表1より、実施例1〜7で得られた本発明の化粧板は、いずれの評価も良好であり、反りの発生が少なく、耐傷性、鉛筆硬度、耐光性、耐薬品性及び耐汚染性などの表面特性に優れており、また意匠性の点でも優れた性能を有する化粧板であることが確認された。
一方、比較例1、6及び7は、表面保護層を形成する樹脂組成物に含有される熱硬化型樹脂の含有量が多いことから、耐傷性及び鉛筆硬度が低下した。比較例2〜5は、表面保護層を形成する樹脂組成物が熱硬化型樹脂を含有しないか、又は含有量が少ないため、耐傷性及び鉛筆硬度は良好であるが、反りの発生を十分に抑制できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の化粧板は、高強度かつ環境配慮型である上、耐薬品性及び耐汚染性を有すると共に、高隠蔽性及び高平滑性を合わせもつなどの好ましい性状を有しており、特に垂直面や水平面使用の建築材用化粧板として好適である。
[符号の説明]
【0076】
1 基材
2 接着剤層
3 原紙
4 シーラー層
5 表面保護層
6 賦型シート
7 樹脂組成物層
10 化粧板
11 化粧板
12 化粧板
13 化粧板
20 化粧板用原板
30 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の一方の面に、接着剤層、原紙、及び表面保護層を順に有し、該表面保護層が、電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を含有する樹脂組成物の硬化物層であり、該樹脂組成物中の(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%であることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
表面保護層の上に、さらに賦型シートを有する請求項1に記載の化粧板。
【請求項3】
熱硬化型樹脂(B)が、ポリオール化合物である請求項1又は2に記載の化粧板。
【請求項4】
樹脂組成物が、さらに硬化剤(C)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
【請求項5】
樹脂組成物が、隠蔽性顔料を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板。
【請求項6】
隠蔽性顔料が、酸化チタン系白色顔料及びアルミペーストから選ばれる少なくとも一種である請求項5に記載の化粧板。
【請求項7】
原紙と表面保護層との間にシーラー層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の化粧板。
【請求項8】
樹脂組成物が、耐摩耗フィラー及び低艶形成フィラーから選ばれる少なくとも一種を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の化粧板。
【請求項9】
電離放射線硬化型樹脂(A)が、電子線硬化型樹脂である請求項1〜8のいずれかに記載の化粧板。
【請求項10】
電離放射線硬化型樹脂(A)が、多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有する請求項1〜9のいずれかに記載の化粧板。
【請求項11】
電離放射線硬化型樹脂(A)が、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する請求項1〜10のいずれかに記載の化粧板。
【請求項12】
下記の工程(a)〜(c)を順に有する、基材、接着剤層、原紙、表面保護層及び賦型シートを順に積層してなる化粧板の製造方法。
工程(a):基材の一方の面に、接着剤層を介して原紙を貼付する工程
工程(b):電離放射線硬化型樹脂(A)及び熱硬化型樹脂(B)を含有し、(B)の含有量が、(A)及び(B)の合計量に対し2〜40質量%である樹脂組成物を、工程(a)で得られた基材上の原紙上、又は賦型シート上に塗布し、樹脂組成物層を設ける工程
工程(c):工程(b)で原紙上に設けられた樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は工程(b)で賦型シート上に設けられた樹脂組成物層と工程(a)で基材上に貼付した原紙とを対面させてラミネートした後、電離放射線を照射して該樹脂組成物層を硬化させ、表面保護層を形成する工程
【請求項13】
熱硬化型樹脂(B)が、ポリオール化合物である請求項12に記載の化粧板の製造方法。
【請求項14】
樹脂組成物が、さらに硬化剤(C)を含有する請求項12又は13に記載の化粧板の製造方法。
【請求項15】
工程(a)と工程(b)の間に、原紙上にシーラー層を形成する工程を有する請求項12〜14のいずれかに記載の化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−67099(P2013−67099A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207925(P2011−207925)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】