説明

化粧板敷設具及び床構造

【課題】 化粧板のレベル調整を容易にすることができ、また、経年使用によるレベルの変化を防止すると供に隣り合う床板を確実に連結することができる化粧板敷設具を提供する。
【解決手段】 上端側に雄ネジ16が設けられたネジ軸17と、前記ネジ軸17の上面に設けられた非円形の係合穴20とを備える支持脚2と、前記支持脚2の係合穴20に進退自在に挿入可能な棒状部41と前記棒状部の上端に設けられた把持部42とを有する回転工具4と、厚み方向に貫通して設けられ前記支持脚2の雄ネジ部16と螺合する雌ネジ15部が設けられた前記支持脚を支持する支持脚固定穴12と、前記支持脚固定穴12の上方に前記支持脚固定穴12の周囲に設けられ前記回転工具4と係合可能な工具固定部21,22と、上面に化粧板材3を係合する板材固定部13,14とを備える下地本体1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庭先の地面、ベランダ、バルコニーなどの基礎床面にデッキ材フロアパネルなどの化粧板を敷き詰めて配設する化粧板敷設具及び床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
支持脚によってフロアパネルなどの化粧板を水平に支持してベランダデッキなどを簡単に敷設できるようにした床構造は、特開平8−35316号公報(特許文献1)などにより従来から知られている。この支持脚は、特許文献1の他に、特開2000−17723号公報(特許文献2)や特開2003−301589号公報(特許文献3)等に開示されているように、支持脚をネジ軸によって構成することで、その支持高さを自由に調整できるように構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2の床構造は、角部に切り欠きが設けられた床板を四方から一箇所に集合させ、当該集合した角部の位置に、それぞれ付き合わされた床板を係止する係止部と当該係止部に螺合された支持脚を有する構成である。これらの床構造は、係止部と一体になった支持脚を各角部が配置されると予想される位置に予め配設しておき、支持脚の係止部に床板の角部をはめ込んでいくことにより複数の床板を連結しながら床板を敷き詰めていく工程により組み立てられる。その後、支持脚の高さを調整し、所望の高さになるように床板のレベル調整を行う。
【0004】
また、特許文献3の床構造は、上下方向調整可能な支持脚が下面側に取り付けられた支持構造体を配設することにより、組み立てられる。支持構造体の側面には、上下方向に伸びる溝と突起が設けられており、隣り合う支持構造体を上下方向から嵌め合わせることで連結する。その後、支持脚の高さを調整し、所望の高さになるように床板のレベル調整を行う。
【0005】
このように、高さ調整を行う支持脚を有する構成の床構造は、支持脚の高さ調整の容易さに加えて、隣り合う床板を確実に連結できることが必要であった。しかし、これらの特許文献に開示されているような従来の床構造は、組み上げた後に支持脚の高さを調整すると、床面のレベル調整が困難となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−35316号公報
【特許文献2】特開2000−17723号公報
【特許文献3】特開2003−301589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、特許文献1及び特許文献2の床構造は、一つの支持脚の高さを変更すると、当該支持脚に係止されている4枚の床板が斜めに傾くことになる。この床板を所望のレベル例えば水平に調整するには、1枚の床板につき残りの3つの支持脚の高さを調整する必要があった。そして、また、レベル調整の対象となっている1枚の床板について調整した3つの支持脚には、それぞれ3枚の他の床板が連結されていることから、1つの床板のレベル調整が同時に支持されている他の3枚の床板の傾斜に影響を与えることとなる。そしてこの3枚の床板についても考慮すると、調整を必要とする支持脚の数は累積的に増加する。結果として、すべての床板を所望のレベルに均一化することは非常に困難であり、床板面のレベル調整に多大な時間と手間を必要とするという問題があった。
【0008】
また、特許文献3の床構造では、支持脚が1枚の支持構造体に固定されているため、1つの支持脚の高さ調整によりレベルが変更する床板は1枚であることから、対象となる床板のレベル調整が他の床板のレベルに影響を与える問題は軽減されている。しかし、隣り合う床板が上下方向に連結及び脱着されるものであるため、1枚の床板の高さが変化することで、隣り合う床板との高さがずれて段になりやすく、隣り合う床板を確実に連結しにくいという問題があった。
【0009】
さらに、上記の各特許文献の床構造では、レベル調整を行っても経年使用により床面に与えられた振動によりネジのゆるみが発生して支持脚の高さが変化するため、定期的にレベルの再調整を行う必要があるという問題もあった。
【0010】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、上記の問題点を解決し、化粧板のレベル調整を容易にすることができ、また、経年使用によるレベルの変化を防止すると供に隣り合う床板を確実に連結することができる化粧板敷設具及び床構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の化粧板敷設具を提供する。
【0012】
本発明の第1態様によれば、上端側に雄ネジが設けられたネジ軸と、前記ネジ軸の上面に設けられた非円形の係合穴とを備える支持脚と、
前記支持脚の係合穴に進退自在に挿入可能な棒状部と前記棒状部の上端に設けられた把持部とを有する回転工具と、
厚み方向に貫通して設けられ前記支持脚の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が設けられた前記支持脚を支持する支持脚固定穴と、前記支持脚固定穴の上方に前記支持脚固定穴の周囲に設けられ前記回転工具と係合可能な工具固定部と、上面に化粧板材を係合する板材固定部とを備える下地本体と、
を備えることを特徴とする、化粧板敷設具を提供する。
【0013】
本発明の第2態様によれば、さらに、隣り合う下地本体同士を連結する連結機構を有し、
前記連結機構は、前記下地本体の対向する側面で高さ方向が異なるように前記下地本体に設けられ、厚み方向に貫通する止め部材挿入口を有する連結部と、
前記隣り合う下地本体部の連結部の止め部材挿入口が厚み方向に重なるように配置された状態で、前記止め部材挿入口に挿入される止め部材とを備えることを特徴とする、第1態様の化粧板敷設具を提供する。
【0014】
本発明の第3態様によれば、前記工具固定部は、前記支持脚固定穴の周囲に設けられ、側壁が全周にわたって前記下地本体厚み方向に伸びる凹凸溝が形成された溝穴で設けられ、
前記支持脚固定穴の上側から前記支持脚の係合穴に挿入された回転工具の把持部両端を前記凹凸溝の溝内に嵌合可能に構成されていることを特徴とする、第1又は第2態様の化粧板敷設具を提供する。
【0015】
本発明の第4態様によれば、前記支持脚は、前記ネジ軸の下側に前記ネジ軸に対して回転可能に設けられ、基礎床面に当接する接地部を備えることを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの化粧板敷設具を提供する。
【0016】
本発明の第5態様によれば、前記板材固定部は、化粧板材に設けられた係合部が板材固定部に係合するように構成された溝であり、
前記化粧板材は係合部に下方に突出するボス部を備え、
前記板材固定部は、溝底に前記ボス部と係合する係合孔が設けられていることを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つの化粧板敷設具を提供する。
【0017】
本発明の第6態様によれば、上端側に設けられた雄ネジと上面に設けられた非円形の係合穴を有する支持脚が、内側面に雌ネジを有し厚み方向に貫通する支持脚固定穴と螺合することによって、基礎床面に対して高さ調整可能に支持された下地本体を配列し、その上面に化粧床材を固定した床構造であって、
前記係合穴に進退自在に挿入可能な棒状部と前記棒状部の上端に設けられた把持部とを有する回転工具を、前記支持脚のネジ軸の前記下地本体の表面側から挿入し、前記支持脚固定穴の上方に前記支持脚固定穴の周囲に設けられた工具固定部に前記回転工具部の把持部を係合させた状態で、上面に化粧板材を配列することを特徴とする、床構造を提供する。
【0018】
本発明の第7態様によれば、隣り合う前記下地本体の対向する側面で高さ方向が異なるように設けられた連結部の厚み方向に貫通する止め部材挿入口が厚み方向に重なるように配置された状態で、止め部材を前記止め部材挿入口に挿入して、前記隣り合う下地本体を連結することを特徴とする、第6態様の床構造を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、支持脚の高さ調整を行うための回転工具を支持脚に対して進退可能に構成すると共に、下地本体の支持脚固定穴の周囲に設けられた工具固定部に固定することにより、支持脚のネジのゆるみを防止することができる。すなわち、回転工具を用いて支持脚の高さ調整をした後、回転工具を支持脚側に深く挿入し、この状態で回転工具を下地本体に設けられた工具固定部に固定する。この構成により、回転工具を介して下地本体と支持脚が固定され、経年使用における振動などを理由とするネジのゆるみが防止される。
【0020】
本発明の第2態様によれば、上下方向ではなく、下地本体の面に沿った方向から隣り合う下地本体を連結することができる。したがって、支持脚による高さ調整を行った場合にも、隣り合う下地本体の間に段差が生じることがなく、レベル調整を容易にすることができる。また、下地本体の連結には止め部材を挿入するだけでよいため、施工の手間が軽減でき、下地本体を効率よく配設することができる。
【0021】
本発明の第3態様によれば、溝穴の側壁に設けられた凹凸溝が厚み方向に設けられているため、回転工具を支持脚側に深く挿入することによって把持部を凹凸溝に係合させることができる。また、凹凸溝は、全周にわたって設けられているため、回転工具の把持部の方向を問わず、どのような向きの状態でも溝穴の凹凸溝に固定することができ、固定作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態にかかる化粧板敷設具を用いた床構造の例を示す概略図である。
【図2】図1の床構造の一部の化粧板材を外した状態を示す図である。
【図3】図1の床構造に用いられる下地本体の単位ユニットの構成を示す斜視図である。
【図4】他の角度からみた図3の下地本体の単位ユニットの構成を示す斜視図である。
【図5】下地本体と支持脚及び化粧板材の取り付け構成を示す断面図である。
【図6】支持脚を取り付けた状態にある下地本体を斜め下側からみた斜視図である。
【図7】回転工具及び支持脚の構成を示す斜視図である。
【図8】回転工具を下地本体に収納した状態を示す部分拡大斜視図である。
【図9】下地本体の連結機構の構成を示す部分拡大図である。
【図10】連結状態にある図9の連結機構を示す部分拡大図である。
【図11】化粧板材を裏面側からみた部分拡大図である。
【図12】下地本体の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る化粧板敷設具を用いた床構造について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
本実施形態にかかる化粧板敷設具を基礎床面に敷設した床構造100は、図1及び図2に示すように、家屋庭先の地面やベランダなどのコンクリート面等の基礎床面G(図5参照)の上に縦横に並べて敷設される多数の下地本体1と、これらの下地本体1を略水平に支持する複数の高さ調節自在な支持脚2と、下地本体1の上面に取付けられた化粧板材3によって構成されている。
【0025】
上記下地本体1は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性合成樹脂を射出成形又は射出発泡成形したもので、本実施形態では、リレー成形により単位ユニットを連続的に成形することで、単位ユニットが長手方向に連接して成形された長尺の下地本体1を構成する。本実施形態の床構造では、下地本体1を短手方向に並べて隣り合う下地本体1同士を連結した後、支持脚2の高さを調整し、化粧板材3を下地本体1の上面に取り付ける。
【0026】
化粧板材3は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の熱可塑性合成樹脂を矩形板状に押出成形又は発泡押出成形したもので、この化粧板材3の上面には、木目模様や他の模様を施して美観を向上させることが望ましい。化粧板材3の寸法は限定されないが、実用上、その幅を下地板材1の幅寸法に合わせて15〜30cm程度とすることが好ましい。また、長さ寸法は30〜270cm程度、厚みを15mm程度に設定するのが適当である。
【0027】
図2〜図4に示すように、この下地本体1を構成する単位ユニットは、多数の縦桟と横桟を直交させた格子状の正方形が2つ並んで配置されているような平面形状を有している。この下地本体1は、短辺の長さが30cm程度、長編の長さが60cm程度、厚さが5cm程度に設定されている。下地本体1の1ユニットには、上記化粧板材3が2枚並べて取付けられるようになっている。そして、縦桟と横桟はいずれも裏面が開口した中空構造の桟に形成され、下地本体1の軽量化が図られている。
【0028】
下地本体1の側面10には、連結機構11が設けられている。連結機構11は、隣り合って配置される下地本体1を連結するためのものであり、詳細な構成については後述する。
【0029】
下地本体1の上面には、化粧板材3を下地本体1に固定するための板材固定部の一例としての縦溝13及び横溝14が設けられている。下地本体1の1つのユニットに設けられている縦溝13及び横溝14は下地本体1の長手方向及び短手方向の全幅にわたり設けられており、縦溝13はリレー成形された下地本体1の長手方向に連続して形成されている。また、横溝14は、隣り合って短手方向に連結された下地本体1の横溝14と連続する(図10参照)。
【0030】
図12に示すように、縦溝13及び横溝14の底面には、嵌合孔40が設けられており、後述する化粧板材3のボス部46が嵌合することによって、化粧板材のずれを防止する。
【0031】
化粧板材3には図5に示すように、裏面に左右一対の長手方向に伸びる脚片44が形成されている。そして、左右一対の脚片44の下端には、爪形の断面形状を有する係合部45が外向きに突出して形成されている。この係合部45は、縦溝13又は横溝14に挿入されて係合し、化粧板材3を下地本体1に固定する。なお、下地本体1において、隣り合う縦溝13及び横溝14の間隔は同寸法に構成されており、化粧板材3を下地本体1の長手方向にも短手方向にも取り付けることができるようになっている。すなわち、化粧板材3が下地本体1の長手方向に沿って取り付けられる場合は、脚片44は縦溝13と係合し、一方、化粧板材3が下地本体1の短手方向に沿って取り付けられる場合は、脚片44は横溝14と係合する。
【0032】
また、図11に示すように、脚片44には、縦溝13及び横溝14に設けられている嵌合孔40と嵌合する間欠的にボス部46が設けられている。化粧板材の脚片44は、位置方向に伸びているため、下地本体1の縦溝13又は横溝14に沿って移動する可能性がある。ボス部46が嵌合孔40と嵌合することにより、化粧板材のずれが防止される。
【0033】
下地本体1には、図3,4に示すように、支持脚2を取り付けるための支持脚固定穴12が設けられている。支持脚固定穴12は、1つのユニットに対して2箇所に設けられており、下地本体1の厚み方向に貫通する。支持脚固定穴12の内周面には雌ネジ15が設けられている。当該雌ネジは支持脚2の上部に設けられている雄ネジ16と螺合する。
【0034】
下地本体1を支持する支持脚2は、図5に示すように、上部に雄ネジ16が設けられたネジ軸17と、ネジ軸17の下方に設けられた中間部18と、中間部18の下端側に位置する接地部19とを備える。図6は、支持脚を取り付けた状態にある下地本体を斜め下側からみた斜視図である。図6に示すように、支持脚2のネジ軸17の雄ネジ16と支持脚固定穴12の内周面に設けられた雌ネジ15が螺合し、支持脚2を回転させることで、下地本体1の高さを調整することができる。
【0035】
図5に示すように、支持脚2の高さ調整を行うために、支持脚2のネジ軸17には、回転工具4が脱着可能となっている。回転工具4は、断面6角形の脚部41と脚部41の上端に設けられる把持部42を備えている。脚部41は、支持脚のネジ軸17の上面に設けられている係合穴20に嵌入可能な断面形状を有しており、当該係合穴20に進退可能に構成されている。この状態で、把持部42を持って回転させることで、支持脚2のネジ軸17が回転して、下地本体1と支持脚2の高さ調整を行うことができる。なお、ネジ軸17及び接地部19と中間部18は、それぞれ遊嵌状態に組み立てられており、互いに軸周りに相対回転可能に構成されているため、接地部19が基礎床面Gに接地した状態であってもネジ軸17をスムーズに回転させることができる。
【0036】
なお、本実施形態において、ネジ軸17のネジ長は30mm程度であり、25mm程度の高さ調整を行うことができる。ただし、基礎床面Gに25mm以上の段差などがある場合でも、長さが異なる中間部18を用いることで、下地本体1全体を均一の高さに合わせることができる。
【0037】
ネジ軸17の係合穴20は、本実施形態では、正6角形に構成され、十分な深さ寸法を有して構成されている。回転工具4は、脚部41の差込幅を異ならせることで、図7に示すように係合穴20に進退可能である。また、把持部42の両端には、係止凸部43が外側に突出して設けられている。
【0038】
また、下地本体1の支持脚固定穴12の周囲には、工具固定部の一例として、周囲に凹凸溝21が形成された溝穴22が設けられている。凹凸溝21は、溝穴22の深さ方向に伸びる溝であり、溝穴22の全周にわたって設けられている。凹凸溝21は、把持部の係止凸部43が係合可能に構成されている。上記のように、回転工具4は支持脚2側に進退可能に設けられているため、高さ調整を行なわないときは、回転工具4を支持脚2側に押し下げて係止凸部43を凹凸溝21に係止することで回転工具4を下地本体1に固定することができる。凹凸溝21の個数は、特に限定されるものではないが、数を多くすることにより隣り合う凹凸溝がなす角度が小さくなるため、固定可能な回転工具4の向きの角度幅を小さくすることができ、本実施形態では24個の凹凸溝21が設けられている。
【0039】
また、溝穴22は、支持脚固定穴12よりも若干大径に構成されており、本実施形態では、把持部42の寸法とほぼ等しい形寸法に構成されている。よって、回転工具4の固定時に、係止凸部43が溝穴22の底壁23に突き当たり、支持脚固定穴12内に把持部42が落下することを防止することができる。
【0040】
下地本体1に固定された回転工具4は、脚部41が支持脚2の係合穴20に挿入された状態となっているため、回転工具4を介して下地本体1と固定され、ネジのゆるみの発生を防止することができる。したがって、経年使用によるネジのゆるみによって支持脚2の高さが変化することがなく、レベルの再調整の手間を行う必要がない。
【0041】
次に、下地本体1同士を連結する連結機構11について詳細に説明する。上記の通り、本実施形態の床構造に用いられる下地本体1では、下地本体1の側面10に連結機構11が設けられており、下地本体1を短手方向に連結するために用いられる。ただし、下地本体1を長手方向に連結する連結機構を備えていてもよい。
【0042】
図9は下地本体の連結機構の構成を示す図である。図10は連結状態にある図9の連結機構を示す部分拡大図である。連結機構11は、下地本体1の厚み方向に貫通する止め部材挿入口25が設けられた連結環状部26,27,28により構成されている。連結環状部26,27,28は、支持脚固定穴12に近接する位置に設けられており、対向する2つの側面において、高さ方向位置が異なるように配置されている。すなわち、一方の側面10aには、上部連結環状部26及び下部連結環状部28が隙間29をおいて設けられ、対向する他方の側面10bには、中間連結環状部27が設けられている。
【0043】
中間連結環状部27は、上部連結環状部26及び下部連結環状部28の間の隙間29に
相当する高さ位置に設けられる。なお、隙間29の高さ寸法は、中間連結環状部27の高さ寸法よりも若干大きく構成し、下地本体1の連結時に多少の遊びが形成されるようにすることが好ましい。
【0044】
また、中間連結環状部27の上下位置には、連結時に上部連結環状部26及び下部連結環状部28の外形形状に沿うように構成された凹状部30が設けられており、2つの下地本体1の長手方向の位置関係を容易に位置決めすることができ、かつその近接時には、両者がはまりあって2つの下地本体1をより密接させることができる。
【0045】
2つの下地本体1の近接時には、連結環状部26,27,28に設けられている止め部材挿入口25が下地本体1の厚み方向に配列され、当該止め部材挿入口25に止め部材31を挿入することで2つの下地本体1が連結する。止め部材31は、くさび状の部材であり、近接した2つの下地本体1の上部連結環状部26の止め部材挿入口25に挿入され、その下側に位置する中間連結環状部27及び下部連結環状部28の止め部材挿入口25に連通して2つの下地本体1が連結される。
【0046】
本実施形態の下地本体1を連結するには、2つの下地本体を横方向から近づけて近接させ、その後止め部材31を挿入して連結する。
【0047】
次に本実施形態にかかる床構造の組立手順について説明する。まず、基礎床面Gの上に、支持脚2を螺合した下地本体1を配置する。このときの支持脚は仮の高さ位置でよく、各下地本体1の上面がほぼ同じ高さになるようにすることが好ましい。次いで、下地本体1を短手方向に配置しながら止め部材31を用いて下地本体1同士を順次連結する。
【0048】
基礎床面G上に所定の面積の下地本体1を配置して連結した後、回転工具4をそれぞれの支持脚2の係合穴20に挿入して下地本体の高さ調整を行なう。
【0049】
本実施形態では連結機構11は横方向に連結される構成であるため、隣り合う2つの下地本体1について支持脚2の高さを調整すると、他方の下地本体1も連動し、隣り合う下地本体1の間に段差が生じることはない。すなわち、ある任意の下地本体1を上昇させると、当該下地本体1に連結されている他の下地本体1についても持ち上がることとなる。本実施形態では、連結機構11と支持脚固定穴12とが近接して設けられているため、連動により持ち上げられた側の下地本体1について支持脚2が基礎床面Gから浮き上がっているかの判断が容易であり、当該支持脚2についても基礎床面Gに接地するように高さ調整をすることで容易に2つの下地本体1が平面となるようにレベル調整することができる。
【0050】
上記の作業を繰り返して、すべての下地本体1について高さ調整が終了した後、回転工具4を深く挿入して把持部42の係止凸部43を溝穴22の凹凸溝21に係合させて、回転工具4を下地本体1に固定する。回転工具4の脚部41は支持脚2の係合穴20に挿入された状態となっているため、回転工具4を介して下地本体1と支持脚2とが連結され、支持脚2のゆるみの発生が防止される。
【0051】
最後に、化粧板材3を下地本体1の縦溝13又は横溝14にはめ込むことで、化粧板材3を下地本体1上に固定させる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態にかかる床構造は、支持脚2の高さ調整を行うための回転工具4を支持脚2に対して進退可能に構成すると共に、下地本体1の支持脚固定穴12の周囲に設けられた凹凸溝21に固定することにより、支持脚2のネジのゆるみを防止することができる。すなわち、回転工具4を用いて支持脚の高さ調整をした後、回転工具4を支持脚2に深く挿入することで、把持部42の両端が凹凸溝21に係合する。また、把持部42は、下地本体1の表面から突出することなく溝穴22内に収納される。この構成により、回転工具4を介して下地本体1と支持脚2が固定され、振動などを理由とするネジのゆるみが防止される。
【0053】
また、隣り合う下地本体1同士を連結する連結機構として、連結環状部26,27,28及び止め部材31を用いることで、横方向から下地本体1を連結することができ、高さ調整時に下地本体間に段差が生じることがない。また、支持脚2と連結機構11とが近接しているため、調整された下地本体に合わせて支持脚の高さを均一にすることが容易である。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。たとえば、把持部42を下地本体1に固定する構成としては、凹凸溝21を溝穴22の周囲に配置しているが、溝穴の底面に上方が開口するように設けてもよい。この構成では、把持部42の底面に当該凹凸溝と係合する係止凸部43を設ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかる化粧板敷設具及び床構造は、家屋庭先の地面やベランダなどのコンクリート面等の基礎床面上に配置される。
【符号の説明】
【0056】
1 下地本体
2 支持脚
3 化粧板材
4 回転工具
11 連結機構
12 支持脚固定穴
13 縦溝
14 横溝
15 雌ネジ
16 雄ネジ
17 ネジ軸
18 中間部
19 接地部
20 係合穴
21 凹凸溝
22 溝穴
23 底壁
26 上部連結環状部
27 中間連結環状部
28 下部連結環状部
29 隙間
30 凹状部
31 止め部材
40 嵌合孔
41 脚部
42 把持部
43 係止凸部
44 脚片
45 係合部
46 ボス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側に雄ネジが設けられたネジ軸と、前記ネジ軸の上面に設けられた非円形の係合穴とを備える支持脚と、
前記支持脚の係合穴に進退自在に挿入可能な棒状部と前記棒状部の上端に設けられた把持部とを有する回転工具と、
厚み方向に貫通して設けられ前記支持脚の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が設けられた前記支持脚を支持する支持脚固定穴と、前記支持脚固定穴の上方に前記支持脚固定穴の周囲に設けられ前記回転工具と係合可能な工具固定と、上面に化粧板材を係合する板材固定部とを備える下地本体と、
を備えることを特徴とする、化粧板敷設具。
【請求項2】
さらに、隣り合う下地本体同士を連結する連結機構を有し、
前記連結機構は、前記下地本体の対向する側面で高さ方向が異なるように前記下地本体に設けられ、厚み方向に貫通する止め部材挿入口を有する連結部と、
前記隣り合う下地本体部の連結部の止め部材挿入口が厚み方向に重なるように配置された状態で、前記止め部材挿入口に挿入される止め部材とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の化粧板敷設具。
【請求項3】
前記工具固定部は、前記支持脚固定穴の周囲に設けられ、側壁が全周にわたって前記下地本体厚み方向に伸びる凹凸溝が形成された溝穴で設けられ、
前記支持脚固定穴の上側から前記支持脚の係合穴に挿入された回転工具の把持部両端を前記凹凸溝の溝内に嵌合可能に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧板敷設具。
【請求項4】
前記支持脚は、前記ネジ軸の下側に前記ネジ軸に対して回転可能に設けられ、基礎床面に当接する接地部を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の化粧板敷設具。
【請求項5】
前記板材固定部は、化粧板材に設けられた係合部が板材固定部に係合するように構成された溝であり、
前記化粧板材は係合部に下方に突出するボス部を備え、
前記板材固定部は、溝底に前記ボス部と係合する係合孔が設けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の化粧板敷設具。
【請求項6】
上端側に設けられた雄ネジと上面に設けられた非円形の係合穴を有する支持脚が、内側面に雌ネジを有し厚み方向に貫通する支持脚固定穴と螺合することによって、基礎床面に対して高さ調整可能に支持された下地本体を配列し、その上面に化粧床材を固定した床構造であって、
前記係合穴に進退自在に挿入可能な棒状部と前記棒状部の上端に設けられた把持部とを有する回転工具を、前記支持脚のネジ軸の前記下地本体の表面側から挿入し、前記支持脚固定穴の上方に前記支持脚固定穴の周囲に設けられた工具固定部に前記回転工具部の把持部を係合させた状態で、上面に化粧板材を配列することを特徴とする、床構造。
【請求項7】
隣り合う前記下地本体の対向する側面で高さ方向が異なるように設けられた連結部の厚み方向に貫通する止め部材挿入口が厚み方向に重なるように配置された状態で、止め部材を前記止め部材挿入口に挿入して、前記隣り合う下地本体を連結することを特徴とする、請求項6に記載の床構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−96207(P2013−96207A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243052(P2011−243052)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(391037353)
【Fターム(参考)】