説明

化粧板用の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、転写シート、化粧板、及び化粧板の製造方法

【課題】プライマーや接着剤を必ずしも用いることなく、メラミン樹脂層の上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を確実に密着させることができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、転写シート、化粧板、及び化粧板の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)ラジカル反応性基を2つ含むウレタンアクリレート樹脂又はアクリル樹脂と、(B)ラジカル反応性基を6つ以上含むウレタンアクリレート樹脂又はアクリル樹脂と、を含み、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100重量部としたとき、前記(A)成分の量が30〜70重量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、化粧板用途に供される活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、転写シート、化粧板、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧板表面の耐擦傷性、耐薬品性、耐汚染性、耐候性を向上させる手段としては、活性エネルギー線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂を含む塗液を化粧板の表面に塗布して硬化せしめる方法、それらの樹脂を含む塗液を剥離性のある基材に塗布し硬化して、転写シートとした後、転写シートの硬化塗膜を化粧板に重ねて、加熱加圧等により、その化粧板表面に硬化塗膜を転写する方法、基材上に設けた塗膜を半硬化の状態にして転写シートとし、転写シートの半硬化状態の塗膜を化粧板表面に転写後に、再度、硬化処理を行い、化粧板表面に上記耐性を有する塗膜を設ける方法が知られている。特に、活性エネルギー線により硬化した塗膜は、優れた塗膜特性(耐擦傷性、耐汚染性等)を有するため、塗膜を化粧板表面に設ける方法については、種々提案されている(特許文献1〜2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−137942号公報
【特許文献2】特開2003−183339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に上記耐性を有するような塗膜は、分子中に多くの反応性官能基を有する材料を架橋させてなるものであって、高い架橋密度を有する場合が多く、その塗膜を直接化粧板に密着させようとした場合、塗膜の緻密さ、硬化収縮等により、化粧板の表面への密着性が著しく劣る場合が多い。また、転写シートを用いる場合には、転写シートの塗膜側、或いは、化粧板側にプライマー層や接着剤層などを設けて、密着性を確保しているのが現状である。
【0005】
本発明は、プライマーや接着剤を必ずしも用いることなく、メラミン樹脂層等の上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を確実に密着させることができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、転写シート、化粧板、及び化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、(A)ラジカル反応性基を2つ含むウレタンアクリレート樹脂又はアクリル樹脂と、(B)ラジカル反応性基を6つ以上含むウレタンアクリレート樹脂又はアクリル樹脂と、を含み、前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100重量部としたとき、前記(A)成分の量が30〜70重量部であることを特徴とする。
【0007】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることにより、例えば、転写シートの塗膜側、或いは、化粧板側にプライマー処理を施さなくても、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から成る層(硬化物)の密着性、耐擦傷性、耐薬品性に優れる化粧板を得ることができる。
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、更に導電性ゾルを含むことが好ましい。
本発明の転写シートは、剥離性基材と、前記剥離性基材に形成された、上述した活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から成る層と、を備える。
【0009】
本発明の化粧板は、メラミン樹脂層と、前記メラミン樹脂層の上に形成された、上述した活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物から成る層と、を備える。
本発明の化粧板の製造方法は、コア材と、化粧紙に熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂液を含浸し、乾燥して成る樹脂含浸化粧紙と、上述した転写シートとを積層し、熱圧成形し、前記熱圧成形後、前記剥離性基材を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の耐薬品性化粧板を得るために材料を積層する際の構成断面図である。
【図2】図2は本発明の耐薬品性化粧板の構成断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明で用いる(A)成分のうち、ラジカル反応性基を2つ含むウレタンアクリレート樹脂は、例えば、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレートなどの水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物である。(A)成分の重量平均分子量は、500〜1500が好ましい。
【0012】
また、本発明で用いる(A)成分のうち、ラジカル反応性基を2つ含むアクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの誘導体の重合体からなるもので、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステルを主成分とした重合体が挙げられる。
【0013】
本発明で用いる(B)成分のうち、ラジカル反応性基を6つ以上含むウレタンアクリレート樹脂は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート等の水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物である。(B)成分の重量平均分子量は500〜6000が好ましい。
【0014】
また、本発明で用いる(B)成分のうち、ラジカル反応性基を6つ以上含むアクリル樹脂としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの誘導体の重合体からなるもので、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステルを主成分とした重合体が挙げられる。
【0015】
(A)成分と(B)成分の配合割合は70:30〜30:70重量部(固形分比)とするのが好ましく、(B)成分が下限に満たないと、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から成る層の密着性、耐薬品性に劣りやすく、上限を超えると密着性に劣りやすくなる。
【0016】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の全固形分に対する、(A)成分と(B)成分の合計量の比率(重量比)は、90〜100%の範囲が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、(A)成分と(B)成分以外に、導電性ゾルを配合することが好ましい。導電性ゾルは、化粧板を製造する際、剥離性基材に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が塗布された転写シートの帯電防止に効果があり、転写シートの取り扱い中に静電気の発生によるゴミの付着を防止することができる。とりわけアンチモン系の導電性ゾルが好ましく、導電性ゾルの使用量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して8〜15重量部の範囲が好ましい。15重量部を超えると着色及び耐薬品性能が劣りやすく、8重量部よりも少ないと十分な帯電防止効果が得られないことがある。
【0017】
アンチモン系の導電性ゾルとしては、市販品として日産化学工業株式会社製のセルナックス(登録商標)シリーズ(アンチモン酸亜鉛系)が挙げられる。水分散ゾルとしてCX−Z330H、CX−Z330H−F2や、メタノール分散ゾルとしてCX−Z641M、CX−Z603M、CX−Z603M−F2、CX−Z610M−F2、CX−Z653M−F、CX−Z693M−Fや、イソプロパノール分散ゾルとしてCX−Z210IP、CX−Z210IP−F2(いずれも商品名)があり、(A)成分、(B)成分の種類、配合割合に応じ、適宜選択して用いることができる。
【0018】
また、紫外線照射する場合、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、(A)成分と(B)成分以外に、光開始剤を配合することが好ましい。光開始剤は、例えば、ベンジルケタール、α−ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チタノセン系化合物、オキシムエステルなどを用いることができる。市販品としてはIRGACURE184、369、651、819、DAROCUR1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名)などが挙げられる。光開始剤の使用量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましい。10重量部よりも多いと硬化被膜が着色しやすく、1重量部よりも少ないと十分な硬化が得られないことがある。
【0019】
本発明の転写シートにおいて用いられる(例えば、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が塗布される)剥離性基材は、樹脂含浸化粧紙の表面に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が熱圧成形により転写された後、剥離可能なものであればよく、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム箔、ステンレス箔、銅箔などの金属箔を使用することができる。
【0020】
前記剥離性基材の表面に前記の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布する場合は公知の方法、例えば、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、カーテンコート法などを用いることができる。乾燥後の塗膜の厚みは1〜100μm程度であることが好ましい。
【0021】
剥離性基材の表面に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布した後には、例えば、電子線、紫外線を照射することができる。紫外線を照射する場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等を用い、100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域で、100〜800mJ/cmのエネルギーを有する紫外線を照射することが好ましい。この条件であると熱圧成形時に樹脂含浸化粧紙との密着が強固なものとなる。また、必要に応じて窒素雰囲気下にて硬化してもよい。
【0022】
本発明の化粧版において用いられる樹脂含浸化粧紙としては、通常公知の化粧板用の化粧紙に熱硬化性樹脂、とりわけ耐熱性、耐摩耗性に優れるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を化粧紙に含浸し、乾燥したものが好適に用いられる。
【0023】
コア材には、化粧板用のクラフト紙、不織布、クロスなどに熱硬化性樹脂を含浸処理した樹脂含浸コア紙や、合板、MDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)、パーティクルボードなどの木質系基材が用いられ、適宜用途、要求される品質により選択される。
【実施例1】
【0024】
(A)ラジカル反応性基を2つ含むウレタンアクリレート樹脂である、UN−2301(商品名アートレジン、根上工業株式会社製、重量平均分子量740)70重量部、(B)ラジカル反応性基を10含むウレタンアクリレート樹脂である、UN−904(商品名アートレジン、根上工業株式会社製、重量平均分子量4900)30重量部、及び光開始剤であるIRGACURE184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名)3重量部をメチルエチルケトン40重量部で希釈して紫外線硬化型樹脂組成物(活性エネルギー線硬化型樹脂組成物)を得た。
【0025】
次いで、厚み80μmのOPP(Oriented Polypropylene:延伸ポリプロピレン)フィルムに乾燥膜厚が30μmとなるように前記の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、高圧水銀灯で照射強度が400mJ/cmとなるように紫外線を照射して転写シートを得、この転写シートを1週間養生した。この転写シート3は、図1に示すように、OPPフィルム(剥離性基材)1と、そのOPPフィルム1に形成された、紫外線硬化型樹脂組成物から成る層2と、を備えるものである。
【0026】
坪量100g/mの印刷紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸し、乾燥してメラミン樹脂含浸化粧紙を得た。
坪量185g/mのクラフト紙にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸し、乾燥してフェノール樹脂含浸コア紙を得た。
【0027】
図1に示すように、下から順に、フェノール樹脂含浸コア紙7を5枚、メラミン樹脂含浸化粧紙6を1枚、転写シート3を1枚積層し、温度132℃、圧力70kg/cmの条件で熱圧成形し、成形後OPP(Oriented Polypropylene:延伸ポリプロピレン)フィルムを除去して、図2に示すような、耐薬品性化粧板9を得た。耐薬品性化粧板9において、7aは硬化した樹脂含浸コア紙であり、6aは硬化した樹脂含浸化粧紙であり、2aは紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物である。
【実施例2】
【0028】
(A)成分としてライトアクリレート1,6HX−A(共栄社化学株式会社製、分子量226)70重量部を用い、(B)成分としてKAYARADDPHA(日本化薬株式会社製、分子量878)30重量部を用いた点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【0029】
ここで、ライトアクリレート1,6HX−Aは、ラジカル反応性基を2つ含むアクリル樹脂である。また、KAYARADDPHAは、ラジカル反応性基を6つ含むアクリル樹脂である。
【実施例3】
【0030】
(A)成分の配合量を50重量部とし、(B)成分の配合量を50重量部とした点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【実施例4】
【0031】
(A)成分としてライトアクリレート1,6HX−A(共栄社化学株式会社製、分子量226)50重量部を用い、(B)成分としてKAYARADDPHA(日本化薬株式会社製、分子量878)50重量部を用いた点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【実施例5】
【0032】
(A)成分の配合量を30重量部とし、(B)成分の配合量を70重量部とした点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【実施例6】
【0033】
(A)ラジカル反応性基を2つ含むウレタンアクリレート樹脂である、UN−2301(商品名アートレジン、根上工業株式会社製)70重量部、(B)ラジカル反応性基を10含むウレタンアクリレート樹脂である、UN−904(商品名アートレジン、根上工業株式会社製)30重量部、光開始剤であるIRGACURE184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名)5重量部、光開始剤であるIRGACURE819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、商品名)1重量部、及び導電性ゾルであるアンチモン酸亜鉛のイソプロパノール分散ゾル(セルナックスCX−Z210IP−F2、ZnSb:20%、日産化学工業株式会社製、商品名)12.5重量部を、4−メチル−2−ペンタノン40重量部で希釈して紫外線硬化型樹脂組成物を得た。
【0034】
次いで、厚み80μmのOPP(Oriented Polypropylene:延伸ポリプロピレン)フィルムに乾燥膜厚が30μmとなるように前記の紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、高圧水銀灯で照射強度が400mJ/cmとなるように紫外線を照射して転写シートを得、この転写シートを1週間養生した。
【0035】
坪量100g/mの印刷紙にメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸し、乾燥してメラミン樹脂含浸化粧紙を得た。
坪量185g/mのクラフト紙にフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を主な成分とする樹脂液を含浸し、乾燥してフェノール樹脂含浸コア紙を得た。
【0036】
下から順に、フェノール樹脂含浸コア紙を5枚、メラミン樹脂含浸化粧紙を1枚、転写シートを1枚積層し、温度132℃、圧力70kg/cmの条件で熱圧成形し、成形後OPP(Oriented Polypropylene:延伸ポリプロピレン)フィルムを除去して耐薬品性化粧板を得た。
【実施例7】
【0037】
(A)成分としてライトアクリレート1,6HX−A(共栄社化学株式会社製、分子量226)70重量部を用い、(B)成分としてKAYARADDPHA(日本化薬株式会社製、分子量878)30重量部を用いる点以外は前記実施例6と同様に実施した。
【実施例8】
【0038】
(A)成分の配合量を50重量部とし、(B)成分の配料を50重量部とした点以外は前記実施例6と同様に実施した。
【実施例9】
【0039】
(A)成分としてライトアクリレート1,6HX−A(共栄社化学株式会社製、分子量226)50重量部を用い、(B)成分としてKAYARADDPHA(日本化薬株式会社製、分子量878)50重量部を用いた点以外は前記実施例6と同様に実施した。
【実施例10】
【0040】
(A)成分の配合量を30重量部とし、(B)成分の配合量を70重量部とした点以外は前記実施例6と同様に実施した。
【実施例11】
【0041】
CX−Z210IP−F2の配合量を10重量部とした点以外は前記実施例8と同様に実施した。
【実施例12】
【0042】
CX−Z210IP−F2の配合量を15重量部とした点以外は前記実施例8と同様に実施した。
比較例1
(A)成分の配合量を0重量部とし(配合せず)、(B)成分の配合量を100重量部とした点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【0043】
比較例2
(A)成分の配合量を10重量部とし、(B)成分の配合量を90重量部とした点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【0044】
比較例3
(A)成分の配合量を20重量部とし、(B)成分の配合量を80重量部とした点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【0045】
比較例4
(A)成分の配合量を80重量部とし、(B)成分の配合量を20重量部とした点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【0046】
比較例5
(A)成分の配合量を90重量部とし、(B)成分の配合量を10重量部とした点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【0047】
比較例6
(A)成分の配合量を100重量部とし、(B)成分の配合量を0重量部とした(配合しなかった)点以外は前記実施例1と同様に実施した。
【0048】
各実施例及び比較例の組成を表1〜表3に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
次に、各実施例及び比較例の化粧版を試験した。試験方法は以下の通りとした。以下の(a)〜(c)の試験は、いずれも、紫外線硬化型樹脂組成物から成る層(転写層)の密着性を評価する試験である。
(a)クロスカット:化粧板の表面にカッターナイフにてクロスカットを入れ、セロハンテープを一旦貼付してから剥離した後、転写層の剥離状態を目視判定する。(JISK5400塗料一般試験法 Xカットテープ法準拠)。クロスカット試験の評価基準は以下のとおりとした。
【0053】
○:転写シートを常温で1週間養生して剥離が無い。
×:転写シートを常温で1週間養生してテープを貼ったXカット部の大部分に剥がれが有る。
(b)碁盤目剥離:碁盤目テープ剥離(JISK5400 碁盤目試験準拠)で評価した。碁盤目剥離の評価基準は以下のとおりとした。
○:転写シートを常温で1週間養生した後に試験して95/100以上残る。
×:転写シートを常温で1週間養生した後に試験して84/100以下。
(c)耐水密着性:化粧板を沸騰水中で2時間煮沸し、更に100℃の電気オーブンで2時間乾燥した後、表面にカッターナイフにてクロスカットを入れ、セロハンテープを一旦貼付してから剥離した後、転写層の剥離状態を目視判定する(JISK5400塗料一般試験法 Xカットテープ法準拠)。耐水密着性の評価基準は以下のとおりとした。
【0054】
○:転写シートを常温で1週間養生した後に試験をしても剥離が無い。
×:転写シートを常温で1週間養生した後に試験をしてテープを貼ったXカット部の大部分に剥がれが有る。
(d)耐薬品性:JIS K 6902:1998の耐汚染性に準拠して、各種薬品の耐性を目視観察する。汚染物質の接触時間は16〜24時間。耐薬品性の評価基準は以下のとおりとした。
【0055】
○:塗膜に外観変化なし。
△:塗膜にやや跡が残るまたは塗膜が変色。
×:塗膜に顕著な変化が見られる。
(e)表面抵抗値::JIS K 6911−5−13(1995年版)に基づき、デジタル超高抵抗/微小電流計R8340A((株)アドバンテスト)を使用して測定する
各試験の評価結果を、上記表1〜表3に示す。表1〜表3から明らかなように、各実施例の化粧板は、比較例の化粧板に比べて、紫外線硬化型樹脂組成物から成る層(転写層)の密着性、耐薬品性の点で顕著に優れていた。
【符号の説明】
【0056】
1・・・剥離性基材
2・・・紫外線硬化型樹脂組成物
2a・・・紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物
3・・・転写シート
6・・・樹脂含浸化粧紙
6a・・・硬化した樹脂含浸化粧紙
7・・・樹脂含浸コア紙
7a・・・硬化した樹脂含浸コア紙
9・・・耐薬品性化粧板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ラジカル反応性基を2つ含むウレタンアクリレート樹脂又はアクリル樹脂と、
(B)ラジカル反応性基を6つ以上含むウレタンアクリレート樹脂又はアクリル樹脂と、
を含み、
前記(A)成分と前記(B)成分との合計量を100重量部としたとき、前記(A)成分の量が30〜70重量部であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
更に導電性ゾルを含む請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
剥離性基材と、
前記剥離性基材に形成された、請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から成る層と、を備えた転写シート。
【請求項4】
メラミン樹脂層と、
前記メラミン樹脂層の上に形成された、請求項1又は2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物から成る層と、を備える化粧板。
【請求項5】
コア材と、化粧紙に熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂液を含浸し、乾燥して成る樹脂含浸化粧紙と、請求項3記載の転写シートとを積層し、熱圧成形し、前記熱圧成形後、前記剥離性基材を除去することを特徴とする化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−94132(P2011−94132A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220110(P2010−220110)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】