説明

化粧板

【課題】嵌合はずれや水の浸入の問題のない化粧板を得ること。
【解決手段】底板部の両側に上向きの突出部を備えたコ字状の連結部材によって隣り合う化粧板基材が連結される化粧板において、前記突出部が傘状であり、前記突出部により嵌合されるような係止溝が、化粧板基材の両端部の幅方向の裏面に設けてなり、前記化粧板基材の弾性率は1900〜4000MPaであり、前記突出部と前記係止溝の隙間をaとしたときに、化粧板どうしの隙間を2aとなるように設け前記隙間aが0.2〜0.7mmであり、前記突出部の傘状の最大幅をA、最小幅をBとしたときにA−Bが0.05〜0.5mmとなるように設けてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材、天井、天井などの建築内装用化粧板であって、複数の矩形部材を連接して広い面を施工可能とする化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような化粧材の構成では、その端面を図2で示すような連結構造として組み合わせていくものが知られている。しかしながらこのような構造である場合、嵌合はずれや水の浸入といった問題が発生していた。
【0003】
それに対して、化粧板基材の両面下部に凹部を設けて連結部材でこれらを連結する方法も知られている。しかしながら、このような場合であっても、先の場合より顕著ではないものの、嵌合はずれや水の浸入は避けられないものであった。
【特許文献1】特開平10−61150号公報
【特許文献2】特開2005−180083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、嵌合はずれや水の浸入の問題のない化粧板を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの課題を解決するものであり、すなわちその請求項1記載の発明は、底板部の両側に上向きの突出部を備えたコ字状の連結部材によって隣り合う化粧板基材が連結される化粧板において、前記突出部が傘状であり、前記突出部により嵌合されるような係止溝が、化粧板基材の両端部の幅方向の裏面に設けてなり、前記化粧板基材の弾性率は1900〜4000MPaであり、前記突出部と前記係止溝の隙間をaとしたときに、化粧板どうしの隙間を2aとなるように設け前記隙間aが0.2〜0.7mmであり、前記突出部の傘状の最大幅をA、最小幅をBとしたときにA−Bが0.05〜0.5mmとなるように設けてなることを特徴とする化粧板である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、嵌合時の破損がなく、嵌合後も嵌合はずれや水の侵入といった問題も発生することがない化粧板を提供することが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1に本発明の化粧板の一実施例の断面の構造を示す。
化粧板基材1に係止溝2を設けてなり、連結部材3には傘状突起4を有してなる。
【0008】
本発明における化粧板基材1は、弾性率が1900〜4000MPaのものが用いられる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂に木粉その他の充填剤、添加剤を添加して得られる木質系樹脂を異型押出成形にて成形するものが好適に用いられ、その際に意匠的に問題のない範囲でその添加割合を調整すれば良い。具体的には、ホモポリプロピレン80重量部にマレイン酸変成ポモポリプロピレン20重量部を混合したものに平均粒径100μmに粉砕した木粉を100重量部添加してなるものが好適である。
【0009】
本発明における係止溝2は、化粧板基材1の成形時に設けるものでもよいし、成形後に切削加工により設けても良い。
【0010】
本発明における連結部材3は、化粧板基材と同様の材料、同様の方法により成形するのが好適であるが、特にこれに限定するものではなく、同様の弾性率と求める範囲の形状のものが得られれば良い。
【0011】
本発明における傘状突起4は、連結部材3の成形時に設けるものでもよいし、成形後に切削加工により設けても良い。
【実施例1】
【0012】
化粧板基材としてポリプロピレン(サンアロマー(株)製:「PS201A」)100重量部に平均粒径100μmの木粉を100重量部添加したものを材料とし、異型成形にて下図断面形状のサンプルを作成した。
A寸法:3.7mm、B寸法:3.5mm
a寸法:0.3mm
弾性率:2250MPa
上図の嵌合力を汎用ロードセルに荷重をかけ測定した結果、60N/cmの値を得た。
【0013】
図1に示すように嵌合した。嵌合時に破損等は認められず、嵌合はずれ、荷重試験(50kg/直径100mm)、水の浸入(50ml水を直径100mm円筒に入れ1時間放置した後に嵌合部からの水の浸入を確認する)等の試験でも異常は認められなかった。また、図1の状態で0℃雰囲気下で下台の合板に接着剤(コニシ(株)製「KU928R」)で接着し、2日放置し、その後40℃雰囲気に変更したが、化粧板同士の突き上げ等不具合は確認されなかった。
【0014】
<比較例1>
実施例1のポリプロピレン(サンアロマー(株)製:「PS201A」)100重量部のかわりに、弾性率の異なる材料(試験体1:ゼオン化成(株)製「AH4204」、試験体2:ゼオン化成(株)製「WAH7100」)を用い、それ以外は実施例1と同様の製法で作成した。
A寸法:3.7mm、B寸法:3.5mm
a寸法:0.3mm
弾性率:試験体1 1500MPa
試験体2 4200MPa
試験体1は嵌合パーツが曲がり嵌合させる事が不可能であった。
試験体2は嵌合パーツが破損し、嵌合させる事が不可能であった。
【0015】
<比較例2>
下記のように寸法を変えた以外は実施例1と同様の製法で作成した。
A寸法:3.7mm、B寸法:2.7mm
a寸法:0.3mm
弾性率:2250MPa
嵌合パーツ及び化粧版とも嵌合時に破損した。
【0016】
<比較例3>
下記のように寸法を変えた以外は実施例1と同様の製法で作成した。
A寸法:3.7mm、B寸法:3.68mm
a寸法:0.3mm
弾性率:2250MPa
この嵌合力を汎用ロードセルに荷重をかけ測定した結果5N/cmの値を得た。
嵌合時に破損等は認められなかったが、嵌合はずれ(荷重試験50kg/直径100mm)、水の浸入(50ml水を直径100mm円筒に入れ1時間放置した後に嵌合部からの水の浸入を確認する)等の試験で異常が確認された。また、この状態で0℃雰囲気下で下板合板に接着剤(コニシ(株)製「KU928R」)で接着し、2日放置し、その後40℃雰囲気に変更したが化粧版同士の突き上げ等不具合は確認されなかった。
【0017】
<比較例4>
下記のように寸法を変えた以外は実施例1と同様の製法で作成した。
A寸法:3.7mm、B寸法:3.5mm
a寸法:0.1mm
弾性率:2250MPa
この嵌合力を汎用ロードセルに荷重をかけ測定した結果60N/cmの値を得た。
嵌合時に破損等は認められず、嵌合はずれ、荷重試験(50kg/直径100mm)、水の浸入(50ml水を直径100mm円筒に入れ1時間放置した後に嵌合部からの水の浸入を確認する)等の試験でも異常は認められなかった。しかし、この状態で0℃雰囲気下で下板合板に接着剤(コニシ(株)製「KU928R」)で接着し、2日放置し、その後40℃雰囲気に変更した際、化粧版同士の突き上げの不具合が確認された。
【0018】
<比較例5>
下記のように寸法を変えた以外は実施例1と同様の製法で作成した。
A寸法:3.7mm、B寸法:3.5mm
a寸法:1.0mm
弾性率:2250MPa
この嵌合力を汎用ロードセルに荷重をかけ測定した結果60N/cmの値を得た。
嵌合時に破損等は認められず、嵌合はずれ、荷重試験(50kg/直径100mm)、水の浸入(50ml水を直径100mm円筒に入れ1時間放置した後に嵌合部からの水の浸入を確認する)等の試験でも異常は認められなかった。また、上図の状態で0℃雰囲気下で下板合板に接着剤(コニシ(株)製「KU928R」)で接着し、2日放置し、その後40℃雰囲気に変更しても化粧版同士の突き上げ等不具合は確認されなかった。しかし、隙間Cが0℃雰囲気下で2a=2mmと大きくなり、外観上好ましくなかった。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の化粧板は、特に床材として好適な建築内装用化粧板として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の化粧板の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1…化粧板基材
2…係止溝
3…連結部材
4…傘状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部の両側に上向きの突出部を備えたコ字状の連結部材によって隣り合う化粧板基材が連結される化粧板において、前記突出部が傘状であり、前記突出部により嵌合されるような係止溝が、化粧板基材の両端部の幅方向の裏面に設けてなり、
前記化粧板基材の弾性率は1900〜4000MPaであり、
前記突出部と前記係止溝の隙間をaとしたときに、化粧板どうしの隙間を2aとなるように設け、
前記隙間aが0.2〜0.7mmであり、
前記突出部の傘状の最大幅をA、最小幅をBとしたときにA−Bが0.05〜0.5mmとなるように設けてなることを特徴とする化粧板。


【図1】
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【公開番号】特開2008−214982(P2008−214982A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54967(P2007−54967)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】