説明

化粧構造体

【課題】本発明は、深みのある、落ち着きのある輝度感を有し、優れた美観性を有する化粧構造体を提供する。
【解決手段】本発明の化粧構造体は、有色基材上に光輝層が積層されたものであり、該光輝層は、有色基材側に大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含む大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子(a)、表面側に大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(b)、が配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた意匠性を有する化粧構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造発色性や輝度感を有する材料としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、グラファイト、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、ホログラム顔料およびコレステリック液晶ポリマー等が挙げられる(特許文献1)。
このような材料を家電・家具、また、壁、床、天井などの建材の一部、または、全部に用いることによって、彩度が高く、インパクトのある意匠性を表出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−137952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、家電・家具、壁、床、天井などの建材などの分野において、輝度感を有する材料の要望が多くなってきている。特に、ギラギラした輝度感ではなく、落ち着きのある輝度感への要望が非常に多くなってきている。
しかし、特許文献1のような材料をただ単に用いただけでは、輝度感が強すぎたり、また、単調な意匠となる傾向があり、場合によっては、敬遠されてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、鋭意検討をした結果、光輝性鱗片状粒子を含む大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子の上方に、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子が存在することにより、見る角度により輝度感が変化するとともに、深み、落ち着きのある輝度感を有し、優れた美観性を有する化粧構造体が得られることを見いだし、本発明の完成に至った。
【0006】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.有色基材上に、結合材及び鱗片状粒子を含む光輝層が積層された化粧構造体であって、
光輝層は、少なくとも大きさの異なる2種以上の鱗片状粒子を含み、
有色基材側に、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含む大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子(a)、
表面側に、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(b)、
が配置されている化粧構造体。
2.有色基材上に、第1光輝層(A)、第2光輝層(B)が順に積層された化粧構造体であって、
第1光輝層(A)は、結合材、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含む大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子(a)を含み、
第2光輝層(B)は、結合材、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(b)を含むことを特徴とする化粧構造体。
3.鱗片状粒子(a)は、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を1重量%以上含むものであることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の化粧構造体。
4.光輝性鱗片状粒子(a−1)は、鱗片状基体粒子(a−11)の表面に、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(a−12)が被覆されたものであることを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の化粧構造体。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化粧構造体は、見る角度により輝度感が変化するとともに、深み、落ち着きのある輝度感を有し、優れた美観性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0009】
本発明の化粧構造体は、有色基材上に光輝層が積層され、該光輝層は、有色基材側に大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子(a)、表面側に大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(b)が配置されたものである。
【0010】
本発明で用いる鱗片状粒子(a)は、大きさが0.5mm以上の鱗片状の形状をした粒子である。また、鱗片状粒子(a)は、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含むことを特徴とするものである。
このような鱗片状粒子(a)は、肉眼でその形状等が確認できる程度の大きさであり、その形状と反射の角度とにより、見る角度により輝度感を変化させることができる。
さらに鱗片状粒子(a)は、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含有するものである。
【0011】
また、光輝性鱗片状粒子(b)は、大きさが0.5mm未満の鱗片状の形状をした光輝性粒子である。
このような光輝性鱗片状粒子(b)は、その輝度感は確認できるが、肉眼ではその形状までは確認し難い程度の大きさである。
本発明では、有色基材側に大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子(a)、表面側に大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(b)が配置されていることによって、奥行き感があるように見せることができる。特に、光輝性鱗片状粒子(b)を、光輝性鱗片状粒子(a−1)の表面側に配置させることにより、より奥行き感、深み感があるように見せることができる。
【0012】
(有色基材)
有色基材としては、家電・家具、壁、床、天井などの建材などに用いられる基材が好ましく用いられ、例えば、アルミ鋼板、亜鉛鋼板、ステンレス鋼板、銅鋼板等の金属鋼板、プラスチック板、押出成形板、陶磁器、ガラス、焼成タイル、磁器タイル、木材、コンクリート、モルタル、石膏ボード、繊維混入セメント板、珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板、織布、不織布、メッシュ等が挙げられる。有色基材としては、これら基材自体の色相でもよいし、なんらかの方法で着色されたものでもよい。また、有色基材表面は、無色または有色の塗膜でコーティングされたものでもよい。
このような有色基材は、鱗片状粒子(a)が覆われない箇所がある場合、また、鱗片状粒子(a)が透明・半透明である場合は、有色基材の色相がより認識されやすく、化粧構造体の意匠性を形成する。そのため、鱗片状粒子(a)や光輝性鱗片状粒子(b)との組み合わせ等を考慮し、適宜色相を選定する。本発明では、奥行き感、深み感を高めるために、有色基材にて光が反射しにくい、濃色系の色相を選定することもできるし、見る角度により輝度感がより変化するように、有色基材にて光が反射しやすい、淡色系の色相を選定することもできる。
【0013】
(鱗片状粒子(a))
本発明で用いる鱗片状粒子(a)は、大きさは0.5mm以上(好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上)である。また、大きさの上限は特に限定されないが、5cm以下(好ましくは4cm以下、さらに好ましくは3cm以下)程度であることが好ましい。また、鱗片状粒子(a)の厚みは、特に限定されないが、0.05μm以上100μm以下(好ましくは0.1μm以上50μm以下)程度であることが好ましい。
このような鱗片状粒子(a)は、肉眼でその形状等が確認できる程度の大きさであり、鱗片状という特異な形状と、反射の角度とにより、見る角度により輝度感を変化させることができる。大きさが0.5mmより小さいと、その形状等が肉眼で確認し難く、その存在感が薄れ、奥行き感が得られにくく、単調な意匠となってしまう。また大きすぎると、奥行き感が得られにくくなる場合がある。
なお、鱗片状粒子(a)の大きさとは、鱗片状粒子を水平面に安定に静置させ、上から観察したときの最大直径のことである。また、鱗片状粒子の厚さとは、鱗片状粒子を水平面に安定に静置させたときの底面からの最大の高さのことである。
【0014】
鱗片状粒子(a)としては、例えば、白雲母、合成雲母、シリカフレーク、ガラスフレーク、樹脂フレーク、アルミフレーク、マイカフレーク等が挙げられ、これら表面は、顔料、染料等で着色されていてもよい。また、鱗片状粒子(a)の色相は、目視できる程度の色相であれば特に限定されないが、粒子独自の色相あるいは顔料等による表面着色等で様々な色相を得ることができる。また、2種以上の鱗片状粒子(a)を混合することもできる。色相としては、例えば、有色基材の色相と、同系色の色相に設定することにより、より落ち着きある意匠が得られる。
【0015】
(光輝性鱗片状粒子(a−1))
本願発明では、鱗片状粒子(a)として、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含む。光輝性鱗片状粒子(a−1)としては、大きさ0.5mm以上であり光輝性を有する粒子であれば特に限定されないが、例えば、大きさ0.5mm以上の鱗片状基体粒子(a−11)の表面に、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(a−12)が被覆されたもの等が好適である。
光輝性鱗片状粒子(a−1)の含有量は、鱗片状粒子(a)全量に対し、1重量%以上、さらには2重量%以上100重量%以下であればよい。また、落ち着きのある輝度感を表現する場合は、5重量%以上90重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上80重量%以下であることが好ましい。
このような光輝性鱗片状粒子(a−1)を含むことにより、鱗片状基体粒子(a−11)のみの場合にみられる単調な輝度感を、光輝性鱗片状粒子(a−12)によって和らげるとともに、見る角度により輝度感をいっそう変化させ、奥行き感、深み感のある意匠をかもしだすことができるものである。
【0016】
(鱗片状基体粒子(a−11))
鱗片状基体粒子(a−11)としては、上記鱗片状粒子(a)に記載した材料と同様のものを用いることができる。
【0017】
(光輝性鱗片状粒子(a−12))
光輝性鱗片状粒子(a−12)としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、グラファイト、ステンレスフレーク顔料、チタンフレーク顔料、二酸化チタンフレーク顔料、酸化マグネシウムフレーク顔料、酸化アルミニウムフレーク顔料、ケイ素フレーク顔料、酸化カルシウムフレーク顔料、酸化鉄フレーク顔料、酸化コバルトフレーク顔料、酸化ニッケルフレーク顔料、酸化ジルコニウムフレーク顔料、酸化スズフレーク顔料、酸化バナジウムフレーク顔料、酸化銅フレーク顔料、酸化亜鉛、硫化モリブデンフレーク顔料、塩化ビスマスフレーク顔料、ホログラム顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属蒸着高分子フィルムの破砕品等が挙げられる。
本願発明では、鱗片状基体粒子(a−11)の表面に被覆される光輝性鱗片状粒子(a−12)も、鱗片状の形状であることが特徴である。鱗片状の形状であることにより、見る角度により輝度感がより複雑に変化するとともに、鱗片状基体粒子の特定の角度で一方方向に光反射する強い輝度感を和らげ、より奥行き感、深み感のある意匠をかもしだすことができる。
【0018】
光輝性鱗片状粒子(a−12)は、大きさは0.5mm未満程度であり、好ましくは、鱗片状基体粒子(a−11)の大きさの50%以下、さらには30%以下であるものを好適に使用することができる。大きさの下限値は、特に限定されないが、50nm以上、さらには100nm以上であることが好ましい。また、厚みは、0.01μm以上30μm以下(好ましくは0.02μm以上20μm以下)程度であることが好ましい。
【0019】
光輝性鱗片状粒子(a−1)の製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造することができる。例えば、スパッタリング法や加水分解法等で製造してもよいし、バインダー等で固着させてもよい。
【0020】
鱗片状基体粒子(a−11)と光輝性鱗片状粒子(a−12)の構成比率は、特に限定されないが、鱗片状基体粒子(a−11)100重量部に対し、光輝性鱗片状粒子(a−12)0.1重量部以上50重量部以下程度であることが好ましい。
【0021】
(光輝性鱗片状粒子(b))
光輝性鱗片状粒子(b)は、大きさは0.5mm未満(好ましくは1μm以上0.45mm以下)である。また、光輝性鱗片状粒子(b)の厚みは、特に限定されないが、0.05μm以上100μm以下(好ましくは0.1μm以上50μm以下)程度であることが好ましい。
このような光輝性鱗片状粒子(b)は、輝度感は確認できるが、肉眼ではその形状までは確認し難い程度の大きさであり、このような光輝性鱗片状粒子(b)を表面側に、また鱗片状粒子(a)を有色基材側にに配置させることにより、鱗片状粒子(a)を奥行き感があるように見せることができる。さらに鱗片状粒子(a)中の光輝性鱗片状粒子(a−1)と光輝性鱗片状粒子(b)により、いっそう奥行き感、深み感をかもし出すことができる。また、鱗片状の形状であることから、見る角度により輝度感をよりいっそう変化させる効果もある。
【0022】
光輝性鱗片状粒子(b)としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、グラファイト、ステンレスフレーク顔料、チタンフレーク顔料、二酸化チタンフレーク顔料、酸化マグネシウムフレーク顔料、酸化アルミニウムフレーク顔料、ケイ素フレーク顔料、酸化カルシウムフレーク顔料、酸化鉄フレーク顔料、酸化コバルトフレーク顔料、酸化ニッケルフレーク顔料、酸化ジルコニウムフレーク顔料、酸化銅フレーク顔料、酸化亜鉛、硫化モリブデンフレーク顔料、塩化ビスマスフレーク顔料、ホログラム顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属蒸着高分子フィルムの破砕品等が挙げられる。
【0023】
(化粧構造体)
本発明の化粧構造体は、有色基材側に鱗片状粒子(a)、表面側に光輝性鱗片状粒子(b)が配置されているものであれば、特に限定されないが、有色基材表面のうち鱗片状粒子(a)によって、面積比率にて30%以上、さらには50%以上覆われているものが好ましい。
このような構造により、鱗片状粒子(a)と光輝性鱗片状粒子(b)との位置関係や形状・大きさから、化粧構造体として実際の厚み以上に奥行き感を感じさせることができ、深みのある意匠を得ることができる。さらに、見る角度により輝度感をよりいっそう変化させる効果も現れる。
【0024】
このような構造は、例えば、上記成分を含む混合物(光輝層成分)を形成させることによって得ることもできるし(単層タイプ)、上記成分を含む混合物(光輝層成分)を複数回積層させることによって得ることもできるし(複層タイプ)、有色基材表面に鱗片状粒子(a)や光輝性鱗片状粒子(b)等を散布し、固定化することによって得ることもできる(散布タイプ)。
具体的には、(あ)有色基材表面に鱗片状粒子(a)、光輝性鱗片状粒子(b)及び結合材を含む光輝層成分を塗付・乾燥させる方法(単層タイプ)、(い)有色基材表面に鱗片状粒子(a)を散布し、さらにその上に光輝性鱗片状粒子(b)を散布し、結合材によって固定化させる方法(散布タイプ)、(う)有色基材表面に鱗片状粒子(a)を散布し、さらにその上に光輝性鱗片状粒子(b)及び結合材を含む光輝層成分を塗付・乾燥する方法(散布・複層タイプ)、(え)有色基材表面に鱗片状粒子(a)及び結合材を含む光輝層成分を塗付し、さらにその上に光輝性鱗片状粒子(b)を散布し、結合材によって固定化させる方法(散布・複層タイプ)、(お)有色基材表面に鱗片状粒子(a)及び結合材を含む光輝層成分を塗付し、さらにその上に光輝性鱗片状粒子(b)及び結合材を含む光輝層成分を塗付・乾燥する方法(複層タイプ)、等により得ることができる。
各種有色基材に光輝層成分を塗付積層する方法としては、例えば、ローラー、刷毛、コテ、ヘラ、ガン等の塗付器具、押出し形成、フローコーター、ロールコーター等の装置の用いて塗付積層する方法や、鱗片状粒子を各種有色基材の上に散布する前及び/または散布した後に結合材等を塗付積層する方法等で塗付積層すればよい。必要により、有色基材表面等を下塗材(シーラー、サーフェーサー、プライマー等)によって表面処理しておいてもよい。また、各光輝層を得る方法としては、光輝層成分を型枠等に注入し、乾燥硬化、脱型させる方法等によって予め光輝層を得てもよい。
【0025】
(結合材)
結合材としては、各粒子が視認できる程度の透明性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ガラス、シリカ等が挙げられ、水分散タイプ、水可溶タイプ、弱溶剤タイプ、強溶剤タイプ、NADタイプ、粉末タイプ等特に限定されない。
特に、結合材として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル−シリコン樹脂等を含む結合材が好適であり、とりわけフッ素樹脂及び/またはアクリル−シリコン樹脂を含む結合材が好ましく用いられる。
【0026】
また光輝層成分には、結合材、鱗片状粒子等の他に、通常用いられる公知の着色材、体質顔料、骨材、繊維、可塑剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、粘性調整剤、レベリング剤、シランカップリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、吸着剤、光触媒、溶剤、水等の添加剤が、本発明の効果を損なわない程度に含まれていてもよい。
【0027】
例えば、着色材としては、通常使用される着色顔料や染料、また、着色骨材等、本発明の効果を損なわない程度に含有してもよい。
また、シランカップリング剤を使用することにより、密着性を高めることもでき、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、カルボキシ含有シランカップリング剤、ビニル型不飽和基含有シランカップリング剤、ハロゲン含有シランカップリング剤、イソシアヌレート基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等を使用することができる。
【0028】
単層タイプの場合、各成分の混合比率は、結合材(固形分)100重量部に対し、鱗片状粒子(a)1.0重量部以上300重量部以下(好ましくは3.0重量部以上200重量部以下)、光輝性鱗片状粒子(b)0.01重量部以上100重量部以下(好ましくは0.05重量部以上50重量部以下)程度とすればよく、このような光輝層成分を有色基材に積層させることによって光輝層を得ることができる。
【0029】
単層タイプの場合、光輝層の厚さは、0.05mm以上8mm以下、好ましくは0.1mm以上5mm以下程度であればよい。
【0030】
複層タイプの場合、有色基材側に鱗片状粒子(a)、表面側に光輝性鱗片状粒子(b)が配置されているものであれば特に限定されない。
例えば、好ましい形態として、鱗片状粒子(a)を含む第1光輝層(A)の上に、光輝性鱗片状粒子(b)を含む第2光輝層(B)が積層された2層タイプの化粧構造体等が挙げられる。
このような場合、各光輝層の厚みや鱗片状粒子(a)と光輝性鱗片状粒子(b)の含有量等を制御することにより、鱗片状粒子(a)と光輝性鱗片状粒子(b)との距離等が制御可能であり、より奥行き感、深み感のある意匠をかもしだすことができる。
【0031】
2層タイプとしては、結合材、鱗片状粒子(a)を含む第1光輝層(A)の上に、結合材、光輝性鱗片状粒子(b)を含む第2光輝層(B)を積層することが好ましい。
【0032】
第1光輝層(A)は、結合材と鱗片状粒子(a)とを、第1光輝層(A)全量(固形分)に対し、結合材20重量%以上99重量%以下(好ましくは30重量%以上98重量%以下)、鱗片状粒子(a)1重量%以上80重量%以下(好ましくは2重量%以上70重量%以下)程度の比率で混合したものが好ましく、必要に応じ、光輝性鱗片状粒子(b)やその他の添加剤が含まれていてもよい。
鱗片状粒子(a)の混合比率がこのような範囲であれば、鱗片状粒子(a)の存在感が明確となり、また鱗片状粒子(a)どうしの重なり等によって単調でない美観性に優れた意匠を得ることができるとともに、光輝性鱗片状粒子(b)との相乗効果により深みのある、落ち着きのある輝度感を表出することができる。鱗片状粒子(a)が少なすぎる場合、鱗片状粒子(a)が目視しにくく、単調な色調となってしまう。また、鱗片状粒子(a)が多すぎる場合は、結合材の混合比率が少なくなり、強度等の物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
特に第1光輝層(A)としては、結合材と鱗片状粒子(a)に加えて、さらに、光輝性鱗片状粒子(b)を含むものが好ましく、第1光輝層(A)中の光輝性鱗片状粒子(b)の混合比率(第1光輝層(A)全量に対する混合比率)は、第2光輝層(B)中の光輝性鱗片状粒子(b)の混合比率(第2光輝層(B)全量に対する混合比率)よりも、少ない混合比率で光輝性鱗片状粒子(b)を含むものが好ましい。また、第1光輝層(A)の厚さは0.03mm以上4mm以下、好ましくは0.05mm以上3mm以下程度であればよい。
【0033】
第2光輝層(B)は、結合材と光輝性鱗片状粒子(b)とを、第2光輝層(B)全量(固形分)に対し、結合材50重量%以上99.99重量%以下(好ましくは70重量%以上99.95重量%以下)、光輝性鱗片状粒子(b)0.01重量%以上50重量%以下(好ましくは0.05重量%以上30重量%以下)程度の比率で混合したものが好ましく、必要に応じ、鱗片状粒子(a)やその他の添加剤が含まれていてもよい。
光輝性鱗片状粒子(b)の混合比率がこのような範囲であれば、鱗片状粒子(a)との相乗効果により、遠近感を利用した奥行き感、深み・落ち着きのある輝度感を表出することができる。光輝性鱗片状粒子(b)が少なすぎる場合、光輝性鱗片状粒子(b)の存在が目視しにくく、単調な色調となってしまう。また、光輝性鱗片状粒子(b)が多すぎる場合は、鱗片状粒子(a)の輝度感等が目視しにくく、単調な色調となってしまう。
特に第2光輝層(B)としては、結合材と光輝性鱗片状粒子(b)に加えて、さらに、鱗片状粒子(a)を含むものが好ましく、第2光輝層(B)中の鱗片状粒子(a)の混合比率(第2光輝層(B)全量に対する混合比率)は、第1光輝層(A)中の鱗片状粒子(a)の混合比率(第1光輝層(A)全量に対する混合比率)よりも、少ない混合比率で鱗片状粒子(a)を含むものが好ましい。また、第2光輝層(B)の厚さは0.01mm以上3mm以下、好ましくは0.05mm以上2mm以下程度であればよい。
【0034】
さらに本発明の化粧構造体は、保護層が積層されたものでもよい。
保護層は、化粧構造体の輝度感・色彩が視認できる程度であれば特に限定されないが、保護層の光透過率は、60%以上(さらには70%〜99%)程度であることが好ましい。光透過率がこのような範囲であることにより、輝度感・色彩を失わずに化粧構造体を得ることができる。また、立体感と深みのある、美観性に優れた化粧構造体を得ることができる。
なお、光透過率とは、JIS K 7105−1981 5.5「光線透過率及び全光線反射率」に規定する測定法Aに準拠し、積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した全光線透過率の値である。なお光透過率は、波長550nm、保護層の厚さ2mmで測定した値を用いる。
【0035】
このような保護層は、少なくとも、結合材から形成することができる。
【0036】
保護層を形成する結合材としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、水ガラス、シリカ、リン酸塩等の水分散型、水可溶型、NAD型、溶剤可溶型、無溶剤型等の結合材を使用することができる。
【0037】
特に、保護層を形成する結合材として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、水ガラス等を含む結合材が好適であり、特に、水ガラスを含む結合材は、耐擦り傷性、耐摩耗性に優れ、かつ、透明性にも優れる保護層を得ることができる。また、耐熱ガラスや強化ガラスを使用し、耐熱性や強度を向上させることもできる。
【0038】
また、保護層には、本発明の効果を損なわない程度に、着色材、骨材、体質顔料、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、沈降防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、黄変防止剤、有機過酸化物、有機色素、無機フィラー、触媒、溶剤、架橋性化合物、光拡散剤、シランカップリング剤等の添加剤を混合することもできる。
【0039】
このような保護層を、化粧構造体の上に積層する方法としては、特に限定されない。
積層する方法としては、結合材、必要に応じ、その他の添加剤等を含む保護層用組成物を用いてあらかじめ常法により保護層(保護シート等)を作製し、接着剤や粘着剤等を介して貼着する方法、また、結合材、必要に応じ、その他の添加剤等を含む保護層用組成物を直接積層する方法等が挙げられる。
保護層用組成物を直接積層する方法では、刷毛、ローラー、スプレー、コーター、コテ等の塗装器具を用いて塗布すればよく、1回塗り、複数回塗り等特に限定されない。また、予め作製した保護層の上に、光輝層を積層し、該光輝層の上に有色基材を積層して本願発明化粧構造体を得ることもできる。
また、保護層を得る方法として、ガラス板、プラスチック板等を貼着する方法も挙げられる。ガラス板やプラスチック板を使用した場合、鏡面効果等により、より奥行き感のある化粧構造体を得ることができる。
【0040】
この様な保護層の膜厚は、特に限定されないが、0.5μm〜5mm(好ましくは10μm〜2mm)程度であることが好ましい。
【0041】
本発明の化粧構造体は、玩具、家電・家具、また、壁、床、天井などの建材等、各種用途に適用でき、各種用途に合わせて、防火性、不燃性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐久性、防汚性、弾力性等の各種物性を付与すればよい。このような性能を付与する方法としては、特に限定されないが、上述した、結合材や粒子の種類、また配合比率等により、適宜付与することが可能である。
【実施例】
【0042】
実験例1〜45で得られた試験体に対し、次の試験を行った。結果は表2〜4に示す。
<意匠性評価>
試験体表面の意匠を目視にて評価した。評価は下記に示す3項目(輝度感1、輝度感2、深み感)について行った。評価結果は表3に、(輝度感1/輝度感2/深み感)の順で示す。
・輝度感1
見る角度により複雑に輝度感が変化したものを5、見る角度により輝度感が変化しないものを1とし、5段階で評価を行った。なお、輝度感がないものは0とした。
・輝度感2
落ち着きのある和らいだ輝度感を5、金属調に近いギラギラした輝度感を1とし、5段階で評価を行った。なお、輝度感がないものは0とした。
・深み感
優れた奥行き感、深み感のあるものを5、深み感がみられないものを1とし、5段階で評価を行った。
【0043】
(実験例1〜37)
保護層となるガラス板(100mm×100mm×3mm)(保護層1)の上に、表1に示す原料、表2〜4に示す配合にて混合した光輝層B成分を、所要量0.05kg/mでローラーにて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み0.05mmの光輝層Bを得た。
次に、得られた光輝層Bの上に、表1に示す原料、表2〜4に示す配合にて混合した光輝層A成分を、所要量0.2kg/mで刷毛にて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み0.2mmの光輝層Aを得た。次に、光輝層Aと、基材となるけい酸カルシウム板(100mm×100mm×5mm、色相:黒)(基材1)を、透明性無機接着剤で接着し積層体を得た。
【0044】
(実験例38、39)
保護層となるガラス板(100mm×100mm×3mm)(保護層1)の上に、表1に示す原料、表4に示す配合にて混合した光輝層A成分を、所要量0.2kg/mで刷毛にて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み0.2mmの光輝層Aを得た。次に、光輝層Aと、基材となるけい酸カルシウム板(100mm×100mm×5mm、色相:黒)(基材1)を、透明性無機接着剤で接着し積層体を得た。
【0045】
(実験例40)
保護層となるガラス板の替わりに、透明アクリル板(100mm×100mm×3mm)(保護層2)を用いた以外は、実験例1と同様の方法で積層体を得た。
【0046】
(実験例41)
基材となるけい酸カルシウム板の替わりに、磁器タイル板(100mm×100mm×6mm、色相:群青)(基材2)を用いた以外は、実験例1と同様の方法で積層体を得た。
【0047】
(実験例42)
保護層となるガラス板の替わりに、透明アクリル板(100mm×100mm×3mm)(保護層2)、基材となるけい酸カルシウム板の替わりに、磁器タイル板(100mm×100mm×6mm、色相:群青)(基材2)を用いた以外は、実験例1と同様の方法で積層体を得た。
【0048】
(実験例43)
基材となるけい酸カルシウム板(100mm×100mm×5mm、色相:黒)(基材1)の上に、表1に示す原料、表2に示す配合にて混合した光輝層A成分を、所要量2.0kg/mでヘラにて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み2.0mmの光輝層Aを得た。
次に、得られた光輝層Aの上に、表1に示す原料、表2に示す配合にて混合した光輝層B成分を、所要量1.0kg/mで刷毛にて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み1.0mmの光輝層Bを積層させ、積層体を得た。
【0049】
(実験例44)
表4に示す実験例40と同様の方法で得られた積層体の上に、保護層として、メタクリル酸メチル75重量部、2−エチルヘキシルアクリレート25重量部、粒状ガラス粒子(粒子径:250μm)25重量部、過酸化ベンゾイル1重量部からなる塗布液を、所要量1.0kg/mで刷毛にて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み1.0mmの保護層3を得、積層体を得た。なお、保護層3の光透過率は92.0%であった。
【0050】
(実験例45)
保護層となるガラス板(100mm×100mm×3mm)(保護層1)の上に、表1に示す原料、表4に示す配合にて混合した光輝層B成分を、所要量0.1kg/mでローラーにて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み0.1mmの光輝層Bを得た。
次に、得られた光輝層Bの上に、表1に示す原料、表2に示す配合にて混合した光輝層A成分を、所要量0.4kg/mで刷毛にて塗布し、温度50℃、相対湿度60%で、5時間乾燥させ、平均厚み0.4mmの光輝層Aを得た。次に、光輝層Aと、基材となるけい酸カルシウム板(100mm×100mm×5mm、色相:黒)(基材1)を、透明性無機接着剤で接着し積層体を得た。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有色基材上に、光輝層が積層された化粧構造体であって、
光輝層は、結合材及び少なくとも大きさの異なる2種以上の鱗片状粒子を含み、
有色基材側に、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含む大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子(a)、
表面側に、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(b)、
が配置されている化粧構造体。
【請求項2】
有色基材上に、光輝層が積層された化粧構造体であって、
光輝層は、有色基材側から順に第1光輝層(A)、第2光輝層(B)が積層され、
第1光輝層(A)は、結合材、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を含む大きさ0.5mm以上の鱗片状粒子(a)を含み、
第2光輝層(B)は、結合材、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(b)を含むことを特徴とする化粧構造体。
【請求項3】
鱗片状粒子(a)は、大きさ0.5mm以上の光輝性鱗片状粒子(a−1)を1重量%以上含むものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧構造体。
【請求項4】
光輝性鱗片状粒子(a−1)は、鱗片状基体粒子(a−11)の表面に、大きさ0.5mm未満の光輝性鱗片状粒子(a−12)が被覆されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の化粧構造体。



【公開番号】特開2012−905(P2012−905A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139056(P2010−139056)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(510114125)株式会社エフコンサルタント (32)
【Fターム(参考)】