説明

化粧用の紡錘状粒子を含む粒子組成物

フィラーと顔料と他の化粧学的に許容可能な材料に加えて、紡錘状粒子を含む化粧用の粉末組成物において、該紡錘状粒子は、架橋されたポリシロキサン構造を有する有機シリコンからなり、約0.05マイクロメーターから約20マイクロメーターの間の長軸Lに沿う直径と約0.03マイクロメーターから約15マイクロメーターの間の短軸Lに沿う直径と、約1.1から約3.3の間のL/Lを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡錘形のような、また本発明に記載の「ラグビーボール」形と命名される、非(ヘミ)球形を有する粒子を含む化粧用の粒子組成物、特に粉末ファンデーションに関する。
【背景技術】
【0002】
粉末組成物、特に滑らかな手触りの乾燥ファンデーションを提供することが望ましい。しかし、特に、組成物がコンパクトパウダーのような形態にある場合に、良好な圧縮形成適合性、より少ない飛散及び強い落下強度等のような他の特徴もまた探求される。
特に衝突によって引き起こされる製品の崩壊を防ぐために、最終組成物は、十分に均一化され、小型にしなければならないので、コンパクトパウダーの調製は、多数の困難を引き起こす。コンパクトパウダーはまた、ケラチン様物質、特に肌に次に適用するために、製品の必要量を使用者が除けるように、容易に除けなければならない。
【発明の概要】
【0003】
今利用できる製品が依然として更に滑らかであり、同時に良好な圧縮形成適合性、より少ない飛散及び強い落下強度を必要とするという事実に照らし、本発明の発明者は、ドライファンデーション中に多数の粒子を含めて試験し、紡錘状粒子を含めることで、所望の特徴を有するドライファンデーションを提供することができ、本発明を完了した。
【0004】
本発明の態様によれば、発明者は、フィラー及び所望により顔料及び他の化粧学的に許容可能な原料に加えて、紡錘状粒子を含む化粧用の、特に、コンパクトパウダー形態である、粉末組成物において、該紡錘状粒子が約0.05マイクロメーターから約20マイクロメーターの間の長軸Lに沿った直径、約0.03マイクロメーターから約15マイクロメーターの間の短軸Lに沿った直径、及び約1.1から約3.3の間のL/Lを有する架橋ポリシロキサン構造を有する有機シリコンからなる紡錘状粒子である粉末組成物を提案する。
該紡錘状粒子並びに該紡錘状粒子を得るための方法は、例えば、竹本油脂によって出願された日本特許出願、出願番号2003−171465に記載される。
【0005】
本明細書では、他に特定しない場合、「化粧用」なる用語は、所謂化粧学的及び皮膚科学的目的並びに美学的目的のための使用を含む。本発明の別の主題は、肌、髪又は爪のようなヒトケラチン様物質、より具体的には肌の化粧又はケアのための化粧学的処理である。
本発明に記載の組成物は、肌の化粧又はケアのための組成物であってもよく、ブラッシャー、アイブロウ、フェイスパウダー、ファンデーション、コンシーラー、体の化粧のための製品、顔のケアのための製品、体のケアのための製品又は日焼け止め製品の形態として提供され得る。より具体的には、本発明は、基礎組成物に関する。
【0006】
本発明の紡錘形又は「ラグビーボール」形は、本明細書では、紡錘状粒子がそれに沿って約0.05マイクロメーターから約20マイクロメーターの間の最大の直径Lを有する長軸と、紡錘状粒子がそれに沿って、約0.03マイクロメーターから約15マイクロメーターの間の最小の直径を有する、長軸に対し、及び互いに垂直な2個の短軸Lとがあり、約1.1から約3.3の間のL/Lになるように、球が一方向に延長された形を意味する。
【0007】
架橋ポリシロキサン構造を有するオルガノシラン材料は、好ましくは、式(I):SiO、及び式(II)RSiO1.5の単位を含み、更にはそれらから成りさえし、
はシリコン原子に直接結合する炭素原子を有する有機基を表す。有機基は、反応性有機基又は非反応性有機基であり、好ましくは非反応性有機基である。
架橋ポリシロキサン構造を有するオルガノシリコン材料は、また好ましくは、それぞれ、式(I)SiO:、式(II)RSiO1.5:及び式(III)RSiO:である第一、第二及び第三のシロキサン単位を含み、ここで、R、R及びRは、シリコン原子に直接結合する炭素原子を有する、同一又は異なる、有機基の任意の一である。R及びRは、反応性基若しくは反応性有機基を有しない非反応性有機基又は有機基、又は独立して、反応性基を有する反応性有機基又は有機基の何れかであり得る。しかし、少なくともR及びRの少なくとも一方が、反応性基を有する反応性有機基又は有機基であることが好ましい。
【0008】
非反応性有機基は、C−Cアルキル基、特にメチル、エチル、プロピル若しくはブチル基、又はフェニル基であり、好ましくはメチル基である。
反応性有機基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル、アミノアルキル又はハロアルキル基、グリセロイル基、ウレイド基又はシアノ基であり得る。好ましくは、反応性有機基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基又はメルカプトアルキル又はアミノアルキル基であり得る。反応性有機基は、概して、2から6個の炭素原子、特に2から4個の炭素原子を含む。
【0009】
エポキシ基として、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基又は2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基が言及され得る。
(メタ)アクリロイルオキシ基として、3−メタクリロイルオキシプロピル基又は3−アクリロキシプロピル基が言及され得る。
アルケニル基として、ビニル、アリル又はイソプロペニル基が言及され得る。
メルカプトアルキル基として、メルカプトプロピル又はメルカプトエチル基が言及され得る。
【0010】
アミノアルキル基として、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル基、3−アミノプロピル基又はN,N−ジメチルアミノプロピル基が言及され得る。
ハロアルキル基として、3−クロロプロピル基、トリフルオロプロピル基が言及され得る。
グリセロキシ基として、3−グリセロキシプロピル基又は2−グリセロキシエチル基が言及され得る。
ウレイド基として、2−ウレイドエチル基が言及され得る。
シアノ基として、シアノプロピル又はシアノエチル基が言及され得る。
好ましくは、式(II)の単位中、Rは、メチル基を示す。
有利には、オルガノシリコン材料は、30/70から50/50の範囲、好ましくは、35/65から45/55の範囲の単位(I)/単位(II)モル比に従う単位(I)及び(II)を含む。
また、有利には、オルガノシリコン材料は、第三シロキサン単位(III)に対する第一シロキサン単位(I)及び第二単位(II)のモル総量のモル比が、99:1から50:50の間であり、より好ましくは、概ね、90:10から60:40の間であるように単位(I)、(II)、(III)を含む。第二のシロキサン単位(II)に関し、第一のシロキサン単位のモル比は、好ましくは23:77から40:60であり得る。
【0011】
(a)XとYは、互いに独立して、C−Cアルコキシ基、C−Cアルコキシ基を含むアルコキシエトキシ基、C−Cアシルオキシ基、C−Cアルキル基を含むN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、Rはシリコン原子に直結している炭素原子を含む有機基を表す、少なくとも一の加水分解触媒と所望により少なくとも一の界面活性剤の素材下、水溶媒への式SiXの化合物(IV)及び式RSiYの化合物(V)の水溶媒への導入と;
(b)30から85℃の間の温度において、少なくとも2時間、少なくとも一のポリマー化触媒と所望により少なくとも一の界面活性剤を含む水溶液と段階(a)から生じる混合物を接触させる工程とを含む工程にしたがって、特に得ることができるオルガノシリコン粒子。
【0012】
段階(a)は、加水分解反応に対応し、段階(b)は縮合反応に相当する。
段階(a)では、化合物(V)に対する化合物(IV)のモル比は、一般的には23/77から40/60であり、有利には35/65から45/45であり、好ましくは40/60である。
オルガノシリコン粒子は、
(a)シリコン化合物を形成するシラノール基が、シラノール化合物を生成するために加水分解されるように(式IV及びVのシリコン化合物を形成するシラノールが、23:77から40:60のモル比であることが更に好ましい)、シリコン化合物(IV)を形成するシラノール基とシリコン化合物(V)を形成するシラノール基:シリコン化合物(VI)を形成するシラノール基のモル比が、99:1から50:50、好ましくは、90:10から60:40において、少なくとも一の加水分解触媒の存在下、式SiXのシリコン化合物(IV)を形成するシラノール基、式RSiYのシリコン化合物(V)を形成するシラノール基、及び式RSiZのシリコン化合物(IV)を形成するシリコン化合物(VI)を形成するシラノール基の水溶媒中への導入;
(b)少なくとも一の加水分解触媒の存在下、水溶媒中で生成するシラノール化合物の縮合反応の誘因
を含む工程にしたがって得ることができる。
化合物(IV)と(V)の総量に対する水の重量比は、好ましくは、10/90から70/30の範囲である。化合物(IV)と(V)の導入の順番は、一般的には、それらの加水分解の速度に依存する。加水分解反応の温度は、一般的には、0から40℃の範囲であり、化合物の不完全な縮合を防ぐために30℃を通常は超えない。
【0013】
化合物(IV)、(V)及び(VI)のX、Y及びZ基について:
メトキシ又はエトキシ基は、C−Cアルコキシ基として言及され得;
メトキシエトキシ又はブトキシエトキシ基は、C−Cアルコキシ基を含むアルコキシエトキシ基として言及され得;
アセトキシ又はプロピオニルオキシ基は、C−Cアルコキシ基として言及され得;
ジメチルアミノ又はジエチルアミノ基は、C−Cアルキル基を含むN,N−ジアルキルアミノ基として言及され得;
塩素又は臭素原子は、ハロゲン原子として言及され得る。
【0014】
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン、トリブトキシエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラ(ジメチルアミノ)シラン、テトラ(ジエチルアミノ)シラン、シランエテトラオール、クロロシラントリオール、ジクロロジシラノール、テトラクロロシラン又はクロロトリヒドロシランは、式(IV)の化合物として言及され得る。好ましくは、式(IV)の化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン及びその混合物から選ばれる。
【0015】
ポリマー化反応後、式(I)の単位を形成して、式(IV)の化合物が生じる。
ポリマー化反応後、式(II)の単位を形成して、式(V)の化合物が生じる。
式(V)の化合物において、R基は、式(II)の化合物のR基について記載されることを意味する。
【0016】
非反応性有機基Rを含む式(V)の化合物の例として、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリブトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリ(ジメチルアミノ)シラン、メチルトリ(ジエチルアミノ)シラン、メチルシラントリオール、メチルクロロジシラノール、メチルトリクロロシラン又はメチルトリヒドロシランが言及され得る。
【0017】
(3−グリシドオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドオキシプロピル)トリエトキシシラン、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン、(3−グリシドオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(2−グリシドオキシエチル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドオキシプロピル)ジ−メチルメトキシシシラン又は(2−グリシドオキシエチル)ジメチルメトキシシシランのようなエポキシ基を有するシラン;
(3−メタアクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン又は(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランのような(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン;
ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン又はイソプロペニルトリメトキシシランアルケニル基を有するシラン;
メルカプト−プロピルトリメトキシシラン又はメルカプトエチルトリメトキシシランのようなメルカプト基を有するシラン;
(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル)トリメトキシシラン、(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン又は(N,N−ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランのようなアミノアルキル基を有するシラン;
(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン又はトリフルオロプロピルトリメトキシシランのようなハロアルキル基を有するシラン;
(3−グリセロキシプロピル)トリメトキシシラン又はジ(3−グリセロキシプロピル)ジメトキシシランのようなグリセロキシ基を有するシラン;
(3−ウレイドプロピル)トリメトキシシラン、(3−ウレイドプロピル)メチルジメトキシシラン又は(3−ウレイドプロピル)ジメチルメトキシシシランのようなウレイド基を有するシラン;
シアノプロピルトリメトキシシラン、シアノプロピルメチルジメトキシシラン又はシアノプロピルジメチルメトキシシシランのようなシアノ基を有するシランが、
反応性有機Rを含む式(V)の化合物の例として言及され得る。
【0018】
好ましくは、反応性有機基Rを含む式(V)の化合物は、エポキシ基を有するシラン、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン、アルケニル基を有するシラン、メルカプト基を有するシラン又はアミノアルキル基を有するシランから選択される。
【0019】
本発明の実施のために好ましい化合物(IV)及び(V)の例はそれぞれテトラエトキシシラン及びメチルトリメトキシシランである。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は(アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン又は水酸化テトラメチルアンモニウムのような)アミンのような塩基触媒、又はクエン酸、酢酸、メタスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸又はドデシルスルホン酸、又は塩酸、硫酸若しくはリン酸のような無機酸のような酸触媒の加水分解及びポリマー化触媒として独立に使用され得る。存在する場合、使用される界面活性剤は、好ましくは非イオン性又はアニオン性界面活性剤又はその2つの混合物である。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが、アニオン性界面活性剤として使用され得る。加水分解の終了は、水に不溶で、均一性の水相を産生する、生成物(IV)と(V)の消失によってマークされる。
式(VI)のシリコン化合物を形成するシラノールは、結果としてシロキサン単位(III)を形成する。式(VI)のZ基は、式(IV)中のXについて記載された基から選択され得る。式(VI)のR及びRは、式(III)中のR及びRについて記載された基から選択され得る。
【0020】
縮合段階(b)は、加水分解段階として同一の触媒又は上述したものから選択される別の触媒を使用し得る。
この工程の結果、水中に微細なオルガノシリコン粒子の懸濁液が得られ、粒子はその溶媒から次いで分離されてもよい。上で記載した工程は、このように段階(b)から生成する生成物の、例えば、膜上フィルターのような濾過の付加的な段階を含んでもよく、所望によって、水溶媒からの粒子の分離を意図する濾液の遠心の段階、次に粒子の乾燥に続いてもよい。当然のことながら、他の分離方法を用いてもよい。
特定の実施態様では、紡錘状粒子は、長軸に沿った切り込みを有する。
また、紡錘状粒子は、概して、粒子組成物の、40重量%より小さく、好ましくは約1重量%から約40重量%の間であり、好ましくは約5重量%から約20重量%の間であり、より好ましくは約10重量%から約15重量%の間である。
特定の実施態様では、架橋ポリシロキサンは、R、R及びRはシリコン原子に直接結合する炭素原子を有する同一又は異なる有機基の任意の一である、それぞれ、SiO、RSiO1.5及びRSiOである第一、第二及び第三のシロキサン単位を含む。第一、第二、第三シロキサン単位のモル総量に関し、第三のシロキサン単位のモル比は、約1から50%である。
第二シロキサン単位に関し、第一のシロキサン単位のモル比は、約23:77から40:60の間である。本発明に記載の粉末組成物では、R及び少なくともRとRの一方は、好ましくは、エポキシ基、(メタ)アクリルオキシ基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基及び前述の基の任意の一を有する有機基からなる群から選択される。
【0021】
フィラー
組成物中に存在するフィラーは、球状又は非球状であってもよい。特定の実施態様では、組成物は、少なくとも非球状形態のフィラーを含む。
特に、組成物中のフィラーは、少なくとも一のプレート又はラメラ形態のフィラー及び所望により他の球形のフィラーを含み、前記フィラーは、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド、ポリ−ベータ−アラニン及びポリエチレンから形成される粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(PTFE)から形成される粉末、ラウリルリシン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ(塩化ビニリデン)/アクリロニトリル又はアクリル酸コポリマーの高分子中空ミクロスフィア、シリコン樹脂ミクロビーズ、ポリオルガノシロキサンエラストマー、沈殿炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ポリウレタン粉末、合成フィラー、中空シリカマイクロスフィア、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、又は8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を有する有機カルボン酸由来の金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミスチリン酸マグネシウムから選択される。
好ましい実施態様では、本発明に記載の組成物は、少なくとも一の非球状形態であり、フレーク又はラメラ形態を有するフィラーを含む。
このようなフィラーの例として、我々は、ラウロイルリシン、マイカ、タルク、窒化ホウ素、カオリン、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、パーライト、PTFE及びその混合物を挙げることができる。
特定の実施態様では、組成物は、特に、タルク、マイカ、窒化ホウ素及びその混合物から選択される少なくとも一のラメラフィラーを含む。
前記フィラーは、シリコン化合物及び/又はアミノ酸によって表面処理されてもよい。
【0022】
本発明に便利なフレーク又はラメラ形態のフィラーの例は、表1によって下に示される。

NT=未処理
LL−5%=5%のラウロイルリシンで処理
特に、ラメラフィラーは、
−ケイ酸マグネシウム水和物であり、特に、ルゼナックにより「タルクルゼナック00」及び日本タルクにより「タルクP3」との名称の下に販売されるタルク;
−一般的に30マイクロメーターより小さい直径を有する異方性形状の粒子の形態として提供されるアルミのケイ酸水和物であるカオリン。English China Claysから「カオリンスプリーム1」の名称の下に販売されるカオリンとして使用され得る;
−白雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母、レピドライト、パラゴナイト、マーガライト、バナジウム雲母、天然のマイカのヒドロキシル基のフッ素原子置換を有する人工又は合成マイカ、及びこれらのマイカの加熱又は焼成産物から選択されるマイカ又はアルミノケイ酸。マイカは、概して、2から200マイクロメーター、好ましくは5から70マイクロメーターの直径、及び0.1から5マイクロメーター、好ましくは0.2から3マイクロメーターの厚さを有するフレークの形態で提供される。マイカとして、例えば、Aspangerにより「マイカSGF70」又はSciamaにより「マイカコンコード1000」の名称の下で販売されるものが使用され得る;
−特に、Maprecosにより「SGフレーク3M」又は住友により「Chemicelen」の名称の下で販売されるようなラメラシリカ;
−これらの混合物
から選択され得る。
【0023】
好ましい実施態様によれば、ラメラフィラーはタルク、マイカ、窒化ホウ素及びその混合物から選択される。
特定の実施態様によれば、タルク、マイカ及び/又は窒化ホウ素は、内容物中の本発明に記載の組成物中に、組成物の全重量に関し、5から90重量%の範囲で、好ましくは10から85重量%、より好ましくは組成物の20から80重量%で存在し得る。
【0024】
本発明の組成物中の全フィラーは、組成物の全重量に関し、5から90重量%、好ましくは10から85重量%、より好ましくは20から80重量%、より好ましくは50から80重量%の範囲で内容物中に存在し得る。
特に、フレーク又はラメラの形態のフィラーは、本発明の組成物中のフィラーの総量の50から100%を示す。
組成物は、特に組成物の滑りを改善するために、球状のフィラーをまた含有し得る。このような球状のフィラーは、ポリアミド、ポリ−ベータ−アラニン及びポリエチレンからなる粉末、シリコン樹脂マイクロビーズ、ポリオルガノシロキサンエラストマーからなる粉末、ポリウレタン粉末、及びそれらの混合物から選択され得る。球状のフィラーは、組成物の0から20重量%、特に1から10重量%で内容物中に存在し得る。
【0025】
顔料
本発明の粉末組成物は、特に化粧品製品である場合、少なくとも一の顔料を含み得る。
顔料なる用語は、組成物を染色することを意図した、生理学的媒体中に不溶の、任意の形状の粒子、白色又は有色、無機又は有機を意味すると理解されるべきである。顔料は白色及び/有色及び無機及び/又は有機であり得る。
【0026】
特定の実施態様によれば、本発明の組成物は、無機顔料から選択される少なくとも一の顔料を含み得る。これらの無機顔料は、特に、金属酸化物顔料から選択され得る。
【0027】
無機顔料のうち、表面処理されてもよい二酸化チタン、所望により表面処理したジルコニウム又は酸化セシウム、及びまた亜鉛、鉄(黒色、黄色又は赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム及びフェリックブルー、及びアルミニウム粉末又は銅粉末、及びその混合物のような金属粉末が言及され得る。
【0028】
好ましい実施態様によれば、本発明に記載の組成物中に存在する無機顔料、特に金属酸化物顔料は、二酸化チタン、亜鉛及び/又は酸化鉄から選択される。
【0029】
特定の実施態様では、組成物は少なくとも二つの異なる顔料を含み得る。また好ましい実施態様によれば、組成物は、酸化鉄から選択される一つの第一の顔料と一つの二酸化チタン顔料を含み得る。
【0030】
無機顔料に加えて、本発明に記載の組成物は、有機顔料を含み得る。有機顔料において、カーボンブラック、D及びC型の顔料及びコチニールカーマイン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムに基づくレーキが言及され得る。
【0031】
顔料は、またゴニオクロマチック顔料を含み得る。これらの顔料は、観察の角度によって、色の比較的大きな変化を示す。ゴニオクロマチック顔料は、例えば、多層干渉構造及び液晶顔料を含む顔料から選択され得る。
【0032】
多層構造の場合、後者は、例えば、それぞれの層が独立して、又は他の層と異なり、以下の材料:MgF、CeF、ZnS、ZnSe、Si、SiO、Ge、Te、Fe、Pt、Va、Al、MgO、Y、S、SiO、HfO、ZrO、CeO、Nb、Ta、TiO、Ag、Al、Au、Cu、Rb、Ti、Ta、W、Zn、MoS、氷晶石、合金、ポリマー及びその混合物からなる群から選択される少なくとも一の材料から産生される少なくとも二つの層を含み得る。
【0033】
多層構造を含むゴニオクロマチック剤は、特に以下の文献:米国特許第3,438,796号、欧州特許第227,423号、米国特許第5,135,812号、欧州特許第170,439号、欧州特許第341,002号、米国特許第4,930,866号、米国特許第5,641,719号、欧州特許第472,371号、欧州特許第395,410号、欧州特許第753,545号、欧州特許第768,343号、欧州特許第571,836号、欧州特許第708,154号、欧州特許第579,091号、米国特許第5,411,586号、米国特許第5,364,467号、国際公開第97/39066号、ドイツ特許第4,225,031号、国際公開第9517479号(BASF)及びドイツ特許第196,14,637号に記載される。
多層構造を含むゴニオクロマチック剤は、特に以下の文献: 米国特許第3,438,796号、欧州特許第227,423号、米国特許第5,135,812号、欧州特許第170,439号、欧州特許第341,002号、米国特許第4,930,866号、米国特許第5,641,719号、欧州特許第472,371号、欧州特許第395,410号、欧州特許第753,545号、欧州特許第768,343号、欧州特許第571,836号、欧州特許第708,154号、欧州特許第579,091号、米国特許第5,411,586号、米国特許第5,364,467号、国際公開第97/39066号、ドイツ特許第4,225,031号、国際公開第9517479号(BASF)及びドイツ特許第196,14,637号に記載される。これらは、金属色のフレーク形態として提供される。
【0034】
本発明において使用され得る多層構造は、例えば、以下の構造:Al/SiO/Al/SiO/Al; Cr/MgF/Al/MgF/Al; MoS/SiO/Al/SiO/MoS; Fe/SiO/Al/SiO/Fe; Fe/SiO/Fe/SiO/Fe; MoS/SiO/マイカ オキシド/SiO/MoS; Fe/SiO/mica oxide/SiO/Feである。異なる色が異なる層の厚さに応じて得られる。したがって、構造Fe/SiO/Al/SiO/Fe3に伴い、320から350nmの厚さを伴うSiOについて、金−緑から灰−赤に;380から400nmの厚さを伴うSiOについて、赤から金に;410から420nmの厚さを伴うSiOについて紫から緑に;430から440nmの厚さを伴うSiOについて銅から赤に色が変化する。
【0035】
したがって、多層構造は、本質的に無機又は有機で有り得る。異なる色は、異なる層のそれぞれの厚さに応じて得られる。本発明に記載の多層干渉構造を含むゴニオクロマチック顔料は、特に以下の文献:米国特許第3,438,796号、欧州特許第227,423号、米国特許第5,135,812号、欧州特許第170,439号、欧州特許第341,002号、米国特許第4,930,866号、米国特許第5,641,719号、欧州特許第472,371号、欧州特許第395,410号、欧州特許第753,545号、欧州特許第768,343号、欧州特許第571,836号、欧州特許第708,154号、欧州特許第579,091号、米国特許第5,411,586号、米国特許第5,364,467号、国際公開第97/39066号、ドイツ特許第4,225,031号、国際公開第9517479号(BASF)及びドイツ特許第196,14,637号及びその組み合わせに記載される。これらは、金属色のフレーク形態として提供される。
【0036】
多層干渉構造を含むゴニオクロマチック顔料は、以下の商用のゴニオクロマチック顔料:資生堂のInfinite Colors、BASFのSicopearl Fantastico、メルクのColorstream、Xirallic及びXirona、FlexのColorglitter、及びその混合物からなる群から選択され得る。
【0037】
液晶顔料は、特に欧州特許出願第1,046,692号に記載される。ポリアクリレート4なるCTFA名が知られているもの及びWackerから"Helicone商標 HC Sapphire"、"Helicone商標 HC Scarabeus"、"Helicone商標 HC Jade"、"Helicone商標 HC Maple"、"Helicone商標 HC XL Sapphire"、 "Helicone商標 HC XL Scarabeus"、"Helicone商標 HC XL Jade"及び"Helicone商標 HC XL Maple"の名称の下で販売されるものが、液晶粒子として使用され得る。
【0038】
顔料は、組成物の全重量に関し、内容物中に0から30重量%、特に1から30重量%、好ましくは5から20重量%及びより好ましくは5から15重量%の範囲で、本発明に記載の組成物中に存在し得る。
【0039】
化粧学的に許容可能な他の原料は、例えば、ロウ、保存料、化粧学的活性成分、保湿剤、紫外線遮断剤、シックナ、水、界面活性剤、結合剤又は香料である。化粧学的に許容可能な他の原料は、球状固体粒子、窒化ホウ素粒子、ラメラ粒子、付加的な粒子、油脂結合剤、ロウ、青白色油脂物質、及びその他の添加物を含む一又は複数の粒子相であり得る。
【0040】
油脂結合剤
本発明に記載の組成物は、少なくとも一の油脂結合剤を含み得る。油脂結合剤なる用語は、本願の意味の範疇で、少なくとも一の油を概して含む油脂相を意味すると理解される。油脂相のこの型は、特に粉末相について、分散媒として用いられる。有利には、油脂結合剤は、少なくとも一の油を含み得る。油脂結合剤はまたロウを含み得る。
【0041】
油は、ルース又はコンパクトパウダー中で結合剤として慣例的に使用される油から選択され得る。
これらの油は、
−ミンクオイル、タートルオイル、大豆油、グレープシードオイル、ごま油、コーン油、ナタネ油、ひまわり油、綿実油、アボカド油、オリーブオイル、ひまし油、ホホバオイル又はピーナッツ油;
−水性パラフィン、スクワラン、流動ワセリンのような炭化水素油;
−ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソデシル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルドデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、酪酸2−オクチルドデシル、スクシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステラリル、トリイソステアリン酸グリセリル又はトリイソステアリン酸ジグリセロリルのような油脂エステル;
−ポリメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、脂肪酸で修飾したポリシロキサン、脂肪族アルコール又はポリオキシアルキレン、フルオロシリコン又はペルフルオロ化オイル;
−ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はイソステアリン酸;
−ケタノール、ステアリルアルコール又はオレイルアルコールのような高級脂肪族アルコール;
−式(I)

[上式中、
−nは5から90、特に30から80及び特に50から80までの整数を表し、
−mは1から150、特に1から80及び特に1から40までの整数を表し、
−aは0から5までの整数を表し、
−Rfは1から8個の炭素原子を含むペルフルオロアルキル基を示す]
のポリ(メチルフルオロアルキル)(ジメチル)シロキサン;
;及び
−これらの混合物
から特に選択され得る。
【0042】
好ましい実施態様によれば、油脂は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルドデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、酪酸2−オクチルドデシル、スクシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル又はトリイソステアリン酸ジグリセロリルのような油脂エステルから選択される。
【0043】
結合剤の油は、結合剤の全重量に関し、10から100重量%を示し得る。結合剤は、組成物の全重量に関し、0.5から15重量%、特に1から10重量%及びより好ましくは1.5から5重量%の範囲で本発明に記載の組成物の内容物に存在し得る。
【0044】
添加物
本発明に記載の組成物は、界面活性剤、抗酸化剤、香料、保存料、中和剤、日焼け防止剤、ビタミン、保湿剤、セルフタンニング化合物、抗皺活性剤、皮膚軟化剤、親水性又は親油性成分、汚染又はフリーラジカルのための薬剤、金属イオン封鎖剤、皮膚収縮防止活性剤、無痛化剤、真皮又は表皮の高分子の合成を刺激する、及び/又はその分解を阻害する薬剤、抗糖化剤、抗炎症剤、剥離剤、脱色、抗色素沈着又は前色素化剤、NO−シンターゼ阻害剤、線維芽細胞及び/又は角化細胞の増殖及び/又は角化細胞の分化を刺激する薬剤、微小循環に作用する薬剤、細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤、治癒剤、及びその混合物から特に選択され得る少なくとも一の他の慣例的な化粧原料を含み得る。
特定の実施態様では、界面活性剤はステアリン酸亜鉛を含み、結合剤は、ミネラルオイル又はフェニルトリメチコンを含み、保存料はフェノキシエタノールを含む。
【0045】
好ましい実施態様では、本発明に記載の組成物は、
i)組成物の全重量に関し、20から85重量%、好ましくは50から85重量%の少なくとも一のフィラー、
ii)組成物の全重量に関し、1から40重量%、好ましくは5から20重量%の、架橋ポリシロキサン構造を有し、約0.05マイクロメーターから約20マイクロメーターの間の長軸Lに沿った直径と、約0.03マイクロメーターから約15マイクロメーターの間の短軸Lに沿った直径と、約1.1から約3.3の間のL/Lを有する紡錘状粒子、
iii)組成物の全重量に関し、0から30重量%、好ましくは1から30重量%の少なくとも一の顔料、
iV)組成物の全重量に関し、2から15重量%、好ましくは5から10重量%の少なくとも一の油脂結合剤、
を含む
粒子形態の化粧品組成物であり得る。
【0046】
特に、フィラーは、フレーク又はラメラ形態を有する非球状フィラーである。組成物はまた非球状フィラーに加えて、球状フィラーをまた含み得、特に非球状フィラーは組成物中で全フィラーの50から100重量%を示す。
好ましい実施態様では、顔料は無機顔料である。組成物は有利には二酸化チタン及び酸化鉄を含む。
油脂結合剤は有利には油と共に油脂相を含み、特にミネラルオイル、シリコンオイル、及び混合物から選択される。
【0047】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、無水組成物であり得る。「無水組成物」なる用語は、2重量%より小さい水、実際には0.5重量%よりも小さい水を含み、特に水を含まず、組成物の調製中に混合した原料由来の残留水に相当するもの以外の水を添加しない、組成物を意味すると理解される。
【0048】
特定の実施態様では、本発明の組成物は、コンパクトパウダーの形態であり、粉末相の原料を混合し(オルガノシリコン粒子、フィラー及び所望により顔料)、次いで攪拌しながら油脂を添加し、続いて混合物をミル、篩いにかけ、次いでディッシュに注ぎ、圧縮することで調製され得る。
【0049】
ミル及び篩いにかけた粉末相の混合物及び、その油脂相は、特に0.5MPaから10MPa、及び好ましくは1MPaから5MPaの範囲の圧力を適用し、プレス機を用いて圧縮される。
得られた組成物はしたがってコンパクトパウダーの形態で提供される。
【0050】
本発明によれば、粉末組成物は肌の化粧又はケアであり得、ブラッシャー、アイシャドウ、フェイスパウダー、ファンデーション、コンシーラー、体の化粧のための製品、フェイスケアのための製品、ボディーケアのための製品又は日焼け止め製品の形態で提供され得る。
より具体的には、組成物は、パウダーファンデーション、特にコンパクトパウダーの形態である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は紡錘状粒子の形態を概略的に示す図である。
【図2】図2はコンパクトファンデーションの圧縮形成時の亀裂の形成を示す。
【図3】図3はスポンジワイピングによって得た生成物の量と同時間に出現する飛散量を示す図である。
【図4】図4は100回目の摩擦時の飛散量を示す(式II)。
【図5】図5は摩擦係数を示す。
【図6】図6は圧縮生成物の落下強度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の実施態様、以下に示す。実施態様とその説明は、本発明を理解する際の支援することのためにのみ提供されることに注意すべきであり、下に記載する実施態様のいかなる場合でも本発明を限定するように解釈すべきではない。
【0053】
図1は紡錘状粒子を概略的に示す。粒子は、ラグビーボール形、すなわち、任意の他の直径よりも長い長軸と、長軸に垂直であり、互いに垂直である2つの短軸を有する。実際に、2つの短軸は、軸が長軸に対し平面垂直である限り、どの方向にも定義し得る。約0.05マイクロメーターから約20マイクロメーターの間の長軸Lに沿った直径、約0.03マイクロメーターから約15マイクロメーターの間の短軸Lに沿った直径、及び約1.1から約3.3の間のL/L。図1から理解され得るように、下記の実験で使用される粒子中の長軸に沿った表面上に溝がある。しかし溝は必要ではない。
【0054】
表2は、紡錘状形態と異なる大きさを有する、本発明に記載の粒子の形態(例粒子1及び例粒子2)、及びボウル形(参照粒子1又はNLK506)、球形(参照粒子2又はトスパール、参照3又はシリカビーズSB700、及び参照粒子4又はKSP300)を有する比較の粒子を示す。それらの平均サイズと摩擦は表2にまた示す。

【0055】
表3は上記の粒子が添加される式Iの原料を示す。式Iは、化粧品組成物に典型的な要素を含む。

【0056】
下の表4は、本発明(実施例1−8)の実施例と、試験のための比較参照(参照1−17)に含まれる粒子の量を示す。粒子の量は、5、10、15及び20重量%の範囲で変化した。

【0057】
下の表5は化粧品組成物の別の式、式IIを示す。同一の粒子がまた式IIに含まれた。

【0058】
図2は、MIZUHO圧縮機で圧縮後の式Iに記載の組成物の一つのプレス圧縮の結果を示す。図2によって示される亀裂は、したがって、シリカビーズSB700又はKSP300を15重量%以上含む組成物の、ファンデーション、固体化粧品、アイシャドウ等のような化粧品組成物として不適切であると決定されるであろう。すなわち、参照11、12、16は、製品として不適切であることが見出された。
【0059】
図3(A)から3(F)は、実施例1−8と参照1−16について実施したピックアップと飛散試験の結果を示す。飛散を減少させる一つの理由は、飛散の存在によって、製品の周辺の状況が非常に乱雑になることである。試験組成物からなるケーキがスポンジによってこすられ、スポンジによって取られる組成物の量(ピックアップ量)とケーキ表面に残存する組成物の量(リッター)が、予め決定された摩擦の回数後に測定されるように、相反移動を繰り返す試験機器によって試験が実施された。図3(A)及び3(B)から明らかであろうが、飛散は粒子が紡錘状である、NLK600及びNLK602の場合、試験した範囲に渡って、飛散は小さい。他の種類の粒子が含まれている場合、粒子の量が10重量%より高く、したがって、トスパールの場合を除いて望ましくない場合に、飛散は特に大きくなる傾向がある。所望の飛散が少ないという観点から、本発明に記載の組成物及びトスパールを含む組成物が望ましく、他の粒子は望ましくないと考えられる。
【0060】
図4は、式IIに記載の組成物に実施した類似の試験の結果を示す。グラフは、スポンジによって100回摩擦後の飛散量を示す。結果は、シリカビーズSB700又はKSP300を含む場合でも、比較的大量の飛散が出現することを示す。他の結果は、非球状粒子を含む組成物を含め、多かれ少なかれ、同一及び許容可能である。
【0061】
図5は、組成物の摩擦係数(MIU)を示す。摩擦係数は、試験する組成物のバルクの粉末上で測定した。試験機器によって、バルクの粉末表面に沿ってスポンジを動かすために必要な力とバルクの粉末表面に垂直に発揮される力を測定し、摩擦係数はその比で決定した。紡錘状粒子を含む組成物で観察される一般的な傾向は、組成物中に含まれる粒子の量が増加すると、摩擦係数が減少することである(実施例1−8)。多かれ少なかれ、同様の結果が、ボウル形の粒子(参照1−4)及びシリカビーズSB700を含む組成物中に観察される。しかし、トスパールを含む組成物に関し、組成物中に含まれる粒子の量に関係なく、摩擦係数が高く、滑らかさは、トスパールを添加することによって得られないことを意味する。
【0062】
図6は圧縮後の組成物の落下強度を示す。圧縮した粉末を、最初の重量の5%が損失するまで、20cmの高さからタイルに落下させた。図6は、組成物を何回落下させたかを示す。図から明らかであろうが、本発明に記載の組成物、例9及び10は、他の粒子の型を含む組成物が球状粒子を含まないブランクの見本と比較して落下に対してより脆弱である傾向があるのに対して、驚くほど高い落下耐性を示す。
【0063】
これらの試験結果は、定量的に評価された。表6は評価の際に用いた定義を示す。

【0064】
表7は表6に記載の定義にしたがって実施した評価の結果を示す。表7は紡錘状粒子を含む本発明に記載の例が、粒子の他の型を含む他の組成物に対する全体的な優位性を示すことを明確に示す。他の組成物のそれぞれは、そこで示す特徴の少なくとも一つの弱さを有している。

【0065】
今や明らかであるだろうが、フィラーと顔料と他の化粧学的に許容可能な原料に加えて紡錘状粒子を含む化粧用の粉末組成物は、良好な圧縮形成適合性、摩擦によるより少ない飛散、滑らかな手触りと良好な落下強度を保証する小さい摩擦係数のような化粧品組成物にとって望まれる優れた特徴を示すことが見出された。
【0066】
製剤の実施例
ブラッシュ
ブラッシュ(頬)製品の製剤は、下記の通りである。

【0067】
アイシャドウ
アイシャドウの製剤は以下の通り記載される。

【0068】
ファンデーション(コンパクトパウダー)
ファンデーション(コンパクトパウダー)製品の製剤は、以下の通り記載される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラー及び所望により顔料及び他の化粧学的に許容可能な原料に加えて、紡錘状粒子を含む化粧用の、特に、コンパクトパウダー形態である、粉末組成物において、該紡錘状粒子が、架橋ポリシロキサン構造を有する有機シリコンからなり、約0.05マイクロメーターから約20マイクロメーターの間の長軸Lに沿った直径、約0.03マイクロメーターから約15マイクロメーターの間の短軸Lに沿った直径、及び約1.1から約3.3の間のL/Lを有する紡錘状粒子である粉末組成物。
【請求項2】
紡錘状粒子がそれらの主要な軸に沿って切り込みを有する、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項3】
紡錘状粒子が、粉末組成物の40重量%より小さく、好ましくは、約1重量%から約40重量%であり、好ましくは、約5重量%から約20重量%であり、より好ましくは約10重量%から約15重量%である請求項1及び2の一に記載の粉末組成物。
【請求項4】
フィラーが、ラウロイルリシン、マイカ、タルク、窒化ホウ素、カオリン、オキシ塩化ビスマス、硫酸バリウム、パーライト、PTFE、及びその混合物のような、プレート又はラメラ形態を有する非球状のフィラーである、請求項1から3の一に記載の粉末組成物。
【請求項5】
フィラーが全組成物の5から90%を示す、請求項1から3の一に記載の粉末組成物。
【請求項6】
フィラーが少なくとも一のプレート又はラメラ形態のフィラー及び所望により他の非球状のフィラーを含み、前記フィラーがタルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド、ポリ−ベータ−アラニン及びポリエチレンから形成される粉末、テトラフルオロエチレンポリマーから形成される粉末、ラウリルリシン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ(塩化ビニリデン)/アクリロニトリル又はアクリル酸コポリマーの高分子中空ミクロスフィア、シリコン樹脂ミクロビーズ、ポリオルガノシロキサンエラストマーからなる粒子、沈殿炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ポリウレタン粉末、合成フィラー、中空シリカマイクロスフィア、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、又は8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を有する有機カルボン酸由来の金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミスチリン酸マグネシウムから選択され;
顔料は一又は複数の二酸化チタン、所望により表面処理したジルコニウム又は酸化セシウム、及びまた亜鉛、鉄(黒色、黄色又は赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム及びフェリックブルー、及びアルミニウム粉末又は銅粉末、及びその混合物のような金属粉末を含み;
他の化粧学的に許容可能な原料は、一又は複数のロウ、保存料、化粧学的活性成分、保湿剤、紫外線遮断剤、シックナ、水、界面活性剤、結合剤又は香料を含む、請求項1から3の一に記載の粉末組成物。
【請求項7】
界面活性剤は、ステアリン酸亜鉛を含み、結合剤はミネラル油又はフェニルトリメチコンを含み、保存料はフェノキシエタノールを含む、請求項4に記載の粉末組成物。
【請求項8】
架橋ポリシロキサンが、それぞれ、SiO、RSiO1.5 及びRSiOであり、R、R及びRが、ケイ素原子に直接結合する炭素原子を有する、同一又は異なる有機基の任意の一つである、第一、第二及び第三のシリコン単位を含む、請求項1から5の何れか一に記載の粉末組成物。
【請求項9】
第三のシロキサン単位に対する第一のシロキサン単位と第二の単位のモル総量のモル比が、99:1から50:50であり、より好ましくは、概ね、90:10から60:40である、請求項1から6の何れか一に記載の粉末組成物。
【請求項10】
第二のシロキサン単位に関する第一のシロキサン単位のモル比が、概ね、23:77から40:60である、請求項7に記載の粉末組成物。
【請求項11】
及び、RとRの少なくとも一つがエポキシ基、(メタ)アクリル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基及び前記の基の何れか一を有する有機基からなる群から選択される、請求項6から8の何れか一に記載の粉末組成物。
【請求項12】
粉末組成物が、ブラッシャー、アイシャドウ、フェイスパウダー、ファンデーション、コンシーラー、体の化粧のための製品、フェイスケアのための製品、ボディーケアのための製品又は日焼け止め製品の形態である化粧又はケア製品である、請求項1から9の何れか一に記載の粉末組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−521962(P2012−521962A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540248(P2011−540248)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/JP2009/001420
【国際公開番号】WO2010/109545
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】