説明

化粧用スケールキット

【課題】複数のスケールを使用するときであっても使用性を高めることができる化粧用スケールキットを提供する。
【解決手段】ケース半体2a,2bよりなるケース2のケース半体2aに、光源3と、光源3の光をケース外部に照射するための開口部5aと、光源3と開口部5aとの間に配設され施術する化粧料の理想施術形状に対応した遮光部11Aが形成されたマスク部材4Aとを有し、理想施術形状に対応した影を被施術者に投写しうる構成とされた目元スケール1とを設ける。また、一対のケース半体2a,2bの間に、顔の長さを計測する顔計測スケール40と、理想眉形状に成形された眉スケール52と、理想唇形状に成形された唇スケール53と、唇の色見本が設けられた唇色スケール30と、肌の色見本が設けられた肌色スケール20とを引き出し可能に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧用スケールキットに係り、特に携帯可能な化粧用スケールキットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、美容施術は、肌、眉、唇、目元等のそれぞれに対して実施されるものであり、それぞれ施術方法も異なっている。また、顔の各部位に実施する美容施術の過程において、被施術者の顔にマッチするバランスのとれた美容施術を行うことは難しいとされている。
【0003】
そのような課題から、美容施術を容易に行いうる器具として、スケールを利用することが行われている。このスケールとしては、肌色見本スケール(特許文献1)、顔チェックスケール(特許文献2)、眉スケール(特許文献3)等、種々のものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−291975号公報
【特許文献2】特開2005−066255号公報
【特許文献3】特開2007−209557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのスケールは、化粧品と共に携帯される場合が多い。しかしながら、従来ではこれらのスケールはそれぞれ独立して別個に提供されていたため、使用者にすると種類の異なる複数のスケールを個別に携帯する必要があり携帯性が悪いという問題点があった。また各スケールが別個の構成であると、スケールの使用時において使用しようとするスケールを直ぐに発見できず、この点からも従来のスケールは使用性が悪いという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、複数のスケールを使用するときであっても使用性の向上を図りうる化粧用スケールキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、第1の観点からは、
一対のケース半体よりなるケースと、
該ケース半体の一方に配設されており、光源と、前記光源の光をケース外部に照射するための開口部と、前記光源と前記開口部との間に配設され施術する化粧料の理想施術形状に対応した透光部又は遮光部が形成されたマスク部材とを有し、前記理想施術形状に対応した光又は影を被施術者に投写しうる構成とされた投写スケールとを設けており、
該一対のケース半体の間に、
顔の長さを計測する顔計測スケールと、理想眉形状に成形された眉スケールと、理想唇形状に成形された唇スケールと、唇の色見本が設けられた唇色スケールと、肌の色見本が設けられた肌色スケールとの群から選ばれる少なくとも一つ以上のスケールを引き出し可能に収納したことを特徴とする化粧用スケールキットにより解決することができる。
【発明の効果】
【0008】
開示の化粧用スケールキットによれば、一対のケース半体の間に複数のスケールが配設されるため、携帯時には複数のスケールを一体的に取り扱うことができ、また使用時には所望のスケールを引き出して使用することができるため、スケールの使用性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキットを示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキットを分解した状態を示す側面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキットを使用している状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキットに配設された目元センサの本体部を説明するための斜視図である。
【図5】図5は目元センサの本体部を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は正面図である。
【図6】図6は目元センサの蓋体部を説明するための図であり、(A)は底面図、(B)は右側面図である。
【図7】図7は目元センサを構成するフィルタを示す正面図である。
【図8】図8は、目元センサにより目元に投影された影を示す図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキットに配設される肌色スケールの正面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキットに配設される唇色スケールの正面図である。
【図11】図11は本発明の一実施形態である化粧用スケールキットに配設される顔計測スケールを説明するための図であり、(A)は収納状態の顔計測スケールを示す斜視図であり、(B)は垂直バーを開いた状態を示す斜視図である。
【図12】図12は、顔計測スケールの分解斜視図である。
【図13】図13は顔計測スケールの動作を説明するための正面図であり、(A)スケール半体が移動した状態を示す図、(B)はスケール半体が収納された状態を示す図である。
【図14】図14は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキットに配設される眉・唇スケールの正面図である。
【図15】図15は、ケース半体2bの内側を示す図である。
【図16】図16は、マスク部材の変形例を示す図である(その1)。
【図17】図17は、マスク部材の変形例を示す図である(その2)。
【図18】図18は、マスク部材の変形例を示す図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0011】
図1乃至図3は、本発明の一実施形態である化粧用スケールキット100を説明するための図である。この化粧用スケールキット100は被施術者Aが顔に施術する際に使用するものであり、主に携帯して使用されるものである。この化粧用スケールキット100は、大略すると目元スケール1、ケース2、肌色スケール20、唇色スケール30、顔計測スケール40、及び眉・唇スケール50等により構成されている。
【0012】
ケース2は樹脂製であり、一対のケース2a,2bにより構成されている。この一方のケース半体2aには投写スケールである目元スケール1が配設されている。また、ケース半体2bの内側面には図15に示すように鏡61が配設されている。またケース半体2bには、図2に示すように装着ピン62が立設されている。この装着ピン62の先端部は、ケース半体2aに設けられた装着孔13(図4,図5参照)に固定される。これにより、ケース半体2aとケース半体2bは一体化する。
【0013】
肌色スケール20、唇色スケール30、顔計測スケール40、及び眉・唇スケール50は、後述するようにこの装着ピン62に引き出し可能に装着される。よって、化粧用スケールキット100の使用時には、所望するスケールを装着ピン62を中心として回転させることにより引き出し、当該スケールの使用を行う。図3は、ケース半体2aに内設された目元スケール1を使用している例を示している。同図に示されるように、使用される目元スケール1(ケース半体2a)のみが引き出され、他のスケール20,30,40,50は重ねられた状態を維持している。
【0014】
また、各スケール20,30,40,50の正面視した形状は、ケース半体2a,2bの正面視した形状と略同一形状とされている。よって、一対のケース2a,2b間に各スケール20,30,40,50を収納した際、図1に示すように各スケール20,30,40,50は重なった状態となる。このため、一対のケース2a,2b間に複数のスケール20,30,40,50を配設しても、上記の収納時における化粧用スケールキット100はコンパクト化でき、携帯性の向上が図られている。
【0015】
以下、化粧用スケールキット100を構成する各種スケール1,20,30,40,50について説明する。先ず、ケース半体2aに内設された目元スケール1について説明する。
【0016】
図4乃至図7は目元スケール1の構成を説明するための図である。目元スケール1は、目元にアイシャドー或いはアイライナーを描く際に使用するスケールである。また本実施形態に係る目元スケール1は、樹脂製の定規状のスケールを用いるのではなく、図3に示すように被施術者Aの目元に影(以下、影Sと示す)を投写(投影)し、この影Sをスケールとして用いることを特徴とするものである。
【0017】
目元スケール1は前記のようにケース半体2a内に配設されており、大略するとLED光源3、マスク部材4A等により構成されている。
【0018】
ケース本体5は、図5(A)に示すようにケース2の形状に対応した楕円形状を有した板状部材であり、固定リブ7及びプリズム8等が設けられている。固定リブ7は後述するLED光源3が装着されるものであり、アーム部7a及び装着凹部7bを有している。アーム部7aは、ケース本体5に立設するよう一体的に形成されている。
【0019】
このアーム部7aは、LED光源3の装着位置を挟んで一対設けられている。LED光源3は装着時において、この一対のアーム部7aに挟持されることによりケース本体5に保持される。このため、アーム部7aの内側部分には、LED光源3の外形状に対応した装着凹部7bが形成されている。本実施形態では、LED光源3は円筒形状を有しているため、図5(B)に示すように、装着凹部7bの形状はLED光源3の外形状に対応した円形状とされている。
【0020】
本実施形態では、固定リブ7はケース本体5の長手方向(楕円の長辺方向)に離間して2個設けられている。よって、LED光源3は2個の固定リブ7により保持されるため、ケース本体5に確実に装着される。また一対の固定リブ7の間には、スイッチ装着部5bが設けられている。
【0021】
このスイッチ装着部5bには、図示しないON/OFFスイッチが配設される。ON/OFFスイッチは、LED光源3を点灯或いは消灯するものである。このON/OFFスイッチは小型かつ扁平な形状のものが選定されており、そのスイッチノブ16はケース本体5に形成されたスイッチ孔5cから外部に突出するよう構成されている。後述するように、被施術者Aが目元スケール1を使用する際、被施術者Aはスイッチノブ16を操作することにより目元に影Sを投影する。
【0022】
プリズム8は、LED光源3から出射する光Lの光路に設けられており、LED光源3から出射される光Lの光路を直角に変更させる機能を奏するものである。具体的には、LED光源3から出射した光Lはケース本体5の上面と平行に進んだ後、プリズム8の反射面8aに入射される。反射面8aは水平方向に対して45°傾斜しており、よって光Lはプリズム8によりケース本体5に向け反射される。ケース本体5の反射面8aと対向する位置には光照射孔5aが形成されている。従って、LED光源3から出射した光Lは、プリズム8で光路を変更して光照射孔5aから外部に照射される。
【0023】
蓋体6は、ケース本体5に装着される。蓋体6の底面部10には、図6(A)に示すように複数のねじ孔10aが形成されている。また、前記したケース本体5のねじ孔10aに対応する位置には挿通孔5dが形成されている。よって、挿通孔5dとねじ孔10aとを位置決めした上で、固定ネジ(図示せず)を挿通孔5dを挿通させた上でねじ孔10aに螺着することにより、蓋体6はケース本体5に固定される。
【0024】
蓋体6は内側に凹部9を有しており、ケース本体5に蓋体6が装着された状態でLED光源3、固定リブ7、及びプリズム8等は蓋体6内に収納される。この蓋体6は半卵形状(略半楕円球)を有しており、把持しやすい形状となっている。また、ケース半体2bも同様の形状とされている。このため、化粧用スケールキット100の操作性の向上が図られている。
【0025】
LED光源3は、円筒形状を有した電池を収納するケース3cの先端部に図示しないLED(発光ダイオード)が配設された構成とされている。前記のON/OFFスイッチは、被施術者Aによりスイッチノブ16の操作により電源とLEDとの接続(ON)及び接続解除(OFF)を行う。スイッチノブ16の操作により電源とLEDが接続されるとLEDは発光し、LEDからの光Lは反射面8aで反射された後に光照射孔5aを介して目元スケール1の外部に照射される。
【0026】
このLEDは、発光した光が目の中に入っても安全なものが選定されている。また、LEDの発光色としては、目にまぶしくないイエロー・ブルー系を選定している。このLEDの前方位置には、レンズ3bが配設されている。このレンズ3bは、光Lを出射する際にその縦横比が同じになるレンズが選定されている。
【0027】
更に、LED光源3に設けられたLEDと、ケース本体5に形成された光照射孔5aとの間には、マスク部材4Aが配設されている。本実施形態では、LED光源3に装着部3aを設け、この装着部3aにマスク部材4Aを装着する構成としている。
【0028】
この装着部3aの配設位置は、光Lの出射方向に対し、LEDの配設位置よりも前方でレンズ3bの配設位置よりも後方位置に設定されている。従って、LEDで発光した光Lは、装着部3aに装着されたマスク部材4Aを通過してレンズ3bに至り、そして外部に出射される。
【0029】
図7は、本実施形態で用いるマスク部材4Aを拡大して示す図である。マスク部材4Aはシート状の樹脂フィルムより形成されている。このマスク部材4Aの所定位置には、マスク部材4Aを装着部3aへ装着する際に把持する把持部4bが形成されている。
【0030】
また、マスク部材4Aの略中央位置には、遮光部11Aが形成されている。この遮光部11Aは、光の透過率が低い塗料(本実施形態では黒色塗料)を印刷した構成である。しかしながら、遮光部11Aは黒色塗料に限定されるものではなく、光を遮光しうるものであれば他の構成を採用してもよい(例えば、遮光フィルムの貼着等)。
【0031】
上記のようにマスク部材4Aに遮光部11Aを形成すると、遮光部11AはLEDからの光を遮るため、マスク部材4Aを通過した光は遮光部11Aの形状に対応した影Sが重畳された光となる。換言すると、LED光源3は、遮光部11Aに対応した形状の影Sを投写する投写機としての機能を奏することとなる。
【0032】
ここで、本実施形態に係る遮光部11Aの形状に注目する。この遮光部11Aの形状は、目元に施す化粧料(アイシャドー或いはアイライナー等)の理想施術形状に対応した形状とされている。この目元に施す化粧料の理想施術形状とは、ゴールデンバランスに基づく標準バランスの目の形態を基準として求められる。具体的には、図8に示すように眼裂の上下径H2と左右径W2の比率が1対3(H2:W2=1:3)となる形状を理想施術形状という(特開2005−038375号公報参照)。
【0033】
そこで本実施形態では、マスク部材4Aに設ける遮光部11Aの形状をこの理想施術形状に対応した比率としている。具体的には、遮光部11Aの縦H1に対する横W1の比率を1:3(H1:W1=1:3)に設定している。
【0034】
ところで、遮光部11Aの形状は必ずしも理想施術形状に対応したH1:W1=1:3の比率にする必要はない。即ち、被施術者の顔形状によっては、目元に施す化粧料の理想施術形状をゴールデンバランスに設定すると、返って不自然になる場合も生じる。よって、このような場合には、眼裂の上下径H2と左右径W2の比率を理想施術形状に対応する比率から変えることが望ましい。
【0035】
このような被施術者の個人差を含めた場合の遮光部11Aの形状は、本発明者による長年の経験則からすると(H1:W1=1:2)から(H1:W1=1:4)の範囲となる。従って、この上記範囲内において、縦H1と横W1との比率が異なる複数種類の遮光部11Aを有したマスク部材4Aを作製しておき、被施術者に目元スケール1を提供する際、当該被施術者の顔形状に対応した遮光部11Aを有したマスク部材4Aを目元スケール1に装着して提供することとしても良い。これにより、個々の被施術者に適した形状の影Sを目元に投写することが可能となる。
【0036】
続いて、化粧用スケールキット100において、上記構成とされた目元スケール1を使用する方法について説明する。また以下の説明では、目元スケール1をアイシャドーの塗布に用いた例について説明するものとする。
【0037】
アイシャドーを目元に施術するには、被施術者Aは目元スケール1(ケース半体2a)を化粧用スケールキット100から引き出し、残る各スケール20,30,40,50及びケース半体2bを把持する。続いて、被施術者Aはスイッチノブ16をONとし、目元スケール1からの光Lを目に向けて照射する。図3は、目元スケール1から光Lを目に向けて照射している状態を示している。
【0038】
本実施形態では、目元スケール1からの光Lを被施術者Aの目に向けて照射するが、光Lはマスク部材4Aを通過した光であり、中央部分に遮光部11Aに対応した影Sが形成されている。また、仮にLEDからの光が目に入射しても、LEDは安全な光を照射するものが選定されており、かつLEDの発光色は目にまぶしくないイエロー・ブルー系を選定しているため、安全性が担保されている。
【0039】
図8は、光Lが照射された状態の被施術者Aを正面から見た図である。同図に示すように、被施術者Aの目の近傍には、マスク部材4Aに形成された遮光部11Aに対応した影Sが投写されている。また上記したように、LED光源3に設けられたレンズ3bは、縦横比が同じ倍率となるよう構成されている。従って、遮光部11Aの縦横比(H:W)はそのままの比率で被施術者Aに投写され、被施術者Aに投写された影Sの縦の長さ(H2)と横の長さ(W2)の比(H2:W2)も1:3となる。
【0040】
従って、被施術者Aは目元等に投写された影Sを見ながら、影Sに沿ってアイシャドーを施術することにより、容易かつ確実に理想施術形状(ゴールデンバランスに基づく標準バランスの目の形態)に対応した目元のメーキャップを行うことができる。この際、前記のように被施術者Aの目に投写されるのは影Sであるため、投写されていない側の目ばかりでなく、投写が行われている目も開いて影Sを確認することができる。よって、これによってもアイシャドーの目元への施術を容易に行うことができる。
【0041】
ところで、前記のように理想施術形状(ゴールデンバランスに基づく標準バランスの目の形態)は目の縦幅Hと目の横幅Wとの比で与えられるため、ゴールデンバランスに対応した目の縦幅の長さと目の横幅の実際の長さは、顔の大きさや目の大きさ等により被施術者A毎に異なった長さとなる(しかしながら、理想施術形状となる比率は一定)。
【0042】
このため、被施術者Aの顔や目の大きさに対応した理想施術形状を、従来の物差し状のスケールに設けようとした場合、被施術者A毎に個別にスケールを作成する必要が生じ現実的でない。
【0043】
しかしながら本実施形態の目元スケール1では、投写される影Sの縦横比はゴールデンバランスに基づく標準バランスの目の形態に対応した縦横比(以下、理想縦横比という)である。また影Sの大きさは、被施術者Aと目元スケール1との距離L(図3に示す)を移動させることにより変化させることができる。具体的には、距離Lを短くすれば影Sの面積は小さくなり、距離Lを長くすれば影Sの面積は大きくなる。
【0044】
しかしながら、距離Lを変動させて影Sの面積を変化させても、影Sの縦横比は理想縦横比を維持したままである。よって、目元スケール1は被施術者Aの顔や目の大きさに拘わらず、単に被施術者Aと目元スケール1との距離Lを調製することにより全ての被施術者Aに対して適用することが可能となる。
【0045】
ところで上記したマスク部材4Aは、透明なマスク本体4aに遮光部11Aを形成したものを用いた。しかしながら、マスク部材の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図16(A),(B)に示すように、光の透過率が低い塗料をマスク本体4aの全面に塗布すると共に、化粧料の理想施術形状の外周縁に光を透光する小孔17A(請求項に記載の透光部)を形成する構成としたマスク部材4B,4Cを用いることができる。
【0046】
この構成の目元スケール1を使用すると、被施術者Aの目元は全体的に影が投写され、理想施術形状(H1:W1=1:3)の外周縁部分にポイント的に光が投写されることとなる(以下、この光をポイント光という)。この際、図16(A)に示すように理想施術形状の主要箇所のみに小孔17Aを設ける構成としても、図16(B)に示すように理想施術形状の外縁の多数箇所に小孔17Aを設ける構成としてもよい。
【0047】
図16(A)に示すマスク部材4Bを用いた場合には、使用時に被施術者Aの目にLEDからの光が入射することを有効に防止することができる。また、図16(B)に示すマスク部材4Cを用いた場合には、理想施術形状の外縁が明確に表示されるため、化粧料の施術を容易に行うことができる。
【0048】
また、図16(C)に示すマスク部材4Dは、光の透過率が低い塗料をマスク本体4aの全面に塗布すると共に、化粧料の理想施術形状の外周縁に沿って環状に透光部18を形成したものである。この構成とすることにより、理想施術形状の外縁が線状に明確に表示されるため、このマスク部材4Dを用いることによっても化粧料の施術を容易に行うことができる。
【0049】
更に、上記した目元スケール1は、目元に化粧料を塗布するスケールとして用いるものを例に挙げたが、顔の他の部位に対する化粧のスケールとして用いることも可能である。
【0050】
図17(A),(B)は、眉のスケールに適用した場合のマスク部材4F,4Gを示している。図17(A)に示すマスク部材4Fは、透明なマスク本体4aに理想的な眉形状に対応した形状の遮光部11Cが形成された構成とされている。よって、このマスク部材4Fを用いた場合には、被施術者Aに理想的な眉形状である影が投影される。被施術者Aは、この投影された影をスケールとして眉を描くことにより、理想的な眉を描くことができる。
【0051】
また、図17(B)に示すマスク部材4Gは、光の透過率が低い塗料をマスク本体4aの全面に塗布すると共に、理想的な眉形状に対応する位置に光を透光する小孔17B(透光部)を形成したものである。この小孔17Bの形成位置は、理想的な眉の眉頭、眉山、眉尻(以下、眉の要部位置という)を少なくとも含む位置に形成されている。
【0052】
このマスク部材4Gを用いた場合には、被施術者Aに理想的な眉の要部位置に光が投光される。被施術者Aは、この投光された光をスケールとして眉を描くことにより、理想的な眉を描くことができる。
【0053】
図17(C),(D)は、唇のスケールに適用した場合のマスク部材4H,4Iを示している。図17(C)に示すマスク部材4Fは、透明なマスク本体4aに理想的な唇形状に対応した形状の遮光部11Dが形成された構成とされている。理想的な唇形状は、唇の上下比率(図17(C)に矢印H3,H4で示す長さの比率。即ち、H3:H4)が1:1.3〜1:1.5である(特開2006−116154参照)。よって、遮光部11Dは、この理想的な唇形状に対応した形状とされている。
【0054】
このマスク部材4Hを用いた場合には、被施術者Aの唇に理想的な唇形状である影が投影される。被施術者Aは、この投影された影をスケールとして化粧料を施術することにより、唇に対して理想的なメーキャップを行うことができる。
【0055】
また、図17(D)に示す4Iは、光の透過率が低い塗料をマスク本体4aの全面に塗布すると共に、理想的な唇形状に対応する位置に光を透光する小孔17C(透光部)を形成したものである。この小孔17Cの形成位置は、理想的な唇形状の唇の山2箇所、唇のライン、口角、下の位置等に設定されている。
【0056】
このマスク部材4Iを用いた場合には、被施術者Aに理想的な唇の要部位置に光が投光される。被施術者Aは、この投光された光をスケールとして化粧料を施術することにより、唇に対して理想的なメーキャップを行うことができる。
【0057】
図18(A)は、顔全体に対してメーキャップを行うスケールに適用した場合のマスク部材4Jを示している。同図に示すマスク部材4Jは、透明なマスク本体4aに顔の形に対応した遮光部11Eが形成されている。そして、この遮光部11Eの内部に、理想的な目元形状に対応した透光部18と、理想的な眉形状に対応した小孔17Bと、形状理想的な唇形状に対応した小孔17Cと、鼻の位置を示すための小孔17Dとが形成されている。このマスク部材4Jを用いた場合には、被施術者Aの顔に理想的な目元、眉、唇の形状が一括的に投光されるため、顔のバランスを確認し、理想の顔に近づけるための化粧料の施術を容易に行うことができる。
【0058】
図18(B)に示すマスク部材4Kは、理想的な眉を描くため、理想付記な眉頭、眉山、眉尻の位置を示すために使用されるものである。このマスク部材4Kは、光の透過率が低い塗料をマスク本体4aの全面に塗布すると共に、理想的な目頭、眉頭、眉山、眉尻の位置に対応する位置に透光する小孔17E〜17H(透光部)を形成したものである。このマスク部材4Kを用いた場合、目頭の直上の眉の位置を光で示すことができ、また小鼻と目尻を結んだ延長線上を表すことで眉尻の正確な位置を光で示すことができる。
【0059】
上記のように目元スケール1は、眉スケール、唇スケール等としても使用することができる。この際、各スケールを切り換えるには、単に装着部3aに所望するマスク部材4A〜4Iを選択して装着することにより実現することができる。図3〜図5に示す実施形態では、ケース半体2aの外部からマスク部材4A〜4Iを交換することができない構成を示したが、フィルムの切り替えができる構成とするか、或いは外部から交換可能な構成とすることにより、目元スケール1を眉スケール及び唇スケールとして用いることが可能となる。
【0060】
次に、肌色スケール20について説明する。図9は、肌色スケール20を示す正面図である。この肌色スケール20は、透明なスケール本体21に複数の肌色見本22〜26が設けられた構成とされている。スケール本体21は樹脂材料からなるシート材からなり、その形状はケース2の形状に対応した形状とされている。また、肌色見本22〜26は、スケール本体21に対して印刷されている。
【0061】
また、スケール本体21の所定位置には、前記した装着ピン62が挿通される装着孔27が形成されている。装着孔27の径寸法は、スケール本体21が装着ピン62に回動可能となる寸法に選定されている。よって、スケール本体21は装着ピン62に対して回動可能となり、これにより肌色スケール20はケース2に対して引き出し可能な構成となる。
【0062】
尚、化粧用スケールキット100に対する肌色スケール20の配設枚数は1枚に限定されるものではなく、複数の肌色スケール20を配設することも可能である。
【0063】
次に、唇色スケール30について説明する。図10は、唇色スケール30を示す正面図である。この唇色スケール30は、透明なスケール本体31に複数の唇色見本32〜35が設けられた構成とされている。スケール本体31は樹脂材料からなるシート材からなり、その一側辺31aの形状はケース2の形状に対応して形成され、他側辺31bの形状は被施術者Aの唇に当てやすくするために湾曲状に窪んだ形状とされている(全体としては、略三日月形状となっている)。
【0064】
唇色見本32〜35は、スケール本体31に対して印刷されている。この際、各唇色見本32〜35は側辺31bに接するように形成されており、これによっても各唇色見本32〜35を被施術者Aの唇に当てやすくなるよう構成されている。
【0065】
また、スケール本体31の所定位置には、装着ピン62が挿通される装着孔36が形成されている。装着孔36の径寸法も、スケール本体31が装着ピン62に回動可能となる寸法に選定されている。よって、スケール本体31は装着ピン62に対して回動可能となり、これにより唇色スケール30はケース2に対して引き出し可能な構成となる。
【0066】
尚、化粧用スケールキット100に対する唇色スケール30の配設枚数も1枚に限定されるものではなく、複数の唇色スケール30を配設することも可能である。
【0067】
次に、顔計測スケール40について説明する。図11乃至図13は、顔計測スケール40を説明するための図である。顔計測スケール40は、スケール本体41、スケールガイド42、カバー44、スケール半体45、スケール半体46、ギヤ47、及び垂直バー49等を有した構成とされている。
【0068】
スケール本体41は透明な樹脂基板であり、その形状はケース2の形状に対応した形状とされている。このスケール本体41には、スケールケース42がスライド可能に装着されるスライド溝41aと、装着ピン62が挿通される装着孔41bが形成されている。
【0069】
装着孔41bの径寸法も、スケール本体41が装着ピン62に回動可能となる寸法に選定されている。よって、スケール本体41は装着ピン62に対して回動可能となり、これにより顔計測スケール40はケース2に対して引き出し可能な構成となる。
【0070】
顔計測スケール40は、被施術者Aの顔の長さを測定するスケールである。しかしながら、化粧用スケールキット100は携帯可能な構成とされており、ケース2の大きさも片手で把持しうる大きさに設定されている。このため、本実施形態では、顔の長さを測定するスケールを一対のスケール半体45,46により構成し、これをスケールケース42内に移動可能(伸長可能)に収納した構成としている。
【0071】
スケールケース42は、図12に示すように一対のケース半体42A,42Bにより構成されている。ケース半体42Aは、長手方向の両側部にスケール半体45,46の移動を案内するガイド突起43が形成されている。また、ケース半体42Bは、スケール半体45,46を内部に収納した状態でその上部を覆うカバーとして機能する。このケース半体42Bには、垂直バー49が配設される。更に、各ケース半体42A,42Bの中央位置には、後述するピン48を軸承する軸孔44a,44bが形成されている。
【0072】
スケール半体45,46は、所定範囲にラック45a,46aが形成されると共に、顔計測用の目盛りが形成された計測部45b,46bが形成されている。このスケール半体45,46は、互いのラック45a,46aがギヤ47を間に挟んで対向するよう配置される。この際、各スケール半体45,46は、ギヤ47を中心に対象となるよう配置される。各ラック45a,46aはギヤ47に噛合しており、よって一方のスケール半体が移動することによりギヤ47は回転し、これにより他方のスケール半体も移動する。この際、スケール半体45とスケール半体46の移動方向は、互いに逆の方向となる。
【0073】
即ち、図13(B)に示す移動前の状態において、被施術者Aがスケール半体45をX2方向に引き出すと、これに伴いスケール半体46はX1方向に移動する。従って、スケール半体45,46がスケールケース42から引き出された状態では、図13(A)に示すように、その全長はスケールケース42の長さに比べて長くなり、被施術者Aの顔の長さを計測することが可能となる。
【0074】
尚、本実施形態ではスケールケース42に対して二つのスケール半体45,46が異なる方向に引き出し可能な構成とされているが、スケール半体を一つのみ設け、このスケール半体がスケールケース42から片方にのみ引き出される構成とすることも可能である。
【0075】
ギヤ47は、ピン48に回転自在に軸承されている。このピン48は、スケールケース42に形成された軸孔44a,44bに軸承されている。また、ピン48の図12におけるZ2方向の端部には、鍔部48aが形成されている。この鍔部48aは、スケール本体41に形成されたスライド溝41aにスライド可能に係合している。よって、スケールケース42は、スライド溝41aに沿って図中矢印Y1,Y2方向にスライド可能な構成となっている。
【0076】
垂直バー49は、被施術者Aの顔の横幅を測定するときに、正確に計測するために頬に添えるバーである。この垂直バー49は、図示しないヒンジによりスケールケース42のケース半体42Bに回動可能に配設されている。この垂直バー49は、不使用時においては図11(A)に示すようにスケールケース42に密着した状態となっている。これに対して使用時には、垂直バー49は図11(B)に矢印A2で示す方向に回動され、スケールケース42に対して直角となるよう構成されている。
【0077】
ここで、「顔の横幅」とは、顔を正面に見たときに見えているフェースラインまでの幅のことをいう。また、垂直バー49は顔の横幅を測定するときに小鼻の延長線上の頬に当てられ、これによりスケール半体45,46により顔の横幅を正確に測定できるよう構成している。
【0078】
ところで、上記顔計測スケール40は、携帯される化粧用スケールキット100に収納されるものであるため、薄型化を図る必要がある。このため、顔計測スケール40を構成するスケール本体41、スケールケース42、スケール半体45,46、及び垂直バー49等は、機械的強度を維持しうる範囲でその厚さが薄くなるよう設定されている。また、顔の計測が行いやすいように、各部材42,45,46,49を透明な部材により形成してもよい。
【0079】
尚、垂直バー49をスケールケース42に向けてA1方向に回転させた際、垂直バー49とスケールケース42が密着するよう夫々に磁石を配設した構成としてもよい。この構成とすることにより、垂直バー49が不要に回転することを防止できる。
【0080】
次に、眉・唇スケール50について説明する。
【0081】
本実施形態では、スケール本体51に眉スケール52と唇スケール53を共に配設することにより、コンパクト化を図っている。スケール本体51は樹脂製の基板であり、各スケール52,53の配設位置に磁石(図に現れず)が配設されている。また、各スケール52,53には磁性体よりなる金属板が配設されており、よって磁石の磁力により各スケール52,53はスケール本体51に対して装着脱可能な構成となっている。また磁石を用いることにより、図14に実線で示す収納位置から、破線で示す使用位置に各スケール52,53を移動させることも可能である。
【0082】
眉スケール52は、理想的な眉形状に対応した形状とされている。よって、この眉スケール52を被施術者Aの眉に合わせるように位置決めし、眉を描くことにより理想的な形状の眉を描くことができる。また、唇スケール53は、理想的な唇形状に対応した形状とされている。よって、この唇スケール53を被施術者Aの唇に合わせるように位置決めし、化粧料を塗布することにより唇に対して理想的なメーキャップを行うことができる。
【0083】
上記構成とされた肌色スケール20、唇色スケール30、顔計測スケール40、及び眉・唇スケール50は、一対のケース半体2a,2b間に引き出し可能に収納される。よって化粧用スケールキット100使用する被施術者Aは、ケース半体2aに内接された目元スケール1を含め、各スケール1,20,30,40,50から所望するスケールを引き出し、使用することができる。
【0084】
これにより、化粧用スケールキット100の携帯時には複数のスケール1,20,30,40,50を一体的に取り扱うことができ形態性の向上を図ることができる。また使用時においては、複数のスケール1,20,30,40,50から、所望のスケールを引き出して使用することができるため、スケールの使用性の向上を図ることができる。
【0085】
尚、上記した化粧用スケールキット100では、一対のケース半体2a,2bの間に肌色スケール20、唇色スケール30、顔計測スケール40、及び眉・唇スケール50を収納した構成を示したが、必ずしもその全部を収納させる必要はなく、上記の各スケール20,20,40,50から選ばれる少なくとも一つ以上のスケールを引き出し可能に収納する構成としてもよい。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0087】
100 化粧用スケールキット
1 目元スケール
2 ケース
2a,2b ケース半体
3 LED光源
3a 装着部
4A〜4K マスク部材
4a マスク本体
4b 把持部
5 ケース本体
6 蓋体
7 固定リブ
8 プリズム
11A〜11E 遮光部
12 レンズ
16 スイッチノブ
17A〜17D 小孔
18 透光部
20 肌色スケール
21 スケール本体
22〜26 肌色見本
27 装着孔
30 唇色スケール
31 スケール本体
32〜35 唇色見本
36 装着孔
40 顔計測スケール
41 スケール本体
41b 装着孔
42 スケールケース
45,46 スケール半体
45a,46a ラック
46a ラック
47 ギヤ
49 垂直バー
50 眉・唇スケール
51 スケール本体
52 眉スケール
53 唇スケール
54 装着孔
61 鏡
62 装着ピン
A 被施術者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のケース半体よりなるケースと、
該ケース半体の一方に配設されており、光源と、前記光源の光をケース外部に照射するための開口部と、前記光源と前記開口部との間に配設され施術する化粧料の理想施術形状に対応した透光部又は遮光部が形成されたマスク部材とを有し、前記理想施術形状に対応した光又は影を被施術者に投写しうる構成とされた投写スケールとを設けており、
該一対のケース半体の間に、
顔の長さを計測する顔計測スケールと、理想眉形状に成形された眉スケールと、理想唇形状に成形された唇スケールと、唇の色見本が設けられた唇色スケールと、肌の色見本が設けられた肌色スケールとの群から選ばれる少なくとも一つ以上のスケールを引き出し可能に収納したことを特徴とする化粧用スケールキット。
【請求項2】
前記光源はLEDであることを特徴とする請求項1記載の化粧用スケールキット。
【請求項3】
前記顔計測スケールは、
ラックが形成された一対のスケール半体と該ラックに噛合するギヤとを有し、該一対のスケール半体は前記ギヤにより互いに逆方向に移動する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載の化粧用スケールキット。
【請求項4】
前記眉スケール及び前記唇スケールを、磁石を用いてスケール本体に対し着脱可能な構成としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化粧用スケールキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−90728(P2012−90728A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239880(P2010−239880)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)