説明

化粧用パウダービーズ組成物

本発明は、少なくとも1つの構造化剤および少なくとも1つのパウダーからなるビーズ、コンパクトな形状で利便性を有するが、ルースパウダーの汎用性を有する所望の大きさのビーズを形成する新たな方法、および、そのビーズからなる組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、特にパウダービーズ(powder bead)組成物及びその調製方法に関する。具体的には、あらかじめ決められた所望の大きさのパウダービーズを形成し、それらを使用する新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、パウダー化粧品は、ルースパウダー(loose powder)または固形(pressed)パウダーコンパクトからなる。ルースパウダーまたはコンパクトパウダー製品は、消費者によってブラシまたは他の塗布器を用いることにより一般的に適用されるが、指先を肌に擦り込むことにより適用され得る。ルースパウダーは重い結合剤(binder)を含まないため、使用が容易で、高いペイオフを有する。ルースパウダーはかさ密度が低いため、持ち運びに不便であり、扱いにくい場合がある。さらに、ルースパウダーはかさ容積が高いため、輸送および保管に費用がかかる。
【0003】
固形パウダー(またはコンパクトパウダー)は、顔料及び粉末状の充填剤からなり、また、小さなトレー内に圧縮できるようにするための顔料および充填剤の混合物を含む1以上のオイルまたはワックスのような1以上の結合剤からなる。コンパクトパウダーは、包装、保管および使用の面で便利であるが、ペイオフ、すなわち、化粧用コンパクトから塗布器ブラシへ組成物を移す能力は低い。さらに、コンパクトパウダーは、割れたときには時間をかけて乾燥していく。また、化粧用コンパクトに、例えば、コンパクトを落とすような強い衝撃が与えられたときには、コンパクトパウダーは、壊れやすい。
【0004】
また、ビーズ化粧品も知られている。そのように知られるビーズ化粧品は、顔料、充填剤、および脂肪結合剤を含んでおり、高圧下での脂肪乳剤およびパウダーのペースト状混合物を押出すことによって生成される。例えば、WO 03/055453参照。そのようなビーズは、球形であり、製造時の高い押出力のために、固形パウダーより固くなる傾向があり、その結果、固形パウダーよりペイオフを削減する。既知の押出ビーズ(extruded bead)は、Avon Products, Incにより販売されるArabian Glow Pearlsである。押出プロセスを通じて得られた化粧用ビーズは、例えば構成のためのワックスまたは脂肪結合剤のような追加成分を含まなければならない。当技術分野で公知の従来のビーズを生成する方法は、時間がかかり、労働集約的で、高価である。押出を可能にするための脂肪成分を必要とする従来の押出ビーズでは、例えば100%ミネラルを含んでいるとは言えない。押出ビーズは固いため、押出ビーズのペイオフは低く、消費者は魅力を感じない。
【0005】
したがって、当該技術分野において公知である固形パウダーのための圧力圧縮またはペースト押し出しなく得られるコンパクトな形状を有する化粧用ビーズ、及び、ルースパウダーの障害および不便性を回避する化粧用ビーズが必要である。
【0006】
開示の目的は、コンパクトな形状で利便性を有するが、ルースパウダーの汎用性を有するビーズまたはビーズ組成物を得るために非常に効率的、迅速かつ再現可能なプロセスを取得することである。
【0007】
開示の他の目的は、局所的に使用されたときに均一で、透き通って、自然に見える被覆を与える自然で、刺激物のない半透明なまたは着色されたビーズを提供することである。ビーズは必ず組み入れられるため、伝統的な固形ビーズでは不可能である。
【0008】
前述の議論は、ただ単に、技術が直面する問題の性質をより良く理解するために提示されたものであり、先行技術として自認していると、いかなる方法でも解釈されるべきではなく、また、ここで任意の参照を引用しているからといって、そのような参照が、本出願の従来技術を構成することを自認していると、解釈されるべきでものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、一般的にはビーズ、ビーズ組成物、ビーズおよびビーズを含むスキンケア組成物を調製する方法に関するものである。特に、ビーズは、少なくとも1つの構造化剤および少なくとも1つのパウダーからなり、構造化剤はガム、粘土、または合成構造化高分子であり、パウダーは粉末状の有用な成分である。パウダーは、化粧品または医薬的に許容されるアジュバント、および/または充填剤、顔料、レーキ、真珠のような粉末着色剤、粉末結合剤、スキンモディファイア、活性剤など、またはそれら互換性のある組み合わせから選択される添加剤であるが、これに限定されない。
【0010】
本開示の目的は、直径が変化するビーズを製造することである。開示のビーズは、低密度で、軽量であり、従来のビーズより大きいペイオフを有する。
【0011】
他の目的は、本明細書に開示の方法により得られる約3 mmから約30 mmの直径を有するパウダービーズを提供することである。
【0012】
また、他の目的は、少なくとも1つの構造化剤、少なくとも1つのパウダー、および好ましくは液体結合剤からなる約3 mmから約30 mmの直径を有する組成物を有する均質なパウダービーズを提供することである。
【0013】
開示の一目的は、有核種子を形成するために、乱流高せん断混合(turbulent high shear mixing)の条件下で少なくとも1つのパウダーが存在する溶媒中で少なくとも1つの構造化剤を溶解し、その後、あらかじめ決められた所望の大きさのビーズを取得するために、層流、すなわち、低せん断混合下で有核種子を増大させる工程を有する均質なパウダービーズを製造する工程を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、本開示のビーズを製造するための混合チャンバーを利用することであり、混合チャンバーは、最初に乱流高せん断、次いで層流低せん断(laminar shear)を提供する能力により特徴づけられる。一実施形態では、混合チャンバーは、造粒機であり、具体的には垂直造粒機である。
【0015】
さらなる目的は、本明細書に記載されるような方法に従って、造粒機で実質的な球状にビーズを形成するパウダー組成物で造粒機を飽和させることである。
【0016】
また他の目的は、乱流高せん断工程の間、噴霧スプレーとして、可溶化された構造化剤のすべてまたは一部を、混合チャンバー、具体的には垂直造粒機に導入する工程を提供することである。
【0017】
本開示のこれらのおよび他の目的は、例示的な実施形態および実施例を含む以下の詳細な説明を読んだ後に当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
開示の実施形態は、ビーズおよび少なくとも1つの構造化剤と少なくとも1つのパウダーとからなるビーズ組成物、および、ビーズおよびビーズ組成物を生成する方法を対象とする。ペースト押し出しにより調製される従来のビーズと比べて、開示されたビーズの利点は、密度の減少、重量の減少、ペイオフの改善があるが、これらに限定されない。これらの利点は、実施および製造の観点から特に有用である。さらに、本発明のビーズを生成する新規な方法では、100%ミネラル成分、例えば、粘土構造化剤および顔料パウダーを含むビーズ組成物を可能にする。
【0019】
本明細書中で使用される「ビーズ(bead)」(「化粧用ビーズ(cosmetic bead)」または「パウダービーズ(powder bead)」)は、特にそうでないと示されない限り、開示された新規の方法により取得される完成したビーズを意味する。ビーズの組成物に関して、完成ビーズに存在する成分割合は、特に断らない限り、乾燥工程の後またはビーズが平衡揮発性物質含量(equilibrium volatiles content)に達した後の完成ビーズの重量である。
【0020】
本明細書中で使用される「種子(seed)」(「有核種子」または「核」)は、層流せん断の開始に先立ち、新規な方法の乱流高せん断混合工程で得られる3mm未満の直径を有する小顆粒(small granules)を意味する。
【0021】
ビーズ
一実施形態では、ビーズは、少なくとも1つの構造化剤および少なくとも1つのパウダーを含む。別の実施形態では、ビーズは、少なくとも1つの構造化剤、少なくとも1つのパウダー、および少なくとも1つの液体結合剤を含む。開示の構造化剤は、ガム、粘土、合成構造化高分子、およびそれらの組み合わせを含む。構造化剤の非限定例としては、キサンタンガム、グアーガム、セルロースガム、sclerotumガム、加水分解ガム、カラギーナン、ナトリウムカラギーナン、アラビアゴムなどのガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、セルロースガム、ヒドロキシプロピルグアー、ヒドロキシプロピルキトサン、マルトデキストリン、ジェランガム、カルボキシメチルキトサンなどのセルロース、アルギン酸カルシウム、カルボキシル化ゴムなどのアルギン酸塩、ヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイトなどの粘土、ビーガム、イライト、亜塩素酸塩、カオリン、フラー土、珪藻土などのケイ酸アルミニウムマグネシウム、アクリル系共重合体、エチレンオキサイドブロック重合体、プロピレンオキサイドブロック重合体、ポリビニルピロリドン共重合体、ポリカルボキシレートなどを含む合成構造化高分子、およびこれらの互換性のある組み合わせを含む。開示されたビーズの構造化剤は、少なくとも1つの構造化剤を含んでもよい。構造化剤は、完成ビーズ組成物の重量の約0.1から約10%、より好ましくは約0.15%から約1%、最も好ましくは約0.25%から約0.5%からなる。様々な実施形態では、構造化剤は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.75%、および1%の量で存在する。一実施形態では、構造化剤は、少なくとも1つのガムと少なくとも1つの粘土との混合物からなる。構造化剤混合物のガムと粘土との重量比は、約10:1から約1:10、より好ましくは約5:1から約1:5、最も好ましくは約5:1から約1:2である。様々な実施形態では、パウダービーズのガムと粘土との比率は、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、または1:3である。より好ましいガムは、セルロース、キサンタンガム、グアーガム、およびそれらの混合物である。より好ましい粘土は、ヘクトライト、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびそれらの混合物である。
【0022】
開示のパウダーまたは粉末相は、1以上の充填剤、顔料、レーキ、真珠光沢剤(pearlescents)を含む粉末着色剤、粉末結合剤、粉末スキンモディファイア(powdered skin modifier)、粉末形状の活性成分、およびこれらの互換性のある組み合わせに限定されず、パウダーであってもよい。本明細書で使用されるパウダーは、200ミクロン未満の粒径を有するビーズ製品の成分をいう。全体としてパウダーは、約75重量%から約99.9重量%完成ビーズ組成物、より典型的には約85重量%から約97.5重量%、より好ましくは約85重量%から約95重量%から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、全体としてパウダーは、98重量%、96重量%、94重量%、92重量%、90重量%、88重量%、86重量%、および84重量%完成ビーズ組成物からなる。
【0023】
適当な充填剤は、タルク、雲母、セリサイト、トウモロコシデンプンなどを含むが、これらに限定されない。充填剤は、完成ビーズ組成物に、約0%から約90%、より好ましくは約40%から約80%、最も好ましくは約50%から約75%存在する。充填材に関する追加情報は、「添加物/含有物」の章に示されている。
【0024】
適当な顔料パウダーは、顔料、レーキ、および真珠光沢剤である。顔料は、酸化スズ、鉄塩、クロム塩、酸化チタン、ウルトラマリーン、二酸化チタン、フェロシアン、フェロシアン化第二鉄、黒、茶、赤、黄の酸化鉄顔料を含む。適当な真珠光沢剤は、真珠層、雲母ベースの真珠、合成フルオロ金雲母ベースの真珠などを含む。顔料パウダーはより好ましい。顔料およびレーキパウダーは、完成ビーズ組成物に、典型的には約0%から約90%、より好ましくは約10%から約50%、最も好ましくは約20%から約40%存在する。顔料パウダーに関する追加情報は、「添加物/含有物」の章に示されている。
【0025】
適当な粉末結合剤は、脂肪酸の金属塩、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウムなどのステアリン酸塩、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸アルミニウム、ミリスチン酸マグネシウムなどのミリスチン酸塩、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト(ozorkerite)、ポリエチレンワックスなどの60℃以上の融点を有する微粒子形状に製粉するのに適している高融点ワックス、ポリエチレン、メチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートなどのメタクリレート、カオリン、ラウロイルリシンなどのリシン誘導体、窒化ホウ素、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノールなどの脂肪アルコール、オキシ塩化ビスマス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。粉末結合剤は、完成ビーズ組成物に、典型的には約0%から約40%、より好ましくは約1%から約20%、最も好ましくは約5%から約10%存在する。結合剤に関する追加情報は、「添加物/含有物」の章に示されている。
【0026】
適当なスキンモディファイアは、オキシ塩化ビスマス、ナイロン粉末、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ、アルミナ、滅菌シルクパウダー、および窒化ホウ素などを含む。スキンモディファイアは、完成ビーズ組成物に、典型的には約0%から約90%、より好ましくは約1%から約20%、最も好ましくは約2%から約10%存在する。スキンモディファイアに関する追加情報は、「添加物/含有物」の章に示されている。
【0027】
適当な活性剤は、アラントイン、およびヒアルロン酸を含む。活性剤は、意図した機能を達成するために有効量存在する。活性剤は、完成ビーズ組成物に、典型的には約0%から約10%、より好ましくは約0.001%から約5%、最も好ましくは約0.1%から約1%存在する。活性剤に関する追加情報は、「添加物/含有物」の章に示されている。
【0028】
一実施形態では、パウダービーズは、少なくとも1つの構造化剤、少なくとも1つのパウダー、さらに、少なくとも1つの液体結合剤のような付加成分を含むが、これに限定されない。
【0029】
少なくとも1つの液体結合剤の目的は、後述するように、付着工程を促進することである。また、液体結合剤は、ビーズに構造を与え、出荷時および使用時に製品に損傷を与える崩壊およびもろさを低減し、そして、消費者の肌と同様に塗布器でのパウダーの付着を改善する。
【0030】
液体結合剤の非限定的な例は、プロピレングリコール、ブチレングリコール及びペンタレングリコールなどを含む低分子量グリコールと、グリセリンと、非限定的にポリエチレングリコール、ジペンタエリスリチルヘキサC5-C9酸エステルなどの液体形状である低分子量ポリオール誘導体とを含むポリオールを含むが、これに限定されない。特定の実施形態においては、もし液体結合剤が使用されるなら、粉末結合剤は必要でないかもしれない。しかし、もし粉末結合剤が使用されるなら、より好ましい実施形態では、液体結合剤も含まれる。液体結合剤は、完成ビーズ組成物に、典型的には約0%から約25%、より好ましくは約2%から約15%、最も好ましくは約5%から約10%存在する。結合剤に関する追加情報は、「添加物/含有物」の章に示されている。もし含まれるなら、揮発性でない液体結合剤は、最終ビーズ製品に実質的に残ることになる。典型的には、液体結合剤は、20℃で0.1 mm Hg未満の蒸気圧を有する。
【0031】
本発明の最終ビーズは、溶媒の大部分を除去するための乾燥工程に関わらず、残留溶媒、典型的には水を含む。ビーズに残留する溶媒の量は、最終ビーズ製品の約10重量%未満であり、典型的には約5重量%未満である。より揮発性の溶媒は、水が高くなるにつれてより少ない量存在し、大気中の湿度条件に依存する。
【0032】
ビーズの調製方法
開示の別の実施形態では、ビーズの調製を対象としている。均質なパウダービーズを作るための工程は、小さく、典型的には非球形の有核種子を形成するために、乱流高せん断混合下で少なくとも1つのパウダーが存在する溶媒中で少なくとも1つの構造化剤を溶解し、その後、あらかじめ決められた所望の大きさの実質的に球状のビーズを取得するために、層流低せん断混合下で、前記有核種子を増大させる工程からなる。必須ではないが、すべての溶媒を除去するために、また平衡溶媒濃度を定めるために、ビーズを乾燥させることが好ましい。
【0033】
一実施形態では、ビーズの構造化剤、パウダー、および追加成分、例えば、液体結合剤は、溶媒がその混合剤に噴霧される間、乱流高せん断の条件下で混合され、次に、ビーズが所望の直径に到達するまで層流低せん断混合され、そして、ビーズを乾燥させる。
【0034】
別の実施形態では、構造化剤、溶媒、およびパウダーは、乱流高せん断の条件下で混合され、次に、ビーズが所望の直径に到達するまで層流低せん断混合され、そして、ビーズを乾燥させる。より好ましくは、構造化剤、および溶媒は、構造化剤を溶解するために前もって混合され、次に、パウダーが混合される。
【0035】
より好ましい実施形態では、構造化剤および溶媒は、パウダーおよび追加成分、例えば、液体結合剤と一緒に、前もって混合され、乱流高せん断の条件下で混合され、前もって混合した一部の残りが同時に噴霧され、乱流高せん断の間、有核種子が直径3 mm未満に形成される。種子の形成に続いて、混合物は、層流低せん断の条件下で混合され、ビーズが所望の直径に形成される。その後、必要に応じてビーズを乾燥させる。
【0036】
溶媒は、揮発性溶剤、例えば、水を含む極性溶剤、イソプロピルアルコールまたはエタノールなどの低分子量アルコールであるが、これに限定されない。溶媒、構造化剤、および少なくとも1つのパウダーは、高せん断比率および先端速度を有する高乱流で混合される。方法の一実施形態では、溶媒相を粉末相に噴霧する。噴霧溶媒相(atomized solvent phase)は、少なくとも1つの溶媒および必要に応じて少なくとも1つの構造化剤からなる。一実施形態では、構造化剤は、溶媒で均一に溶解される量、および噴霧できる量で、噴霧溶媒相にしてもよい。溶媒は、均一かつ完全に構造化剤を溶解することができる揮発性溶媒として特に有用である。また、溶媒は、構造化剤を増大させるために十分に存在する。両成分は、溶媒相を霧化するのに十分な量で存在する。
【0037】
理論によって束縛されることを望まないが、均一な溶媒相は、特に造粒機に構造化剤を噴霧するとき、パウダーを飽和状態にし、そして、乱流高せん断中にパウダー上に構造化剤の均一な被覆を形成する。パウダーが飽和するため、液体架橋が形成されると考えられ、そして、造粒機の高円形せん断により、結果として有核種子が生成される。乱流は、有核種子を約1から3 mmの直径に制限し、より典型的には約2 mmに制限する。層流せん断が開始されると、有核種子の付着がビーズを形成するために発生する。溶媒相の量、層流せん断段階中のせん断比率、および混合時間は、大きさ、均一性、および増大し始める有核種子としてのビーズの形状を決定する。熟練した調合者や施術者は、ビーズおよびその応用結果が所望のまたは有利な特性になるように、入念にパラメータを選択する。
【0038】
典型的な実施形態では、本明細書に開示された方法により調整されるビーズは、約90重量%から約100重量%の範囲の溶媒、および0重量%から約10重量%の範囲の構造化剤である溶媒相Aを利用する。粉末相Bは、0重量%から約95重量%の範囲の充填剤、0重量%から約5重量%の範囲の防腐剤、0重量%から約80重量%の範囲の顔料パウダー、および0重量%から約25重量%の範囲の液体結合剤からなる。溶媒相Aと粉末相Bとの重量比は、典型的には、約1:1から約1:10、より好ましくは約1:2から約1:8、さらに好ましくは約1:3から約1:6である。
【0039】
好ましい実施形態では、構造化剤および溶媒からなる相Aは分割され、一部は混合チャンバー/造粒機に噴霧され、その他の一部は粉末相Bに組み合わされる。典型的には、全溶媒相の25から約75%、より典型的には約40から約60%が、粉末相Bに組み合わされる。それでもなお、変更された相Bは粉末形状で残る。溶媒相Aの残りは、乱流高せん断の条件下で混合チャンバー/造粒機に噴霧される。
【0040】
溶媒相A、および少なくとも1つのパウダーおよびより好ましくは溶媒相Aの一部からなる粉末相Bは、乱流と層流との両方を達成できる刃を回転する既知のミキサーを用いて生じる。好適には、垂直造粒機、例えば、Glatt GmbH(Model #: FM VG 65 M)製の市販のユニットが使用される。垂直造粒機は、有核種子を形成するために構造化剤および粉末成分によって、(溶媒相Aの一部を組み込むことにより修正できるような)粉末相Bおよび本質的な円軌道で高せん断/先端速度下で噴霧される溶媒相Aの一部を乱流混合するためのメインブレードおよびチョッパーブレードを備える。混合が低せん断/先端速度層流またはせん断まで低下すると、有核種子は時間をかけて球状ビーズまで増大する。造粒機に存在するビーズの直径は増加し、パラメータを変更することにより、ビーズの最終的な大きさは、所定の大きさにできる。
【0041】
一実施形態では、溶媒相は霧化され、乱流下で混合する間に粉末相に噴霧される。初め、大きさが変化するビーズの基礎として必要である有核種子を形成するために、乱流を維持するために約15 ft/sを超える高せん断率および先端速度で成分が混合される。より具体的には、溶媒相および粉末相は、約15 ft/sから約41 ft/sの先端速度、または約16 ft/sから約30 ft/sの先端速度となる約150 rpmから約450 rpmの速度で垂直造粒機により混合される。当業者は、約20分から約30分で約1 mmから約3 mmの範囲の直径を有する有核種子を形成するための時間が大気の状態に応じて変わることを理解している。例えば、特に湿気の多い日には、追加の混合時間および/または粉末相の追加が必要となり、一方、乾燥した日では、混合時間および/または粉末相の追加は必要ない。しかし、ビーズを組成する分野の当業者は、条件を変化する調整方法を理解している。
【0042】
一つの特定の実施形態では、直径約1 mmから約3 mmの有核種子を形成するための高乱流、高せん断、および高先端速度の条件下で、パウダー上に溶媒が可溶化された構造化剤からなる溶媒相を噴霧しながら粉末相を混合することが示されている。別の実施形態では、直径約1 mmから約3 mmの非球形有核種子を形成するための高乱流、高せん断、および高先端速度の条件下で、溶媒相の約半分が粉末相に混合され、溶媒相の残り半分が粉末相に噴霧される。乱流は、約15 ft/sを超える先端速度を有し、この時間の間、パウダーはランダム乱流により混合される。一般的に、高乱流では有核種子またはビーズは約1 mmから3 mmの直径を有し、2 mm未満に形成される。これらの有核種子は、最終的なビーズの基礎であり、乱流の性質のため、有核種子は、均一なサイズで大きくなることはできない。
【0043】
別の実施形態では、約2 mmから約30 mmの範囲の直径を有するビーズを得ることが示されている。高せん断、乱流の下で有核種子が形成された後、混合速度は、低せん断、有核種子の付着を可能にするために、約15 ft/s未満の先端速度を持つ層流に削減される。低せん断、層流、低先端速度下で、有核種子を均一に被覆することにより、および/または約2 mmから約30 mmの直径を有するビーズを最終的に形成するために複数の有核種子を結合することにより、有核種子はより大きなビーズになる。当技術分野で理解されるように、せん断率または先端速度が速くなるにつれて、ビーズサイズは小さくなる。パラメータを調整することによって、当業者は、所望の最終的なビーズの大きさを取得できる。さらに、ビーズ、すなわち、粉末顔料、漂白剤、老化防止剤などの成分は、最終組成物に影響する。
【0044】
所望のビーズサイズを達成した後、視覚的に審美的に好ましい丸い、均一で光沢のあるビーズを取得するために、粉末のきれいな均一な層でビーズを被覆してもよい。粉末被覆の追加の利点は、ビーズサイズの増大の停止を容易にすることである。
【0045】
一実施形態では、開示された方法の最終工程では、すなわち、ビーズの形成後、当該分野で公知の手段によってビーズを乾燥することが示されている。より具体的には、ビーズが所望の予め定められた大きさに到達した後、ビーズは最終処理のための垂直造粒機から取り除かれる。噴霧溶媒相の製剤時に揮発性溶媒が利用されるとき、ビーズは揮発性物質を除去するために乾燥される。乾燥は、多数の異なる商業的方法によって達成できる。そうすることで、実質的にすべての残りの溶媒が除去される。乾燥方法は、ベーキング、強制熱風、対流などが挙げられるがこれに限定されない。開示された乾燥技術を使用できるが、除去する揮発性物質の性質や量に応じて、約80℃で2から6時間の強制空気は特に有用である。
【0046】
少なくとも1つの液体結合剤が開示されたビーズに利用される別の実施形態では、乾燥工程で少なくとも1つの液体結合剤は除去されない。液体結合剤は、ビーズの完全性を維持するのに有用であり、そして、液体結合剤は非揮発性であるため最終ビーズ製品に許容される。一般的に、ビーズの組成物は、造粒機に構造化剤を含む粉末相に本質的に類似している、つまり、処理中に揮発性物質は蒸発しない。乾燥工程後の、またはビーズが空気中で平衡溶媒容量に達するときの最終ビーズは、約10重量%未満の揮発性物質、より好ましくは約5重量%未満の揮発性物質を含む。
【0047】
開示のさらなる実施形態では、粉末相上で溶媒に可溶化された少なくとも1つの構造化剤からなる溶媒相を噴霧する噴霧器が示されている。開示方法で使用される造粒機は、Spraying Systems Company(1/4 LNN SS#3)で製造されたスプレーノズルを備えている。約50 psiから約100 psiの圧力で空気により、ノズルを介して溶液になる溶媒相が一様に噴霧され、そしてパウダーを均一に湿らせる必要があり、その結果、パウダーが飽和状態となり、液体架橋が形成し始める。
【0048】
噴霧溶媒相が粉末相を飽和する比率は、約0.5 gm/sから約3.5 gm/sであり、使用されるパウダー、結合剤、液体の種類に依存する。粉末相が乱流下で飽和状態に達すると、小さい直径サイズ、典型的には約1から3 mmの有核種子が生成される。核生成後、最終製品のビーズサイズは、先端速度、混合時間、および/または追加溶媒量を調整することによって制御される。溶媒が多く存在し、より低い先端速度により生じるせん断率が低いほど、種子は互いに結合しようとし成長する。その結果、分裂させ、より小さいサイズにするために、先端速度が増大することによりせん断率を増大させた結果、ビーズが得られる。
【0049】
一実施形態では、約10分から約30分間、約10 ft/sから約15 ft/sの先端速度の層流下で混合することにより、有核種子を凝集することで形成されるビーズの直径は、約1 mmから約30 mm、約3 mmから約20 mm、また約5 mmから約10 mmの範囲になる。他の実施形態では、ビーズは、4 mm、5 mm、10 mm、15 mm、および20 mmの直径を有する。所望のサイズに形成された均一なビーズは、ルースパウダーの汎用性を有するが、コンパクト形状を取得するための圧力下で、強制され、押し出される高密度、質量、もろさを有する従来のビーズに限定されないが、ペーストを押し出すことにより形成される従来のビーズの欠点のない、コンパクトな形状の利便性を有する。
【0050】
一実施形態では、ビーズは、押し出しペースト工程により取得されたビーズより低い重量/直径比によって特徴づけられる。より具体的には、開示されたビーズは、約0.034 g/mm未満の重量/直径、および約0.031 g/mm未満の平均重量/直径を有する。ビーズは、当該技術分野を超える改良、すなわち、約10%、約25%、約50%、約100%、および約200%を超える改良によって証明されるよいペイオフを有するものとして特徴づけられる。実施例4および表4では、開示されたビーズが240%以上のペイオフを有することが示されている。
【0051】
ビーズパラメータ
乱流および有核種子の形成後、有核種子の付着により、所望の適用に応じて、最終ビーズの直径は約2 mmから約30 mmの範囲になる。有用なビーズの直径は、約4 mmから約8 mmの範囲である。しかし、より大きなビーズが望ましい場合もある。表1は、最終ビーズ直径を取得するために、層流低せん断/先端速度中の、すなわち、有核後のパラメータを示している。追加された「%溶媒」は、ビーズの成長が観察されない実施形態を示し、水のような追加溶媒を加えてもよい。
【0052】
先端速度をより速くすることによりビーズのサイズまたは直径がより小さくなり、一方、先端速度をより遅くすることによりビーズのサイズまたは直径がより大きくなることを当業者が理解できるようなパラメータである。混合時間は反比例する。具体的には、小さいビーズサイズが求められる場合、より短い混合時間が求められる。これに対し、大きなビーズサイズが求められる場合、より長い混合時間が求められる。さらに、より多くのパウダーがより多くの溶媒によって飽和状態となり、そして、遅い先端速度および長い混合時間で混合されるため、ビーズを調製する方法で使用される溶媒が多いほどビーズが大きくなり、また、粘着質になり、そして他のビーズに付着するようになるビーズをもたらす多くの均一な被覆を有することにより、ビーズが大きくなる。当業者は、適当な使用に応じて均一なビーズを調製するために必要なパラメータを理解している。
【表1】

【0053】
添加物/含有物
粉末相は、真珠光沢化合物、酸化鉄、酸化スズ、鉄塩、マンガン塩、クロム塩、酸化チタン、ウルトラマリーン、二酸化チタン、雲母上の二酸化チタン、フェロシアン化物、フェロシアン化第二鉄、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、カルミン、マンガンバイオレット、黒、茶、赤、黄の酸化鉄顔料、医薬品および化粧品級の有機色、青1レーキ、赤40レーキ、黄5レーキ、黄6レーキ、クロム、水酸化クロムグリーン、酸化クロムグリーン、合成フルオロ金雲母、またはそれらの組み合わせに限定されず、着色剤または顔料を含んでもよい。
【0054】
粉末相は、粉末結合剤を含むこともできる。粉末結合剤の非限定的な例としては、脂肪酸の金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、微粒子形状に製粉される高融点ワックス、融点60℃以上、詳細には75℃以上を有する微結晶およびポリエチレンワックス、ポリエチレン、メタクリレート、メチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、カオリン、ラウロイルリシン、ホウ素窒化物、脂肪族アルコール、アセチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、オキシ塩化ビスマス、およびそれらの組み合わせである。疎水性結合剤は限定されるが、粉末相は、約5重量%までの最終パウダービーズを、より好ましくは多くて約1重量%まで含むことができる。疎水性結合剤は、例えば、ワックス及び固体エステルを含む。
【0055】
ビーズに有用なパウダースキンモディファイアは、シリカ粉末、ナイロン粉末、極細ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート、ポリビニリデン共重合体、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、滅菌シルクパウダー、ポリエチレン、窒化ホウ素、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0056】
粉末相は、粉末活性剤の少なくとも1つの粉末を含むこともできる。粉末活性剤は、抗真菌剤、鎮痛剤、鎮痒剤、抗菌剤、乾癬治療薬、抗生物質、制汗剤、UV保護剤、酸化防止剤、乾燥植物抽出物のようなアンチエイジング成分、皮膚剥離剤(microdermabrasives)、アラントイン、ヒアルロン酸、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。また、シリコーンオイルは、最終製品の感触修飾子として、一般的には完成した粉体ビーズの約5重量%未満、特に、約1%未満の低レベルの粉末相に、組み込むことができる。また、低いレベルの粉末相、一般的には5重量%未満の、特別には1重量%未満の最終製品のためのフィールモディファイア(feel modifier)のような最終パウダービーズに、シリコーンオイルを取り込んでもよい。活性成分は、ビーズに意図される効果を提供する有効量存在し、典型的には約0.001重量%から約10重量%、より好ましくは約0.01重量%から約1重量%の範囲内で存在する。
【0057】
特定の実施形態では、防腐剤を、本開示のビーズまたはビーズ組成物に使用してもよい。防腐剤は、メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン、およびフェノキシエタノールを含むが、これに限定されない。
【0058】
より若々しい外観に対する、また老化を遅らせることを望むことに対する消費者の要求のために、酸化防止剤は多くの化粧品に使用される。本開示のビーズまたはビーズ組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような酸化防止剤を含むが、これに限定されない。
【0059】
また、皮膚軟化剤を、本開示のビーズまたはビーズ組成物に使用してもよい。ビーズまたはビーズ組成物は、パルミチン酸オクチルおよびクエン酸トリイソセチルに限定されないが、このような化粧品分野で既知の皮膚軟化剤を含んでもよい。開示のすべての有用成分について、選択物は、当該技術分野で既知の、および/またはInternational Cosmetic Dictionary and Handbook(Eds. Gottschalck, Tara E., and Gerald N. McEwen. Twelfth ed. Washington, D.C.: The Cosmetic, Toiletry, And Fragrance Association (The Personal Care Products Councilとして知られている), 2008)に記載される含有物を含んでもよく、これらの内容は本明細書中で参考として援用される。
【0060】
適用
一実施形態では、化粧用製品は、固形パウダー、ルースパウダー、および既知の押出ビーズの代替として使用される、適当な容器に提供される多数の均質のパウダービーズである。ビーズは、約3から30 mmの直径であってもよい。これらのビーズは、着色剤を有してもよく、また半透明であってもよい。各ビーズは、単一色または複数色であってもよい。これらのビーズを含む化粧用製品は、ビーズのために容器内にそれぞれ包装された複数色からなる多数のビーズを含んでもよい。例えば、一実施形態では、ビーズは、わずかに変化するブロンズ色を有してもよく、その場合、いくつかのビーズは他のビーズより暗くなってもよい。これらのビーズの集合物は、顔または体に局所的に適用するための化粧用ブロンズ組成物(cosmetic bronzing composition)を形成する。
【0061】
さらなる実施形態では、本開示は、担体内のビーズ、約5 mm未満の直径を有するビーズからなる組成物を示している。本明細書に担体として言及される担体、媒体、または希釈剤は、所望される適用に依存する。ビーズは、スキンケア組成物または着色化粧用組成物を形成するために担体として使用してもよく、ビーズは、抗シワ活性、アンチエイジング活性、または着色剤をそれぞれ提供する。
【0062】
さらに特定の実施形態では、パウダーが、有機または無機の着色剤のような着色剤であるビーズを示している。均質のパウダービーズは、肌に直接使用してもよく、また肌に使用するためのゲルまたはクリームに組み込んでもよい。より具体的には、均質なパウダービーズを構成するゲルまたはクリームが担体である。例えば、ゲルまたはクリームは、局所的に適用するための化粧用組成物を形成する均質なビーズからなる透明または半透明の組成物であってもよい。当該技術分野で理解されるように、着色ビーズの適用種類が、目、顔および唇の領域に適用されるカラー化粧品を生み出す。
【0063】
開示のさらなる実施形態では、リリースのための所望の時間まで保護される活性成分を含む均質なビーズを示している。一実施形態では、毒素、フリーラジカルおよびイオンを除去するのに有用なゼオライトを含むビーズを、消費者の例えば顔に使用してもよい。ゼオライトはビーズに封入されてもよく、ビーズが消費者により押しつぶされまたは破裂されると、ゼオライトは解放される。
【0064】
また別の例では、ビーズを、所望のまたは有用なパウダーに適用することにより使用してもよい。ビーズの様々な適用の非限定的な例としては、フェイシャルやボディパウダー、ブラッシュ、アイシャドウ、アイライナーなどが挙げられる。
【0065】
開示のビーズおよび担体を含む化粧用組成物では、担体は、ゲル、クリーム、またはローションなどの形状の組成物であってもよい。また、開示のビーズを組み合わせて使用した担体の非限定的な例としては、肌に使用される既知のもの、水(例えば、脱イオン水)、植物油、鉱物油、パルミチン酸オクタル、ミリスチン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルなどのエステル、ジカプリルエーテルおよびジメチルイソソルビドなどのエーテル、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコールおよびビフェニルアルコールなどの脂肪アルコール、イソオクタン、イソドデカンおよびヘキサデカンなどのイソパラフィン、シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコンクロスポリマー、ポリシロキサンおよびその誘導体、好ましくは有機変性誘導体などのシリコーンオイル、鉱油、ワセリン、イソエイコサンおよびポリイソブテンなどの炭化水素油、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのポリオール、ミツロウと植物性ワックスなどの約60℃未満の低融点ワックス、または前述の組み合わせまたは混合物を含むものである。
【0066】
より具体的には、担体、媒体、または希釈剤は、水相、油相、アルコール、シリコーン相またはそれらの混合物を含んでもよい。化粧品に許容される媒体は、乳液(emulsion)を含んでもよい。適当な乳液の非限定的な例としては、クリーム、ゲルまたはマイクロエマルションの形状を有する油中水型乳液、水中油型乳液、シリコーン中水型乳液、水中シリコーン乳液、水中ワックス型乳液、水/油/水トリプル乳液などが挙げられる。乳液は、ノニオン性、アニオン性または両性界面活性剤などの乳化剤を含んでもよい。追加の担体は、INCI Ingredient Dictionary and Handbook 11th Edition 2006に示されており、これらの内容は本明細書中で参考として援用される。
個々の刊行物、特許、特許出願が、具体的かつ個別に全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれることが示された様に、本明細書で参照した特許出願明細書、刊行物を含む全ての参照は、全ての目的のために同程度にその全体が参照により、本明細書に組み込まれている。本発明の種々の改変及びバリエーションは、当業者には明らかであるとして、その技術思想および範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載した具体的な実施形態は、例示として提供され、本発明は、記載されたクレームと同等の範囲に沿って、特許請求の範囲の文言によって限定される。本明細書で使用される、用語「本質的に〜からなる(consisting essential of)」は、本明細書から理解されるように、指定された材料または手順、およびクレーム化された発明の基本的および新規な特徴に影響を与えないものに、本発明を限定することを目的としている。
【0067】
次の実施例では、本開示の実施形態を説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。次の実施例では、特に断らない限り、例えば相Aのような各相の割合(percentages)は、相成分の重量である。
【実施例】
【0068】
実施例1
着色ビーズ組成物
表2は、着色ビーズ組成物の一例を示している。簡潔には、ビーズは、ハンマーミルでの処理に続いて、粉末相を形成するために相Bの成分を混合することにより調製された。相Aまたは溶媒相は、構造化剤が可溶化するように、約30分間高せん断下で混合しながら、溶媒中で構造化剤を混合することにより調製された。相Aに追加される構造化剤の量は、下記で特定される垂直造粒機のノズルから噴霧するための相Bの粘度を高くしすぎるために、約64,000 cP以上に増加すべきではない相Aの粘度によって決定される。ビーズ組成物の最終製品を構築するために必要となる構造化成分の残りを、相B粉末相に追加してもよい。
【0069】
相B粉末相が、メインブレードおよびチョッパーブレードが高速で動作する垂直造粒機(# FM VG 65 M; Glatt GmbH)に追加された。溶媒相Aは、高速混合下で約2 g/sで粉末相Bに追加された。表1は、溶媒相と粉末相との製剤例を示している。
【表2】

【0070】
実施例2
一般的なパウダービーズの調製方法
垂直造粒機(GlattまたはFluid Air)には、スプレーノズル(1/4 LNN SS#3)があらかじめ装備される。粉末相Bが造粒機に加えられ、メインブレードが250 rpmの速度、チョッパーブレードが2500 rpmの速度で約1分間混合された。溶媒相Aの約50%がスプレーケトル(spray kettle)に追加され、60 psiに加圧され、粉末相Bに噴霧された。すべての液体がスプレーラインおよびノズルから押し出されるまで約10分、溶媒相Aが追加された。噴霧後、タンクが開かれ、溶媒相Aが均一に分散されるように、壁およびブレードが削り取られた。
【0071】
すべての含有物が、速度250 rpmのメインブレード、速度2500 rpmのチョッパーブレードにより混合された。残りの溶媒相、すなわち、〜50%が追加され、約10分間、約60 psiの圧力で噴霧された。再度、すべての液体がスプレーラインおよびノズルから押し出された後、タンクが開かれ、造粒機の内部表面に何も残っていないことを確認するために、壁およびブレードが削り取られた。この時点で、ビーズがないかまたは1から3 mmより小さいビーズがあり、代わりに原料が内部表面にある場合、速度250 rpmのメインブレード、速度2500 rpmのチョッパーブレードにより混合する間、水が追加された(追加された各増加分に対して1重量%未満の一群(batch))。各増加分の追加は、混合の2分以上間隔があけられる。一群が適当な外観や質感を持っていたら、ビーズが所望のサイズ、すなわち、〜3 mmから30 mmに到達するまで、速度150 rpmのメインブレード、速度1500 rpmのチョッパーブレードでさらに3分間、一群が混合された。
【0072】
しかし、成長が観察されなかった場合、すなわち、有核種子の凝集がなかった場合、水が追加され(追加された各増加分に対して1重量%未満の一群)、ビーズが所望のサイズに到達するまで速度150 rpmのメインブレード、速度1500 rpmのチョッパーブレードで混合された。水の添加時には、各増加分に対しての3分間混合された。最終的な所望のサイズに到達すると、チョッパーブレードが取り除かれ、ビーズが丸く、均一になるように、速度150 rpmのメインブレード、速度500 rpmの(ブレードのない)チョッパーバー(chopper bar)で2分間、ビーズが混合された。約90%のビーズが所望のサイズに到達したとき、ビーズを丸く、均一にするために、速度100 rpmのメインブレードで追加の2分間、ビーズが混合された。最後に、1一群重量(batch weight)%パウダーが追加され、なめらかで、丸く、そして、光沢のある表面にするために、速度125 rpmのメインブレードで1分間、混合された。これらのビーズがトレーに出され、ビーズから水を取り除くために80℃で4時間、強制空気加熱炉(forced air heat oven)に置かれる。
【0073】
実施例3
押出ビーズとの特性の差
実施例2の方法によって調製される開示のビーズは、押し出によって生成された従来のビーズとは異なる。一般的に、開示のビーズは、低密度、軽量であり、押出ビーズより良いペイオフを有する。
【0074】
表3は、6例の押出ビーズ(Ex Beads)および6例の開示のビーズ(D Beads)の重量および直径を示している。押出ビーズの平均では、直径は6.19 mm、重量は0.27 g、重量直径比は0.0349 g/mmであった。一方、開示のビーズの平均では、直径は6.21 mm、重量は0.20 g、重量直径比は0.0313 g/mmであった。
【0075】
ビーズ直径はほぼ同じであるが、押出ビーズは、開示のビーズより重量/直径比が11.5%大きいことが算出された。また、押出ビーズの密度は、開示のビーズより11.3%高い。開示のビーズは、従来技術の押出ビーズより緩めて押し固められているため、サイズはほぼ同じだが、当該技術の押出ビーズより軽量であり、最終ビーズ製品は、当該技術の普通のビーズより10%以上軽量となり、その結果、開示のビーズはコストが安くなる。
【表3】

【0076】
実施例4
ビーズのペイオフの比較
従来技術の押出ビーズと比べた開示のビーズのペイオフの利得を測定するために、個々のビーズは、肌に塗ることにより、または50ストローク前後に動かすことにより、約8 cm2の表面積を有する肌の滑らかな部分に適用される。適用前後のビーズの重量は、ペイオフの量を計算することにより測定された。50ストロークの前後の重量を測定した後、従来技術の6つの押出ビーズ(Ex Bead)、および6つの開示のビーズ(D Bead)の質量の減少が、表4に示すように計算された。開示のビーズの平均減少/押出ビーズの平均減少の比率は、2.42と計算された。開示のビーズは、押出ビーズのペイオフより242%多いペイオフの大幅な増加を有していた。
【表4】

【0077】
実施例5
本発明のパウダービーズの製剤を以下に示す。表5.1に記載される相Aの粒子成分は、ハンマーミルでの処理に続いて、粉末相を形成するために共に混合される。表5.2に記載される相Bの溶媒相成分は、約30分間高せん断下で混合された水溶媒中でガム構造化剤を可溶化混合することによって調製される。発明の詳細な説明に示すように、下記で特定される垂直造粒機のノズルから噴霧されるために、相Bの粘度が十分に低く維持されるべきなので、表5.2に示される構造化剤のすべてが相Bの調製に使用されるわけではない。ビーズ組成物の最終製品の構築に必要な残りの構造化成分は、相A粉末相に追加される。
表5(表5.1〜表5.2)
【表5.1】

【表5.2】

【0078】
メインブレードおよびチョッパーブレードが高速で動作する垂直造粒機(# FM VG 65 M; Glatt GmbH)に、相A粉末相が加えられる。本明細書に記載されるような種子を作成するために約2 g/sの高速混合下で、溶媒相Bが粉末相Aに噴霧される。ビーズが所望のサイズになるまで、垂直造粒機での処理が続行する。
【0079】
実施例6
本発明のパウダービーズの製剤を以下に示す。表6.1に記載される相Aの粒子成分は、粉末相を形成するために共に混合され、続いてハンマーミルで処理された。水は、表6.2に記載される相B溶媒相成分である。この実施例にある構造化成分は、ビーズ組成物の最終製品の構築に必要な粉末相Aに加えられる。
表6(表6.1〜表6.2)
【表6.1】

【表6.2】

【0080】
メインブレードおよびチョッパーブレードが高速で動作する垂直造粒機(# FM VG 65 M; Glatt GmbH)に、相A粉末相が加えられる。本明細書に記載されるような種子を作成するために約2 g/sの高速混合下で、溶媒相Bが粉末相Aに加えられる。ビーズが所望のサイズになるまで、垂直造粒機での処理が続行する。
【0081】
実施例7
本発明のパウダービーズの製剤を以下に示す。表7.1に記載される相Aの粒子成分は、粉末相を形成するために共に混合され、続いてハンマーミルで処理された。相B乳液相はエマルジョン形状であり、表7.2に記載される成分は、175℃の高せん断下で水相、分散相、および防腐剤を混合することにより用意される。スキンモディファイアおよびモノステアリン酸グリセリンが共に混合され、175℃で最初の混合物に加えられる。そして、最終混合物は、室温まで冷却される。発明の詳細な説明に示すように、下記で特定される垂直造粒機のノズルから噴霧されるために、相Bの粘度が十分に低く維持されるべきなので、表7.2に示される構造化剤のすべてが相Bの調製に使用されるわけではない。ビーズ組成物の最終製品の構築に必要な残りの構造化成分は、相A粉末相に追加される。
表7(表7.1〜表7.2)
【表7.1】

【表7.2】

【0082】
メインブレードおよびチョッパーブレードが高速で動作する垂直造粒機(# FM VG 65 M; Glatt GmbH)に、相A粉末相が加えられる。本明細書に記載されるような種子を作成するために約2 g/sの高速混合下で、乳液相Bが粉末相Aに加えられる。ビーズが所望のサイズになるまで、垂直造粒機での処理が続行する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの構造化剤、および、少なくとも一つのパウダーを含む、ビーズ。
【請求項2】
前記構造化剤は、ガム、粘土、または合成構造化高分子である、請求項1に記載のビーズ。
【請求項3】
前記ガムは、アルギン酸塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、またはそれらの組み合わせである、請求項2に記載のビーズ。
【請求項4】
前記粘土は、ヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン、フラー土、珪藻土、またはそれらの組み合わせである、請求項2に記載のビーズ。
【請求項5】
前記合成構造化高分子は、ポリビニルピロリドン、エチレンオキサイドブロック共重合体、プロピレンオキサイドブロック共重合体、またはポリカルボン酸塩である、請求項2に記載のビーズ。
【請求項6】
前記パウダーは、充填剤、顔料、粉末結合剤、スキンモディファイア(skin modifier)、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載のビーズ。
【請求項7】
前記充填剤は、タルク、雲母、セリサイト、トウモロコシデンプン、およびそれらの組み合わせである、請求項6に記載のビーズ。
【請求項8】
前記顔料は、無機顔料である、請求項6に記載のビーズ。
【請求項9】
前記無機顔料は、酸化鉄、鉄塩、マンガン塩、クロム塩、酸化チタン、またはそれらの組み合わせである、請求項8に記載のビーズ。
【請求項10】
前記粉末結合剤は、脂肪酸の金属塩、ワックス、ポリエチレン、メタクリレート、ラウロイルリシン、窒化ホウ素、脂肪アルコール、オキシ塩化ビスマス、およびそれらの組み合せからなる群から選択される、請求項6に記載のビーズ。
【請求項11】
前記粉末結合剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸アルミニウム、ミリスチン酸マグネシウム、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、メチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のビーズ。
【請求項12】
前記スキンモディファイアは、シリカ粉末、ナイロン、またはそれらの組み合せである、請求項6に記載のビーズ。
【請求項13】
前記ビーズは、約3 mmから約30 mmの範囲の直径を有する、請求項1に記載のビーズ。
【請求項14】
前記ビーズは、約0.034 g/mm未満の直径重量比を有する、請求項1に記載のビーズ。
【請求項15】
前記ビーズは、約1%から約300%の範囲の改良ペイオフ(improved payoff)を有する、請求項1に記載のビーズ。
【請求項16】
少なくとも一つの液体結合剤をさらに含む、請求項1に記載のビーズ。
【請求項17】
前記液体結合剤は、ポリオール、またはポリオール誘導体である、請求項16に記載のビーズ。
【請求項18】
前記液体結合剤は、グリセリン、ブチレングリコール、ジペンタエリスリチルヘキサC5-C9酸エステルからなる群から選択される、請求項17に記載のビーズ。
【請求項19】
前記液体結合剤は、ジペンタエリスリチルヘキサC5-C9酸エステルからなる、請求項17に記載のビーズ。
【請求項20】
前記ビーズは、約0.034 g/mm未満の直径重量比を有する、請求項18に記載のビーズ。
【請求項21】
前記ビーズは、約1%から約300%の範囲の改良ペイオフを有する、請求項18に記載のビーズ。
【請求項22】
前記ビーズは、約1%から約300%の範囲の改良ペイオフを有する、請求項19に記載のビーズ。
【請求項23】
直径約3 mm以下の小さな非球形の有核種子を形成するために、乱流高せん断混合(turbulent high shear mixing)下で少なくとも一つのパウダーが存在する溶媒中で少なくとも一つの構造化剤を溶解し、
その後、あらかじめ決められた所望の大きさの実質的に球状のビーズを取得するために、層流低せん断混合(laminar low shear mixing)下で、前記有核種子を増大させる、
パウダービーズを調製する方法。
【請求項24】
前記ビーズをさらに乾燥する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記混合は、垂直造粒機で生じる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記乱流高せん断混合は、約15 ft/sを超える先端速度で生じる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記ビーズは、約3 mmから約30 mmの直径を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記パウダーは、少なくとも一つの液体結合剤を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記液体結合剤は、グリセリン、ブチレングリコール、ジペンタエリスリチルヘキサC5-C9酸エステルからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記液体結合剤は、ジペンタエリスリチルヘキサC5-C9酸エステルからなる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ビーズは、約1%から約300%の範囲の改良ペイオフを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
層流下での前記混合は、約15 ft/s未満の先端速度で生じる、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一つの溶媒で少なくとも一つの構造化剤を溶解し、溶媒相を形成し、
約15 ft/sを超える乱流先端速度で少なくとも一つのパウダーを混合し、
前記パウダーに前記溶媒相の少なくとも一部を噴霧し、
直径約3 mm以下の有核種子を形成するために、乱流下で前記溶媒相と前記パウダーとを混合し、
所望の大きさのビーズを形成するために、約15 ft/sに満たない層流先端速度で前記有核種子を混合し、そして、
所望の大きさの前記ビーズを乾燥する、
パウダービーズを調製する方法。
【請求項34】
前記パウダーに噴霧されていない前記溶媒相の一部は、前記パウダーに直接結合している、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記混合は、垂直造粒機で生じる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記有核種子は、非球形であり、約1 mmから約3 mmの直径を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
所望の大きさの前記種子は、約3 mmから約30 mmの直径を有する、請求項33に記載の方法。

【公表番号】特表2013−516412(P2013−516412A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547143(P2012−547143)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/061545
【国際公開番号】WO2011/082032
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】