説明

化粧用及び医薬用活性化合物としてのアントラニル酸アミド類及びそれらの誘導体

【課題】サブスタンスPによって誘導されるマスト細胞からのヒスタミン放出を阻害する化合物の提供。
【解決手段】式1の特定の化合物(及び対応する混合物)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記式1の化合物又は異なる2以上の下記式1の化合物の混合物の、特定の使用に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
本発明は、また、これまで知られていなかった式1の選択化合物にも関する。
本発明の第一の側面は、サブスタンスPによって誘導されるマスト細胞からのヒスタミン放出を阻害するための化粧剤として、又はサブスタンスPによって誘導されるマスト細胞からのヒスタミン放出を阻害するための薬剤を調製するための、式1の化合物又は2以上の異なる式1の化合物の混合物の使用に関する。
これに関連して、式1の化合物及び混合物中の式1の各化合物に以下のことを適用する。
m = 0、1、2又は3であり、
p = 0、1又は2であり、
n = 0、1又は2であり、
但し、n = 1又は2の場合、p + mの合計が0より大きく、
n = 1又は2の場合、そのいずれの場合にもR1及びR2は対であって、Hを表すか又は一緒になって更なる化学結合 (例えば、ケイ皮酸誘導体におけるような) を表し;
m = 1、2又は 3の場合、Xは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
p = 1又は2の場合、Yは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
但し、p + m が0より大きい場合、X又はYは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれ;
R3 = H又はアルキル、特に、-CH3及びC原子2〜30個を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキル鎖である。これに関し、医薬として許容され得るセットについては、R3 = Hも同様である。
これに関連して、式1の化合物は、異性体又は異性体混合物の形態であってもよく、例えばn = 1でありR1、R2 が更なる化学結合を表す場合は、シス-又はトランス異性体の形態であってもよい。
X又はY = O-アシルである場合には、アシル= CO-Rであって、R が-CH3であるか又はC原子2〜30個を有する直鎖又は分枝鎖アルキルであるのが好ましい。
【背景技術】
【0004】
マスト細胞は、対応する刺激の後、痒み(そう痒症)、痛み又は発赤反応などの症状の原因の大部分であるヒスタミンのような伝達物質を放出することから、アレルギー過程及び炎症過程において本質的な役割を果たしている。数多くの研究から、皮膚において神経終末によって放出される神経ペプチドであるサブスタンスPは、マスト細胞の脱顆粒を引き起こすことが示されている。従って、サブスタンスPは、末梢神経系と炎症過程、痒みや痛みのような症状との間の最も重要な接続リンクの1つとみなされ得る。
【0005】
医薬品産業及び化粧品産業においては、ヒスタミン放出阻害剤に対する継続的なニーズが存在している。高濃度のヒスタミンの非制御的放出は、痒み、痛み又は発赤反応のような症状を伴う。ヒスタミン放出と激しい痒みと間の明らかな相関性は、じんま疹(urticaria, nettle rash)の場合に特に確証されている。じんま疹という名前は、歴史的には症状に由来しており、皮膚とイラクサ(ラテン名:ウルチカ・ジオイカ L.(Urtica dioica L.)との接触の後に観察され得る(痒み、熱傷、みみずばれの発生)。この場合は、特に、イラクサにすでに含有されているヒスタミンが影響を及ぼしており、このヒスタミンは特定の分泌器官に貯蔵されており、皮膚との接触の後に、注射針の形態のいわゆる刺毛を介して皮膚へ注入される。その結果が、発赤、痒み及びみみずばれの発生である。
【0006】
様々な種類のじんま疹にはある特徴が共通しており、それは即ち、特定の種類の細胞、いわゆるマスト細胞の活性化である。マスト細胞は、人体の“消防隊”又は“国境警備隊”であるとも言うことができる。マスト細胞は、我々が我々の周囲環境と直接接触する場所、即ち皮膚において、また胃腸管や気道の粘膜においても特に頻繁に見出すことができる。種々の伝達物質(IgEのような免疫グロブリン又はサブスタンスPのような神経ペプチド)によるマスト細胞の活性化は、重篤な炎症反応、痒み、アナフィラキシーショックに至る重篤なアレルギー反応を伴う場合がある。このために、マスト細胞はヒスタミンを含む様々な産物を産生する。これらの産物は、細胞によって貯蔵管、いわゆる顆粒中に貯蔵されており、活性化の際に皮膚中へ多量に放出される。これによって、関係する皮膚箇所で血管が“漏れやすく”なり、また血液成分(主に体液)が組織中に浸透する−逆に、ここではヒスタミンが特に重要な役割を果たしている。その結果、みみずばれが生じる。更に、血管が広がること(血管拡張)が起こる。その結果として、関係する皮膚領域を通る血液の灌流が拡大し、発赤に至る。痒みの提示は、次のように説明される。一方では、マスト細胞からのヒスタミンの放出が直接痒みをもたらす。他方では、ヒスタミンと他のマスト細胞産物とが、皮膚の神経線維を刺激する。この刺激は、次に、神経繊維が、痒みを引き起こす物質(いわゆる神経ペプチド)を放出する結果となる。これらの神経ペプチド類(例えばサブスタンスP)は、逆に良好なマスト細胞活性物質であり、よって、マスト細胞による神経の刺激が神経によるマスト細胞の刺激を生じる結果となる。皮膚や粘膜においては、マスト細胞は、好ましくは、血管や神経のすぐ近くに局在している。従って、“隣の”マスト細胞と血管細胞と神経線維との間の伝達が非常に良く機能することは、驚くべきことではない。
【0007】
痒みは、ある程度はマスト細胞からの高濃度のヒスタミンの放出によるものとされており、種々の疾患において起こり得る。前記疾患としては、本質的には、アレルギー性皮膚反応(食品アレルギー、化学薬品)、じんま疹(掻痒症)、植物との接触(例えば、イラクサ)、虫刺され、乾癬、感染及び軽い熱傷、外傷治癒、物理的刺激(例えば、熱又は機械的摩擦)並びにニッケルアレルギーが挙げられる。
【発明の概要】
【0008】
驚くべきことに、本出願人が行った広範囲の研究において、上述する式1の化合物及び異なる2種以上の式1の化合物の混合物は、サブスタンスPによって誘導されるマスト細胞からのヒスタミン放出を阻害するのに目立って適していることが見出された。選択した研究結果は、以下に実施例及び表の形でさらにまとめられている。
本発明に従って使用し得る式1の化合物の中でも、ある種のサブグループ及び個別の物質は、サブスタンスPによって誘導されるマスト細胞からのヒスタミン放出を阻害するのに特に適している。これらの好ましいサブグループ及び個別の物質は、従属クレーム、以下の実施例及び付属の表から見ることができる。
本発明の第二の側面によると、驚くべきことに、式1のある種の化合物又は2以上の異なる式1の化合物の混合物は、サブスタンスPによって誘導されるマスト細胞からのヒスタミン放出の阻害だけでなく、より一般的には、痒み(じんま疹)、皮膚発赤、みみずばれの発生及び/又はアレルギー性皮膚反応の治療又は予防に、また、それに対応する薬剤の調製にも使用できることが見出された。
一般的に、サブスタンスPにより誘導されるマスト細胞からのヒスタミン放出の阻害に適するのが本発明によって示された上記式1の化合物は、痒み、皮膚発赤、みみずばれの発生又はアレルギー性皮膚反応の治療又は予防のより一般的な目的のために使用できると信じられる。
しかしながら、この点までは同様に、ある種の式1の化合物が好ましいことを、従属クレーム、実施例及び付属の表から見出すことができる。
【0009】
これに関連して、痒みは、上記に示すメカニズムに関係するだけではなく、乾燥肌、皮膚の老化、機械的若しくは化学的なストレスを受けた皮膚、又は日光によるストレスを受けた皮膚とも関係していることが指摘されている。更に、不安又はストレスのような心理要因によっても、痒みが引き起こされ得る。皮膚に激しいストレスを負わせる石鹸、清浄剤及び溶媒は、ヒドロ脂質膜(hydrolipid film)の荒れをもたらし、結果として痒み反応を引き起こす。痒みは、損傷又は熱傷の治癒過程の間にも引き起こされる場合があり(例えば、ひげ剃り後又は日焼け後に)、この場合も同様に、痒みを予防又は軽減する化粧用製剤を施すことが皮膚の最適な生理的状態を保存するのに寄与し得る。更に、加齢した皮膚に使用される化粧品の幅広い分野も存在している。痒み反応及び発赤反応の基本的な生化学過程は詳細には解明されていないが、この場合も同様にヒスタミンが本質的な役割を果たしている知見が存在する。
従って、製薬業や化粧品産業においては、マスト細胞からのヒスタミン放出を阻害する及び/又は痒み、皮膚発赤、みみずばれの発生若しくはアレルギー性皮膚反応の治療若しくは予防のために使用し得る活性化合物を発見することに相当な関心があることは、容易に理解される。
本発明の式1の化合物又は2以上の異なる式1の化合物の混合物は、植物抽出物の成分の形態であってもよく、前記植物抽出物は、必要に応じて後処理が行われていてもよい。特に、植物抽出物(又は必要に応じ、後処理を行ったもの)は、アベナ(Avena)属、ダイアンサス(Dianthus)属、シレネ(Silene)属又はメランドリウム(Melandrium)属由来の植物からの抽出物であってもよく、特にオート麦抽出物又はカーネーション抽出物であってもよい。
植物抽出物が後処理されている場合には、後処理されていない抽出物と比べて、1以上の式1の化合物の比率が、他の抽出成分の比率に対して高められることを確実にするのが好ましい。
【0010】
これは全ての場合に必要でないが、それでも場合によっては、単離及び精製した式1の化合物又は単離及び精製した異なる2以上の式1の化合物の混合物を上述の意図する用途に用いることが有利である。式1の化合物又は対応する混合物の植物抽出物からの単離及び精製は、式1の化合物の比率が他の抽出化合物の比率に対して高められる後処理であるとみなされるべきである。
最後に、更なる側面によると、本発明は、意図した目的に用いることができ且つこれまでには知られていなかった、式1の選択化合物にも関する。本発明のこれら新規な化合物は、付属の表に見ることができる。
【0011】
本技術分野の到達水準(the state of the art)に関して、次のことが指摘される。
特に、次の治療手段は、弱くはっきりした(weakly pronounced)痒みを軽減することがすでに知られている:ダイズ油(Balneum hermal)、流動パラフィン(oleatum fat)又はγ-リノレン酸(linola fatオイルバス)を含有する薬用オイルバス;ボディクリーム類(ローション剤の形態のW/Oエマルジョン)、例えば、ベパンテノールロッシュローション(Bepanthenol Roche Lotion)F又はオイセリン水(Eucerin cum aqua);アーモンド油又はホホバ油を含有するボディオイル類;及び保湿因子(例えば尿素又はサリチル酸)を含有する製剤類。強くはっきりした(strong pronounced)発疹/みみずばれの場合は、例えば、ステロイド含有外用剤が適用される。
ヒスタミンのマスト細胞からの伝達物質誘導性放出の標的阻害に基づく痒み軽減活性を有する活性化合物には、例えば、クロモグリク酸二ナトリウム、ベラパミル、ケトチフェン又はトラニラストが含まれる。トラニラスト(Tranilast)の商品名で知られる物質は、N-(3,4-ジメトキシシンナモイルアントラニル酸であり、これは中国の薬用植物ナンディナ
・ドメスティカ(Nandina domestica)に存在する天然のアントラニル酸アミドであるが、しかし式1には該当しない。
【0012】
アレルギー反応、例えば、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、じんま疹又はアトピー性皮膚炎の場合におけるトラニラストの使用可能性は、種々の特許や文献において報告されている(DE 2402398号;EP 0074725号;米国特許第4070484号; H.Shioda et al., Allergy 34, 213-119 (1979); M.Kojima et al., Oyo Yakuri 28(4), 623-628 (1984), Azuma et al., Br. J. Pharmacol. Vol.58, p.483-488, (1976); Koda et al., Int. Archs. Allergy appl. Immun. Vol.77, p. 244-245, (1985); Komatsu et al., Japan J. of Pharmacol. Vol.46, 43-51,(1988); Hachisuka et al, Arch. Dermatol. Res. Vol. 280, p.158-162, (1988)。
Komatsuらの報告として、トラニラストは、10-3〜10-5 Mの濃度範囲で、マスト細胞からのヒスタミンの抗原(DNP回虫; 2,4-ジニトロフェニル特異性を有するモノクローナルIgE抗体)誘導性放出を阻害する。約10-4 Mの濃度でヒスタミン放出の50%阻害を達成することが可能であった。その一方、この文献には、他のアントラニル酸アミド類のマスト細胞からのヒスタミン放出の阻害に対する影響は記載されていなかった。
Hachisukaらは、マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出の阻害に対する種々の活性化合物の影響を研究した。その研究では、クロモグリク酸二ナトリウム、ケトチフェン及びトラニラストの活性が比較された。約10-3 Mの比較的高濃度でのみ、サブスタンスP誘導性ヒスタミン放出の50%阻害を達成することが可能であった。327の分子量を有するトラニラストの場合、10-3 Mは327μg/ml又は327 ppmの濃度に対応する。既知の抗アレルギー剤であるDSCG(クロモリン酸二ナトリウム)についての値は、比較可能な濃度範囲(10-3 Mで41%阻害)であった。この研究の枠組み内では、他のアントラニル酸アミド類については、さらに詳しく調べられていない。
【0013】
Kojima Masamiらは、他のアントラニル酸アミド類、例えば、4-位置で脱メチル化されたトラニラスト(N-(3-メトキシ-4-ヒドロキシシンナモイル)アントラニル酸)の抗アレルギー作用を記載しているが、しかしこれはトラニラストに等しい程度の抑制効果を有すると言われている。
米国第4,070,484号明細書には、用量200 mg/kgの一置換N-(4-ヒドロキシシンナモイル)アントラニル酸の経口的使用でラットマスト細胞の抗原誘導性破壊の36.7%阻害が達成されることが記載されており、それと対照的に、対応するジメチル化されたトラニラスト(N-(3,4-ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸)は同一の試験条件下で明らかに高い阻害率、即ち、46.1%を示すことが記載されている。マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出の阻害に関する比較値は、この引例には具体的に示されていない。
アントラニル酸アミド類は、ある種の植物、例えば、オート麦(アベナ・サティバ(Avena sativa)又はカーネーション(ダイアンサス種(Dianthus sp.))の成分として記載されている。
オート麦のアベナントラミド類(avenanthramide)は、未置換又は置換アントラニル酸の部分構造と未置換又は置換ケイ皮酸の部分構造からなる酸アミド類であり、一方、カーネーション種の酸アミド類は、本質的にアントラニル酸の部分構造と安息香酸の部分構造から構成されている。植物生理学的研究から、オート麦のいわゆるアベナントラミド類もカーネーションのいわゆるジアントラミド類も両方共にフィトアレキシンとして作用し、また防御機構の一部として微生物侵入後に植物によって形成されることが示された。
【0014】
痒みを軽減するオート麦抽出物の使用は、民間療法では昔から知られており、次の資料にも述べられている:Hagers Handbuch der Pharmazeutischen Praxis, Vol. 4, published by R. Hansel, K. Keller, H. Rimpler, G. Schneider, Springer Verlag, Berlin, 1992, p. 437-446; US Federal Register October 3/1989; 54, 190 proposed rules, pp 40808-40811; Bundesanzeiger No. 193, 15.10.1987。アントラニル酸アミド類含量を高めた特定の酵母抽出物画分を、痒みや皮膚発赤を軽減するために使用することが、最近文献に記載された(J.Vollhardt et al., Proceedings of the XXIst IFSCC International Congress, Berlin, Sept. 11 - 14, 2000, p. 395; Verlag fur Chemische Industrie, H. Ziolkowsky GmbH Augsburg Germany)。しかしながら、この文献には、アントラニル酸アミド又は30を超える物質を含有する、いわゆるオート麦アベナントラミド類の群に由来するアントラニル酸アミド類が発赤反応や痒みの軽減に関与していることは、全く報告されていない。
【0015】
本発明は、広範囲な研究、特に次の側面に基づいている。
- 発赤軽減作用及び痒み軽減作用を有するアントラニル酸アミド類を同定するための、構造/活性の考察。
- 特定の非常に有効なアントラニル酸アミド類を高含有量で有する植物抽出物の調製、特に、特定のオート麦抽出物画分及びカーネーション抽出物画分の調製、また特にオート麦及び/又はカーネーションから精製単離した活性化合物の調製。
- 痒み軽減作用を有するアントラニル酸アミド類の合成。
前記の研究の目的は、特に活性な化合物を好ましくは高度に純粋な形態で利用可能とすることであり、よって前記化合物は、毒物学的に又は皮膚科学的に重要な副成分(合成副生成物又は植物抽出物副成分)をいずれも含まない医薬品又は化粧品に使用することができる。
一般に、化粧品及び/又は医薬品に用いられる物質は、活性に関連する濃度範囲において、
- 毒物学的に許容されうるものであるべきであり、
- 皮膚が充分に許容するものであるべきであり、
- 安定であるべきであり(特に習慣的な化粧用製剤及び/又は医薬製剤において)、
- 好ましくは無臭であるべきであり、また
- 安価に製造することができる(即ち、標準的な方法を用いること及び/又は標準的な前駆物質から出発すること)
ことが心に留めるべきことである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の使用及び本発明の化合物の好ましい態様は、次の実施例及び付属の表で示され得る。
【実施例】
【0017】
(1. 式1のアントラニル酸アミド類の合成)
(実施例1)
一例として、N-(4-ヒドロキシシンナモイル)アントラニル酸(アベナントラミドD、10;表1aを参照のこと)を用いて、環が置換されていないか又は置換されているシンナモイルアントラニル酸誘導体を合成した。
【0018】
【化2】

【0019】
アベナントラミドD(10)
15g(91ミリモル)の4-ヒドロキシケイ皮酸、50mlの無水酢酸及び0.5mlのピリジンを、室温で20時間撹拌した。その混合物を氷水に注ぎ、沈殿した4-アセトキシケイ皮酸を分離して、乾燥させた(18g)。15g(77ミリモル)の4-アセトキシケイ皮酸を最初に入れ、15g(100ミリモル)の塩化チオニルを滴下した。次に、その混合物を還流下で1時間撹拌し、過剰な塩化チオニルを蒸留によって分離し、その酸塩化物に50mlのトルエンを添加した。70mlのピリジン中に7g(51ミリモル)のアントラニル酸を含む溶液を添加し、その反応混合物を90℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機相を中性まで水洗し、減圧下で溶媒を除去した。300gの10%水酸化ナトリウム溶液を残留物に添加し、その混合液を1〜2時間還流下で撹拌した。冷却後、その混合液を濃塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出し、その有機相を中性になるまで水洗して、減圧下で溶媒を除去した。加熱しながら粗生成物(23g)をエタノールに溶解し、冷却し、水を加えて沈殿することを繰り返して再結晶化して、RP-18中圧クロマトグラフィ(カラム: YMC ODS-AQ、溶離剤:メタノール/水 50:50 + 0.5ml酢酸/L、λ280nm)で更に精製した(収量: 1.1gの10、純度: 95%)。
分光学的データ: 1H-NMR (300 MHz, D6 アセトン): 8.91 (1 H, dd, J = 1.2及び8.5 Hz), 8.14 (1H, dd, J = 1.7及び8.1 Hz), 7.67 (1H, d, J = 15.4 Hz), 7.61 (1 H, m), 7.60 (2 H, d, J = 8.7 Hz), 7.16 (1 H, m), 6.92 (2 H, d, J = 8.7 Hz), 6.64 (1 H, d, J = 15.4 Hz)。 13C-NMR (75.5 MHz, D6 アセトン): 170.5 (s), 165.3 (s), 160.2 (s), 143.3 (s), 142.7 (d), 135.2 (d), 132.2 (d), 130.8 (2C, d), 127.3 (s), 123.0 (d), 120.9 (d), 119.8 (d), 116.6 (2C, d), 115.8 (s)。
【0020】
(実施例2)
一例として、N-(4-ヒドロキシシンナモイル)アントラニル酸(アベナントラミドD、10)を用いて、環が置換されていない又は置換されているシンナモイルアントラニル酸誘導体を接触水素添加して、対応するジヒドロ化合物(8、表1a)を得た。
【0021】
【化3】

【0022】
ジヒドロアベナントラミドD(8)
140mgのN-(4-ヒドロキシシンナモイル)アントラニル酸(アベナントラミドD(10)を20mlのエタノールに溶解し、パラジウム(5%/活性炭)の存在下で水素を用いて、定量的に水素添加した。
分光学的データ: 1H-NMR (300 MHz, D6 アセトン): 8.68 (1 H, dd, J = 0.8 Hz及び8.4 Hz), 8.08 (1 H, dd, J = 1.5 Hz及び7.8 Hz), 7.59 (1 H, m), 7.15 (1 H, m), 7.12 (2 H, d, J = 8.5 Hz), 6.77 (2 H, d, J = 8.5 Hz), 2.95 ( 2 H, t, J = 7.6 Hz), 2.75 (2 H, t, J = 7.6 Hz).
【0023】
(2. 植物からのアントラニル酸アミド画分の抽出)
(実施例3:栽培されたオート麦(アベナ・サティバ)からのアントラニル酸アミド含有抽出物の抽出)
143 kgのエタノール/水 7:3 (m/m)を栽培されたオート麦9 kgに添加し、その混合液を室温で3日間ふやかした。濾過後、減圧下で抽出物を水相に濃縮した(17.4kg、固形分: 2.5%、乾燥抽出物に含まれるアベナントラミドA、B及びCの合計: 0.093%)。
その水溶液をアンバーライトXAD-16(270g)と撹拌することによって、少しずつ(2kg)抽出する。その吸着樹脂をフリット(frit)を介して分離し、水洗し、メタノール/水 1:1(V/V)で溶離した。まとめた溶出液から減圧下で溶媒を除去した。乾燥抽出物: 8.5g、アベナントラミドA、B及びCの合計: 1.2%。
この乾燥抽出物を、エタノール/水 1:1 (V:V)に溶解し、エタノール/水 1:1 (V:V)で希釈することにより、アベナントラミドA、B及びCの合計含量を500ppmに調整した。
【0024】
(3:一般式1のアントラニル酸アミド類によるマスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出の阻害に関する活性研究)
(3.1. 合成アントラニル酸アミド類)
試験製品
保存溶液:アベナントラミド類2〜19(構造式: 表1aを参照のこと)及びジアントラミド類20-29(構造式: 表1bを参照のこと); 濃度: エタノール中に1%; 使用まで4℃で保存)
試薬
サブスタンスP: BACHEM。
試験設計:
ラットの腹膜組織由来のマスト細胞を、メトリザミドで遠心分離することによって単離し、サブスタンスP(10μM)で刺激した。塩化カルシウムをポジティブコントロールとして用いた。
試料調製: 試験物質と参照物質:
合成的に調製された式2〜29(表1a/1bを参照のこと)のアベナントラミド類及びジアントラミド類を、緩衝媒体で最終濃度(0.5 ppm、5 ppm及び50 ppm、表1a/1bを参照のこと)に希釈した。これらは、それぞれ、0.5 %、0.05 %及び0.005 %(V/V)のエタノール濃度に対応する。ポジディブコントロールとして用いた塩化カルシウムを、10-8〜10-2 Mの濃度範囲の溶液が入手できるように、同様に緩衝媒体で希釈した。
インキュベーションプロトコール:
実験系: 最終試験溶液を、サブスタンスP及び参照物質(CaCl2)又は試験対象の特定試料の存在下で、2分間インキューベートした(インキュベーション温度: 37℃)。サブスタンスP及び参照物質又は試料物質の非存在下でインキューベートした細胞を、ブランクとして用いた。
細胞溶解後の全ヒスタミン含量の定量:
最初に、前記の反応溶液から遠心分離によって細胞成分を除去した。次に、上清に存在するヒスタミンをOPTで誘導体に変換し、その溶液の蛍光を光度測定的に決定した(蛍光計Cytofluor 2350)。
結果:
塩化カルシウムは、マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出を濃度依存的に阻害した。639 μMの塩化カルシウム濃度で50%阻害を達成することが可能であった。この結果は期待値に対応しており、従って、基本的な試験設計の妥当性が確認された。
種々のアベナントラミド類及びジアントラミド類の値を、サブスタンスPで刺激した細胞のヒスタミン含量に基づいて、%阻害として表1a/1bに示す。
【0025】
(3.2. 合成的に調製した同一質量比のオート麦アントラニル酸アミド類からなる再構成品と直接比較した、オート麦種子由来のアントラニル酸アミド画分)
試験品
保存溶液:GS-101100-A及びGS-101100-B(試料の組成:表2を参照のこと、濃度:グリセロール中のアベナントラミドA、B及びCの合計 500ppm、使用まで4℃で保存)
試薬
サブスタンスP: BACHEM。
試験設計:
ラットの腹膜組織由来のマスト細胞を、メトリザミドで遠心分離することによって単離し、サブスタンスP(10 μM)で刺激した。塩化カルシウムをポジティブコントロールとして用いた。
試料調製: 試験物質と参照物質:
GS-101100-A及びGS-101100-B試料を緩衝媒体で最終濃度(0.5 ppm、5 ppm及び50 ppm、表2を参照のこと)に希釈した。これらはそれぞれ、0.1 %(V/V)、1 %(V/V)及び10 %(V/V)のエタノール濃度に対応する。ポジティブコントロールとして用いた塩化カルシウムを、10-5〜10-2 Mの濃度範囲の溶液が入手できるように、同様に緩衝媒体で希釈した。
インキュベーションプロトコール:
実験系: 最終試験溶液を、サブスタンスP及び参照物質(CaCl2)又は試験対象の特定試料の存在下で2分間インキューベートした(インキュベーション温度: 37℃)。サブスタンスP及び参照物質又は試料物質の非存在下でインキューベートした細胞をブランクとして用いた。
細胞溶解後の全ヒスタミン含量の定量:
最初に、得られた反応溶液から遠心分離によって細胞成分を除去した。次に、上清に存在するヒスタミンをOPTで誘導体に変換し、溶液の蛍光を光度測定的に求めた(蛍光計 Cytofluor 2350)。
結果:
塩化カルシウムは、マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出を濃度依存的に阻害した。この一連の試験内では、432 μMの塩化カルシウム濃度で50%阻害を得ることが可能であった。この結果は期待値に対応しており、従って、基本的な試験設計の妥当性が確認された。
種々のアベナントラミド類の値を、阻害剤を添加せずサブスタンスPで刺激した細胞のヒスタミン含量に基づいて、%阻害として表2に示す。
【0026】
(4. 結果及び構造/活性の考察)
(4.1. 合成アントラニル酸アミド)
ケイ皮酸の部分構造とジヒドロケイ皮酸の部分構造とを有する、選択した高度に純粋なアントラニル酸アミド(アベナントラミド類)についての試験結果から、置き換える試料に依存して活性に有意差があることが示されている。最高活性、即ち、ヒスタミン放出の完全な阻害は、ケイ皮酸/ジヒドロケイ皮酸部分の3位及び4位の隣接するヒドロキシル基を有する式 2及び3の物質(表1aを参照のこと)によって達成される。他方では、アントラニル酸部分の更なるヒドロキシル基は、この場合の活性に付加的な増加をもたらさない。このことは、物質2(0.5 ppm、5 ppm及び50 ppmの活性物質濃度について、それぞれ7%、80%及び108%、表1aを参照のこと)と物質3(0.5 ppm、5 ppm及び50 ppmの活性物質濃度について、それぞれ11%、62%及び106%、表1aを参照のこと)についての事実上同一に等しい阻害データによって示されている。このように、ヒスタミン放出の50%より高い阻害は5ppmの用量ですでに達成することができ、その一方、トラニラスト(物質15、表1a)では、50ppmの最高用量でさえ、同一試験条件下におけるヒスタミン放出の21%阻害のみが可能である。
トラニラストのものより有意に高い活性は、ケイ皮酸/ジヒドロケイ皮酸部分に自由なヒドロキシル基を1つだけ有するアントラニル酸アミド類の場合に観察され、具体的には、特に前記ヒドロキシル基がケイ皮酸/ジヒドロケイ皮酸部分の4位に配置された成分の場合に観察される(表1a:物質4〜10)。この場合、50 ppm用量についてのヒスタミン放出阻害のパーセント割合は、37〜49 %の範囲である。この場合でもまた、アントラニル酸部分の更なる置換基によって、活性の有意な増加は生じない。このように、ケイ皮酸/ジヒドロケイ皮酸部分に自由なヒドロキシル基を1つだけ有するアントラニル酸アミドの群においては、トラニラストと直接比較して、同じように明らかに高い活性を有する。
トラニラストの活性より高い活性は、アントラニル酸残基に自由なヒドロキシル基を1つだけ有するアントラニル酸アミド類でも観察され、具体的には、特に前記ヒドロキシル基がアントラニル酸残基の4位にある場合に観察される(表1: 物質11〜13を参照のこと)。この場合、50ppm用量でのヒスタミン放出阻害のパーセント割合は、30〜36 %の範囲である。
【0027】
物質2〜13は、式1の化合物の好ましいサブグループの具体的な代表例である。(この場合、
n = 1であり、かつ
m = 1、2又は3であり、
但し、Xは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれ、
及び/又は
p = 1又は2であり、
但し、Yは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれている。)
物質14‐19は、トラニラスト(物質15)もその中に含まれているが、上で示した物質とヒスタミン放出に関して比較して、もはや十分でない抑制効果しか発揮しない。
トラニラストの比較的低い活性は、Hachisukaら(Arch Dermatol Res Vol.280, p.158-162; 1988)によって行われた研究と合致している。その著者らは、327ppmの濃度でのみヒスタミン放出の50%阻害を証明することができた。ケイ皮酸部分又はジヒドロケイ皮酸部分の隣接するヒドロキシル基をアルキル化すると、活性の有意な減少を伴うことは明らかである。
安息香酸の部分構造を有する化合物群(ジアントラミド類)の範囲内で対応する構造/活性を検討したところ、匹敵する結果がもたらされた。この場合では、安息香酸残基の3位及び4位に隣接する2つのヒドロキシル基を有する化合物(表1bを参照のこと; 特に物質20を参照のこと)が最大活性を有している。分子の安息香酸部分に少なくとも1つの自由なヒドロキシル基を有するジアントラミド類も、わずかに弱いが、しかし良好な活性を示す。
表1bに列挙した化合物20〜29は、式1の化合物(この場合、n = 0)の好ましいサブグループの具体的な代表例である。
【0028】
(4.2 植物由来のアントラニル酸アミド画分)
合成的に調製したアベナントラミド類及びジアントラミド類に加えて、種々の植物抽出物についても、マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出の阻害に対する適合性に関して研究を行った。表2には、例として、オート麦抽出物(表2を参照のこと: 試料GS10100-A、アベナントラミド3、4及び5の合計を500 ppmに標準化したオート麦抽出物; 式: 表1aも参照のこと)と合計500ppmの合成アベナントラミド3、4及び5を正確に比較可能な質量比で含有する合成再構成品(試料GS10100-B、表1aも参照のこと)とを直接比較した結果が示されている。
2つの試料の直接比較から、マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出の阻害はオート麦抽出物に含有されるアベナントラミド3、4及び5によって本質的に引き起こされることが示されている(表1aを参照のこと)。
この知見は、一般に、本発明の合成化合物に加えて、これらの物質を標準化量で含有する植物抽出物及びそれから調製された画分も、マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出の阻害剤として優先的に使用できることが示され、従って、炎症、発赤及び痒み反応を予防すること及び/又はこれらを軽減することにも寄与できることが示されている。
【0029】
(5:ヒスタミン放出阻害剤としての用途が、すでに既知であるか又はこれまで知られていない、選択物質についての総説)
表3及び表4においては、例として、一方には、ヒスタミン放出阻害剤として好ましく使用されることがこれまで知られていない物質を、他方では、ヒスタミン放出阻害剤として好ましく使用されることがすでに知られている物質を列挙する。物質2〜29は既に表1a及び表1bに示されており、物質30〜80は表1a及び表1bには示されていない。
表3及び表4に含まれる物質は、全て酸である。しかしながら、それらの対応するエステル類(式中、R3 = Hの代わりにR3 = アルキル)及びそれらの対応する医薬として許容される塩類も同様に使用し得ることが指摘される。
【0030】
(6:試験結果及び補足所見の概要)
驚くべきことに、行った試験から、本発明の式1の化合物はトラニラストと比較してかなり低い使用濃度でマスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出を阻害することが示され、従って、より低い治療上の使用濃度及びそれに伴う毒物的リスクのより低い可能性から、本発明の式1の化合物が活性化合物として好ましく使用できることを示されている。本発明に従って使用し得る化合物及び混合物は、高度に純粋な合成品であってもよく、植物抽出物、例えばオート麦(アベナ・サティバ)若しくはカーネーション種(ダイアンサス種)からの純粋な単離生成物であってもよく、又はオート麦(アベナ・サティバ)若しくはカーネーション(ダイアンサス種)などの植物由来の本発明の化合物を含有する特定の抽出画分であってもよい。前記抽出画分は、好ましくは本発明の化合物を高濃度で含有するものが用いられる。
試験された化合物の代わりに、好ましくは、ケイ皮酸/ジヒドロケイ皮酸部分の又は安息香酸部分のヒドロキシル基がアシル化された化合物(前駆物質)を使用することもできる(式中、X又はY = O-アシル、ここで、アシル= CO-R、ここで、R = -CH3、又は C原子2〜30個を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基)。更に、アントラニル酸部分のカルボキシル基がアルキル化された前駆物質(式中、R3 =-CH3、又はC原子2〜30個の鎖長を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル基)も好ましくは使用し得る。局所的な使用に関して、式1の対応するアシル化又はアルキル化化合物は皮膚のより深い層に非常によく浸透する。この場合、前記化合物はヒト及び動物の皮膚に内因的に存在する非特異的エステラーゼによって切断されるので、実際の有効成分は作用部位でのみ遊離される。
【0031】
本発明に従って使用し得る式1の化合物の使用濃度は、物質に依存し、使用準備の整った化粧用又は医薬用最終生成物の全質量に基づいて、0.0001〜10 % (m/m)の濃度範囲、好ましくは0.001〜1 % (m/m)の濃度範囲である。
本発明に従って用いられるヒスタミン放出阻害剤、特にアベナントラミドやジアントラミドの種類のものは、通常の化粧用又は皮膚科用/角質用製剤、例えば、特に、ポンプスプレー、エアゾールスプレー、クリーム、シャンプー、軟膏、チンキ、ローション剤、ネイルケア製品(例えば、マニキュア液、マニキュア除去剤、ネイルバルサム)等に問題なく組み込むことができる。またこれに関連して、幾つかの場合では、本発明のヒスタミン放出阻害剤は、更なる活性化合物、例えば、他のヒスタミン放出阻害剤(相乗的に一層増強されてもよい)と、又は抗炎症性物質及び/若しくは痒み及び発赤を減少させる物質であって、その作用が、例えば炎症伝達物質(特に、ロイコトリエン、プロスタグランジン又はサイトカイン)の放出阻害といった異なる作用原理に基づくものと組合せることもできる。これに関連して、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用及び/又は皮膚科用/角質用製剤は、その他に、慣習的な組成物に含まれて、皮膚若しくは角質の治療の意味で又はケア用化粧品の意味で皮膚及び/又は髪の治療に役立ち得る。しかしながら、これらは、装飾用化粧品のメイキャップ製品にも使用することができる。
【0032】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、更に、抗炎症性活性化合物又は発赤及び痒みの軽減作用を有する活性化合物を含んでもよい。これに関連して、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣習的である、全ての抗炎症性活性化合物並びに発赤及び痒みを軽減する活性化合物を使用することができる。有利には、使用する抗炎症性活性化合物並びに発赤及び/又は痒みを軽減する活性化合物が、コルチコステロイドタイプのステロイド系抗炎症性物質、例えば、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンホスフェート、メチルプレドニゾロン又はコルチゾンであり、その他のステロイド系抗炎症剤を加えて一覧を拡張することも可能である。非ステロイド系抗炎症剤も使用し得る。この場合、オキシカム類、例えば、ピロキシカム又はテノキシカム; サリチル酸塩、例えば、アスピリン、ジサルシド(Disalcid)、ソルプリン(Solprin)又はフェンドサル(fendosal);酢酸誘導体、例えば、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン又はクリンダナク(clindanac);フェナマート(fenamate)類、例えば、メフェナミック、メクロフェナミック、フルフェナミック又はニフルミック; プロピオン酸誘導体、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン;又はピラゾール、例えば、フェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、フェブラゾン又はアザプロパゾンを一例として挙げることができる。あるいは、天然の抗炎症性物質及び発赤及び/又は痒みを軽減する物質を使用し得る。植物抽出物、特定の高活性な植物抽出画分、また、植物抽出物から単離した高度に純粋な活性物質を使用し得る。カモミール、アロエベラ、モツヤク種、アカネ種、ヤナギ、エゾミソハギからの抽出物、それらの画分及び活性物質、並びに純粋な物質、例えば、特に、ビサボロール、アピゲニン-7-グルコシド、ボスウェリン酸、フィトステロール、グリシリジン、グラブリジン又はリコカルコンAが特に好ましい。ヒスタミン放出阻害剤を含有する本発明の製剤は、2以上の抗炎症性活性化合物の混合物を含有していてもよい。
【0033】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、保存のための活性化合物を含有してもよく、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣習的である全ての保存剤を用いることが可能である。有利には、特に、安息香酸、そのエステル及び塩、プロピオン酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、2,4-ヘキサン酸(ソルビン酸)及びその塩、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド、2-ヒドロキシビフェニルエーテル及びその塩、2-亜鉛スルフィドピリジン-N-オキシド、無機の亜硫酸塩及び重亜硫酸塩、ヨウ素酸ナトリウム、クロロブタノール、4-ヒドロキシ安息香酸、その塩及びエステル、デヒドロ酢酸、ギ酸、1,6-ビス(4-アミジノ-2-ブロモフェノキシ)-n-ヘキサン及びその塩、エチル水銀-(II)-チオサリチル酸のナトリウム塩、フェニル水銀及びその塩、10-ウンデシレン酸及びその塩、5-アミノ-1,3-ビス(2-エチルヘキシル)-5-メチルヘキサヒドロピリミジン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、2,4-ジクロロベンジルアルコール、N-(4-クロロフェニル)−N’-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、4-クロロ-m-クレゾール、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、1,1’-メチレンビス(3-(1-ヒドロキシメチル-2,4-ジオキシイミダゾリジン-5-イル)尿素)、ポリ(ヘキサメチレンジグアニド)塩酸塩、2-フェノキシエタノール、ヘキサメチレンテトラミン、1-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタンクロリド、1(4-クロロフェノキシ)-1(1H-イミダゾール-1-イル)-3,3-ジメチル-2-ブタノン、1,3-ビス-(ヒドロキシメチル)-5,5-ジメチル-2,4-イミダゾリジンジオン、ベンジルアルコール、オクトピロクス、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、2,2’-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、ブロモクロロフェン、5-クロロ-2-メチル-3(2H)-イソチアゾリノン及び2-メチル-3(2H)イソチアゾリノン及び塩化マグネシウムや硝酸マグネシウムとの混合物、2-ベンジル-4-クロロフェノール、2-クロルアセタミド、クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、1-フェノキシプロパン-2-オール、N-アルキル(C12-C22)トリメチルアンモニウムブロミド及びクロリド、4,4-ジメチル-1,3-オキサゾリジン、N-ヒドロキシメチル-N-(1,3-ジ(ヒドロキシメチル)-2,5-ジオキソイミダゾリジン-4-イル)-N’-ヒドロキシメチル尿素、1,6-ビス(4-アミジノフェノキシ)-n−ヘキサン及びその塩、グルタルアルデヒド、5-エチル-1-アザ-3,7-ジオキサビシクロ(3.3.0)オクタン、3-(4-クロルフェノキシ)-1,2-プロパンジオール、ハイアミン(hyamine)、アルキル-(C8-C18)-ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキル-(C8-C18)-ジメチルベンジルアンモニウムブロミド、アルキル-(C8-C18)-ジメチルベンジルアンモニウムサッカリネート、ベンジルヘミホルマール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、ヒドロキシメチルアミノ酢酸ナトリウム又はヒドロキシメチルアミノ酢酸ナトリウムなどの保存剤が選ばれる。
【0034】
その他の抗菌性活性物質又は抗真菌性活性物質も、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤に特に有利に使用することができ、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣用されている全ての抗菌性活性物質又は抗カビ性活性物質を用いることが可能である。通常の抗生物質の大きなグループに加えて、例えば、トリクロサン、クリンバゾール、オクトキシグリセロール、オクトピロックス(1-ヒドロキシ-4-メチル6-(2,4,4-トリメチルペンチル)-2(1H)-ピリドン, 2-アミノエタノール)、キトサン、ファルネソール、グリセロールモノラウレート又はこれらの物質の組み合わせが化粧品関連の製品において有利であり、上述する物質は特に腕の下のにおい、足のにおい又はフケに対して用いられる。
更に、本発明のヒスタミン放出阻害剤の相乗混合物は、特に有利には、体臭を制御するために、発汗抑制活性化合物(発汗抑制剤)と組合わせて使用し得る。用いられる発汗抑制活性化合物は、特に、アルミニウム塩、例えば、塩化アルミニウム、塩化アルミニウム水和物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等である。しかしながら、更に、亜鉛、マグネシウム及びジルコニウム化合物の使用も、有利であり得る。本質的には、アルミニウム塩及び(それより幾らか少ない程度ではあるが)アルミニウム/ジルコニウム塩混合物は、化粧用や皮膚科用の発汗抑制剤に用いるのに値した。このように皮膚に良好に許容されるが効果的ではない、部分的に中和されたヒドロキシ塩化アルミニウムもまた、特筆すべきである。アルミニウム塩に加えて、その他の物質も使用し得る。例えば、a) 汗腺の表面閉鎖を引き起こす、タンパク質沈殿物質、例えば、特に、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、天然及び合成のなめし剤、トリクロロ酢酸;
b) 末梢神経経路を遮断することにより汗腺の交感神経供給を切る、局部麻酔剤(特に、例えば、リドカイン、プリロカイン又はそのような物質の混合物の希釈溶液);
c) 汗分泌を減少させることに加えて不快なにおいの吸着剤としても作用する、X、A又はYタイプのゼオライト;並びに
d) 多汗症、病理学的な汗分泌の増加の場合にも用いられ、その作用は汗分泌に関連した伝達物質アセチルコリンの放出の不可逆的遮断に基づいている、ボツリヌス毒素(クロストリジウム(Chlostridium)ボツリヌス菌の毒素)。
【0035】
(金属)キレート化剤との組み合わせも、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤において有利であり得るものであり、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣用されている全ての金属キレート化剤を用いることが可能である。好ましく用いられる(金属)キレート化剤は、特に、α-ヒドロキシ脂肪酸、フィチン酸、ラクトフェリン、α-ヒドロキシ酸類、例えば、特に、クエン酸、乳酸及びリンゴ酸、及びフミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン又はEDTA、EGTA並びにそれらの誘導体である。
使用に関して、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有している製剤は、化粧品及び皮膚科用品について慣習的に充分な量で皮膚及び/又は毛髪に使用される。これに関連して、本発明の混合物を含有し、更に、日焼け止めとして作用する化粧用製剤や皮膚科用製剤は特に有利である。有利には、これらの製剤は、少なくとも1つのUVAフィルタ(filter)及び/又は少なくとも1つのUVBフィルタ及び/又は少なくとも1つの無機顔料を含有する。これに関連して、本発明の製剤は、例えば、この種類の製剤に通例用いられている種々の形態をとることができる。従って、例えば、溶液、油中水(W/O)型又は水中油(O/W)型のエマルジョン又は複合エマルジョン、例えば、水中油中水(W/O/W)型のもの、ゲル、ヒドロ分散液、固形スティック又はエアゾールであってもよい。
【0036】
上述のとおり、全ての範囲の紫外線照射に対して毛髪及び/又は皮膚を保護する化粧用製剤を利用可能にするために、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する製剤は、有利にはUVB範囲の紫外線を吸収する物質と組み合わせることができ、そのフィルタ物質の総量は、製剤の総重量に基づいて、例えば、0.01 % (m/m)〜40 % (m/m)、好ましくは0.1 %〜10 % (m/m)、特に1.0〜5.0 % (m/m)である。それらは、また、毛髪用の日焼け止めとして役立ち得る。本発明の製剤がUVBフィルタ物質を含有する場合には、前記フィルタ物質は油溶性であっても又は水溶性であってもよい。有利な油溶性UVBフィルタは、例えば、3-ベンジリデンカンファ誘導体、好ましくは、3-(4-メチルベンジリデン)カンファ、3-ベンジリデンカンファ; 4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは2-エチルヘキシル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、アミル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート;ケイ皮酸のエステル、好ましくは2-エチルヘキシル-4-メトキシシンナメート、イソペンチル-4-メトキシシンナメート; サリチル酸のエステル、好ましくは2-エチルヘキシルサリチラート、4-イソプロピルベンジルサリチラート、ホモメンチルサリチラート;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくはジ(2-エチルヘキシル)-4-メトキシベンザルマロネート、2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2’-エチル-1’-ヘキシロキシ)-1,3,5-トリアジンである。有利な水溶性UVBフィルタは、例えば、2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸の塩、例えば、そのナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアンモニウム塩、及びスルホン酸単体; ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸及びその塩; 3-ベンジリデンカンファのスルホン酸誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)スルホン酸及びその塩、1,4-ジ(2-オキソ-10-スルホ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼン及びその塩(対応する10-スルファト化合物、例えば、対応するナトリウム塩、カリウム塩又はトリエタノールアンモニウム塩)、並びにベンゼン-1,4-ジ(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル-10-スルホン酸である。
本発明のヒスタミン放出阻害剤と組合わせて使用し得る前記UVBフィルタの上記一覧は、当然に、限定的なものとして理解されるべきでない。化粧用製剤中に通常含有されるようなUVAフィルタを用いることも、有利であり得る。これらの物質は、好ましくはジベンゾイルメタンの誘導体、特に1-(4’-tert-ブチルフェニル)-3-(4’-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン及び1-フェニル-3-(4’-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオンである。UVBを組合わせるのに用いられる量を使用することができる。
【0037】
化粧用製剤においては、本発明のヒスタミン放出阻害剤は、有利には、そのような製剤に慣用的に使用されるような更なる化粧用助剤、即ち、例えば、抗酸化剤、香油、発泡防止剤、着色剤、着色作用をもつ色素、増粘剤、界面活性物質、乳化剤、可塑化物質、湿潤及び/又は保湿物質、脂肪、油、ワックス又は化粧用製剤に含まれる他の慣用成分、例えば、アルコール、ポリオール、ポリマー、泡安定剤、電解質、有機溶媒又はシリコーン誘導体とも組合せることができる。本発明によれば、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣用されている、全ての考えられる抗酸化剤、香油、発泡防止剤、着色剤、着色作用をもつ色素、増粘剤、界面活性物質、乳化剤、可塑化物質、湿潤及び/又は保湿物質、脂肪、油、ワックス、アルコール、ポリオール、ポリマー、泡安定剤、電解質、有機溶媒又はシリコーン誘導体を本発明に使用することができる。
高含量の治療物質は、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する製剤において、通常は、皮膚の局所的な予防治療又は化粧的処置のために有利である。好ましい態様によると、組成物は、1種以上の動物及び/又は植物性治療用油脂、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、精製ダイズ油、パーム油、ゴマ油、ナタネ油、アーモンド油、ルリヂサ油、オオマツヨイグサ油、ヤシ油、シアバター、ホホバ油、鯨油、牛脂、ニーツフット油、ラードを含み、任意でその他の治療成分、例えば、8〜30個のC原子を有する脂肪アルコール類を含んでいてもよい。本発明において用いられる脂肪アルコール類は、飽和又は不飽和であってもよく直鎖又は分枝鎖であってもよい。例えば、デカノール、デセノール、オクタノール、オクテノール、ドデカノール、ドデセノール、オクタジエノール、デカジエノール、ドデカジエノール、オレイルアルコール、リシノールアルコール、エルカアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキジルアルコール、カプリルアルコール、カプリンアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ベヘニルアルコール及びそれらのゲルベアルコールを用いることができる。これに関連して、更なる構造的化学的に関連するアルコールによって、任意に上記一覧を拡張することが可能である。脂肪アルコールは、好ましくは天然の脂肪酸に由来し、通常は脂肪酸の対応するエステルから還元により調製される。更にまた、天然に存在する脂肪及び油脂、例えば、牛脂、落花生油、菜種油、綿実油、ダイズ油、ヒマワリ油は、パーム核油、亜麻仁油、トウモロコシ油、ヒマシ油、ナタネ油、ゴマ油、カカオ脂、ココア脂肪から還元によって形成される脂肪アルコール画分が使用し得る。
【0038】
更に、本発明のヒスタミン放出阻害剤と好ましくは組合せることができる治療物質としては、下記のものが含まれる。
- セラミド:セラミドは、N-アシルスフィンゴシン(スフィンゴシンの脂肪酸アミド)又はそのような脂質の合成類似体(いわゆるプソイドセラミド)であって、角質層の保水性能力を明らかに改善することが理解されている。
- リン脂質、例えば、大豆レシチン、卵レシチン、セファリン。
- ワセリン、パラフィン、シリコーン油; 後者としては、特に、ジアルキルシロキサン類及びアルキルアリールシロキサン類、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びそれらのアルコキシル化四級化誘導体を挙げることができる。
動物性及び/又は植物性の加水分解タンパク質も、有利には、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する製剤に添加することができる。この点に関しては、特にエラスチン、コラーゲン、ケラチン、乳蛋白、大豆タンパク質、オート麦タンパク質、エンドウタンパク質、アーモンドタンパク質及び小麦タンパク質の画分又は対応する加水分解タンパク質、また、それらと脂肪酸との縮合生成物、四級化加水分解タンパク質も有利であり、植物性加水分解タンパク質の使用が好ましい。
【0039】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用又は皮膚科用製剤としての範囲においては、溶液又はローションであり、以下のような溶媒が使用され得る。
- 水又は水溶液;
- 脂肪油、脂肪、ワックス及び他の天然及び合成脂肪体、好ましくは脂肪酸とC数が少ないアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール若しくはグリセリンとのエステル、又は脂肪アルコールとC数が少ないアルカン酸若しくは脂肪酸とのエステル;
- C数が少ないアルコール類、ジオール類又はポリオール類、及びそれらのエーテル類、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル並びに類似生成物。
【0040】
特に、上記溶媒の混合物が用いられる。アルコール溶媒の場合、水がその他の成分であり得る。
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、また、抗酸化剤を含有することができ、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣用されている全ての抗酸化剤を用いることが可能である。有利には、抗酸化剤は、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、ペプチド、例えば、D, L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン及びその誘導体(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロチン(例えば、α-カロチン、β-カロテン、リコペン)及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン及びそのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ-リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)及びその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオート、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)及び非常に少量の許容された用量でのスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-チオニンスルホキシミン)、及び(金属)キレート化剤、例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸及びその誘導体(ユビキノン及びユビキノール及びそれらの誘導体)、ビタミンC及びその誘導体(例えば、アスコルビン酸パルミテート、Mgアスコルビン酸ホスフェート、アスコルビン酸アセテート)、トコフェロール及びその誘導体(例えば、ビタミンE酢酸塩)、ビタミンA及びその誘導体(ビタミンAパルミチン酸塩)、ベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェニル、ルチン酸及びその誘導体、フェルラ(ferrulic)酸及びその誘導体、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク酸、ノルジヒドログアヤレト酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレン及びその誘導体(例えば、セレンメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、トランススチルベンオキシド)、並びに本発明に従って適切である上記活性化合物の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチド及び脂質)からなる群より選ばれる。
【0041】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、また、ビタミン及びビタミン前駆物質を含有することができ、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣用されている全てのビタミン及びビタミン前駆物質を用いることが可能である。ここでは特にビタミン及びビタミン前駆物質、例えば、トコフェロール、ビタミンA、ニコチン酸及びニコチンアミド、B複合体のその他のビタミン、特にビオチン、及びビタミンCを挙げることができる。更にまた、このグループ内でパントテニルアルコール及びその誘導体、特にパントテニルアルコールのエステル及びエーテル、そしてまた、カチオン的に(cationically)得られたパントテニルアルコール誘導体、例えば、パントテニルアルコールトリアセタート、パントテニルアルコール、モノエチルエーテル及びそのモノアセタート及びカチオン性パントテニルアルコール誘導体が好ましくは用いられる。
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、また、皮膚の美白作用を有する活性化合物を含有することができる。これに関連して、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣用されている全ての皮膚の美白活性化合物が、本発明に従って使用し得る。有利な皮膚の美白活性化合物は、この程度までは、コウジ酸、ヒドロキノン、アルブチン、アスコルビン酸、マグネシウムアスコルビン酸ホスフェート、カンゾウ根抽出物及びその成分グラブリジン又はリコカルコンA、又は特に、皮膚の美白スチルベン誘導体を含有するルーメクス(Rumex)及びラムルス(Ramulus)種由来の抽出物、マツ種(マツ属)由来の抽出物又はビティス(Vitis)種由来の抽出物である。
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、また、皮膚の日焼け作用を有する活性化合物も含有することができる。この点で、化粧用及び/又は皮膚科用の使用に適切であるか又は慣用されている全ての皮膚の日焼け用活性化合物が使用し得る。この場合に一例として、ジヒドロキシアセトン(DHA; 1,3-ジヒドロキシ-2-プロパノン)を挙げることができる。DHAは、単量体か又は二量体であり得るものであり、結晶形においては二量体の割合が優勢である。
【0042】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、また、モノ-、ジ-及びオリゴ-サッカリド、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、フルクトース、ラクトースを含有することができる。
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、また、植物抽出物を含有することができ、これは、通常は完全な植物体の抽出によって調製されるが、個々の場合は、植物の花及び/又は葉、木、樹皮又は根だけから調製される。本発明に従って使用し得る植物抽出物に関して、Industrieverband Koerperpflegemittelund Waschmittel e.V.(IKW)(フランクフルト)から出版されたLeitfaden zur nhaltsstoffdeklaration kosmetischer Mittel(化粧品原料成分申告の指針)の第3版の44ページで始まる表に挙げられる、抽出物が特に参照される。アロエ、ハマメリス(Hamamelis)、藻、オーク樹皮、エゾミソハギ、イラクサ、オドリコソウ、ホップ、カモミール、ノコギリソウ、アルニカ、キンセンカ、ゴボウ根、馬の尾、サンザシ、リンデン花、アーモンド、松葉、セイヨウトチノキ、ビャクダン、ビャクシン、ココナッツ、マンゴー、アプリコット、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、リンゴ、緑茶、グレープフルーツ種子、小麦、オート麦、オオムギ、セージ、タイム、バジル、ローズマリ、カバ、マロー、タネツケバナ、ヤナギ樹皮、ハリモクシュク、カントウ、タチアオイ、ヤクヨウニンジン及びショウキョウ根由来の抽出物が特に有利である。特に、アロエベラ、カモミール、藻、ローズマリ、キンセンカ、ヤクヨウニンジン、キュウリ、セージ、イラクサ、リンデン花、アルニカ、ハマメリスからの抽出物が特に好ましい。2種以上の植物抽出物の混合物も用いることができる。前記の植物抽出物の調製に使用し得る抽出剤は、特に、水、アルコール及びその混合物であり得る。アルコールでは、低級アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、また、多価アルコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールがこれに関連して、特に単独抽出剤としても水との混合物においても共に好ましい。植物抽出物は、純粋な形でも又は希釈した形でも本発明に従って使用し得る。
【0043】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用製剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び/又は両性の界面活性剤を含んでもよく、特に結晶性又は微結晶性の固体、例えば、無機の微小顔料が本発明の製剤に組み込まれる場合に含まれる。界面活性剤は、非極性有機物質を水に溶解することができる両親媒性物質である。これに関連して、界面活性剤分子の親水性部分は、通常は極性官能基、例えば、-COO-、-OSO32-、SO3-であり、疎水性部分は、一般に、非極性炭化水素基である。界面活性剤は、通常は分子の親水性部分の種類と電荷に従って分類される。ここでは4つのグループが区別され得る。
・アニオン性界面活性剤、
・カチオン性界面活性剤、
・両性界面活性剤、
・非イオン性界面活性剤。
アニオン性界面活性剤は、通常は官能基として、カルボキシレート基、スルフェート基又はスルホネート基を含有する。水溶液においては、酸性又は中性媒体中で負に荷電した有機イオンを形成する。カチオン性界面活性剤は、実質的には第四級アンモニウム基の存在のみを特徴とする。水溶液においては、酸性又は中性媒体中で正に荷電した有機イオンを形成する。両性界面活性剤は、アニオン基とカチオン基双方を含有し、従って、pH値によっては、水溶液中でアニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤のようにふるまう。強酸性媒体中では正電荷をもち、アルカリ性媒体中では負電荷をもつ。中性pH範囲においては、一方、双性イオンである。ポリエーテル鎖は、非イオン性活性剤の典型である。非イオン性活性剤は、水性媒体中でイオンを形成しない。
【0044】
A. アニオン性界面活性剤
有利に使用し得るアニオン性界面活性剤は、アシルアミノ酸(及びその塩)、例えば、
-アシルグルタミン酸塩、例えば、アシルグルタミン酸ナトリウム、ジ-TEA-パルミトイルアスパラギン酸、カプリルグルタミン酸ナトリウム/グルタミン酸カプリン、
-アシルぺプチド、例えば、パルミトイル加水分解乳汁タンパク質、ナトリウムココイル加水分解大豆タンパク質、ナトリウム/カリウムココイル加水分解コラーゲン、
- サルコシン酸塩、例えば、ミリストイルサルコシン、TEAラウロイルサルコシネート、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココイルサルコシン酸ナトリウム、
- タウリン酸塩、例えば、ラウロイルタウリン酸ナトリウム、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、
- アシルラクチネート、ラウロイルラクチネート、カプロイルラクチネート
- アラニネート
カルボン酸及び誘導体、例えば、
-例えば、ラウリン酸、ステアリン酸アルミニウム、アルカノール酸マグネシウム、ウンデシレン酸亜鉛、
- エステル-カルボン酸、例えば、ステアロイル乳酸カルシウム、ラウレス-6クエン酸塩、PEG-4ラウラミドカルボン酸ナトリウム、
- エーテル-カルボン酸、例えば、ナトリウムラウレス-13カルボン酸ナトリウム、ナトリウムPEG-6 コカミドカルボン酸ナトリウム、
リン酸エステル及び塩、例えば、DEA-オレス-10ホスフェート及びジラウレス-4-ホスフェート、
スルホン酸及び塩、例えば、
- アシルイソチオン酸塩、例えば、ココイル-イセチオン酸ナトリウム/アンモニウム、
- アルキルアリールスルホン酸塩、
- アルキルスルホン酸塩、例えば、ココナッツモノグリセリド硫酸ナトリウム、C12-14オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、PEG-3コカミド硫酸マグネシウム、
- スルホスクシン酸塩、例えば、スルホスクシン酸ジオクチルナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ウンデシレンアミドMEA-スルホコハク酸二ナトリウム、
硫酸エステル、例えば、
- アルキルエーテルスルフェート、例えば、MIPA、TIPA ラウレス硫酸ナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、ミレス硫酸ナトリウム、C12-13パレス硫酸ナトリウム、
- アルキル硫酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、アンモニウム基及びTEA
である。
【0045】
B. カチオン性界面活性剤
有利に使用し得るカチオン性界面活性剤は、
- アルキルアミン、
- アルキルイミダゾール、
- エトキシル化アミン、
- 第四級界面活性剤
RNH2CH2CH2COO-(pH=7にて)
RNHCH2CH2COO-B+(pH=12にて)B+ = 任意のカチオン(例えばNa+)
- 四級エステル(esterquats)
である。
第四級界面活性剤は、4つのアルキル基又はアリール基に共有結合で結合される少なくとも1つのN原子を有する。これによりpH値に関係なく正荷電が生じる。アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン及びアルキルアミドプロピルヒドロキシスルファインが有利である。用いられるカチオン性界面活性剤は、更に、好ましくは第四級アンモニウム化合物、特にベンジルトリアルキル-塩化又は臭化アンモニウム、例えば、ベンジルジメチルステアリル-塩化アンモニウム、及びアルキルトリアルキルアンモニウム塩、例えば、塩化又は臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化又は臭化アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化又は臭化ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルアミドエチルトリメチル-アンモニウムエーテルスルフェート、アルキルピリジニウム塩、例えばラウリル-又はセチルピリミジニウムクロリド、イミダゾリン誘導体及びアミンオキシドのようなカチオン性の化合物、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド又はアルキルアミノエチルジメチルアミンオキシドを含む群より選ばれ得る。セチルトリメチルアンモニウム塩は、特に有利に使用し得る。
【0046】
C. 両性界面活性剤
有利に使用し得る両性界面活性剤は、
- アシル-/ジアルキルエチレンジアミン、例えば、アシルアンフォ酢酸ナトリウム、アシルアンフォジプロピオン酸二ナトリウム、アルキルアンフォ二酢酸二ナトリウム、アシルアンフォヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、アシルアンフォ二酢酸二ナトリウム、アシルアンフォプロピオン酸ナトリウム、
- N-アルキルアミノ酸、例えば、アミノプロピルアルキルグルタミド、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルイミドジプロピオン酸ナトリウム、ラウロアンフォカルボキシグリシネート
である。
【0047】
D. 非イオン性活性剤
有利に使用し得る非イオン性活性剤は、
- アルコール、
- アルカノールアミド、例えば、コカミド MEA/DEA/ MIPA
アミンオキシド、例えばコカミドプロピルアミンオキシド
- エステル、カルボン酸とエチレンオキシド、グリセロール、ソルビタン又は他のアルコールとのエステル化によって形成されるエステル
- エーテル、例えば、エトキシル化/プロポキシル化アルコール、エトキシル化/プロポキシル化エステル、エトキシル化/プロポキシル化グリセロールエステル、エトキシル化/プロポキシル化コレステロール、エトキシル化/プロポキシル化トリグリセリドエステル、エトキシル化/プロポキシル化ラノリン、エトキシル化/プロポキシル化ポリシロキサン、プロポキシル化POEエーテル及びアルキルポリ配糖体、例えば、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド及びココヤシグルコシド
- スクロースエステル及びエーテル
- ポリグリセロールエステル、ジグリセロールエステル、モノグリセロールエステル
- メチルグルコースエステル、ヒドロキシ酸のエステル
である。
アニオン及び/又は両性界面活性剤と1種以上の非イオン性活性剤との組み合わせの使用も有利である。界面活性物質は、製剤の総重量に基づき、本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する製剤中1〜98%(m/m)の濃度で存在し得る。
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有する化粧用又は皮膚科用製剤は、エマルジョンの形態であってもよい。
【0048】
油相(oil phase)は、下記物質の群より選ぶことができる。
- 鉱油、ミネラルワックス
- 脂肪油、脂肪、ワックス及び他の天然及び合成脂肪体、好ましくは脂肪酸とC数が少ないアルコール、例えば、イソプロパノール、プロピレングリコール又はグリセロールとのエステル、又は脂肪アルコールとC数の少ないアルカン酸又は脂肪酸とのエステル;
- アルキルベンゾエート;
- シリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン及びそれらの混合物。
有利には、芳香族カルボン酸とC原子3〜30個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルコールのエステルの群から、C原子3〜30個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルカンカルボン酸とC原子3〜30個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルコールのエステルが使用し得る。好ましいエステル油は、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n-ブチルステアレート、n-ヘキシルラウレート、n-デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-エチルヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルステアレート、2-オクチルドデシルパルミテート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート及びそのようなエステルの合成、半合成、天然の混合物、例えば、ホホバ油である。
【0049】
更にまた、油相は、有利には、分枝鎖及び直鎖炭化水素及びワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルを含む群、飽和又は不飽和の分枝鎖又は直鎖アルコール、及び脂肪酸トリグリセリドを含む群、特に、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルより選ぶことができる。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、有利には、合成、半合成及び天然油、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、落花生油、ナタネ油、アーモンド油、パーム油)ヤシ油、パーム核油等を含む群より選ぶことができる。そのような油とワックス成分の任意の混合物もまた、有利に使用し得る。場合によっては、油相の唯一の脂質成分としてワックス、例えば、セチルパルミテートを用いることが有利である。有利には、油相は、2-エチルヘキシルイソステアレート、オクチルドデカノール、イソトリデシルイソノナノエート、イソエイコサン、2-エチルヘキシルココエート、C12-15-アルキルベンゾエート、カプリル-カプリン酸トリグリセリド及びジカプリリルエーテルからなる群より選ばれる。C12-15-アルキルベンゾエートと2-エチルヘキシルイソステアレートの混合物、C12-15-アルキルベンゾエートとイソトリデシルイソノナノエートの混合物、C12-15-アルキルベンゾエート、2-エチルヘキシルイソステアレート及びイソトリデシルイソノナノエートの混合物が特に有利である。炭化水素パラフィン油、スクアラン及びスクアレンが、oh(原文のまま)有利に使用し得る。有利には、油相は、更に、環状又は直鎖シリコーン油を含有することができ、そのような油から完全になることもできるが、しかしながら、1種又は複数のシリコーン油又はシリコーン油に加えて他の油相成分の追加含量を用いることも好ましい。シリコーン油としてシクロメチコーン(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン)が有利に使用し得る。しかしながら、他のシリコーン油、例えば、ウンデカメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)も有利に使用し得る。更にまた、シクロメチコーンとイソトリデシルイソノナノエート、また、シクロメチコーンと2-エチルヘキシルイソステアレートの混合物が特に有利である。
【0050】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有し且つエマルジョンの形にある製剤の水性相は、C数の少ないアルコール、ジオール又はポリオール及びそのエーテル、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル及び類似生成物、及びC数が少ないアルコール、例えば、、エタノール、イソプロパノール、1,2-プロパンジオール、グリセロール及び、特に、1種以上の増粘剤、1種又は複数の増粘剤は、有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ポリサッカリド及びその誘導体、例えば、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む群、特に有利にはポリアクリレート、好ましくはいわゆるカルボポール、例えば、980、981、1382、2984、5984型のカルボポールを含む群よりのポリアクリレートを含む群より、それら自体で又は組み合わせでの各場合において選ぶことができる。
【0051】
本発明のヒスタミン放出阻害剤を含有し且つエマルジョンの形にある製剤は、有利には、1種以上の乳化剤を含有する。O/W乳化剤は、例えば、有利には、ポリエトキシル化又はポリプロポキシル化又はポリエトキシル化とポリプロポキシル化生成物を含む群より選ぶことができる。例えば:
- 脂肪アルコールエトキシレート
- エトキシル化ウールワックスアルコール、
- 一般式R-O-(-CH2-CH2-O-)n-R’のポリエチレングリコールエーテル、
- 一般式R-COO-の脂肪酸エトキシレート(-CH2-CH2-O-)n-H、
- 一般式R-COO-(-CH2-CH2-O-)n-R’のエーテル化脂肪酸エトキシレート、
- 一般式R-COO-(-CH2-CH2-O-)n-C(O)-R’のエステル化脂肪酸エトキシレート、
- ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステル
- エトキシル化ソルビタンエステル
- コレステロールエトキシレート
- エトキシル化トリグリセリド
- 一般式R-COO-(-CH2-CH2-O-)n-OOHのアルキルエーテルカルボン酸、nは、5〜30の数を表す、
- ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
- 一般式R-O-(-CH2-CH2-O-)n-SO3-Hのアルキルエーテルスルフェート
- 一般式R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-Hの脂肪アルコールプロポキシレート
- 一般式R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-R’のポリプロピレングリコールエーテル
- プロポキシル化ウールワックスアルコール、
- エステル化脂肪酸プロポキシレート R-COO-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-R’
- 一般式R-COO-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-C(O)-R’のエステル化脂肪酸プロポキシレート
- 一般式R-COO-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-Hの脂肪酸プロポキシレート、
- ポリプロピレングリコールグリセリン脂肪酸エステル
- プロポキシル化ソルビタンエステル
- コレステロールプロポキシレート
- プロポキシレートトリグリセリド
- 一般式R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-CH2-COOHのアルキルエーテルカルボン酸、
- スルフェートが一般式R-O-(-CH2-CH(CH3)-O-)n-SO3-Hに基づくアルキルエーテルスルフェート及びその酸、
- 一般式R-O-Xn-Ym-Hの脂肪アルコールエトキシレート/プロポキシレート
- 一般式R-O-Xn-Ym-R’のポリプロピレングリコールエーテル
- 一般式R-COO-Xn-Ym-R’のエステル化脂肪酸プロポキシレート
- 一般式R-COO-Xn-Ym-Hの脂肪酸エトキシレート/プロポキシレート。
本発明によれば、用いられるポリエトキシル化又はポリプロポキシル化又はポリエトキシル化及びポリプロポキシル化O/W乳化剤は、特に有利には、O/W乳化剤が飽和基部RやR’を有する限り、HLB値が11〜18、特に有利にはHLB値が14.5〜15.5の物質を含む群より選ばれる。O/W乳化剤が不飽和基R及び/又はR’を有する場合又はイソアルキル誘導体がある場合には、それら乳化剤の好ましいHLB値は低い場合も高い場合もあり得る。
【0052】
脂肪アルコールエトキシレートを、エトキシル化ステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリールアルコール)を含む群より選ぶことが有利である。次の化合物が特に好ましい。
ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス-13)、
ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス-14)、
ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス-15)、
ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス-16)、
ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス-17)、
ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス-18)、
ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス-19)、
ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス-20)、
ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス-12)、
ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス-13)、
ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス-14)、
ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス-15)、
ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス-16)、
ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス-17)、
ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス-18)、
ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス-19)、
ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス-20)、
ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス-13)、
ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス-14)、
ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス-15)、
【0053】
ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス-16)、
ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス-17)、
ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス-18)、
ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス-19)、
ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス-20)、
ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス-13)、
ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス-14)、
ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス-15)、
ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス-16)、
ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス-17)、
ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス-18)、
ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス-19)、
ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス-20)、
ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス-12)、
ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス-13)、
ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス-14)、
ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス-15)、
ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス-12)、
ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス12)、
ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス-13)、
ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス-14)、
ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス-15)、
ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス-16)、
ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス-17)、
ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス-18)、
ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス-19)、
ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス-20)。
【0054】
更に、脂肪酸エトキシレートを次の群より選ぶことも有利である。
ポリエチレングリコール(20)ステアレート、
ポリエチレングリコール(21)ステアレート、
ポリエチレングリコール(22)ステアレート、
ポリエチレングリコール(23)ステアレート、
ポリエチレングリコール(24)ステアレート、
ポリエチレングリコール(25)ステアレート、
ポリエチレングリコール(12)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(13)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(14)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(15)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(16)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(17)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(18)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(19)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(20)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(21)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(22)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(23)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(24)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(25)イソステアレート、
ポリエチレングリコール(12)オレエート、
ポリエチレングリコール(13)オレエート、
ポリエチレングリコール(14)オレエート、
ポリエチレングリコール(15)オレエート、
ポリエチレングリコール(16)オレエート、
ポリエチレングリコール(17)オレエート、
ポリエチレングリコール(18)オレエート、
ポリエチレングリコール(19)オレエート、
ポリエチレングリコール(20)オレエート。
【0055】
有利には、エトキシル化アルキルエーテルカルボン酸又はその塩としてラウレス-11-カルボン酸ナトリウムを使用し得る。有利には、アルキルエーテルスルフェートとしてラウレス1-4硫酸ナトリウムが使用し得る。有利には、エトキシル化コレステロール誘導体としてポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルが使用し得る。ポリエチレングリコール(25)ダイズステロールが有効であることも示されている。
有利には、エトキシル化トリグリセリドとしてポリエチレングリコール(60)オオマツヨイグサグリセリドが使用し得る。
更に、ポリエチレングリコールグリセリン脂肪酸エステルを下記の群より選ぶことが有利である。
ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウレート、
ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウレート、
ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウレート、
ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウレート、
ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプレート/カプリネート、
ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレエート、
ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアレート、
ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレエート/ココエート。
また、ソルビタンエステルを下記の化合物を含む群より選ぶことが有利である。
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウレート、
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアレート、
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアレート、
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミテート、
ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレエート。
【0056】
有利なW/O乳化剤として次の化合物を使用し得る:炭素原子8〜30個を有する脂肪アルコール、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルカンカルボン酸のジグリセリンエステル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルコールのモノグリセロールエーテル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルコールのジグリセロールエーテル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルカンカルボン酸プロピレングリコールエステル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和の分枝鎖及び/又は直鎖アルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
特に有利なW/O乳化剤は、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノオレエート、ジグリセリルモノステアレート、ジグリセリルモノイソステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノイソステアレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノイソオレエート、スクロースジステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス-2)、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノカプリネート、グリセリルモノカプリレートである。
【0057】
本発明の式1の物質は、また、香水組成物(芳香組成物)の成分として用いることができ、その特異的な活性により、マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出阻害剤として、例えば、抗アレルギー性作用又は痒み軽減作用を芳香製品に与えることができる。特に好ましい芳香組成物は、(a)感覚作用(sensory action)を有する量の芳香、(b) 1つ以上の式1の化合物、例えば、抗アレルギー性作用又は痒み-軽減作用を有する前記化合物を一定量、及び(c)任意により、1以上の賦形剤及び/又は添加剤を含んでいてもよい。化粧用製品中の香料の割合は約1%(m/m)の範囲にある場合が多く、本発明の式1の化合物を含有する香料は、好ましくは約0.1 - 10 % (m/m)の1つ以上の式1の化合物から構成され得る。本発明の化合物の特性は、特に芳香組成物においてマスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出阻害剤としての使用を予定していることから、弱い固有のにおいのみを有するか又は完全な無臭に等しい式1の物質が特に有利であることが示された。
本発明の好ましい態様及び更なる側面は、特許請求の範囲から理解し得る。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【0064】
【表7】

【0065】
【表8】

【0066】
【表9】

【0067】
【表10】

【0068】
【表11】

【0069】
【表12】

【0070】
【表13】

【0071】
【表14】

【0072】
【表15】

【0073】
【表16】

【0074】
【表17】

【0075】
【表18】

【0076】
【表19】

【0077】
【表20】

【0078】
【表21】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出を阻害するための化粧剤として、又はマスト細胞からのヒスタミンのサブスタンスP誘導性放出を阻害するための薬剤を調製するための、下記式1の化合物又は異なる2以上の下記式1の化合物の混合物の使用。
【化1】

(前記化合物又は前記混合物の各化合物について、式中、
m = 0、1、2又は3であり、
p = 0、1又は2であり、
n = 0、1又は2であり、
但し、n = 1又は2の場合、p + mの合計は0より大きく、
n = 1又は2の場合、そのいずれの場合もR1及びR2は対であって、Hを表すか又は一緒になって更なる化学結合を表し;
m = 1、2又は3の場合、Xは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
p = 1又は2の場合、Yは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
但し、p + m が0より大きい場合、X又はYは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれ;
R3 = H又はアルキルである。)
【請求項2】
n = 1であり、且つ
m = 1、2又は3であり、
但し、Xは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれ;及び/又は
p = 1又は2であり、
但し、Yは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれる、請求項1記載の使用。
【請求項3】
n = 1であり、且つR1及びR2が各々Hを表す、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
式1の化合物が下記の化合物からなる群より選ばれる、請求項2記載の使用。
【化2】


【化3】


【化4】

【化5】

【請求項5】
n = 0である、請求項1記載の使用。
【請求項6】
式1の化合物が下記の化合物からなる群より選ばれる、請求項5記載の使用。
【化6】

【化7】

【化8】

【請求項7】
痒み(そう痒症)、皮膚発赤、みみずばれの発生若しくはアレルギー性皮膚反応を治療若しくは予防するための化粧剤として、又は痒み(そう痒症)、皮膚発赤、みみずばれの発生若しくはアレルギー性皮膚反応を治療若しくは予防するための薬剤を調製するための、下記式1の化合物又は異なる2以上の下記式1の化合物の混合物の使用。
【化9】

(前記化合物又は前記混合物の各化合物について、式中、
m = 0、1、2又は3であり、
p = 0、1又は2であり、
n = 0、1又は2であり、
但し、n = 1又は2の場合、p + mの合計は0より大きく、
n = 1又は2の場合、そのいずれの場合もR1及びR2は対であって、Hを表すか又は一緒になって更なる化学結合を表し;
m = 1、2又は3の場合、Xは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
p = 1又は2の場合、Yは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
但し、p + m が0より大きい場合、X又はYが少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれ;
R3 = H又はアルキルである。)
【請求項8】
n = 1であり、
m + p が2以上であり、
但し、X及びYが共に少なくとも二度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれる、請求項7記載の使用。
【請求項9】
式1の化合物が下記の化合物からなる群より選ばれる、請求項8記載の使用。
【化10】

【請求項10】
n = 1であり、且つR1及びR2が各々Hである、請求項7記載の使用。
【請求項11】
n = 0である、請求項7記載の使用。
【請求項12】
m + p が2以上であり、
但し、置換基X及びYの少なくとも2つはOH及びO-アシルからなる群より選ばれる、請求項11記載の使用。
【請求項13】
式1の化合物又は2以上の異なる式1の化合物の混合物が植物抽出物の成分の形態であって、前記植物抽出物は後処理されていてもよい、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
植物抽出物(後処理されていてもよい)が、アベナ属、ダイアンサス属、シレネ属又はメランドリウム属の植物由来の抽出物である、請求項13記載の使用。
【請求項15】
植物抽出物が、後処理していない抽出物と比較して、少なくとも1の式1の化合物の比率が他の抽出化合物の比率に対して高められるような方法で後処理されている、請求項13又は14記載の使用。
【請求項16】
単離及び精製された式1の化合物又は単離及び精製された2以上の異なる式1の化合物の混合物が用いられる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
下記式1の化合物。
【化11】

(式中、
m = 0、1、2又は3であり、
p = 0、1又は2であり、
n = 1であり、
但し、p + mの合計が0より大きく、
それらのいずれの場合にもR1及びR2は対であって、Hを表すか又は一緒になって更なる化学結合を表し;
m = 1、2又は3の場合、Xは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
p = 1又は2の場合、Yは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
但し、X又はYは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれ;
R3 = H又はアルキルであり、
該式1の化合物は、下記の化合物からなる群より選択される。)
【化12】

【化13】

【化14】

【請求項18】
下記式1の化合物。
【化15】

(式中、
m = 0、1、2又は3であり、
p = 0、1又は2であり、
n = 0であり、
m = 1、2又は3の場合、Xは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
p = 1又は2の場合、Yは各々独立であって、OH、O-アルキル又はO-アシルを表し、
但し、p + m が0より大きい場合、X又はYは少なくとも一度はOH及びO-アシルからなる群より選ばれ;
R3 = H又はアルキルであり、
該式1の化合物は、下記の化合物からなる群より選択される。)
【化16】

【化17】

【化18】


【公開番号】特開2010−248268(P2010−248268A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176413(P2010−176413)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【分割の表示】特願2004−554400(P2004−554400)の分割
【原出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(503236223)シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】