説明

化粧用容器

【課題】本発明は、小型化・軽量化とともに省パーツ化が図られた化粧用容器を提供する。
【解決手段】本発明は、化粧用コンパクト1は、化粧料Cを収納する内ケース1Aと、外ケース1Bとからなる。外ケース1Bは、内ケース1Aを取り付ける外ケース本体2を有して外蓋体4が回転可能に軸支される。内ケース1Aは、化粧料Cが充填される内ケース本体6と、内ケース本体6を閉じる内蓋体7とがヒンジ8を介して一体にシート状に成形されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の詰替えを目的として、化粧料を収納する内ケースと、この内ケースを取り外し可能に収納する外ケースとからなる化粧用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧用容器には、外ケースに収納する内ケースとして、内ケース本体に化粧料を充填し、この内ケース本体を閉じる内蓋体を回転可能に軸支したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−44092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来の内ケースは、内ケース本体を閉じる内蓋体がピン部材等によって軸支されていることから、内ケース全体として厚くなる。このように内ケースが厚くなると、化粧用容器全体としても厚くなることから、化粧用容器全体としての小型化や軽量化に改善の余地がある。また、部品点数の抑制にも改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的とするところは、小型化・軽量化とともに省パーツ化が図られた化粧用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、化粧料を収納する内ケースと、この内ケースを取り付ける外ケース本体を有し、当該外ケース本体を閉じる外蓋体が回転可能に軸支される外ケースとからなる化粧用容器であって、内ケースは、化粧料が充填される内ケース本体と、この内ケース本体を閉じる内蓋体とがヒンジを介して一体にシート状に成形されたものであることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、シート状に成形する方法としては、熱可塑性樹脂製のシート材を加熱処理して成形するほか、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料を加熱によりシート状に軟化させたのち、このシート状の樹脂材料を金型に対して真空密着により冷却して絞り加工する、所謂、サーモフォーミング成形が挙げられる。
【0008】
また、本発明では、内ケース本体及び内蓋体をそれぞれ、凹形状に構成し、内蓋体を内ケース本体の内側に取り外し可能に嵌合保持させることが好ましい。
【0009】
また、本発明では、内ケースに縁部を設けるとともに、この内ケースの縁部を載せ置く上端面との間で前記縁部を抜け止め保持する複数の突起部を外ケース本体に設けることができる。
【0010】
また、前記突起部が、内蓋体を閉じて二つ折りにされた内ケースのヒンジを抜け止め保持するものである場合、内蓋体の操作によって開かれたヒンジの内蓋体側が乗り越えて当該ヒンジを開いた状態に維持するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内ケースを、化粧料が充填される内ケース本体と、この内ケース本体を閉じる内蓋体とをヒンジを介して一体にシート状に成形したことから、内ケースの薄肉化に伴い化粧用容器全体としての小型化・軽量化とともに、部品点数の削減に伴う省パーツ化を図ることができる。
【0012】
従って、本発明によれば、小型化・軽量化とともに省パーツ化が図られた化粧用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一形態である、化粧用コンパクト容器を、その外蓋体を閉じた状態で示す縦断面図である。
【図2】同形態を、その外蓋体を開いた状態で示す縦断面図及び、その拡大図である。
【図3】同形態に係る、内ケースであって、(a)は、内ケースを開いた状態で示す平面図であり、(b)は、(a)のX−X断面図である。
【図4】同形態に係る、内ケースであって、(a)は、内ケースを閉じた状態で示す平面図であり、(b)は、(a)のY−Y断面図である。
【図5】同形態に係る、外ケースを開いた状態で示す平面図である。
【図6】同形態の外ケース軸部材側を、内蓋体を開いた状態で示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明である化粧用容器を詳細に説明する。
【0015】
図1において、符号1は、本発明の一形態である、化粧用コンパクト容器である。化粧用コンパクト容器1は、化粧料Cを収納する内ケース1Aと、この内ケース1Aを収納する外ケース1Bとからなる。外ケース1Bは、内ケース1Aを取り付ける外ケース本体2を有する。外ケース本体2には、外蓋体4が軸部材3を介して回転可能に軸支される。これにより、外蓋体4は軸部材3周りに、図1に示すように外ケース本体2を閉じた状態から、図2に示すように外ケース本体2から開くことができる。
【0016】
なお、外ケース本体2及び外蓋体4にはそれぞれ、従来と同様、図1に示すように、フック部2a,4aが一体に設けられている。これにより、外蓋体4を閉じると、フック部2a,4aが引っ掛かることで、外蓋体4を外ケース本体2に対して係止する。この係止も、従来と同様、プッシュピース5を押し込むことで解除される。また、外蓋体4の裏側にも、従来と同様、鏡等の反射部材Mが設けられている。
【0017】
内ケース1Aは、図3に示すように、化粧料Cが充填される内ケース本体6と、この内ケース本体6を閉じる内蓋体7とがヒンジ8を介して一体にシート状に成形されたものである。
【0018】
ここで、シート状に成形する方法としては、熱可塑性樹脂製のシート材を加熱処理して成形するほか、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料を加熱によりシート状に軟化させたのち、このシート状の樹脂材料を金型に対して真空密着により冷却して絞り加工する、所謂、サーモフォーミング成形が挙げられる。
【0019】
内ケース本体6は、軸線O1周りを周回する本体側周壁6aを有し、その下端が底壁6bによって閉じられた凹形状の部材であって、その内側に、化粧料Cを充填することができる。また、本体側周壁6aの上端には、本体側縁部6cが一体に設けられている。本体側縁部6cは、本体側周壁6aに沿って軸線O1周りを周回する。
【0020】
一方、内蓋体7も、軸線O2周りを周回する内蓋側周壁7aを有し、その下端が天壁7bによって閉じられた凹形状の部材である。内蓋側周壁7aの外径は、本体側周壁6aよりも小径に構成されている。これにより、内蓋側周壁7aは、図4に示すように、本体側周壁6aの内側に取り外し可能に嵌合させることができる。また、内蓋側周壁7aの上端にも、内蓋側縁部7cが一体に設けられている。内蓋側縁部7cも、内蓋側周壁7aに沿って軸線O2周りを周回する。
【0021】
更に、ヒンジ8は、本体側縁部6cと内蓋側縁部7cとを一体に連結する。ヒンジ8は、図示のようにC字断面形状の折り返し部8aを有する。折り返し部8aは、本体側縁部6cと本体側基部8b1を介して一体に繋がるとともに、内蓋側縁部7cと内蓋側基部8b2を介して一体に繋がる。これにより、内蓋側周壁7aは、図示のように、内蓋側縁部7cを本体側縁部6cに合わせることで、内ケース本体6に対して内蓋体7を取り外し可能に嵌合させることができる。内ケース本体6に対して内蓋体7を嵌合させると、同図に示すように、化粧料Cを収納する収納空間Sが形成される。なお、内蓋体7には、ヒンジ8との連結部分側と対向する位置に、内蓋体7を開け易くするための摘み部7dが一体に設けられている。このように、内ケースの摘み部7dを引き上げれば、外ケース本体2から容易に内ケース1Aを外すことができることで、分別や付替えが容易になる。
【0022】
上述のように、本形態では、内ケース1Aを、内ケース本体6と内蓋体7とをヒンジ8を介して一体にシート状に成形したことから、内ケース1Aの薄肉化に伴い化粧用コンパクト容器1全体としての小型化・軽量化とともに、部品点数の削減に伴う省パーツ化を図ることができる。
【0023】
加えて、本形態では、上述のとおり、内ケース1Aにおいて、内ケース本体6及び内蓋体7をそれぞれ、凹形状に構成し、内蓋体7を内ケース本体6の内側に取り外し可能に嵌合保持させたことで、内ケース1Aを閉じた状態での厚みの軽減が図れることから、化粧用コンパクト容器1全体としての小型化・軽量化に有効である。また、内蓋体7を凹形状に構成したことで、図1に示すように、パフ等の塗布具を、省スペース化を図りつつ収納することができる。
【0024】
ところで、外ケース本体2は、図5に示すように、内ケース1Aを収納する収納凹部Gを有する。収納凹部Gは、内周壁2b1と、この内周壁2b1に沿って周方向(軸線O1)周りに間隔を置いて当該内周壁2b1から内向きに突出する凸壁2b2からなる。凸壁2b2は、内ケース1Aの本体側周壁6aを嵌合保持する。これにより、内ケース1Aは、外ケース2の収納凹部Gに対して取り外し可能に嵌合保持される。
【0025】
また、内周壁2bの上端面2cには、図1に示すように、本体側縁部6cを介して内ケース1Aを乗せ置くことができる。加えて、上端面2cには、軸部材3側に凹部2dが形成されている。凹部2dには、図2の右側拡大図に示すように、ヒンジ8を収容する。凹部2dの底面2eには、同図に示すように、ヒンジ8を二つ折りにした状態で乗せ置くことができる。
【0026】
加えて、フック部2aの背面には、図2の左側拡大図に示すように、突起部2g1が一体に設けられている。突起部2g1は、内ケース1Aの本体側縁部6cに突出部6dを一体に設けることで、同図にて二点鎖線で示すように、内周壁2bの上端面2cとともに突出部6dを抜け止め保持する。同様に、溝部2dを形作る側壁2fにはそれぞれ、同図の右側拡大図に示すように、突起部2g2が一体に設けられている。突起部2g2はそれぞれ、同図にて二点鎖線で示すように、凹部2eとともに内蓋体7を閉じて二つ折りにされたヒンジ8の折り返し部8aを抜け止め保持する。これにより、内ケース1Aは、外ケース1Bに対して固定保持される。
【0027】
更に、突起部2g2は、内蓋体7を開くと、ヒンジ8の内蓋体側基部8b2が乗り越えられる寸法に突出させている。かかる構成によれば、内蓋体側基部8b2が突起部2g2を乗り越えると、内蓋体側基部8b2は、図6に示すように、2つの突起部2g2に対して引っ掛かってヒンジ8を開いた状態のまま、ヒンジ8の復元は阻止される。これにより、内蓋体側基部8b2が突起部2g2を乗り越えると、同図に示すように、内蓋体7が開いた状態を維持することができる。
【0028】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、本形態は、丸い外観形状を有した化粧用コンパクト容器として説明したが、本発明によれば、化粧用コンパクト容器の外観形状は矩形形状等、これを問わない。また、本形態では、内ケース1Aのみのシングルタイプのコンパクト容器で説明したが、本発明によれば、塗布部材等の収納空間を別途備えるタンデムタイプにも適用することができる。更に、外ケース1Bは、軸部材3を外ケース本体2に固定し、軸部材3と外蓋体4との摺動抵抗により、回転するものとしているが、軸部材3を外蓋体4に固定し、或いは、外ケース本体2と外蓋体4とのそれぞれに軸部材3を貫通させる等、外蓋体4が軸部材3の周りを回転する構成であれば、これに限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、化粧料を収納する内ケースと、この内ケースを取り付ける外ケース本体を有して当該外ケース本体を閉じる外蓋体が回転可能に軸支される外ケースとからなる化粧用容器であれば、様々なものに適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 化粧用コンパクト容器
1A 内ケース
1B 外ケース
2 外ケース本体
2b1 内周壁
2b2凸壁
2c 上端面
2d 凹部
2e 凹部底面
2g1 フック部側突起部
2g2 ヒンジ側突起部
3 軸部材
4 外蓋体
5 プッシュピース
6 内ケース本体
6a 本体側周壁
6b 本体底壁
6c 本体側縁部
6d 突出部
7 内蓋体
7a 内蓋側周壁
7b 内蓋天壁
7c 内蓋側縁部
8 ヒンジ
8a 折り返し部
8b1 本体側基部
8b2 内蓋側基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を収納する内ケースと、この内ケースを取り付ける外ケース本体を有して当該外ケース本体を閉じる外蓋体が回転可能に軸支される外ケースとからなる化粧用容器であって、
内ケースは、化粧料が充填される内ケース本体と、この内ケース本体を閉じる内蓋体とがヒンジを介して一体にシート状に成形されたものであることを特徴とする化粧用容器。
【請求項2】
請求項1において、内ケース本体及び内蓋体をそれぞれ、凹形状に構成し、内蓋体を内ケース本体の内側に取り外し可能に嵌合保持させたことを特徴とする化粧用容器。
【請求項3】
請求項1又は2において、内ケースに縁部を設けるとともに、この内ケースの縁部を載せ置く上端面との間で前記縁部を抜け止め保持する複数の突起部を外ケース本体に設けたことを特徴とする化粧用容器。
【請求項4】
請求項3において、前記突起部が、内蓋体を閉じて二つ折りにされた内ケースのヒンジを抜け止め保持するものである場合、内蓋体の操作によって開かれたヒンジの内蓋体側が乗り越えて当該ヒンジを開いた状態に維持するものであることを特徴とする化粧用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−111414(P2013−111414A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263075(P2011−263075)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)