説明

化粧用油中水型固形エマルション

【課題】 本発明は、エステル油とワックスとを含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、37℃で少なくとも1ヶ月間後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルション及びその皮膚のメイクアップおよびケアのための使用を提供する。
【解決手段】 エステル油とワックスとを含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エステル油の含有量が前記全ワックスの含有量を上回り、前記エマルションの37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルションを調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野で使用し得る、ワックスと特定の油とを含む油中水型固形エマルションに関する。本発明はまた、前記組成物を皮膚に適用することを含む、ヒトの皮膚のメイクアップ方法またはケア方法に関する。
【0002】
本発明のメイクアップ組成物は、ファンデーション、アイシャドー、メイクアップ用紅、コンシーラー製品、ボディメイクアップ製品またはリップスティックなどの、特に皮膚用メイクアップ組成物である。本発明は特にファンデーション組成物に関する。
【0003】
本発明のケア組成物は、スキンケアベース、ケアクリーム(昼用クリーム、夜用クリームもしくは抗シワクリーム)、メイクアップベースなどのスキンケア製品、リップケア組成物(リップバーム)、抗紫外線組成物もしくはセルフタンニング組成物またはデオドラントなどであってよい。
【背景技術】
【0004】
ファンデーションなどの皮膚用メイクアップ製品は、例えば、粉白粉、固形白粉、鋳造固形製品、棒状品、液状クリームなどの多様なガレノス製剤形態で知られている。
【0005】
鋳造固形製品は無水物であってもまたは各種エマルションの形態であってもよい。このようなエマルションは通常、油類、固形ワックス類、水、および賦形剤と顔料とからなる微粒子相を含んでいる。
【0006】
固形エマルションは、室温においてそれ自体の重さによって流動することはなく、ケースに詰め込むのに適している。そのような製品を適用するために、ユーザーは、指またはスポンジなどの塗布具を使用してそれを崩すことによって製品を直接取り上げることができる。ユーザーが製品を十分に取り上げることができるためには、固形エマルションが満足できる硬度を有していることが必要であり、特にこの硬度が時間を経てもほとんど変わらないこと、特に室温(25℃)より高い温度で保存した後にもこの硬度がほとんど変わらないことが必要である。しかし、ある種の固形エマルションは時間を経るとその硬度が低下する。すなわち、製品は軟化する傾向があり、製品が取り上げにくくなり、または取り上げようとしている間も取り上げるべき製品の量が制御しにくくなって、ユーザーにとっては不快なことすらある。さらに、もともと固形製品であるものが軟化していれば、ユーザーに気に入られない。
【特許文献1】欧州特許第1213316号
【特許文献2】WO-A-2004/024798
【特許文献3】仏国特許第A-2425848号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、時間を経ても、特に37℃で最低1ヶ月間保存した後でも安定した硬度を有する固形メイクアップまたはスキンケア組成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、十分な硬度を有しながら、同時に皮膚に適用したときにリッチでクリーミーな質感を有する固形組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、時間を経ても、特に37℃で1ヶ月後でも安定した硬度を有し、かつ皮膚に適用したときにリッチでクリーミーな質感を有する固形エマルションは、エステル油、ワックス、乳化性界面活性剤およびその他の特定の成分を使用することによって得ることができることを見出した。
【0010】
より詳しくは、本発明の1つの課題は、エステル油とワックスとを含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エステル油の含有量が前記全ワックスの含有量を上回り、前記エマルションの37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルションである。
【0011】
また、本発明の1つの課題は、エステル油とワックスと少なくとも2種類のポリオールと含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エマルションの37℃で少なくとも1ヶ月間後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルションである。
【0012】
また、本発明の1つの課題は、エステル油とワックスと少なくとも1種類のペースト状の脂肪物質と含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エマルションの37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルションである。
【0013】
また、本発明の1つの課題は、エステル油と、ワックスと、少なくとも1種類の疎水性物質でコーティングされた粉末状物質を組成物の全重量に対して20重量%未満または20%含む脂肪相中に、乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エマルションの37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルションである。
【0014】
本発明の別の課題は、皮膚をメイクアップまたはケアするための非治療的化粧方法であって、先に定義したような組成物を皮膚に適用することを含む化粧方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書において「固形組成物」とは、室温(25℃)において1時間経過した後もそれ自体の重みで流動することのない組成物のことを言う。
【0016】
本発明の固形エマルションは少なくとも1種のエステル油を含む。
【0017】
本明細書において「エステル油」とは、分子内にエステル官能基を少なくとも1つ含む、室温(25℃)において液状の油のことを言う。前記エステル油はモノエステルであることが有利である。
【0018】
前記エステル油は、式R1COOR2で表されるモノエステルから選択することが好ましい。式中、R1は、炭素原子4〜40個、好ましくは4〜30個、優先的には7〜20個を有する炭化水素系の直鎖または分岐鎖を表し、R2は、炭素原子3〜40個、好ましくは10〜30個、優先的には16〜26個を有する炭化水素系の分岐鎖を表す。
【0019】
このようなエステル油の例としては、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸イソセチル、イソノニルイソノナノエート、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリル酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソデシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-オクチルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、エルカ酸2-オクチルドデシルおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0020】
前記エステル油は、組成物の全重量に対して5重量%〜20重量%の範囲の含量で、好ましくは7重量%〜15重量%の範囲の含量で、優先的には8重量%〜12重量%の範囲の含量で本発明のエマルション中に存在することができる。
【0021】
前記脂肪相はまた、揮発性シリコーン油を含むことができる。
【0022】
本明細書において「揮発性油」とは、室温および大気圧下で、皮膚と接触して1時間経たぬうちに蒸発しうる油(または非水性媒体)のことを言う。揮発性油は化粧用揮発性油であって、室温で液状であり、室温および大気圧下で蒸気圧が0ではなく、詳しくは蒸気圧が0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、優先的には1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲にある油である。
【0023】
揮発性シリコーン油は、室温における粘度が8mm2/s未満であり、特に2〜7個のケイ素原子を有している直鎖または環状シリコーン油から選択することができ、これらシリコーンは場合によっては炭素原子1〜10個を有するアルキルまたはアルコキシ基を含んでいる。本発明において使用し得る揮発性シリコーン油としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0024】
前記揮発性シリコーン油は、組成物の全重量に対して5重量%〜40重量%の範囲の含量で、好ましくは10重量%〜30重量%の範囲の含量で、優先的には15重量%〜30重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0025】
前記組成物中の水と揮発性シリコーン油の総含量は、組成物の全重量に対して50重量%未満または50重量%、特に30重量%〜50重量%、好ましくは40重量%〜50重量%であることが有利である。
【0026】
前記エマルションの脂肪相は、前記エステル油および揮発性シリコーン油以外に、追加の油を含むことができる。
【0027】
前記追加の油は、特に揮発性または不揮発性の炭化水素系の油およびフッ素油から選択することができる。
【0028】
本明細書において「炭化水素系の油」とは、基本的に炭素原子および水素原子から形成される油またはそれらからなる油であって、酸素原子および窒素原子を含む場合もあるが、ケイ素原子またはフッ素原子は含まない油である。前記炭化水素系の油は、アルコール、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミドの各基を含むことができる。
【0029】
本明細書において「フッ素油」とは、フッ素原子を少なくとも1個含む油である。
【0030】
本発明で使用し得る、前記追加の揮発性油としては下記のものが挙げられる。
-炭素原子8〜16個を含む炭化水素系の揮発性油およびそれらの混合物。特にC8〜C16の分岐鎖アルカン類、例えばイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンC8〜C16のイソアルカン類(イソパラフィンとしても知られる)、例えば「Isopar」および「Permethyl」などの商品名で売られている油、C8〜C16の分岐鎖エステル類、例えばイソヘキシルネオペンタノエート、ならびにそれらの混合物である。イソドデカンが好ましく使用される。
-ノナフルオロエトキシブタン、ノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサンおよびドデカフルオロペンタン、ならびにそれらの混合物。ならびに
-それらの混合物。
【0031】
本発明で使用し得る、前記追加の不揮発性油としては、直鎖または分岐鎖炭化水素などの鉱物質由来または合成の炭化水素系の油が挙げられる。例えば、流動パラフィンまたはその誘導体、液状石油ゼリー、ポリデセン、Nippon Oil Fats社販売のParleamなどの水添ポリイソブテン、および合成または植物由来のスクアランなどが挙げられる。
【0032】
追加の不揮発性油としては、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドを高含量で含む植物由来炭化水素系の油が挙げられる。ここで脂肪酸の鎖長は異なっていてよく、直鎖状または分枝状のことがあり、また飽和または不飽和であってもよい。特に炭素原子4〜22個を有する脂肪酸のトリグリセリド、例えば、ヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリドおよびカプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、あるいはまたヒドロキシル化トリグリセリドを含む炭化水素油。その具体例として、スイートアーモンド油、ビューティリーフ油、パーム油、グレープシード油、ゴマ油、アララ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アルファルファ油、マロー油、ブラックカラント油、マカデミア油、シャコウバラ油、ヘーゼルナッツ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物(トウモロコシ、小麦、大麦またはライ麦)胚芽油およびシアバター油などが挙げられる。また、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸などの炭素原子8〜26個を有する高級脂肪酸のトリグリセリドを含む炭化水素油が挙げられる。オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールなどの炭素原子8〜26個を有する高級脂肪アルコールのトリグリセリドを含む炭化水素油も挙げられる。炭素原子を少なくとも7個含む合成エーテルを含むトリグリセリドからなる炭化水素油も挙げられる。例えば、室温で液状である直鎖状の、場合によってはフェニル化されているポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーン油が挙げられ、その具体例としては、フェニルトリメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートなどが挙げられる。これらシリコーン油は液状であり、場合によっては、炭素原子を2〜24個含み場合によってフッ素化している脂肪族基および/または芳香族基で置換している。ここで脂肪族基および/または芳香族基とはシリコーン鎖に懸垂した状態および/またはシリコーン鎖の末端にあるアルキル、アルコキシまたはフェニル基などである。これらシリコーン油はまた、場合によってはヒドロキシ基、チオール基および/またはアミン基などの官能基で置換している。ならびに前記炭化水素油の混合物も挙げられる。
【0033】
前記追加の油は、組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することが有利である。本発明のエマルションの1つの実施形態においては、追加の油の含量は、組成物の全重量に対して0重量%とすることもできる。
【0034】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、前述のように、エマルションは単独油としてエステル油を含有し、場合によっては揮発性シリコーン油を含有する。
【0035】
本発明のエマルションに存在するワックスは、硬度が5MPa〜9MPaの範囲、好ましくは6MPa〜9MPaの範囲、優先的には7MPa〜9MPaの範囲にあるワックスから選択することが有利である。
【0036】
本発明の目的において、用語「ワックス」とは、室温(25℃)で固体状であって、固体/液体の状態変化が可逆的であり、融点が30℃より高く最高で200℃であり、硬度が0.5MPaより高く、かつ固体状態において異方性結晶組織を有する親油性脂肪化合物のことを言う。ワックスは、融点に至らしめることによって油類と混和性にすることができ、また、微視的に均質な混合物を形成することができる。しかし、その混合物を室温に戻せば、混合物の油中にワックスを再結晶させることができる。
【0037】
ワックスの硬度は、圧縮力を測定することによって決定される。この圧縮力は、測定速度0.1mm/sで走行する直径2mmのステンレス鋼製シリンダーを装備した、TA-XT2iの名で販売されているRheo社のテクスチュロメーターを用い、20℃にてワックス中を0.3mmの深さまで突き通して測定する。硬度測定を行うために、ワックスはその融点(20℃の温度で溶融される。溶融したワックスは直径30mm深さ20mmの容器内に流し込まれる。前記ワックスを室温(25℃)で24時間再結晶させ、硬度測定を行う前に、20℃にて少なくとも1時間貯蔵する。硬度値は、圧縮力の測定値を、ワックスに接触しているテクスチュロメーターシリンダーの表面積で割った値である。
【0038】
特許出願の目的において、前記ワックスは炭化水素系のワックス、シリコーンワックスおよび/またはフッ素ワックスであってよく、場合によってはエステルまたはヒドロキシル官能基を含んでいてよい。
【0039】
先に定義したような硬度を有するワックスは、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、「Performalene 400 Polyethylene」の名で販売されている New Phase Technologies社のワックスなどのポリエチレンワックス、「Abil Wax 9810」の名で販売されているGoldschmidt社の製品などのポリ(C24〜C28)アルキルメチルジメチルシロキサンといったシリコーンワックス、パームバター、「Kester Wax K82H」の名で販売されているKester Keunen社の炭素原子20〜40個を有するステアリン酸アルキル、安息香酸ステアリル、セラックワックスおよびそれらの混合物から選択することができる。好ましくは、カルナバワックス、カンデリラワックス、オゾケライト、水添ホホバ油およびポリエチレンワックスから選択されるワックスが使用される。優先的には、前記ワックスはカンデリラワックス、オゾケライトおよびそれらの混合物から選択される。
【0040】
前記ワックスは、本発明の組成物中に、前記組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%の範囲の含量で、好ましくは2重量%〜7重量%の範囲の含量で、優先的には2重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0041】
本発明のエマルションは、油中水エマルションを得ることを可能にする乳化性界面活性剤、特にHLB(親水性/親油性バランス)が7未満の乳化性界面活性剤を含み、この種の乳化性界面活性剤は、例えばモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸グリセリルもしくはソルビトールまたはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸グリセリルもしくはソルビトール、ラウリン酸グリセリルまたはラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリオールの脂肪酸エステル;例えば炭素原子6〜22個を有する、懸垂しているかまたはシリコーン骨格の末端にあるアルキルまたはアルコキシ鎖を有するアルキルまたはアルコキシジメチコンコポリオール;およびグリコールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルなどのポリマーから選択することができる。乳化シリコーンエラストマーおよびポリヒドロキシル化シリコーン、特にポリグリセロール化シリコーンも使用することができる。前述の界面活性剤の混合物を使用することも可能である。
【0042】
特に乳化性界面活性剤は、C8〜C22アルキルジメチコンコポリオール、すなわち、オキシプロピレン化および/またはオキシエチレン化ポリメチル(C8-C22)アルキル−ジメチルメチルシロキサンであることができる。
【0043】
前記C8〜C22アルキルジメチコンコポリオールは次式(I)で表される化合物であることが有利である。
【0044】
【化1】

【0045】
式中、
- PEは(-C2H4O)x-(C3H6O)y-Rを表し、Rは水素原子と炭素原子1〜4個を有するアルキル基とから選択され、xは0〜100の範囲の値であり、yは0〜80の範囲の値であり、xとyは同時に0であることはなく、
- mは1〜40の範囲の値であり、
- nは10〜200の範囲の値であり、
- oは1〜100の範囲の値であり、
- pは7〜21の範囲の値であり、
- qは0〜4の範囲の値であり、
好ましくは、
R = H、
m = 1〜10、
n = 10〜100、
o = 1〜30、
p = 15、
q = 3
である。
【0046】
C8〜C22アルキルジメチコンコポリオールとしては、セチルジメチコンコポリオール、例えば、Abil EM-90の名で販売されているGoldschmidt社の製品が挙げられる。
【0047】
前記乳化剤はまた、ポリヒドロキシル化鎖、特にポリグリセロール化鎖を有するシリコーン界面活性剤であってもよい。ポリヒドロキシル化鎖とは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する炭化水素鎖を意味する。
【0048】
ポリヒドロキシル化シリコーンとしては、下記一般式(I')で表されるシリコーンポリマーを使用することができる。
R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 (I')
式中、
a) a、bおよびcは、aが1〜2.5の範囲であり、bおよびcがそれぞれ独立に0.001〜1.5の範囲である。
b) R1は同一であっても異なっていてもよく、下記の基から選択される。すなわち、
- C4〜C30アルキル基。前記アルキル基は1つまたは複数のフッ素原子ならびにアミノ基および/またはカルボキシル基で適宜置換されていてもよい。
- アリール基およびアラルキル基。および、
- 一般式(II)で表される基。
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
式中、
- R4は、C4〜C30炭化水素系の基またはR5がC1〜C30炭化水素系の基である基R5-(CO)-であり、
- d、eおよびfは、dが0〜15の範囲の整数であり、eおよびfがそれぞれ独立に0〜50の範囲の整数である。
- ならびにそれらの組み合わせ。
c) R2は、下記一般式(III)で表される。
-Q-O-X (III)
式中、
- Qは、エーテル結合を少なくとも1個および/またはエステル結合を少なくとも1個含んでいてよい二価のC2〜C20炭化水素系の基であり、
- Xは、ポリヒドロキシル化炭化水素系の基である。
d) R3は、一般式(IV)で表されるオルガノシロキサン基である。
【0049】
【化2】

【0050】
式中、
- 各基Rは、互いに独立に、C1〜C30アルキル基、アリール基およびアラルキル基から選択される基を表す。ここで前記アルキル基は1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換されていてもよく、
- gおよびhは、gが1〜5の範囲の整数であり、hが0〜500の範囲の整数である。
【0051】
基Rが炭素原子1〜30個を有するアルキル基から選択される基を表す場合、ここで前記アルキル基は1つまたは複数のフッ素原子、アリール基およびアラルキル基で適宜置換されていてもよいが、その基は先に定義した基R1と同様の意味を有する基である。
【0052】
先に定義した一般式(I')で表されるシリコーンポリマーの基R1、R2およびR3は、規則的に連続して分布しているわけではなくランダムに分布していること、すなわち所定の秩序を持たないポリマー構造を呈していることに注意されたい。
【0053】
前記a)において、より詳しくは、aは1.2〜2.3の範囲であり、特に、bおよびcはそれぞれ独立に0.05〜1の範囲の値である。
【0054】
前記b)において、
- R1がアルキル基である場合、そのアルキル基は炭素原子1〜30個、特に1〜25個、さらには1〜20個を有するアルキル基、特に炭素原子1〜10個を有するアルキル基、特に炭素原子1〜6個を有するアルキル基、さらには炭素原子1〜4個を有するアルキル基である。さらに詳しくは、前記アルキル基はメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはラウリル基であってよい。前記アルキル基はまた、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキル基であってもよい。前記アルキル基はまた、直鎖状または分枝状モノ不飽和またはポリ不飽和アルキル基であってもよい。またトリフルオロプロピルまたはヘプタデカフルオロデシルなどの、1つまたは複数のフッ素原子で置換されたアルキル基であってもよい。前記アルキル基はまた、2-アミノエチル、3-アミオプロピルまたは3-(2-アミノエチル)アミノプロピルなどの、1つまたは複数のアミノ基で置換されたアルキル基であってもよい。前記アルキル基はまた、3-カルボキシプロピルなどの、1つまたは複数のカルボキシ基で置換されたアルキル基であってもよい。
- R1は、フェニル基、トリル基、ベンジル基またはフェニチル基などのアリールまたはアラルキル基であってもよい。
- R1は、一般式(II)で表される有機基であってもよい。
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
【0055】
1つの実施形態によれば、R1はヒドロキシル化基、または飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分枝状アルケニルエーテルの付加反応から誘導される基であってよく、その場合d=0であり、したがって次式で表される。
-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4
【0056】
この場合、eおよびfが0であれば、R1は、炭素原子4〜30個を含むアルコキシ基、例えばブトキシもしくはペントキシなどの炭素原子4〜10個を有する低級アルコキシ基、またはオレオキシもしくはステアロキシなどの炭素原子11〜30個を有する高級アルコキシ基、すなわちセチルアルコール、オレイルアルコールおよびステアリルアルコールなどであり、または酢酸、乳酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸もしくはベヘン酸などの酸もしくは脂肪酸から誘導される基である。
【0057】
eおよびfが1より大きい値であれば、R1は、アルキレンオキシドの付加反応から誘導されるヒドロキシル基である。
【0058】
eおよびfが0である場合、dが3、5または11であると特に有利である。この場合、R1は、置換基R4の性質によって、アリルエーテル、ペンテニルエーテルもしくはウンデセニルエーテル基、またはアリルステアリルエーテル、ペンテニルベヘニルエーテルもしくはウンデセニルオレイルエーテル基となる。
【0059】
eおよびfが0以外の値である場合、アルコキシ基およびエステル基はポリオキシアルキレン基を介して存在する。
【0060】
eおよびfの値と関係なく、dが3〜5の範囲内の値であると特に有利である。
【0061】
1つの実施形態によれば、基R1は先に定義した基のいずれであってもよく、または先に定義した基の2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0062】
R1は、メチル基、ラウリル基およびそれらの組合せから選択されたアルキル基であると有利である。
【0063】
また、R1が2つ以上の基である場合、例えばメチル基とラウリル基である場合、これら基は構造中にランダムに現れ、また互いに異なる頻度で現れる。
【0064】
特に、基R1の少なくとも50%、特に少なくとも70%、さらには100%はメチル基である。
【0065】
前記c)において、
- Qは、特に、
-(CH2)2-、-(CH2)3-、-CH2CH(CH3)-CH2、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)7-、-(CH2)8-、-(CH2)2-CH(CH2CH2-CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)-、-(CH2)3-O-(CH2)2-、-(CH2)3-O-(CH2)2-O-(CH2)2-、-(CH2)3-O-CH2CH(CH3)-および-CH2-CH(CH3)-COO(CH2)2-
から選択される二価の炭化水素系の基であってよい。
【0066】
Qが-(CH2)2-と-(CH2)3-から選択される二価の基であることが有利である。
【0067】
- Xは、特に、ヒドロキシル残基を少なくとも2個含むポリヒドロキシル化炭化水素系の基、特にグリセリル誘導体と糖類誘導体から選択される炭化水素系の基であってよい。
【0068】
前記グリセロール残基は、次式で表される化合物であってよい。式中、Qは一般式(III)におけるQと同様の意味を有する基であり、s およびtは1〜20の範囲内の整数、特に1〜15の範囲内の整数、特に1〜10の範囲内の整数、さらには1〜5の範囲内の整数である。
【0069】
【化3】

【0070】
式中、1つまたは複数のヒドロキシル基は、アルコキシ基またはエステル基で置換されていてもよい。
【0071】
一般式(III)で使用し得る糖基は、グリコシル、マンノシル、ガラクトシル、リボシル、アラビノシル、キシロシルもしくはフラクトシル基などの単糖類タイプ、マルトシル、セロビオシル、ラクトシルもしくはマルトトリオシルなどの少糖類タイプ、またはセルロースもしくはデンプンなどの多糖類タイプ基であってよい。
【0072】
特に、糖類基は単糖類タイプまたは少糖類タイプの基である。
【0073】
前記d)において、
- 各基Rは、互いに独立に、特に炭素原子1〜20個、さらに1〜10個、さらに1〜6個を有するアルキル基から選択される基を表すことができる。ここで、前記基は1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換されていてもよい。基Rが、先に定義したような、1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換されていてもよいアルキル基から選択される基を表す場合、それらは先に定義したような基R1と同様な意味を有する基である。
- 1つの実施形態によれば、gは2である。
- 1つの実施形態によれば、hは1〜50の範囲内の値である。
【0074】
1つの実施形態によれば、一般式(I')で表されるシリコーンポリマーは下記のようなシリコーンポリマーである。
- aが1〜1.4の範囲であり、bおよびcはそれぞれ独立に0.02〜0.03の範囲であり、
- R1が炭素原子1〜10個、特に1〜6個、さらには1〜4個を有するアルキル基であり、
- R2が式(IIIA)で表され、
-C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH (IIIA)
式中、
- nは1〜5の範囲であり、かつ
- R3が式(IVA)で表され、
-C2H4(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3 (IVA)
式中、mは3〜9の範囲である。
【0075】
また別の実施形態によれば、本発明の化粧用組成物で使用し得る、一般式(I')で表されるシリコーンポリマーは下記のようなシリコーンポリマーである。
- aが1〜1.4の範囲であり、bおよびcはそれぞれ独立に0.02〜0.04の範囲であり、
- R1がメチル基であり、
- R2が式(IIIA)で表され、式中、nは1〜5の範囲であり、かつ
- R3が式(IVA)で表され、式中、mは3〜9の範囲である。
【0076】
例えば、本発明の組成物で使用される一般式(I')で表されるシリコーンポリマーは、ポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコンおよびポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコンから選択され、それぞれ次式で表される。
- ポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコン(式(V))
【0077】
【化4】

【0078】
式中、
Sx: -C2H4[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3
Gly: -C3H6O[CH2-CH(OH)CH2O]nH
およびa = 1〜1.4、b = 0.02〜0.04、c = 0.02〜0.04、m = 3〜9, n = 1〜5である。
- ラウリルポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコン(式(VI))
【0079】
【化5】

【0080】
式中、
Sx、Gly、a、b、c、mおよびnは上記と同様の意味を有し、R1はメチル基またはラウリル基のいずれかである。
- ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン(式(VII))
【0081】
【化6】

【0082】
式中、
Gly、a、b、c、mおよびnは上記と同様の意味を有し、
Sx: -O(CH3)2SiO-Si(CH3)3である。
【0083】
式(I')で表されるシリコーンポリマーについては、欧州特許出願第1213316号に詳しく記載されている。同出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
1つの実施形態によれば、式(I')で表されるシリコーンポリマーは、KF 6100、KF 6104およびKF 6105の名で販売されているShin-Etsu社のポリマーから選択される。
【0085】
KF 6104の名で販売されているポリマーは、本発明の化粧用組成物の生成に特に好適である。
【0086】
特にポリヒドロキシル化鎖を有する、乳化性の弾性架橋オルガノポリシロキサンもまた乳化剤として使用することができる。
【0087】
弾性架橋オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合している水素原子を少なくとも1個有するジオルガノポリシロキサンと、エチレン性不飽和基を有するポリヒドロキシル化またはポリオキシアルキレン化化合物とを、特に白金触媒の存在下で架橋付加反応させることによって得ることができる。
【0088】
好ましくは、弾性架橋オルガノポリシロキサンは、(A)それぞれケイ素原子に結合している水素原子を少なくとも2個有するジオルガノポリシロキサンと、(B)エチレン性不飽和基を少なくとも2個有するグリセロール化またはポリオキシアルキレン化化合物とを、特に(C)白金触媒の存在下で架橋付加反応させることによって得られる。
【0089】
特に、オルガノポリシロキサンは、ジメチルビニルシロキシ末端基を有するポリグリセロール化化合物とトリメチルシロキシ末端基を有するメチルヒドロゲノポリシロキサンとを、白金触媒の存在下で反応させることによって得ることができる。
【0090】
前記化合物(A)は弾性オルガノポリシロキサン形成の原試薬であり、架橋は前記化合物(A)と前記化合物(B)とを前記触媒(C)の存在下で付加反応させることによって行われる。
【0091】
前記化合物(A)は、特に各分子内の異なるケイ素原子に結合している水素原子を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンである。
【0092】
前記化合物(A)の分子構造はいかなる構造であってもよく、特に直鎖状もしくは分枝状構造または環状構造であってよい。
【0093】
特に前記化合物(A)が前記化合物(B)と十分混和性であるために、化合物(A)の25℃における粘度は1〜50000センチストークスの範囲であってよい。
【0094】
前記化合物(A)のケイ素原子に結合する有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル、ドデシル(もしくはラウリル)、ミリスチル、セチルまたはステアリルなどの炭素原子1〜18個を有するアルキル基、2-フェニルエチル、2-フェニルプロピルまたは3,3,3-トリフルオロプロピルなどの置換アルキル基、フェニル、トリルまたはキシリルなどのアリール基、フェニルエチルなどの置換アリール基、およびエポキシ基、カルボン酸エステル基またはメルカプト基などの置換された一価の炭化水素系の基であってよい。前記有機基は、メチル、フェニルおよびラウリル基から選択されることが好ましい。
【0095】
したがって前記化合物(A)は、トリメチルシロキシ末端基を有するメチルヒドロゲノポリシロキサン類、トリメチルシロキシ末端基を有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン環状コポリマーまたはトリメチルシロキシ末端基を有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン-ラウリルメチルシロキサンコポリマーから選択することができる。
【0096】
前記化合物(B)は、以下のいずれかであることができる。
- 次式(B')で表されるポリグリセロール化化合物
CmH2m-1-O-[Gly]n-CmH2m-1 (B')
(式中、mは2〜6の範囲の整数である。nは2〜200の範囲の整数、好ましくは2〜100の範囲の整数、好ましくは2〜50の範囲の整数、好ましくは2〜20の範囲の整数、好ましくは2〜10の範囲の整数、優先的には2〜5の範囲の整数、特に好ましくは3である。Glyは、
-CH2-CH(OH)-CH2-O-または-CH2-CH(CH2OH)-O-
を表す)
-またはビニル基2個を有するポリオキシアルキレン化合物。
【0097】
前記化合物(B)1分子中のエチレン性基の数と、前記化合物(A)1分子中のケイ素原子に結合している水素原子の数の和は少なくとも4であることが有利である。
【0098】
前記化合物(A)は、前記化合物(A)中のケイ素原子に結合している水素原子の総量と前記化合物(B)中のエチレン性不飽和基の総量とのモル比が1/1〜20/1の範囲内となるような量添加されることが有利である。
【0099】
前記化合物(C)は架橋反応触媒であり、特に塩化白金酸、塩化白金酸-オレフィン錯体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸-ジケトン錯体、白金黒および支持体に担持されている白金である。
【0100】
前記触媒(C)は、クリーンプラチナ金属として、化合物(A)と化合物(B)の総量1000重量部に対して、好ましくは0.1〜1000重量部、より好ましくは1〜100重量部添加される。
【0101】
前記乳化性シリコーンエラストマーは、少なくとも1種の炭化水素系の油および/または1種のシリコーン油中でゲルの状態で運ばれる。これらゲルにおいて、前記乳化性エラストマーは非球状粒子の形をしていることが多い。
【0102】
ポリオキシアルキレン化エラストマーについては、特に米国特許第5236986号、同第5412004号、同第5837793号および同第5811487号に記載されており、その内容を参照によって本発明に組み込む。
【0103】
使用することができるポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーには、「KSG-21」、「KSG-20」、「KSG-30」、「KSG-31」、「KSG-32」、「KSG-33」、「KSG-210」、「KSG-310」、「KSG-320」、「KSG-330」、「KSG-340」および「X-226146」の名で販売されているShin-Etsu社の製品ならびに「DC9010」および「DC9011」の名で販売されているDow Corning社の製品が含まれる。
【0104】
ポリグリセロール化エラストマーについては、特に特許WO-A-2004/024798に記載されているが、その内容は参照により本特許願明細書に組み込まれる。
【0105】
本発明において使用できるポリグリセロール化シリコーンエラストマーは、「KSG-710」、「KSG-810」、「KSG-820」、「KSG-830」および「KSG-840」の名で販売されているShin-Etsu社のエラストマーである。
【0106】
W/Oエマルションを得るために本発明において使用し得るその他の界面活性剤としては、油中水乳化特性を有するグリコールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルなどの種のポリマーが挙げられる。
【0107】
前記ポリマーの脂肪酸エステルはポリヒドロキシル化していることが好ましい。特に、このポリマーはブロックポリマーであり、好ましくはポリ(ヒドロキシル化エステル)ブロックとポリエチレングリコールブロックとを含むABA構造のブロックポリマーである。
【0108】
一般に、先に定義した乳化性ポリマーの脂肪酸エステルは、炭素原子12〜20個、好ましくは炭素原子14〜18個を含む鎖を有している。このようなエステルは、特にオレエート、パルミテートおよびステアレートから選択することができる。
【0109】
先に定義した乳化性ポリマーのポリエチレングリコールブロックは、好ましくは4〜50モルのエチレンオキシドを含み、優先的には20〜40モルのエチレンオキシドを含む。
【0110】
本発明の組成物を生成するのに特に好適である1つのポリマー界面活性剤は、「Arlacel P 135」の商品名で販売されているICI社の30EOポリエチレングリコールジポリヒドロキシステアレートである。
【0111】
乳化性界面活性剤は、組成物中に、その組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%の範囲、好ましくは2重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0112】
本発明の固形エマルションの水性相は水を含む。前記水は、ヤグルマソウ水などのフローラルウォータおよび/またはオーデヴィッテル、オーデルーカスもしくはオーデラロッシュボゼなどのミネラルウォータおよび/またはスプリングウォータであってよい。前記水は、本発明のエマルション中に、前記組成物の全重量に対して10重量%〜40重量%、好ましくは15重量%〜30重量%、優先的には15重量%〜25重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0113】
前記水性相は、水混和性(室温-25℃)の溶媒を含むこともできる。前記溶媒とは、例えば、エタノールまたはイソプロパノールなどの炭素原子を2〜6個有するモノアルコール類、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールまたはジエチレングリコールなどの炭素原子を2〜20個、好ましくは炭素原子を2〜10個、優先的には炭素原子を2〜6個有するポリオール類、モノ-、ジ-もしくはトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテルまたはモノ-、ジ-もしくはトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテルなどのグリコールエーテル類(特に炭素原子を3〜16個含む)、およびそれらの混合物などである。
【0114】
前記水性相は、水と混和性の、特に室温(25℃)で水と混和性のポリオールを少なくとも1つ含む。水混和性のポリオールとしては、特に炭素原子3〜20個、好ましくは3〜10個を有するポリオール、さらに好ましくはグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールなどの炭素原子を3〜6個有するポリオール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0115】
単一のまたは複数のポリオールが、組成物全重量に対して5重量%〜20重量%の範囲、特に5重量%17重量%の範囲、好ましくは少なくとも6重量%、特に6重量%〜20重量%の範囲、さらに好ましくは6重量%〜17重量%の範囲、さらに好ましくは8重量%〜12重量%の範囲の量で存在することができる。
【0116】
前記組成物は、少なくとも2つの水混和性ポリオールを含むことが有利であり、特に3個の炭素原子を有する水混和性ポリオールと、3個より多い炭素原子、特に4〜20個、好ましくは4〜10個、優先的には4〜6個の炭素原子を有する水混和性ポリオールとを含むことが有利であり、それらポリオールは先に示したポリオールから選択することができる。
【0117】
本発明のエマルションは、水混和性の有機溶媒、特にポリオールを、前記組成物の全重量に対して1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%の範囲の含量で含むことができる。
【0118】
前記水性相は、例えば塩化ナトリウム、二塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムなどの安定剤を含むこともできる。
【0119】
また、前記水性相は、ゲル化剤、膜形成性ポリマー、増粘剤および界面活性剤、ならびにそれらの混合物などの水性相と相溶性の水溶性または水分散性化合物を含むこともできる。
【0120】
前記水性相は、本発明のエマルション中に、前記組成物の全重量に対して25重量%〜50重量%、好ましくは25重量%〜45重量%、優先的には25重量%〜35重量%の範囲の含量で存在することが好ましい。
【0121】
また、前記エマルションの脂肪相は、少なくとも1種のペースト状の脂肪物質を含んでいてよい。
【0122】
本発明の目的において、「ペースト状」とは、固体状態で異方性結晶組織を有しかつ23℃で液体画分と固体画分とを含む、固体/液体の可逆的状態変化を受ける親油性脂肪化合物を意味するものである。
【0123】
本発明の目的において、「ペースト状化合物」とは、20℃で硬度が0.001〜0.5MPa、好ましくは0.002〜0.4MPaの範囲にある化合物を意味する。
【0124】
硬度は、化合物のサンプルに探針を突き通す方法によって測定され、特に直径2mmのステンレス鋼製シリンダーを装備したテクスチュロメーター(例えばRheo社のTA-XT2i)を用いて測定される。硬度測定は20℃で5個のサンプルの中心で実施される。各サンプルに、前記シリンダーを前速度1mm/sで導入し、次いで測定速度0.1mm/sで導入する。針入深さは0.3mmである。示される硬度値は最大値である。
【0125】
このペースト状化合物はまた、23℃で液体画分と固体画分の形態をしている。すなわち、このペースト状化合物の溶融開始温度は23℃未満である。23℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、前記組成物の9重量%〜97重量%である。23℃でのこの液体画分は、15重量%〜85重量%の範囲、好ましくは40重量%〜85重量%の範囲であることが好ましい。
【0126】
重量で表される23℃でのペースト状化合物の液体画分は、23℃で消費される溶融熱のペースト状化合物の溶融熱に対する比に等しい。
【0127】
前記ペースト状化合物の溶融熱は、その化合物が固体の状態から液体の状態に変化するために消費する熱である。前記ペースト状化合物は、その塊全部が固体結晶の形態をしている場合に固体の状態にあると言われる。また、前記ペースト状化合物は、その塊全部が液体の形態をしている場合に液体の状態にあると言われる。
【0128】
前記ペースト状化合物の溶融熱は、MDSC 2920の名で販売されているTA Instrument社の熱量計などの示差走査熱量計(DSC)を使用し、ISO11357-3:1999標準に準拠して毎分5〜10℃の温度上昇によって得られるサーモグラムの曲線の下の面積に等しい。前記ペースト状化合物の溶融熱は、その化合物を固体の状態から液体の状態に変化させるのに必要なエネルギーの量である。これはJ/gで表される。
【0129】
23℃で消費される溶融熱は、サンプルが固体の状態から、液体画分と固体画分とからなる23℃での状態に変化するために吸収するエネルギーの量である。
【0130】
32℃で測定される前記ペースト状化合物の液体画分は、前記組成物の重量に対して30重量%〜100重量%であることが好ましく、80重量%〜100重量%であることがより好ましく、90重量%〜100重量%であることがさらに好ましい。32℃で測定される前記ペースト状化合物の液体画分が100%である場合、前記ペースト状化合物の溶融範囲の最高温度は32℃未満または32℃である。
【0131】
32℃で測定される前記ペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費される溶融熱の、前記ペースト状化合物の溶融熱に対する比に等しい。32℃で消費される溶融熱は、23℃で消費される溶融熱と同様の方法で算出される。
【0132】
前記ペースト状化合物は、合成の化合物および植物由来の化合物から選択されることが好ましい。ペースト状化合物は、植物由来の出発原料から合成によって得ることができる。
【0133】
前記ペースト状化合物は、
- 重合または非重合シリコーン化合物、
- 重合または非重合フルオロ化合物、
- ビニルポリマー、特に
- オレフィンホモポリマー
- オレフィンコポリマー
- 水添ジエンホモポリマーおよびコポリマー
- 直鎖状または分枝状オリゴマー、ここで前記オリゴマーは好ましくは炭素原子C8〜C30アルキル基を有するアルキル(メト)アクリレートのホモポリマーまたはコポリマー
- オリゴマー、ここで前記オリゴマーはC8〜C30アルキル基を有するビニルエステルのホモポリマーまたはコポリマー
- オリゴマー、ここで前記オリゴマーはC8〜C30アルキル基を有するビニルエーテルのホモポリマーまたはコポリマー
- 1つまたは複数のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオールの間でポリエーテル化によって生じる油溶性ポリエーテル、
- エステル、
およびそれらの混合物
から選択されることが有利である。
【0134】
前記ペースト状化合物はポリマー、特に炭化水素系のポリマーであることが好ましい。
【0135】
ペースト状シリコーンおよび/またはフルオロ化合物
好ましいペースト状シリコーンおよびフルオロ化合物は、X22-1088の名で販売されているShin-Etsuのポリメチルトリフルオロプロピルメチルアルキルジメチルシロキサンである。
【0136】
ペースト状ポリエーテル化合物
特に好ましい油溶性ポリエーテルとしては、C6〜C30長鎖アルキレンオキシドを有するエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのコポリマーが挙げられ、より好ましくはコポリマー中のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのアルキレンオキシドに対する重量比が、5:95〜70:30であるようなコポリマーが挙げられる。このファミリーの中で、特に長鎖アルキレンオキシドが平均分子量1000〜10000であり、ブロック状に配置されているようなコポリマー、例えば、Elfacos ST9の商品名で販売されているAkzo Nobelの、ドデカンジオール(22モル)のエーテルとポリエチレングリコール(45 EO)のエーテルなどのポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーが挙げられる。
【0137】
特に好ましいエステルとしては、
- グリセロールオリゴマーのエステル、特にジグリセロールエステル、詳細にはアジピン酸とグリセロールの縮合物であって、グリセロールのヒドロキシル基の一部がステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸および12-ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸の混合物と反応しているグリセロールエステル、例えばSoftisan 649の商品名で販売されているSasol社のグリセロールエステル、
- Waxenol 801の商品名で販売されているAkzo社のプロピオン酸アラキジルエステル、
- 植物ステロールエステル、
- 直鎖状または分枝状C4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸とC2〜C50ジオールまたはポリオールとの重縮合によって生じる非架橋ポリエステル、
- 脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルと脂肪族カルボン酸とのエステル化によって生じるエステルの脂肪族エステル、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0138】
前記脂肪族カルボン酸は、炭素原子を4〜30個、好ましくは8〜30個を有する。前記脂肪族カルボン酸は、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、イソアラキン酸、オクチルドデカン酸、ヘンエイコサン酸およびドコサン酸、ならびにそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0139】
前記脂肪族カルボン酸は、分枝状であることが好ましい。
【0140】
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、炭素原子を2〜40個、好ましくは10〜34個、さらに好ましくは12〜28個と、ヒドロキシル基を1〜20個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜6個とを有するヒドロキシル化脂肪族カルボン酸から誘導されることが有利である。前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、
a) モノヒドロキシル化直鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
b) モノヒドロキシル化不飽和脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
c) モノヒドロキシル化飽和脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
d) ポリヒドロキシル化飽和脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
e) モノヒドロキシル化またはポリヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸またはポリカルボン酸と反応しているC2〜C16脂肪族ポリオールの部分エステルまたは全エステル、
およびそれらの混合物
から選択される。
【0141】
前記エステルの脂肪族エステルは、
- 水添ヒマシ油とイソステアリン酸とが1対1(1/1)の比率でエステル化反応することによって生じるエステルまたはモノイソステアリン酸水添ヒマシ油、
- 水添ヒマシ油とイソステアリン酸とが1対2(1/2)の比率でエステル化反応することによって生じるエステルまたはジイソステアリン酸水添ヒマシ油、
- 水添ヒマシ油とイソステアリン酸とが1対3(1/3)の比率でエステル化反応することによって生じるエステルまたはトリイソステアリン酸水添ヒマシ油、
- および
それらの混合物
から選択されることが有利である。
【0142】
好ましく選択される植物由来のペースト状化合物としては、Lanolideの名で販売されているVevy社の、大豆ステロールとペンタエリスリトールのオキシエチレン化(5 EO)オキシプロピレン化(5 PO)混合物が挙げられる。
【0143】
好ましく使用されるペースト状脂肪物質は、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、炭素原子を6〜40個有するアルキレンオキシドとのブロックコポリマーであって、前記ブロックコポリマーの重量平均分子量は5000〜8000である。
【0144】
前記コポリマーのアルキレンオキシドは、炭素原子を6〜30個、好ましくは8〜20個、優先的には10〜18個、より好ましくは10〜14個有していることが有利である。
【0145】
前記コポリマーの重量平均分子量は、5000〜8000、好ましくは5500〜7000、優先的には5500〜6500、より好ましくは5800〜6200である。
【0146】
前記コポリマーは、35〜55個のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドユニットと、15〜30個の炭素原子を6〜40個有するアルキレンオキシドユニットからなることが有利である。
【0147】
特に前記コポリマーは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドユニットの数と炭素原子を6〜40個有するアルキレンオキシドユニットの数との比が、1.5〜2.5、好ましくは1.8〜2.3、優先的には1.9〜2.1であるようなコポリマーである。
【0148】
このようなコポリマーについては特に仏国特許第A-2425848号の文献に記載されており、また「Elfacos(登録商標) ST9」の商品名でAkzo Nobel社により販売されている。
【0149】
前記ペースト状脂肪物質は、本発明の組成物中に、前記組成物の全重量に対して1重量%〜25重量%、好ましくは1重量%〜18重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の含量で存在していてよい。
【0150】
37℃で少なくとも1ヶ月後の本発明の固形エマルションの硬度は、貫通力が45gより大であるような硬度、特に貫通力が45g〜150gの範囲にあるような硬度である。
【0151】
「37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度」とは、前記固形エマルションを37℃で少なくとも1ヶ月間保存した後に測定される硬度、特に前記固形エマルションの調製終了時点から1ヶ月後に測定される硬度のことを言う。
【0152】
特に、前記固形エマルションの硬度は、20℃の温度下に24時間後(特に固形エマルションの調製終了時点から)および37℃で少なくとも1ヶ月後の貫通力が45グラム(g)以上であるような硬度、特に貫通力が45g〜150gの範囲にあるような硬度である。
【0153】
前記固形エマルションの硬度は、50g〜130g、優先的には60g〜130g、さらに優先的には70g〜130gの範囲にあることが好ましい。
【0154】
前記エマルションの硬度は、下記のプロトコルに従って測定される。
【0155】
エマルションの生成が終了した時点で、熱いうちに深皿に注入し、20℃で24時間保持する。次いで、その固形エマルションの貫通力を、Stevens社の直径4mmのTA24測定スピンドルを装備した、TA-XT2iの名で販売されているRheo社のテクスチュロメーターを用いて、下記の測定条件で測定する。
トリガ力 = 1.0g
前速度 = 2.0mm/s
貫通速度= 0.5mm/s
貫通深さ = 2mm
【0156】
グラムで表される貫通力は、機械に表示される。
【0157】
前記固形エマルションを次いで37℃で1ヶ月間保存し、次いで、前記と同様の条件下で硬度測定を行う(37℃で1ヶ月後の硬度と呼ぶ)前に、20℃の温度下に24時間置いておく。
【0158】
本発明のエマルションは少なくとも1つの賦形剤を含んでいてよい。
【0159】
ここで「賦形剤」とは、無色または白色の任意の形状をした鉱物または合成粒子であって、前記組成物の製造温度に関係無く、前記組成物の媒体に不溶である粒子を意味することを理解されたい。
【0160】
前記賦形剤は、鉱物質または有機質であって、その結晶形状(例えば、ラメラ、立方、六方、斜方など)に関係無く小さな板状形、球状形または長方形などの任意の形状であってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(Nylon(登録商標))粉末、ポリ-β-アラニン粉末、ポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))粉末、ラウロイルリジン、デンプン、チッ化ホウ素、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie)などのポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルの中空微小球などのポリマー中空微小球、アクリル酸コポリマーの中空微小球、シリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、Toshiba社のTospearls(登録商標))、ポリオルガノシロキサンエラストマー粒子、沈殿炭酸カルシウム、炭化マグネシウムおよび炭化水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびにステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムなどの炭素原子を8〜22個、好ましくは12〜18個含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸などが挙げられる。
【0161】
前記賦形剤は、前記組成物中に、前記組成物の全重量に対して0.1重量%〜25重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%の範囲の含量で存在していてよい。
【0162】
本発明の1つの実施形態によれば、前記エマルションはポリメタクリル酸メチル粒子を含んでいてよい。特に、これら粒子は膜形成性ではなく、すなわち、皮膚などの支持体上に置かれても連続した膜を形成することはない。
【0163】
ポリメタクリル酸メチル粉末は一般に中空または中実の白色球状粒子であって、一般にその数平均粒径はマイクロメーターオーダーであり、詳細には、3〜15ミクロンの範囲、一般に3〜10ミクロンの範囲の径である。ここで「数平均粒径」とは、母集団の半数の統計的粒径分布によって与えられる径であり、D50と呼ばれる。
【0164】
これらポリメタクリル酸メチル粒子を密度によって特徴づけることもできる。密度は、特に前記粒子が有する球状の空洞の径の関数として変化し得る。
【0165】
本発明のコンテクストにおいて、この密度は下記のプロトコルに従って評価され、充填密度と呼ばれる。すなわち、
m = 40gの粉末を測定シリンダーに注入する。次いで、前記測定シリンダーをStampf Volumeter社のStav 2003装置に置く。前記測定シリンダーに対して充填動作を1500回行う。次いで充填された粉末の最終体積Vfを前記測定シリンダーで直接測定する。充填密度は、比m/Vfによって決まり、本例の場合は40/Vfによって決まる(Vfはcm3およびgで表される)。
【0166】
特に、本発明に従って使用し得るポリメタクリル酸メチル粒子の密度は、0.3〜1.5の範囲、特に0.5〜1.5の範囲、さらには1〜1.5の範囲とすることができる。
【0167】
本発明に好適なポリメタクリル酸メチルの例として、「Micropearl M100」の名で販売されているMatsumoto Yushi Co.社のポリメタクリル酸メチル粒子、「Covabead LH 85」の名で販売されているLCW社のポリメタクリル酸メチル粒子、「Jurymer MB1」の名で販売されているNihon Junyaku社のポリメタクリル酸メチル粒子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
前記ポリメタクリル酸メチル粒子は、前記組成物の全重量に対して0.5重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜7重量%、優先的には1重量%〜20重量%、さらに優先的には0.5重量%〜5重量%の範囲の含量で存在していてよい。
【0169】
本発明のエマルションは、水溶性または油溶性染料、顔料および真珠母、ならびにそれらの混合物から選択される着色剤を少なくとも1つ含んでいてよい。
【0170】
ここで「顔料」とは、白色または有色の鉱物質または有機質粒子であって、液体有機相に不溶であり、前記組成物を着色するおよび/または不透明にすることを意図した粒子を意味するものと理解されたい。
【0171】
「真珠母」とは、特に貝殻の中のある種の軟体動物によって生産されるか、さもなければ合成される真珠光沢の粒子であって、前記組成物の媒体に不溶な粒子を意味するものと理解されたい。
【0172】
「染料」とは、例えば油類などの脂肪物質または水-アルコール性相に可溶である化合物、一般に有機化合物を意味するものと理解されたい。
【0173】
前記顔料は鉱物質顔料または有機顔料であってよい。使用し得る顔料の例としては、例えば酸化鉄(特に黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、褐色酸化鉄、黒色酸化鉄)、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化クロムなどの金属酸化物、マンガンバイオレット、群青、紺青、コバルトブルー、鉄青、オキシ塩化ビスマス、真珠母、チタンコーティングまたはオキシ塩化ビスマスコーティングマイカ、例えば酸化鉄で着色したチタンマイカ、特に鉄青または酸化クロムで着色したチタンマイカ、前述した種類の有機顔料で着色したチタンマイカなどの着色真珠顔料、およびオキシ塩化ビスマスベースの真珠顔料、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0174】
酸化鉄顔料または酸化チタン顔料が好ましく使用される。
【0175】
前記顔料は疎水剤で処理して、前記組成物の有機相と相溶性にしておくと有利である。疎水処理剤は、例えばメチコン、ジメチコンなどのシリコーンまたはペルフルオロアルキルシラン、例えばステアリン酸などの脂肪酸、例えばジミリスチン酸アルミニウム、水添タローグルタメートのアルミニウム塩などの金属石鹸、ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、ペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサン、およびアミノ酸、N-アシルアミノ酸またはそれらの塩、レクチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、ならびにそれらの混合物から選択することができる。
【0176】
前記N-アシルアミノ酸は、例えば2-エチルヘキサノール基、カプロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基またはココイル基などの、炭素原子を8〜22個有するアシル基を含むことができる。これら化合物の塩は、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩、ナトリウム塩またはカリウム塩であってよい。前記アミノ酸は、例えばリシン、グルタミン酸またはアラニンである。
【0177】
前述の化合物において言及した「アルキル」とは、特に炭素原子を1〜30個、好ましくは5〜16個有するアルキル基を示すものである。
【0178】
疎水処理された顔料については、特に欧州特許出願第A-1086683に記載されている。
【0179】
前記油溶性染料は、例えば、スダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β-カロテン、大豆油、スダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエロー、アナトー色素およびブロモ酸などである。
【0180】
前記水溶性染料は、例えば、ビートルート液、メチレンブルーおよびカラメルなどである。
【0181】
前記染料は、前記組成物の全重量に対して0.5重量%〜30重量%、好ましくは3重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%の範囲の含量で存在していてよい。
【0182】
本発明の1つの実施形態によれば、前記エマルションは、疎水コーティングされた粉末状物質を少なくとも1種、特に前記組成物の全重量に対して20重量%未満または20重量%の含量で含むことができる。前記粉末状物質は、例えば前述の賦形剤および顔料などの粉末状賦形剤および染料から選択することができる。前記粉末状物質は、前述のような疎水剤でコーティングされている。
【0183】
前記組成物はまた、特に親水性または親油性ゲル化剤および/または増粘剤、酸化防止剤、芳香剤、防腐剤、中和剤、サンスクリーン剤、ビタミン剤、保湿剤、セルフタンニング化合物、抗シワ活性剤、柔軟剤、親水性もしくは親油性活性剤、フリーラジカルスカベンジャー、金属イオン封鎖剤および膜形成剤、ならびにそれらの混合物から選択することができるその他の一般的な化粧品成分を含有していてよい。
【0184】
言うまでも無く、当業者ならば、この(これら)自由選択の化合物および/またはその量の選択にあたっては、本発明の組成物の有利な特性がその企図した添加によって悪影響を受けないように、または実質的に悪影響を受けないように注意を払うであろう。
【0185】
本発明の組成物は下記の手順によって生成することができる。
【0186】
先ず、ワックス、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、炭素原子6〜40個を有するアルキレンオキシドとのブロックコポリマーならびに不揮発性油を混合し、70℃〜120℃の範囲の温度で加熱することによって油性相の構成成分の混合物を調製し、次いで60℃〜80℃の範囲の温度で攪拌しながら揮発性油、賦形剤および顔料を添加する。
【0187】
前記水、界面活性剤および水混和性溶媒を含む水性相の構成成分の混合物を、60℃〜80℃の範囲の温度にまで加熱して別途調製する。
【0188】
次いで、60℃〜80℃の範囲の温度で前記水性相を前記油性相に添加し、得られた混合物を、油中水型エマルションが得られるまでターボミキサーを使って攪拌する。次いで、前記エマルションを、例えば深皿などの容器に注入し、固形エマルションが得られるまで室温にまで冷却する。
【0189】
本発明を下記の実施例によってさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0190】
(実施例1)
下記の組成を有する固形ファンデーションを作製した。
油性相:
カンデリラワックス 1.8g
オゾケライト 1.2g
イソノナン酸イソトリデシル 9.0g
シクロペンタシロキサン 22.5g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した酸化鉄
2.2g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した二酸化チタン 7.8g
疎水性ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R972) 0.5g
シリカマイクロビーズ 9.0g
ポリメタクリル酸メチル 3g
二酸化チタンナノ顔料 3g
「Elfacos(登録商標)ST 9」の名で販売されているAkzo Nobel社製のエチレンオキシド(45EO)とエポキシドデカン(22mol)のコポリマー 4g
イソステアリン酸ポリグリセリル-4 1.50g

水性相:
水 20g
ブチレングリコール 3g
グリセロール 5g
硫酸マグネシウム 1g
セチルジメチコンコポリオール(Goldschmidt社、Abil(登録商標)EM90) 2g
オキシエチレン化オキシプロピレン化(18 EO/18 PO)ポリジメチルシロキサン、シクロペンタシロキサンおよび水の混合物(10/88/2)(Dow Corning社の DC 2-5225 C ) 2g
防腐剤 1.50g
【0191】
前記組成物は下記の手順に従って生成した。
【0192】
前記ワックス、コポリマーElfacos ST 9および不揮発性油を含む混合物を、透明で均一な混合物が得られるまで90℃まで加熱し、次いで揮発性油、顔料および賦形剤を70℃で攪拌しながら添加する。次いで、水性相成分の混合物を70℃まで加熱しながら調製し、前記水性相を70℃で攪拌しながら前記油性相に導入して油中水型エマルションを得る。
【0193】
得られたエマルションを70℃で予熱した深皿に注入し、固形エマルションが得られるまで室温にまで冷却する。
【0194】
20℃で24時間経た時点で測定した硬度が98gであり、37℃で1ヶ月間保存した後に測定した硬度が87gより高い固形ファンデーションが得られる。ここで硬度測定は、前述のプロトコルに従って行われる。このように、この固形ファンデーションの硬度安定性は1ヶ月間保存後も良好である。
【0195】
前記ファンデーションは、皮膚に適用するとリッチでクリーミーである。
【0196】
(実施例2)
下記の組成を有する固形ファンデーションを作製した。
油性相:
カンデリラワックス 1.8g
オゾケライト 1.2g
ネオペンタン酸イソデシル 10.2g
シクロペンタシロキサン 22.5g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した酸化鉄
2.4g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した二酸化チタン 7.6g
疎水性ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R972) 0.5g
シリカマイクロビーズ 9.0g
ポリメタクリル酸メチル 3g
二酸化チタンナノ顔料 3g
「Elfacos(登録商標)ST 9」の名で販売されているAkzo Nobel社製のエチレンオキシド(45EO)とエポキシドデカン(22mol)のコポリマー 4g
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 0.3g

水性相:
水 20g
ブチレングリコール 3g
グリセロール 5g
硫酸マグネシウム 1g
セチルジメチコンコポリオール(Goldschmidt社製Abil(登録商標) EM 90) 2g
オキシエチレン化オキシプロピレン化(18 EO/18 PO)ポリジメチルシロキサン、シクロペンタシロキサンおよび水の混合物(10/88/2)(Dow Corning社の DC 2-5225 C ) 2g
防腐剤 1.50g
【0197】
実施例1と同様の方法でエマルションを調製した。
【0198】
20℃で24時間経た時点で測定した硬度が87gであり、37℃で1ヶ月間保存した後に測定した硬度が78gである固形ファンデーションが得られる。ここで硬度測定は、前述のプロトコルに従って行う。このようにして得られるファンデーションは、1ヶ月間保存した後も硬度安定性に優れている。
【0199】
前記ファンデーションは、皮膚に適用するとリッチでクリーミーである。
【0200】
(実施例3)
下記の組成を有する固形ファンデーションを作製した。
油性相:
カンデリラワックス 1.8g
オゾケライト 1.2g
イソノナン酸イソトリデシル 9.0g
シクロペンタシロキサン 22.5g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した酸化鉄
2.4g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した二酸化チタン 7.8g
疎水性ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R972) 0.5g
シリカマイクロビーズ 9.0g
ポリメタクリル酸メチル 3g
二酸化チタンナノ顔料 3g
「Elfacos(登録商標)ST 9」の名で販売されているAkzo Nobel社製のエチレンオキシド(45EO)とエポキシドデカン(22mol)のコポリマー 4g
イソステアリン酸ポリグリセリル-4 1.50g
ポリグリセロール化した鎖を含むシリコーン(Shin-Etsu社製、DF6104) 2g

水性相:
水 20g
ブチレングリコール 3g
グリセロール 5g
硫酸マグネシウム 1g
オキシエチレン化オキシプロピレン化(18 EO/18 PO)ポリジメチルシロキサン、シクロペンタシロキサンおよび水の混合物(10/88/2)(Dow Corning社の DC 2-5225 C ) 2g
防腐剤 1.50g
【0201】
前記エマルションは実施例1と同じ方法で生成した。
【0202】
20℃で24時間経た時点で測定した硬度が118.2gであり、37℃で1ヶ月間保存した後に測定した硬度が45gより高い固形ファンデーションが得られる。ここで硬度測定は、前述のプロトコルに従って行われる。
【0203】
前記ファンデーションは、皮膚に適用するとリッチでクリーミーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル油とワックスとを含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エステル油の含有量が前記全ワックスの含有量を上回り、前記エマルションの37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルション。
【請求項2】
エステル油とワックスと少なくとも2種類のポリオールと含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エマルションの37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルション。
【請求項3】
エステル油とワックスと少なくとも1種類のペースト状の脂肪物質とを含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度であるエマルション。
【請求項4】
エステル油と、ワックスと、少なくとも1種類の疎水性物質でコーティングされた粉末状物質を組成物の全重量に対して20重量%未満または20重量%含む脂肪相中に、乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エマルションの37℃で1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルション。
【請求項5】
エステル油と、ワックスと、少なくとも1種類の疎水性物質でコーティングされた粉末状物質を組成物の全重量に対して20重量%未満または20重量%含む脂肪相中に、乳化性界面活性剤で乳化されている水性相を含む油中水固形エマルションであって、前記エマルションの37℃で1ヶ月後の硬度が、貫通力が45g以上であるような硬度である油中水固形エマルション。
【請求項6】
硬度が45g〜150gの範囲、好ましくは50g〜130gの範囲、優先的には60g〜130gの範囲、より優先的には70g〜130gの範囲にあることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項7】
前記エステル油がモノエステルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項8】
前記エステル油が式R1COOR2で表されるモノエステルであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のエマルションであって、式中、R1は炭素原子を4〜40個、好ましくは4〜30個、優先的には7〜20個有する直鎖状または分枝状炭化水素系の鎖を表し、R2は炭素原子を3〜40個、好ましくは10〜30個、優先的には16〜26個有する分枝状炭化水素系の鎖を表すことを特徴とするエマルション。
【請求項9】
前記エステル油が、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソデシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-オクチルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルおよびエルカ酸2-オクチルドデシル、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項10】
前記エステル油が、前記組成物の全重量に対して5重量%〜20重量%、好ましくは7重量%〜15重量%、優先的には8重量%〜12重量%の含量で存在することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項11】
前記ワックスの硬度が5MPa〜9MPaの範囲にあることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項12】
前記ワックスの硬度が6MPa〜9MPa、好ましくは7MPa〜9MPaの範囲にあることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項13】
前記ワックスが、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、ポリエチレンワックス、ポリ(C24〜C28)アルキルメチルジメチルシロキサンワックス、パームバター、C20〜C40ステアリン酸アルキル、安息香酸ステアリルおよびセラックワックス、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項14】
前記ワックスが、カルナバワックス、オゾケライト、水添ホホバ油およびポリエチレンワックスから選択されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項15】
前記ワックスが、カンデリラワックスおよびオゾケライト、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項16】
前記ワックスが、前記組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜7重量%、優先的には2重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項17】
前記乳化性界面活性剤が、例えばモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸グリセリルもしくはソルビトールまたはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸グリセリルもしくはソルビトール、ラウリン酸グリセリルまたはラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリオールの脂肪酸エステル;例えば炭素原子6〜22個を有する、懸垂しているかまたはシリコーン骨格の末端にあるアルキルまたはアルコキシ鎖を有するアルキルまたはアルコキシジメチコンコポリオール;グリコールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルおよびポリヒドロキシル化シリコーン、特にポリグリセロール化シリコーンなどのポリマー;乳化シリコーンエラストマー;ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項18】
前記C8〜C22アルキルジメチコンコポリオールが次式(I)の化合物であり、
【化1】

式中、
PEは(-C2H4O)x-(C3H6O)y-Rを表し、Rは水素原子と炭素原子1〜4個を有するアルキル基とから選択され、xは0〜100の範囲の値であり、yは0〜80の範囲の値であり、xとyは同時に0であることはなく、
mは1〜40の範囲の値であり、
nは10〜200の範囲の値であり、
oは1〜100の範囲の値であり、
pは7〜21の範囲の値であり、
qは0〜4の範囲の値である
ことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項19】
前記乳化性界面活性剤が、前記組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項20】
前記脂肪相が揮発性シリコーン油を含んでいることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項21】
前記揮発性シリコーン油が、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項20に記載のエマルション。
【請求項22】
前記揮発性シリコーン油が、前記組成物の全重量に対して5重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜30重量%、優先的には15重量%〜30重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項20または21に記載のエマルション。
【請求項23】
前記水および揮発性シリコーン油が、組成物の全重量に対して全含有量50重量%未満または50重量%、特に30重量%〜50重量%の範囲、好ましくは40重量%〜50重量%の範囲で存在することを特徴とする請求項20から22のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項24】
前記エステル油および前記揮発性シリコーン油以外に追加の油を含むことを特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項25】
前記追加の油が、揮発性または不揮発性の炭化水素系の油およびフッ素油から選択されることを特徴とする請求項24に記載のエマルション。
【請求項26】
前記追加の油が、前記組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項24または25に記載のエマルション。
【請求項27】
前記組成物の全重量に対して10重量%〜40重量%、好ましくは15重量%〜30重量%、優先的には15重量%〜25重量%の範囲の含量で水を含むことを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項28】
炭素原子2〜6個を有するモノアルコール類、炭素原子2〜20個を有するポリオール類および炭素原子3〜16個を有するグリコールエーテル類ならびにそれらの混合物から選択される水混和性溶媒を含むことを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項29】
前記水混和性溶媒がグリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノ-、ジ-またはトリプロピレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、モノ-、ジ-またはトリエチレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、エタノールおよびイソプロパノール、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項28に記載のエマルション。
【請求項30】
前記水混和性有機溶媒が、前記組成物の全重量に対して1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項28または29に記載のエマルション。
【請求項31】
炭素原子3個を有する水混和性ポリオールと、炭素原子を3個より多く有する水混和性ポリオール、特に炭素原子4〜20個、好ましくは4〜10個、優先的には4〜6個を有する水混和性ポリオールとを含むことを特徴とする請求項3に記載のエマルション。
【請求項32】
前記炭素原子を3個より多く有する水混和性ポリオールが、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
ペースト状の脂肪物質を含むことを特徴とする請求項1から3および5から32のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項34】
前記ペースト状の脂肪物質が、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと炭素原子6〜40個を有するアルキレンオキシドとのブロックコポリマーであって、前記コポリマーの重量平均分子量が5000〜8000の範囲であることを特徴とする請求項3または33に記載のエマルション。
【請求項35】
賦形剤を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1から34のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項36】
前記賦形剤が、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、ポリ-β-アラニン粉末、ポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、ラウロイルリジン、デンプン、チッ化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルの中空微小球、アクリル酸コポリマーの中空微小球、シリコーン樹脂マイクロビーズ、ポリオルガノシロキサンエラストマー粒子、沈殿炭酸カルシウム、炭化マグネシウムおよび炭化水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびに炭素原子8〜22個を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸から選択されることを特徴とする請求項35に記載のエマルション。
【請求項37】
前記賦形剤が、前記組成物の全重量に対して0.1重量%〜25重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、優先的には5重量%〜15重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項35または36に記載のエマルション。
【請求項38】
ポリメタクリル酸メチル粒子を含むことを特徴とする請求項1から37のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項39】
前記ポリメタクリル酸メチル粒子が、前記組成物の全重量に対して0.5重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜7重量%、優先的には1重量%〜20重量%、さらに優先的には0.5重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項38に記載のエマルション。
【請求項40】
少なくとも1種の着色剤を含んでいることを特徴とする請求項1から39のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項41】
少なくとも1種の疎水性物質でコーティングされた粉末状物質を含むことを特徴とする請求項1から3および5から40のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項42】
前記粉末状物質が、粉末状賦形剤および着色剤から選択されることを特徴とする請求項1または請求項4に記載のエマルション。
【請求項43】
前記粉末状物質が、シリコーン、脂肪酸、金属石鹸、ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、ペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサン、アミノ酸、N-アシルアミノ酸またはそれらの塩、レクチンおよびイソプロピルトリイソステアリルチタネート、ならびにそれらの混合物から選択される疎水性剤でコーティングされていることを特徴とする請求項4、41および42のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項44】
前記疎水性物質でコーティングされた粉末状物質が、前記組成物の全重量に対して20重量%未満または20重量%の含量で存在することを特徴とする請求項41から43のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項45】
親水性もしくは親油性ゲル化剤および/または増粘剤、抗酸化剤、芳香剤、防腐剤、中和剤、サンスクリーン剤、ビタミン剤、保湿剤、セルフタンニング化合物、抗シワ活性剤、柔軟剤、親水性もしくは親油性活性剤、フリーラジカルスカベンジャー、金属イオン封鎖剤および膜形成剤、ならびにそれらの混合物から選択される化粧品成分を含むことを特徴とする請求項1から44のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項46】
前記組成物が、ファンデーション、アイシャドー、メイクアップルージュ、コンシーラー製品、ボディメイクアップ製品、リップスティック、スキンケアベース、ケアクリーム、リップケア組成物、抗紫外線組成物、セルフタンニング組成物、デオドラントであることを特徴とする請求項1から45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
請求項1から46のいずれか一項に記載の組成物を含むファンデーション。
【請求項48】
請求項1から47のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚メイクアップまたはのケアを行うための非治療的美容方法。

【公開番号】特開2006−28184(P2006−28184A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−207856(P2005−207856)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】