説明

化粧用油中水型固形エマルション

【課題】37℃で1ヶ月保存などの時間経過後も、安定した硬度を有する固形メイクアップまたはスキンケア組成物を提供する。
【解決手段】エステル油とワックスを含む脂肪相中に乳化した水相と、ポリヒドロキシル化鎖またはC8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールを含有するシリコーン界面活性剤を含む油中水型固形エマルション。 皮膚のメイクアップおよびケアのための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野で使用し得る、ワックスと特定のシリコーン界面活性剤を含む油中水型固形エマルションに関する。本発明はまた、組成物を皮膚に適用することを含む、ヒトの皮膚のメイクアップ方法またはケア方法に関する。
【0002】
本発明に係るメイクアップ組成物は、ファンデーション、アイシャドー、メイクアップルージュ、コンシーラー製品、ボディメイクアップ製品または口紅などの、特に皮膚用メイクアップ組成物である。本発明は、特にファンデーション組成物に関する。
【0003】
このケア組成物は、スキンケアベース、ケアクリーム(昼用クリーム、夜用クリームまたは抗シワクリーム)、メイクアップベースなどのスキンケア製品;リップケア組成物(リップバーム);抗紫外線組成物またはセルフタンニング組成物;デオドラントであってよい。
【背景技術】
【0004】
ファンデーションなどの皮膚用メイクアップ製品は、例えば、粉白粉、固形白粉、成型固形製品、棒状品、液状クリームなどの多様なガレヌス製剤形態で知られている。
【0005】
成型固形製品は無水物であってもまたは各種エマルションの形態であってもよい。このようなエマルションは通常、油類、固形ワックス類、水、およびフィラーと顔料とから一般的になる微粒子相を含んでいる。
【0006】
固形エマルションは、室温においてそれ自体の重さによって流動することはなく、ケースに詰め込むのに適している。そのような製品を適用するために、ユーザーは、指またはスポンジなどの塗布具を使用してそれを崩すことによって製品を直接取り上げることができる。ユーザーが製品を十分に取り上げることができるためには、固形エマルションが満足できる硬度を有していることが必要であり、特にこの硬度が時間を経てもほとんど変わらないこと、特に室温(25℃)を上回る温度で保存した後にもこの硬度がほとんど変わらないことが必要である。しかしながら、ある種の固形エマルションは、時間を経るとその硬度が低下する。すなわち、製品は軟化する傾向があり、製品が取り上げにくくなり、または取り上げようとしている間も取り上げるべき製品の量が制御しにくくなって、ユーザーにとっては不快なことすらある。さらに、もともと固形製品であるものが軟化していれば、ユーザーに気に入られない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、時間を経ても、特に37℃で最低1ヶ月間保存した後でも安定した硬度を有する固形メイクアップまたはスキンケア組成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、充分な硬度を有しながら、同時に皮膚に適用したときにリッチでクリーミーな質感を有する固形組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、時間を経ても、特に37℃で1ヶ月後でも安定した硬度を有し、かつ皮膚に適用したときにリッチでクリーミーな質感を有する固形エマルションは、エステル油、ワックスおよび特定の乳化性界面活性剤を使用することによって得ることができることを見出した。
【0010】
さらに具体的に言えば、本発明の1つの課題は、エステル油とワックスを含む脂肪相中に乳化された水相と、ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤を含む油中水型固形エマルションである。
【0011】
本発明の別の課題はまた、エステル油とワックスを含む脂肪相中に乳化性界面活性剤を使用して乳化された水相と、C8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールを含む油中水型固形エマルションであって、このエマルションが、37℃で最低1ヶ月後、貫通力が45g以上の硬度を有していることである。
【0012】
本発明の別の課題はまた、皮膚をメイクアップまたはケアするための非治療的化粧方法であって、先に定義したような組成物を皮膚に適用することを含む化粧方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において「固形組成物」とは、室温(25℃)において1時間経過した後もそれ自体の重みで流動することのない組成物のことを言う。
【0014】
本発明に係る固形エマルションは、少なくとも1種のエステル油を含む。
【0015】
本明細書において「エステル油」とは、分子内にエステル官能基を少なくとも1つ含む、室温(25℃)において液状の油のことを言う。このエステル油は、モノエステルであることが有利である。
【0016】
このエステル油は、式R1COOR2で表されるモノエステルから選択することが好ましい。式中、R1は、炭素原子4〜40個、好ましくは4〜30個、優先的には7〜20個を有する直鎖状または分岐状炭化水素系鎖を表し、R2は、炭素原子3〜40個、好ましくは10〜30個、優先的には16〜26個を有する分岐状炭化水素系鎖を表す。
【0017】
このようなエステル油の例としては、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリル酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソデシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-オクチルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、エルカ酸2-オクチルドデシルおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
このエステル油は、組成物の全重量に対して5重量%〜20重量%の範囲の含量で、好ましくは7重量%〜15重量%の範囲の含量で、優先的には8重量%〜12重量%の範囲の含量で本発明に係るエマルション中に存在することができる。
【0019】
この脂肪相はまた、揮発性シリコーン油を含むことができる。
【0020】
本明細書において「揮発性油」とは、室温および大気圧下で、皮膚と接触して1時間経たぬうちに蒸発しうる油(または非水性媒体)のことを言う。揮発性油は化粧用揮発性油であって、室温で液状であり、特に室温および大気圧下で蒸気圧が0ではなく、詳しくは蒸気圧が0.13Pa〜40,000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Pa〜13,000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、優先的には1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲にある。
【0021】
揮発性シリコーン油は、室温における粘度が8mm2/s未満であり、特に2〜7個のケイ素原子を有している直鎖または環状シリコーン油から選択することができ、これらシリコーンは場合によっては炭素原子1〜10個を有するアルキルまたはアルコキシ基を含んでいる。本発明において使用し得る揮発性シリコーン油としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0022】
この揮発性シリコーン油は、組成物の全重量に対して5重量%〜40重量%の範囲の含量で、好ましくは10重量%〜30重量%の範囲の含量で、優先的には15重量%〜30重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0023】
この組成物中の水と揮発性シリコーン油の総含量は、組成物の全重量に対して50重量%以下、特に30重量%〜50重量%、好ましくは40重量%〜50重量%であることが有利である。
【0024】
このエマルションの脂肪相は、上記エステル油および揮発性シリコーン油以外に、追加の油を含むことができる。
【0025】
この追加の油は、特に揮発性または不揮発性の炭化水素系油およびフッ素油から選択することができる。
【0026】
本明細書において「炭化水素系油」とは、基本的に炭素原子および水素原子から形成される油またはそれらからなる油であって、酸素原子および窒素原子を含む場合もあるが、ケイ素原子またはフッ素原子は含まない油である。この炭化水素系油は、アルコール、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミドの各基を含むことができる。
【0027】
本明細書において「フッ素油」とは、フッ素原子を少なくとも1個含む油である。
【0028】
本発明で使用し得る、追加の揮発性油としては下記のものが挙げられる。
− 炭素原子8〜16個を含む炭化水素系揮発性油およびこれらの混合物。特にC8〜C16の分岐鎖アルカン類、例えばイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンなどのC8〜C16のイソアルカン類(イソパラフィンとしても知られる)、例えば「Isopar」および「Permethyl」などの商品名で売られている油、C8〜C16の分岐鎖エステル類、例えばネオペンタン酸イソヘキシル、ならびにこれらの混合物である。イソドデカンが好ましく使用される。
− ノナフルオロエトキシブタン、ノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサンおよびドデカフルオロペンタン、ならびにこれらの混合物。
− ならびにこれらの混合物。
【0029】
本発明で使用し得る、追加の不揮発性油としては、直鎖または分岐鎖炭化水素などの鉱物質由来または合成炭化水素系油が挙げられる。例えば、流動パラフィンまたはその誘導体、液状石油ゼリー、ポリデセン、Nippon Oil Fats社販売のParleamなどの水添ポリイソブテン、および合成または植物由来のスクアランなどが挙げられる。
【0030】
追加の不揮発性油としてはまた、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドを高含量で含む植物由来炭化水素系油が挙げられる。ここで脂肪酸の鎖長は異なっていてよく、直鎖状または分岐状のことがあり、また飽和または不飽和であってもよい。特に炭素原子4〜22個を有する脂肪酸のトリグリセリド、例えば、ヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリドおよびカプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、あるいはまたヒドロキシル化トリグリセリドを含む炭化水素油。その具体例として、スイートアーモンド油、ビューティリーフ油、パーム油、グレープシード油、ゴマ油、アララ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アルファルファ油、マロー油、ブラックカラント油、マカデミア油、シャコウバラ油、ヘーゼルナッツ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、穀物(トウモロコシ、小麦、大麦またはライ麦)胚芽油およびシアバター油などが挙げられる。また、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸などの炭素原子8〜26個を有する高級脂肪酸のトリグリセリドを含む炭化水素油が挙げられる。オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコールまたはオクチルドデカノールなどの炭素原子8〜26個を有する高級脂肪アルコールのトリグリセリドを含む炭化水素油も挙げられる。炭素原子を少なくとも7個含む合成エーテルを含むトリグリセリドからなる炭化水素油も挙げられる。例えば、室温で液状である直鎖状の、場合によってはフェニル化されているポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーン油が挙げられ、その具体例としては、フェニルトリメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートなどが挙げられる。これらシリコーン油は液状であり、場合によっては、アルキル、アルコキシまたはフェニル基などの脂肪族基および/または芳香族基で置換されている。ここで、これらの基はペンダントおよび/またはシリコーン鎖の末端にあり、これらの基は炭素原子を2〜24個含み、場合によってはフッ素化している。また、場合によってはヒドロキシル基、チオール基および/またはアミン基などの官能基で置換されており、ならびにこれらの混合物も挙げられる。
【0031】
追加の油は、組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%の範囲、好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することが有利である。本発明に係るエマルションの一実施形態においては、追加の油の含量は、組成物の全重量に対して0重量%とすることもできる。
【0032】
本発明の好適な一実施形態によれば、前述のように、エマルションは、単独油としてエステル油を含有し、場合によっては揮発性シリコーン油を含有する。
【0033】
本発明に係るエマルション中に存在するワックスは、硬度が5MPa〜9MPaの範囲、好ましくは6MPa〜9MPaの範囲、優先的には7MPa〜9MPaの範囲にあるワックスから選択することが有利である。
【0034】
本発明の目的において、用語「ワックス」とは、室温(25℃)で固体状であって、固体/液体の状態変化が可逆的であり、融点が30℃を上回り最高でも200℃であり、硬度が0.5MPaを上回り、かつ固体状態において異方性結晶組織を有する親油性脂肪化合物のことを言う。ワックスは、融点に至らしめることによって油類と混和性にすることができ、また、微視的に均質な混合物を形成することができる。しかし、その混合物を室温に戻せば、混合物の油中にワックスを再結晶させることができる。
【0035】
ワックスの硬度は、圧縮力を測定することによって決定される。この圧縮力は、測定速度0.1mm/sで走行する直径2mmのステンレス鋼製シリンダーを装備した、TA-XT2iの名で販売されているRheo社のテクスチュロメーターを用い、20℃にてワックス中を0.3mmの貫通深さまで突き通して測定する。硬度測定を行うために、ワックスはその融点+20℃の温度で溶融される。溶融したワックスを直径30mm深さ20mmの容器内に流し込む。ワックスを室温(25℃)で24時間再結晶させ、硬度測定を行う前に、20℃にて少なくとも1時間貯蔵する。硬度値は、圧縮力の測定値を、ワックスに接触しているテクスチュロメーターシリンダーの表面積で割った値である。
【0036】
特許出願の目的において、このワックスは、炭化水素系ワックス、シリコーンワックスおよび/またはフッ素ワックスであってよく、場合によってはエステルまたはヒドロキシル官能基を含んでいてよい。
【0037】
先に定義したような硬度を有するワックスは、カルナバワックス、ミクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、「Performalene 400 Polyethylene」の名で販売されている New Phase Technologies社のワックスなどのポリエチレンワックス、「Abil Wax 9810」の名で販売されているGoldschmidt社の製品などのポリ(C24〜C28)アルキルメチルジメチルシロキサンといったシリコーンワックス、パームバター、「Kester Wax K82H」の名で販売されているKester Keunen社の炭素原子20〜40個を有するステアリン酸アルキル、安息香酸ステアリル、セラックワックスおよびこれらの混合物から選択することができる。好ましくは、カルナバワックス、カンデリラワックス、オゾケライト、水添ホホバ油およびポリエチレンワックスから選択されるワックスが使用される。優先的には、このワックスは、カンデリラワックス、オゾケライトおよびこれらの混合物から選択される。
【0038】
ワックスは、本発明に係る組成物中に、組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%の範囲の含量で、好ましくは2重量%〜7重量%の範囲の含量で、優先的には2重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0039】
本発明に係るエマルションは、ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤を含むことができ、このシリコーン界面活性剤は、ポリヒドロキシル化鎖を含むシリコーンポリマーまたはポリヒドロキシル化鎖を含むシリコーンエラストマーから選択することができる。用語「ポリヒドロキシル化鎖」とは、少なくとも2個のヒドロキシル基を有する炭化水素系鎖を意味する。
【0040】
特に、下記一般式(I'):
R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 (I')
で表されるシリコーンポリマーを使用することができる。
式中、
a) a、bおよびcは、aが1〜2.5の範囲であり、bおよびcがそれぞれ独立に0.001〜1.5の範囲である。
b) R1は同一であっても異なっていてもよく、
− 1つまたは複数のフッ素原子ならびにアミノ基および/またはカルボキシル基で適宜置換されたC1〜C30アルキル基、
− アリール基およびアラルキル基、および
− 下記一般式(II):
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
で表される基
(式中、
− R4は、C4〜C30炭化水素系基またはR5がC1〜C30炭化水素系基であるR5-(CO)-基であって、かつ
− d、eおよびfは、dが0〜15の範囲の整数であり、eおよびfがそれぞれ独立に0〜50の範囲の整数である)
- ならびにこれらの組み合わせ
から選択される。
c) R2は、下記一般式(III):
-Q-O-X (III)
で表される。式中、
− Qは、エーテル結合を少なくとも1個および/またはエステル結合を少なくとも1個含んでいてよい二価のC2〜C20炭化水素系基であって、かつ
− Xは、ポリヒドロキシル化炭化水素系基である。
d) R3は、下記一般式(IV)で表されるオルガノシロキサン基である。
【0041】
【化1】

【0042】
式中、
− 各R基は、それぞれ独立に、1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換されたC1〜C30アルキル基、ならびにアリール基およびアラルキル基から選択される基を表し、
− gおよびhは、gが1〜5の範囲の整数であり、hが0〜500の範囲の整数である。
【0043】
R基が、1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換された、炭素原子1〜30個を有するアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選択される基を表す場合、それらは先に定義したR1基と同様の意味を有する。
【0044】
先に定義した一般式(I')で表されるシリコーンポリマーのR1、R2およびR3基は、規則的に連続して分布しているわけではなくランダムに分布していること、すなわち確定したいかなる秩序も持たないポリマー構造を呈していることに注意されたい。
【0045】
a)において、より詳しくは、aは1.2〜2.3の範囲であり、特に、bおよびcはそれぞれ独立に0.05〜1の範囲の値である。
【0046】
b)において、
− R1がアルキル基である場合、それは炭素原子1〜30個、特に1〜25個、さらには1〜20個を有するアルキル基、特に炭素原子1〜10個を有するアルキル基、特に炭素原子1〜6個を有するアルキル基、さらには炭素原子1〜4個を有するアルキル基である。さらに詳しくは、それはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはラウリル基であってよい。それはまた、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのシクロアルキル基であってもよい。また、直鎖状または分岐状モノ不飽和またはポリ不飽和アルキル基であってもよい。またトリフルオロプロピルまたはヘプタデカフルオロデシルなどの、1つまたは複数のフッ素原子で置換されたアルキル基であってもよい。また、2-アミノエチル、3-アミオプロピルまたは3-(2-アミノエチル)アミノプロピルなどの、1つまたは複数のアミノ基で置換されたアルキル基であってもよい。それはまた、3-カルボキシプロピルなどの、1つまたは複数のカルボキシ基で置換されたアルキル基であってもよく、
− R1はまた、フェニル基、トリル基、ベンジル基またはフェニチル基などのアリールまたはアラルキル基であってもよく、
− R1はまた、下記一般式(II):
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
で表される有機基であってもよい。
【0047】
特定の一実施形態によれば、R1はヒドロキシル化基、または飽和もしくは不飽和の、直鎖状もしくは分岐状アルケニルエーテルの付加反応から誘導される基であってよく、その場合d=0であり、したがって次式で表される。
-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4
【0048】
この場合、eおよびfが0であれば、R1は、炭素原子4〜30個を含むアルコキシ基、例えばブトキシもしくはペントキシなどの炭素原子4〜10個を有する低級アルコキシ基、またはオレオキシもしくはステアロキシなどの炭素原子11〜30個を有する高級アルコキシ基、すなわちセチルアルコール、オレイルアルコールおよびステアリルアルコールなどであり、または酢酸、乳酸、酪酸、オレイン酸、ステアリン酸もしくはベヘン酸などの酸もしくは脂肪酸から誘導される基である。
【0049】
eおよびfが1より大きい値であれば、R1は、アルキレンオキシドの付加反応から誘導されるヒドロキシル基である。
【0050】
eおよびfが0である場合、dが3、5または11であると特に有利である。この場合、R1は、置換基R4の性質によって、アリルエーテル、ペンテニルエーテルもしくはウンデセニルエーテル基、またはアリルステアリルエーテル、ペンテニルベヘニルエーテルもしくはウンデセニルオレイルエーテル基となる。
【0051】
eおよびfが0以外の値である場合、アルコキシ基およびエステル基は、ポリオキシアルキレン基を介して存在する。
【0052】
eおよびfの値と関係なく、dが3〜5の範囲内の値であると特に有利である。
【0053】
一実施形態によれば、R1基は先に定義した基のいずれであってもよく、または先に定義した基の2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0054】
R1は、メチル基、ラウリル基およびこれらの組合せから選択されたアルキル基であると有利である。
【0055】
また、R1が2つ以上の基である場合、例えばメチル基とラウリル基である場合、これら基は構造中にランダムに現れ、また互いに異なる頻度で現れる。
【0056】
特に、R1基の少なくとも50%、特に少なくとも70%、さらには100%はメチル基である。
【0057】
c)において、
− Qは、特に、
-(CH2)2-、-(CH2)3-、-CH2CH(CH3)-CH2、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)7-、-(CH2)8-、-(CH2)2-CH(CH2CH2-CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)-、-(CH2)3-O-(CH2)2-、-(CH2)3-O-(CH2)2-O-(CH2)2-、-(CH2)3-O-CH2CH(CH3)-および-CH2-CH(CH3)-COO(CH2)2-
から選択される二価の炭化水素系基であってよい。
【0058】
Qが-(CH2)2-と-(CH2)3-から選択される二価の基であることが有利である。
【0059】
− Xは、特に、ヒドロキシル残基を少なくとも2個含むポリヒドロキシル化炭化水素系基、特にグリセリル誘導体と糖類誘導体から選択される炭化水素系基であってよい。
【0060】
グリセロール残基は、次式で表される化合物であってよい。式中、Qは一般式(III)におけるQと同様の意味を有する基であり、sおよびtは1〜20の範囲内の整数、特に1〜15の範囲内の整数、特に1〜10の範囲内の整数、さらには1〜5の範囲内の整数である。
【0061】
【化2】

【0062】
式中、1つまたは複数のヒドロキシル基は、アルコキシ基またはエステル基で置換されていてもよい。
【0063】
一般式(III)で使用し得る糖基は、グリコシル、マンノシル、ガラクトシル、リボシル、アラビノシル、キシロシルもしくはフラクトシル基などの単糖類タイプ、マルトシル、セロビオシル、ラクトシルもしくはマルトトリオシルなどのオリゴ糖類タイプ、またはセルロースもしくはデンプンなどの多糖類タイプ基であってよい。
【0064】
特に、糖類基は、単糖類タイプまたはオリゴ糖類タイプの基である。
【0065】
d)において、
− 各R基は、それぞれ独立に、特に炭素原子1〜20個、さらに1〜10個、さらに1〜6個を有する、1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換されたアルキル基から選択される基を表すことができる。R基が、先に定義したような、1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換されたアルキル基から選択される基を表す場合、それらは先に定義したR1基と同様な意味を有する。
− 特定の一実施形態によれば、gは2である。
− 特定の一実施形態によれば、hは1〜50の範囲内の値である。
【0066】
特定の一実施形態によれば、一般式(I')で表されるシリコーンポリマーは下記のものである。
− aが1〜1.4の範囲であり、bおよびcはそれぞれ独立に0.02〜0.03の範囲であり、かつ
− R1が炭素原子1〜10個、特に1〜6個、さらには1〜4個を有するアルキル基であり、
− R2が下記式(IIIA):
-C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH (IIIA)
で表され(式中、nは1〜5の範囲である)、かつ
− R3が下記式(IVA):
-C2H4(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3 (IVA)
で表される(式中、mは3〜9の範囲である)。
【0067】
また別の特定の実施形態によれば、本発明に係る化粧品用組成物で使用し得る、一般式(I')で表されるシリコーンポリマーは下記のものである。
− aが1〜1.4の範囲であり、bおよびcはそれぞれ独立に0.02〜0.04の範囲であり、
− R1がメチル基であり、
− R2が式(IIIA)で表され、式中、nは1〜5の範囲であり、かつ
− R3が式(IVA)で表され、式中、mは3〜9の範囲である。
【0068】
例えば、本発明に係る組成物で使用される一般式(I')で表されるシリコーンポリマーは、ポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコーン、ラウリルポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコーンおよびポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコーンから選択され、それぞれ次式で表される。
− ポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコーン(式(V)):
【0069】
【化3】

【0070】
式中、
Sx: -C2H4[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3
Gly: -C3H6O[CH2-CH(OH)CH2O]nH
およびa = 1〜1.4、b = 0.02〜0.04、c = 0.02〜0.04、m = 3〜9, n = 1〜5である。
− ラウリルポリグリセリル-3ポリメチルシロキシエチルジメチコーン(式(VI)):
【0071】
【化4】

【0072】
式中、
Sx、Gly、a、b、c、mおよびnは上記と同様の意味を有し、R1はメチル基またはラウリル基のいずれかである。
− ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコーン(式(VII)):
【0073】
【化5】

【0074】
式中、
Gly、a、b、c、mおよびnは上記と同様の意味を有し、
Sx: -O(CH3)2SiO-Si(CH3)3である。
【0075】
式(I')で表されるシリコーンポリマーについては、欧州特許出願第1213316号に詳しく記載されている。同出願を参照して本明細書に援用する。
【0076】
特定の一実施形態によれば、一般式(I')で表されるシリコーンポリマーは、KF 6100、KF 6104およびKF 6105の名で販売されているShin-Etsu社のポリマーから選択される。
【0077】
KF 6104の名で販売されているポリマーは、本発明に係る化粧品用組成物の製造に特に好適である。
【0078】
ポリヒドロキシル化鎖を有する、乳化性のエラストマー系架橋オルガノポリシロキサンもまた、乳化剤として使用することができる。
【0079】
エラストマー系架橋オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合している水素原子を少なくとも1個有するジオルガノポリシロキサンと、エチレン性不飽和基を有するポリヒドロキシル化またはポリオキシアルキレン化化合物とを、特に白金触媒の存在下で、架橋付加反応させることによって得ることができる。
【0080】
好ましくは、エラストマー系架橋オルガノポリシロキサンは、(A)それぞれケイ素原子に結合している水素原子を少なくとも2個有するジオルガノポリシロキサンと、(B)エチレン性不飽和基を少なくとも2個有するグリセロール化化合物を、特に(C)白金触媒の存在下で、架橋付加反応させることによって得られる。
【0081】
特に、オルガノポリシロキサンは、ジメチルビニルシロキシ末端基を有するポリグリセロール化化合物とトリメチルシロキシ末端基を有するメチルヒドロゲノポリシロキサンを、白金触媒の存在下で、反応させることによって得ることができる。
【0082】
化合物(A)は、エラストマー系オルガノポリシロキサン形成の原試薬であり、架橋は化合物(A)と化合物(B)を触媒(C)の存在下で付加反応させることによって行われる。
【0083】
化合物(A)は、特に各分子内の異なるケイ素原子に結合している水素原子を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンである。
【0084】
化合物(A)は、いかなる分子構造であってもよく、特に直鎖状もしくは分岐状構造または環状構造であってよい。
【0085】
特に化合物(A)が化合物(B)と充分混和性であるために、化合物(A)の25℃における粘度は、1〜50,000センチストークスの範囲であってよい。
【0086】
化合物(A)のケイ素原子に結合する有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル、ドデシル(もしくはラウリル)、ミリスチル、セチルまたはステアリルなどの炭素原子1〜18個を有するアルキル基;2-フェニルエチル、2-フェニルプロピルまたは3,3,3-トリフルオロプロピルなどの置換アルキル基;フェニル、トリルまたはキシリルなどのアリール基;フェニルエチルなどの置換アリール基;およびエポキシ基、カルボン酸エステル基またはメルカプト基などの置換された一価の炭化水素系基であってよい。上記有機基は、メチル、フェニルおよびラウリル基から選択されることが好ましい。
【0087】
したがって、化合物(A)は、トリメチルシロキシ末端基を有するメチルヒドロゲノポリシロキサン類、トリメチルシロキシ末端基を有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン環状コポリマーまたはトリメチルシロキシ末端基を有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン-ラウリルメチルシロキサンコポリマーから選択することができる。
【0088】
化合物(B)は、下記式(B'):
CmH2m-1-O-[Gly]n-CmH2m-1 (B')
に相当するポリグリセロール化化合物であってよい。式中、mは2〜6の範囲の整数である。nは2〜200の範囲の整数、好ましくは2〜100の範囲の整数、好ましくは2〜50の範囲の整数、好ましくは2〜20の範囲の整数、好ましくは2〜10の範囲の整数、優先的には2〜5の範囲の整数、特に好ましくは3である。Glyは、
-CH2-CH(OH)-CH2-O-または-CH2-CH(CH2OH)-O-
を表す。
【0089】
化合物(B)の1分子中のエチレン性基の数と、化合物(A)の1分子中のケイ素原子に結合した水素原子の数の和は、少なくとも4であることが有利である。
【0090】
化合物(A)中のケイ素原子に結合した水素原子の総量と化合物(B)中のエチレン性不飽和基の総量とのモル比が、1/1〜20/1の範囲内となるような量の化合物(A)を、添加することが有利である。
【0091】
化合物(C)は架橋反応触媒であり、特に塩化白金酸、塩化白金酸-オレフィン錯体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸-ジケトン錯体、白金黒および支持体に担持された白金である。
【0092】
触媒(C)は、クリーン白金金属として、化合物(A)と化合物(B)の総量1000重量部に対して、好ましくは0.1〜1000重量部、より好ましくは1〜100重量部添加される。
【0093】
乳化性シリコーンエラストマーは、少なくとも1種の炭化水素系油および/または1種のシリコーン油中でゲル形状で運ばれる。これらゲルにおいて、乳化性エラストマーは非球状粒子の形をしていることが多い。
【0094】
ポリグリセロール化エラストマーについては、特に特許出願WO-A-2004/024 798に記載されているが、その内容を参照して本特許願明細書に援用する。
【0095】
使用できるポリグリセロール化シリコーンエラストマーの例としては、「KSG-710」、「KSG-810」、「KSG-820」、「KSG-830」および「KSG-840」の名で販売されているShin-Etsu社のエラストマーが挙げられる。
【0096】
ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤は、エマルション中に、組成物の全重量に対して0.1重量%〜5重量%の範囲、好ましくは1重量%〜3重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0097】
本発明に係るエマルションは、乳化剤としてC8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールを、すなわち、オキシプロピレン化および/またはオキシエチレン化ポリメチル(C8-C22)アルキルジメチルメチルシロキサンを含むことができる。
【0098】
C8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールは次式(I)で表される化合物であることが有利である。
【0099】
【化6】

【0100】
式中、
− PEは(-C2H4O)x-(C3H6O)y-Rを表し、Rは水素原子と炭素原子1〜4個を有するアルキル基から選択され、xは0〜100の範囲の値であり、yは0〜80の範囲の値であり、xとyは同時に0であることはなく、
− mは1〜40の範囲の値であり、
− nは10〜200の範囲の値であり、
− oは1〜100の範囲の値であり、
− pは7〜21の範囲の値であり、
− qは0〜4の範囲の値であり、
好ましくは、
R = H、
m = 1〜10、
n = 10〜100、
o = 1〜30、
p = 15、
q = 3
である。
【0101】
C8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールの例としては、セチルジメチコーンコポリオール、例えば、Abil EM-90の名で販売されているGoldschmidt社の製品が挙げられる。
【0102】
C8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールは、エマルション中に、組成物の全重量に対して0.1重量%〜5重量%、好ましくは1重量%〜3重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0103】
本発明に係るエマルションは、追加の乳化性界面活性剤を含むことができる。追加の乳化性界面活性剤は、上述したポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤または炭素原子8〜22を有するアルキルジメチコーンコポリオールとは独立して異なっており、特に油中水型エマルションを得ることを可能にするような界面活性剤から選択され、特にHLB(親水性/親油性のバランス)が7未満の界面活性剤である。このような乳化性界面活性剤は、例えば、モノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸グリセリルもしくはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸ソルビトールまたはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸グリセリルもしくはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸ソルビトール、ラウリン酸グリセリルまたはラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリオールの脂肪酸エステル;例えば炭素原子6〜22個を有するペンダントまたはシリコーン骨格末端にあるアルキルまたはアルコキシ鎖を有するアルキルまたはアルコキシジメチコーンコポリオール;グリコールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルなどのポリマー、およびポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤から選択することができる。
【0104】
W/Oエマルションを得るために本発明において使用し得るその他の追加の界面活性剤としては、油中水型乳化特性を有するグリコールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルなどの型のポリマーが挙げられる。
【0105】
上記ポリマーの脂肪酸エステルは、ポリヒドロキシル化していることが好ましい。特に、このポリマーはブロックポリマーであり、好ましくはポリ(ヒドロキシル化エステル)ブロックとポリエチレングリコールブロックとを含むABA構造のブロックポリマーである。
【0106】
一般に、先に定義した上記乳化性ポリマーの脂肪酸エステルは、炭素原子12〜20個、好ましくは炭素原子14〜18個を含む鎖を有している。これらのエステルは、特にオレイン酸エステル、パルミチン酸エステルおよびステアリン酸エステルから選択することができる。
【0107】
先に定義した乳化性ポリマーのポリエチレングリコールブロックは、好ましくは4〜50モルのエチレンオキシドを含み、優先的には20〜40モルのエチレンオキシドを含む。
【0108】
本発明の組成物を製造するのに特に好適である1つのポリマー界面活性剤は、「Arlacel P 135」の商品名で販売されているICI社の30EOジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコールである。
【0109】
エマルションは、ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤または前述のC8〜C22アルキルジメチコーンコポリオール以外の追加の界面活性剤を、組成物の全重量に対して0.05重量%〜3重量%の範囲、好ましくは0.1重量%〜2重量%の範囲の含量で含むことができる。
【0110】
本発明に係る固形エマルションの水相は、水を含む。水は、ヤグルマソウ水などのフローラルウォータおよび/またはオーデヴィッテル、オーデルーカスもしくはオーデラロッシュポゼなどのミネラルウォータおよび/またはスプリングウォータであってよい。水は、本発明に係るエマルション中に、組成物の全重量に対して10重量%〜40重量%の範囲、好ましくは15重量%〜30重量%の範囲、優先的には15重量%〜25重量%の範囲の含量で存在することができる。
【0111】
水相はまた、水混和性(室温-25℃)の溶媒を含むこともできる。溶媒とは、例えば、エタノールまたはイソプロパノールなどの炭素原子を2〜6個有するモノアルコール類;グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールまたはジエチレングリコールなどの炭素原子を2〜20個、好ましくは炭素原子を2〜10個、優先的には炭素原子を2〜6個有するポリオール類;モノ-、ジ-もしくはトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテルまたはモノ-、ジ-もしくはトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテルなどのグリコールエーテル類(特に炭素原子を3〜16個含む)、およびこれらの混合物などである。
【0112】
本発明に係るエマルションは、水混和性の有機溶媒、特にポリオールを、組成物の全重量に対して1重量%〜20重量%の範囲、好ましくは3重量%〜15重量%の範囲の含量で含むことができる。
【0113】
水相はまた、例えば塩化ナトリウム、二塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウムなどの安定剤を含むこともできる。
【0114】
また、水相は、ゲル化剤、被膜性ポリマー、増粘剤および界面活性剤、ならびにこれらの混合物などの水相と相容性の水溶性化合物または水分散性化合物を含むこともできる。
【0115】
水相は、本発明に係るエマルション中に、組成物の全重量に対して25重量%〜50重量%の範囲、好ましくは25重量%〜45重量%の範囲、優先的には25重量%〜35重量%の範囲の含量で存在することが好ましい。
【0116】
また、エマルションの脂肪相は、少なくとも1種のペースト状の脂肪物質を含んでいてよい。
【0117】
本発明の目的において、「ペースト状」とは、固体状態で異方性結晶組織を有し、かつ23℃で液体画分と固体画分とを含む、固体/液体の可逆的状態変化を受ける親油性脂肪化合物を意味する。
【0118】
本発明の目的において、「ペースト状化合物」とは、20℃で硬度が0.001〜0.5MPaの範囲、好ましくは0.002〜0.4MPaの範囲にある化合物を意味する。
【0119】
硬度は、化合物のサンプルに探針を突き通す方法によって測定され、特に直径2mmのステンレス鋼製シリンダーを装備したテクスチャー分析装置(例えばRheo社のTA-XT2i)を用いて測定される。硬度測定は20℃で5個のサンプルの中心で実施する。各サンプルに、シリンダーを予備速度1mm/sで導入し、次いで測定速度0.1mm/sで導入する。貫通深さは0.3mmである。表示される硬度値は最大値である。
【0120】
このペースト状化合物はまた、23℃で液体画分と固体画分の形態をしている。すなわち、このペースト状化合物の溶融開始温度は、23℃未満である。23℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、組成物の9重量%〜97重量%である。23℃でのこの液体画分は、15重量%〜85重量%の範囲、好ましくは40重量%〜85重量%の範囲であることが好ましい。
【0121】
23℃でのペースト状化合物の重量で表される液体画分は、23℃で消費される溶融熱のペースト状化合物の溶融熱に対する比に等しい。
【0122】
ペースト状化合物の溶融熱は、その化合物が固体状態から液体状態に変化するために消費される熱である。ペースト状化合物は、その塊全部が固体結晶の形態をしている場合に固体状態にあると言われる。ペースト状化合物は、その塊全部が液体の形態をしている場合に液体状態にあると言われる。
【0123】
ペースト状化合物の溶融熱は、MDSC 2920の名で販売されているTA Instrument社の熱量計などの示差走査熱量計(DSC)を使用し、ISO11357-3:1999標準に準拠して毎分5〜10℃の温度上昇によって得られるサーモグラムの曲線下の面積に等しい。ペースト状化合物の溶融熱は、その化合物を固体状態から液体状態に変化させるのに必要なエネルギーの量である。これはJ/gで表される。
【0124】
23℃で消費された溶融熱は、サンプルが固体状態から、液体画分と固体画分とからなる23℃での状態に変化するために吸収されるエネルギー量である。
【0125】
32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分は、組成物の重量に対して30重量%〜100重量%であることが好ましく、80重量%〜100重量%であることがより好ましく、90重量%〜100重量%であることがさらに好ましい。32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分が100%である場合、ペースト状化合物の溶融範囲の最高温度は32℃以下である。
【0126】
32℃で測定されたペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費された溶融熱のペースト状化合物の溶融熱に対する比に等しい。32℃で消費された溶融熱は、23℃で消費された溶融熱と同様の方法で算出される。
【0127】
ペースト状化合物は、合成化合物および植物由来の化合物から選択されることが好ましい。ペースト状化合物は、植物由来の出発原料から合成によって得ることができる。
【0128】
ペースト状化合物は、
− 重合体または非重合体シリコーン化合物、
− 重合体または非重合体フッ素化合物、
− ビニルポリマー、特に
− オレフィンホモポリマー
− オレフィンコポリマー
− 水添ジエンホモポリマーおよびコポリマー
− 直鎖状または分岐状オリゴマー、ここで、これらは、好ましくは炭素原子C8〜C30アルキル基を有する (メタ)アクリル酸アルキルのホモポリマーまたはコポリマーである
− オリゴマー、ここで、これらは、C8〜C30アルキル基を有するビニルエステルのホモポリマーまたはコポリマーである
− オリゴマー、ここで、これらはC8〜C30アルキル基を有するビニルエーテルのホモポリマーまたはコポリマーである
− 1つまたは複数のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオールの間でポリエーテル化によって生じる油溶性ポリエーテル、
− エステル、
およびこれらの混合物から選択されることが有利である。
【0129】
ペースト状化合物はポリマー、特に炭化水素系ポリマーであることが好ましい。
【0130】
[ペースト状シリコーンおよび/またはフッ素化合物]
好ましいペースト状シリコーンおよびフッ素化合物は、X22-1088の名で販売されているShin-Etsuのポリメチルトリフルオロプロピルメチルアルキルジメチルシロキサンである。
【0131】
[ペースト状ポリエーテル化合物]
特に好ましい油溶性ポリエーテルとしては、C6〜C30長鎖アルキレンオキシドを有するエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのコポリマーが挙げられ、より好ましくはコポリマー中のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのアルキレンオキシドに対する重量比が、5:95〜70:30であるようなコポリマーが挙げられる。このファミリーの中で、特に長鎖アルキレンオキシドが平均分子量1000〜10,000であり、ブロック状に配置されているようなコポリマー、例えば、Elfacos ST9の商品名で販売されているAkzo Nobelの、ドデカンジオール(22モル)とポリエチレングリコール(45 EO)のエーテルなどのポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーが挙げられる。
【0132】
特に好ましいエステルとしては、
− グリセロールオリゴマーのエステル、特にジグリセロールエステル、詳細にはアジピン酸とグリセロールの縮合物であって、グリセロールのヒドロキシル基の一部がステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸および12-ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸の混合物と反応しているグリセロールエステル、例えばSoftisan 649の商品名で販売されているSasol社のもの、
− Waxenol 801の商品名で販売されているAkzo社のプロピオン酸アラキジル、
− 植物ステロールエステル、
− 直鎖状または分岐状C4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸とC2〜C50ジオールまたはポリオールとの重縮合によって生じる非架橋ポリエステル、
− 脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルと脂肪族カルボン酸とのエステル化によって生じるエステルの脂肪族エステル、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0133】
脂肪族カルボン酸は、炭素原子を4〜30個、好ましくは8〜30個を有する。これは、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、イソステアリン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、イソアラキン酸、オクチルドデカン酸、ヘンエイコサン酸およびドコサン酸、ならびにこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0134】
脂肪族カルボン酸は、分岐状であることが好ましい。
【0135】
脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、炭素原子を2〜40個、好ましくは10〜34個、さらに好ましくは12〜28個と、ヒドロキシル基を1〜20個、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜6個有するヒドロキシル化脂肪族カルボン酸から誘導されることが有利である。脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルは、
a) 飽和直鎖状モノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
b) 不飽和モノヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
c) 飽和モノヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
d) 飽和ポリヒドロキシル化脂肪族ポリカルボン酸の部分エステルまたは全エステル、
e) モノヒドロキシル化またはポリヒドロキシル化脂肪族モノカルボン酸またはポリカルボン酸と反応しているC2〜C16脂肪族ポリオールの部分エステルまたは全エステル、
およびこれらの混合物から選択される。
【0136】
エステルの脂肪族エステルは、
− 水添ヒマシ油とイソステアリン酸とが1対1(1/1)の比率でエステル化反応することによって生じるエステルまたはモノイソステアリン酸水添ヒマシ油、
− 水添ヒマシ油とイソステアリン酸とが1対2(1/2)の比率でエステル化反応することによって生じるエステルまたはジイソステアリン酸水添ヒマシ油、
− 水添ヒマシ油とイソステアリン酸とが1対3(1/3)の比率でエステル化反応することによって生じるエステルまたはトリイソステアリン酸水添ヒマシ油、
− およびこれらの混合物から選択されることが有利である。
【0137】
好ましく選択される植物由来のペースト状化合物としては、Lanolideの名で販売されているVevy社の、大豆ステロールとペンタエリスリトールとのオキシエチレン化(5 EO)オキシプロピレン化(5 PO)混合物が挙げられる。
【0138】
好ましく使用されるペースト状脂肪物質は、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、炭素原子を6〜40個有するアルキレンオキシドとのブロックコポリマーであり、このブロックコポリマーの重量平均分子量は5000〜8000である。
【0139】
コポリマーのアルキレンオキシドは、炭素原子を6〜30個、好ましくは8〜20個、優先的には10〜18個、より好ましくは10〜14個有していることが有利である。
【0140】
コポリマーの重量平均分子量は、5000〜8000、好ましくは5500〜7000、優先的には5500〜6500、より好ましくは5800〜6200である。
【0141】
コポリマーは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位35〜55個と、炭素原子を6〜40個有するアルキレンオキシド単位15〜30個からなることが有利である。
【0142】
特にコポリマーは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位数と炭素原子を6〜40個有するアルキレンオキシド単位数との比が、1.5〜2.5、好ましくは1.8〜2.3、優先的には1.9〜2.1であるようなコポリマーである。
【0143】
このようなコポリマーについては、特に仏国特許第A-2425848号の文献に記載されており、また「Elfacos(登録商標) ST9」の商品名でAkzo Nobel社により販売されている。
【0144】
ペースト状脂肪物質は、本発明に係る組成物中に、組成物の全重量に対して1重量%〜25重量%の範囲、好ましくは1重量%〜18重量%の範囲、より好ましくは1重量%〜10重量%の範囲の含量で存在していてよい。
【0145】
本発明に係る固形エマルションは、37℃で少なくとも1ヶ月後、貫通力が45gを上回るような硬度、特に貫通力が45g〜150gの範囲にあるような硬度を有することが有利である。
【0146】
「37℃で少なくとも1ヶ月後の硬度」とは、固形エマルションを37℃で少なくとも1ヶ月間保存した後に測定される硬度、特に固形エマルションの調製終了時点から1ヶ月後に測定される硬度のことを言う。
【0147】
特に、固形エマルションは、20℃の温度下に24時間後(特に固形エマルションの調製終了時点から)および37℃で少なくとも1ヶ月後の貫通力が45グラム(g)以上の硬度、特に貫通力が45g〜150gの範囲にあるような硬度を有する。
【0148】
固形エマルションの硬度は、50g〜130g、優先的には60g〜130g、さらに優先的には70g〜130gの範囲にあることが好ましい。
【0149】
エマルションの硬度は、下記のプロトコルに従って測定される。
【0150】
エマルションの製造が終了した時点で、熱いうちに深皿に注入し、20℃で24時間保持する。次いで、固形エマルションの貫通力を、Stevens社の直径4mmのTA24測定スピンドルを装備した、TA-XT2iの名で販売されているRheo社のテクスチュロメーターを用いて、下記の測定条件で測定する。
トリガ力 = 1.0g
予備速度 = 2.0mm/s
貫通速度= 0.5mm/s
貫通深さ = 2mm
【0151】
グラムで表される貫通力は、機械に表示される。
【0152】
次いで、固形エマルションを37℃で1ヶ月間保存し、それから、上記と同様の条件下で硬度測定を行う(37℃で1ヶ月後の硬度と呼ぶ)前に、20℃の温度下に24時間置いておく。
【0153】
本発明に係るエマルションは、少なくとも1つのフィラーを含んでいてよい。
【0154】
ここで「フィラー」とは、無色または白色の任意の形状をした鉱物または合成粒子であり、組成物の製造温度に関係無く、組成物の媒体に不溶である粒子を意味することを理解されたい。
【0155】
フィラーは、鉱物質または有機質であって、その結晶形状(例えば、ラメラ、立方、六方、斜方など)に関係無く小さな板状形、球状形または長方形などの任意の形状であってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(Nylon(登録商標))とポリ-β-アラニンとポリエチレンの粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))粉末、ラウロイルリジン、デンプン、チッ化ホウ素、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie)のポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリル、アクリル酸コポリマーなどのポリマー中空ミクロスフェア、シリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、Toshiba社のTospearls(登録商標))、ポリオルガノシロキサンエラストマー粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびにステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムなどの炭素原子を8〜22個、好ましくは12〜18個含む有機カルボン酸から誘導された金属石鹸などが挙げられる。
【0156】
フィラーは、組成物の全重量に対して0.1重量%〜25重量%の範囲、好ましくは1重量%〜20重量%の範囲、より好ましくは5重量%〜15重量%の範囲の含量で、組成物中に存在していてよい。
【0157】
本発明の一実施形態によれば、エマルションはポリメタクリル酸メチル粒子を含んでいてよい。特に、これら粒子は被膜性ではなく、すなわち、皮膚などの支持体上に置かれても連続した膜を形成することはない。
【0158】
ポリメタクリル酸メチル粉末は、一般的に中空または中実の白色球状粒子であって、一般にその数平均粒径はマイクロメーターオーダーであり、詳細には、3〜15ミクロンの範囲、一般に3〜10ミクロンの範囲である。ここで「数平均粒径」とは、母集団の半数の統計的粒径分布によって与えられる径であり、D50と呼ばれる。
【0159】
また、これらポリメタクリル酸メチル粒子を密度によって特徴づけることもできる。密度は、特に粒子の球状の空洞の径の関数として変化し得る。
【0160】
本発明の文脈において、この密度は下記のプロトコルに従って評価され、充填密度と呼ばれる。すなわち、
m = 40gの粉末を測定シリンダーに注入する。次いで、測定シリンダーをStampf Volumeter社のStav 2003装置に置く。測定シリンダーに対して充填動作を1500回行う。次いで充填された粉末の最終体積Vfを測定シリンダーで直接測定する。充填密度は、比m/Vfによって決まり、本例の場合は40/Vfである(Vfはcm3を、mはgを表す)。
【0161】
特に、本発明に係る使用可能なポリメタクリル酸メチル粒子の密度は、0.3〜1.5の範囲、特に0.5〜1.5の範囲、さらには1〜1.5の範囲とすることができる。
【0162】
本発明に好適なポリメタクリル酸メチルの例として、特に「Micropearl M100」の名で販売されているMatsumoto Yushi Co.社のポリメタクリル酸メチル粒子、「Covabead LH 85」の名で販売されているLCW社のポリメタクリル酸メチル粒子、「Jurymer MB1」の名で販売されているNihon Junyaku社のポリメタクリル酸メチル粒子などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
ポリメタクリル酸メチル粒子は、組成物の全重量に対して0.5重量%〜10重量%の範囲、好ましくは0.5重量%〜7重量%の範囲、優先的には1重量%〜20重量%の範囲、さらに優先的には0.5重量%〜5重量%の範囲の含量で存在していてよい。
【0164】
本発明に係るエマルションは、水溶性または油溶性染料、顔料およびパール剤、ならびにこれらの混合物から選択される色素を少なくとも1つ含んでいてよい。
【0165】
ここで「顔料」とは、白色または有色の鉱物質または有機質粒子であり、これは液体有機相に不溶で、組成物を着色するおよび/または不透明にすることを意図したものを意味すると理解されたい。
【0166】
「パール剤」とは、特に貝殻の中のある種の軟体動物によって生産されるか、さもなければ合成される真珠光沢の粒子であり、組成物の媒体に不溶な粒子を意味するものと理解されたい。
【0167】
「染料」とは、例えば油類などの脂肪物質または水-アルコール性相に可溶である化合物、一般に有機化合物を意味するものと理解されたい。
【0168】
顔料は鉱物質顔料または有機顔料であってよい。使用し得る顔料の例としては、例えば酸化鉄(特に黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、褐色酸化鉄、黒色酸化鉄)、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウムおよび酸化クロムなどの金属酸化物;マンガンバイオレット、群青、紺青、コバルトブルー、鉄青、オキシ塩化ビスマス、パール剤、チタンコーティングマイカまたはオキシ塩化ビスマスコーティングマイカ、例えば酸化鉄で着色したチタンマイカ、特に鉄青または酸化クロムで着色したチタンマイカ、前述した種類の有機顔料で着色したチタンマイカなどの着色真珠顔料、およびオキシ塩化ビスマス系真珠顔料、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0169】
酸化鉄顔料または酸化チタン顔料が好ましく使用される。
【0170】
顔料は疎水剤で処理して、組成物の有機相と相容性にしておくと有利である。疎水処理剤は、例えばメチコーン、ジメチコーンなどのシリコーンまたはペルフルオロアルキルシラン;例えばステアリン酸などの脂肪酸;例えばジミリスチン酸アルミニウム、水添タローグルタミン酸のアルミニウム塩などの金属石鹸、ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、ペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサン、およびアミノ酸;N-アシルアミノ酸またはそれらの塩;レシチン、チタン酸イソプロピルトリイソステアリル、ならびにこれらの混合物から選択することができる。
【0171】
N-アシルアミノ酸は、例えば2-エチルヘキサノール基、カプロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基またはココイル基などの、炭素原子を8〜22個有するアシル基を含むことができる。これら化合物の塩は、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩、ナトリウム塩またはカリウム塩であってよい。アミノ酸は、例えばリシン、グルタミン酸またはアラニンであってよい。
【0172】
前述の化合物において言及した「アルキル」とは、特に炭素原子を1〜30個、好ましくは5〜16個有するアルキル基を示す。
【0173】
疎水処理された顔料については、特に欧州特許出願第A-1086683に記載されている。
【0174】
油溶性染料は、例えば、スーダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β-カロテン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエロー、ベニノキおよびブロモ酸などである。
【0175】
水溶性染料は、例えば、ビート根液、メチレンブルーおよびカラメルなどである。
【0176】
染料は、組成物の全重量に対して0.5重量%〜30重量%の範囲、好ましくは3重量%〜20重量%の範囲、より好ましくは5重量%〜15重量%の範囲の含量で存在していてよい。
【0177】
本発明の特定の一実施形態によれば、エマルションは、疎水性の被膜粉末状物質を少なくとも1種、特に組成物の全重量に対して20重量%以下の含量で含むことができる。粉末状物質は、例えば前述のフィラーおよび顔料などの粉末状フィラーおよび染料から選択することができる。粉末状物質は、前述のような疎水剤で被膜されている。
【0178】
組成物は、特に親水性または親油性ゲル化剤および/または増粘剤、酸化防止剤、芳香剤、防腐剤、中和剤、サンスクリーン剤、ビタミン剤、保湿剤、セルフタンニング化合物、抗シワ活性剤、柔軟剤、親水性もしくは親油性活性剤、フリーラジカル捕捉剤、金属イオン封鎖剤および被膜剤、ならびにこれらの混合物から選択することができるその他の一般的な化粧品成分を含有してもよい。
【0179】
言うまでも無く、当業者ならば、この(これら)自由選択の化合物および/またはその量の選択にあたっては、本発明に係る組成物の有利な特性がその企図した添加によって悪影響を受けないように、または実質的に悪影響を受けないように注意を払うであろう。
【0180】
本発明に係る組成物は、下記の方法にしたがって製造することができる。
【0181】
先ず、ワックス、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと炭素原子6〜40個を有するアルキレンオキシドとのブロックコポリマーならびに不揮発性油を混合し、70℃〜120℃の範囲の温度で加熱することによって油相の構成成分の混合物を最初に製造し、次いで60℃〜80℃の範囲の温度で攪拌しながら揮発性油、フィラーおよび顔料を添加する。
【0182】
水、界面活性剤および水混和性溶媒を含む水相の構成成分の混合物を、60℃〜80℃の範囲の温度にまで加熱して別途調製する。
【0183】
次いで、60℃〜80℃の範囲の温度で水相を油相に添加し、得られた混合物を、油中水型エマルションが得られるまでターボミキサーを使って攪拌する。次いで、エマルションを、例えば深皿などの容器に注入し、固形エマルションが得られるまで、室温にまで冷却する。
【0184】
本発明を下記の実施例によりさらに詳しく説明する。
【0185】
[実施例1]
下記の組成を有する固形ファンデーションを作製した。
油相:
カンデリラワックス 1.8g
オゾケライト 1.2g
イソノナン酸イソトリデシル 9.0g
シクロペンタシロキサン 22.5g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した酸化鉄
2.2g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した二酸化チタン 7.8g
疎水性ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R972) 0.5g
シリカマイクロビーズ 9.0g
ポリメタクリル酸メチル 3g
二酸化チタンナノ顔料 3g
「Elfacos(登録商標)ST 9」の名で販売されているAkzo Nobel社製のエチレンオキシド(45EO)とエポキシドデカン(22mol)のコポリマー 4g
イソステアリン酸ポリグリセリル-4 1.50g
ポリグリセロール化鎖を有するシリコーン(Shin-Etsu社のKF 6104) 2g

水相:
水 20g
ブチレングリコール 3g
グリセロール 5g
硫酸マグネシウム 1g
オキシエチレン化オキシプロピレン化(18 EO/18 PO)ポリジメチルシロキサン、シクロペンタシロキサンおよび水の混合物(10/88/2)(Dow Corning社の DC 2-5225 C ) 2g
防腐剤 1.50g
【0186】
組成物は下記の方法に従って製造した。
【0187】
ワックス、コポリマーElfacos ST 9および不揮発性油を含む混合物を、透明で均一な混合物が得られるまで90℃まで加熱し、次いで揮発性油、顔料およびフィラーを70℃で攪拌しながら添加する。次いで、水相成分の混合物を70℃まで加熱しながら調製し、水相を70℃で攪拌しながら油相に導入して油中水型エマルションを得る。
【0188】
得られたエマルションを70℃で予熱した深皿に注入し、固形エマルションが得られるまで室温にまで冷却する。
【0189】
20℃で24時間経た時点で測定した硬度が118.2gであり、37℃で1ヶ月間保存した後に測定した硬度が45gを上回る固形ファンデーションが得られる。ここで硬度測定は、前述のプロトコルに従って行われる。
【0190】
ファンデーションは、皮膚に適用するとリッチでクリーミーである。
【0191】
[実施例2]
下記の組成を有する固形ファンデーションを作製した。
油相:
カンデリラワックス 1.8g
オゾケライト 1.2g
イソノナン酸イソトリデシル 9.0g
シクロペンタシロキサン 22.5g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した酸化鉄
2.2g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した二酸化チタン 7.8g
疎水性ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R972) 0.5g
シリカマイクロビーズ 9.0g
ポリメタクリル酸メチル 3g
二酸化チタンナノ顔料 3g
「Elfacos(登録商標)ST 9」の名で販売されているAkzo Nobel社製のエチレンオキシド(45EO)とエポキシドデカン(22mol)のコポリマー 4g
イソステアリン酸ポリグリセリル-4 1.50g

水相:
水 20g
ブチレングリコール 3g
グリセロール 5g
硫酸マグネシウム 1g
セチルジメチコーンコポリオール(Goldschmidt社製Abil(登録商標) EM 90) 2g
オキシエチレン化オキシプロピレン化(18 EO/18 PO)ポリジメチルシロキサン、シクロペンタシロキサンおよび水の混合物(10/88/2)(Dow Corning社の DC 2-5225 C ) 2g
防腐剤 1.50g
【0192】
組成物は下記の方法に従って製造した。
【0193】
ワックス、コポリマーElfacos ST 9および不揮発性油を含む混合物を、透明で均一な混合物が得られるまで90℃まで加熱し、次いで揮発性油、顔料およびフィラーを70℃で攪拌しながら添加する。次いで、水相成分の混合物を70℃まで加熱しながら調製し、水相を70℃で撹拌しながら油中水型エマルションが得られるまで油相に導入する。
【0194】
得られたエマルションを70℃で予熱した深皿に注入し、室温にまで冷却し固形エマルションを得る。
【0195】
20℃で24時間経た時点で測定した硬度が98gであり、37℃で1ヶ月間保存した後に測定した硬度が87gである固形ファンデーションが得られる。ここで硬度測定は、前述のプロトコルに従って行う。このようにして得られるファンデーションは、1ヶ月間保存した後も硬度安定性に優れている。
【0196】
ファンデーションは、皮膚に適用するとリッチでクリーミーである。
【0197】
[実施例3]
下記の組成を有する固形ファンデーションを作製した。
油相:
カンデリラワックス 1.8g
オゾケライト 1.2g
ネオペンタン酸イソデシル 10.2g
シクロペンタシロキサン 22.5g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した酸化鉄
2.4g
ステアロイルグルタミン酸二ナトリウムおよび水酸化アルミニウムで被覆した二酸化チタン 7.6g
疎水性ヒュームドシリカ(Degussa社のAerosil R972) 0.5g
シリカマイクロビーズ 9.0g
ポリメタクリル酸メチル 3g
二酸化チタンナノ顔料 3g
「Elfacos(登録商標)ST 9」の名で販売されているAkzo Nobel社製のエチレンオキシド(45EO)とエポキシドデカン(22mol)のコポリマー 4g
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3 0.3g

水相:
水 20g
ブチレングリコール 3g
グリセロール 5g
硫酸マグネシウム 1g
セチルジメチコーンコポリオール(Goldschmidt社製Abil(登録商標) EM 90) 2g
オキシエチレン化オキシプロピレン化(18 EO/18 PO)ポリジメチルシロキサン、シクロペンタシロキサンおよび水の混合物(10/88/2)(Dow Corning社の DC 2-5225 C ) 2g
防腐剤 1.50g
【0198】
エマルションは実施例1と同じ方法で製造した。
【0199】
20℃で24時間経た時点で測定した硬度が87gであり、37℃で1ヶ月間保存した後に測定した硬度が78gである固形ファンデーションが得られる。ここで硬度測定は、前述のプロトコルに従って行われる。このようにして得られる固形ファンデーションは、1ヶ月間保存した後も硬度安定性に優れている。
【0200】
ファンデーションは、皮膚に適用するとリッチでクリーミーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル油とワックスを含む脂肪相中に乳化された水相と、ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤を含むことを特徴とする油中水型固形エマルション。
【請求項2】
前記エマルションが、37℃で1ヶ月後、貫通力が45g以上である硬度を有することを特徴とする請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
エステル油とワックスを含む脂肪相中に乳化性界面活性剤で乳化された水相と、C8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールを含む油中水型固形エマルションであって、
前記エマルションが、37℃で少なくとも1ヶ月後、貫通力が45g以上である硬度を有することを特徴とする油中水型固形エマルション。
【請求項4】
前記硬度が、45g〜150gの範囲、好ましくは50g〜130gの範囲、優先的には60g〜130gの範囲、より優先的には70g〜130gの範囲にあることを特徴とする請求項2または3に記載のエマルション。
【請求項5】
前記エステル油が、モノエステルであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項6】
前記エステル油が、式R1COOR2で表されるモノエステルであって、式中、R1は炭素原子を4〜40個、好ましくは4〜30個、優先的には7〜20個有する直鎖状または分岐状炭化水素系鎖を表し、R2は炭素原子を3〜40個、好ましくは10〜30個、優先的には16〜26個有する分岐状炭化水素系鎖を表すことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項7】
前記エステル油が、ネオペンタン酸イソデシル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソデシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-オクチルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリルおよびエルカ酸2-オクチルドデシル、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項8】
前記エステル油が、組成物の全重量に対して5重量%〜20重量%、好ましくは7重量%〜15重量%、優先的には8重量%〜12重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項9】
前記ワックスが、5MPa〜9MPaの範囲の硬度を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項10】
前記ワックスが、6MPa〜9MPa、好ましくは7MPa〜9MPaの範囲の硬度を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項11】
前記ワックスが、カルナバワックス、ミクロクリスタリンワックス、オゾケライト、水添ホホバ油、ポリエチレンワックス、ポリ(C24〜C28)アルキルメチルジメチルシロキサンワックス、パームバター、C20〜C40ステアリン酸アルキル、安息香酸ステアリルおよびセラックワックス、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項12】
前記ワックスが、カルナバワックス、オゾケライト、水添ホホバ油およびポリエチレンワックスから選択されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項13】
前記ワックスが、カンデリラワックスおよびオゾケライト、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項14】
前記ワックスが、組成物の全重量に対して1重量%〜10重量%、好ましくは2重量%〜7重量%、優先的には2重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項15】
前記ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤が、下記一般式(I'):
R1aR2bR3cSiO(4-a-b-c)/2 (I')
[式中、
a) a、bおよびcは、aが1〜2.5の範囲であり、bおよびcがそれぞれ独立に0.001〜1.5の範囲であり、
b) R1は、同一であっても異なっていてもよく、
− 1つまたは複数のフッ素原子ならびにアミノ基および/またはカルボキシル基で適宜置換されたC1〜C30アルキル基、
− アリール基およびアラルキル基、および
− 下記一般式(II):
-CdH2d-O-(C2H4O)e(C3H6O)fR4 (II)
で表される基から選択され
(式中、
− R4は、C4〜C30炭化水素系基またはR5がC1〜C30炭化水素系基であるR5-(CO)-基であり、
− d、eおよびfは、dが0〜15の範囲の整数であり、eおよびfがそれぞれ独立に0〜50の範囲の整数であり、ならびに
− これらの組み合わせである)、
c) R2は、下記一般式(III):
-Q-O-X (III)
で表され
(式中、
− Qは、エーテル結合を少なくとも1個および/またはエステル結合を少なくとも1個含んでいてよい二価のC2〜C20炭化水素系基であり、
− Xは、ポリヒドロキシル化炭化水素系基である)、
d) R3は、下記一般式(IV):
【化1】

で表されるオルガノシロキサン基である
(式中、
− 各R基は、それぞれ独立に、1つまたは複数のフッ素原子で適宜置換されたC1〜C30アルキル基、アリール基およびアラルキル基から選択される基を表し、
− gおよびhは、gが1〜5の範囲の整数であり、hが0〜500の範囲の整数である)]
で表されるシリコーンポリマーであることを特徴とする請求項1、2および4から13のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項16】
前記シリコーンポリマーが、一般式(I')で表される化合物(式中、R1はC1〜C10、特にC1〜C6、特にC1〜C4アルキル基である)であることを特徴とする請求項15に記載のエマルション。
【請求項17】
前記シリコーンポリマーが、一般式(I')で表される化合物
[式中、
− aは1〜1.4の範囲であり、bおよびcはそれぞれ独立に0.02〜0.04の範囲であり、
− R1はC1〜C10、特にC1〜C6、特にC1〜C4アルキル基であり、
− R2は下記式(IIIA):
-C3H6O[CH2CH(OH)CH2O]nH (IIIA)
で表され(式中、nは1〜5の範囲である)、かつ
− R3は下記式(IVA):
-C2H4(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]mSi(CH3)3 (IVA)
で表される(式中、mは3〜9の範囲である)]
であることを特徴とする請求項14または15に記載のエマルション。
【請求項18】
前記シリコーンポリマーが、一般式(I')で表される化合物
[式中、
− aは1〜1.4の範囲であり、bおよびcはそれぞれ独立に0.02〜0.04の範囲であり、
− R1はメチル基であり、
− R2は式(IIIA)で表され(式中、nは1〜5の範囲である)、かつ
− R3は式(IVA)で表される(式中、mは3〜9の範囲である)]
であることを特徴とする請求項17に記載のエマルション。
【請求項19】
前記ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤が、ポリヒドロキシル化鎖、特にポリグリセロール化鎖を有する、乳化性のエラストマー系架橋オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1、2および4から12のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項20】
前記エラストマー系架橋オルガノポリシロキサンが、ケイ素に結合している水素原子を少なくとも1個有するジオルガノポリシロキサンと、エチレン性不飽和基を有するポリヒドロキシル化化合物とを、特に白金触媒の存在下で、架橋付加反応させることにより得られることを特徴とする請求項19に記載のエマルション。
【請求項21】
前記エラストマー系架橋オルガノポリシロキサンが、(A)それぞれケイ素に結合している水素を少なくとも2個有するジオルガノポリシロキサンと、(B)エチレン性不飽和基を少なくとも2個有するグリセロール化化合物とを、特に(C)白金触媒の存在下で、架橋付加反応させることにより得られることを特徴とする請求項19または20に記載のエマルション。
【請求項22】
化合物(B)が、下記式(B'):
CmH2m-1-O-[Gly]n-CmH2m-1 (B')
に対応するポリグリセロール化化合物
[式中、mは2〜6の範囲の整数であり、nは2〜200の範囲の整数、好ましくは2〜100の範囲の整数、好ましくは2〜50の範囲の整数、好ましくは2〜20の範囲の整数、好ましくは2〜10の範囲の整数、優先的には2〜5の範囲の整数、特に3であり、
Glyは、-CH2-CH(OH)-CH2-O-または-CH2-CH(CH2OH)-O-を表す]
であることを特徴とする請求項21に記載のエマルション。
【請求項23】
前記ポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤が、組成物の全重量に対して0.1重量%〜5重量%、好ましくは1重量%〜3重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項1、2および4から22のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項24】
前記C8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールが、下記式(I):
【化2】

[式中、
− PEは(-C2H4O)x-(C3H6O)y-Rを表し、Rは水素原子と炭素原子1〜4個を有するアルキル基とから選択され、xは0〜100の範囲の値であり、yは0〜80の範囲の値であり、xとyは同時に0であることはなく、
− mは1〜40の範囲の値であり、
− nは10〜200の範囲の値であり、
− oは1〜100の範囲の値であり、
− pは7〜21の範囲の値であり、
− qは0〜4の範囲の値である]
の化合物であることを特徴とする請求項3に記載のエマルション。
【請求項25】
前記C8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールが、組成物の全重量に対して0.1重量%〜5重量%、好ましくは1重量%〜3重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項3または24に記載のエマルション。
【請求項26】
前記エマルションが、モノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸グリセリルもしくはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸ソルビトールまたはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸グリセリルもしくはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸ソルビトール、ラウリン酸グリセリルまたはラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリオールの脂肪酸エステル;例えば炭素原子6〜22個を有する、ペンダントまたはシリコーン骨格末端にあるアルキルもしくはアルコキシ鎖を有するアルキルまたはアルコキシジメチコーンコポリオール;グリコールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステルなどのポリマー、およびこれらの混合物から選択される追加の乳化性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1、2および15から23に記載のエマルション。
【請求項27】
前記追加の界面活性剤が、請求項24に記載したC8〜C22アルキルジメチコーンコポリオールであることを特徴とする請求項26に記載のエマルション。
【請求項28】
前記エマルションが、モノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸グリセリルもしくはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-オレイン酸ソルビトールまたはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸グリセリルもしくはモノ-、ジ-、トリ-もしくはセスキ-ステアリン酸ソルビトール、ラウリン酸グリセリルまたはラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリオールの脂肪酸エステル;グリコールのポリオキシアルキレン化脂肪酸エステル、ポリヒドロキシル化および特にポリグリセロール化シリコーン、乳化性シリコーンエラストマーなどのポリマー、およびポリヒドロキシル化鎖を有するシリコーン界面活性剤から選択される追加の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項3、24および25のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項29】
前記追加の乳化性界面活性剤が、組成物の全重量に対して0.05重量%〜3重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項26から28のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項30】
前記脂肪相が、揮発性シリコーン油を含むことを特徴とする請求項1から29のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項31】
前記揮発性シリコーン油が、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項30に記載のエマルション。
【請求項32】
前記揮発性シリコーン油が、組成物の全重量に対して5重量%〜40重量%、好ましくは10重量%〜30重量%、優先的には15重量%〜30重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項30または31に記載のエマルション。
【請求項33】
前記エマルションが、前記エステル油および前記揮発性シリコーン油以外に追加の油を含むことを特徴とする請求項1から32のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項34】
前記追加の油が、揮発性または不揮発性の炭化水素系油およびフッ素油から選択されることを特徴とする請求項33に記載のエマルション。
【請求項35】
前記追加の油が、組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項33または34に記載のエマルション。
【請求項36】
前記エマルションが、組成物の全重量に対して10重量%〜40重量%、好ましくは15重量%〜30重量%、優先的には15重量%〜25重量%の範囲の含量で水を含むことを特徴とする請求項1から35のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項37】
前記エマルションが、炭素原子2〜6個を有するモノアルコール類、炭素原子2〜20個を有するポリオール類および炭素原子3〜16個を有するグリコールエーテル類ならびにこれらの混合物から選択される水混和性溶媒を含むことを特徴とする請求項1から36のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項38】
前記水混和性溶媒が、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、モノ-、ジ-またはトリプロピレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、モノ-、ジ-またはトリエチレングリコール(C1-C4)アルキルエーテル、エタノールおよびイソプロパノール、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項37に記載のエマルション。
【請求項39】
前記水混和性有機溶媒が、組成物の全重量に対して1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項37または38に記載のエマルション。
【請求項40】
前記エマルションが、ペースト状の脂肪物質を含むことを特徴とする請求項1から39のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項41】
前記ペースト状の脂肪物質が、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと、炭素原子6〜40個を有するアルキレンオキシドとのブロックコポリマーであって、前記コポリマーの重量平均分子量が、5000〜8000の範囲であることを特徴とする請求項40に記載のエマルション。
【請求項42】
前記エマルションが、フィラーを少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1から41のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項43】
前記フィラーが、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、ポリ-β-アラニン粉末、ポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、ラウロイルリジン、デンプン、チッ化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルの中空ミクロスフェア、アクリル酸コポリマーの中空ミクロスフェア、シリコーン樹脂マイクロビーズ、ポリオルガノシロキサンエラストマー粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびに炭素原子8〜22個を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸から選択されることを特徴とする請求項42に記載のエマルション。
【請求項44】
前記フィラーが、組成物の全重量に対して0.1重量%〜25重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、優先的には5重量%〜15重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項42または43に記載のエマルション。
【請求項45】
前記エマルションが、ポリメタクリル酸メチル粒子を含むことを特徴とする請求項1から44のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項46】
前記ポリメタクリル酸メチル粒子が、組成物の全重量に対して0.5重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜7重量%、優先的には1重量%〜20重量%、さらに優先的には0.5重量%〜5重量%の範囲の含量で存在することを特徴とする請求項45に記載のエマルション。
【請求項47】
前記エマルションが、少なくとも1種の色素を含むことを特徴とする請求項1から46のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項48】
前記エマルションが、少なくとも1種の疎水性の被膜粉末状物質を含むことを特徴とする請求項1から47のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項49】
前記粉末状物質が、粉末状フィラーおよび色素から選択されることを特徴とする請求項48に記載のエマルション。
【請求項50】
前記粉末状物質が、シリコーン、脂肪酸、金属石鹸、ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシラザン、ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド、ペルフルオロアルキルペルフルオロポリエーテル基を含むポリオルガノシロキサン、アミノ酸、N-アシルアミノ酸またはこれらの塩、レシチンおよびイソプロピルトリイソステアリルチタネート、ならびにこれらの混合物から選択される疎水性剤で被膜されていることを特徴とする請求項48または49に記載のエマルション。
【請求項51】
前記疎水性の被膜粉末状物質が、組成物の全重量に対して20重量%以下の含量で存在することを特徴とする請求項49または50に記載のエマルション。
【請求項52】
前記エマルションが、親水性もしくは親油性ゲル化剤および/または増粘剤、抗酸化剤、芳香剤、防腐剤、中和剤、サンスクリーン剤、ビタミン剤、保湿剤、セルフタンニング化合物、抗シワ活性剤、柔軟剤、親水性もしくは親油性活性剤、フリーラジカル捕捉剤、金属イオン封鎖剤および被膜剤、ならびにこれらの混合物から選択される化粧品成分を含むことを特徴とする請求項1から51のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項53】
組成物が、ファンデーション、アイシャドー、メイクアップルージュ、コンシーラー製品、ボディメイクアップ製品、口紅、スキンケアベース、ケアクリーム、リップケア組成物、抗紫外線組成物、セルフタンニング組成物、デオドラントであることを特徴とする請求項1から52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物を含むファンデーション。
【請求項55】
請求項1から54のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚メイクアップまたはケアを行うための非治療的化粧方法。

【公開番号】特開2006−36769(P2006−36769A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−207857(P2005−207857)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】