説明

化粧用粉体

【課題】 化粧持ちがよく、保湿効果の高く、かつ粉体の安定性の高い粉体の製造という重要な課題を解決する。
【解決手段】
有機酸またはアルコールとのシラン複合体処理した化粧料用無機粉体乃至は前記シラン複合体被覆処理及び疎水化処理した二重表面処理した化粧粧用粉体を調整し、これを1〜60質量%含有する様に化粧料の処方を構成し、軽質イソパラフィンやエタノールなどを用いてスラリーを形成させ、これを金皿などの支持体に充填し、成型することにより、上記の課題が解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機酸またはアルコールとのシラン複合体処理粉体及び/又は前記処理に加えて疎水化処理した無機粉体からなる化粧用粉体、並びに、該化粧料用無機粉体を含有してなる化粧料に関する。

【背景技術】
【0002】
メークアップ化粧料は、皮膚の欠点をカバーし、美しく装う機能を有する。通常この様なメーク機能は、粉体 原料の隠蔽性や加色効果などの光学効果に依存するところが大きい。従って、かかる光学効果を維持するためには、つけたときの状態で、粉体原料が皮膚上に留まっていることが必要となる。通常は、時間とともに、粉体 原料は物理的に脱落したり、汗や皮脂に濡れて、光学効果が異なってしまったりする所謂化粧崩れと言われる現象で認められる。この化粧崩れの要因である、前記粉体類の脱落の原因としては、粉体類の付着性の程度、汗や皮脂による流れなどによる場合が存する。
【0003】
化粧持ちを改善するための検討が種々行われており、この内、物理的脱落に対しては、メタクリル酸エステル誘導体などの粘着性高分子の被膜を皮膚上に形成させる方法や(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)、固着性の良いワックス基剤の化粧料への配合などの方法(例えば、特許文献3を参照)などでの対応が存し、皮脂濡れや汗濡れへの対応としては、撥水溌油性高分子での粉体 処理などの方法(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6を参照)が存する。
【0004】
一方、粉体の表面処理において、ヒアルロン酸ナトリウムの様な水溶性を有する糖誘導体を用いることは既に知られており、この様な表面処理により、無処理の粉体に比較して、乾燥感を抑制しながら、化粧持ち、水性媒体分散性が向上することが知られている(例えば、特許文献7、特許文献8を参照)が、該化粧持ちの向上効果は、シリコーン焼き付け処理やパーフルオロアルキルリン酸塩処理などに比して大きくはないし、処理の保湿性の維持性も課題を有する。この様な点を、改良して、更に水性媒体分散性を向上させるために、ヒアルロン酸などにジメチルジシラノールを反応させて複合体を生じせしめ、これを利用し粉体被覆を行い、水溶性カチオン分子で固定させる技術が開発された。(例えば、特許文献9、特許文献10を参照)この様な表面処理は、表面に親油性基や反応性基が多数存在する有機粉体に特に好適であり、有機粉体の水性媒体分散性を向上させることが出来るが、表面に存在する反応性基の少ない無機粉体にこの様な処理を行った例は存せず、その処理効果も全く知られていない。
【0005】
また、シリコーン焼き付け処理やパーフルオロアルキルリン酸塩処理により、撥水撥油性に優れた化粧用粉体が製造できることも、すでに開示されている(例えば、特許文献11、特許文献12を参照)が知られており、これらにおける化粧持ち向上効果は、前記の如く明瞭に認められている。しかしながら、このような処理では、化粧料の残存量が向上するという意味での、化粧持ちの向上効果は非常に優れていても、見た目の美しさの持続性は課題が存していた。すなわち、化粧料が多く残存しているが故に、この残存により化粧料分布の不均一性が目立つ場合が存した。この現象には、表面処理により、二次凝集が促進されやすいことも一因となっていた。又、この様な処理においては、粉体を塗布したが故に現れる乾燥感の抑制も認められるが、十分に皮膚内のしっとり感を保つまでには至っていない。
【0006】
一方、無機粉体表面を有機酸またはアルコールとのシラン複合体被覆処理することはまったく知られていなかった。また、このような処理粉体が、化粧料の残存量が多く、且つ、不均一性が少ないという、従来にない化粧持ちの良さを有していることも全く知られていなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−60322号公報
【特許文献2】特開平07−187951号公報
【特許文献3】特開平02−20620号公報
【特許文献4】特開2003−146829号公報
【特許文献5】特開2002−194337号公報
【特許文献6】特開2001−2524号公報
【特許文献7】特開昭62−209011号公報
【特許文献8】特開平05−32525号公報
【特許文献9】特開2005−247720号公報
【特許文献10】特開2005−213362号公報
【特許文献11】特開2003−73235号公報
【特許文献12】特開2003−95639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、化粧持ちがよく、保湿効果に加えて粉体の凝集を回避した粉体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この様な実状に鑑みて、本発明者らは、化粧持ち及び保湿効果に優れ、粉体の凝集を回避可能な粉体を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、有機酸またはアルコールとのシラン複合体被覆処理された粉体がこのような効果があることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す通りである。
(1) 有機酸またはアルコールとのシラン複合体被覆処理された化粧用無機粉体。
(2) 前記有機酸またはアルコールとのシラン複合体がヒアルロン酸ジメチルシランジオール、乳酸モノメチルシラントリオール、及びメチルシラノールトリPEG−8−グリセリルココエートから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、(1)の化粧用無機粉体
(3) 前記無機粉体がセリサイト及び/又はマイカであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の化粧用無機粉体。
(4) 前記有機酸またはアルコールとのシラン複合体の被覆量が、被覆粉体に対して0.001〜20質量%であることを特徴とする、(1)乃至(3)何れか1項に記載の化粧用無機粉体。
(5) 更に、疎水化処理を施されていることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の化粧用無機粉体。
(6) 前記疎水化処理が、パーフルオロアルキル処理、パーフルオロアルキルリン酸塩処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付け、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理、金属石鹸コーティング処理、アシル化アミノ酸塩コーティング処理から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、(5)に記載の化粧用無機粉体。
(7) 前記疎水化処理による被覆量が、被覆粉体に対して0.05〜20質量%であることを特徴とする、(5)または(6)に記載の化粧用無機粉体。
(8) (1)乃至(7)何れか1項に記載の化粧用粉体を含有することを特徴とする、化粧料。
(9) 固形粉体化粧料であることを特徴とする、(8)に記載の化粧料。
(10)(1)〜(7)何れか1項に記載の被覆粉体が、化粧料に含有される被覆粉体に対して0.01〜100質量%であることを特徴とする、(8)または(9)に記載の化粧料。
(11) 粉体と油剤からなる化粧基剤に、溶剤を添加してスラリーとして、該スラリーを中皿に充填後、前記溶剤を除去することにより得られることを特徴とする、(9)または(10)に記載の固形粉末化粧料。

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、化粧持ち及び保湿効果に優れ、粉体の凝集を回避可能な化粧用粉体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<1>化粧用粉体
本発明の化粧用無機粉体は、有機酸またはアルコールとのシラン複合体での被覆処理、又は、有機酸またはアルコールとのシラン複合体での被覆処理及び疎水化処理した粉体である。
本発明の化粧料無機粉体に施す、有機酸またはアルコールとのシラン複合体被覆処理は、有機酸とアルキル(C1〜4)シランとを予め混合、反応させ、エステル乃至はエーテル結合で結合せしめ、複合体となした、有機酸またはアルコールとのシラン複合体を、無機粉体の表面に被覆せしめ、所望により、加熱、或いは酸・アルカリ処理などにより定着せしめたものであり、前記被覆はシラン複合体を、例えば、揮散可能な溶媒に溶解せしめ、噴霧、揮散をさせて行うことが出来る。前記揮散可能な溶媒としては塩化メチレンなどが好適に例示できる。前記シラン複合体を構成する有機酸としては、サリチル酸、乳酸、ヒアルロン酸、ペクチン、アスコルビン酸、マヌロン酸、パントテン酸、ヒドロキシプロリン、アルギン酸などが好適に例示でき、アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好適に例示できる。かかる有機酸乃至はアルコールは、置換基を有することも出来、該置換基としては、アシル基、ホスホリル基、多価アルコール残基、カルボン酸残基等が好適に例示できる。又、シランとしては、メチルシラントリオール、ジメチルシランジオール、トリメチルシラノールなどが好適に例示できるが、メチルシラントリオール乃至はジメチルシランジオールが特に好ましい。この様な、有機酸またはアルコールとのシラン複合体の好ましい具体例を挙げれば、メチルシラノールマヌロネート、ジメチコノールパンテノール、5,6-ジ-o-ジメチルシリスアスコルベート、ジメチコーンPEG-7ホスファート、ヒアルロン酸ジメチルシラネディオール、乳酸モノメチルトリシラノール、PEG−8−グリセリルココエート(メチルシラノール・ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン縮合物)、PCAメチルシラノール、アスコルビルメチルシラノールペクチネート、メチルシラノールヒドロキシプロリンアスパルテート、メチルシラノールカルボキシメチルテオフィリンアルギネート等が挙げられる。これらは何れも化粧料用の原料として認められており、市販品も存する。本発明の化粧料用の無機粉体を作成するためには、前記の手段によって有機酸乃至はアルコールを、アルキルシランと反応させて、シラン複合体を作成し、これを用いることも出来るが、既に市販されているシラン複合体を購入して利用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、Exsymol社から販売されている、Algisium C(登録商標;メチルシラノールマヌロネート)、PRO-AA(5,6-ジ-o-ジメチルシリスアスコルベート)、D.S.H.CN(ヒアルロン酸ジメチルシランジオール)、LASILIUM(乳酸モノメチルトリシラノール)、Biosil Technologies, Inc.社より販売されている、AMINO DL-30(ジメチコノールパンテノール)、Pecosil PSE:Phoenix Chemical社から販売されている、ジメチコーンPEG-7ホスファート等が例示できる。これらの内、特に好ましいものは、ヒアルロン酸ジメチルシランジオール、乳酸モノメチルシラントリオール、及びメチルシラノールトリPEG−8−グリセリルココエートであり、粉体全量に対して0.001〜20質量%となるように処理することが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。これらを用いた被覆処理は、粉体を1〜20倍容量の液性担体、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン等から選択される1種乃至は2種以上の溶媒に分散せしめ、これに前記シラン複合体の溶液を加え、しかる後に液性担体を減圧濃縮などで除去すればよい。本発明の化粧料用の無機粉体に於いては、かかるシラン複合体被覆処理に加えて、疎水化処理も併せて行うことが好ましい。かかる疎水化処理としては、(パー)フルオロアルキルシランカップリング剤や(パー)フルオロアルキルリン酸ジエタノールアミンによる(パー)フルオロアルキル化処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付け、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸コーティング処理、N−ラウロイルグルタミン酸アルミニウム等のアシル化アミノ酸塩コーティング処理等が好適に例示できる。かかる疎水化処理は、前記シラン複合体被覆処理に、先だって行っても良いし、前記シラン複合体処理の後に行っても良い。特に好ましいものは、予め疎水化処理を行い、しかる後にシラン複合体処理を行う方法である。この様な場合の疎水化処理としては、(パー)フルオロアルキル化処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理が特に好適に例示できる。この様な順序で処理を行うことにより、均一維持性を含めた化粧料が著しく向上する。加えて、副次的効果として、水性担体分散性、使用時の乾燥感抑制作用が顕著となる。この様な疎水化処理は、粉体全量に対して0.05〜20質量%であり、さらに0.5〜3質量%となるように行うことが好ましい。本発明の化粧料用無機粉体における、疎水化処理は、例えば、パーフルオロアルキル処理であれば、パーフルオロアルキル基を有するシリル化剤を用いてカップリング処理を行ったり、パーフルオロアルキルリン酸エステルのジエタノールアミン塩等を被覆したりしても良い。ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付やジメチルポリシロキサン焼付は、塩化メチレンなどの溶媒に溶解せしめ、均一に被覆した後、100〜400℃で焼付を行えばよいし、金属石鹸コーティングはステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸をメカノケミカルに被覆することにより調製できる。アシル化アミノ酸処理であれば、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムの水溶液中に粉体を分散せしめ、しかる後に塩化アルミニウムの水溶液などを加えてN−アシルグルタミン酸アルミニウムを粉体上に沈殿せしめ、これを乾燥することにより調製することが出来る。これらの処理粉体の内では、パーフルオロアルキル処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付けなどが特に好適に例示できる。パーフルオロアルキル処理とは、炭素−炭素結合と炭素−フッ素結合のみの結合しか有さないパーフルオロアルキル構造をアルキル基内に含むアルキル基を有する、アルキルトリアルコキシシラン、ジアルコキシジアルキルシラン又はアルコキシトリアルキルシラン等で処理し、当該パーフルオロアルキル構造をアルキル基内に含むアルキル基を粉体表面に化学修飾した粉体を意味する。この様なパーフルオロアルキル構造を有するアルキル基としては、炭素数3〜20のアルキル基であって、その水素の50%以上をフッ素原子で置換したものが好ましく、例えば、ペンタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロペンチル基、トリデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロデシル基、トリトリデカオクタデシル基等が好適に例示できる。これらの基を有する上記シランカップリング剤によってシランカップリングする事により、パーフルオロアルキル処理粉体を得ることが出来る。処理量としては、粉体:パーフルオロアルキル処理剤=8:2〜99:1で処理を行うのが好ましい。又、この様な処理粉体については、市販のものも存し、本発明ではこの様な市販の処理粉体を使用することもできる。かかる市販品としては、例えば、HFセリサイト、HFチタニアセリサイト(ともにテイカ株式会社製)が例示できる。又、ハイドロジェンメチルポリシロキサンやジメチルポリシロキサン焼き付け処理であれば、ベースとなる粉体に対して0.1〜20重量部の当該シリコーンを粉体にコーティングし、80〜200℃で焼き付け処理すればよい。又、金属石鹸処理であれば、粉体と脂肪酸石鹸を水性担体中に共存させ、塩化アルミニウムや塩化亜鉛等の可溶性金属塩を加え、金属石鹸を粉体上に析出させ、これを取り出し乾燥させれば、金属石鹸コーティング粉体を得ることができる。同様の方法に準じてアシル化アミノ酸塩コーティング粉体も作製することができる。金属石鹸やアシル化アミノ酸塩はベースになる粉体に対して0.1〜20重量%用いるのが好ましい。
【0012】
<2>本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記本発明の化粧料用の粉体を含有することを特徴とする。本発明の化粧料としては、特段化粧料として通常使用される剤形であれば限定はないが、固形粉末化粧料が好ましい。本発明の固形粉末化粧料とは、粉体に所望により5〜25質量%の油脂成分をコーティングし、これを固形に成形したもので、該成型手段としては、加圧成型などが好適に例示できる。固形粉末化粧料の製造方法は、特に限定されずプレス成型法、湿式成型法等の何れでもよく、プレス成型法は、粉体成分と油性成分を混合分散した後、中皿に充填して加圧成型する方法である。湿式成型法は、粉体と油剤を混合分散したのち、水やアルコール、軽質イソパラフィン、シクロメチコン、低分子量のジメチコン等の溶媒を加え、多少の流動性を有するスラリーとし、このスラリーを中皿等の容器に充填し、溶媒を乾燥、引圧等により溶媒を除去する方法である。本発明の効果をより発揮するには、製品中での発明粉体を凝集無く分散させることで効果の向上を図ることが出来るため、湿式成型法が好ましい。本発明の化粧料における、必須成分である本発明の化粧料用無機粉体の含有量は、かかる粉体の光学効果が現れる量であれば特段の限定はないが、化粧料全量に対して、1〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜40質量%である。かかる粉体は、下限未満では本発明の効果を奏すことは難しく、上限を超えると化粧品としての剤形の自由度が少なくなり、使用感、保湿効果、化粧持ちの効果が弱くなる。
【0013】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分以外に、通常粉体化粧料で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリンマイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコールステアリルアルコールイソステアリルアルコールベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリル、、アルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチルミリスチン酸イソプロピルイソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ− 2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等、ラウリル硫酸カリウム)、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等) 、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類 (ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレー)
ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシル
エーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコールグリセリン1 3−ブチレングリコール、エリスリトールソルビトールキシリトールマルチトールプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404 号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸、収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB 塩酸塩、ビタミンB トリパルミテート、ビタミンB2 ジオクタノエート、ビタミンB12 、ビタミンB 6 又はその誘導体 、ビタミンB 又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの成分を常法に従って処理することにより、本発明の化粧料は製造することが出来る。
【0014】
以下に、本発明について、以下に実施例を挙げて、更に詳細説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0015】
以下に示す処方に従って、本発明の化粧用粉体を製造した。即ち、ディスパーを用いて、200回転/分でイを攪拌しながら、これにロを徐々に加えた。全量が添加された後7000回転/分の速度で10分分散し、これを真空脱泡した後、減圧下20℃ で4日間乾燥させ、しかる後に0.7mmφ丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕して、本発明の化粧料用の粉体1を得た。同様に操作して、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体とヒアルロン酸ジメチルシランジオールとで疎水化処理を行っていないセリサイトを処理して得た比較粉体1(表2)、「HFセリサイト」に代えて、疎水化処理を行っていないセリサイトを用いた本発明の化粧料用無機粉体2も作成した。

【0016】
【表1】

【0017】
【表2】

【実施例2】
【0018】
同様に以下の処方に従って化粧用無機粉体3を製造した。
【0019】
【表3】

【実施例3】
【0020】
次に示す処方に従って、本発明の化粧料である、化粧料1を作製した。即ち、下記に示す処方に従って、成分をヘンシェルミキサーで混合し0.9mmφ 丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ヘンシェルミキサーで再度混合しながらロの成分を噴霧しコーティングして、1mm ヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、これに1/3質量倍の軽質イソパラフィンを加え、ニーダーにて混練りし、キャピラリ領域のスラリーに加工し、これを金皿に充填し、減圧下溶媒である軽質イソパラフィンを揮散、除去し、成型して、本発明の化粧料である、化粧料1を得た。同様の操作で、化粧料1の化粧料 用の粉体1をセリサイトに置換した比較例1、ハイドロジェンメチルポリシロキサン質量%焼付処理(以後単にシリコーン処理と称することもある)セリサイトに置換した比較例2、比較粉体1に置換した比較例3、本発明の化粧料用無機粉体2に置換した化粧料2も製造した。
【0021】
【表4】

【0022】
<試験例1>
前腕内側部に2cm×4cmの部位を6カ所設け、部位の位置がわかるようにマーキングした後、1つには化粧料1を40mg、1つは化粧料2を40mg、1つには比較例1を40mg、1つには比較例2を40mg、1つは比較例3を40mg塗布した。4時間通常の生活状態で過ごした後、それぞれの部位にピクリン酸の1%エタノール溶液を含浸させた直径2cmのパルプディスクを30秒置いて取り外し、速やかに前腕全体を温流水下、石鹸を用いて洗浄した。洗浄後10分静置し、部位以外の部分と、パルプディスクを置いた部分の色差(ΔE)をコニカミノルタ色彩色差計CR400で測定し、ピクリン酸の染着程度を調べた。結果を表5に示す。これより、本発明の化粧料は、長時間化粧崩れをせずに残存し、皮膚を保護していることがわかる。又、この様な化粧崩れ防止効果は、外層にシリカのような多孔質の粉体が存在するために発現することもわかる。又、ピクリン酸染色部位が殆ど存しないことは、皮膚上に形成された化粧膜に綻びの箇所も存しないことを証する。この様な効果は、前記シラノール複合体被覆によって発現されるが、その程度は該シラノール複合体被覆の下層に疎水化処理被膜が存する場合の方がより顕著であり、この様な疎水化処理と、前記シラノール誘導体被覆処理の二重処理がなされていることがより好ましいことも判る。

【0023】
【表5】

【0024】
<試験例2>
上記化粧料1、化粧料2,比較例1〜3について、専門パネラーによる使用性評価を行った。使用性の評価項目はカバー力、及び、仕上がりの自然さで、評価基準はスコア1:感じない、スコア2:不足している、スコア3:可もなく不可もなく、スコア4:優れる の評点を付して行った。結果を表6に示す。この結果より、本発明の化粧用粉体は基体の性質を生かしつつ、その化粧崩れを防ぐものであることがわかる。さらに、ビデオマイクロスコープによる化粧膜の観察結果から化粧料の経時的変化は化粧料1に比べて比較例1及び比較例2では粉体の凝集が認められた。
【0025】
【表6】

【実施例4】
【0026】
以下の表7の処方に従い、本発明の化粧料である化粧料3、化粧料4を化粧料1と同様に製造した。表8の結果より、ヒアルロン酸ジメチルシランジオールで表面処理した粉体を含有する化粧料1が他の有機酸またはアルコールとのシラン複合体よりも保湿力が高いことが明らかとなった。
【0027】
【表7】


ヒアルロン酸ジメチルシランジオールを乳酸モノメチルシランチオールに変えたものを化粧料用無機粉体3とし、これを配合した化粧料を化粧料3、メチルシラノールトリPEG−8−グリセリルココエートに変えたものを化粧料用無機粉体4とし、これを配合した化粧料を化粧料4とした。
【0028】
【表8】

【実施例5】
【0029】
下記の表9に従って、実施例1と同様の手技を用いて、本発明の化粧料用無機粉体である、化粧料用無機粉体4を作成した。この化粧料用無機粉体4を用いて、本発明の化粧料である、化粧料5を作成した。このものを試験例1の手法で評価したところ、ΔE値は0.11で同様の効果が確認された。
【0030】
【表9】

【0031】
【表10】

【実施例6】
【0032】
次に示す処方に従って、本発明の化粧料である、化粧料1を作製した。即ち、下記に示す処方に従って、成分をヘンシェルミキサーで混合し0.9mmφ 丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ヘンシェルミキサーで再度混合しながらロの成分を噴霧しコーティングして、1mm ヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、これを金皿に充填し、加圧成型して、本発明の化粧料である、化粧料5を得た。このものを試験例1の手法で評価したところ、ΔE値は0.13で同様の効果が確認されたものの、スラリー法による化粧料1にはその効果は及ばなかった。
【0033】
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、固形粉末化粧料などの化粧料に応用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機酸またはアルコールとのシラン複合体被覆処理された化粧用無機粉体。
【請求項2】
前記有機酸またはアルコールとのシラン複合体がヒアルロン酸ジメチルシランジオール、乳酸モノメチルシラントリオール、及びメチルシラノールトリPEG−8−グリセリルココエートから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1の化粧用無機粉体
【請求項3】
前記無機粉体がセリサイト及び/又はマイカであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の化粧用無機粉体。
【請求項4】
前記有機酸またはアルコールとのシラン複合体の被覆量が、被覆粉体に対して0.001〜20質量%であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3何れか1項に記載の化粧用無機粉体。
【請求項5】
更に、疎水化処理を施されていることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の化粧用無機粉体。
【請求項6】
前記疎水化処理が、パーフルオロアルキル処理、パーフルオロアルキルリン酸塩処理、ハイドロジェンメチルポリシロキサン焼き付け、ジメチルポリシロキサン焼き付け処理、金属石鹸コーティング処理、アシル化アミノ酸塩コーティング処理から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の化粧用無機粉体。
【請求項7】
前記疎水化処理による被覆量が、被覆粉体に対して0.05〜20質量%であることを特徴とする、請求項5または6に記載の化粧用無機粉体。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7何れか1項に記載の化粧用粉体を含有することを特徴とする、化粧料。
【請求項9】
固形粉体化粧料であることを特徴とする、請求項8に記載の化粧料。
【請求項10】
請求項1〜7何れか1項に記載の被覆粉体が、化粧料に含有される被覆粉体に対して0.01〜100質量%であることを特徴とする、請求項8または9に記載の化粧料。
【請求項11】
粉体と油剤からなる化粧基剤に、溶剤を添加してスラリーとして、該スラリーを中皿に充填後、前記溶剤を除去することにより得られることを特徴とする、請求項9または10に記載の固形粉末化粧料。





















【公開番号】特開2009−263249(P2009−263249A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111541(P2008−111541)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】