説明

化粧用組成物

本発明は、ポリトリメチレンエーテルグリコール(「PO3G」)に基づくポリウレタンイオノマーの水性ナノ分散液および活性化粧用材料を含有する化粧用組成物に関する。特に好ましい実施形態において、PO3Gは、再生可能な資源から得られるモノマーから主として誘導され、よって本発明のこの実施形態のパーソナルケア製品をそれらの製造、使用および処分に関してより環境に優しくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリトリメチレンエーテルグリコール(「PO3G」)に基づくナノサイズポリウレタンイオノマーの水性分散液を含有する化粧用組成物に関する。特に好ましい実施形態において、PO3Gは、再生可能な資源から得られるモノマーから主として誘導され、よって本発明のこの実施形態の化粧用組成物をそれらの製造、使用および処分に関してより環境に優しくする。
【背景技術】
【0002】
大量の化粧用製品が入手でき、それらの大部分は、溶液、クリーム、軟膏、ローション、ジェル、エマルジョンまたは固体の形態を取っている。例えば、スキンケア、バス・ボディケア、消臭剤、手足ケア、フェイシャルケア、ヘアケア、シェービング製品、デンタルケア、化粧品一般およびパーソナル用潤滑剤を含むこれらの化粧用製品に関する様々な用途がある。配合された製品中の材料は、一般に、皮膚軟化薬、保湿剤、モイスチャライザ、乳化剤、潤滑剤、抗菌剤、化粧品、芳香剤、流動性調整剤などとして作用する。製品は溶媒系であることも水性であることもある。
【0003】
多くの場合、化粧用製品はデリバリービヒクルに導入された活性材料を含有する。化粧用製品の所望の効果は、殆どの場合、皮膚、毛髪および/またはネイル上における、化粧用活性材料によって、または塗布の部位でのビヒクル自体によって達成される。
【0004】
化粧用ビヒクルの主なタイプは、(a)溶液、(b)(例えば)ローションおよびクリームを含む水中油と油中水の両方のエマルジョン、(c)懸濁液、(d)ジェルおよび(e)(例えば)スティック製品を含む(半固体を含む)固体のカテゴリーにしばしば分類される。パーソナルケアビヒクルおよび化粧用ビヒクルの広範な説明は、「Handbook of Cosmetic Science and Technology」、第2版、M Paye、A.O.BarelおよびH.I.Maibach編、99−123頁(2005年)において見られる。
【0005】
水性ポリウレタン分散液に基づく化粧用製品は当該技術分野において一般的な意味で知られている。例えば、米国特許第5,874,072号明細書、米国特許第5,968,494号明細書、米国特許第5,972,354号明細書、米国特許出願公開第2002/0034558A1号明細書および米国特許出願公開第2004/0141942A1号明細書を参照されたい。
【0006】
これらのパーソナルケア製品中で用いられる材料の大部分は合成であり、石油化学源から誘導される。最近、産業は、天然であるとともに石油系製品含有率の低い製品を消費者に提供する傾向である。
【0007】
再生可能な資源から誘導された材料にある程度基づくポリウレタンイオノマーの水性分散液は、共同所有されている米国特許出願第11/782098号明細書(2007年7月24日出願;発明の名称「Polytrimethylene Ether−Based Polyurethane Ionomers」)において開示されている。パーソナルケア用途におけるこれらの水性分散液の使用は記載されているが、実証されていない。
【0008】
環境影響が小さい製品を提供することをすべての製造業者が必要としている。再生可能系源の製品を提供することが製造業者のために環境的に有利でもある。従って、石油からでなく再生可能な資源から誘導された材料からなる化粧用製品が必要とされている。更に、製造プロセス、使用および処分に関して環境に優しい材料および製品が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様において、本発明は、ナノサイズ水分散性ポリウレタンおよび少なくとも1種の化粧用添加剤を中に分散させた水性連続相を含む化粧用組成物であって、水分散性ポリウレタンが、ポリトリメチレンエーテルグリコール(「PO3G」)とポリイソシアネートの反応生成物から誘導された1個以上の非イオンセグメントを含む高分子主鎖に導入されている、高分子主鎖の側鎖である、および/または高分子主鎖の末端をなすイオン官能基および/またはイオン化性官能基を有する高分子主鎖を含むポリウレタンイオノマーである化粧用組成物に関する。好ましくは、ポリウレタンイオノマーは、ポリウレタンを水性連続相に分散性にするのに十分なイオン官能基を有する。好ましくは、材料のすべて(ポリウレタン、活性化粧用材料および任意の添加剤)は、水性連続相全体を通して実質的に均等に且つ安定に分散されている、および/または例えば、低エネルギー混合(手による振とうなど)によって容易に実質的に均等に再分散させることが可能である。
【0010】
第2の態様において、本発明は、水性ビヒクル、ナノサイズ水分散性ポリウレタンおよび少なくとも1種の化粧用添加剤を中に分散させた固体連続相または半固体連続相を含む化粧用組成物であって、水分散性ポリウレタンが、PO3Gとポリイソシアネートの反応生成物から誘導された1個以上の非イオンセグメントを含む高分子主鎖に導入されている、高分子主鎖の側鎖である、および/または高分子主鎖の末端をなすイオン官能基および/またはイオン化性官能基を有する高分子主鎖を含むポリウレタンイオノマーである化粧用組成物に関する。好ましくは、ポリウレタンイオノマーは、ポリウレタンを水性ビヒクルに分散性にするのに十分なイオン官能基を有する。好ましくは、材料のすべて(水性ビヒクル、ポリウレタン、活性化粧用材料および任意の添加剤)は、連続相全体を通して実質的に均等に且つ安定に分散されている。
【0011】
本発明による組成物のすべての材料は医薬的に許容できるべきである。
【0012】
好ましい実施形態において、ポリウレタンは膜形成性ポリウレタンである。
【0013】
本発明の特に好ましい実施形態において、ポリウレタン中で用いられるPO3Gは、生物的に誘導されているモノマー(1,3−プロパンジオールなど)から主として製造される。
【0014】
本発明の第1の態様による化粧用組成物は、典型的には、ナノ粒子径ポリウレタンイオノマーの水性分散液に活性化粧用材料(および任意の他の添加剤)を混合することにより調製される。好ましい実施形態において、活性化粧用材料が連続相に可溶性でも分散性でもないとき、ポリウレタンイオノマーは材料のための分散剤/乳化剤として機能する。
【0015】
本発明の第2の態様による化粧用組成物は、典型的には、ナノ粒子径ポリウレタンイオノマーの水性分散液に活性化粧用材料(および任意の他の添加剤)を混合し、その後、凝固剤(ゲル化剤など)を添加して固体製品または半固体製品をもたらすことにより調製される。
【0016】
第1の態様による化粧用組成物は周囲温度(25℃など)で流動性であり、例えば、ブラシで塗るリップグロス製品、ヘアローション、スキンローション、シャンプー、マニキュアおよび(エアロゾル用途のために意図されたような)ヘアケアスタイリング製品などを含む。
【0017】
第2の態様による化粧用組成物は、例えば、リップスティック、ジェルおよび消臭剤スティックなどを含む。周囲温度(25℃など)で流動性であることを意図しない一方で、これらの組成物は、皮膚、リップおよびネイルなどのより暖かい表面に塗布すると流動性/広がり性になる場合がある。
【0018】
本発明のこれらの特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことから当業者によってより容易に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において記載されたすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、特に指示がない場合、完全に記載されたかのようにすべての目的のために参照により本明細書に援用する。
【0020】
特に定義がない限り、本明細書において用いられるすべての科学技術用語は本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先される。
【0021】
明示的に注記された場合を除き、商標は大文字で示す。
【0022】
特に指定がない限り、すべての百分率、部、比率などは重量による。
【0023】
量、濃度あるいは他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲または好ましい上方値および好ましい下方値の一覧のいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別個に開示されるか否かに関係なく、あらゆる上方範囲限界または好ましい値とあらゆる下方範囲限界または好ましい値のあらゆる対から形成されたすべての範囲を特定的に開示していると理解されるべきである。数値の範囲を本明細書で挙げる場合、別段に指定がない限り、その範囲は、その終点およびその範囲内のすべての整数および端数を含むことを意図している。範囲を定めるときに挙げられた特定の値に本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0024】
「約」という用語が一定範囲の値または終点を記載する際に用いられるとき、その開示は、関連した特定の値または特定の終点を含むと理解されるべきである。
【0025】
本明細書で用いるとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語またはそれらのあらゆる変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品または装置はそれらの要素のみに必ずしも限定されずに、こうしたプロセス、方法、物品または装置に明示的に記載されていない他の要素も固有でない他の要素も含んでもよい。更に、相反する明示的な記載がない限り、「または」は、非排他的な「または」を意味し、排他的な「または」を意味しない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満足される。Aが真(または存在する)およびBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)およびBが真(または存在する)およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0026】
単数形(「a」または「an」)の使用は、本発明の要素および成分を記載するために用いられる。これは、あくまで便宜上、および本発明の一般的意味を示すために用いられるに過ぎない。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むように読むべきであり、単数が別段に意図されていることが明らかでない限り、単数は複数も含む。
【0027】
本明細書の材料、方法および実施例はあくまで例示であり、本明細書に記載された場合を除き、限定である意図はない。本明細書で記載された方法および材料に似ているか、または等価の方法および材料を本発明の実施または試験において用いることが可能であるが、適する方法および材料を本明細書において記載する。
【0028】
本発明は、前に引用した米国特許出願第11/782098号明細書(2007年7月24日出願;発明の名称「Polytrimethylene Ether−Based Polyurethane Ionomers」)において開示されているようなポリウレタンイオノマーの水性分散液から誘導される化粧用組成物に関する。特に、水性分散液はナノ粒子径ポリウレタンイオノマーの水性分散液である。
【0029】
本明細書で用いられる「ナノ粒子径」は1マイクロメートル未満の粒子を意味する。好ましくは、ナノ粒子径は約0.005〜約0.5マイクロメートルの間である。平均粒径は、好ましくは約0.5マイクロメートル未満、好ましくは約0.005〜約0.3マイクロメートルの間であるべきである。小粒径は分散粒子の安定性を高める。本明細書で用いられる粒径は、沈降場流動分別、陽子相関分光分析法(PCS)または円盤遠心沈降法などの当業者に周知の従来の粒径測定技術によって測定された数平均粒径を意味する。PCSを粒径測定の方法として用いる時、平均粒径は当業者に知られているZ平均粒径である。
【0030】
本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種の活性化粧用材料、ナノ粒子径ポリウレタンイオノマーおよび水性ビヒクルを含有する流動性(分散液/エマルジョン/懸濁液)組成物または固体/半固体組成物である。化粧用組成物の物理的形態は、これらの種々の成分を組成物中に含ませる方法を決定する。
【0031】
ポリウレタンイオノマー
前に示したように、ポリウレタンイオノマーは、PO3Gとポリイソシアネートの反応生成物から誘導された1個以上の非イオンセグメントを含む高分子主鎖に導入されている、高分子主鎖の側鎖である、および/または高分子主鎖の末端をなすイオン官能基および/またはイオン化性官能基を有する高分子主鎖を含み、ポリウレタンイオノマーは、好ましくは、ポリウレタンを水性連続相(水性ビヒクル)に分散性にするのに十分なイオン官能基を有する。
【0032】
(ポリウレタンの重量を基準にして)ポリウレタンの好ましくは少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも約25重量%、なおより好ましくは少なくとも約40重量%は一般式(I)の1個以上の非イオンセグメントを含む。
【0033】
【化1】

【0034】
式中、
各Rは、個々に、イソシアネート基の引抜き後のジイソシアネート化合物の残基である。Qは、ヒドロキシル基の引抜き後の低重合体ジオールまたは高分子ジオールの残基であって、低重合体ジオールまたは高分子ジオールがPO3Gである残基である。
【0035】
Qは、基本的に且つそれ自体で、ポリウレタンの重量を基準にしてポリウレタンの好ましくは少なくとも約20重量%、より好ましくは少なくとも約25重量%、なおより好ましくは少なくとも約40重量%を構成する。
【0036】
ポリウレタンは、好ましくは、(a)ポリオール成分の重量を基準にして少なくとも約40重量%のPO3Gを含むポリオール(2個以上のOH基)成分、(b)ジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分および(c)(i)イオン基および/またはイオン化性基を含有するモノイソシアネートまたはジイソシアネートおよび(ii)イオン基および/またはイオン化性基を含有するイソシアネート反応性材料からなる群から選択された化合物を含む親水性反応体から調製される。これらの成分を反応させて、イオン官能基および/またはイオン化性官能基を有するイソシアネート官能性プレポリマーを生成させ、その後、プレポリマーを以下で更に詳しく記載するように連鎖延長および/または連鎖停止させることが可能である。
【0037】
ポリオール成分
上で示したように、ポリオール成分は、ポリオール成分の重量を基準にして少なくとも約40重量%のPO3G、より好ましくは少なくとも約50重量%のPO3G、なおより好ましくは少なくとも約75重量%のPO3G、なおさらにより好ましくは少なくとも約90重量%のPO3Gを含む。
【0038】
一実施形態において、PO3Gは、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール、ポリチオアミン、ポリヒドロキシチオールおよびポリヒドロキシルアミンなどの他の低分子量および/または高分子の多官能性イソシアネート反応性化合物とブレンドしてもよい。ブレンドするとき、二官能性成分、より好ましくは、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリレートジオール、ポリオレフィンジオールおよびシリコーンジオールを含む1種以上のジオールを用いることが好ましい。
【0039】
この実施形態において、PO3Gは、好ましくは約60重量%以下、より好ましくは約50重量%以下、なおより好ましくは約25重量%以下、なおさらにより好ましくは約10重量%以下の他のイソシアネート反応性化合物とブレンドされる。
【0040】
ポリトリメチレンエーテルグリコール(PO3G)
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、反復単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位であるオリゴマーおよびポリマーである。反復単位のより好ましくは約75%〜100%、なおより好ましくは約90%〜100%、さらにより好ましくは約99%〜100%はトリメチレンエーテル単位である。
【0041】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、好ましくは、1,3−プロパンジオールを含むモノマーの重縮合によって調製され、よって−(CH2CH2CH2O)−連結(例えば、トリメチレンエーテル反復単位)を含有するポリマーまたはコポリマーをもたらす。上で示したように、反復単位の少なくとも50%はトリメチレンエーテル単位である。
【0042】
トリメチレンエーテル単位に加えて、他のポリアルキレンエーテル反復単位などの他の単位のより少ない量もまた存在してもよい。この開示の文脈において、「ポリトリメチレンエーテルグリコール」という用語は、本質的に純粋の1,3−プロパンジオール、ならびに約50重量%以下のコモノマーを含有するオリゴマーおよびポリマー(以下で記載されたオリゴマーおよびポリマーを含む)から製造されたポリトリメチレンエーテルグリコールを包含する。
【0043】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを調製するために用いられる1,3−プロパンジオールは、周知の種々の化学経路のいずれか、または生物化学的変換経路によって得てもよい。最も好ましくは、1,3−プロパンジオールは、再生可能源から生物化学的に得られる(「生物誘導」)1,3−プロパンジオール)。
【0044】
最も好ましい1,3−プロパンジオール源は、再生可能な生物源を用いる発酵プロセスを経由する。再生可能源からの出発材料の例示的な例として、トウモロコシ原料などの生物的且つ再生可能な資源から製造された原料を用いる1,3−プロパンジオール(POD)への生物化学経路は記載されている。例えば、グリセロールを1,3−プロパンジオールに転化できる菌株は、種:クラブシエラ(Klebsiella)、シトロバクター(Citrobacter)、クロストリジウム(Clostridium)およびラクトバシラス(Lactobacillus)の中で見出されている。米国特許第5,633,362号明細書、米国特許第5,686,276号明細書および米国特許第5,821,092号明細書を含む幾つかの特許の中でこの技術は開示されている。例えば、米国特許第5,821,092号明細書には、特に、組換え生物を用いるグリセロールからの1,3−プロパンジオールの生物生産のための方法が開示されている。この方法は、1,2−プロパンジオールのための特異性を有する異種pduジオールデヒドラターゼ遺伝子により変換された大腸菌(E.coli)を導入している。変換された大腸菌(E.coli)は炭素源としてのグリセロールの存在下で成長し、1,3−プロパンジオールは成長した媒体から単離される。菌と酵母の両方がグルコース(例えば、トウモロコシ糖)または他の糖質をグリセロールに転化できるので、これらの公報で開示された方法は、迅速で安価且つ環境に責任をもつ1,3−プロパンジオールモノマー源を提供する。
【0045】
上で記載され参照された方法によって製造されたような生物誘導1,3−プロパンジオールは、1,3−プロパンジオールの生産のための原料を構成する植物によって導入された大気二酸化炭素からの炭素を含有する。かくして、本発明と関連して用いるために好ましい生物誘導1,3−プロパンジオールは、再生可能炭素のみを含有し、化石燃料系炭素も石油系炭素も含有しない。従って、生物誘導1,3−プロパンジオールを用いる本発明のポリトリメチレンエーテルグリコールおよびパーソナルケア組成物は、組成物中で用いられる1,3−プロパンジオールが減り続ける化石燃料を枯渇させず、分解すると、もう一度植物による使用のために炭素を放出して大気に戻すので環境により小さい影響しか及ぼさない。従って、本発明の組成物は、石油系グリコールを含む類似の組成物より天然で且つ小さい環境影響しか及ぼさないとして特徴付けることが可能である。
【0046】
生物誘導1,3−プロパンジオール、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、石油源または化石燃料炭素から製造された類似化合物から二重炭素同位体特性評価法によって区別してもよい。この方法は、通常、化学的に同一の材料を区別し、生物圏(植物)成分の成長の源(および恐らく年)によってコポリマー中の炭素を割り当てる。同位体14Cおよび13Cは、この問題に補足情報をもたらす。放射性炭素年代測定同位体(14C)は、5730年のその核半減期により、化石(「死」)原料と生物圏(「生」)原料との間に検体炭素を割り当てることを明確に可能にする(Currie,L.A.「Source Apportionment of Atmospheric Particles」,Characterization of Environmental Particles,J.Buffle and H.P.van Leeuwen,Eds.,1 of Vol.1 of the IUPAC Environmental Analytical Chemistry Series(Lewis Publishers,Inc.)(1992年)3−74)。放射性炭素年代測定の基本的な仮定は、大気中の14C濃度の定常性が生物中の14Cの定常性につながることである。単離されたサンプルを取り扱うとき、サンプルの年代を関係t=(−5730/0.693)ln(A/A0)によって概略的に導き出すことが可能である。
式中、t=年代、5730年は放射性炭素の半減期である。AおよびA0は、それぞれサンプルと近代標準の14C比放射能である(Hsien,Y.,Soil Sci.Soc.Am J.,56,460,(1992年))。しかし、1950年以来の大気圏核実験および1850年以来の化石燃料の燃焼のゆえに、14Cは第2の地球化学的時間特性を獲得した。大気CO2ひいては生きた生物圏中の14C濃度は、1960年代半ばにおける核実験のピーク時におよそ倍増した。14C濃度は、それ以来、7〜10年の近似緩和「半減期」により約1.2×10-12の定常状態宇宙線(大気)ベースライン同位体比率(14C/12C)に徐々に戻ってきた(この後者の半減期は文字通り受け取ってはならない。それどころか、核時代の開始以来の大気14Cおよび生物圏14Cの変動を追跡するために詳しい大気核投入/減衰関数を用いなければならない)。最近の生物圏炭素の年次年代測定を裏付けるのは、この後者の生物圏14C時間特性である。加速器質量分析法(AMS)によって14Cを測定することが可能であり、結果は、「現代炭素含有率」(fM)の単位で与えられる。fMは、それぞれシュウ酸標準HOxlおよびHOxllとして知られているNational Institute of Standards and Technology(NIST)標準参照物質(SRMs)4990Bおよび4990Cによって定義される。基本的定義は、14C/12C同位体比のHOxl(AD1950に関連した)の0.95倍に関する。これは、減衰に相関した産業革命前の木材にほぼ等しい。現在の生きた生物圏(植物材料)に関しては、fM≒1.1である。
【0047】
安定炭素同位体比(13C/12C)は源の識別と指定への補足経路を提供する。所定の生物源材料の13C/12C比は、二酸化炭素が固定される時点での大気二酸化炭素の13C/12C比の結果であり、精密な代謝経路も反映する。地域的な変動も起きる。石油、C3植物(広葉樹)、C4植物(草類)および海洋カーボネートのすべては、13C/12C値および対応するδ13C値において著しい相違を示す。更に、C3植物およびC4植物の脂質物質は、代謝経路の結果として同じ植物の炭水化物成分から誘導された材料とは異なって分解する。測定の精度内で、13Cは同位体分別効果のゆえに大きな変動を示す。本発明に関してその最も著しいのは光合成メカニズムである。植物中の炭素同位体比の相違の主原因は、植物中の光合成炭素代謝、特に主たるカルボキシル化中に起きる反応、すなわち、大気CO2の初期固定の経路の相違に密接に関連する。植物化の2つの大きな種類は、「C3」(またはCalvin−Benson)光合成サイクルを導入する種類および「C4」(またはHatch−Slack)光合成サイクルを導入する種類である。硬木および針葉樹などのC3植物は穏和な気候の地域で主流である。C3植物において、主たるCO2固定およびカルボキシル化反応は酵素リブローゼ−1,5−ジホスフェートカルボキシラーゼを含み、最初の安定な製品は3−炭素化合物である。他方、C4植物は、熱帯の草類、トウモロコシおよびサトウキビのような植物を含む。C4植物において、もう1つの酵素、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼを含む追加のカルボキシル化反応は主たるカルボキシル化反応である。最初の安定な炭素化合物は4−炭素酸であり、それは後で脱カルボキシル化される。こうして放出されるCO2はC3サイクルによって再び固定される。
【0048】
4植物とC3植物の両方は、13C/12C同位体比の一定範囲を示すが、典型的な値は、約−10〜−14/mil(C4)および−21〜−26/mil(C3)である(Weberら,J.Agric.Food Chem.,45,2942(1997年))。石炭および石油は、一般に、この後者の範囲に入る。13C測定目盛は、ピーディー矢石(PDB)石灰岩によって設定された零によって元来定義されている。ここで、値は、この材料からの千の偏差当たりの部で与えられる。「δ13C」値は、%0で略された千当たりの(mil当たりの)部であり、次の通り計算される。
【0049】
【数1】

【0050】
PDB標準材料(RM)が枯渇してきたので、一連の代替RMは、IAEA、USGS、NISTおよび選択された他の国際同位体試験所と協力して開発されてきた。PDBからのパーミル偏差のための表記法はδ13Cである。測定は、質量44、45および46の分子イオンに関する高精度安定比質量分析法(IRMS)によってCO2に関して行われる。
【0051】
従って、生物誘導1,3−プロパンジオール、および生物誘導1,3−プロパンジオールを含む組成物は、組成物の新しさを示す、14C(fM)および二重炭素同位体特性評価法に基づいて石油誘導同等物から完全に区別することができる。これらの製品を区別する能力は商業目的のためにこれらの材料を追跡する際に有益である。例えば、「新」炭素同位体分布と「旧」炭素同位体分布の両方を含む製品を、「旧」材料のみから製造された製品から区別することができる。従って、本材料は、本材料の独特の分布に基づいて、および競争を決定する目的で、保存寿命を決定するために、ならびに特に環境影響を評価するために商業目的のために追跡される場合がある。
【0052】
反応体としてまたは反応体の成分として用いられる1,3−プロパンジオールは、ガスクロマトグラフ分析によって決定したとき、好ましくは約99重量%を上回る、より好ましくは約99.9重量%を上回る純度を有する。米国特許出願公開第2004/0260125A1号明細書、米国特許出願公開第2004/0225161A1号明細書および米国特許出願公開第2005/0069997A1号明細書において開示された精製1,3−プロパンジオールおよび米国特許出願公開第2005/0020805A1号明細書において開示された精製1,3−プロパンジオールから製造されたポリトリメチレンエーテルグリコールは特に好ましい。
【0053】
精製1,3−プロパンジオールは、好ましくは以下の特性を有する。
(1)約0.200未満の220nmでの紫外線吸収、約0.075未満の250nmでの紫外線吸収および約0.075未満の275nmでの紫外線吸収、および/または
(2)約0.15未満のL***“b*”明度(ASTM D6290)および約0.075未満の270nmでの吸光度を有する組成、および/または
(3)約10ppm未満の過酸化物組成、および/または
(4)ガスクロマトグラフィによって測定されたとき、約400ppm未満、より好ましくは約300ppm未満、なおより好ましくは約150ppm未満の全有機不純物(1,3−プロパンジオール以外の有機化合物)の濃度。
【0054】
ポリトリメチレンエーテルグリコールを製造するための出発材料は、所望のポリトリメチレンエーテルグリコール、出発材料の入手性、触媒、装置などに応じて異なり、そして「1,3−プロパンジオール反応体」を含む。「1,3−プロパンジオール反応体」は、1,3−プロパンジオール、ならびに好ましくは2〜9の重合度を有する1,3−プロパンジオールのオリゴマーおよびプレポリマーならびにそれらの混合物を意味する。場合によって、10%以下またはそれ以上の低分子量オリゴマーをそれらが入手できる場合に用いることが望ましい場合がある。従って、出発材料は、1,3−プロパンジオールならびにその二量体および三量体を含むことが好ましい。出発材料は、1,3−プロパンジオール反応体の重量を基準にして特に好ましくは約90重量%以上の1,3−プロパンジオール、より好ましくは約99重量%以上の1,3−プロパンジオールからなる。
【0055】
ポリトリメチレンエーテルグリコールは、米国特許第6,977,291号明細書および米国特許第6,720,459号明細書で開示されたように当該技術分野で公知の多くのプロセスを経由して製造することが可能である。好ましいプロセスは、前に引用した米国特許出願公開第2005/0020805A1号明細書に記載された通りである。
【0056】
上で示したように、ポリトリメチレンエーテルグリコールは、トリメチレンエーテル単位に加えて、より少量の他のポリアルキレンエーテル反復単位を含有してもよい。従って、ポリトリメチレンエーテルグリコールを調製する際に用いるためのモノマーは、1,3−プロパンジオール反応体に加えて、約50重量%以下(好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、なおより好ましくは約2重量%以下)のコモノマージオールを含有することが可能である。本プロセスで用いるために適するコモノマージオールには、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロ−1,12−ドデカンジオール;脂環式ジオール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルビド;ならびにポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールが挙げられる。コモノマージオールの好ましい群は、エチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、C6〜C10ジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオールなど)およびイソソルビド、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。1,3−プロパンジオール以外で特に好ましいジオールはエチレングリコールであり、C6〜C10ジオールも特に有用であり得る。
【0057】
コモノマーを含有する好ましい1種のポリトリメチレンエーテルグリコールは、米国特許出願公開第2004/0030095A1号明細書に記載されたようなポリ(トリメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールである。好ましいポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールは、50〜約99モル%(好ましくは約60〜約98モル%、より好ましくは約70〜約98モル%)の1,3−プロパンジオールと50モル%以下〜約1モル%(好ましくは約40〜約2モノマー、より好ましくは約30〜約2モル%)のエチレングリコールの酸触媒重縮合によって調製される。
【0058】
本発明の実施において有用なポリトリメチレンエーテルグリコールは、例えば、米国特許第6,608,168号明細書に記載されたような脂肪族または芳香族の二酸またはジエステルからの少量の他の反復単位を含有することが可能である。この種類のポリトリメチレンエーテルグリコールは「ランダムポリトリメチレンエーテルエステル」と呼ぶことも可能であり、そして1,3−プロパンジオール反応体とテレフタル酸、イソフタル酸、二安息香酸、ナフタル酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸およびそれらの組み合わせならびにジメチルテレフタレート、ビベンゾエート、イソフタレート、ナフタレートおよびフタレートならびにそれらの組み合わせなどの約10〜約0.1モル%の脂肪族または芳香族の二酸またはそのエステルとの重縮合によって調製することが可能である。これらの内、テレフタル酸、ジメチルテレフタレートおよびジメチルイソフタレートは好ましい。
【0059】
本明細書において用いるために好ましいポリトリメチレンエーテルグリコールは、一般に約200〜約5000、好ましくは約200〜約2000の数平均分子量を有する。本明細書において用いるために好ましいポリトリメチレンエーテルグリコールは、典型的には、好ましくは約1.0〜約2.2、より好ましくは約1.2〜約2.0、なおより好ましくは約1.2〜約1.8の多分散性を有する多分散性ポリマーである。
【0060】
本発明において用いるためのポリトリメチレンエーテルグリコールは、好ましくは約100APHA未満、より好ましくは約50APHA未満の明度を有する。
【0061】
上に記載されたポリトリメチレンエーテルグリコールは、一般に低い急性経口毒性を有するべきであり、皮膚刺激物でも眼刺激物でも、皮膚過敏物質でもあるべきではない。
【0062】
他のイソシアネート反応性成分
上で示したように、PO3Gは、好ましくは約60重量%以下の他の多官能性イソシアネート反応性成分、最も注目に値すべきは低分子量ポリオールおよび/または高分子ポリオールとブレンドしてもよい。
【0063】
適するポリオールは少なくとも2個のヒドロキシル基を含有し、好ましくは約60〜約6000の分子量を有する。これらの内、高分子ポリオールは、数平均分子量によって最善に定義され、約200〜約600、好ましくは約300〜約3000、より好ましくは約500〜約2500の範囲であることが可能である。分子量は、ヒドロキシル基分析(OH価)によって決定することが可能である。
【0064】
高分子ポリオールの例には、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルアミド、ポリチオエーテル;およびエステル連結とカーボネート連結の両方が同じポリマー中で見られるポリエステル−ポリカーボネートなどの混合ポリマーが挙げられる。植物系ポリオールも含まれる。これらのポリマーの組み合わせも用いることが可能である。例えば、ポリエステルポリオールおよびポリ(メタ)アクリレートポリオールを同じポリウレタン合成で用いてもよい。
【0065】
適するポリエステルポリオールは、多価アルコール、好ましくは三価アルコールを任意に添加してもよい二価アルコールと多塩基性(好ましくは二塩基性)カルボン酸の反応生成物を含む。これらのポリカルボン酸の代わりに、対応するカルボン酸無水物またはより低級のアルコールのポリカルボン酸エステルあるいはそれらの混合物をポリエステルの調製のために用いてもよい。
【0066】
ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式あるいはそれらの混合物であってもよい。ポリカルボン酸は、例えば、ハロゲン原子によって置換されていてもよく、および/または不飽和であってもよい。以下を例として記載する。コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデシル二酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸;低分子量脂肪酸と混合されていてもよいオレイン酸などの二量体脂肪酸および三量体脂肪酸、ジメチルテレフタレートおよびビスグリコールテレフタレート。
【0067】
適する多価アルコールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール−(1,2)および−(1,3)、ブチレングリコール−(1,4)および−(1,3)、ヘキサンジオール−(1,6)、オクタンジオール−(1,8)、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール(1,4−ビス−ヒドロキシメチル−シクロヘキサン)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、それらのエーテルグリコールおよびそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルポリオールは、カルボキシル末端基の一部も含有してもよい。ラクトン、例えば、イプシロンカプロラクトンのポリエステル、またはヒドロキシカルボン酸、例えば、オメガヒドロキシカプロン酸のポリエステルも用いてよい。
【0068】
PO3Gとブレンドするために好ましいポリエステルジオールは、ヒドロキシル末端ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,2−プロピレンアジペート)、ポリ(トリメチレンアジペート)、ポリ(トリメチレンスクシネート)、ポリ乳酸エステルジオールおよびポリカプロラクトンジオールである。他のヒドロキシル末端ポリエステルジオールは、ジオールおよびスルホン化ジカルボン酸から誘導され、米国特許第6,316,586号明細書に記載されたように調製された反復単位を含むコポリエーテルである。好ましいスルホン化ジカルボン酸は5−スルホ−イソフタル酸であり、好ましいジオールは1,3−プロパンジオールである。
【0069】
適するポリエーテルポリオールは、反応性水素原子を含有する出発化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、エピクロロヒドリンまたはこれらの混合物との反応によって既知の方式で得られる。反応性水素原子を含有する、適する出発化合物には、上述した多価アルコールおよび更に水、メタノール、エタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、マニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、スクロース、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,1,1−および1,1,2−トリス−(ヒドロキシルフェニル)−エタン、ジメチロールプロピオン酸またはジメチロールブタン酸が挙げられる。
【0070】
アミン化合物を含有する出発化合物の反応によって得られたポリエーテルも用いることが可能である。これらのポリエーテルの例および適する多価ポリアセタール、多価ポリアクリレート、多価ポリエステルアミド、多価ポリアミドおよび多価ポリチオエーテルは、米国特許第4,701,480号明細書において開示されている。
【0071】
PO3Gとブレンドするために好ましいポリエーテルジオールは、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール;テトラヒドロフラン/エチレンオキシドコポリマーおよびテトラヒドロフラン/プロピレンオキシドコポリマーなどのコポリエーテルならびにそれらの混合物である。
【0072】
ヒドロキシル基を含有するポリカーボネートには、プロパンジオール−(1,3)、ブタンジオール(1,4)および/またはヘキサンジオール−(1,6)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコール、より高級のポリエーテルジオールなどのジオールとホスゲンとの反応から得られる製品;ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート;ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートあるいはエチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートなどの環式カーボネートとの反応から得られる製品などのそれ自体知られているポリカーボネートが挙げられる。また、上記のポリエステルまたはポリラクトンと、ホスゲン、ジアリールカーボネート、ジアルキルルカーボネートまたは環式カーボネートとから得られるポリエステルカーボネートも適している。
【0073】
ブレンドするためのポリカーボネートジオールは、好ましくは、ポリエチレンカーボネートジオール、ポリトリメチレンカーボネートジオール、ポリウレタンカーボネートジオールおよびポリヘキシレンカーボネートジオールからなる群から選択される。
【0074】
ヒドロキシル基を含有するポリ(メタ)アクリレートには、カチオン重合、アニオン重合およびラジカル重合などの付加重合の当該技術分野において一般的なポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。例はアルファ−オメガジオールである。ジオールのこれらの種類の例は、ポリマーの末端または末端付近で1個のヒドロキシル基の配置を可能にする「リビング」重合プロセス、「コントロール」重合プロセスまたは連鎖移動重合プロセスによって調製されるジオールの種類である。米国特許第6,248,839号明細書および米国特許第5,990,245号明細書は、末端ジオールを製造するプロトコルの例を有する。他のジ−NCO反応性ポリ(メタ)アクリレート末端ポリマーを用いることが可能である。例は、アミノまたはチオールなどのヒドロキシル以外の末端基であり、ヒドロキシルとの混合末端基も含んでよい。
【0075】
ポリオレフィンジオールは、KRATON LIQUID LとしてShellから、およびPOLYTAIL HとしてMitsubishi Chemicalから入手できる。
【0076】
シリコーングリコールは周知であり、代表的な例は、米国特許第4,647,643号明細書に記載されている。
【0077】
場合によって、植物油は、こうした油の生物由来および生分解性のゆえに好ましいブレンド成分である場合がある。植物油の例には、ヒマワリ油、カノラ油、菜種油、トウモロコシ油、オリーブ油、大豆油、ヒマシ油およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。これらの油は、部分的にまたは完全に水素添加されている。こうした植物油の市販の例には、Soyol R2−052−G(Urethan Soy Systems)およびPripol2033(Uniqema)が挙げられる。
【0078】
NCO官能性プレポリマーを調製するための任意の他の化合物は、約400以下の平均分子量を有するより低い分子量の少なくとも2官能性のNCO反応性化合物を含む。例には、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールの調製について以前に記載された二価アルコールおよびより高い官能性のアルコールが挙げられる。
【0079】
イソシアネート重付加反応において好ましくは二官能性である上述した成分に加えて、トリメチロールプロパンまたは4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネートなどのポリウレタン化学において一般に知られている一官能性成分およびさらにはわずかな三官能性成分ならびにより高い官能性の成分は、NCOプレポリマーまたはポリウレタンの分岐が望まれる場合に用いてもよい。
【0080】
しかし、NCO官能性プレポリマーがほぼ線状であることが好ましく、これは、2:1以下のプレポリマー出発成分の平均官能価を維持することにより達成してもよい。
【0081】
類似のNCO反応性材料であるが、他のNCO反応性基を含有するNCO反応性材料をヒドロキシ含有化合物およびポリマーのために記載された通りに用いることが可能である。例は、ジチオール、ジアミン、チオアミンならびにヒドロキシチオールおよびヒドロキシアミンでさえある。これらは、ポリオールのために記載された分子量または数平均分子量を有する化合物またはポリマーのいずれかであることが可能である。
【0082】
任意の他の化合物は自己縮合部分を含有するイソシアネート反応性化合物を含む。これらの化合物の含有率は、望ましい樹脂特性を提供するために必要な自己縮合の所望のレベルに応じて異なる。3−アミノ−1−トリエトキシシリル−プロパンは、アミノ基を通してイソシアネートと反応し、なお更に、水に変換されたときにシリル基を通して自己縮合する化合物の例である。
【0083】
任意の他の化合物は、イソシアネート反応性化合物の代わりに、またはイソシアネート反応性化合物と一緒に使用できる、イソシアネート反応性基を有する非縮合性シランおよび/または非縮合性フルオロカーボンを含有するイソシアネート反応性化合物を含む。米国特許第5,760,123号明細書および米国特許第6,046,295号明細書は、これらの任意のシラン/フルオロ含有化合物の使用のための方法の例を記載している。
【0084】
ポリイソシアネート成分
適するポリイソシアネートは、イソシアネート基に結合された芳香族基、脂環式基および/または脂肪族基を含有する化合物である。これらの化合物の混合物も用いてよい。脂環式部分または脂肪族部分に結合されたイソシアネートを有する化合物は好ましい。芳香族イソシアネートを用いる場合、好ましくは、脂環式イソシアネートまたは脂肪族イソシアネートも存在する。
【0085】
ジイソシアネートは好ましく、そしてポリエーテルグリコール、ジオールおよび/またはアミンからポリウレタンおよび/またはポリウレタン−ウレアを調製する際に有用な任意のジイソシアネートを本発明において用いることが可能である。
【0086】
適するジイソシアネートの例には、2,4−トルエンジイソシアネート(TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(TODI)、ドデカンジイソシアネート(C12DI)、m−テトラメチレンキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,4−ベンゼンジイソシアネート、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,6−キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。IPDIおよびTMXDIは好ましい。
【0087】
ジイソシアネートの重量を基準にして少量、好ましくは約10重量%未満のモノイソシアネートまたはポリイソシアネートをジイソシアネートと混合して用いることが可能である。有用なモノイソシアネートの例には、オクタデシルイソシアネートなどのアルキルイソシアネートおよびフェニルイソシアネートなどのアリールイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートの例は、トリイソシアナトトルエンHDトリマー(Desmodur3300)および高分子MDI(Mondur MRおよびMRS)である。
【0088】
イオン反応体
親水性反応体はイオン基および/またはイオン化性基(潜在的にイオン基)を含有する。これらの反応体は、好ましくは1個または2個、より好ましくは2個のイソシアネート反応性基および少なくとも1個のイオン基またはイオン化性基を含有する。
【0089】
イオン分散性基の例には、カルボキシレート基(−COOM)、ホスフェート基(−OPO32)、ホスホネート基(−PO32)、スルホネート基(−SO3M)、第四アンモニウム基(−NR3Y、ここで、Yは塩素またはヒドロキシルなどの一価アニオンである)または有効な他のあらゆるイオン基が挙げられる。Mは、一価金属イオン(例えば、Na+、K+、Li+など)、H、NR4+などのカチオンであり、各Rは、独立して、アルキル、アラルキル、アリールまたは水素であることが可能である。これらのイオン分散性基は、典型的にはポリウレタン主鎖の側鎖として位置する。
【0090】
イオン化性基は、一般に、イオン化性基が酸(カルボキシル−COOHなど)形態または塩基(第一アミン、第二アミンまたは第三アミン−NH2、−NRHまたは−NR2など)形態を取ることを除きイオン基に対応する。イオン化性基は、こうしたイオン分散性基が後述する分散プロセス/ポリマー調製プロセス中にそれらのイオン形態に容易に転化されるような基である。
【0091】
イオン基または潜在的にイオン基は、分散液の水性媒体にポリウレタンを分散可能にするのに十分な(必要に応じて中和により)イオン基含有率を提供する量でポリウレタンに化学的に導入される。典型的なイオン基含有率は、ポリウレタン100g当たり、約5〜約210以下のミリ当量(meq)、好ましくは約10〜約140meq、より好ましくは約20〜120meq、なおより好ましくは約30〜約90meqの範囲である。
【0092】
これらの基を導入するために適する化合物には、(1)イオン基および/またはイオン化性基を含有するモノイソシアネートまたはジイソシアネートおよび(2)イソシアネート反応性基とイオン基および/またはイオン化性基の両方を含有する化合物が挙げられる。この開示の文脈において、「イソシアネート反応性基」という用語は、イソシアネート基と反応することが当業者に周知の基、好ましくは、ヒドロキシル、第一アミノ基および第二アミノ基を含むように解釈される。
【0093】
イオン基または潜在的にイオン基を含有するイソシアネートの例は、スルホン化トルエンジイソシアネートおよびスルホン化ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0094】
イソシアネート反応性基およびイオン基または潜在的にイオン基を含有する化合物に関して、イソシアネート反応性基は、典型的にはアミノ基およびヒドロキシル基である。潜在的にイオン基またはそれらの対応するイオン基は、アニオン基が好ましいが、カチオンまたはアニオンであってもよい。アニオン基の好ましい例には、カルボキシレート基およびスルホネート基が挙げられる。カチオン基の好ましい例には、第四アンモニウム基およびスルホニウム基が挙げられる。
【0095】
イオン化性基をイオン基に転化するための中和剤は、前に引用した公報に記載されており、以下にも記載する。本発明の文脈内で、「中和剤」という用語は、イオン化性基をより親水性のイオン(塩)基に転化するために有用な薬剤のすべての種類を包含するものである。
【0096】
前述したカルボキシレート基、スルホネート基および第四窒素基を導入するために適する化合物は、米国特許第3,479,310号明細書、米国特許第4,303,774号明細書、米国特許第4,108,814号明細書および米国特許第4,408,008号明細書に記載されている。
【0097】
第三スルホニウム基を導入するために適する化合物は米国特許第3,419,533号明細書に記載されている。
【0098】
ポリウレタンに導入するためのスルホネート基は、好ましくは、前に引用した米国特許第4,108,814号明細書で開示されたジオールスルホネートである。適するジオールスルホネート化合物は、ジオールおよびスルホン化ジカルボン酸から誘導され、前に引用した米国特許第6,316,586号明細書に記載されたように調製された反復単位を含むヒドロキシル末端コポリエーテルも含む。好ましいスルホン化ジカルボン酸は5−スルホ−イソフタル酸であり、好ましいジオールは1,3−プロパンジオールである。適するスルホネートは、H2N−CH2−CH2−NH−(CH2r−SO3Na(式中、r=2または3)およびHO−CH2−CH2−C(SO3Na)−CH2−OHも含む。
【0099】
カルボキシル基含有化合物の例は、式(HO)xQ(COOH)y(式中、Qは1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分岐の炭化水素基を表し、xは1または2(好ましくは2)であり、yは1〜3(好ましくは1または2である)に対応するヒドロキシカルボン酸である。
【0100】
これらのヒドロキシカルボン酸の例には、クエン酸、酒石酸およびヒドロキシピバル酸が挙げられる。
【0101】
好ましい酸は、上述した式(式中、x=2およびy=1)の酸である。これらのジヒドロキシアルカン酸は米国特許第3,412,054号明細書に記載されている。ジヒドロキシアルカン酸の好ましい群は、構造式R2−C−(CH2OH)2−COOH(式中、R2は水素または1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基である)によって表されるα,α−ジメチロールアルカン酸である。これらのイオン化性ジオールの例には、ジメチロール酢酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロールプロピオン酸および2,2’−ジメチロール酪酸が挙げられるが、それらに限定されない。最も好ましいジヒドロキシアルカン酸は2,2’−ジメチロールプロピオン酸(「DMPA」)である。
【0102】
イオン安定化基が酸であるとき、酸基は、ポリウレタン1.0g当たり少なくとも約5、好ましくは少なくとも約10ミリグラムKOHの酸価(固体ポリマーグラム当たりのmgKOH)として当業者によって知られている酸基含有率を提供するのに十分な量で導入される。酸価の上限は約90、好ましくは約60である。
【0103】
適するカルボキシレートは、H2N−(CH24−CH(CO2H)−NH2およびH2N−CH2−CH2−NH−CH2−CH2−CO2Naも含む。
【0104】
前述したものに加えて、1個のアルキル基および2個のアルキロール基を有する第三アミンなどのカチオン中心も、イオン基またはイオン化性基として用いてもよい。
【0105】
ポリウレタンおよび分散液の調製
本発明に用いられる分散液を調製する方法は、混合物方法または段階的方法によって調製することが可能であるポリウレタンの調製で始まる。
【0106】
混合物方法において、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、ポリオール成分、イオン反応体および溶媒を混合し、その後、ポリイソシアネート化合物を混合物に添加することによって調製される。この反応は、約40℃〜約100℃、より好ましくは約50℃〜約90℃で行われる。イソシアネート対イソシアネート反応性基の好ましい比は、約1.3:1〜約1.05:1、より好ましくは約1.25:1〜約1.1:1である。目標%イソシアネート(プレポリマー固体の重量を基準にして典型的には約1〜約20重量%、より好ましくは約1〜約10重量%のイソシアネート含有率)に到達したとき、イオン反応体から導入されたイオン化性基を中和するための塩基または酸のみでなく、任意の連鎖停止剤も添加することが可能である。
【0107】
場合によって、中和剤、好ましくは第三アミンの添加は、ポリウレタン合成の早い段階中に有益である場合がある。あるいは、高い剪断で変換の水に加えて同時に中和剤、好ましくはアルカリ塩基の添加によって利点が得られる。
【0108】
段階的方法において、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、溶媒にイオン反応体を溶解させ、その後、ポリイソシアネート成分を混合物に添加することにより調製される。一旦目標初期%イソシアネートに到達すると、ポリオール成分を添加する。この反応は、約40℃〜約100℃、より好ましくは約50℃〜約90℃で行われる。イソシアネート対イソシアネート反応性基の好ましい比は、約1.3:1〜約1.05:1、より好ましくは約1.25:1〜約1.1:1である。あるいは、ポリオール成分は第1の工程で反応させてもよく、イオン反応体は、目標初期%イソシアネートに到達した後に添加してもよい。最終目標%イソシアネート(プレポリマー固体の重量を基準にして典型的には約1〜約20重量%、好ましくは約1〜約10重量%のイソシアネート含有率)に到達したとき、イオン反応体から導入されたイオン化性基を中和するための塩基または酸のみでなく、任意の連鎖停止剤も添加してよい。
【0109】
その後、得られたポリウレタン溶液は、以下で更に詳述されるように、剪断下での水の添加を経由して水性ポリウレタン分散液に転化される。連鎖停止剤を省くか、または減らして十分なイソシアネート官能基を残す場合、任意の連鎖停止剤はこの時点で添加される。連鎖延長は、水性条件下で典型的には30℃〜60℃で行われる。揮発性溶媒が存在する場合、揮発性溶媒を減圧下で蒸留する。
【0110】
触媒はポリウレタンを調製するためにしばしば必要であり、ポリウレタンの製造に際して利点を提供する場合がある。最も広く用いられる触媒は、第三エチルアミンなどの第三アミン、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、TYZOR(登録商標)TPTまたはTYZOR(登録商標)TBT(E.I.du Pont de Nemours and Company)などの有機チタネート、有機ジルコネートおよびそれらの混合物である。
【0111】
分散液への後続の転化のためのポリウレタンの調製は、溶媒を用いることにより容易になる。適する溶媒は、水と混和性であるとともにポリウレタンを形成する際に用いられるイソシアネートおよび他の反応体に対して不活性である溶媒である。無溶媒分散液を調製することを望む場合、蒸留による除去を可能にするために十分に高い揮発性を有する溶媒を用いることが好ましい。本発明の実施において有用な典型的な溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンおよびN−メチルピロリドンである。反応において用いられる溶媒の量は、好ましくは約10重量%〜約50重量%、より好ましくは約20重量%〜約40重量%である。
【0112】
重合性ビニル化合物を溶媒としても用いてよく、その後、変換後にラジカル重合し、よって前に引用した米国特許第5,173,526号明細書、米国特許第4,644,030号明細書、米国特許第5,488,383号明細書および米国特許第5,569,705号明細書で開示されたようにポリウレタン/アクリル混成物分散液を生成させる。
【0113】
任意の連鎖延長剤/連鎖停止剤
ポリウレタンは、典型的には、NCO含有プレポリマーを連鎖延長することにより調製される。連鎖延長剤の機能はポリウレタンの分子量を増加させることである。連鎖延長は、プロセスにおいて水を添加する前に行うことが可能であるが、典型的には、NCO含有プレポリマー、連鎖延長剤、水および任意の他の成分を攪拌下で組み合わせることにより行われる。
【0114】
ポリウレタンを調製するために用いられる反応体は、典型的にはポリオール、ポリアミンまたはアミノアルコールである連鎖延長剤を含有してもよい。ポリオール連鎖延長剤を用いるとき、ポリオールのヒドロキシル基がイソシアネートと反応するにつれてウレタン連結が生成する。ポリアミン連鎖延長剤を用いるとき、アミン基がイソシアネートと反応するにつれてウレア連結が形成される。両方の構造種類は、「ポリウレタン」の意味内に含まれる。
【0115】
好ましくは、任意の連鎖延長剤はポリアミンである。少なくとも部分的にブロックトポリアミンを調製するために適するポリアミンは、2〜6、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3の平均官能価、すなわち、分子当たりのアミン窒素の数を有する。第一アミノ基または第二アミノ基を含有するポリアミンの混合物を用いることにより、所望の官能価を得ることが可能である。ポリアミンは、一般に、芳香族アミン、脂肪族アミンまたは脂環式アミンであり、1〜30個、好ましくは2〜15個、より好ましくは2〜10個の炭素原子を含有する。これらのポリアミンは、追加の置換基を含有してもよい。但し、追加の置換基が第一アミンまたは第二アミンほどにはイソシアネート基と反応性でないことを条件とする。これらの同じポリアミンは、部分的にまたは全面的にブロックトポリアミンであることが可能である。
【0116】
本発明において用いられるポリウレタンを製造する際に有用なジアミン連鎖延長剤には、1,2−エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(3−クロロアニリン)(3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンとしても知られている)(MOCAまたはMboca)、イソホロンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DDM)、1,3−ジアミノベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、3.3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、ヒドラジン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタアミンおよびペンタエチレンヘキサアミンなどのポリアミンも有用である。
【0117】
適するポリアミン連鎖延長剤は、任意に、米国特許第4,269,748号明細書および米国特許第4,829,122号明細書で開示されたように部分的にまたは完全にブロックされていることが可能である。これらの公報は、水の存在しない状態でNCO含有プレポリマーを少なくとも部分的にブロックトジアミン連鎖延長剤またはヒドラジン連鎖延長剤と混合し、その後、混合物に水を添加することによる水性ポリウレタン分散液の調製を開示している。水に接触すると、遮断剤は放出され、得られた非ブロックトポリアミンは、NCO含有プレポリマーと反応して、ポリウレタンを生成させる。
【0118】
適するブロックトアミンおよびブロックトヒドラジンには、ケチミンおよびアルジミンを生成させるためのポリアミンとケトンおよびアルデヒドの反応生成物、およびケタジン、アルダジン、ケトンヒドラゾンおよびアルデヒドヒドラゾンを生成させるためのヒドラジンとケトンおよびアルデヒドの反応生成物が挙げられる。少なくとも部分的にブロックされたポリアミンは、1個以下の第一アミノ基または第二アミノ基と水の存在下で遊離の第一アミノ基または第二アミノ基を放出する少なくとも1個のブロックト第一アミノ基またはブロックト第二アミノ基を含有する。
【0119】
水も連鎖延長剤として用いてよい。この場合、水は遊離イソシアネート基に対して大過剰に存在し、水が分散媒体と連鎖延長剤の両方として機能するので、これらの比は適用できない。
【0120】
本発明の水性分散液のポリウレタンを調製するために用いられる反応体は連鎖停止剤も含有してよい。任意の連鎖停止剤は、ポリウレタンの分子量を制御し、プレポリマーの変換前、プレポリマーの変換中またはプレポリマーの変換後に添加することが可能である。
【0121】
適する連鎖停止剤は、1の分子当たりの平均官能価を有する、すなわち、第一アミンまたは第二アミンの窒素の数あるいはアルコールの酸素の数が分子当たり平均1であるアミンまたはアルコールを含む。第一アミノ基または第二アミノ基を用いることにより所望の官能価を得ることが可能である。アミンまたはアルコールは、一般に芳香族、脂肪族または脂環式であり、1〜30個の間、好ましくは2〜15個、より好ましくは2〜10個の炭素原子を含有する。
【0122】
連鎖停止剤として用いるために好ましいモノアルコールには、n−ブタノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノールおよびステアリルアルコールなどのC1〜C18アルキルアルコール、ならびにC2〜C12弗素化アルコール、より好ましくはn−プロパノール、エタノールおよびメタノールなどのC1〜C6アルキルアルコールが挙げられる。
【0123】
イソシアネートと反応性の任意の第一モノアミンまたは第二モノアミンを連鎖停止剤として用いてもよい。脂肪族の第一モノアミンまたは第二モノアミンは好ましい。連鎖停止剤として有用なモノアミンの例には、ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ドデシルアミン、ジイソプロパノールアミン、ステアリルアミン、ジブチルアミン、ジノニルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ジエチルアミン、ビス(メトキシエチルアミン)、N−メチルステアリルアミンおよびN−メチルアニリンが挙げられるが、それらに限定されない。より好ましいイソシアネート反応性連鎖停止剤はビス(メトキシエチル)アミンである。
【0124】
アルコール連鎖停止剤を用いるときにウレタン末端基は形成される。アミン連鎖停止剤を用いるときにウレア末端基は形成される。本明細書において両方の構造種類を「ポリウレタン」と呼ぶ。
【0125】
混合物としてまたはNCO−プレポリマーへの逐次添加として、連鎖停止剤および連鎖延長剤を一緒に用いることが可能である。
【0126】
用いられる連鎖停止剤/連鎖延長剤の量は、プレポリマー中の遊離イソシアネート基におよそ等しくすべきである。連鎖延長剤中の活性水素対プレポリマー中のイソシアネート基の比は、当量に基づいて好ましくは約0.6:1〜約1.3:1、より好ましくは約0.6:1〜約1.1:1、なおより好ましくは約0.7:1〜約1.1:1、更により好ましくは約0.9:1〜約1.1:1である。アミンまたはアルコールで連鎖延長/連鎖停止されないあらゆるイソシアネート基は、上で示したように連鎖延長剤として機能する水と反応する。
【0127】
中和
ポリウレタンの潜在的なカチオン基またはアニオン基が中和されるとき、それらの基はポリマーに親水性を提供し、ポリマーが水に安定的に分散することをより良く可能にする。中和工程は、(1)潜在的イオン基を含有する成分を処理することによりポリウレタン生成の前に、または(2)ポリウレタン生成後であるが、ポリウレタンを分散させる前に、あるいは(3)分散液調製と同時に行ってもよい。中和剤と潜在的イオン基との間の反応は、反応混合物を攪拌しつつ約20℃〜約150℃の間で行ってもよいが、通常は、約100℃未満の温度、好ましくは約30℃〜約80℃の間、より好ましくは約50℃〜約70℃の間の温度で行われる。
【0128】
安定な分散液を有するために、得られたポリウレタンが水性媒体に安定的に分散したままであるように十分な量のイオン基(例えば、中和されたイオン化性基)は存在しなければならない。一般に、酸基の少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%は対応するカルボキシレート塩の基に中和される。あるいは、ポリウレタン中のカチオン基は第四アンモニウム基(−NR3Y、式中、Yは塩素またはヒドロキシルなどの一価アニオンである)であることが可能である。
【0129】
酸基を塩の基に転化するために適する中和剤には、第三アミン、アルカリ金属カチオンおよびアンモニアが挙げられる。これらの中和剤の例は、米国特許第4,501,852号明細書のみでなく、前に引用した米国特許第4,701,480号明細書でも開示されている。好ましい中和剤は、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンおよびジメチルエチルアミンなどのトリアルキル−置換第三アミン、ならびにナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属カチオンである。ジエチルエタノールアミンまたはジエタノールメチルアミンなどの置換アミンも有用な中和基である。
【0130】
中和はプロセス中のいかなる時点で行ってもよい。典型的な手順はプレポリマーの少なくとも多少の中和を含み、その後、プレポリマーを追加の中和剤の存在下で水中で連鎖延長/連鎖停止させる。
【0131】
最終製品は、約60重量%以下、好ましくは約15〜約60重量%、より好ましくは約30〜約40重量%の固体含有率を有するポリウレタン粒子の安定な水性分散液である。しかし、任意の所望の最少固体含有率に分散液を希釈することは常に可能である。
【0132】
分散液の調製
本発明によると、「水性ポリウレタン分散液」という用語は、当該用語が当業者によって理解されるようにウレタン基を含有するポリマーの水性分散液を意味する。これらのポリマーは、好ましくは、水中のポリマーの安定な分散液(水性ビヒクル)を維持するための必要な程度に親水性官能基も導入している。水性分散液に基づく本発明の組成物は、水を含む連続相とポリウレタンを含む分散相とを含む。
【0133】
所望のポリウレタンの生成後、上述したように好ましくは溶媒の存在下で、必要に応じて、pHを調節して、イオン化性基のイオン基への転化(中和)を確実なものにしてもよい。例えば、好ましいジメチロールプロピオン酸がポリウレタンを製造する際に用いられるイオン材料またはイオン化性材料である場合、カルボキシル基をカルボキシレートアニオンに転化するために十分な水性塩基を添加する。
【0134】
水性分散液への転化は水の添加によって完了する。必要に応じて、その後、溶媒を減圧下の蒸留によって部分的にまたは実質的に完全に除去することが可能である。水性分散液の全固体レベルは、分散液の全重量を基準にして好ましくは約5重量%〜約70重量%、より好ましくは約20重量%〜約40重量%の範囲内である。
【0135】
必要に応じて、界面活性剤を分散液に添加して安定性を改善してもよい。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性であってもよい。界面活性剤を用いる場合、界面活性剤の好ましい量は約0.1重量%〜約2重量%である。好ましい界面活性剤の例はドデシルベンゼンスルホネートまたはTRITON X(Dow Chemical Co.,Midland,MI)である。
【0136】
最終製品は、約70重量%以下、好ましくは約10〜約60重量%、より好ましくは約20〜約45重量%の固体含有率を有する安定な水性ポリウレタン分散液である。しかし、任意の所望の最少固体含有率に分散液を希釈することは常に可能である。得られた分散液の固体含有率は、150℃で2時間にわたりオーブン内でサンプルを乾燥させ、乾燥前後の重量を比較することにより決定してもよい。粒径は、一般に約1.0マイクロメートル未満、好ましくは約0.01〜約0.5マイクロメートルの間である。平均粒径は、0.5マイクロメートル未満、好ましくは約0.01〜約0.3マイクロメートルの間であるのがよい。小粒径は分散粒子の安定性を高める。
【0137】
架橋
ポリウレタン中に多少の架橋を有することは本発明の範囲内である。
【0138】
ポリウレタンの架橋を達成する手段は、一般に、3つ以上の官能性反応部位を有するポリウレタン(出発材料および/または中間体)の少なくとも1つの成分に応じて変わる。3つ(以上)の反応部位の各々の反応は架橋ポリウレタン(3次元マトリックス)をもたらす。2つだけの反応部位が各反応成分上で利用可能であるとき、線状のみのポリウレタン(おそらく高分子量であろうとも)を製造することが可能である。架橋技術の例には以下が挙げられるが、それらに限定されない。
イソシアネート反応性部分は少なくとも3個の反応性基、例えば、多官能性アミンまたはポリオールを有する。
イソシアネートは少なくとも3個のイソシアネート基を有する。
プレポリマー鎖は、イソシアネート反応以外の反応を経由して、例えば、アミノトリアルコキシシランと反応できる少なくとも3つの反応部位を有する。
少なくとも3つの反応部位を有する反応性成分、例えば、三官能性エポキシ架橋剤をポリウレタンの使用の前にポリウレタンに添加する。
オキサゾリン官能基を有する水分散性架橋剤の添加。
カルボニル官能基を有するポリウレタンの合成、その後のジヒドラジド化合物の添加。
および、これらの架橋方法と当業者に知られている他の架橋手段の任意の組み合わせ。
【0139】
更に、これらの架橋成分がポリウレタンに付加された全反応性官能基のわずかな割合であってよいことが理解される。例えば、多官能性アミンが添加される時、一官能性アミンおよび二官能性アミンもイソシアネートとの反応のために存在してもよい。多官能性アミンはアミンのわずかな割合であってもよい。
【0140】
架橋ポリウレタンのエマルジョン/分散液安定性は、必要に応じて、分散剤または乳化剤を添加することによって改善することが可能である。
【0141】
架橋が望まれるとき、ポリウレタン中の架橋の下限は、THF不溶物試験によって測定したとき、約1%以上、好ましくは約4%以上、より好ましくは約10%以上である。
【0142】
架橋の量は標準テトラヒドロフラン不溶物試験によって測定することが可能である。本明細書における定義の目的のために、ポリウレタン分散体のテトラヒドロフラン(THF)不溶物は、事前秤量遠心管内で1gのポリウレタン分散体を30gのTHFと混合することにより測定される。溶液を17000rpmで2時間にわたり遠心分離した後、上液層を注ぎ出し、底の非溶解ゲルを残す。非溶解ゲル入りの遠心管をオーブンに入れ、110℃で2時間にわたり乾燥させた後、非溶解ゲル入りの遠心管を再秤量する。
【0143】
ポリウレタンの%THF不溶物=(遠心管と遠心管の非溶解ゲルの重量)/(サンプル重量*ポリウレタン固体%)
【0144】
ポリウレタン中で架橋の有効量を達成する代替方法は、架橋性部位を有するポリウレタンを選択し、その後、自己架橋および/または添加された架橋剤を経由してこうした部位を架橋することである。自己架橋官能基の例には、例えば、上で示した特定の出発材料から利用できるシリル官能基(自己縮合性)、およびエポキシ/ヒドロキシル、エポキシ/酸およびイソシアネート/ヒドロキシルなどのポリウレタンに導入された反応性官能基の組み合わせが挙げられる。ポリウレタンおよび補足架橋剤の例は、(1)イソシアネート反応性部位(ヒドロキシル基および/またはアミン基など)およびイソシアネート架橋性反応体を有するポリウレタン、および(2)未反応イソシアネート基および(例えば、ヒドロキシル基および/またはアミン基などを含有する)イソシアネート反応性架橋性反応体を有するポリウレタンが挙げられる。配合物に補足反応体を導入する前に架橋を行うことができるように、補足反応体をポリウレタンに添加することが可能である。
【0145】
架橋ポリウレタンに関する更なる詳細は、例えば、米国特許出願公開第2005/0215663A1号明細書において見られる。
【0146】
膜形成性ポリウレタン
リップスティック/リップグロス、マニキュアおよびヘアスタイリング組成物などの本発明による幾つかの用途のために、ポリウレタンが膜形成性であることが好ましい。「膜形成性」は、表面に塗布後、ポリウレタンが塗布条件下で活性化粧用材料(不連続相)を含有する凝集性膜(連続相)を形成させることを意味する。
【0147】
特定の塗布条件下での特にポリウレタンの膜形成能力は、過度な実験なしで当業者によって容易に決定することが可能である。
【0148】
活性化粧用材料
本発明の化粧用組成物は、水性ビヒクルおよびポリウレタンイオノマーに加えて、使用者のボディ、例えば、毛髪、ネイルおよび/または皮膚に多少の化粧上の有益性を提供する1種以上の活性化粧用材料を含む。こうした材料は、当業者に一般に周知であり、例えば、保湿剤、制汗剤、抗菌剤、サンスクリーン剤、防虫剤、クリーニング剤、ヘアコンディショニング剤、ヘアスタイリング剤、抗ふけ剤、毛髪成長促進剤、染料および顔料、麻酔薬、潤滑剤、石鹸および香料を含んでもよい。本発明による化粧用組成物は表面(外部)塗布のために意図されている。
【0149】
多様な化粧用薬剤は、こうした薬剤が水性連続相中のポリウレタンの分散性を妨げない限り本発明の化粧用組成物中で有用である。
【0150】
活性化粧用材料(および以下で記載するパーソナルケア組成物の他の材料)は、それらが提供する有益性によって、またはそれらの仮定された作用機序によって分類(多数カテゴリーを含む)することが可能である。しかし、場合によって、本明細書において有用な活性化粧用材料(および他の材料)が2つ以上の有益性を提供することが可能であるか、または2つ以上の作用機序を経由して作用することが可能であることが理解されるべきである。従って、本明細書における分類は便宜上のために行われ、当該の特定の用途または挙げられた用途に活性剤を限定することを意図していない。
【0151】
活性化粧用材料として本発明による化粧用組成物中に適切に含めてよい物質の例には、
(1)芳香剤の形態を取って嗅覚応答を生じさせる香料および芳香剤、ならびに芳香応答の提供に加えて、身体の悪臭を減らすこともできる脱臭剤香料、
(2)皮膚上の冷却感覚の形態を取った触覚応答を生じさせるメントール、メンチルアセテート、メンチルピロリドンカルボキシレート、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドおよびメントールの他の誘導体などの皮膚冷却剤、
(3)皮膚の滑らかさの増加の形態を取った触覚応答を生じさせるイソプロピルミリステート、シリコーン油、鉱油および植物油などの皮膚軟化薬、
(4)皮膚表面の微小植物、特に身体悪臭の発生の原因である微小植物のレベルを減らすか、または微小植物を排除することがその機能である脱臭剤の前駆体を含む香料以外の脱臭剤、
(5)皮膚表面の発汗外観を減らすか、または排除することがその機能である制汗活性剤、
(6)水分を添加するか、または皮膚から蒸発しないようにすることにより皮膚を湿ったままに保つ保湿剤、
(7)太陽からのUV線および他の有害光線から皮膚および毛髪を保護するサンスクリーン活性材料、
(8)毛髪をコンディショニングし、毛髪を洗浄し、毛髪のもつれを解き、スタイリング剤、抗ふけ剤、毛髪成長促進剤、毛髪染料および毛髪顔料、毛髪香料、縮毛矯正剤、毛髪脱色剤、毛髪保湿剤、毛髪オイルトリートメント剤および抗縮毛剤として機能する毛髪トリートメント剤、
(9)粉末、顔料および着色剤などの美容用助剤および
(10)薬用剤
が挙げられる。
【0152】
皮膚有益剤の更なる例には、研磨剤;吸収剤;エチレングリコールジステアレートおよびTiO2被覆マイカなどの乳白剤および真珠光沢助剤などの美的成分;精油;皮膚刺激剤;チョウジ油、メントール、樟脳、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテートおよびウィッチヘーゼル留出液などの化粧用収斂剤および薬物収斂剤;レゾルシノール、硫黄、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシンおよび亜鉛などの抗ニキビ剤;固化防止剤;ヨードプロピルブチルカルバメートなどの抗菌剤;酸化防止剤;化粧用殺虫剤;外部鎮痛薬;クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、燐酸、水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどのpH調整剤;ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビル燐酸マグネシウムおよびアスコルビルグルコサミンなどの皮膚美白剤および明色化剤;パンテノールおよびエチルパンテノールのような誘導体、アロエ・ベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントインなどの皮膚収斂剤および/または皮膚治癒剤;ビサボロールおよびグリシルリジン酸二カリウム;パルミチン酸レチノールなどのレチノイド;ニコチン酸トコフェリル;皮膚処理剤;ビタミンおよびその誘導体;ならびに類似の他の材料が挙げられる。
【0153】
湿潤剤は、容器内および皮膚上の両方で製品と空気との間の水分交換を制御する薬剤として記載されている。湿潤剤は、皮膚の乾燥を防ぐ化合物として、または皮膚の上層の含水率を増加させる化合物(例えば、吸湿性化合物)としても記載されている。潜在的に好ましい1種の湿潤剤は上述したPO3G(基本的に且つそれ自体で)である。
【0154】
適する保湿剤には、疎水性薬剤、親水性薬剤およびそれらの組み合わせが挙げられる。保湿剤の例は、アラントイン、グリセロール、ポリグリセリルメタクリレート、パンテノール、ポリオール、セラミド、ルリヂサ油(リノール酸)、トコフェロール(ビタミンE)、ルリノール酸トコフェロール、ジメチコーン、ヒアルロイン酸、ペルオキシリン石炭酸ナトリウム(ナトリウムPCA)、小麦蛋白(例えば、ラウルジモニウムヒドロキシプロピル水解小麦蛋白)、毛髪ケラチンアミノ酸、パンテノール;サクラソウ油;例えば、オメガ−3油およびオメガ−6油および/またはリノール酸を含んでもよいGLA3および他の魚油;ならびに亜麻仁油およびそれらの混合物である。他の保湿剤も用いることが可能である。
【0155】
多数のサンスクリーン剤は、本発明のパーソナルケア組成物中で用いるために適する。例には、p−アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体、アントラニレート、サリチレート、桂皮酸誘導体、ジヒドロキシ桂皮酸誘導体、トリヒドロキシ桂皮酸誘導体、ジベンザルアセトン、ジベンザルアセトフェノン、ナフトールスルホネート、ジヒドロキシナフトール酸およびその塩、クマリン誘導体、ジアゾール、キニン塩、キノリン誘導体、ヒドロキシ置換ベンゾフェノンおよびメトキシ置換ベンゾフェノン、尿酸およびビロ尿酸、タンニン酸およびその誘導体、ヒドロキノンおよびベンゾフェノンが挙げられる。本発明によると、有効量は、組成物の重量を基準にして通常は約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.1〜約5重量%である。
【0156】
典型的には、消臭剤−制汗剤組成物中の活性材料は塩基性アルミニウム化合物である。こうした材料の例は、クロロ水酸化アルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、塩基性沃化アルミニウムまたは塩基性硝酸アルミニウムおよび塩基性アルミニウムヒドロキシクロリド−ジルコニルヒドロキシオキシクロリドである。
【0157】
クリーニング剤は、典型的には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤または両性界面活性剤である。典型的なアニオン界面活性剤は、カルボキシレート、スルホネート、スルフェートまたはホスフェート、例えば、脂肪酸石鹸、ラウリルスルフェートの塩、ラウリルエーテルスルフェートの塩である。カチオン界面活性剤の例は、脂肪酸およびロジン酸、アミンオキシド、エトキシル化アルキルアミンおよびイミダゾリンから誘導された脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミンおよび脂肪族ポリアミンである。非イオン界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート、カルボン酸エステル、例えば、モノグリセリドおよびジグリセリド、ポリオキシエチレンエステルおよび脂肪酸ジエタノールアミンコンデンセートである。両性界面活性剤は、上述したアニオン基とカチオン基の組み合わせを含有する界面活性剤、特に酸カルボキシル基と塩基性窒素基の両方を含有する界面活性剤である。典型的な両性界面活性剤は、イミダゾリンおよびベタイン、例えば、ラウリンイミダゾールおよびミリスチンイミダゾリンならびにラウリンベタインおよびミリスチンベタインならびにアミドプロピルベタインである。
【0158】
様々な薬用剤も本発明の組成物中の活性材料として存在してもよい。非限定的な例は、抗ニキビ添加剤、抗脂肪沈着剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗菌剤、殺精子剤、防腐剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤および局所麻酔剤である。
【0159】
活性材料の導入
前に示したように、本発明の化粧用組成物は、一般に、水性ポリウレタン分散液に活性化粧用材料を添加することにより調製される。
【0160】
分散液の水性ビヒクルに可溶性である活性化粧用材料に関して、これらの材料を標準混合条件下で添加して、混合(または再混合)後に実質的に均一な組成を有する組成物をもたらすことが可能である。
【0161】
分散液の水性ビヒクルに可溶性ではない活性化粧用材料のために、ポリウレタンイオノマーが分散剤/乳化剤として機能し、混合が当業者に知られている高剪断条件下で行われることが好ましい。あるいは、別個の分散剤/乳化剤を用いることが可能である。
【0162】
例えば、当該技術分野において公知の従来のいずれかの混練プロセスを用いて、顔料入り分散液を調製することが可能である。殆どの混練プロセスは、第1の混合工程、その後の第2の粉砕工程を含む二工程プロセスを用いる。第1の工程は、ブレンドされた「プレミックス」を提供するためにすべての材料、すなわち、顔料、水性分散液および任意のあらゆる添加剤の混合を含む。典型的には、あらゆる固体材料を最後に添加する。混合は、一般に攪拌機付き混合容器内で行われ、高速分散器(HSD)は混合工程のために特に適する。第2の工程は顔料入り分散液を製造するためにプレミックスの粉砕を含む。好ましくは、粉砕は媒体混練プロセスによって行われる。但し、既知の他の混練技術も用いることが可能である。粉砕は、2000rpm〜4000rpmの間のミル円盤速度で媒体(例えば、ジルコニア)をミルに投入することにより実行することが可能である。再循環粉砕プロセスを用いて分散液を処理することが可能であり、ミルを通した流速は、典型的には200〜500グラム/分である。段階的手順を用いて混練を行ってもよい。混練プロセスの完了後、分散液を容器に充填し、その後、典型的には、例えば当該技術分野において公知の従来の濾過手順を用いて更に処理する。分散液から共溶媒および他の汚染物、イオンまたは不純物を除去する限外濾過法を用いて分散液を処理してもよい。
【0163】
典型的には、顔料レベル(顔料を活性化粧用材料として用いるとき)は、化粧用組成物の重量を基準にして約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%の範囲内である。
【0164】
得られた製品が貯蔵安定性であることが好ましい。貯蔵安定性は、70℃で1週間にわたるサンプルのオーブン熟成後に評価することが可能である。得られた製品が貯蔵安定性でない(成分の実質的に均一な稠性(consistency)の分離)限り、容器振とうなどの単純混合技術(好ましくは低エネルギー)により製品の一定性を容易に回復できるべきである。
【0165】
凝固剤
本発明による固体/半固体組成物は、周囲温度(25℃)で流動性でないと考えられる組成物である。ジェルは、一般に半固体の分類内に含まれる。固体/半固体化粧用組成物の例には、リップスティック、制汗スティック、スティックマスカラおよびアイライナーなどが挙げられる。
【0166】
ポリウレタンイオノマーおよび化粧用薬剤の水性分散液に凝固剤を添加することにより固体を調製することが可能である。
【0167】
凝固剤には、例えば、種々のワックス、ガムおよびゲル化剤が挙げられる。
【0168】
化粧用ガムを凝固剤として用いることが可能である。例えば、米国特許出願公開第2003/0198616A1号明細書には、水溶性ヒドロキシアルキルセルロースポリマーが、典型的には、組成物のゲル化と経表皮水損失を減らす水分バリアの形成の二重機能を果たす保湿スキンジェルが記載されている。好ましいセルロース系ガムには、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性ヒドロキシアルキルセルロースポリマーが挙げられる。皮膚接触コンパウンド中で用いられた他の増粘剤には、アカシア、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、トラガカントゴム、キサンガム、コラーゲン、カルボキシポリメチレン、グリセリルモノステアレート、ポリビニルピロリドンおよびポリアクリルアミドが挙げられる。
【0169】
他の材料
充填剤、可塑剤、シリカゾル、他のポリマー分散液および既知の均展剤、湿潤剤、消泡剤、安定剤、保存剤ならびに所望の最終用途に関して知られている他の添加剤も分散液に導入してよい。
【0170】
界面活性剤は本発明の化粧用組成物中で用いてもよい。典型的な界面活性剤は米国特許出願公開第2003/0007939A1号明細書において開示されている。
【0171】
ポリウレタンイオノマーは乳化剤も界面活性剤も全く添加せずに連続水性媒体に好ましく分散性であるが、追加の乳化剤を本発明の多くの好ましい実施形態において用いてもよい。化粧用途のために承認された殆どの乳化剤を用いることが可能である。使用できる乳化剤には、非イオン乳化剤、アニオン乳化剤、カチオン乳化剤、両性乳化剤または双性イオン乳化剤およびそれらのブレンドが挙げられる。適する乳化剤は、米国特許第3,755,560号明細書および米国特許第4,421,769号明細書で開示されている。例は、ポリエチレングリコール20、ソルビタンモノラウレート(Polysorbate 20)、ポリエチレングリコール20ステアリルエーテル(Brij 78、Steareth 20)、ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(Laureth 23)、Polysorbate 80(Tween 80)およびレシチンである。
【0172】
化粧用組成物中の一般に用いられる他の材料には、当該技術分野において公知であるとともに市販されている多くから選択してもよい保存剤が挙げられる。例には、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、DMDMヒダントイン、メチルクロロイソチアオリン、メチルイソチアゾリノン、イミダゾリジニルウレアフェノキシエタノール、安息香酸ナトリウムおよび安息香酸が挙げられる。EDTAおよびその塩は保存性を更に高めるためにしばしば用いられる。
【0173】
上述した添加剤などの添加剤は限定されずに組成物に有利に含めてもよいが、これらの添加剤の合計量は、組成物の重量を基準にして一般に約8.0重量%以下、好ましくは約3.0重量%以下の範囲である。
【0174】
医薬的に許容できる周知の有機共溶媒も本発明の化粧用組成物中で用いてよい。但し、こうした組成物が実質的に有機共溶媒を含まないことが好ましい。
【0175】
製品の形態
水性ポリウレタン分散液に基づく化粧用組成物は、一般に、クリーム、エマルジョン、泡、ジェル、ローション、軟膏、エアロゾルなどの形態を取っている。従って、組成物は、多様な製品タイプであってもよい。これらには、溶液、ローション、エマルジョン、クリーム、ジェル、スティック、スプレー、軟膏、ペースト、泡、ムース、シャンプーなどが挙げられるが、それらに限定されない。これらの組成物を用いる製品には、スキンケア製品、消臭剤、制汗剤、防虫剤、麻酔剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、ヘアスタイリングジェル、毛髪抗ふけ剤組成物、毛髪成長促進剤組成物、毛髪着色剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪抗縮毛剤組成物、縮毛矯正剤組成物、シェービング製品組成物、潤滑ジェル組成物、皮膚クリーニング組成物、マニキュア組成物および皮膚着色組成物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0176】
多くの場合、化粧用製品は、デリバリービヒクルに導入された活性材料を含有する。化粧用製品の所望の効果は、殆どの場合、皮膚、ネイルまたは毛髪上における、化粧用活性材料によって、または塗布の部位でのビヒクル自体によって達成される。ビヒクル、すなわち、キャリアとして機能するビヒクルを用いることにより、活性材料は所望の効果が達成されるべき塗布部位に送出される。
【0177】
パーソナルケアビヒクルの主なタイプは、(a)溶液、(b)ローションおよびクリームを含む水中油と油中水の両方のエマルジョン、(c)懸濁液、(d)ジェルおよび(e)スティック製品を含む固体および半固体のカテゴリーにしばしば分類される。パーソナルケアビヒクルおよび化粧用ビヒクルの広範な説明は、「Handbook of Cosmetic Science and Technology」、第2版、M Paye、A.O.BarelおよびH.I.Maibach編、99−123頁(2005年)において見られる。
【0178】
ジェル
本発明による「ジェル」は分散ペーストが連続相と結合して粘性ゼリー様製品をもたらすコロイドである。
【0179】
本発明によるジェルは水性または非水性であることが可能である。ジェルは、典型的には、ポリウレタンおよび化粧用添加剤の水性分散液に加えて、上述したようなゲル化剤を含む。ジェルのビヒクルは、典型的には多少の溶媒(好ましくは水)も含む。
【0180】
ジェル、特に水性ジェルはパーソナルケア製品において益々普及しつつある。例には、スキンケア製品、化粧品、歯磨き粉、消臭剤、制汗剤、防虫剤、麻酔剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、サンケア製品、シャワージェル、石鹸、ヘアスタイリングジェル、毛髪抗ふけ剤組成物、毛髪成長促進剤組成物、毛髪着色剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪抗縮毛剤組成物、縮毛矯正剤組成物、シェービング製品組成物、潤滑ジェル組成物、殺精子剤ジェル組成物および皮膚クリーニング組成物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0181】
エマルジョン
エマルジョンは化粧用製品として広く用いられている。「エマルジョン」は、非イオン乳化剤、アニオン乳化剤、カチオン乳化剤または双性イオン乳化剤であってもよい乳化剤と呼ばれる少ない%の物質によって懸濁液中に保持された2種以上の不混和性液体の安定な混合物を意味する。水中油エマルジョンの場合、油相は内部、すなわち、分散相であり、水相は外部(連続)相または担体相である。
【0182】
エマルジョンが(周囲温度で流動性)液体である場合、エマルジョンは一般にローションと呼ばれる。クリームは、(周囲温度で)実質的に非流動性形態を取って存在するエマルジョンである。ローションと比べたときのクリームのより高い粘性のゆえに、一般に、クリームは重力下でオリフィスを通して流れない。エマルジョンの粘性、すなわち、粘度は、内部相対外部相の比、油相のタイプおよび連続相中での増粘剤の有無を含む幾つかの要因に応じて異なる。
【0183】
水中油型のローションおよびクリームなどの2相エマルジョンスキンケア配合物は化粧品分野で周知であり、本発明において有用である。米国特許第4,254,105号明細書で開示された水中油中水などの3相エマルジョン組成物も本発明において有用である。一般に、こうした3相エマルジョンは、水、皮膚軟化剤および乳化剤を必須材料として含有する。米国特許第4,960,764号明細書で開示されたようなシリコーン流体中水中油エマルジョン組成物を含む三重エマルジョンキャリア系も本発明において有用である。
【0184】
エマルジョン中で有用な油および共溶媒のためにも有用な油には、炭化水素油およびワックス(例えば、ワセリン、鉱油、微結晶ワックス、ポリアルケン、パラフィン、ケラシン、オゾケライト、ポリエチレン、ペルヒドロスクアレン、ポリアルファオレフィン、水素添加ポリイソブテンおよびそれらの組み合わせ)およびシリコーン(例えば、ジメチコーンコポリオール、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、混合C1〜C30アルキルポリシロキサン、フェニルジメチコーン、ジメチコノールおよびそれらの組み合わせ)が挙げられる。ジメチコーン、ジメチコノール、混合C1〜C30アルキルポリシロキサンおよびそれらの組み合わせから選択された不揮発性シリコーン;脂肪酸誘導体、コレステロール、コレステロール誘導体、ジグリセリドおよびトリグリセリド(例えば、ヒマシ油、大豆油;マレエート化大豆油などの誘導大豆油、ベニバナ油、綿実油、トウモロコシ油、クルミ油、落花生油、オリーブ油、タラ肝油、扁桃油、アボカド油、パーム油、胡麻油、植物油および植物油誘導体、ヒマワリ種子油、ヤシ油および誘導ヤシ油、綿実油および誘導綿実油、ホホバ油、カカオ脂およびそれらの組み合わせ、ならびに部分的にまたは完全に水素添加された前述の油のいずれか)、アセトグリセリドエステル(例えば、アセチル化モノグリセリド)、アルキルエステル、アルケニルエステル(例えば、オレイルミリステート、オレイルステアレート、オレイルオレエートおよびそれらの組み合わせ)、ラノリンおよびその誘導体(例えば、ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、イソプロピルラノレート、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、ラノリンアルコールリノレエート、ラノリンアルコールリシノレエート、ヒドロキシル化ラノリン、水素添加ラノリンおよびそれらの組み合わせ)、ワックスエステル(例えば、密蝋および密蝋誘導体、鯨蝋、ミリスチルミリステート、ステアリルステアレートおよびそれらの組み合わせ)、ステロールおよび燐脂質、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。アルキルエステルの例には、脂肪酸のイソプロピルエステルおよび長鎖脂肪酸の長鎖エステル、例えば、SEFA(脂肪酸のスクロースエステル)、ペンタエリトリトールエステル、芳香族のモノエステル、ジエステルまたはトリエステル、セチルリシノレエート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、セチルリシノレエートおよびステアリルリシノレエートが挙げられる。その他の例には、ヘキシルラウレート、イソヘキシルラウレート、イソヘキシルパルミテート、デシルオレエート、イソデシルオレエート、ヘキサデシルステアレート、デシルステアレート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソヘキシルアジペート、ジヘキシルデシルアジペート、ジイソプロピルセバケート、アシルイソノナノエート、ラウリルラクテート、ミリスチルラクテート、セチルラクテートおよびそれらの組み合わせが挙げられる。適するなお他の油には、ミルクトリグリセリド(例えば、ヒドロキシル化ミルクグリセリド)およびポリオール脂肪酸ポリエステルが挙げられる。カルナウバ蝋、カルデリラ蝋などの植物蝋;コレステロール、コレステロール脂肪酸エステルなどのステロール;レシチンおよび誘導体などの燐脂質、スフィンゴ脂質、セラミド、グリコスフィンゴ脂質、ならびにそれらの組み合わせも有用である。
【0185】
水中油エマルジョンは、好ましくはスキンケア製品、皮膚保湿剤、化粧品、消臭剤、制汗剤、防虫剤、麻酔剤、薬用剤、ヘアコンディショナー、サンケア製品、石鹸、毛髪抗ふけ剤組成物、毛髪成長促進剤組成物、毛髪着色剤組成物、毛髪脱色剤組成物、毛髪抗縮毛剤組成物、縮毛矯正剤組成物およびシェービング製品組成物として化粧用製品中で広く用いられている。
【0186】
懸濁液
本発明のさらに別の態様は懸濁液を含むパーソナルケア組成物である。懸濁液は、液体または半固体媒体中に分散させた固体粒子からなる。貯蔵中の沈降は、粒径を小さくするおよび/または担体相の粘度を高めることにより最少化される。懸濁液の典型的な用途は、水中油エマルジョンに関して上で記載された用途と本質的に同じである。
【0187】
(ジェル以外の)(半)固体
固体デリバリービヒクルは、一般に、スティックとして長い形態をとってキャスティングされる。皮膚上にスティックを擦ることにより、様々なパーソナルケア材料を送出することが可能である。例はリップスティックおよび制汗剤/消臭剤スティックである。ワックス、顔料および油の混合物;ステアリン酸ナトリウムによって普通は凝固される水性プロピレングリコールおよび/またはアルコール混合物に基づく溶液;および脂肪アルコール(例えば、ステアリルアルコール)によってゲル化される高沸点シリコーンからなるマトリックスなどの固体スティック特性を実現する幾つかの方法がある。好ましくは、凝固剤はワックスおよびステアリン酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0188】
固体スティック配合物は、リップスティック、制汗剤/消臭剤、皮膚保湿剤、化粧品、防虫剤、サンケア製品、石鹸および他の皮膚クリーニング組成物、皮膚清浄剤、シェービング製品組成物、皮膚クリーニング組成物および麻酔剤の中でしばしば用いられる。
【0189】
他の形態
上述した液体ビヒクルの大部分が、液相中のガスの分散体である泡の形態を取ることが可能であることに留意するべきである。ガスの小滴は、石鹸泡のようにコロイドから肉眼で見えるまで、いかなるサイズであってもよい。典型的な液体泡は、シェービングクリームなどの中で用いられる泡である。
【0190】
液体ビヒクル系または固体ビヒクル系をエアロゾルとしても塗布することも可能である。「エアロゾル」は、ガス中の液体または固体粒子の懸濁液を意味する。ここで、粒子は、しばしばコロイドサイズ範囲内である。微細スプレー(香料、殺虫剤、吸入剤、制汗剤など)は含まれる。容器(ボンベ)に圧縮ガスと一緒に成分を入れることにより種々の種類の懸濁液が調製される。ガスの圧力は、弁を開けるときに微細スプレー(エアロゾル)として混合物を放出させる。例は、香料、消臭剤およびシェービングクリームなどである。噴射剤ガスは、例えば、炭化水素(プロパン、イソブテン)、クロロフルオロカーボン、二酸化炭素または亜酸化窒素であってもよい。
【実施例】
【0191】
NMR分光分析法を用いる末端基分析によって数平均分子量(Mn)を決定した。
【0192】
多分散性(Mw/Mn)はGPCによって測定した。
【0193】
色はASTM D−1209に準拠するAPHA値(プラチナ−コバルト系)として測定した。
【0194】
すべての百分率、部などは、特に指示がない限り重量による。
【0195】
実施例1
この実施例は、ジアミンとポリアミンの組み合わせにより変換後に連鎖延長された、ポリトリメチレンエーテルグリコール、イソホロンジイソシアネートおよびジメチロールプロピオン酸イオン反応体からの実質的に有機溶媒を含まないポリウレタン分散液の調製を例示している。
【0196】
2L反応器に201.11gのPO3G(2000のMn)を投入し、内容物が500ppm未満の水を有するまで真空下で100℃に加熱した。反応器を40℃に冷却し、アセトン(99g)および0.13gのジブチル錫ジラウレート触媒を添加した。53.01gのイソホロンジイソシアネートを1時間にわたり添加し、2.6gの乾燥アセトンですすいだ。反応を放置して50℃で2.5時間にわたり続け、その後、重量%NCOを3.5%未満であると決定した。ジメチロールプロピオン酸(12.98g)およびトリエチルアミン(8.82g)を添加し、その後、乾燥アセトン(3.16g)ですすいだ。反応を50℃で2時間にわたり保持し、重量%NCOを0.6%未満であると決定した。575gの水、直後に、エチレンジアミン(7.52g)およびトリエチレンテトラアミン(36.6g)を添加しつつ、得られたポリウレタン溶液を高速混合下で変換した。アセトンを減圧下で70℃で蒸留除去した。
【0197】
得られたPO3G系ポリウレタン分散液は、13.4cPの粘度、30.2重量%固体、17.6mgKOH/g固体の滴定酸価および95%が63nm未満の37nmの平均粒径を有していた。
【0198】
実施例2−流動性リップスティック/リップグロス配合物
ポリウレタン分散液: 95g
顔料: 1〜2g
グリセロール: 1〜3g
【0199】
実施例3−流動性リップスティック/リップグロス配合物
ポリウレタン分散液: 90〜98重量%
ボルドーマイカ顔料: 1〜5重量%
1,3−プロパンジオール: 1〜5重量%(好ましくは、生物誘導)
【0200】
実施例4−流動性ヘアケア配合物
ポリウレタン分散液: 5〜20重量%
ジエチルエーテル: 25〜35重量%
エタノール: 0〜25重量%
脱イオン水: 30〜60重量%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ナノサイズ水分散性ポリウレタンおよび少なくとも1種の化粧用添加剤を中に分散させた水性連続相または
(ii)水性ビヒクル、ナノサイズ水分散性ポリウレタンおよび少なくとも1種の化粧用添加剤を中に分散させた固体連続相または半固体連続相
を含む化粧用組成物であって、
前記水分散性ポリウレタンが、ポリトリメチレンエーテルグリコールとポリイソシアネートの反応生成物から誘導された1個以上の非イオンセグメントを含む高分子主鎖に導入されている、前記高分子主鎖の側鎖である、および/または前記高分子主鎖の末端をなすイオン官能基および/またはイオン化性官能基を有する前記高分子主鎖を含むポリウレタンイオノマーである、前記化粧用組成物。
【請求項2】
前記ナノサイズ水分散性ポリウレタンおよび前記少なくとも1種の化粧用添加剤を中に分散させた水性連続相を含む請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタンイオノマーが、前記ポリウレタン分散液を前記水性連続相に分散性にするのに十分なイオン官能基を有する請求項2に記載の化粧用組成物。
【請求項4】
水中油のエマルジョン、懸濁液またはジェルである請求項2または3に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記水性ビヒクル、前記ナノサイズ水分散性ポリウレタンおよび前記少なくとも1種の化粧用添加剤を中に分散させた前記固体連続相または前記半固体連続相を含む請求項1に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
前記ポリウレタンの少なくとも約20重量%が一般式(I)
【化1】

(式中、各Rは、個々に、イソシアネート基の引抜き後のジイソシアネート化合物の残基であり、Qは、ヒドロキシル基の引抜き後の低重合体ジオールまたは高分子ジオールの残基であって、前記低重合体ジオールまたは高分子ジオールがポリトリメチレンエーテルグリコールである残基である)
の1個以上の非イオンセグメントを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
前記ポリウレタンが、(a)ポリオール成分の重量を基準にして少なくとも約40重量%のポリトリメチレンエーテルグリコールを含むポリオール成分、(b)ジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分、および(c)(i)イオン基および/またはイオン化性基を含有するモノイソシアネートまたはジイソシアネートおよび(ii)イオン基および/またはイオン化性基を含有するイソシアネート反応性材料からなる群から選択された化合物を含む親水性反応体から得られる請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
前記ポリウレタンの前記ポリオール成分が少なくとも約90重量%のポリトリメチレンエーテルグリコールを含む請求項7に記載の化粧用組成物。
【請求項9】
前記ポリトリメチレンエーテルグリコールが
(1)約0.200未満の220nmでの紫外線吸収、約0.075未満の250nmでの紫外線吸収および約0.075未満の275nmでの紫外線吸収、および/または
(2)約0.15未満のL***“b*”明度(ASTM D6290)および約0.075未満の270nmでの吸光度を有する組成、および/または
(3)約10ppm未満の過酸化物組成、および/または
(4)ガスクロマトグラフィによって測定されたとき、約400ppm未満の全有機不純物(1,3−プロパンジオール以外の有機化合物)の濃度
の特徴を有する1,3−プロパンジオールからのトリメチレンエーテル単位を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
前記ポリトリメチレンエーテルグリコールが生物誘導1,3−プロパンジオールからのトリメチレンエーテル単位を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
水相と水分散性ポリウレタンイオノマーとを含むナノ粒子径ポリウレタンの水性分散液に活性化粧用材料を混合する工程を含む化粧用組成物を調製する方法であって、
前記水分散性ポリウレタンイオノマーが、ポリトリメチレンエーテルグリコールとポリイソシアネートの反応生成物から誘導された1個以上の非イオンセグメントを含む高分子主鎖に導入されている、前記高分子主鎖の側鎖である、および/または前記高分子主鎖の末端をなすイオン官能基および/またはイオン化性官能基を有する前記高分子主鎖を含み、前記ポリウレタンイオノマーが前記ポリウレタンを前記水性連続相に分散性にするのに十分なイオン官能基を有し、
前記化粧用組成物が固体または半固体である場合、
前記水性分散液に凝固剤を添加して固体製品または半固体製品をもたらす更なる工程を含む方法。
【請求項12】
前記化粧用組成物が請求項1〜9のいずれか一項に記載の化粧用組成物である請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2010−504372(P2010−504372A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530400(P2009−530400)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/020703
【国際公開番号】WO2008/039466
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】