説明

化粧箱及びこれに用いるブランク

【課題】複数の物品を収納しても安定した強度を備えて物品を確実に保護することができ、構造が簡単で組立も容易に行え、しかも美観の面でも優れた化粧箱を提供する。
【解決手段】複数物品を収納する内箱1と、これを収納する外箱10とで構成された化粧箱FCであって、外箱10は、上面11、底面12および側面13を有し、上面11の中央部に内箱1つが嵌合される内箱嵌合部SEが設けてあり、前記内箱嵌合部SEは、内箱の形状に応じて前記上面に形成される環状の開口端縁11Crと、該開口端縁から前記上面の一部を下方へ折り曲げて形成された周壁11Waと、底面12とを含んで形成されて上方に開口している凹状空間SPを含み、この凹部空間SPに内箱1が嵌合したときに上面11と内箱の表面1aとが平坦な面となるようにした化粧箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば喫煙物品と、これと密接な関係な専用ケース、灰皿、ライタ、パイプ、フィルタなどの関連物品を収納するに、好適な化粧箱に関する。
【背景技術】
【0002】
色々な物品(製品)を収納する化粧箱については、搬送中における物品の保護という観点と共に、製造コストや廃棄処理などを考慮して、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1は、一枚の型紙(ブランク)を折り曲げ組み立てて製造される化粧箱を開示している。この化粧箱は弾性的に折り曲げて形成した側板部を備えている緩衝用空間を形成している。この緩衝用空間内に物品、或いは、物品を収納して補助箱を収納して位置規制した状態で保管するものである。特許文献1の技術によると、これにより、物品の保護を図りつつ、製造コストを低減した化粧箱を提供できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−242232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示する化粧箱では、収納する主物品について付属する他の物品がある場合、その付属品を収納するための収納空間(凹部)を個別に設けている。すなわち、特許文献1による例示では、主物品の携帯電話用の収納空間と、付属の乾電池用の収納空間とが分離した箇所に設けてある。このように、複数の収納空間を設けると箱自体の強度(剛性)の劣化、また外力が加わる方向によって箱の強度が異なる(耐強度に異方性がある)などの問題が懸念される。
そして、上記のように物品受け部とする収納空間(凹部)が増加すると、箱を製造する際の組立工程が煩雑化するという問題がある。更に、美観などを考慮すると種類が異なる複数の物品を同時に収納した時に、厚みが異なる場合には、薄い方の物品の下に下敷き(底上げ用の補助部材)を配置して、それらの表面が同じ高さとなるように美観調整される場合もある。これでは、適正形態の化粧箱に整えるまでに手間と時間を要するということになる。
【0005】
本発明の目的は、複数の物品を収納しても安定した強度を備えて物品を確実に保護することができ、構造が簡単で組立も容易に行え、しかも美観の面でも優れた化粧箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的は、複数の物品を収納している内箱と、該内箱を収納する外箱とを含んで構成された化粧箱であって、
前記外箱は、上面、底面および側面を有し、前記上面の中央部に前記内箱1つが嵌合される内箱嵌合部が設けてあり、
前記内箱嵌合部は、前記内箱の形状に応じて前記上面に形成される環状の開口端縁と、該開口端縁から前記上面の一部を下方へ折り曲げて形成された周壁と、前記底面とを含んで形成されて上方に開口している凹状空間を含み、
前記凹部空間に前記内箱が嵌合したときに前記上面と前記内箱の表面とが平坦な面を形成するように、前記側面及び前記周壁の高さが前記内箱に応じて設定されており、
更に、前記凹部空間に嵌合した前記内箱を取り出すための窪み部が、前記開口端縁の一部を切欠いて設けてあることを特徴とする化粧箱により達成することができる(請求項1)。
【0007】
そして、前記外箱は、前記上面の外形端縁に設けたヒンジ部を介して回動され、前記上面を露出可能に覆う蓋部を更に備えているのが好ましい(請求項2)。
また、前記周壁の下端に舌片部が付加されており、該舌片部は前記底面の中央部に向けて折り曲げられて前記底面に面で接する姿勢で配置される構造が好ましい(請求項3)。
【0008】
また、前記窪み部は、前記上面から該上面と前記開口端縁とを共有する周壁にかけて、指幅より広く前記開口端縁の長さより狭い間隔で、2本の切込み線を入れ、その切込み間の帯部分を前記開口端縁と反対の方向へ反転させて形成した凹部とするのが好ましい(請求項4)。
そして、前記窪み部は、前記内箱を間にして一対で設けてあるものがより好ましい(請求項5)。
【0009】
そして、前記外箱および内箱のそれぞれは、一枚の紙製または樹脂製のシート状ブランクを折り曲げ、組み上げることにより形成されているものが、更に好ましい(請求項6)。
【0010】
また、前記内箱には、主物品と該主物品と密接な関係にある副物品とが収納され、前記主物品と前記副物品とが、前記内箱表面に表示した図画にて視認可能としてあるものが好ましい(請求項7)。
前記主物品は喫煙物品であり、前記副物品は該喫煙物品と密接な関係にある物品とすることができる(請求項8)このような、副物品としては、例えば専用ケース、灰皿、ライタ、パイプ、フィルタなどとすることができる。
【0011】
そして、上記記載の化粧箱に用いるブランクであり、外箱用ブラケットと内箱用ブラケットとがセットで使用されるものであって、
前記外箱用ブランクは、前記上面を形成するためのトップパネルを含み、該トップパネルの中央部に前記内箱1つが嵌合される内箱嵌合予定領域が設けてあると共に、
前記内箱嵌合予定領域には、環状の開口端縁と、該開口端縁から前記トップパネルの一部を折り曲げて形成される周壁のための周壁予定部と、更に前記開口端縁の一部に掛かるように切込みを設けて前記内箱を取り出すための窪み部を形成するための窪み予定部とが、設けてある、ことを特徴とする前記化粧箱のためのブランクによっても、上記目的を達成できる(請求項9)。
【発明の効果】
【0012】
本発明による化粧箱では、複数の物品を収納した内箱を、更に外箱に収納した2重箱の状態とするので収納した物品を確実に保護できる。外箱の上面に1箇所だけ設けた内箱嵌合部に内箱をちょうど嵌合させるという構造とされているので、従来化粧箱で複数の商品に応じて個別に複数の収納部を設ける場合と比較して、構造が単純で組立等が容易であるので製造コストも抑制できる。
そして、収納された内箱の表面と、これを収納した外箱の上面とが平坦な面を形成しているので美観に優れて、その平面を物品の表示など表示媒体として有効活用できる。また、嵌合状態にある内箱を取り出すための窪み部が設けてあるので、外箱から内箱を簡単に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一例の化粧箱で、内箱を外箱に収納する前の状態示した図である。
【図2】本発明に係る一例の化粧箱で、内箱を外箱に収納した後の状態示した図である。
【図3】図1でのA−A矢視による外箱の断面図である。
【図4】窪み部の周部を拡大して示した図で、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるB−B矢視図である。
【図5】内箱用のシート状ブランクの一例を示した図である。
【図6】外箱用のシート状ブランクの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1、図2は、本発明に係る一例の化粧箱FCについて示している。化粧箱FCは、内箱1と、これを内部に収納するように形成してある外箱10とにより構成されている。図1は内箱1を外箱10に収納する前の状態、図2は内箱1を外箱10に収納した後の状態を示している。なお、ここでの説明では、図1で示すような3軸X、Y、Zを仮想的に設定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、そしてZ軸方向について上下方向として、発明の理解を容易とするために用いる。
【0015】
上記内箱1には、複数の物品が収納されている。ここでの複数の物品とは、例えば主体となる主物品およびこの主物品との関係が密接であるため同時に梱包される関係にある副物品とするのが好適である。また、ここでの主物品および副物品はそれぞれが独立した物品で、例えばそれぞれが製品として取引可能で、既にフィルム包装等が付されているものなどを対象としてもよい。
本発明の化粧箱では、上記のような物品(製品)複数をあえて1つの内箱1にまとめて収納した形態としている。その理由は、以下の説明により明らかとなる。例えば、主物品が喫煙物品である場合に、副物品はこの喫煙物品に用いる専用のケースとするような場合である。
【0016】
上記内箱1は、予定した複数の物品(例えば、喫煙物品と専用のケース)を収納でき、かつ外箱10内に収納可能であれば、用いる素材や形状に特に限定はない。例えば、厚紙で製造したブランクを折り曲げ、組み上げるのが簡単である直方体形状などとするのが好適である。図1で示しているのは、一般的な直方体形状(例示は低背の直方体形状)の内箱1である。内箱1は内部が収納空間となっており、蓋部4を備えている。蓋部4は、ヒンジ2を介して回動し、先端側には箱本体側に挿入される差込み部3が設けてある。
【0017】
そして、外箱10についても、用いる素材や形状に限定はなく、また内箱1と同じ形状とする必要はない。ただし、外箱10も厚紙で製造したブランクを折り曲げ、組み上げが可能な直方体形状等を基本型とするのが好適であり、複数の化粧箱を整列させて保管する際の取扱が良い。さらに内箱、外箱とも直方体形状とすれば製造コストを抑制できる。
図1で例示している直方体の外箱10は、上面11、底面12および4つの側面13を有している。そして、その上面11の一部を切り欠き、中央部に環状の開口端縁を設けて内箱1がちょうど1個嵌合する内箱嵌合部SEが設けてある。
【0018】
内箱嵌合部SEが設けられる中央部とは、上面11の外形端縁(外周縁)11aに掛からないように、上面11の中心寄りに設けた窓状となる領域である。この領域は、外周に一定の幅を持って上面が残るようにして設定するのが好ましい。そして、特に、内箱嵌合部SEの外周に残す上面の残し部分は、外箱10の構造的な強度を平均化するため、対称的に設定するのが望ましい。例えば図1では上面1の左右が残し幅Laとされ、前後では上面1の残し幅Lbとしてある。あるいは、上面の左右および前後で、その残し幅を同一としてもよい。
【0019】
そして、内箱嵌合部SEは、内箱1の形状(例示は、長方形)に応じて上面11に形成される環状の開口端縁11Crと、この開口端縁から上面11の一部を下方へ折り曲げて形成された周壁11waと、底面12とを含んでおり、上方に開口している凹状空間SPとして形成されている。
この凹部空間SPは、上記内箱1がちょうど1個嵌合するように設定してある。そして、嵌合したときに、図2に示すように、外箱の上面11と内箱の表面1aとが全体として平坦な面となるように形成してある。これは、外箱10の側面13及び周壁11waの高さが内箱1の高さ1hに応じて、概ねで同じ高さに設定することで実現される。
【0020】
ここで、更に、図3を参照して、凹状空間SP内の様子について説明する。図3は、図1におけるA−A矢視による外箱10の断面図である。
内箱嵌合部SEは、上面11の中央部を切り欠いて形成されるものであるが、実際に切り欠いて除去される上面11の部分は、内箱1の形状(長方形)よりも小さい。その理由は、開口端縁11Crから上面11の一部を下方へ折り曲げて周壁11Waとしているからである。周壁11Waとされなかった上面11の一部だけが切欠かれて除去されている。そして、周壁11Waは、長方形となる開口端縁11Crの各辺から下方に向けて(底面12に向けて)立ち下げられた状態となっている。
図3は、左周壁11Wa(L)と右周壁11Wa(R)の断面、および後側の周壁(図1で蓋部16側)11Wa(U)を示している。
図3で示された通り、各周壁11Waの形状は、基部(開口端縁側)から先端(底面12側)に向けて徐々に幅狭くなっている。
【0021】
このような構造を備えていると、内箱1が凹状空間SP内に嵌合したとき内箱の4面の外周それぞれに、外箱10の周壁11Waが近接配置された構造となる。即ち、内箱1の側壁と外箱10の周壁との二重壁の構造となる。これにより、化粧箱へ加わる力から主物品及び副物品を保護できる強化構造が実現される。
【0022】
より好ましい凹状空間SPの周壁の構造として、各周壁11Waの下端には舌片部11Tpが設けてある。この舌片部11Tpは、周壁の立ち下げる部分Htの高さ(長さ)よりも、余分に長く設定した周壁の先端部Atを凹状空間SPの底面12の中央部側へ向けて折り曲げた付加部である。この舌片部11Tpは凹状空間SPの底面12に面で接するような姿勢で配置されている。
周壁11Waが、立ち下げられた部分Htだけを有する場合、周壁の下端側は凹状空間SPの底面12に対して容易に可動し得る構造であるので、仮に上下方向へ圧縮する力が上面11に加わった時には、周壁下端部が凹状空間SPの底面12に対して摺動する可能性がある。このような状態となっては、周壁11Waを設けても圧縮する力に対する支えの役割を容易に失うので、内箱1を保護する機能を十分に果たさないことになる。
【0023】
上記に対して、舌片部11Tpが設けられた周壁11Waにおいては、周壁11Waの下端側は、この舌片部11Tpを介して凹状空間SPの底面12に対して安定な位置に保持される。仮に、上下方向へ圧縮する力が上面11に加わった時には、舌片部11Tpが凹状空間SPの底面12に対しより強く押し付けられるので、周壁11Waの下端側が凹状空間SPの底面12に対して可動する可能性は低くなる。よって周壁11Waは、圧縮する力に対する支えの役割を失う可能性は低く、内箱1を保護する機能を十分に果たすことができる。
【0024】
さらに、舌片部11Tpの上側には内箱1が載置される。仮に、上下方向へ圧縮する力が内箱へ加わった時には、内箱1の側壁を介して伝えられた上下方向へ圧縮する力が舌片部11Tpの下面を凹状空間SPの底面12に対してより強く押し付けるので、周壁11Waの下端側が凹状空間SPの底面12に対して可動することはない。よって、周壁11Waは、圧縮する力に対する支えの役割を失うことはなく、内箱の側壁と共に主物品ならびに副物品を保護する機能を果たすことができる。
即ち、舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと内箱の側壁とは、圧縮する力に対して共に抗し、内箱1に収容された主物品および副物品を保護する機能を発揮し得る。
【0025】
上記舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと内箱の側壁とが、内箱1に加わる力に対して共に抗する作用は、前後・左右方向に加わる可能性がある外力に対しても発揮される。仮に、内箱1を変形させる左右方向への力が加わったとき、内箱1の左右の側壁10と左右の周壁11Wa(L、R)は左右に倒れ、力の一部は上面11と凹状空間SPの底面12を上下方向へ圧縮する力へと分散される。上下方向へ圧縮する力は、先に述べた通り舌片部11Tpを有する周壁11Wa(U)を凹状空間SPの底面12に対して固定するので、舌片部11Tpを有する周壁11Wa(U)は左右方向への外力に対する支持壁としての機能を果たすことができる。なお、ここでは図示していないが、上記周壁11Wa(U)と対向した位置に配置されている前側の周壁も、ここで説明した後側の周壁11Wa(U)と同様に機能するものである。
舌片部11Tpを有さない周壁は、周壁の下端側は凹状空間SPの底面に対して容易に可動し得るので、左右方向への外力に対する支持壁としての機能を失う可能性がある。
すなわち、舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと内箱の側壁とは、前後・左右方向の内箱1を変形させるような外力に対し、互いに協働して抵抗して、内箱1に収容された主物品及び副物品を保護する。
【0026】
以上述べた通り、舌片部11Tpが設けられている周壁11Waと内箱の側壁とは、内箱1に加わる上下・前後・左右方向へ加わる外力に対して、互いに協働して支持する機能を果たすので、各々の部材としては相対的に薄く、またはそれ程に強度が高くはない材料(段ボールや厚いボール紙などでなく、薄目のボール紙など)により形成しても、実用上主物品や副物品を保護できる化粧箱とすることができる。
【0027】
また、外箱10には、上面11の端縁に設けたヒンジ部15を介して回動され、前記上面を露出可能に覆う蓋部16が設けてある。よって、蓋部16で上面11および内箱1を覆って、これらを保護できる。
【0028】
さらに、外箱10には、内箱嵌合部SEとなる凹状空間SP内に嵌合されている内箱1の取り出しを容易とするための構造が設けてある。これについて説明する。
図1、2を再度参照すると、外箱10には、開口端縁11Crに掛かるようにして内箱1を取り出すため、ヒトの指が入る程度の幅を持って窪み部20が設けてある。
図1、2で例示しているのは、内箱1を間にして左右に一対で設けてある。このような窪み部20を設けておけば、上面11と表面1aが一致するように嵌合する内箱1でも、簡単に取り出すことができる。
【0029】
図4は、窪み部20の周部を拡大して示した図で、図4(a)は斜視図、図4(b)は(a)におけるB−B矢視図である。窪み部20は、開口端縁11Crの一部を切り欠いて、指が入る程度の空間を形成すればよい。よって、この部分を除去して形成してもよいが、ここでは、図4で示すように、上面11に指の幅を想定した間隔20Wtをもってその左右に平行で開口端縁(ライン)11Crに垂直な切込み線21a、21bを入れ、その間の帯部分22(開口端縁11Crを中央にしてほぼ直角に曲がった部分)を押し込んで反対側へ反転させることにより形成した凹部としてある。なお、ここでの窪み部20は、1つの例示であり上面11からこの上面11と開口端縁11Crとを共有する周壁にかけて、指幅より広く前記開口端縁の長さより狭い間隔で、2本の切込み線を入れ、その切込み間の帯部分を開口端縁と反対の方向へ反転させて形成した凹部であれば、その形態は適宜に変更してよい。
このような窪み部20を形成すると、一体である下側の周壁11Waに図示のように中央部に向いた弾性力Fが付与される。これにより周壁11Waが外側に倒れる姿勢となるのを抑制して、内箱1を挟持する力にもなるので、より好ましい構造となる。
【0030】
そして、図5は前述した内箱1用のシート状であるブランクの一例であり、図6は前述した外箱用のシート状であるブランクの一例である。これらのブランクは、紙製または樹脂製とすることができる。そして、外箱10および内箱1は共に、このような単純な一枚のブランクを折り曲げ、組み上げることによりに容易に形成できる。
なお、図5、図6で点線が折り曲げ線、太線が切断線であり、図6中のハッチングを付したDE部分は、前述した内箱嵌合部SEで周壁11Waとしない不要な打抜き(除去)部分である。また、図5、図6中では、図1、図2で図示した部位との対応が確認し易いように、図1、図2における符号をカッコ内で示してある。
【0031】
図5で示すブランク100により、図1、2で例示した低背な直方体形状の内箱が得られる。
内箱用のブランク100は、トップパネル101の両側に折り曲げ線を介し左右にサイドパネル102が連なり、この内の一方側のサイドパネル102にはボトムパネル103、更にこれに連なるサイドインパネル104を有する。これらを折り曲げ線にて曲げて、サイドインパネル104を反対側のサイドパネル102の内面に貼付けて、組み上げる。これにより、上下に開口した状態での内箱となる。また、各サイドパネル102の両側にはサイドフラッパ105が設けてあり、組み上げられたときに側面の一部を形成する。
更に、トップパネル101の上下両側には、折り曲げ線を介してリッドパネル106、更に差込みフラッパ107が連なる。よって、これらを折り曲げ線にて曲げて、リッドパネル106を側面として、差込みフラッパ107を内部に差し込めば6面を備えた内箱1が組み上がる。
【0032】
次に、図6で示す外箱用のブランク200は、内箱を1つ嵌合できるように設計されている点に特徴があるブランクである。
この外箱用のブランク200は、トップパネル201の下側には折り曲げ線を介して、順にフロントサイドパネル202、ボトムパネル203、リアサイドパネル204、リッドパネル205が連なっている。更に、リッドパネル205の端部には差込みフラッパ206が設けてある。また、トップパネル201の上側にはリアインナパネル207を有する。
これらを折り曲げ線にて曲げて、リアサイドパネル204を反対側のリアインナパネル207を内側に貼付けて、組み上げる。これにより、左右に開口した状態での外箱となる。また、各サイドインパネル202、204の両側にはサイドフラッパ208が設けてあり、組み上げられたときには側面の一部を形成する。
【0033】
トップパネル201の中央部には、上記内箱を収納するための内箱嵌合部とする領域が、内箱嵌合予定領域PAとして設定され、この内箱嵌合予定領域PAでは環状の開口端縁201Cr、この開口端縁からトップパネル201の一部を折り曲げて形成する周壁用の周壁予定部201a、さらに内箱を取り出すための窪み部用の予定部201bが開口端縁の一部に掛かるように切込みを設けてある。これらの予定部は折り曲げ線(点線)および切断線(太線)を組合せて形成してある。
【0034】
そして、トップパネル201の左右両側には、折り曲げ線を介してアウタサイドフラップ209が連なり、更に、このアウタサイドフラップ209の端部には差込みフラッパ210が設けてある。
更には、ボトムパネル203には、上記トップパネル201に応じて、左右両側には折り曲げ線を介してインナサイドフラップ211が設けてあり、このインナサイドフラップ211の基部中央には、差込みフラッパ210を受ける切り溝212が設けてある。
なお、トップパネル201とサイドインパネル202との境界中央の切り込み213は、差込みフラップ206を受ける切り溝である。
そして、上記ブランク200を各折り込み線で曲げ、差込みフラッパを対応する切り溝に押しみ、更に、内箱嵌合予定領域PAについても各折り込み線で曲げると内箱嵌合部を備えた外箱10が得られる。
【0035】
上記の説明から明らかであるが、図5、図6に示した内箱用ブランク100と外箱用ブランク200とはセットで使用されて本願発明に係る化粧箱を作製できる。
特に、外箱用ブランク200については、トップパネルの中央部に内箱1つが嵌合される内箱嵌合部用の内箱嵌合予定領域PAが設けてある。この内箱嵌合予定領域PAは、環状の開口端縁と、この開口端縁からトップパネルの一部を折り曲げて形成される周壁を形成するための周壁予定部、更に前記開口端縁の一部に掛かるように切込みを設けて前記内箱を取り出すための窪み部を形成するための窪み予定部が設けてあるものである。
【0036】
本発明に係る化粧箱を構成する内箱と外箱の構造については、以上で詳細について説明した。ところで、内箱1には、主物品と該主物品と密接な関係にある副物品とが収納されるが、窓などの切り抜き部分を設けないと中の物品は確認できない。しかし、図1、図2で示すように主物品と副物品(例えば、喫煙物品と専用のケース)とを、内箱1の表面に描いた図画などにより示せば収納した物品を視認可能とすることができる。
【0037】
以上で説明した本発明に係る化粧箱FCは、そのまま製品となるような物品でも、これを複数、内箱に収納し、更にこの内箱を外箱内に収納している。これにより物品を2重の箱の構造で収納した状態になるので、本発明に係る化粧箱によると物品を確実に保護できる。そして、このように箱が2重となる構造ではあるが、単純な形状の内箱および外箱を採用し、外箱の上面に1箇所だけ設けた内箱嵌合部に内箱1をちょうど嵌合させるという構造であるから、従来の化粧箱で複数の商品それぞれに凹部を設ける場合と比較して、構造が単純で組立等を容易に行えるので製造コストも抑制できる。
また、収納された内箱の表面と、これを収納した外箱の上面とが全体的に平坦な面となっているので美観に優れて、前述のように収納物品の表示などに用いることができる他、この平坦な面に1つのテーマあるいはデザインの図画等を付して美観を高めることもできる。
そして、嵌合状態にある内箱を取り出すための窪み部が設けてあるので、外箱から内箱を簡単に取り出すことができる。更には、内箱および外箱用の素材として厚紙等で形成すれば、そのまま廃棄処理できるので環境保護の点でも優れた化粧箱となる。
【0038】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、喫煙物品は、紙巻たばこ(シガレット)の他、パイプ用の刻みたばこ、口腔用のたばこ(いわゆる、オーラルたばこ)、更に近年において提供されている煙を出さない無煙たばこ等を含む広い概念である。そして、副物品はこれらの喫煙物品と密接な関係にある、例えば、たばこ専用ケース、灰皿、ライタ、パイプ、フィルタなどから選択される物品とすることができる。これらの物品の内では、ソフトパックのシガレットのように、製品(物品)が外力を受けると変形したしまうものがある。しかし、本発明の化粧箱では、このようなソフトパックのシガレットと灰皿などを内箱に収納する形態となるので、確実な保護を実現できる。
【0039】
本化粧箱で収納する物品として、喫煙物品が好適である点について、次のことが言える。
まず、喫煙物品は家電製品・電子機器(携帯型音楽プレーヤー・携帯電話など)・缶飲料・瓶飲料・書籍等と比較して軽量である。そのため喫煙物品を納める内箱については、内箱内で喫煙物品を位置規制するための構造は簡略であっても実用上十分であり、組立コスト削減の観点からも、却ってそうした厚紙や薄い樹脂材などの部材にて製造できるものが望ましい。
また、喫煙物品は家電製品・電子機器(携帯型音楽プレーヤー・携帯電話など)・缶飲料・瓶飲料・書籍等と比較して脆弱である。そのため喫煙物品を納める内箱については、外力から喫煙物品を保護するための構造を有することが望ましい。その一方で、外力から喫煙物品を保護するための構造は、部材費用を低減するために内箱の側壁や底面と同じ一枚のシート状ブランクを折り曲げて形成可能な形態が望ましく、かつ、相対的に薄い、または、強度が必要以上に高くない材料とするのがよい。本発明の化粧箱では、収納する対象物品を喫煙物品とする場合には、段ボール紙や厚手のボール紙ではなく、薄手のボール紙などを用いて実用上十分に保護することができる。
【0040】
また、シガレットなどの喫煙物品は家電製品・電子機器(携帯型音楽プレーヤー・携帯電話など)・缶飲料・瓶飲料と比較すると相対的に脆弱であるが、軽量であるため衝撃に対しては強いと言える。また、喫煙物品に関連した副物品についても専用ケース、灰皿などであり喫煙物品と同様である。
よって、従来技術にあるような主物品と副物品それぞれの収容部を設ける形式ではなく、喫煙物品と副物品を1つの収容部(内箱)に収めたとしても、輸送中に喫煙物品と副物品が衝突して破損する可能性は低い。そこで、喫煙物品と副物品とを1つの内箱内に納める形態を採用することで、ひいては、工数および組立コストを削減できることになる。
本発明に係る化粧箱は、外箱に設けた周壁による簡略な位置規制構造、内箱採用による保護、内箱の側壁と周壁という二重の部材により外力から保護する構造、更には内箱と周壁が共に外力に抗する構造を備えている。このような構造が協働して、内箱に収納した喫煙物品と副物品を保護でき、その一方で、組立および部材コストを削減している。よって,本発明に係る化粧箱は、喫煙物品ならびに副物品を収納するのに好適で、物品の保護とコスト削減するという両課題をともに解決した誠に望ましい化粧箱と言えるものとなる。
【0041】
ただし、本発明の化粧箱は、喫煙物品以外の主物品と該主物品と密接な関係にある副物品とを収納してもよいことは言うまでもない。
また、前述した例では、製造コストの面から好適例として外箱および内箱を同じ直方体とした場合を説明したが、これに限らない。内箱と外箱とを同じ形状にする必要はない。例えば、外箱を円柱形状や六角、八角等の多角注形状として、内部に直方体形状の内箱を収納するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 内箱
10 外箱
11Wa 周壁
11a 外形端縁
11Cr 開口端縁
11Tp 舌片部
11 上面
12 底面
13 側面
16 蓋部
20 窪み部
100 内箱用のブランク
200 外箱用のブランク
SE 内箱嵌合部
SP 凹状空間
FC 化粧箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を収納している内箱と、該内箱を収納する外箱とを含んで構成された化粧箱であって、
前記外箱は、上面、底面および側面を有し、前記上面の中央部に前記内箱1つが嵌合される内箱嵌合部が設けてあり、
前記内箱嵌合部は、前記内箱の形状に応じて前記上面に形成される環状の開口端縁と、該開口端縁から前記上面の一部を下方へ折り曲げて形成された周壁と、前記底面とを含んで形成されて上方に開口している凹状空間を含み、
前記凹部空間に前記内箱が嵌合したときに前記上面と前記内箱の表面とが平坦な面を形成するように、前記側面及び前記周壁の高さが前記内箱の高さに応じて設定されており、
更に、前記凹部空間に嵌合した前記内箱を取り出すための窪み部が、前記開口端縁の一部を切欠いて設けてある、ことを特徴とする化粧箱。
【請求項2】
前記外箱は、前記上面の外形端縁に設けたヒンジ部を介して回動され、前記上面を露出可能に覆う蓋部を更に備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の化粧箱。
【請求項3】
前記周壁の下端に舌片部が付加されており、該舌片部は前記底面の中央部に向けて折り曲げられて前記底面に面で接する姿勢で配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の化粧箱。
【請求項4】
前記窪み部は、前記上面から該上面と前記開口端縁とを共有する周壁にかけて、指幅より広く前記開口端縁の長さより狭い間隔で、2本の切込み線を入れ、その切込み間の帯部分を前記開口端縁と反対の方向へ反転させて形成した凹部である、ことを特徴とする請求項3に記載の化粧箱。
【請求項5】
前記窪み部は、前記内箱を間にして一対で設けてある、ことを特徴とする請求項4に記載の化粧箱。
【請求項6】
前記外箱および内箱のそれぞれは、一枚の紙製または樹脂製のシート状ブランクを折り曲げ、組み上げることにより形成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の化粧箱。
【請求項7】
前記内箱には、主物品と該主物品と密接な関係にある副物品とが収納され、前記主物品と前記副物品とが、前記内箱表面に表示した図画にて視認可能としてある、ことを特徴とする請求項6に記載の化粧箱。
【請求項8】
前記主物品は喫煙物品であり、前記副物品は該喫煙物品と密接な関係にある物品である、ことを特徴とする請求項7に記載の化粧箱。
【請求項9】
請求項6に記載の化粧箱に用いるブランクであり、外箱用ブラケットと内箱用ブラケットとがセットで使用されるものであって、
前記外箱用ブランクは、前記上面を形成するためのトップパネルを含み、該トップパネルの中央部に前記内箱1つが嵌合される内箱嵌合予定領域が設けてあると共に、
前記内箱嵌合予定領域には、環状の開口端縁と、該開口端縁から前記トップパネルの一部を折り曲げて形成される周壁のための周壁予定部と、更に前記開口端縁の一部に掛かるように切込みを設けて前記内箱を取り出すための窪み部を形成するための窪み予定部とが、設けてある、ことを特徴とする前記化粧箱のためのブランク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−107645(P2013−107645A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251568(P2011−251568)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】