説明

医用システム

【課題】ネットワークから分離された環境下においても、所望の機能を実行できる環境をクライアントにあらかじめ構築し、作業の継続を可能とする。
【解決手段】医用画像及び医用レポートのいずれかまたは双方を含む医用データを記憶する第1の記憶部と、端末からの指示に基づき、前記医用データの編集機能を含む加工に係る複数の機能を実行し、結果を前記端末に出力する処理実行制御部とを備えたサーバーを含む医用システムであって、前記サーバーは、更に、複数の前記機能それぞれに関連付けられたソフトウェアを記憶する第2の記憶部と、前記端末からの指示を受けて、指示された前記機能に関連付けられた一部または全ての前記ソフトウェアと、指示された前記医用データとを前記端末に配信する配信制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像データなどを含む医用データの保存及び管理と、該医用データに対する処理を、サーバーで集中管理する医用システムにおいて、該医用データを端末で処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークコンピュータ技術の向上及び低価格化に伴い、クライアントからネットワークを介してサーバーに処理を依頼し、その結果をクライアントで表示する医用システムが導入されてきている。
【0003】
このような医用システムの導入により、画像処理などの負荷の大きい処理を高性能のサーバーで処理しつつ、その処理結果をクライアントで確認することが可能となった。また、データやソフトウェアをサーバーで集中管理することが可能となり、保守作業の効率化をはかることが可能となった。また当該医用システムは、端末の性能によらず、ネットワークを介して、複数の端末から共通のインタフェースを用いて、サーバーの機能を利用することが可能となる利点も有している。
【0004】
一方で、このような医用システムでは、サーバーの性能に関わらず、システムの処理性能がネットワークのトラフィックに依存するという問題点を有している。例えば、利用者が多い時間帯の場合、ネットワークの輻輳が発生し、このネットワークの輻輳がボトルネックとなり処理のレスポンスが低下する。また、このような医用システムでは、サーバーに接続可能であることが前提となるため、院外などの、ネットワークからクライアントが分離された環境では、作業を継続することができないという問題点も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−113455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の実施形態は上記の問題を解決するものであり、サーバーとの接続が切断されネットワークから分離された環境下においても、操作者により選択された所望の機能を実行できる環境をクライアントにあらかじめ構築し、作業の継続を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の形態は、医用画像及び医用レポートのいずれかまたは双方を含む医用データを記憶する第1の記憶部と、端末からの指示に基づき、前記医用データの編集機能を含む加工に係る複数の機能を実行し、結果を前記端末に出力する処理実行制御部とを備えたサーバーを含む医用システムであって、前記サーバーは、更に、複数の前記機能それぞれに関連付けられたソフトウェアを記憶する第2の記憶部と、前記端末からの指示を受けて、指示された前記機能に関連付けられた一部または全ての前記ソフトウェアと、指示された前記医用データとを前記端末に配信する配信制御部とを備えたことを特徴とする医用システムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る医用システムの機能ブロック図である。
【図2】オンライン環境で実行させる場合のメイン機能とサブ機能との関係、及び、オフライン環境で実行させる場合の各メイン機能とサブ機能との関係を説明するための図である。
【図3】各サブ機能に対応するソフトウェアを管理するための管理テーブルの一例である。
【図4】医用画像のデータを管理するための管理テーブルの一例である。
【図5】各医用画像のデータ構成の一例である。
【図6】各医用画像のデータ構成の一例である。
【図7】各機能をオンライン環境で実行させる場合の操作画面の一例である。
【図8】一部の機能をオフライン環境で実行させる場合の操作画面の一例である。
【図9】第1の実施形態に係る医用システムにおいて、クライアントにオフライン環境を構築し、クライアントをネットワークから切断する場合の一連の動作のフローチャートである。
【図10】第1の実施形態、変形例1、及び変形例2に係る医用システムにおいて、オフライン環境で加工されたデータをサーバーに転送したうえで、クライアントをネットワークに接続する場合の一連の動作のフローチャートである。
【図11】変形例1に係る医用システムの機能ブロック図である。
【図12】変形例1に係る医用システムにおいて、クライアントにオフライン環境を構築し、クライアントをネットワークから切断する場合の一連の動作のフローチャートである。
【図13】変形例2に係る医用システムの機能ブロック図である。
【図14】変形例2に係る医用システムにおいて、クライアントにオフライン環境を構築し、クライアントをネットワークから切断する場合の一連の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る医用システムについて図1及び図2を参照しながら説明する。本実施形態に係る医用システムは、図1に示すように、サーバー1とクライアント2(このクライアント2が「端末」に相当する)とで構成される。本実施形態に係る医用システムは、サーバー1とクライアント2とがネットワークを介して通信可能に接続されている。そしてクライアント2から指示することで、サーバー1でメイン機能またはサブ機能を実行し、その実行結果をクライアント2の表示部で参照することが可能となる(この環境を「オンライン環境」と呼ぶ)。メイン機能とは、図2に示すように、例えば、機能Fs1〜Fs4のように、操作者が医用データに対し解析、操作等の作業を行うために必要な機能を大枠で分類した機能を指す。またサブ機能は、メイン機能を更に細かく分類した機能であり、複数のサブ機能でメイン機能を構成する。サブ機能とは図2の機能C1〜C10で示すように、メイン機能間にまたがって使用されることがある。メイン機能は、操作者によって先に選択される作業項目でもあり、次に選択されるサブ機能が実行される。各サブ機能は、CPUで実行可能なソフトウェアで構成される。以下、メイン機能とサブ機能とを特に区別しない場合、単に「機能」と記載する。
【0010】
さらに、本実施形態に係る医用システムでは、サーバー1で実行される複数の機能の一部をクライアント2に組込むことで、サーバー1とは独立して当該機能を実行可能な実行環境を、クライアント2に構築可能とする特徴を有する。以下、クライアント2に構築される実行環境を、「オフライン環境」と呼ぶ。このとき、オフライン環境には、必要な医用データのみをダウンロードし作業することも可能である。これにより、クライアントをネットワークから切断した場合においても、操作者は、クライアントで当該機能を使用し作業を継続することを可能となる。オンライン環境を用いた動作と、オフライン環境を用いた動作とは、操作者の指示により切替わる。以下、オンライン環境で動作する場合のモードを「オンラインモード」と呼び、オフライン環境で動作する場合のモードを「オフラインモード」と呼ぶ。
【0011】
以下に本実施形態の詳細について説明する。まず本実施形態に係る医用システムの構成について、図1を参照しながら説明する。
【0012】
サーバー1は、ソフトウェア管理・記憶部11と、データ記憶部12と、送受信部13と、配信制御部14と、処理実行制御部15とで構成される。またクライアント2は、送受信部21と、ソフトウェア組込制御部24と、一時データ記憶部25と、処理実行部26と、処理制御部22と、UI制御部23と、出力部27と、入力部28とで構成される。以下に各構成の詳細について、「オンライン環境」、「オンライン環境からオフライン環境への切替え」、「オフライン環境」、及び「オフライン環境からオンライン環境への切替え」に分けて、各契機で動作する構成に着目し説明する。
【0013】
(オンライン環境)
まずオンライン環境で動作する構成について説明する。なお、この説明の一部には他の契機においても共通で動作する構成の説明も含まれる。以下、特に指定が無い場合は、各構成は同様の動作をするものとする。まず、サーバー1の各構成の詳細について説明する。
【0014】
ソフトウェア管理・記憶部11は、各メイン機能と各サブ機能との対応付けを、管理テーブル(図2及び図3)にあらかじめ定義し管理している。またソフトウェア管理・記憶部11は、各サブ機能に対応するソフトウェアをそれぞれ取り出し可能に記憶している。このときソフトウェア管理・記憶部11は、各メイン機能と各サブ機能との対応付けを、オンライン環境で実行される場合と、オフライン環境で実行される場合とで別々に管理するように構成してもよい。
【0015】
例えば図2は、オンライン環境で実行させる場合のメイン機能とサブ機能との関係、及び、オフライン環境で実行させる場合の各メイン機能とサブ機能との関係を示している。図2の例では、機能Fs1〜Fs4は、オンライン環境で動作するメイン機能(サーバー1で実行されるメイン機能)を示しており、メイン機能Fs1〜Fs4それぞれがサブ機能C1〜C12のいずれかと対応付けられている。例えば、メイン機能Fs2で示された「統計処理」の機能は、サブ機能C3(画像統計値演算)、サブ機能C4(ROI処理)、及びサブ機能C5(グラフ表示)と対応付けられており、メイン機能Fs2を使用時には、関連するサブ機能C3〜C5を使用できることを示している。
【0016】
また、図2の機能Fc2〜Fc3は、オフライン環境で動作可能なメイン機能を示しており、メイン機能Fc2〜Fc3それぞれがサブ機能C1〜C12のいずれかと対応付けられている。このとき、サーバー1で動作するメイン機能(Fs1〜Fs4)及びサブ機能(C1〜C12)の対応付けと、オフライン環境で動作可能な機能(Fc2〜Fc4)とサブ機能(C1〜C12)との対応は、必ずしも一致させる必要はない。例えば図2では、「統計処理」をメイン機能Fc2としてオフライン環境で動作させる場合、利用可能なサブ機能を、サブ機能C3(画像統計値演算)及びサブ機能C4(ROI処理)に限定している。また、メイン機能Fs1(機能解析)やサブ機能C7(ボリュームレンダリング)などのように、一部のメイン機能またはサブ機能について、オフライン環境で利用できないように構成してもよい。
【0017】
また、「血管解析」をサーバー1でメイン機能Fs3として動作させる場合、関連するサブ機能としてサブ機能C3(画像統計値演算)、C5(グラフ表示)、C6(解析処理)、及びC8(MPR処理)が利用可能に構成されている。これに対し、「血管解析」をオフライン環境で動作させる場合、関連するサブ機能は、サブ機能C5、C6、及びC8に限定されサブ機能C3(画像統計値演算)が使用できないが、サブ機能C11(バイリニア補間)が追加で使用できるように構成されている。このように、サーバー1で動作させる場合及びオフライン環境で動作させる場合における、各メイン機能と各サブ機能との対応付けは、実際に動作させる機器の性能や、想定される利用方法に応じてあらかじめ設定しておく。
【0018】
なお、図2に示した機能以外にも、例えば医用画像に対する所見をまとめた読影レポートや、患者のカルテなどの医用レポートを、作成・編集するためのレポート編集機能や、医用レポート内の記述と医用画像に含まれる画像データとを関連づけるリンク機能などを設けてもよい。
【0019】
またソフトウェア管理・記憶部11は、各メイン機能または各サブ機能に対応するソフトウェアをそれぞれ取り出し可能に記憶している。このときソフトウェア管理・記憶部11は、各ソフトウェアを構成する資材(例えば、実行ファイルやライブラリなど)を記憶し、各メイン機能または各サブ機能と各資材とを対応付けて管理する構成としてもよい。以下、ソフトウェアとは、そのプログラムを記載した実行ファイルやライブラリを含む総称として用いる。
【0020】
例えば図3は、各サブ機能に対応するソフトウェアを管理するための管理テーブルの一例である。例えば、「画像統計値演算」に対応するソフトウェアは実行ファイル「aaa.exe」と、ライブラリ「bbb1.dll」及び「bbb2.dll」とで構成されている。つまり、これらのソフトウェアをオフライン環境にダウンロードし組込むことで、該ソフトウェアに対応するサブ機能を、オフライン環境で動作させることが可能となる。なおソフトウェア管理・記憶部11が、第2の記憶部に相当する。
【0021】
データ記憶部12は、医用レポートや医用画像などの医用データを、該医用データに含まれる情報を基にそれぞれ取り出し可能に記憶している。例えば図4は、医用画像のデータを管理するための管理テーブルの一例である。図4では、例えば「画像ID」や「検査番号」、「患者ID」などから医用画像を特定することが可能となる。また、医用画像の収集は、検査ごとに1または複数回行われる。また、1回の収集で1または複数枚の画像が一連の画像として取得される。そのため医用画像は、複数の画像により構成されており、該医用画像を構成する一部の画像を取りだすことも可能である。
【0022】
例えば図5は、各医用画像のデータ構成の一例である。図5の例では、検査番号で対応付けられた医用画像のデータには、収集単位で関連付けられた医用画像が含まれている。例えば、検査番号s10001に対応する医用画像のデータには、収集番号se11001で対応付けられた画像データImg11101、Img11102、・・・と、収集番号se11002で対応付けられた画像データImg11201、Img11202、・・・とが含まれている。これにより、例えば、収集番号se11001に対応する画像データを取り出すことも可能であるし、画像データImg11101のみを指定して取り出すことも可能である。
【0023】
また図6は、医用レポートのデータを管理するための管理テーブルの一例である。図6では、例えば「患者ID」、「患者名」、「性別」や「生年月日」などから医用レポートを特定することが可能となる。また医用レポートとして、データ記憶部12に、医用画像に対する所見をまとめた読影レポートや、患者のカルテなどを管理・記憶させる構成としてもよい。なおデータ記憶部12が、第1の記憶部に相当する。
【0024】
送受信部13は、サーバー1内の各構成が、サーバー1以外の構成(例えばクライアント2の各構成)とネットワークを介してデータの送受信を行うための構成である。以降は、サーバー1内の各構成が、サーバー1以外の構成とデータや命令を送受信する場合、この送受信部13を介して実行されるものとする。
【0025】
処理実行制御部15は、オンライン環境での動作時にクライアント2からの指示に応じ、実行可能な機能の一覧と医用データの一覧とをクライアント2に送信する。このとき処理実行制御部15は、実行可能な機能の一覧を、ソフトウェア管理・記憶部11の管理テーブル(例えば、図2及び図3)から取得する。また、処理実行制御部15は、医用データの一覧を、データ記憶部12の管理テーブルから取得する。また処理実行制御部15は、クライアント2からの指示に応じ、指定された医用データをクライアント2に送信する。このとき、処理実行制御部15は、該医用データそのものを送信する構成としてもよいし、該医用データの表示するためのデータのみを送信する構成としてもよい。
【0026】
処理実行制御部15は、クライアント2からの指示に応じ、処理対象の医用データをデータ記憶部12から抽出し、実行する機能をソフトウェア管理・記憶部11から特定したうえで、当該機能を実行することで抽出した医用データを編集または加工する。処理実行制御部15は、編集または加工した医用データをデータ記憶部12に記憶させ、該機能の実行結果をクライアント2に送信する。オンライン環境で動作する場合、つまり、サーバー1で各機能を実行させ、クライアント2で処理結果を確認する構成で動作する場合、本処理が実行される。
【0027】
次に、クライアント2の各構成の詳細について説明する。
【0028】
送受信部21は、クライアント2内の各構成が、クライアント2以外の構成(例えばサーバー1の各構成)とネットワークを介してデータの送受信を行うための構成である。以降は、クライアント2内の各構成が、クライアント2以外の構成とデータや命令を送受信する場合、この送受信部21を介して実行されるものとする。
【0029】
処理制御部22は、動作するモード(オフラインモードまたはオンラインモード)に応じて操作者に指定された機能を実行させる構成を切替える。オンラインモードで動作している場合、処理制御部22は、まずオンライン環境で実行可能な機能の一覧(つまり、サーバー1で実行させることが可能な機能の一覧)を、サーバー1の処理実行制御部15から取得する。このとき処理制御部22は、あわせて医用データの一覧を取得する構成としてもよい。取得した機能の一覧(及び医用データの一覧)は、UI制御部23を介し入力部28及び出力部27で構成されるUIに表示される(UI制御部23については後述する)。
【0030】
またUIを介し医用データが指定されると、処理制御部22は、対応する医用データを処理実行制御部15から取得し、取得した医用データをUIに表示するようにUI制御部23に指示する。このとき処理制御部22は、該医用データそのものを受信する構成としてもよいし、該医用データの表示するためのデータのみを受信する構成としてもよい。
【0031】
処理制御部22は、UIを介し操作者から指定された、サーバー1に実行させる機能、処理対象の医用データ、及びその処理内容に関する指示をUI制御部23から受信する。処理制御部22は、UI制御部23から受信した指示(サーバー1に実行させる機能、処理対象の医用データ、及び処理内容)を、サーバー1の処理実行制御部15に通知する。処理実行制御部15は、処理制御部22から通知を受けた機能、処理対象の医用データ、及び処理内容に基づき、当該機能を実行し、その処理結果を処理制御部22に送信する。処理制御部22は、処理実行制御部15から処理結果を受信すると、UI制御部23に、該処理結果をUIに表示するように指示する。
【0032】
UI制御部23は、オンラインモードで動作している場合とオフラインモードで動作している場合とで、UIの表示を切替える。オンラインモードで動作している場合、UI制御部23は、まず処理制御部22からオンライン環境で実行可能な機能の一覧(つまり、サーバー1に実行させることが可能な機能の一覧)を受信する。UI制御部23は、受信した機能の一覧をUI上に選択可能に表示する。
【0033】
またUI制御部23は、処理制御部22から医用データの一覧を受信し、該医用データを、UI上に選択可能に表示することも可能である。UI制御部23は、操作者によりUIを介し医用データが指定されると、処理制御部22に該医用データの取得を依頼する。UI制御部23は、処理制御部22から当該医用データを受信すると、該医用データをUI上に表示する。
【0034】
UI制御部23は、図7のような表示フォーマットを記憶している。例えば図7は、UI制御部23が、各機能をオンライン環境で実行させる場合に表示する操作画面の一例である。図7のように、UI制御部23は、オンライン環境で実行可能なメイン機能(メイン機能1〜メイン機能5)の一覧をF1〜F5として、操作領域V1の上部に選択可能に表示している。またUI制御部23は、機能メニューV3に、選択されたメイン機能(例えばF2対応するメイン機能2)と関連付けられたサブ機能(サブ機能1〜サブ機能4)の一覧をC21〜C24として選択可能に表示している。
【0035】
またUI制御部23は、表示領域V2に、選択された機能の加工・編集の対象となる医用データや、操作者が選択した医用データ(例えば画像データIm1〜Im3)、または、実行された機能の処理結果(例えば処理結果An1)などを表示している。
【0036】
またUI制御部23は、表示領域V2に医用レポートを表示する構成としてもよいし、医用レポートの作成・編集に係る機能を実行するための操作画面を別途表示し、該操作画面に医用レポートを表示する構成としてもよい。
【0037】
(オンライン環境からオフライン環境への切替え)
次にオンライン環境からオフライン環境へ切替えるときに動作する構成について説明する。まず、サーバー1の各構成の詳細について説明する。
【0038】
配信制御部14は、クライアント2からの指示を受け、指示された機能に対応するソフトウェアと、医用データとを抽出し、クライアント2に配信する。また、配信制御部14は、クライアント2からの指示に基づき、一部の機能の実行を処理実行制御部15に指示する。以下に配信制御部14の具体的な動作について説明する。
【0039】
配信制御部14は、クライアント2からのオフライン環境の構築のための指示を受け、まずオフライン環境で動作可能な機能の一覧を、ソフトウェア管理・記憶部11の管理テーブル(例えば、図2及び図3)から取得する。また、配信制御部14は、医用データの一覧を、データ記憶部12の管理テーブル(例えば、図4、図5及び図6)から取得する。配信制御部14は、取得した機能の一覧と医用データの一覧とを、クライアント2に送信する。
【0040】
配信制御部14は、クライアント2によって、機能の一覧の中からオフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)の指定を受けると、指定された機能に対応するソフトウェアをソフトウェア管理・記憶部11から特定し抽出する。例えば図3を例にすると、画像統計値演算の機能が指定された場合、配信制御部14は、ソフトウェア管理・記憶部11を参照して画像統計値演算に対応するソフトウェアとして、実行ファイル「aaa.exe」と、ライブラリ「bbb1.dll」及び「bbb2.dll」とを抽出する。
【0041】
また配信制御部14は、クライアント2によって、医用データの一覧の中からオフライン環境にダウンロードする医用データの指定を受けると、指定された医用データをデータ記憶部12から抽出する。
【0042】
配信制御部14は、クライアント2からの指示に基づき抽出したソフトウェア及び医用データを、クライアント2のソフトウェア組込制御部24に配信する(ソフトウェア組込制御部24については後述する)。
【0043】
また配信制御部14は、オフライン環境での動作時にサーバー1で実行可能な機能のうち、一部の機能の実行をサーバー1で実行するようにクライアント2から指示されると、指示された機能の実行を処理実行制御部15に指示する(この場合の処理実行制御部15の動作については後述する)。このとき、クライアント2から処理対象の医用データが指定された場合、配信制御部14は、処理実行制御部15に、実行を指示する機能の処理対象として該医用データを指定する。処理実行制御部15は、配信制御部14の指示に基づき指定された機能を実行し、該機能に対応する該処理を識別するための識別情報(この識別情報の代表的な例として「セッションID」が知られている)を配信制御部14に送信する。以降はこの識別情報を「処理識別情報」と呼ぶ。配信制御部14は、処理実行制御部15から受信した処理識別情報をクライアント2に通知する。これによりクライアント2は、該処理識別情報を指定することで、該処理の結果を受け取ることが可能となる。
【0044】
処理実行制御部15は、配信制御部14からの指示を受けて、処理対象の医用データをデータ記憶部12から抽出し、実行する機能をソフトウェア管理・記憶部11から特定したうえで、当該機能を実行することで抽出した医用データを編集または加工する。この場合、該機能の処理結果を配信制御部14に送信する構成としてもよい。
【0045】
また処理実行制御部15は、実行された該機能に対応する処理に、該処理を識別するための処理識別情報を対応付け、該処理識別情報を配信制御部14またはクライアント2に送信する構成としてもよい。これにより、当該処理識別情報を指定することで、指定もとの構成(配信制御部14またはクライアント2)は、該処理識別情報に対応する処理の結果を受け取ることが可能となる。以下、処理実行制御部15は、配信制御部14から一部の機能の実行を指示された場合、該機能の実行により動作する処理に処理識別情報を対応付け、該処理識別情報を配信制御部14に送信するものとする。
【0046】
次に、クライアント2の各構成の詳細について説明する。
【0047】
操作者によりオフラインモードへの移行が指示されると、UI制御部23は、まずオフライン環境で動作可能な機能の一覧と、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧を処理制御部22から取得し、UIに表示する。処理制御部22の詳細な動作については後述する。
【0048】
UI制御部23は、オフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)と、ダウンロードする医用データとが、表示されたUIに基づき操作者から指定されると、指定された該機能と該医用データとを処理制御部22に通知する。
【0049】
またこのとき、サーバー1で実行させる機能と該機能の処理対象となる医用データが指示できるようにしてもよい。UI制御部23は、サーバー1で実行させる機能と該機能の処理対象となる医用データが操作者から指示されると、該機能と該処理対象の医用データとを処理制御部22に通知する。処理制御部22は、その通知を受けて、該機能をサーバー1で動作させるように配信制御部14に通知する。
【0050】
次に処理制御部22の動作の詳細について説明する。処理制御部22は、UIを介し操作者からオフラインモードへの移行が指示されると、まずオフライン環境の構築を行う。このとき処理制御部22は、まずオフライン環境で動作可能な機能の一覧と、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧とを、サーバー1の配信制御部14から受信する。処理制御部22は、受信した機能の一覧及び医用データの一覧をUIに表示するようにUI制御部23に指示する。
【0051】
次に処理制御部22は、UIを介し操作者から指定された、オフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)と、ダウンロードする医用データの指示を、UI制御部23から受け、該機能に対応するソフトウェアと該医用データのダウンロードをソフトウェア組込制御部24に指示する(ソフトウェア組込制御部24については後述する)。
【0052】
またこのとき処理制御部22は、UIを介し操作者から指示された、サーバー1で実行させる機能と該機能の処理対象となる医用データとをUI制御部23から受信すると、該機能と該処理対象の医用データとを配信制御部14に通知する。配信制御部14は、処理制御部22からの通知を受け、該機能を処理実行制御部15に実行させるとともに、該処理実行制御部15から受信した処理識別情報を処理制御部22に通知する。これにより、処理制御部22は、UIを介し操作者から、サーバー1に実行させた機能の処理結果の通知を指示された場合、該処理識別情報を用い処理実行制御部15から処理結果を受信し、該処理結果をUIに表示するようにUI制御部23に指示することが可能となる。
【0053】
ソフトウェア組込制御部24によるソフトウェア及び医用データのダウンロードが完了すると、UI制御部23にUIの表示をオフラインモードでの表示(図8)に切替えるように指示する。UI制御部23による、オフラインモードにおけるUIの表示については後述する。オフラインモードに変更されると、処理制御部22は、オフライン環境に組込まれた機能のみを動作可能に制御する。
【0054】
一時データ記憶部25は、サーバー1の配信制御部14から配信されたソフトウェア及び医用データを記憶するための記憶領域である。後述するソフトウェア組込制御部24が、配信制御部14から受信した該ソフトウェア及び該医用データを、一時データ記憶部25に記憶させる。なお一時データ記憶部25が、第3の記憶部に相当する。
【0055】
ソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22から、オフライン環境を構築するためにクライアント2に組込む機能の指示を受けて、サーバー1の配信制御部14に、該機能に対応するソフトウェアを送信させる(ダウンロードする)。またこのとき処理制御部22から、ダウンロードする医用データの指定を受けた場合、ソフトウェア組込制御部24は、該医用データを配信制御部14に送信させる。
【0056】
ソフトウェア組込制御部24は、受信したソフトウェア及び医用データを一時データ記憶部25に記憶させる。このときソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22に、該ソフトウェア及び該医用データの記憶先(例えば、一時データ記憶部25内の領域を指定するアドレス)を通知する構成にするとよい。これにより、処理制御部22は、一時データ記憶部25内に記憶された各ソフトウェア及び各医用データを特定することが可能となる。
【0057】
(オフライン環境)
次にオフライン環境で動作するクライアント2の構成について説明する。
【0058】
UI制御部23は、オフラインモードへの移行に伴い処理制御部22からUIの表示の切替えが指示されると、オフライン環境に組込まれた機能のみを選択可能に表示する。このときUI制御部23は、オフライン環境に組込まれなかったその他の機能について、操作できないように制御するか、表示そのものを行わない。またUI制御部23は、オフライン環境に組込まれなかった機能の処理に対応する、処理結果は表示しないように制御するように構成してもよい。またUI制御部23は、オフライン環境にダウンロードした医用データのみをUI上に表示する。
【0059】
以下に図8を参照しながら、UI制御部23が、各機能をオフライン環境で実行させる場合に表示する操作画面について説明する。図8は、一部の機能をオフライン環境で実行させる場合の操作画面の一例であり、メイン機能1〜メイン機能3がオフライン環境に組込まれ、医用データとして画像データIm2のみがダウンロードされた場合の操作画面を示している。
【0060】
図8に示すように、UI制御部23は、操作領域V1に、オフライン環境に組込まれたメイン機能1〜メイン機能3に対応するF1〜F3のみを選択可能に表示している。またUI制御部23は、機能メニューV3に、メイン機能2に対応しオフライン環境で実行可能なサブ機能1及びサブ機能5に対応するC21及びC25のみを選択可能に表示している。
【0061】
またUI制御部23は、表示領域V2に、ダウンロードされた画像データIm2のみを表示している。また処理結果An1は、オフライン環境に組込まれなかったメイン機能4に対応しており、この場合、UI制御部23は、処理結果An1はオフラインモード時には表示しない。医用レポートを表示する場合についても同様であり、UI制御部23は、ダウンロードされた医用レポートのみを、対応する表示領域に表示させる。
【0062】
なおUI制御部23は、サーバー1に実行させた機能を、UI上に識別可能に表示する構成としてもよい。この場合、サーバー1の処理実行制御部15から当該機能の処理結果を受信するための処理識別情報を、処理制御部22を介し配信制御部14から受信し、該処理識別情報を、対応する機能に対応付けられたUI上の表示と関連付けて選択可能に表示するとよい。これにより、UI上の該表示を選択することで、サーバー1から処理結果を取得し、表示領域V2に表示する構成にすることも可能となる。
【0063】
図7及び図8に示す通り、UI制御部23は、処理制御部22がオンラインモードで動作している場合と、オフラインモードで動作している場合とで、操作画面の表示フォーマットは変更せずに、操作可能な機能及び参照可能なデータのみを選択可能に表示する。これにより、操作者は、動作しているモードが変更された場合においても、違和感なく操作することが可能となる。
【0064】
処理制御部22は、オフラインモードへ移行すると、まずUI制御部23にUIの表示の切替えを指示する。また処理制御部22は、オフラインモード時に、オフライン環境に組込まれた機能の実行が指示された場合、該機能の実行を処理実行部26に指示する(処理実行部26については後述する)。また、処理制御部22は、処理実行部26から該機能の処理結果を受信すると、該処理結果をUI上に表示するようにUI制御部23に指示する。これにより、クライアント2がネットワークから分離された場合においても、操作者はオフライン環境を使用し作業を継続することが可能となる。
【0065】
処理実行部26は、処理制御部22から指示を受けて、オフライン環境に組込まれた機能を実行する。具体的には、処理実行部26は、実行する機能に対応するソフトウェアが処理制御部22から指示される。処理実行部26は、処理制御部22から指示されたソフトウェアを一時データ記憶部25から特定し実行する。このとき処理実行部26は、処理制御部22から該機能の処理対象として医用データが指示された場合、該医用データを一時データ記憶部25から抽出し、該機能に対応するソフトウェアの処理対象とする。該ソフトウェアの実行により、該医用データに加工または編集が施されると、その内容は差分データとして一時データ記憶部25に記憶される。
【0066】
(オフライン環境からオンライン環境への切替え)
次にオフライン環境からオンライン環境へ切替えるときに動作する構成について説明する。
【0067】
処理制御部22は、UIを介し操作者からオンラインモードへの移行が指示されると、ソフトウェア組込制御部24に差分データの送信とオフライン環境の破棄を指示する。この指示を受けてソフトウェア組込制御部24により、差分データが配信制御部14に送信され、一時データ記憶部25に記憶されたソフトウェア及び医用データが削除される(ソフトウェア組込制御部24の動作の詳細については後述する)。
【0068】
オフライン環境の破棄が完了すると、処理制御部22は、オンラインモードに変更する。またオンラインモードへの移行に伴い、処理制御部22は、UI制御部23に、UIの表示の切替えを指示する。以降、処理制御部22は、UI制御部23を介しUIにサーバー1で実行可能な機能の一覧を表示させる。また処理制御部22は、UIを介し操作者から指定された機能を、サーバー1に実行させるように動作する。
【0069】
一時データ記憶部25に記憶された医用データが編集・加工された場合、基となる医用データは変更されず、編集・加工に係る処理内容が差分データとして一時データ記憶部25に蓄積される。ソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22から差分データの送信が指示されると、該差分データを配信制御部14に送信する。
【0070】
またソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22から、オフライン環境の破棄が指示されると、一時データ記憶部25に記憶させたソフトウェア及び医用データを削除する。
【0071】
オフライン環境で医用データに対し加工・編集された内容は、差分データとして、クライアント2のソフトウェア組込制御部24から配信制御部14に送信される。配信制御部14は、オフライン環境で加工・編集された医用データの差分データを受け取ると、該差分データで、データ記憶部12に記憶された該医用データのマスターデータを更新する。ここで、マスターデータとは、該加工・編集された医用データ(オフライン環境の構築時にクライアント2に配信された医用データ)のもととなる、データ記憶部12に記憶された医用データを示している。なお、このとき配信制御部14は、受信した差分データを、マスターデータとは別々に記憶させる構成にしてもよい。本構成により、例えば、マスターデータの内容と、マスターデータを一時データで更新した場合の内容とを切替えて表示させることも可能となる。
【0072】
(動作)
次に、第1の実施形態に係る医用システムの一連の動作について、図9及び図10を参照しながら説明する。まず図9を参照しながら、クライアント2に所望の機能を実行可能なオフライン環境を構築し、ネットワークからクライアント2を切断する場合の処理について説明する。図9は、クライアント2にオフライン環境を構築し、クライアント2をネットワークから切断する場合の一連の動作のフローチャートである。
【0073】
(ステップS11)
処理制御部22は、UIを介し操作者からオフラインモードへの移行が指示されると、まずオフライン環境で動作可能な機能の一覧、及び、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧の配信をサーバー1の配信制御部14に依頼する。
【0074】
(ステップS21)
配信制御部14は、クライアント2からの指示を受け、オフライン環境で動作可能な機能の一覧と、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧とを、クライアント2の処理制御部22に送信する。
【0075】
(ステップS12)
処理制御部22は、配信制御部14から受信した、機能の一覧及び医用データの一覧をUIに表示するようにUI制御部23に指示する。処理制御部22は、表示されたUIに基づき操作者に指定された、オフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)と、ダウンロードする医用データと、サーバー1で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データとに関する通知をUI制御部23から受信する。処理制御部22は、UI制御部23から受信したオフライン環境に組込む機能及び医用データをソフトウェア組込制御部24に通知し、対応するソフトウェア及び医用データのダウンロードを指示する。また、処理制御部22は、UI制御部23から受信した、サーバー1で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データを配信制御部14に通知する。
【0076】
(ステップS22)
配信制御部14は、処理制御部22から、サーバー1で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データに関する通知を受けると、処理対象の医用データを処理実行制御部15に通知し、該機能の実行を処理実行制御部15に指示する。処理実行制御部15は、配信制御部14からの指示に基づき、処理対象の医用データをデータ記憶部12から抽出し、当該機能を実行する。このとき処理実行制御部15は、当該機能の処理に処理識別情報を対応付け、該処理識別情報を配信制御部14に通知する。配信制御部14は、処理実行制御部15から通知された処理識別情報を、処理制御部22に通知する。
【0077】
(ステップS23)
また配信制御部14は、ソフトウェア組込制御部24から、オフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)と、ダウンロードする医用データとに関する通知を受けると、通知された機能に対応するソフトウェアをソフトウェア管理・記憶部11から抽出し、通知された医用データをデータ記憶部12から抽出する。配信制御部14は、抽出したソフトウェア及び医用データをソフトウェア組込制御部24に送信する。
【0078】
(ステップS13)
ソフトウェア組込制御部24は、受信したソフトウェア及び医用データを一時データ記憶部25に記憶させる。このときソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22に、該ソフトウェア及び該医用データの記憶先(例えば、一時データ記憶部25内の領域を指定するアドレス)を通知する。
【0079】
(ステップS14)
ソフトウェア組込制御部24によるソフトウェア及び医用データのダウンロードが完了すると、処理制御部22は、UI制御部23にUIの表示の切替えを指示し、オフラインモードに変更する。
【0080】
UI制御部23は、オフラインモードへの移行に伴い処理制御部22からUIの表示の切替えが指示されると、オフライン環境に組込まれた機能のみを選択可能に表示する。このときUI制御部23は、オフライン環境に組込まれなかったその他の機能について、操作できないように制御するか、表示そのものを行わない。
【0081】
またUI制御部23は、オフライン環境に組込まれなかった機能の処理に対応する、処理結果は表示しないように制御する。またUI制御部23は、オフライン環境にダウンロードした医用データのみをUI上に表示する。またこのときUI制御部23は、サーバー1に実行させた機能を、UI上に識別可能に表示する構成としてもよい。
【0082】
(ステップS15)
オフライン環境の構築が完了しオフラインモードに移行すると、クライアント2をネットワークから切断することが可能となる。オフラインモード時に、オフライン環境に組込まれた機能の実行が指示された場合、処理制御部22は、該機能の実行を処理実行部26に指示し、その結果をUI制御部23に表示させる。
【0083】
次に図10を参照しながら、ネットワークから切断したクライアントを、再びネットワークに接続し、サーバーとクライアントとの間でデータの同期をとったうえで、オンラインモードに変更する場合の処理について説明する。図10は、オフライン環境で加工されたデータをサーバーに転送したうえで、クライアントをネットワークに接続する場合の一連の動作のフローチャートである。
【0084】
(ステップS31)
オフラインモードからオンラインモードへ移行することで、オフライン環境で編集・加工した医用データの差分データを、サーバー1のデータ記憶部12に記憶されたマスターデータに反映することが可能となる。オンラインモードへ移行するとき、クライアント2がネットワークから切断されている場合、まずクライアント2をネットワークに接続することで、サーバー1との通信を可能とする。
【0085】
(ステップS32)
次に処理制御部22は、UIを介し操作者からオンラインモードへの移行が指示されると、まずソフトウェア組込制御部24に差分データの送信を指示する。ソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22からの指示を受けると、一時データ記憶部25に蓄積された差分データを配信制御部14に送信する。
【0086】
(ステップS41)
配信制御部14は、ソフトウェア組込制御部24から受信した差分データを、データ記憶部12に記憶されたマスターデータに反映する。
【0087】
(ステップS33)
次に処理制御部22は、ソフトウェア組込制御部24にオフライン環境の破棄を指示する。ソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22から、オフライン環境の破棄が指示されると、一時データ記憶部25に記憶させたソフトウェア及び医用データを削除する。
【0088】
(ステップS34)
オフライン環境の破棄が完了すると、処理制御部22は、オンラインモードに変更する。またオンラインモードへの移行に伴い、処理制御部22は、UI制御部23に、UIの表示の切替えを指示する。以降、処理制御部22は、UI制御部23を介しUIにサーバー1で実行可能な機能の一覧を表示させる。また処理制御部22は、UIを介し操作者から指定された機能を、サーバー1に実行させるように動作する。
【0089】
以上、第1の実施形態に係る医用システムによれば、操作者からの指示に基づき、所望の機能のみを組込んだオフライン環境を、クライアント2に構築することが可能となる。操作者は、あらかじめオフライン環境を構築しておくことにより、利用者が多い時間帯においても、ネットワークの輻輳によるレスポンスの低下を回避することが可能となる。また、オフライン環境を構築することで、クライアント2をネットワークから切断した場合においても、操作者は、オフライン環境を利用して作業を継続することが可能となる。
【0090】
また、オフライン環境での作業に切替えた場合、操作画面は、オンラインモードで動作している場合と同一のフォーマットで、オフライン環境で操作可能な機能のみ選択可能に表示される。また、医用データにおいてもオフライン環境にダウンロードした医用データのみが操作可能に表示される。これにより、オンラインモードからオフラインモードに切り替えた場合、及び、オフラインモードからオンラインモードに切り替えた場合それぞれにおいて、シームレスに操作画面が切り替わり、操作者は違和感なく操作を行うことが可能となる。
【0091】
(変形例1)
次に変形例1に係る医用システムについて説明する。まず変形例1に係る医用システムの構成について図11を参照しながら説明する。図11は、変形例1に係る医用システムの機能ブロック図である。変形例1に係る医用システムは、第1の実施形態に係る医用システムの構成に加え、分散処理部32を備えた分散処理サーバー3を更に備えることを特徴とする。これにより、変形例1に係る医用システムは、オンライン環境からオフライン環境へ切替えるときに、サーバー1に実行させる機能のうち一部または全てを、分散処理サーバー3に処理させ、サーバー1の負荷を軽減することを可能とする。以下、変形例1に係る医用システムの構成について、第1の実施形態に係る医用システムの構成と異なる部分に着目し説明する。
【0092】
分散処理サーバー3は、送受信部31と、分散処理部32とで構成されている。
【0093】
送受信部31は、分散処理サーバー3内の各構成が、分散処理サーバー以外の構成(例えばサーバー1の各構成)とネットワークを介してデータの送受信を行うための構成である。以降は、分散処理サーバー3内の各構成が、分散処理サーバー3以外の構成とデータや命令を送受信する場合、この送受信部31を介して実行されるものとする。
【0094】
分散処理部32は、クライアント2からサーバー1での実行が指示された機能のうち、少なくとも一部の機能を、サーバー1の分散処理制御部16の指示に基づき、処理実行制御部15に替わり実行する構成である(分散処理制御部16については後述する)。分散処理部32は、指示された機能の実行が完了すると、その実行結果を分散処理制御部16に通知する。
【0095】
分散処理部32は、処理実行制御部15と同様に、サーバー1上の各機能を実行可能に構成され、かつ、データ記憶部12に記憶された医用データを参照可能に構成されている。具体的には、分散処理部32に、ソフトウェア管理・記憶部11及びデータ記憶部12に相当する構成を持たせることにより実現可能である。この場合、分散処理部32内のデータ記憶部と、サーバー1のデータ記憶部12とは、一方のデータが更新された場合に他方のデータもあわせて更新することでデータの整合性をとるように構成するとよい(以降は、データの整合性をとることを「データの同期」と呼ぶ)。
【0096】
また別の構成として、分散処理部32が、ネットワークを介してソフトウェア管理・記憶部11及びデータ記憶部12を参照できるように構成してもよい。また、分散処理部32が一部の機能を代行する場合に、必要なソフトウェアと医用データとをサーバー1から受信する構成にしてもよい。この場合、分散処理部32には、サーバー1から送信されたソフトウェア及び医用データを一時的に記憶させる記憶部を設けるとよい。なお以降の説明では、分散処理部32が、ソフトウェア管理・記憶部11及びデータ記憶部12に相当する構成を持ち、分散処理部32内のデータ記憶部と、サーバー1のデータ記憶部12とは、データの同期を行うものとして説明する。
【0097】
変形例1に係るサーバー1は、第1の実施形態に係るサーバー1の構成に加え、更に分散処理制御部16を備えていることを特徴とする。
【0098】
変形例1に係る処理実行制御部15は、クライアント2のオフラインモードへの移行に伴い、配信制御部14からサーバー1で実行可能な機能のうち少なくとも一部の機能の実行が指示された場合、指示された機能の一部または全てを分散処理サーバー3に実行させるように、分散処理制御部16に指示する。このとき処理実行制御部15は、処理対象の医用データをあわせて通知するように構成してもよい。
【0099】
また処理実行制御部15は、分散処理サーバー3に実行させる機能の処理に処理識別情報を対応付け、該処理識別情報を配信制御部14に通知する。このとき処理実行制御部15は、分散処理サーバー3に実行させる機能の処理と、処理実行制御部15自身が実行する機能の処理とを識別可能に、それぞれの処理に異なる処理識別情報を対応付ける。
【0100】
分散処理制御部16は、処理実行制御部15からの指示された機能の実行を、分散処理部32に指示する。このとき処理実行制御部15から処理対象の医用データが指示された場合、分散処理制御部16は、該処理対象の医用データを分散処理部32に通知する。また分散処理制御部16は、分散処理部32から依頼した機能の実行結果を受信すると、該実行結果を処理実行制御部15に通知する。これにより、処理実行制御部15は、分散処理部32に実行させた機能の実行結果を認識することが可能となる。
【0101】
なお、分散処理サーバー3に実行させる機能は、クライアント2から指定可能としてもよいし、処理実行制御部15が、サーバー1の性能や処理負荷に応じて、自動的に割り振るように構成してもよい。
【0102】
クライアント2から、処理対象のサーバー(サーバー1または分散処理サーバー3)を指定可能とする場合、配信制御部14は、サーバー1で実行可能な機能の一覧及び医用データの一覧とあわせて、処理の依頼先となるサーバーの一覧(サーバー1及び分散処理サーバー3)を配信する構成にするとよい。これにより操作者は、UIに表示されたサーバーの一覧から、オフライン環境に組込まない機能の一部または全ての実行を依頼するサーバーを指定することが可能となる。
【0103】
またクライアント2の処理制御部22は、配信制御部14から、分散処理部32に実行させた機能の処理に対応付けられた処理識別情報を受信するように構成するとよい。これにより処理制御部22は、該処理識別情報を指定することで、該処理の結果を受け取ることが可能となる。
【0104】
さらにUI制御部23は、オフライン環境に組込んだ機能、サーバー1に実行させた機能、及び分散処理サーバー3に実行させた機能を、UI上に識別可能に表示する構成としてもよい。この場合、サーバー1の処理実行制御部15から、サーバー1及び分散処理サーバー3に実行させた機能それぞれの処理結果を受信するための処理識別情報を、処理制御部22を介し配信制御部14から受信し、該処理識別情報を、対応する機能に対応付けられたUI上の表示と関連付けて選択可能に表示するとよい。これにより、UI上の該表示を選択することで処理結果を取得し、UI上に表示する構成にすることも可能となる。
【0105】
(動作)
次に、変形例1に係る医用システムの一連の動作について、図12を参照しながら説明する。図12は、クライアント2にオフライン環境を構築し、クライアント2をネットワークから切断する場合の一連の動作のフローチャートである。
【0106】
(ステップS11)
処理制御部22は、UIを介し操作者からオフラインモードへの移行が指示されると、まずオフライン環境で動作可能な機能の一覧、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧、及び、機能の実行を依頼可能なサーバーの一覧(サーバー1及び分散処理サーバー3)の配信をサーバー1の配信制御部14に依頼する。
【0107】
(ステップS21)
配信制御部14は、クライアント2からの指示を受け、オフライン環境で動作可能な機能の一覧と、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧と、機能の実行を依頼可能なサーバーの一覧とを、クライアント2の処理制御部22に送信する。
【0108】
(ステップS12)
処理制御部22は、配信制御部14から受信した、機能の一覧及び医用データの一覧をUIに表示するようにUI制御部23に指示する。処理制御部22は、表示されたUIに基づき操作者に指定された、オフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)と、ダウンロードする医用データと、サーバー1または分散処理サーバー3で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データとに関する通知をUI制御部23から受信する。処理制御部22は、UI制御部23から受信したオフライン環境に組込む機能及び医用データをソフトウェア組込制御部24に通知し、対応するソフトウェア及び医用データのダウンロードを指示する。また、処理制御部22は、UI制御部23から受信した、サーバー1または分散処理サーバー3で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データを配信制御部14に通知する。
【0109】
(ステップS22)
配信制御部14は、処理制御部22から、サーバー1または分散処理サーバー3で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データに関する通知を受けると、処理対象の医用データを処理実行制御部15に通知し、該機能の実行を処理実行制御部15に指示する。配信制御部14からの指示を受けて、処理実行制御部15は、まずサーバー1で実行させる機能の処理対象となる医用データをデータ記憶部12から抽出する。次に処理実行制御部15は、サーバー1で実行させる機能を特定し、抽出した医用データに対する処理を開始する。このとき処理実行制御部15は、当該機能の処理に処理識別情報を対応付け、該処理識別情報を配信制御部14に通知する。
【0110】
(ステップS24)
次に処理実行制御部15は、分散処理サーバー3で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データを、分散処理制御部16に通知し、該機能を分散処理サーバー3に実行させるように、分散処理制御部16に指示する。分散処理制御部16は、処理実行制御部15からの指示を受けて、該機能及び該医用データを分散処理部32に通知し、該機能を分散処理部32に実行させる。処理実行制御部15は、分散処理制御部16に指示を行うと、分散処理サーバー3に実行させる該機能の処理に処理識別情報を対応付け、該処理識別情報を配信制御部14に通知する。配信制御部14は、処理実行制御部15から通知された各処理識別情報を、処理制御部22に通知する。
【0111】
(ステップS23)
また配信制御部14は、ソフトウェア組込制御部24から、オフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)と、ダウンロードする医用データとに関する通知を受けると、通知された機能に対応するソフトウェアをソフトウェア管理・記憶部11から抽出し、通知された医用データをデータ記憶部12から抽出する。配信制御部14は、抽出したソフトウェア及び医用データをソフトウェア組込制御部24に送信する。
【0112】
(ステップS13)
ソフトウェア組込制御部24は、受信したソフトウェア及び医用データを一時データ記憶部25に記憶させる。このときソフトウェア組込制御部24は、処理制御部22に、該ソフトウェア及び該医用データの記憶先(例えば、一時データ記憶部25内の領域を指定するアドレス)を通知する。なおステップS23及びステップS13に係る処理は第1の実施形態に係る医用システムと同様である。
【0113】
(ステップS14)
ソフトウェア組込制御部24によるソフトウェア及び医用データのダウンロードが完了すると、処理制御部22は、UI制御部23にUIの表示の切替えを指示し、オフラインモードに変更する。
【0114】
UI制御部23は、オフラインモードへの移行に伴い処理制御部22からUIの表示の切替えが指示されると、オフライン環境に組込まれた機能のみを選択可能に表示する。このときUI制御部23は、オフライン環境に組込まれなかったその他の機能について、操作できないように制御するか、表示そのものを行わない。
【0115】
またUI制御部23は、オフライン環境に組込まれなかった機能の処理に対応する、処理結果は表示しないように制御する。またUI制御部23は、オフライン環境にダウンロードした医用データのみをUI上に表示する。またこのときUI制御部23は、サーバー1に実行させた機能、及び分散処理サーバー3に実行させた機能を、UI上に識別可能に表示する構成としてもよい。
【0116】
(ステップS15)
オフライン環境の構築が完了しオフラインモードに移行すると、クライアント2をネットワークから切断することが可能となる。オフラインモード時に、オフライン環境に組込まれた機能の実行が指示された場合、処理制御部22は、該機能の実行を処理実行部26に指示し、その結果をUI制御部23に表示させる。
【0117】
なお、ネットワークから切断したクライアント2を、再びネットワークに接続し、サーバー1とクライアント2との間でデータの同期をとったうえで、オンラインモードに変更する場合の処理については、第1の実施形態と同様である(図10)。
【0118】
以上、変形例1に係る医用システムによれば、サーバー1で実行される機能のうち一部または全てを、分散処理サーバー3で処理することが可能となる。また、各サーバーで実行された機能の処理結果をそれぞれ識別して取り出すことが可能となる。これにより、第1の実施形態に係る医用システムの効果に加え、更に、サーバー1の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0119】
(変形例2)
次に変形例2に係る医用システムについて説明する。まず変形例2に係る医用システムの構成について図13を参照しながら説明する。図13は、変形例2に係る医用システムの機能ブロック図である。変形例2に係るクライアント2は、第1の実施形態に係る医用システムの構成に加え、更に性能情報取得部29を更に備えていることを特徴とする。これにより、変形例2に係る医用システムは、オンライン環境からオフライン環境へ切替えるときに、クライアント2の処理能力に応じ、オフライン環境で動作可能な機能と、オフライン環境で処理可能な医用データとを、UIを介し操作者への提示・案内を可能とする。以下、変形例2に係る医用システムの構成について、第1の実施形態に係る医用システムの構成と異なる部分に着目し説明する。
【0120】
性能情報取得部29は、クライアント2がオフライン環境に組込まれる機能を実行するための処理能力を示す性能情報を取得し出力する構成である。性能情報取得部29は、例えば、クライアント2に組込まれたCPUの処理能力(例えば、クロック周波数やキャッシュメモリの容量など)、メモリの容量、グラフィックボードの処理能力(例えば、GPU:Graphics Processing Unitの処理能力やVRAM:Video Random Access Memoryの容量など)、ネットワークの転送速度、及び、ネットワークのトラフィックなど情報のうち、一部または全てを性能情報として取得し出力する。
【0121】
処理制御部22は、操作者からのオフラインモードへの移行の指示に基づき、オフライン環境で動作可能な機能の一覧と、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧とを、サーバー1の配信制御部14から受信すると、性能情報取得部29から性能情報を取得する。
【0122】
処理制御部22は、性能情報取得部29から取得した性能情報を基に、配信制御部14から受信したオフライン環境で動作可能な機能の一覧を、クライアント2の性能で処理可能な機能と、クライアント2の性能では処理が難しい(処理によりレスポンスが落ちる)機能とを区別する。
【0123】
また処理制御部22は、配信制御部14から受信した医用データを、クライアント2の性能で処理可能な医用データと、クライアント2の性能では処理が難しい医用データとに区別する。処理制御部22は、区別した各機能及び各医用データを、それぞれ識別可能にUIに表示するように、UI制御部23に指示する。これにより操作者は、クライアント2の性能に応じて、処理可能な機能と医用データとを、オフライン環境に組込むことが可能となる。
【0124】
また、性能情報に応じ、処理制御部22が自動的に機能(メイン機能及びサブ機能)及び医用データを選択する構成としてもよい。例えば、操作者による機能の指示を受けて、性能情報に応じ、オフライン環境で動作可能なサブ機能を、処理制御部22が選択するように構成してもよい。また、操作者による医用画像を構成する画像データ(医用データ)の指示を受けて、指示された画像データに関連付けられた他の画像データのうち、クライアント2にダウンロードする画像データの枚数を、処理制御部22が調整するように構成してもよい。
【0125】
なお、性能情報取得部29は、ネットワークを介し、サーバー1の性能情報を取得できるように構成してもよい。これにより処理制御部22は、サーバー1の性能情報と、クライアント2の性能情報とを比較することで、更に、オフライン環境に組込むべき機能と、サーバー1に実行させるべき機能とを区別することも可能となる。本構成により、例えば、サーバー1の処理負荷に応じて、オフライン環境に組込むべき機能と、サーバー1に実行させるべき機能との割合を切替えることも可能となる。具体的には、サーバー1の処理負荷が高い場合には、クライアント2の性能が低い場合においても、より多くの機能をオフライン環境に組込むように制御することが可能となる。
【0126】
(動作)
次に、変形例2に係る医用システムの一連の動作について、図14を参照しながら説明する。図14は、クライアントをネットワークから切断する場合の一連の動作のフローチャートである。
【0127】
(ステップS11)
処理制御部22は、UIを介し操作者からオフラインモードへの移行が指示されると、まずオフライン環境で動作可能な機能の一覧、及び、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧の配信をサーバー1の配信制御部14に依頼する。
【0128】
(ステップS21)
配信制御部14は、クライアント2からの指示を受け、オフライン環境で動作可能な機能の一覧と、オフライン環境にダウンロード可能な医用データの一覧とを、クライアント2の処理制御部22に送信する。
【0129】
(ステップS16)
処理制御部22は、配信制御部14から機能の一覧及び医用データの一覧を受信すると、性能情報取得部29から性能情報を取得する。次に処理制御部22は、性能情報取得部29から取得した性能情報を基に、配信制御部14から受信したオフライン環境で動作可能な機能の一覧を、クライアント2の性能で処理可能な機能と、クライアント2の性能では処理が難しい(処理によりレスポンスが落ちる)機能とを区別する。
【0130】
また処理制御部22は、配信制御部14から受信した医用データを、クライアント2の性能で処理可能な医用データと、クライアント2の性能では処理が難しい医用データとに区別する。処理制御部22は、区別した各機能及び各医用データを、それぞれ識別可能にUIに表示するように、UI制御部23に指示する。
【0131】
(ステップS17)
処理制御部22は、表示されたUIに基づき操作者に指定された、オフライン環境に組込む機能(メイン機能及びサブ機能)と、ダウンロードする医用データと、サーバー1で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データとに関する通知をUI制御部23から受信する。処理制御部22は、UI制御部23から受信したオフライン環境に組込む機能及び医用データをソフトウェア組込制御部24に通知し、対応するソフトウェア及び医用データのダウンロードを指示する。また、処理制御部22は、UI制御部23から受信した、サーバー1で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データを配信制御部14に通知する。
【0132】
(ステップS22)
配信制御部14は、処理制御部22から、サーバー1で実行させる機能及び該機能の処理対象となる医用データに関する通知を受けると、処理対象の医用データを処理実行制御部15に通知し、該機能の実行を処理実行制御部15に指示する。処理実行制御部15は、配信制御部14からの指示に基づき、処理対象の医用データをデータ記憶部12から抽出し、当該機能を実行する。このとき処理実行制御部15は、当該機能の処理に処理識別情報を対応付け、該処理識別情報を配信制御部14に通知する。配信制御部14は、処理実行制御部15から通知された処理識別情報を、処理制御部22に通知する。
【0133】
以降の処理(ステップS23、S13、S14、及びS15)は、第1の実施形態と同様である。また、ネットワークから切断したクライアント2を、再びネットワークに接続し、サーバー1とクライアント2との間でデータの同期をとったうえで、オンラインモードに変更する場合の処理については、第1の実施形態と同様である(図10)。
【0134】
なお、変形例1に係る医用システムと同様に、分散処理サーバー3を設け、サーバー1に分散処理制御部16を設ける構成としてもよい。このとき、性能情報取得部29は、サーバー1の性能情報及び分散処理サーバー3の性能情報を、ネットワークを介して取得できるように構成してもよい。これにより、処理制御部22は、クライアント2の性能情報、サーバー1の性能情報、及び分散処理サーバー3の性能情報に応じて、オフライン環境で動作可能な機能、ダウンロード可能な医用データ、サーバー1で実行可能(実行させるべき)な機能、及び、分散処理サーバー3で実行可能(実行させるべき)機能を、UIを介し操作者に提示することが可能となる。
【0135】
また、性能情報に基づいてクライアント2にソフトウェア及び医用データをダウロードした際に、ネットワークを切断せずに各機能を動作させる構成としてもよい。これにより、例えば、オンライン環境で動作している場合においても、各機能をサーバー1、クライアント2、及び分散処理サーバー3とに分けて実行させることが可能となる。
【0136】
以上、変形例2に係る医用システムによれば、クライアント2の性能に応じ、オフライン環境で動作可能な機能と、オフライン環境で処理可能な医用データとを、UIを介し操作者に提示・案内することが可能となる。これにより、操作者は、クライアント2の性能に応じて、クライアント環境に組込む機能やダウンロードする医用データを選択することが可能となり、オフライン環境での作業時に、クライアント2の性能不足による作業効率の低下を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0137】
1 サーバー
11 ソフトウェア管理・記憶部 12 データ記憶部 13 送受信部
14 配信制御部 15 処理実行制御部 16 分散処理制御部
2 クライアント
21 送受信部 22 処理制御部 23 UI制御部
24 ソフトウェア組込制御部 25 一時データ記憶部
26 処理実行部 27 出力部 28 入力部 29 性能情報取得部
3 分散処理サーバー
31 送受信部 32 分散処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像及び医用レポートのいずれかまたは双方を含む医用データを記憶する第1の記憶部と、端末からの指示に基づき、前記医用データの編集機能を含む加工に係る複数の機能を実行し、結果を前記端末に出力する処理実行制御部とを備えたサーバーを含む医用システムであって、
前記サーバーは、更に、
複数の前記機能それぞれに関連付けられたソフトウェアを記憶する第2の記憶部と、
前記端末からの指示を受けて、指示された前記機能に関連付けられた一部または全ての前記ソフトウェアと、指示された前記医用データとを前記端末に配信する配信制御部とを備えたことを特徴とする医用システム。
【請求項2】
前記端末は、前記機能を実行するための画面を表示部に表示させ、配信された前記ソフトウェアに対応する機能を選択可能に表示する表示制御部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の医用システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記機能が前記サーバーで実行される場合は、前記機能を選択可能に表示部に表示させ、前記端末に前記ソフトウェアが配信された場合は、配信されたソフトウェアで構成される機能を選択可能に表示部に表示させることを特徴とする請求項2に記載の医用システム。
【請求項4】
前記端末は、
配信されたソフトウェアと配信された医用データとを記憶する第3の記憶部と、
前記第3の記憶部に記憶された前記ソフトウェアを実行する処理実行部と、
前記第3の記憶部に前記配信されたソフトウェアが記憶されているとき、前記処理実行部に該ソフトウェアを実行させる処理制御部とを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の医用システム。
【請求項5】
前記端末は、前記処理実行部により前記医用データが加工されたとき、加工された医用データを前記配信制御部に送信し、
前記配信制御部は、受信した該医用データを前記データ記憶部に記憶させることを特徴とする請求項4に記載の医用システム。
【請求項6】
前記処理制御部は、前記端末の構成を基に、前記端末が前記機能を実行するための処理能力を示す性能情報を取得する性能情報取得部を更に備え、前記性能情報を基に、処理の実行が可能な前記ソフトウェア及び前記医用データを特定し、特定した前記ソフトウェア及び前記医用データの配信を前記配信制御部に指示することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の医用システム。
【請求項7】
前記処理制御部は、前記端末の構成を基に、前記端末が前記機能を実行するための処理能力、ネットワークの転送速度、及び、ネットワークのトラフィックの少なくともいずれかを示す性能情報を取得する性能情報取得部を更に備え、前記性能情報を基に、処理の実行が可能な前記ソフトウェア及び前記医用データを特定し、前記表示制御部に、特定した前記ソフトウェア及び前記医用データを識別可能に表示させることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の医用システム。
【請求項8】
前記処理実行制御部は、前記端末からの指示を受けて、前記端末に配信されたソフトウェアに対応する機能以外の機能のうち、少なくとも一部の機能である第1の機能を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の医用システム。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記第1の機能と、前記配信されたソフトウェアに対応する機能とを識別可能に表示することを特徴とする請求項7に記載の医用システム。
【請求項10】
前記処理制御部は、前記性能情報を基に、更に、前記第1の機能を特定することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の医用システム。
【請求項11】
前記サーバーからの指示に基づき、前記複数の機能のうち少なくとも一部の機能を実行し、その結果を返却する分散処理部を備えた分散処理サーバーを更に備え、
前記サーバーは、前記端末からの指示を受けて、前記第1の機能のうち、少なくとも一部の機能である第2の機能の実行を、前記分散処理部に指示する分散処理制御部を更に備えたことを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の医用システム。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記処理実行制御部が実行する前記第1の機能及び前記分散処理部が実行する前記第2の機能のいずれかもしくは双方と、前記配信されたソフトウェアに対応する機能とを識別可能に表示することを特徴とする請求項11に記載の医用システム。
【請求項13】
前記処理制御部は、前記性能情報を基に、更に、前記分散処理部に実行させる前記第2の機能を特定することを特徴とする請求項11または請求項12に記載の医用システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−208737(P2012−208737A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73967(P2011−73967)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)