説明

医用テレメータシステムおよび医用テレメータ

【課題】特定の患者の医用テレメータだけを選んで無線通信にて様々なコマンドを実行させる。
【解決手段】第一の信号を発信する発信機と、受信した患者の生体情報を第二の信号として送信するとともに前記第一の信号を受信して当該第一の信号の内容に応じた動作を行う医用テレメータと、前記第二の信号を受信するモニタ装置と、を備える医用テレメータシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用テレメータシステムおよび医用テレメータに関し、特に、病院の入院病棟などで使用され、患者の血圧や心拍数などの生体情報を経時的に測定可能な医用テレメータシステムおよび医用テレメータに関する。
【背景技術】
【0002】
病院の入院病棟などでは、従来から医用テレメータシステムが患者監視に使用されている。従来の医用テレメータシステムは、例えば、特許文献1に示すように、患者を測定することにより得られた生体情報(測定データ)を無線送信する送信機と、この伝送された生体情報を表示し、かつ、記録する受信機とで構成されている。
【0003】
また、近年は、患者による携帯が可能な送信機が普及したことによって、患者は血圧や心拍数などの生体情報の測定を続けながら病棟内を自由に移動することができる。そして、このような携帯可能な送信機の普及によって、患者の居場所が分からなくなるという問題が発生するようになった。これに対し、例えば、特許文献2に示すように、患者の大まかな現在位置の検出が可能なシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−161611号公報
【特許文献2】特開平10−248816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような携帯可能な送信機の普及に伴って、例えば医師や看護師が患者を病室に呼び戻したいときに、病棟内を探したり放送で患者を呼び出す必要があった。また、患者が携行する送信機1台ごとに異なる周波数の受信機能を設けて、呼び出したい患者が携行する送信機に対して信号を送信する方法も有り得るが、医療用に利用できる周波数帯は限られており、呼び出し機能のために送信チャネルを多数設けることは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、第一の信号を発信する発信機と、受信した患者の生体情報を第二の信号として送信するとともに前記第一の信号を受信して当該第一の信号の内容に応じた動作を行う医用テレメータと、前記第二の信号を受信するモニタ装置と、を備える医用テレメータシステムを提供する。
【0007】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、前記発信機は、前記医用テレメータを識別する識別コードを含む前記第一の信号を発信し、前記医用テレメータは、受信した前記第一の信号に自らの前記識別コードが含まれているか否かを判別する判別部をさらに備え、自らの前記識別コードが含まれている場合には、前記第一の信号の内容に応じた動作を行うことが好ましい。
【0008】
また、上記医用テレメータシステムは、前記医用テレメータを複数備えることが好ましい。
【0009】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、前記発信機は、特定の前記医用テレメータの前記識別コードに対応付けて、当該医用テレメータに行わせるべき動作の内容を示すコマンドを含む前記第一の信号を送信することが好ましい。
【0010】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、前記発信機は、単一のチャネルで前記第一の信号を発信することが好ましい。
【0011】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、前記発信機は、“音を出力する”、“光を出力する”、“前記医用テレメータを振動させる”、“生体信号の測定の開始または停止”、“第二の信号の送信の開始または停止”、“前記医用テレメータへの患者情報の登録”および“前記医用テレメータに登録されている患者情報の確認”の少なくともいずれかの動作を前記医用テレメータに実行させるためのコマンドを含む前記第一の信号を発信することが好ましい。
【0012】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、前記発信機は、特定小電力無線周波数帯で前記第一の信号を発信し、前記医用テレメータは、医療用無線周波数帯で前記第二の信号を送信することが好ましい。
【0013】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、前記モニタ装置は、特定の前記医用テレメータの識別コードと当該医用テレメータに対して実行させるべき所定の動作の内容を示すコマンドを発信可能とし、前記発信機は、前記モニタ装置から受信した前記識別コードと前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信することが好ましい。
【0014】
また、上記医用テレメータシステムは、特定の前記医用テレメータの識別コードと当該医用テレメータに対して実行させるべき所定の動作の内容を示すコマンドを発信可能な外部医療機器をさらに備え、前記発信機は、前記外部医療機器から送信された前記識別コードと前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信することが好ましい。
【0015】
また、上記医用テレメータシステムは、特定の前記医用テレメータに対して実行させるべき所定の動作の内容を示すコマンドを発信可能外部医療機器をさらに備え、前記発信機は、前記所定の動作を実行させるべき特定の前記医用テレメータの識別コードを保持しており、当該識別コードと前記外部医療機器から送信された前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信することが好ましい。
【0016】
また、前記コマンドは、前記外部医療機器が前記患者を測定することにより得られた前記生体情報やアラームを前記第二の信号として特定の前記医用テレメータから送信させるべき旨の動作指示コマンドであることが好ましい。
【0017】
また、上記医用テレメータシステムは、前記第二の信号を受信するアンテナをさらに備え、前記発信機と前記アンテナは、一体に設けられていることが好ましい。
【0018】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、前記発信機は、前記モニタ装置に設置されることが好ましい。
【0019】
また、上記医用テレメータシステムは、患者を特定するための患者情報を格納する患者情報格納部と、前記患者情報格納部から前記患者情報を読み取り可能な患者情報取得部とをさらに備え、前記患者情報取得部は、特定の前記医用テレメータの識別コードと、読み取った前記患者情報を前記発信機へ送信し、前記発信機は、前記患者情報取得部から送信された前記識別コードと前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータに発信することが好ましい。
【0020】
また、上記医用テレメータシステムは、患者を特定するための患者情報を格納する患者情報格納部と、前記患者情報格納部から前記患者情報を読み取り可能な患者情報取得部とをさらに備え、前記患者情報取得部は、読み取った前記患者情報を前記発信機へ送信し、前記発信機は、特定の前記医用テレメータの識別コードを保持しており、当該識別コードと前記患者情報取得部から送信された前記患者情報とを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信することが好ましい。
【0021】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、特定の前記医用テレメータは、受信した前記第一の信号に含まれる前記患者情報と自らに登録されている患者情報とが一致しなかった場合には、特定の前記医用テレメータが警告を発することが好ましい。
【0022】
また、上記医用テレメータシステムにおいて、特定の前記医用テレメータは、受信した前記第一の信号に含まれる前記患者情報を前記第二の信号として前記モニタ装置へ送信し、前記モニタ装置は、特定の前記医用テレメータから送信された前記患者情報と自らに登録されている患者情報とが一致しなかった場合には、前記モニタ装置が警告を発することが好ましい。
【0023】
また、前記特定の医用テレメータは、受信した前記第一の信号に含まれる前記患者情報を前記第二の信号として前記モニタ装置へ送信し、
前記モニタ装置は、特定の前記医用テレメータから送信された前記患者情報と自らに登録されている患者情報とが一致しなかった場合には、特定の前記医用テレメータに警告を発するコマンドを含む第一の信号を、前記発信機を介して発信することが好ましい。
【0024】
また、本発明は、他の形態として、患者に装着されて当該患者の生体信号を測定する測定機能と、各所に配置された発信機から発信される医用テレメータを識別する識別コードを含む信号を受信する受信機能と、前記生体信号を医療用アンテナへ送信する送信機能と、受信した前記信号に自らの前記識別コードが含まれているかのID判別機能とを備え、前記ID判別機能が、自らの前記識別コードが含まれると判別した場合に、所定動作を行うことを特徴とする医用テレメータを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、特定の医用テレメータに対して遠隔的に所定の動作を実行させることができるため、医療従事者の作業効率が向上する。
【0026】
本発明の医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、医用テレメータから生体信号を送信するために必要な周波数(チャネル)以外に少なくとも1つのチャネルを確保するだけで、特定の患者が携帯している医用テレメータにアラームを出力させて当該患者を呼び出すなど、特定の患者の医用テレメータだけを選んで遠隔的に様々な動作を実行させることができる。
【0027】
また、本発明に係る医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、医用テレメータが自己を識別する機能を有するため、モニタ装置が医用テレメータを呼び出す際に少なくとも一つの送信用チャネルを設ければよく、少ないチャネル数で選択的に特定の医用テレメータに対し所定の動作を実行できる。
【0028】
本発明に係る医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、モニタ装置からの指示(第一の信号の送信)によって特定の医用テレメータに対し音を鳴らさせたり、発光させたり、振動させることができるため、該医用テレメータを携帯する患者を呼び出すことができる。また、本システムによれば、医用テレメータが所望の患者に適切に装着されているかを容易に確認できるため、患者の取り違え防止にも効果がある。
【0029】
本発明に係る医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、特定の医用テレメータによる生体信号の測定や患者情報の登録のための操作をモニタ装置から遠隔でできるため、医療従事者が医用テレメータのそばまで行って操作する必要がなく、医療従事者の業務効率の向上にも効果がある。
【0030】
本発明に係る医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、生体信号の送信の開始/停止を制御できるため、医用テレメータからモニタ装置へ送信される生体信号を時分割送信できることになる。この場合、モニタ装置は、複数の患者の生体信号を同一の送信チャネルで受信することが可能となる。
【0031】
本発明に係る医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、外部医療機器により測定された生体情報や外部医療機器の状態を第一の信号として上記発信機を介して上記医用テレメータへ発信でき、さらに、これを受信した医用テレメータは第二の信号として上記モニタ装置へ送信できる為、複数ある外部医療機器の生体情報を一元管理することを可能とし、医療従事者の業務効率の向上にも効果を有する。
【0032】
本発明に係る医用テレメータシステム及び医用テレメータによれば、上記医用テレメータが患者情報取得部より患者情報を取得でき、上記医用テレメータや上記モニタ装置に登録されている患者情報と一致しない場合には、警告を発することができる為、患者の取り違えを医療従事者が迅速に把握でき、安全管理面においても多大な効果を有する。
【0033】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る医用テレメータシステム10の概略構成図である。
【図2】医用テレメータ100の構成例を示すブロック図である。
【図3】セントラルモニタ200の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る医用テレメータシステム11の概略構成図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に係る医用テレメータシステム12の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0036】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る医用テレメータシステム10の概略構成図である。また、図2は、医用テレメータ100の構成例を示すブロック図であり、図3は、セントラルモニタ200の構成例を示すブロック図である。
【0037】
本実施形態に係る医用テレメータシステム10は、患者の心電図、呼吸、血圧、脈波等の生体信号がそれぞれの測定機器から入力されるとともに入力された生体信号と患者の氏名などの患者情報などを含む生体データを生成して送信する複数の医用テレメータ100(100−1、100−2、・・・100−n)と、それらの医用テレメータ100(100−1、100−2、・・・100−n)から送信される生体データを受信して表示するセントラルモニタ200とを備える。なお、以下において、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nのいずれかを特定しない場合は、便宜的に「医用テレメータ100」と表記する。
【0038】
複数の医用テレメータ100の各々は、例えば患者が携行あるいは共に移動できる程度の大きさあるいは重さの装置であり、図2に示すように、生体信号入力部110と、テレメータ側送信部120と、院内に設置された医用アンテナに測定した生体データを送信する送信用アンテナ130と、院内に設置された発信機(例えば位置情報を発信するビーコンなど)や後述のセントラルモニタ200などのモニタ装置に設置された発信機(例えば後述のモニタ側送信部220および送信用アンテナ230)から発信される信号を受信する受信用アンテナ131およびテレメータ側受信部140と、テレメータ側記憶部150と、CPU160と、テレメータ側表示部170と、音声出力部180と、使用者が操作するための操作部190を有する。
【0039】
なお、本例の医用テレメータ100は、送信用アンテナ130と受信用アンテナ131とを別体で備えているが、送受信可能な単一のアンテナを備えてもよい。また、使用者が操作部190に対して行う上記操作としては、例えば、生体信号の測定開始や停止、測定した生体データの送信開始や停止、各医用テレメータ100への患者情報の登録や既に登録されている患者情報の修正などがあげられるが、これに限られるものではない。なお、発信機は、パソコンなどの外部機器から入力される信号や人工呼吸器などの外部医療機器から送信される信号を受信し、第一の信号として発信可能としても良い。さらに発信機は発信機自らが、所定の医用テレメータの識別コードを保持し、受信した信号に自らが保持する識別コードを付加して第一の信号として発信してもなお良い。ここで、第一の信号とは、発信機から医用テレメータへ送信される無線信号を意味する。
【0040】
生体信号入力部110は、例えば患者に装着されている電極またはトランスデューサなどと電気的に接続し、当該電極またはトランスデューサなどから出力される心電図、呼吸、血圧、脈波等の生体信号が入力される。そして、生体信号入力部110は、入力される生体信号に対してノイズフィルタリングおよび増幅などの信号処理を実行し、テレメータ側送信部120へと出力する。
【0041】
テレメータ側送信部120は、生体信号入力部110から生体信号が入力されるとともに、CPU160から識別コードが入力される。この識別コードは、テレメータ側送信部120が設けられている医用テレメータ100を他の医用テレメータ100から識別するための固有のデータであり、例えば医用テレメータ100の装置ID、型番、シリアル番号、MACアドレスなどが挙げられ、テレメータ側送信部120が送信する際の送信周波数に対応するチャネル番号などの情報を含んでもよい。そして、テレメータ側送信部120は、入力される生体信号および識別コードを含む生体データを生成し、医用テレメータ100の使用者によって予め設定されたチャネル番号に対応する送信周波数で生体データを、送信用アンテナ130を介して送信する。
【0042】
ところで、本例では、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている送信チャネルは全て異なる。より具体的には、図1に示すように、医用テレメータ100−1に設けられたテレメータ側送信部120は「チャネル1」に設定されている。すなわち、医用テレメータ100−1に設けられたテレメータ側送信部120は、チャネル1に対応する送信周波数で生体データを送信する。また、医用テレメータ100−2に設けられたテレメータ側送信部120は「チャネル2」に設定されている。すなわち、医用テレメータ100−2に設けられたテレメータ側送信部120は、チャネル1と異なる周波数であるチャネル2に対応する送信周波数で生体データを送信する。
【0043】
なお、医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている送信チャネル(チャネル1、チャネル2・・・、チャネルn)に対応する周波数は、本例では、420MHzから450MHzまでのいずれかの帯域から選択される。
【0044】
テレメータ側受信部140は、セントラルモニタ200から発信されるコマンドデータを、受信用アンテナ131を介して受信する。このコマンドデータは、本発明における第一の信号の一例であり、後述のように、特定の医用テレメータ100に実行させるべきコマンドおよび当該特定の医用テレメータ100の識別コードを含む。
【0045】
ところで、本例の医用テレメータ100は、セントラルモニタ200における後述のモニタ側送信部220および送信用アンテナ230で構成される発信機から発信される信号(コマンドデータ)を受信用アンテナ131で受信する。これに替えて、医用テレメータ100は、院内の一箇所または複数箇所に配置された発信機のうちの少なくとも一つから送信される信号(コマンドデータ)を受信用アンテナ131で受信してもよい。この際、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている受信チャネルは全て同一である。
【0046】
より具体的には、図1に示すように、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nの各々に設けられたテレメータ側受信部140は、全て「チャネルA」に設定されている。すなわち、全ての医用テレメータ100(100−1、100−2、・・・100−n)に設けられたテレメータ側受信部140は、チャネルAに対応する受信周波数でコマンドデータを受信する。ここで、チャネルAに対応する周波数は、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている上記送信チャネル(チャネル1、チャネル2・・・、チャネルn)に対応する送信周波数のいずれとも異なる(例えば特定小電力無線周波数帯など)の周波数であることが好ましい。なお、送信用アンテナ130と受信用アンテナ131は送受信可能な同一のアンテナであっても良い。
【0047】
なお、医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている受信チャネル(チャネルA)に対応する周波数は、本例では、312.5MHzから314.5MHzまでのいずれかの帯域から選択される。すなわち、本例では、テレメータ側受信部140は、特定小電力無線通信(空中線電力:250μW)の帯域で信号を受信可能である。また、テレメータ側受信部140は、特定小電力無線通信の帯域と微弱無線通信(空中線電力:500μV/m)の帯域とを切り替え可能であってもよい。
【0048】
テレメータ側記憶部150は、自身が設けられている医用テレメータ100の識別コード、および医用テレメータ100の各種設定、測定している患者の氏名などの患者情報などを記憶する。また、テレメータ側記憶部150は、生体信号入力部110で生成された生体信号、およびテレメータ側受信部140が受信したコマンドデータなども記憶する。
【0049】
操作部190には、使用者が生体信号(例えば、非観血血圧やSpO2や体温など)の測定の開始や停止をしたり、測定した生体データの送信開始や停止をしたり、各医用テレメータ100に登録されている患者情報の登録や修正をすることがしたりできるようなインターフェースが設けられている。使用者の操作により、CPU160を介して、生体信号入力部110は生体信号(例えば、非観血血圧やSpO2や体温など)の測定を開始したり、テレメータ送信部120は測定した信号をアンテナ130から送信したり、入力された患者情報をテレメータ側記憶部160に保存され、テレメータ側表示部170にその情報が表示される。
【0050】
CPU160は、医用テレメータ100の各部を制御するとともに、テレメータ側記憶部150が記憶している識別コードを読み出してテレメータ側送信部120へと出力する。また、CPU160は、テレメータ側受信部140が受信してテレメータ側記憶部150に記憶されたコマンドデータを読み出し、当該コマンドデータに含まれる識別コードが、テレメータ側記憶部150に記憶されている識別コード、すなわち医用テレメータ100を他の医用テレメータ100と識別する識別コードと一致するか否かを判別する。
【0051】
そして、CPU160は、コマンドデータに含まれる識別コードとテレメータ側記憶部150に記憶されている医用テレメータ100の識別コードとが一致した場合のみ、コマンドデータに含まれるコマンドの内容を実行するための実行命令を出力する。より具体的には、CPU160は、例えば、医用テレメータ100の識別コードとアラームを出力すべき旨のコマンドとを含むコマンドデータをテレメータ側受信部140が受信した場合は、音声出力部180に対してアラームを出力すべき旨の実行命令を出力する。このように、CPU160は、医用テレメータ100各部の制御だけでなく、テレメータ側受信部140が受信したコマンドデータに含まれる識別コード(ID)に、自身の識別コードと一致するものが含まれているか否かを判別するID判別機能を有する。
【0052】
テレメータ側表示部170は、例えばLCDあるいはCRTなどの表示画面であり、自身が設けられている医用テレメータ100に入力される各種の生体信号の値および時間波形などを表示する。
【0053】
音声出力部180は、本例では、電子音あるいはメッセージなどを患者に対して発することのできるスピーカーであり、上記のようにCPU160からアラームを出力すべき旨の実行命令が入力されると、例えば患者を呼び出す旨や患者に検査の時間を知らせる旨などの実行命令の内容に応じた電子音あるいはメッセージなどを発する。なお、図示しないが、コマンドに応じて、LEDなどにより発光する光出力部や、医用テレメータを振動させる振動出力部などが医用テレメータに備えられてもよい。
【0054】
以上のように、複数の医用テレメータ100は、上記のように、同一の受信チャネルが設定されていることから、セントラルモニタ200から送信されるコマンドデータは、全ての医用テレメータ100で受信される。しかしながら、コマンドデータに含まれる識別コードが、自身に設けられたテレメータ側記憶部150に記憶されている識別コードと一致しない医用テレメータ100においては、コマンドデータに含まれるコマンドの内容は実行されず、コマンドデータに含まれる識別コードが、自身の識別コードと一致した医用テレメータ100においてのみ音声の出力や生体信号の測定の開始などコマンドの内容が実行される。すなわち、本例の医用テレメータシステム10が備える複数の医用テレメータ100は、セントラルモニタ200からブロードキャストで送信されるコマンドデータを実行すべきか否かの判定機能を有する。
【0055】
セントラルモニタ200は、図3に示すように、送信用アンテナ230と、送信用アンテナ230を介してコマンドデータを送信するモニタ側送信部220と、受信用アンテナ231と、受信用アンテナ231を介して医用テレメータ100から送信される生体データを受信するモニタ側受信部240と、モニタ側記憶部250と、CPU260と、モニタ側表示部270と、モニタ側操作部280とを有する。ここで、上記生体データは、本発明における第二の信号の一例であるが、その内容は一般的な医用テレメータからセントラルモニタなどのモニタ装置へ送信される無線信号に含まれる情報であれば特に限定されるものではなく、上記生体信号の他にも、患者IDおよび患者の氏名などの患者情報やアラーム情報や生体信号の計測状態(例えば、電極外れや一時退室などによる計測の中断の有無)などの情報が含まれても良い。
【0056】
また、セントラルモニタ200は、本発明におけるモニタ装置の一例であり、モニタ側送信部220および送信用アンテナ230は、本発明における第一の信号を発信する発信機の一例である。また、本例では、発信機は、モニタ装置に設置されているが、モニタ装置とは別個独立に設けられてもよい。この場合、モニタ装置と発信機とは有線で接続されていても良いし、無線で接続されていても良い。また、本例では、複数の患者の生体データを受信するセントラルモニタ200を例示したが、セントラルモニタ200は、一人の患者の生体データを受信するベッドサイドモニタなどであってもよい。また、本例では、セントラルモニタ200は、送信用アンテナ230と受信用アンテナ231を別体で備えるが、送受信可能な単一のアンテナを備えてもよい。
【0057】
モニタ側送信部220は、後述のようにCPU260で生成されたコマンドデータを、予め設定された送信チャネルに対応する周波数で、送信用アンテナ230を介して全ての医用テレメータ100に対してブロードキャスト送信する。本例では、モニタ側送信部220は、上記チャネルAに対応する周波数で、上記コマンドデータを送信する。なお、コマンドデータには、識別コードだけでも良いし、例えば識別コードとともに“音を出力する”や“光を出力する”や“医用テレメータを振動させる”や“生体信号の測定の開始又は停止”や“生体データの送信の開始又は停止”や“患者情報の登録”や“患者情報の確認”などの所定の動作をさせるためのコマンドが含まれても良い。また、これらの動作は、モニタ側操作部280を介して、使用者により行われてもよい。ここで、“患者情報の登録”とは、テレメータ側記憶部150に所定の患者情報を記憶させるものであり、“患者情報の確認”とは、所定の医用テレメータ100のテレメータ側記憶部150に保持されている患者情報と、モニタ側送信部220よりブロードキャスト送信された所定の患者情報とが一致するかを確認するものである。
【0058】
モニタ側受信部240は、複数の医用テレメータ100(100−1、100−2、・・・100−n)から送信される生体データを受信する。すなわち、モニタ側受信部240は、上記チャネル1、チャネル2・・・、チャネルnの全てのチャネルに対応する周波数で受信可能である。
【0059】
なお、図3では、上記コマンドデータの送信を担う送信用アンテナ230および上記生体データの受信を担う受信用アンテナ231をそれぞれ1つずつのみ図示している。しかしながら、例えば、これらのアンテナやモニタ側送信部220およびモニタ側受信部240の機能を有する送受信装置を病棟内の各所に1または複数設けてもよい。
【0060】
モニタ側記憶部250は、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nの各々の識別コード、各医用テレメータ100で測定している患者情報およびセントラルモニタ200の各種設定などを記憶する。また、モニタ側記憶部250は、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nから送信された生体データや患者情報、およびモニタ側送信部220から送信されたコマンドデータなども記憶する。
【0061】
CPU260は、セントラルモニタ200の各部を制御するとともに、モニタ側表示部270が記憶している複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nの識別コードを読み出す。そして、CPU260は、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nから送信された生体データに含まれる識別コードの中にモニタ側表示部270から読み出した識別コードと一致しないものが存在する場合、または同一の識別コードが2つ以上存在する場合は、混信や取り違えの可能性があると判断し、警告メッセージを表示すべき旨の実行命令をモニタ側表示部270へと出力する。
【0062】
また、CPU260は、予め設定されたプログラムあるいは使用者による操作部280を介した所定の外部入力に基づいて、特定の医用テレメータ100に実行させるべきコマンド(所定の動作)および当該医用テレメータ100の識別コードを含むコマンドデータを生成する。そして、CPU260は、生成したコマンドデータをモニタ側送信部220へと出力する。
【0063】
モニタ側表示部270は、例えばLCDあるいはCRTなどの表示画面であり、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nから送信される生体データの各々に含まれる生体信号の値および時間波形などを表示する。なお、表示の方法については特に限定されない。また、モニタ側表示部270は、CPU260から警告メッセージを表示すべき旨の実行命令を受け取った場合は、生体データの表示に替えて当該実行命令の内容に応じた警告メッセージを表示してもよい。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る医用テレメータシステム10によれば、生体データをセントラルモニタ200へ送信するために必要なチャネル(チャネル1、チャネル2・・・、チャネルn)以外に少なくとも1つのチャネル(チャネルA)を確保するだけで、特定の患者の医用テレメータ100にアラームを出力させて当該患者を呼び出すなど、特定の患者の医用テレメータ100だけを選んで無線通信にて様々なコマンドを実行させることができる。なお、本実施形態に係る医用テレメータシステム10におけるモニタ装置の一例として、セントラルモニタ200を例示した。しかし、モニタ装置はこれに限られることなく、ベッドサイドモニタや医療従事者が携帯する携帯端末など医用テレメータからの生体信号を受信できる態様であれば良い。
【0065】
本発明を用いた実施形態は、上述の医用テレメータ100とセントラルモニタ200から構成される医用テレメータシステム10に限られるものではなく、他の実施形態について以下に述べる。なお、以下の各実施形態において、上述の医用テレメータシステム10と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図4は、本発明の第二の実施形態に係る医用テレメータシステム11の概略構成図である。本実施形態に係る医用テレメータシステム11は、上述の医用テレメータシステム10と比べて、セントラルモニタ200に替えてセントラルモニタ201を備える点と、さらに、外部医療機器300およびビーコン中継機400を備える点で異なる。
【0067】
外部医療機器300は、例えば患者の生体情報(例えば呼吸ガスや体温など)を測定可能とする生体情報測定装置や、患者を治療する人工呼吸器などの治療器が含まれる。そして、本例の外部医療機器300は、上記生体情報を測定するための測定部(不図示)の他に、少なくとも、特定の医用テレメータ100−×(例えば医用テレメータ100−1)を他の医用テレメータ100と識別するための識別コードと当該特定の医用テレメータ100−×に対して実行させるべき動作の内容を示すコマンドを記憶する記憶部(不図示)と、上記識別コードおよび上記コマンドを所定の送信チャネルでビーコン中継機400へ発信可能な通信部(不図示)とを備える。ここで、外部医療機器300からビーコン中継機400へ上記識別コードおよびコマンドを発信するために使用される送信チャネルの周波数は、例えば、医療用無線周波数帯における複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている送信チャネル(チャネル1、チャネル2、・・・チャネルn)の送信周波数とは異なる周波数が使用される(本例では「チャネルn+1」とする)。
【0068】
また、外部医療機器300からビーコン中継機400へ発信される信号に含まれる上記コマンドは、例えば、外部医療機器300により測定された生体情報や、外部医療機器300が発するアラームに関する情報を、特定の医用テレメータ100−×からセントラルモニタ201へ送信させる旨の動作指示コマンドなどである。
【0069】
ビーコン中継機400は、本発明における発信機の一例であり、外部医療機器300から発信された上記識別コードと上記コマンドを含む信号を受信し、当該識別コードとコマンドを含む第一の信号を医用テレメータ100へ発信する。なお、本例のビーコン中継機400の送信チャネルは、上記の医用テレメータシステム10が備えるセントラルモニタ200の送信チャネルと同じチャネルAに設定される。したがって、ビーコン中継機400の送信周波数は、複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている上記送信チャネル(チャネル1、チャネル2・・・、チャネルn)に対応する送信周波数のいずれとも異なる特定小電力無線周波数帯の周波数である。
【0070】
セントラルモニタ201は、本発明におけるモニタ装置の一例であるが、上記の医用テレメータシステム10が備えるセントラルモニタ200とは異なり、特定の医用テレメータ100に実行させるべきコマンドおよび当該医用テレメータ100の識別コードを含むコマンドデータを、ビーコン中継機400を介して複数の医用テレメータ100に送信する。したがって、セントラルモニタ201からビーコン中継機400へ上記コマンドデータを発信するために使用される送信チャネルの周波数は、ビーコン中継機400から送信される後述の第一の信号との混信を避けるべく、例えば、医療用無線周波数帯における複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている送信チャネル(チャネル1、チャネル2、・・・チャネルn)および上記の外部医療機器300に設定されている送信チャネル(チャネルn+1)の送信周波数とは異なる周波数が使用される(本例では「チャネルn+2」とする)。
【0071】
なお、本発明の第二の実施形態は、外部医療機器300とビーコン中継器400との間が無線により通信する例を示した。しかし、外部医療機器300とビーコン中継器400との間は必ずしも無線通信である必要はなく、有線通信であっても良いし、外部医療機器300とビーコン中継器400とが一体形成されていても良い。この場合、ビーコン中継器400は受信チャネルを有する必要はない。
【0072】
以上のような特徴を有する医用テレメータシステム11によれば、外部医療機器300により測定された生体情報や外部医療機器300が発するアラームなどの外部医療機器300の状態を、ビーコン中継機400を介して医用テレメータ100へ発信することができるとともに、当該生体情報などを医用テレメータ100から第二の信号としてセントラルモニタ201へと送信することができる。また、特定の医用テレメータ100−×を他の医用テレメータ100と識別するための識別コードを利用することで、例えば複数の外部医療機器300の各々が異なる特定の医用テレメータ100−×に対してビーコン中継機400を介して生体情報などを送信するように構成することで、複数の外部医療機器300で測定される生体情報を一元管理することなどが可能となり、医療従事者の業務効率の向上にもつながる。
【0073】
なお、上記の医用テレメータシステム11では、外部医療機器300から識別コードを発信しているが、例えば、外部医療機器300からは測定した生体情報やアラームのみがビーコン中継機400へ発信される構成として、特定の医用テレメータ100−×の識別コードをビーコン中継機400が保持してもよい。この場合、ビーコン中継機400は、外部医療機器300から送信されたアラームとビーコン中継機400が保持する識別コードとを第一の信号(チャネルA)として、医用テレメータ100へ発信する。そして、自身の識別コードを含む上記第一の信号をビーコン中継機400から受信した医用テレメータ100−×は、例えば外部医療機器300により測定された生体情報やアラームの内容などをモニタ側表示部270に表示させたり印刷など方法で出力可能とし、さらに第二の信号としてセントラルモニタ201へ送信しても良い。
【0074】
図5は、本発明の第三の実施形態に係る医用テレメータシステム12の概略構成図である。本実施形態に係る医用テレメータシステム12は、上述の医用テレメータシステム11と比べて、外部医療機器300に替えて患者1000の腕に装着されたアームバンド600に刻印されたバーコードを読み取り可能なバーコードリーダー500を備える点で異なる。
【0075】
アームバンド600に刻印されたバーコードは、本発明における患者情報格納部の一例であり、例えばアームバンド600を装着している患者1000を特定するための患者情報を示すものとなっている。ここで患者情報とは、例えば、患者1000に割り当てられたID、並びに、患者1000の氏名および生年月日などであるが、患者1000を特定するものであれば特に限定されない。また、上記バーコードには、患者情報以外にも患者1000の患者情報を登録すべき医用テレメータ100−×を特定する識別コードなどが示されていてもよい。
【0076】
バーコードリーダー500は、本発明における患者情報取得部の一例であり、患者1000の腕に装着されたアームバンド600に刻印された上記バーコードをかざすことで当該バーコードが示す患者情報を読み取ることのできる端末である。なお、患者情報格納部は、上記のバーコードに限定されず、例えば患者情報が書き込まれた磁気ストライプあるいはICチップが内蔵された診察カードなどであってもよく、この場合は、患者情報取得部としては、本例のバーコードリーダー500に替えて、上記診察カードに書き込まれた上記患者情報を読み取り可能なカードリーダーなどが用いられる。
【0077】
バーコードリーダー500は、上記バーコードを読み取ることのできる読取機構(不図示)の他に、少なくとも、上記バーコードを読み取ることにより取得した患者情報や識別コードを所定の送信チャネルでビーコン中継機400へ発信可能な通信部(不図示)を備える。また、上記識別コードは、バーコードリーダー500に設けた記憶部(不図示)に予め設定しておいてもよい。また、これに替えて、後述のように、上記識別コードをバーコードリーダー500からの信号を特定の医用テレメータ100へ中継可能なビーコン中継機400に予め記憶させてもよい。
【0078】
ところで、バーコードリーダー500からビーコン中継機400へ上記患者情報および上記識別コードを発信するために使用される送信チャネルの周波数は、例えば、医療用無線周波数帯における複数の医用テレメータ100−1、100−2、・・・100−nに設定されている送信チャネル(チャネル1、チャネル2、・・・チャネルn)の送信周波数とは異なる周波数が使用される(本例では「チャネルn+1」とする)。
【0079】
なお、本発明の第三の実施形態は、バーコードリーダー500とビーコン中継器400との間が無線により通信する例を示した。しかし、バーコードリーダー500とビーコン中継器400との間は必ずしも無線通信である必要はなく、有線通信であっても良いし、バーコードリーダー500とビーコン中継器400とが一体形成されていても良い。この場合、ビーコン中継器400は受信チャネルを有する必要はない。
【0080】
ビーコン中継機400は、バーコードリーダー500から発信された上記識別コードと患者情報を含む信号を受信し、当該識別コードと患者情報を含む第一の信号を医用テレメータ100へ発信する。なお、本例のビーコン中継機400の送信チャネルは、上記の医用テレメータシステム11が備えるビーコン中継機400の送信チャネルと同じく特定小電力無線周波数帯の周波数であるチャネルAに設定される。発信機へ読み取った情報を送信し、発信機は送信された情報を医用テレメータへ第一の信号として発信する。
【0081】
ビーコン中継機400から発信された第一の信号は、複数の医用テレメータ100にて受信される。そして、それら複数の医用テレメータ100のうちの識別コードが第一の信号に含まれる上記識別コードと一致する医用テレメータ100−×は、第一の信号に含まれる上記患者情報を取得し、テレメータ側記憶部150に当該患者情報を登録する。そして、医用テレメータ100−×は、取得した患者情報を第二の信号に含めてセントラルモニタ201へ送信する。
【0082】
したがって、セントラルモニタ201では、新たに患者情報が登録された医用テレメータ100−×からその患者情報を受け取ることができるので、例えばセントラルモニタ201側で各医用テレメータ100に登録されている患者情報を管理している場合は、医用テレメータ100−×から受け取った患者情報が医用テレメータ100−×に登録されるべき患者1000の患者情報であるか否かを確認することができる。そして、セントラルモニタ201は、医用テレメータ100−×から受け取った患者情報が医用テレメータ100−×に登録されるべき患者情報と異なる場合には患者取り違えの可能性を示す警報を発する。
【0083】
なお、上記の例では、医用テレメータ100−×がビーコン中継機400からの第一の信号に含まれる患者情報を自身に登録する例を示したが、既に医用テレメータ100−×におけるテレメータ側記憶部150に患者情報が登録されている場合には、医用テレメータ100−×は、取得した上記患者情報と登録されている患者情報との一致判定を行う。そして、取得した上記患者情報と登録されている患者情報とが異なる場合は、医用テレメータ100−×は、患者取り違えの可能性を示す警報を発する。なお、取得した上記患者情報と登録されている患者情報との不一致を知らせる手段は上記警報の発報に限られず、例えば警告情報を第二の信号に含めてセントラルモニタ201へ送信してもよい。これにより、セントラルモニタ201側で、登録されている患者情報が異なる患者情報に書き換えられようとしている医用テレメータ100を迅速に把握することができるので、安全管理の面で多大な効果を発揮する。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0085】
10,11,12…医用テレメータシステム
100(100−1、100−2、・・・100−n)…医用テレメータ
110…生体信号入力部
120…テレメータ側送信部
130…送信用アンテナ
131…受信用アンテナ
140…テレメータ側受信部
150…テレメータ側記憶部
160…CPU
170…テレメータ側表示部
180…音声出力部
190…操作部
200,201…セントラルモニタ
220…モニタ側送信部
230…送信用アンテナ
231…受信用アンテナ
240…モニタ側受信部
250…モニタ側記憶部
260…CPU
270…モニタ側表示部
280…モニタ側操作部
400…ビーコン中継機
500…バーコードリーダー(患者情報取得部)
600…アームバンド(患者情報格納部)
1000…患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の信号を発信する発信機と、
受信した患者の生体情報を第二の信号として送信するとともに前記第一の信号を受信して当該第一の信号の内容に応じた動作を行う医用テレメータと、
前記第二の信号を受信するモニタ装置と、
を備える医用テレメータシステム。
【請求項2】
前記発信機は、前記医用テレメータを識別する識別コードを含む前記第一の信号を発信し、
前記医用テレメータは、
受信した前記第一の信号に自らの識別コードが含まれているか否かを判別可能とし、
自らの前記識別コードが含まれている場合には、前記第一の信号の内容に応じた動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の医用テレメータシステム。
【請求項3】
前記医用テレメータを複数備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の医用テレメータシステム。
【請求項4】
前記発信機は、特定の前記医用テレメータの前記識別コードに対応付けて、当該医用テレメータに行わせるべき動作の内容を示すコマンドを含む前記第一の信号を発信することを特徴とする請求項1又は3のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項5】
前記発信機は、単一のチャネルで前記第一の信号を発信することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項6】
前記発信機は、“音を出力する”、“光を出力する”、“前記医用テレメータを振動させる”、“生体信号の測定の開始または停止”、“第二の信号の送信の開始または停止”、“前記医用テレメータへの患者情報の登録”および“前記医用テレメータに登録されている患者情報の確認”の少なくともいずれかの動作を前記医用テレメータに実行させるためのコマンドを含む前記第一の信号を発信することを特徴とする請求項1から5のいずれかにに記載の医用テレメータシステム。
【請求項7】
前記発信機は、特定小電力無線周波数帯で前記第一の信号を発信し、
前記医用テレメータは、医療用無線周波数帯で前記第二の信号を送信することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項8】
前記モニタ装置は、特定の前記医用テレメータの識別コードと当該医用テレメータに対して実行させるべき所定の動作の内容を示すコマンドを発信可能とし、
前記発信機は、前記モニタ装置から受信した前記識別コードと前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項9】
特定の前記医用テレメータの識別コードと当該医用テレメータに対して実行させるべき所定の動作の内容を示すコマンドを発信可能な外部医療機器をさらに備え、
前記発信機は、前記外部医療機器から送信された前記識別コードと前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項10】
特定の前記医用テレメータに対して実行させるべき所定の動作の内容を示すコマンドを発信可能な外部医療機器をさらに備え、
前記発信機は、前記所定の動作を実行させるべき特定の前記医用テレメータの識別コードを保持しており、当該識別コードと前記外部医療機器から送信された前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項11】
前記コマンドは、前記外部医療機器により測定された生体情報やアラームを前記第二の信号として特定の前記医用テレメータから送信させるべき旨の動作指示コマンドであることを特徴とする請求項9又は10のいずれかに記載の医用テレメータシステム。
【請求項12】
前記第二の信号を受信するアンテナをさらに備え、
前記発信機と前記アンテナは一体に設けられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項13】
前記発信機は、前記モニタ装置に設置されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項14】
患者を特定するための患者情報を格納する患者情報格納部と、
前記患者情報格納部から前記患者情報を読み取り可能な患者情報取得部と、
をさらに備え、
前記患者情報取得部は、特定の前記医用テレメータの識別コードと読み取った前記患者情報を前記発信機へ送信し、
前記発信機は、前記患者情報取得部から送信された前記識別コードと前記コマンドを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信する
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項15】
患者を特定するための患者情報を格納する患者情報格納部と、
前記患者情報格納部から前記患者情報を読み取り可能な患者情報取得部と、
をさらに備え、
前記患者情報取得部は、読み取った前記患者情報を前記発信機へ送信し、
前記発信機は、特定の前記医用テレメータの識別コードを保持しており、当該識別コードと前記患者情報取得部から送信された前記患者情報とを含む前記第一の信号を前記医用テレメータへ発信する
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項16】
特定の前記医用テレメータは、受信した前記第一の信号に含まれる前記患者情報と自らに登録されている患者情報とが一致しなかった場合には、特定の前記医用テレメータが警告を発する
ことを特徴とする請求項14または15のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項17】
特定の前記医用テレメータは、受信した前記第一の信号に含まれる前記患者情報を前記第二の信号として前記モニタ装置へ送信し、
前記モニタ装置は、特定の前記医用テレメータから送信された患者情報と自らに登録されている患者情報とが一致しなかった場合には、前記モニタ装置が警告を発する
ことを特徴とする請求項14から16のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項18】
特定の前記医用テレメータは、受信した前記第一の信号に含まれる前記患者情報を前記第二の信号として前記モニタ装置へ送信し、
前記モニタ装置は、特定の前記医用テレメータから送信された前記患者情報と自らに登録されている患者情報とが一致しなかった場合には、前記特定の医用テレメータに警告を発するコマンドを含む第一の信号を、前記発信機を介して発信する
ことを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の医用テレメータシステム。
【請求項19】
患者に装着されて当該患者の生体信号を測定する測定機能と、
各所に配置された発信機から発信される医用テレメータを識別する識別コードを含む信号を受信する受信機能と、
前記生体信号を医療用アンテナへ送信する送信機能と、
受信した前記信号に自らの前記識別コードが含まれているか否かを判別するID判別機能とを備え、
前記ID判別機能が、自らの前記識別コードが含まれると判別した場合に、所定動作を行うことを特徴とする医用テレメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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