説明

医用データ生成装置

【課題】医用データに対するデータ処理の作業状態を作業状態データとして保存し、保存した作業状態データを活用して効果的に診断の作業計画を行えるようにすることである。
【解決手段】 実施形態に係る医用データ生成装置は、データ処理手段、作業状態データ生成手段、表示手段及び作業状態復元手段を備える。データ処理手段は、データベースから医用データを取得してデータ処理を実行する。作業状態データ生成手段は、作業状態データを、患者・検査を特定する情報、作業状態データの識別情報及びデータベースに記録可能で画像表示可能なピクセルデータを構成要素とする医用データのデータレコードとして生成する。表示手段は、医用データをデータベースから取得して一覧表示させる。作業状態復元手段は、一覧表示された医用データから作業状態データが選択された場合に、データ処理の作業状態を作業状態データに基づいて復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT (computed tomography)装置や磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置等の画像診断装置において収集された医用データは、診断のために様々なデータ処理やデータ解析の対象とされる。例えば、3次元(3D: three dimensional)画像データが収集された場合には、最大値投影(MIP: maximum intensity projection)画像データ、MPR (multi planar reconstruction)画像データ或いはボリュームレンダリング(VR: volume rendering)画像データ等の2次元(2D: two dimensional)画像データを表示用に生成するための画像処理が画像データに施される。また、核磁気共鳴(NMR: nuclear magnetic resonance)信号に対するMRスペクトロスコピー(MRS: magnetic resonance spectroscopy)処理によって周波数スペクトルを得ることができる。
【0003】
医用データに対するデータ処理やデータ解析は、コンピュータにて動作する専用のデータ処理ソフトウェアやデータ解析ソフトウェア等の処理・解析ソフトウェアを用いて実行される。これらの処理・解析ソフトウェアには、作業状態をデータファイルとして保存し、保存した作業状態データを参照することにより保存時点における処理・解析ソフトウェアの作業状態を再現する機能がしばしば実装される。
【0004】
例えば、処理・解析ソフトウェアが画像解析ソフトウェアであれば、画像処理の対象となった画像データの識別情報、画像処理の条件、処理結果として得られたデータ及び画面の表示状態等の作業状態を1つの作業状態データファイルとして保存し、再度同じ作業状態を再現することができる。
【0005】
また、医用データに対するデータ処理やデータ解析の結果は、通常データベースに保存される。例えば、画像処理によって生成されたMIP画像データやVR画像データは、画像データベースに保存される。また、MRSによって周波数スペクトルが収集された場合には、周波数スペクトルをグラフとして表示させるためのピクセルデータで構成される医用画像データに、周波数スペクトルの数値データを付帯情報として付帯させて画像データベースに保存することができる。
【0006】
画像データベースに保存された医用データは、閲覧用のソフトウェアを用いて一覧表示させることができる。そして、一覧表示させた画像データの中から所望の画像データを選択し、画像送信ソフトウェアを用いてネットワークを介して医用画像処理装置や医用画像サーバ等の医用機器に送信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−510324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
各種のデータ処理やデータ解析を行うための処理・解析ソフトウェアの作業状態データは、対応する処理・解析ソフトウェアを起動させることによって一覧表示させることができる。すなわち、処理・解析ソフトウェアの作業状態データを登録してリスト表示させる機能は、処理・解析ソフトウェアに実装される。
【0009】
従って、様々な処理・解析ソフトウェアからそれぞれ固有のデータ形式で多数の作業状態データが生成される。そして、生成された多数の作業状態データには、それぞれOS (operating system)により管理するためのファイル名が付けられ、各処理・解析ソフトウェアによって指定されたファイルディレクトリに保存される。つまり、各作業状態データは、OS上のファイルとしてそれぞれ決められたディレクトリに保存される。一般的な画像診断装置や医用画像処理装置は、専用のソフトウェアで動作し、OSにより提供されるファイルの操作機能をユーザが直接使用できないようにユーザーインターフェースが設計される。
【0010】
各処理・解析ソフトウェアは一般にそれぞれ異なるディレクトリに異なる形式で保存されるため、保存された作業状態データは保存した処理・解析ソフトウェア自体でしか表示させることができない。このため、処理・解析ソフトウェアの作業状態データを保存したとしても、ユーザは、保存されている作業状態データを一括して確認することができない。すなわち、異なる処理・解析ソフトウェアの作業状態データを一括して確認することができない。
【0011】
一方、診断画像データ等の医用データは、検査ごとに画像データベースに保存されて管理される。そして、ユーザは、1つの検査に属する医用データの一覧を参照することによって作業を計画し、読影等の作業を実行する。このため、処理・解析ソフトウェアの作業状態データを保存しても医用データの一覧とともに参照することができないため、ユーザによる作業の計画が煩雑となっている。すなわち、医用データと処理・解析ソフトウェアの作業状態データを一括して確認することができない。
【0012】
加えて、作業状態データの選択は処理・解析ソフトウェアを起動しないと行うことができないという問題がある。このため、ある処理・解析ソフトウェアにおいて過去に保存した作業状態データとしてどのようなデータがあるのかを確認するためには、一旦、その作業状態データを保存した処理・解析ソフトウェアを起動させて作業状態データを一覧表示させる必要がある。すなわち、従来の機能として各処理・解析ソフトウェアには、それぞれ作業状態データの一覧表示機能があるが、各処理・解析ソフトウェアを起動しないと作業状態データを一覧表示させることができない。
【0013】
また、画像送信ソフトウェアは、画像データベースに保存された共通のデータ構造を有する画像データを特定して送信するように設計されている。このため、画像送信ソフトウェアは、処理・解析ソフトウェアごとに異なるデータ構造を有する作業状態データを特定することができない。この結果、画像送信ソフトウェアに、処理・解析ソフトウェアの作業状態データを送信する機能を実装することが困難である。すなわち、既存の送信システムを利用して作業状態データを外部出力することができない。
【0014】
本発明は、医用画像データ等の医用データに対するデータ処理の作業状態を作業状態データとして保存し、保存した作業状態データを活用して効果的に診断の作業計画を行えるようにすることが可能な医用データ生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態に係る医用データ生成装置は、データ処理手段、作業状態データ生成手段、表示手段及び作業状態復元手段を備える。データ処理手段は、ピクセルデータを構成要素とする複数の医用データを属性に応じた患者、検査、シリーズ及び画像の構造を有するデータレコードとして保存するデータベースから医用データを取得して互いに異なるデータ処理を実行する。作業状態データ生成手段は、前記データ処理の作業状態を表す作業状態データを、患者及び検査を特定する情報、前記作業状態データの識別情報並びに前記データベースに記録可能で画像表示可能なピクセルデータを構成要素とする医用データのデータレコードとして生成する。表示手段は、前記作業状態データを含む前記複数の医用データを前記データベースから取得して、前記作業状態データの識別情報とともに表示装置に一覧表示させる。作業状態復元手段は、前記一覧表示された前記複数の医用データから対応する作業状態データが選択された場合に、前記選択された作業状態データに対応するデータ処理の作業状態を前記選択された作業状態データに基づいて復元する。
また、本発明の実施形態に係る医用データ生成装置は、データ処理手段、作業状態データ生成手段、表示手段及び作業状態復元手段を備える。データ処理手段は、ピクセルデータを構成要素とする複数の医用データを属性に応じた患者、検査、シリーズ及び画像の構造を有するデータレコードとして保存するデータベースから医用データを取得して互いに異なるデータ処理を実行する。作業状態データ生成手段は、前記データ処理の作業状態を表す作業状態データを、患者及び検査を特定する情報並びに前記作業状態データの識別情報を構成要素とし、前記データベースに記録可能な医用データのデータレコードとして生成する。表示手段は、前記作業状態データを含む前記複数の医用データを前記データベースから取得して、前記作業状態データの識別情報とともに表示装置に一覧表示させる。作業状態復元手段は、前記一覧表示された前記複数の医用データから対応する作業状態データが選択された場合に、前記選択された作業状態データに対応するデータ処理の作業状態を前記選択された作業状態データに基づいて復元する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る医用データ生成装置の機能ブロック図。
【図2】図1に示す医用情報データベースの階層構造及び医用データとして診断画像データと同様に保存された作業状態データの内容を示す概念図。
【図3】図1に示す医用データ生成装置の表示装置に作業状態データを含む医用データを一覧表示させた第1の例を示す図。
【図4】図1に示す医用データ生成装置の表示装置に作業状態データを含む医用データを一覧表示させた第2の例を示す図。
【図5】図1に示す医用データ生成装置の表示装置に作業状態データを含む医用データを一覧表示させた第3の例を示す図。
【図6】図1に示す医用データ生成装置により被検体の診断画像データを収集して画像処理を実行する際の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る医用データ生成装置について添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態に係る医用データ生成装置の機能ブロック図である。
【0019】
医用データ生成装置1は、医用画像データや医用解析データ等の医用データを生成し、生成した医用データを表示させる装置である。医用データ生成装置1の例としては、超音波診断装置、X線CT装置、MRI装置、陽電子放出コンピュータ断層(PET: positron emission computed tomography)装置や単光子放出コンピュータ断層(SPECT: single photon emission computed tomography)装置等の核医学診断装置、X線診断装置等の画像診断装置の他、画像診断装置において生成された医用データを処理する医用データ処理装置や画像処理等のデータ処理機能を備えた医用データサーバが挙げられる。ここでは、医用データ生成装置1がネットワーク2に接続された画像診断装置である場合を例に説明する。
【0020】
医用データ生成装置1は、センサ部3、医用データ生成部4、医用情報データベース5、データベース制御部6、データベースユーティリティ7、メディア記録部8、メディア読込部9、データ受信部10、データ送信部11、画面制御部12、デバイス制御部13、表示装置14、入力装置15及び複数のデータ処理システム16を備えている。各データ処理システム16は、それぞれ医用データ取得部17、データベースアクセス部18、データ処理部19、表示情報生成部20、操作情報取得部21及び作業状態データ生成部22を有する。更に、作業状態データ生成部22は、ピクセルデータ生成部23、識別情報付加部24及び補助情報付加部25を有し、医用データ取得部17は、バージョン情報比較部26を有する。また、医用データ生成装置1には、複数のデータ処理システム16を識別して起動させるシステム起動部16Aが設けられる。
【0021】
医用データ生成装置1のデジタル信号を処理する構成要素は、コンピュータにプログラムを読み込ませて構築することができる。但し、一部又は全部の構成要素を構成するために回路を用いてもよい。
【0022】
センサ部3は、画像診断装置の種類に応じた超音波振動子、高周波(RF: radio frequency)コイル、放射線検出器等の被検体からデータを収集するためのハードウェアで構成される。医用データ生成部4は、センサ部3により収集されたデータに対するデータ処理によって診断画像データ等の医用データを生成する機能を有する。
【0023】
医用情報データベース5は、患者、検査、シリーズ及び画像の階層構造で診断画像データ等の医用データを記録するリレーショナルデータベースである。すなわち、医用情報データベース5は、ピクセルデータを構成要素とする複数の医用データを属性に応じた患者、検査、シリーズ及び画像の構造を有するデータレコードとして保存するように構成されている。
【0024】
例えば、医用データが造影画像データであれば、造影画像データを表示させるためのピクセルデータがデータレコードとして医用情報データベース5に記録される。また、医用データが、MRS処理によって得られたMR信号の周波数スペクトルであれば、周波数スペクトルをグラフとして表示させるためのピクセルデータがデータレコードとして医用情報データベース5に記録される。すなわち、医用情報データベース5に記録される医用データは、ピクセルデータで構成される画像データとして管理される。
【0025】
データベース制御部6は、医用情報データベース5に医用データを記録する書き込み機能、医用情報データベース5に記録された医用データを検索して所望の医用データを読み込む機能及び医用情報データベース5に記録された医用データを削除する機能を有する。
【0026】
尚、データベース制御部6が、医用データ生成装置1を構成するコンピュータのOS上のデータファイルとして医用データの一部を任意のディレクトリに記録するようにしてもよい。この場合、データファイルのファイル名及び保存先となるディレクトリの特定情報がデータレコードの一部として医用情報データベース5に記録される。
【0027】
データベースユーティリティ7は、データベース制御部6に指示情報を与えることによって医用情報データベース5に記録された医用データを用いた様々な処理を実行する機能を有する。例えば、データベースユーティリティ7は、データベース制御部6に指示情報を与えることによって医用情報データベース5に記録された医用データを表示装置14にリストとして一覧表示させる機能、入力装置15から入力された指示情報に従って一覧表示させた複数の医用データの中から所望の医用データを画像として表示装置14に表示させる機能、入力装置15から入力された指示情報に従って一覧表示させた複数の医用データの中から所望の医用データを所定の構成要素に与える機能を有する。また、データベースユーティリティ7には、医用データ生成部4において生成された医用データ、ネットワーク2を介して受信した医用データ及びCD (compact disc)等の記録メディアから読み込んだ医用データを一覧表示させる機能と、一覧から選択された医用データを医用情報データベース5に記録する機能が備えられる。
【0028】
すなわち、データベースユーティリティ7は、入力装置15から患者、検査、シリーズ等の各階層の特定情報とともに一覧表示の指示情報が入力された場合に、特定された属性を有する医用データの検索指示をデータベース制御部6に与える。そして、データベースユーティリティ7は、データベース制御部6から検索結果として得られた医用データを一覧表示させるためのリスト情報を生成し、生成したリスト情報を画面制御部12を通じて表示装置14に出力させる。これにより、特定の属性を有する医用データを医用情報データベース5から抽出して表示装置14に一覧表示させることができる。
【0029】
また、データベースユーティリティ7は、医用データの選択情報とともに選択された医用データの表示指示情報が入力装置15から入力された場合には、選択された医用データを構成するピクセルデータをデータベース制御部6を通じて医用情報データベース5から取得し、取得したピクセルデータを画面制御部12を通じて表示装置14に出力させる。これにより、医用情報データベース5に記録された所望の医用データを選択して表示装置14に表示させることができる。
【0030】
更に、データベースユーティリティ7は、医用データの選択情報とともに選択された医用データの削除、転送又は記録メディアへの書き込みの指示情報が入力装置15から入力された場合に、それぞれ対応する構成要素に指示情報とともに必要な医用データを与える。
【0031】
例えば、入力装置15から医用データの削除指示が入力された場合には、データベースユーティリティ7は、データベース制御部6に医用データの識別情報とともに削除指示を与える。これにより、表示装置14に一覧表示された医用データのリストから所望の医用データを選択して削除することが可能となる。
【0032】
入力装置15から特定の医用データの送信先とともに送信指示が入力された場合には、データベースユーティリティ7は、データ送信部11を制御することによって、医用情報データベース5から取得した医用データを指定された送信先にネットワーク2を介して送信させる。また、入力装置15から医用データの記録メディアへの書き込み指示が入力された場合には、データベースユーティリティ7は、メディア記録部8を制御することによって、医用情報データベース5から取得した医用データをデータファイルに変換して記録メディアに出力させる。
【0033】
一方、データベースユーティリティ7は、医用データの取得指示とともに取得した医用データの一覧表示指示が入力装置15から入力された場合には、それぞれ対応する構成要素から医用データを取得して表示装置14にリストとして一覧表示させる。このため、医用データ生成装置1において生成された医用データを一覧表示させることができる。また、記録メディアやネットワーク2を介して医用データ生成装置1の外部から医用データを取得して一覧表示させることもできる。
【0034】
例えば、記録メディアから医用データを取得する場合には、データベースユーティリティ7は、メディア読込部9を制御してファイル形式の医用データを読み込ませ、医用情報データベース5に記録可能なデータレコードに変換させる。そして、医用データを一覧表示させるためのリスト情報を生成し、生成したリスト情報を表示装置14に出力させる。また、ネットワーク2を介して医用データを取得する場合には、データベースユーティリティ7は、データ受信部10を制御してネットワーク2を介して送信された医用データを受信させる。そして、受信された医用データを一覧表示させるためのリスト情報を生成し、生成したリスト情報を表示装置14に出力させる。
【0035】
これにより、医用データ生成装置1により生成された医用データに加え、記録メディアに保存されたファイル形式の医用データやネットワーク2を介して他の医用システムから受信した医用データを表示装置14に一覧表示させることができる。そして、一覧表示させた医用データのうち所望の医用データを医用情報データベース5に追加することができる。
【0036】
すなわち、データベースユーティリティ7は、医用データの選択情報とともに選択された医用データの医用情報データベース5への保存指示情報が入力装置15から入力された場合に、対応する医用データの識別とともに医用情報データベース5への書き込み指示をデータベース制御部6に与える。これにより、表示装置14に一覧表示された医用データの中から所望の医用データを入力装置15の操作によって選択して医用情報データベース5に記録することができる。
【0037】
メディア記録部8は、データベースユーティリティ7から取得した識別情報に対応する医用データのデータレコードを医用情報データベース5から取得して、データ交換用の規格に沿った医用データのデータファイルに変換する機能と、変換したファイル形式の医用データを記録メディアに書き込む機能を有する。
【0038】
メディア読込部9は、記録メディアからデータ交換用の規格に沿ったファイル形式の医用データを読み込んで医用データのデータレコードを生成し、生成した医用データのデータレコードの識別情報をデータベースユーティリティ7に通知する機能を有する。
【0039】
データ受信部10は、医用画像処理装置や医用画像サーバ等の他の医用システムからネットワーク2を介して送信された医用データを受信する機能と、受信した医用データの識別情報をデータベースユーティリティ7に与える機能を有する。
【0040】
データ送信部11は、データベースユーティリティ7から取得した識別情報に対応する医用データを医用情報データベース5から取得して、データベースユーティリティ7から取得した送信先に向けてネットワーク2を介して送信する機能を有する。
【0041】
尚、送信された医用データのデータレコードが他の医用システムにおいて利用できるように、医用データはDICOM (digital imaging and communication in medicine)規格等の標準的な通信規格に従って送信される。同様にデータ受信部10において受信される医用データも標準的な通信規格に従って他の医用システムから送信される。
【0042】
従って、データ受信部10は、通信規格の医用データを医用情報データベース5に記録可能な医用データのデータレコードに変換する機能を備えている。一方、データ送信部11は、医用データのデータレコードを通信規格の医用データに変換する機能を備えている。
【0043】
データ処理システム16は、診断画像データ等の医用データに対して画像処理やデータ解析のためのデータ処理を実行するシステムである。データ処理システム16は、データ処理の種類ごとの専用の処理・解析ソフトウェアをコンピュータに読み込ませて構築することができる。従って、データ処理の種類の数だけデータ処理システム16が医用データ生成装置1に実装される。すなわち、各データ処理システム16は、医用情報データベース5から医用データを取得して互いに異なるデータ処理を実行するシステムである。尚、単一のデータ処理システム16が互いに異なるデータ処理を実行する場合もある。
【0044】
データ処理の種類の例としては、MIP処理、MPR処理、VR処理、ファンクショナルMRI処理等の画像処理、脳灌流解析処理等の画像解析処理、MRS処理等のデータ解析処理などが挙げられる。
【0045】
脳灌流解析処理では、造影剤を被検体に注入して時系列で収集された造影画像データを元データとして、各画素における造影剤の時間濃度曲線が求められる。そして、各画素における時間濃度曲線に基づいて局所脳血流量(CBF: Cerebral Blood Flow)、局所脳血液量(CBV: Cerebral Blood Volume)及び平均通過時間(MTT: Mean Transit Time)等の血流動態の指標値を算出し、算出した血流動態の指標値を各画素に配置することによってCBF画像データ、CBV画像データ及びMTT画像データが生成される。また、MRS処理では、周波数ごとのNMR信号の強度をグラフ化することによって周波数スペクトルが生成される。そして、周波数スペクトルを表示させるためのピクセルデータがデータ処理システム16において生成される。
【0046】
データ処理システム16のデータ処理部19は、画像データやNMR信号等の元データに対するデータ処理を所定のデータ処理条件に従って実行する機能と、データ処理によって得られた結果を処理結果データとして出力する機能を有する。データ処理の条件は、表示装置14に表示された設定画面を通じた入力装置15の操作によってデバイス制御部13及び操作情報取得部21を介してデータ処理部19に入力することができる。
【0047】
表示情報生成部20は、操作情報取得部21からの表示条件指定情報に従ってデータ処理のために提供される画面情報を生成し、画面制御部12を通じて表示装置14に表示させる機能を有する。表示装置14に表示させる画面としては、データ処理部19において生成されたCBF画像データ、CBV画像データ、周波数スペクトル等の処理結果データを表示させるための画面情報の他、データ処理条件の設定画面が挙げられる。複数の画面情報を表示装置14に表示させる場合には、表示の切換えが容易となるように複数の表示ページとして表示させることができる。また、処理結果データは、様々な表示条件で表示させることができる。
【0048】
例えば、データ処理が脳灌流解析処理であれば、脳灌流解析の対象となる動脈領域を参照画像上に関心領域(ROI: region of interest)として設定するエリア、設定されたROIに対応する造影剤の時間濃度曲線を表示させるエリア、時間濃度曲線から生成される2D CBF画像を表示させるエリアがデータ処理条件の設定画面として表示される。また、処理結果画面には、MR画像にCBF画像を重畳表示させたり、3D CBF画像及び3D MR画像の直交3断面画像を表示させることができる。
【0049】
操作情報取得部21は、マウスやキーボード等の入力装置15から操作情報を、デバイス制御部13を通じて取得する機能と、取得した操作情報をデータ処理システム16の各構成要素に与える機能を有する。操作情報取得部21が入力装置15から取得する操作情報の例としては、表示モードの指定情報、表示データの指定情報、表示ページの指定情報、ROIの設定情報、データ処理条件の設定情報、データの表示条件の設定情報などが挙げられる。
【0050】
例えば、操作情報取得部21が入力装置15から2D表示モードと直交3断面表示モードとを切換える表示モードの指定情報や周波数スペクトルの実数部データと虚数部データの表示データの切換情報を取得した場合には、取得した情報を表示情報生成部20に与える。これにより、表示装置14に表示されている画面の表示モードや表示データ等の表示状態を切換えることができる。同様に、入力装置15から表示ページの切換指示情報を操作情報取得部21に入力すれば、操作情報取得部21から表示情報生成部20に表示ページの切換指示情報が与えられるので、指定された表示ページを表示装置14に表示させることができる。
【0051】
この他、表示装置14に表示された画像の拡大、スクロール、回転、スライス位置の変更等の表示条件の設定情報やROI内における各種統計情報の表示指示情報を入力装置15から操作情報取得部21に入力すると、入力された情報に従って表示情報生成部20が表示装置14に出力させる画面データを生成するように構成されている。
【0052】
また、操作情報取得部21は、データ処理条件の設定情報やデータ処理の開始指示等のデータ処理に関する指示情報を入力装置15から取得した場合には、必要な情報をデータ処理部19に与えるように構成される。
【0053】
作業状態データ生成部22は、データ処理システム16のデータ処理の作業状態を表す作業状態データを、患者および検査を特定する情報、作業状態データの識別情報及び医用情報データベース5に記録可能で画像表示可能なピクセルデータを構成要素とする医用データのデータレコードとして生成する機能を有する。すなわち、作業状態データは、診断画像データと同様に患者、検査、シリーズ及び画像の階層構造を有する医用情報データベース5に記録可能なデータレコードとして生成される。従って、作業状態データには、作業状態データが属する患者、検査、シリーズ及び画像を特定するための属性情報が含まれる。
【0054】
尚、医用データ生成装置1には、複数のデータ処理システム16が備えられるため、複数のデータ処理システム16にそれぞれ対応する複数の作業状態データ生成部22が、互いに異なるデータ処理の作業状態をそれぞれ表す作業状態データをデータレコードとしてそれぞれ生成することとなる。
【0055】
より具体的には各作業状態データ生成部22は、データ処理システム16の作業状態を表す各種データをデータ処理部19、表示情報生成部20及び操作情報取得部21から取得し、取得したデータに基づいてデータ処理の対象となった元データが属する患者及び検査と同一の患者及び検査に属するデータレコードとして作業状態データを生成するように構成される。
【0056】
データ処理システム16の作業状態を表すデータの例としては、データ処理の対象となった元データ自体又はデータ処理の元データを参照するためのID等の特定情報、データ処理の各種条件を表す処理条件データ、データ処理の結果として得られる処理結果データ、表示装置14に表示されるROIの設定情報、画像の表示モード、表示ページ、表示条件等の画面の表示状態を表す表示状態データが挙げられる。
【0057】
更に、作業状態データには、ピクセルデータ、識別情報及び補助情報が付加される。ピクセルデータ、識別情報及び補助情報は、作業状態データを医用情報データベース5に記録できるようにするために付加されるデータである。また、これらのデータは作業者が、保存された作業状態データの情報を知るための一覧表示情報を生成するために付加されるデータである。
【0058】
作業状態データ生成部22のピクセルデータ生成部23は、医用情報データベース5にデータレコードとして記録する作業状態データのピクセルデータを生成する機能を有する。医用情報データベース5に記録された作業状態データは、データベースユーティリティ7において診断画像データ等の医用データと同等に扱うことができる。従って、作業状態データの識別情報を表示装置14に一覧表示されるリストに加えることができる。更に、作業状態データのピクセルデータを診断画像のピクセルデータと同様に表示装置14に表示させることができる。
【0059】
好ましくは、作業状態データのピクセルデータを、作業状態データを模式図として表示装置14に表示させるためのデータとする。この場合、作業状態データであることを表す模式図をデータ処理の種類に応じて異なる図柄とすることが重要である。模式図を確認することによりユーザは保存された作業状態データの種類を知ることができる。このため、ユーザの利便性の向上に繋がる。或いは、データ処理の結果として得られた画像を表すピクセルデータを作業状態データのピクセルデータとしてもよい。この場合でも、データ処理の種類に応じた異なる図柄を処理後の画像に付加したピクセルデータを作業状態データのピクセルデータとすればユーザの利便性の向上に繋がる。
【0060】
識別情報付加部24は、作業状態データと作業状態データ以外の医用データとを区別するための識別情報を作業状態データに付加する機能を有する。作業状態データの識別情報には、データ処理の種類を特定する情報の他、同種のデータ処理に用いられるデータ処理アルゴリズムのバージョン情報を含めることができる。
【0061】
例えば、「MRS処理作業状態データ」、「脳灌流解析処理作業状態データ」、「診断画像データ」等の医用データのデータタイプ別に識別情報を定義して作業状態データを含む医用データに付加することができる。
【0062】
補助情報付加部25は、作業状態データに所望の情報を補助情報として任意に付加する機能を有する。このため、ユーザが有益であると認識する情報を作業状態データに付加することができる。
【0063】
例えば、脳灌流解析処理を実行した場合には、解析計算を実行した時刻、解析計算用に設定された計算方式、局所脳血流量画像やピークタイム画像等の計算対象となった画像の種類、作業状態データの保存時刻、解析元データを特定するためのシリーズ番号等の補助情報を作業状態データに付加することができる。
【0064】
そして、このようなピクセルデータ、識別情報及び補助情報を含む作業状態データは、医用データとして医用情報データベース5に記録し、データベースユーティリティ7による操作対象として扱うことができる。例えば、作業状態データを他の診断画像データ等の医用データとともに表示装置14に一覧表示させたり、作業状態データを用いてデータ処理の作業状態を復元することができる。
【0065】
図2は、図1に示す医用情報データベース5の階層構造及び医用データとして診断画像データと同様に保存された作業状態データの内容を示す概念図である。
【0066】
図2に示すように、医用情報データベース5には、患者、検査、シリーズ及び画像の階層構造で医用データのデータレコードが記録される。例えば、図2において患者2、検査2及びシリーズ2に属する複数の診断画像データを元画像データとしてデータ処理システム16においてデータ処理を実行した場合、データ処理システム16における作業状態を作業状態データとして医用情報データベース5に保存することができる。
【0067】
この場合、作業状態データは、データ処理の対象となった元画像データが属する患者及び検査と同一の患者2及び検査2を属性とするデータレコードとして医用情報データベース5に保存される。図2の例では、作業状態データがシリーズ3のデータレコードとして記録されている。また、作業状態データのピクセルデータは、シリーズ3に属する画像1として画像の階層に記録される。
【0068】
作業状態データは、図2に示すように、患者、検査及びシリーズの特定情報、元画像データのIDのリスト、処理条件データ、処理結果データ、表示状態データ、識別情報、補助情報、ピクセルデータをデータパラメータとして含むことができる。
【0069】
このような作業状態データは、データ送信部11及びデータ受信部10によってDICOM通信規格の医用データに変換して外部の医用機器との間において送受信することができる。
【0070】
作業状態データをDICOM規格の医用データに変換する場合には、患者、検査及びシリーズの特定情報を標準タグで識別されるデータに、処理条件データ、処理結果データ、表示状態データ、識別情報及び補助情報をプライベートタグで識別されるデータに、ピクセルデータを画像タグで識別されるデータに、それぞれ変換することができる。また、元画像データのIDのリストについては、標準タグまたはプライベートタグで識別されるデータに変換することができる。DICOM規格の医用データから医用情報データベース5に保存可能な作業状態データのデータレコードに変換する場合も同様である。
【0071】
図2に示すような作業状態データは、データベースユーティリティ7の動作により表示装置14に他の医用データとともに一覧表示させることができる。すなわち、データベースユーティリティ7は、作業状態データを含む複数の医用データを医用情報データベース5から取得して、作業状態データの識別情報とともに表示装置14に一覧表示させることができる。
【0072】
図3は、図1に示す医用データ生成装置1の表示装置14に作業状態データを含む医用データを一覧表示させた第1の例を示す図である。また、図4は、図1に示す医用データ生成装置1の表示装置14に作業状態データを含む医用データを一覧表示させた第2の例を示す図である。
【0073】
図3及び図4に示すように、データベースユーティリティ7の動作により表示装置14には、患者リスト、検査リスト、シリーズリスト及び画像リストがそれぞれ選択可能に表示される。画像リストには、医用データを構成するピクセルデータのサムネイル画像をアイコンとして表示させることができる。そして、選択された項目に属する医用データが抽出されてリスト表示される。図3及び図4に示す例では、選択された項目が強調表示されている。更に画像リストから選択された医用データのピクセルデータを左側の画像表示欄に表示させることができるように画面が構成されている。
【0074】
作業状態データもピクセルデータを含む医用データとして扱われるため、診断画像データと同様にシリーズリストに表示される。作業状態データは、データ処理の対象となった元データと同一の患者及び検査に属するデータレコードとして生成される。従って、ある患者及び検査に属する医用データのシリーズリストを表示させると、データ処理の作業状態データとデータ処理の対象となった元データとが同一の患者属性及び検査属性を有するデータレコードとして一覧表示される。
【0075】
図3に示す例では、シリーズ番号3の医用データとして脳灌流解析処理における作業状態データがシリーズリストに表示されている。このため、脳灌流解析処理の作業状態データは、同一の患者及び検査に属するシリーズ番号2のダイナミックEPI (echo planar imaging)により収集された画像データを対象とする脳灌流解析処理における作業状態を示すデータであることが容易に分かる。
【0076】
一方、図4に示す例では、同一の患者及び検査の属するシリーズとして複数の医用データのシリーズ及び複数の作業状態データのシリーズが一覧表示されている。すなわち、シリーズ番号1及び2には画像データのシリーズが、シリーズ番号3にはスペクトルデータのシリーズが表示されている。更に、シリーズ番号2Aには脳灌流解析処理の作業状態データが表示されており、シリーズ番号3AにはMRS処理における作業状態データが表示されている。
【0077】
脳灌流解析処理の作業状態データのシリーズ番号は2Aとなっている。しかも、脳灌流解析処理の作業状態データは、シリーズ番号2のEPIによりダイナミック収集された画像データのシリーズの下段に隣接して表示されている。従って、シリーズ番号2が共通している点及び一覧表示において近接して表示されていることから、ユーザは脳灌流解析処理の作業状態データがシリーズ番号2のEPIによりダイナミック収集された画像データを対象とするデータであることを容易に認識することができる。
【0078】
同様に、MRS処理の作業状態データのシリーズ番号は3Aとなっている。しかも、MRS処理の作業状態データは、シリーズ番号3のMRSにより収集されたMR信号の周波数スペクトルのシリーズの下段に隣接して表示されている。従って、シリーズ番号3が共通している点及び一覧表示において近接して表示されていることから、ユーザはMRS処理の作業状態データがシリーズ番号3のMRSにより収集されたMR信号の周波数スペクトルを対象とするデータであることを容易に認識することができる。
【0079】
このように、データベースユーティリティ7は、作業状態データの識別情報を、対応するデータ処理の対象となった元データが属するシリーズと関連することが識別できるように表示させることができる。すなわち、図3及び図4に示すように、作業状態データの識別情報を、対応するデータ処理の対象となった元データが属するシリーズの識別情報と近接させて表示させたり、作業状態データに対応するデータ処理の対象となった元データが属するシリーズの識別情報と、データ処理の対象とならなかった画像データが属するシリーズの識別情報とを、互いに区別できるように表示させることができる。
【0080】
また、図3及び図4に示すように作業状態データに付加される識別情報及び補助情報をシリーズリストに表示させることができる。例えば、図3によれば、脳灌流解析処理のアルゴリズムのバージョン情報に加え、脳灌流解析処理を実行した日時、SVD(Singular Value Decomposition)法等の採用した計算方式、CBF, CBV, MTT等の生成した画像の種類等の補助情報をシリーズリストにより容易に確認することができる。一方、図4においてもMRS処理の条件や元データの収集条件等の詳細な補助情報をシリーズリストにより容易に確認することができる。
【0081】
作業状態データのピクセルデータは、診断画像データのピクセルデータと同様に、画像リストにアイコンとして選択可能に表示させることができる。例えば、図3に示す例では、シリーズリストからシリーズ番号が3の脳灌流解析処理の作業状態データが選択されている。一方、図4に示す例では、シリーズリストからシリーズ番号が3AのMRS処理の作業状態データが選択されている。従って、図3及び図4の各画像リストには、それぞれ選択されているシリーズの作業状態データがアイコンとして表示されている。そして、作業状態データのアイコンを選択すると、診断画像の画像表示欄には作業状態データのピクセルデータを表示させることができる。
【0082】
図3及び図4は、作業状態データの識別情報及び補助情報を文字として含む模式図を表すピクセルデータを画像表示欄に表示させた例を示している。また、図3及び図4の各画像リストには、それぞれ選択されているシリーズの医用データが作業状態データであることを示す模式図のサムネイル画像がアイコンとして表示されている。このため、ユーザは画像リストに表示された医用データが診断画像データであるのか作業状態データであるのかを容易に判別することができる。
【0083】
更に、図3及び図4に示すように、医用データが作業状態データであることを示す模式図は、データ処理の種類ごとに異なる図柄を用いて表示される。例えば、図3に示す例では、データ処理の種類が脳灌流解析処理であることを示すグラフ及び解析画像のイメージが画像表示欄に表示される模式図及び画像リスト欄に表示されるサムネイル画像の図柄の一部となっている。
【0084】
図3に示すように作業状態データのピクセルデータは脳灌流解析処理の結果得られた画像データから生成することができる。さらに脳灌流解析の結果得られた時間濃度曲線または架空の時間濃度曲線をピクセルデータとして埋め込むことができる。これにより、ユーザは表示された画像を見て容易に脳灌流解析の作業状態データであることを知ることができる。
【0085】
一方、図4に示す例では、データ処理の種類がMRS処理であることを示すマトリクス及び解析画像のイメージが画像表示欄に表示される模式図及び画像リスト欄に表示されるサムネイル画像の図柄の一部となっている。背景画像はMRS画像の撮影時において撮影位置を設定する際に用いた画像である。また、格子状の図柄は背景画像上でのMRSのボクセル位置を示している。このため、ユーザはこの図柄を見てデータ処理の種類がMRS処理であることに加え、MRS撮影におけるボクセルの位置、ボクセルの大きさ及びボクセル数などを容易に判断することができる。
【0086】
尚、グラフ等の図柄は、データ処理の種類を識別できるようにするために、データ処理の種類ごとに作成することができるが、データ処理の結果に応じてグラフ等の図柄を変えてもよい。例えば、脳灌流解析処理の結果として得られたグラフ自体を縮小した図柄を作業状態データの模式図及びサムネイル画像の図柄の一部とすることもできる。この場合には、ピクセルデータ生成部23が、データ処理部19からデータ処理の処理結果データを取得して処理結果データに応じたピクセルデータを作成するように構成される。
【0087】
このような図柄の表示によって、ユーザは、ある検査において行われた全てのデータ処理の種類及び作業状態データを一覧することができる。また、作業状態データの補助情報がシリーズリスト及び画像表示欄に表示されるため、同一のデータ処理において複数の作業状態データが保存された場合であっても相互に区別することができる。
【0088】
一覧表示される作業状態データは、診断画像データ等の他の医用データと同様にデータベースユーティリティ7における操作の対象とすることができる。データベースユーティリティ7における操作は、図3及び図4の右側に示すように電子キーとして選択可能に表示させることができる。
【0089】
例えば、送信先選択ボタンを押して送信先を指定した後に作業状態データを選択して送信ボタンをクリックすると、選択された作業状態データが指定された送信先にネットワーク2を介して送信される。この場合、作業状態データとともに診断画像データを選択し、作業状態データ及び診断画像データを一括して送信することもできる。
【0090】
また、作業状態データを選択してメディア保存ボタンをクリックすると、選択された作業状態データをファイル形式のデータとして記録メディアに記録することができる。この場合も、作業状態データ及び診断画像データを一括して記録メディアに記録することができる。
【0091】
すなわち、一覧表示された複数の医用データから作業状態データが選択された場合に、選択された作業状態データの送信または保存の指示を受け付ける電子キーを設けることができる。そして、選択された作業状態データの送信が電子キーのクリックによって指示された場合には、データベースユーティリティ7による制御下におけるデータ送信部11の動作によって、選択された作業状態データを所定の送信先に送信することができる。同様に、選択された作業状態データの記録メディアへの保存が電子キーのクリックによって指示された場合には、データベースユーティリティ7による制御下におけるメディア記録部8の動作によって、選択された作業状態データを所定の記録メディアに保存することができる。
【0092】
更に、作業状態データや診断画像データ等の医用データを選択して起動ボタンをクリックすると、選択された医用データの識別情報とともに起動指示情報がデータベースユーティリティ7からシステム起動部16Aに与えられる。
【0093】
図5は、図1に示す医用データ生成装置1の表示装置14に作業状態データを含む医用データを一覧表示させた第3の例を示す図である。
【0094】
図5に示すように、シリーズリストは、サムネイル画像を並べたリストとすることもできる。すなわち、サムネイル画像をアイコンとして横方向に並べた複数の画像リストをシリーズ毎に縦方向に並べて表示させることができる。この場合、画像リストはシリーズリストの構成要素となり、全てのシリーズに属する全ての医用データ及び作業状態データを選択可能にアイコンとして表示させることができる。
【0095】
そして、選択された医用データ又は作業状態データを、画像表示欄に表示させることができる。図5は、シリーズ番号2Aの作業状態データのアイコンが選択されている状態を示している。従って、画像表示欄には、作業状態データの模式図が表示されている。また、作業状態データのシリーズ番号が2Aであることから作業状態データが、シリーズ番号2の画像データに対応していることが確認できる。
【0096】
尚、図5では、患者リスト、検査リスト及び電子キーを省略しているが、図3及び図4に示す例と同様に表示させることができる。
【0097】
一方、医用データ取得部17は、データベースアクセス部18及びデータベース制御部6を通じて医用情報データベース5から医用データを取得する機能、取得した医用データのデータタイプが作業状態データであるか診断画像データ等の作業状態データ以外の医用データであるかを判定する機能、作業状態データを取得した場合には取得した作業状態データに従ってデータ処理システム16の作業状態を復元する機能及び診断画像データ等の診断データを取得した場合には取得した診断データをデータ処理の元データとしてデータ処理部19に与える機能を有する。
【0098】
すなわち、医用データ取得部17は、表示装置14に一覧表示された複数の医用データから医用データが選択された場合に、選択された医用データが作業状態データであるのか診断データであるのかを医用データに含まれる識別情報に基づいて判定するように構成される。更に、医用データ取得部17は、表示装置14に一覧表示された複数の医用データから対応する作業状態データが選択された場合に、選択された作業状態データに対応するデータ処理の作業状態を、選択された作業状態データに基づいて復元するように構成されている。
【0099】
尚、医用データ生成装置1には、複数のデータ処理システム16が備えられるため、複数のデータ処理システム16にそれぞれ対応する複数の医用データ取得部17が、表示装置14に一覧表示された複数の医用データから対応する作業状態データが選択された場合に、選択された作業状態データに対応するデータ処理の作業状態を、選択された作業状態データに基づいて復元することとなる。
【0100】
医用データ取得部17のバージョン情報比較部26は、選択された作業状態データに従ってデータ処理システム16の作業状態を復元する場合に、選択された作業状態データに対応する処理アルゴリズムのバージョンとデータ処理システム16におけるデータ処理に用いられる処理アルゴリズムのバージョンとを比較する機能を有する。
【0101】
そして、医用データ取得部17は、処理アルゴリズムのバージョンが同一である場合には作業状態データに含まれる元データの識別情報、処理条件データ、処理結果データ、表示状態データ等の情報をデータ処理システム16の対応する構成要素に与えることによって作業状態を復元する一方、処理アルゴリズムのバージョンが同一でない場合には、作業状態データに含まれる情報のうちバージョンが異なる処理アルゴリズム間において共通する情報のみをデータ処理システム16の対応する構成要素に与えることによって作業状態を部分的に復元するように構成される。
【0102】
尚、処理アルゴリズムのバージョンの同一性は、作業状態データに含まれる識別情報を参照することによって判定することができる。
【0103】
バージョンが異なる処理アルゴリズム間において共通する情報としては、元データの識別情報、処理条件データ及び処理結果データが考えられる。処理アルゴリズム間においてバージョンが異なる結果、復元されなかった作業状態の項目については、初期状態に設定したり、直前における状態に設定することができる。
【0104】
このようなバージョンの比較判定処理をデータ処理システム16に実装することによって、以前のバージョンの処理アルゴリズムに対して保存された作業状態データを利用して現在のバージョンの処理アルゴリズムに対する作業状態の復元が可能となる。すなわち、過去のバージョンの処理アルゴリズムにより生成されたデータ処理結果を現在のバージョンの処理アルゴリズムにて動作するデータ処理システム16に読み込んだり、過去のバージョンの処理アルゴリズムにおいて使用したデータ処理条件と同一のデータ処理条件を用いて現在のバージョンの処理アルゴリズムによりデータ処理を再実行することが可能となる。
【0105】
また、データ処理システム16に用いられるデータ処理ソフトウェアに細かい変更が施された場合であっても、変更の影響を受けずに作業状態データをデータ処理システム16に読み込ませることができる。
さらに、保存された作業状態データのなかで、現在のバージョンの処理・解析ソフトウェアでは扱うことのできないデータや不足するデータを適切に処理することが可能になり、不適切な処理結果を表示しないようにすることができる。
【0106】
データベースアクセス部18は、システム起動部16Aから取得した医用データのID等の識別情報に従ってデータベース制御部6を通じて医用情報データベース5から識別情報に対応する医用データを取得する機能、取得した医用データを医用データ取得部17に与える機能及び作業状態データ生成部22により生成された作業状態データをデータベース制御部6を通じて医用データとして医用情報データベース5に登録する機能を有する。
【0107】
システム起動部16Aは、データベースユーティリティ7からデータ処理システム16の起動指示情報とともに医用データの識別情報を取得した場合に、識別情報に対応する医用データのデータタイプに対応するデータ処理システム16の起動処理を行う機能と、起動させたデータ処理システム16のデータベースアクセス部18に医用データの識別情報を与える機能とを有する。すなわち、システム起動部16Aは、表示装置14に一覧表示された複数の医用データから作業状態データが選択された場合に、データベースユーティリティ7からの起動指示情報及び作業状態データの識別情報に従って、選択された作業状態データに対応するデータ処理システム16を識別して起動させるように構成される。
【0108】
例えば、図3及び図4に示すようなデータベースユーティリティ7の操作画面において、画像リストに表示されたアイコンを選択した状態で起動ボタンを押すと、アイコンに対応する医用データのIDとともにデータ処理システム16の起動指示情報がデータベースユーティリティ7からシステム起動部16Aに与えられる。そうすると、システム起動部16Aは、IDに対応する医用データのデータタイプを表す情報を医用情報データベース5からデータベース制御部6を通じて取得し、データタイプに対応するデータ処理システム16を起動させる。そして、システム起動部16Aは起動パラメータの1つとして医用データのIDをデータベースアクセス部18に通知する。
【0109】
尚、システム起動部18が入力装置15の操作によってデバイス制御部13を介してデータ処理システム16の起動指示情報を直接取得するようにしてもよい。また、データベースアクセス部18がデータベースユーティリティ7に問い合わせてデータベースユーティリティ7から医用データのIDを取得するようにしてもよい。
【0110】
画面制御部12は、データベースユーティリティ7又は各データ処理システム16の表示情報生成部20から表示要求情報とともに画面情報を取得した場合に、表示装置14に画面情報が表示されるように画面を更新させる機能を有する。
【0111】
デバイス制御部13は、マウスやキーボード等の入力装置15から操作情報を取得してデータベースユーティリティ7及び各データ処理システム16の操作情報取得部21に振り分ける機能を有する。
【0112】
次に医用データ生成装置1の動作及び作用について説明する。ここでは、MRI装置を用いて被検体の頭部における時系列の造影画像データを収集し、複数の時相における造影画像データを元画像データとする脳灌流解析処理によってCBF画像データ、CBV画像データ及びMTT画像データを生成する場合を例に説明する。
【0113】
図6は、図1に示す医用データ生成装置1により被検体の診断画像データを収集して画像処理を実行する際の流れを示すフローチャートである。
【0114】
まずステップS1において、被検体に造影剤が注入され、医用データ生成装置1によりイメージングが実行される。具体的には、静磁場磁石及び傾斜磁場コイルにより形成された磁場内にセットされた被検体において発生したNMR信号がRFコイルを備えたセンサ部3により順次受信される。そして、医用データ生成部4は、センサ部3により収集されたNMR信号に対する画像再構成処理を実行することにより複数の時相に対応する複数フレーム分の被検体の造影画像データを生成する。
【0115】
次にステップS2において、造影画像データが医用情報データベース5に保存される。すなわち、データベース制御部6は、医用データ生成部4から取得した時系列の造影画像データを対応する被検体属性及び検査属性を有するデータレコードとして医用情報データベース5に書き込む。尚、データベースユーティリティ7により造影画像データを一覧表示させてから造影画像データを医用情報データベース5に記録してもよい。
【0116】
次にステップS3において、データ処理システム16により造影画像データに対する脳灌流解析処理が実行される。そのために、データベースユーティリティ7により造影画像データと同一の被検体属性及び検査属性を有する医用データが一覧表示される。そして、一覧表示されたリストから造影画像データが選択された状態で、図3及び図4に示すような起動ボタンが押されると、造影画像データのIDとともにデータ処理システム16の起動指示情報がデータベースユーティリティ7からシステム起動部16Aに与えられる。
【0117】
そうすると、システム起動部16Aは、脳灌流解析処理を実行するためのデータ処理システム16を起動させ、起動させたデータ処理システム16のデータベースアクセス部18に造影画像データのIDを通知する。次にデータベースアクセス部18は、造影画像データのIDを参照し、データベース制御部6を通じて医用情報データベース5から造影画像データを取得する。取得された造影画像データはデータタイプの識別情報を含む医用データとして医用データ取得部17に与えられる。
【0118】
そうすると、医用データ取得部17は、データベースアクセス部18から取得した医用データの識別情報を参照し、医用データが脳灌流解析処理の対象となる造影画像データであると判定する。そして、医用データ取得部17は造影画像データをデータ処理部19に与える。
【0119】
一方、表示情報生成部20には、ROIや計算対象となる解析画像の種類等の脳灌流解析処理の条件を設定するためのデータ処理条件の設定画面を画面制御部12を通じて表示装置14に表示させる。そして、入力装置15の操作情報としてデバイス制御部13から操作情報取得部21にROIの設定情報や計算対象となる解析画像の種類等の脳灌流解析処理の条件情報が入力される。入力された脳灌流解析処理の条件情報は、処理条件データとして操作情報取得部21からデータ処理部19に与えられる。
【0120】
次に、データ処理部19は、処理条件データに従って造影画像データを元画像データとする脳灌流解析処理を実行する。これにより、脳灌流解析の処理結果データとしてCBF画像データ、CBV画像データ及びMTT画像データが生成される。
【0121】
そして、入力装置15の操作情報として処理結果データの表示指示情報とともに表示条件の指定情報がデバイス制御部13及び操作情報取得部21を通じて表示情報生成部20に入力されると、表示情報生成部20は指定された表示条件に従ってデータ処理部19から取得した処理結果データを表示させるための画面情報を生成する。生成された画面情報は、画面制御部12を通じて表示装置14に表示される。
【0122】
これにより、ユーザは、直交3断面画像や重畳画像等の所望の表示条件で表示された解析画像を観察することができる。
【0123】
次にステップS4において、ユーザが入力装置15の操作情報として作業状態の保存指示を作業状態データ生成部22に入力すると、作業状態データ生成部22は、脳灌流解析処理の元画像データとなった造影画像データのID、脳灌流解析の処理条件データ、脳灌流解析の処理結果データ、処理結果として得られたCBF画像、CBV画像及びMTT画像等の画像の表示状態を表す表示状態データをデータ処理システム16の各構成要素から取得して作業状態データを生成する。
【0124】
また、識別情報付加部24は、脳灌流解析処理に用いた処理アルゴリズムのバージョン情報を含み、かつ作業状態データが脳灌流解析処理の作業状態データであることを示す識別情報を作業状態データに付加する。更に、補助情報付加部25は、入力装置15からの指示情報に従って、脳灌流解析処理を実行した日時、処理に採用した計算方式、生成した画像の種類等の補助情報を作業状態データに付加する。
【0125】
また、ピクセルデータ生成部23は、脳灌流解析処理の作業状態データであることを示す図柄を用いた模式図として表示装置14に表示させるためのピクセルデータを生成する。例えば、ピクセルデータ生成部23は、脳灌流解析の結果得られたCBV画像と時間濃度曲線のグラフを合成する。さらに、ピクセルデータ生成部23は、識別情報や補助情報を示す文字が画像として表示されるように合成し、ピクセルデータを生成する。
【0126】
そして、このように生成された作業状態データには、データ処理の対象となった元データである造影画像データの患者属性及び検査属性と同一の患者属性及び検査属性が作業状態データ生成部22において付与される。
【0127】
次にステップS5において、作業状態データ生成部22は、作業状態データをデータベースアクセス部18及びデータベース制御部6を通じて医用データとして医用情報データベース5に登録する。これにより、図2に示すように、階層構造を有する医用情報データベース5に、脳灌流解析処理の元データである造影画像データと同一の患者及び検査に属するデータレコードとして作業状態データが保存される。
【0128】
そして、ユーザは、脳灌流解析処理を実行するためのデータ処理システム16を終了させて、他の作業を行うことができる。
【0129】
次にステップS6において、所望の時点において、入力装置15の操作情報として患者及び検査の特定情報とともに医用データの一覧表示指示がデータベースユーティリティ7に入力されると、データベースユーティリティ7は作業状態データ及び造影画像データを含む医用データを表示装置14に一覧表示させる。これにより、表示装置14には、図3に示すような医用データのリストが表示される。
【0130】
次にステップS7において、入力装置15の操作によって作業状態データが選択された状態で起動ボタンが押されると、脳灌流解析処理を実行するためのデータ処理システム16が起動して作業状態データで特定される作業状態が復元される。
【0131】
具体的には、起動ボタンが押されると、作業状態データのIDとともにデータ処理システム16の起動指示情報がデータベースユーティリティ7からシステム起動部16Aに与えられる。そうすると、システム起動部16Aは、脳灌流解析処理を実行するためのデータ処理システム16を起動させ、データベースアクセス部18に作業状態データのIDを通知する。
【0132】
次にデータベースアクセス部18は、作業状態データのIDを参照し、データベース制御部6を通じて医用情報データベース5から作業状態データを取得する。取得された作業状態データはデータタイプの識別情報を含む医用データとして医用データ取得部17に与えられる。
【0133】
そうすると、医用データ取得部17は、医用データの識別情報を参照し、医用データが脳灌流解析処理の作業状態データであると判定する。また、バージョン情報比較部26は、作業状態データに含まれる識別情報を参照し、作業状態データに対応する処理アルゴリズムのバージョンとデータ処理システム16における処理アルゴリズムのバージョンとを比較する。
【0134】
そして、処理アルゴリズムのバージョンが同一である場合には、医用データ取得部17が、作業状態データに含まれる造影画像データの識別情報、処理条件データ、処理結果データ、表示状態データ等の情報をデータ処理システム16の対応する構成要素に与えることによって作業状態を復元する。
【0135】
一方、処理アルゴリズムのバージョンが同一でない場合には、医用データ取得部17が、作業状態データに含まれる情報のうちバージョンの異なる処理アルゴリズム間において共通する情報のみをデータ処理システム16の対応する構成要素に与えることによって作業状態を部分的に復元する。この場合、復元されなかった作業状態の項目については、初期状態などに設定される。
【0136】
このため、ユーザはバージョンが同一のアルゴリズムに対応して生成された作業状態データはもちろん、バージョンが異なるアルゴリズムに対応して生成された作業状態データにより特定される作業状態をいつでも復元させることができる。
【0137】
また、ステップS8において、必要に応じて作業状態データを他の医用システムにおいて利用するために作業状態データを医用データ生成装置1の外部に出力させることができる。
【0138】
例えば図3に示すようにデータベースユーティリティ7により一覧表示されたリストから作業状態データを選択してメディア保存ボタンをクリックすると、データベースユーティリティ7は、選択された作業状態データのIDをメディア記録部8に通知する。そうすると、メディア記録部8は、IDに対応する作業状態データを医用情報データベース5から取得して、作業状態データのデータファイルを生成する。そしてメディア記録部8は、作業状態データのデータファイルを記録メディアに出力させる。
【0139】
また、図3に示すようにデータベースユーティリティ7により一覧表示されたリストから作業状態データを選択して送信ボタンをクリックすると、データ送信部11が動作し、送信先選択ボタンを押して指定された送信先に作業状態データがネットワーク2を介して送信される。
【0140】
このため、データ処理システム16の作業状態データを他の医用システムの対応するデータ処理を行うためのデータ処理システムにおいて利用することができる。また、データ処理システム16における処理アルゴリズムのバージョンが他の医用システムのデータ処理システムにおける処理アルゴリズムのバージョンと異なる場合であっても、他の医用システムのバージョン情報比較部におけるバージョンの比較判定処理によって、選択された作業状態データのうちバージョン間で互換性のある作業状態データの項目のみを復元させることができる。
【0141】
つまり以上のような医用データ生成装置1は、医用データに対する様々なデータ処理の作業状態情報を、階層構造を有する医用情報データベース5にデータレコードとして保存し、診断画像データ等の医用データとともにデータ処理の種類に依らず一括して一覧表示及び操作できるようにしたものである。
【0142】
このため、医用データ生成装置1によれば、画像処理や画像解析等のデータ処理に関する作業を容易に計画することができる。すなわち、データ処理の計画のために過去に実行したデータ処理の作業状態情報を有効活用することができる。また、様々な操作においてユーザの利便性を向上させることができる。
【0143】
例えば、診断画像データと同様に、患者及び検査ごとにデータ処理の作業状態情報を表す作業状態データを絞って一覧表示させることができる。また、画像リストとしてデータ処理の種類に応じた図柄で作業状態データのアイコンを表示させれば、ユーザはアイコンの図柄を参照して、作業状態データに対応するデータ処理の種類を確認することができる。
【0144】
また、作業状態データは、データ処理の対象となった元データと同一の患者属性及び検査属性を有するデータレコードとして元データとともに一覧表示される。このため、ユーザは一覧表示に基づいて、実行されたデータ処理の種類及び各データ処理の対象となった元データを容易に把握することができる。そして、今後、必要となる作業を容易に計画することができる。
【0145】
また、作業状態データを他の診断画像データと同様に扱うことができる。このため、診断画像データを扱う場合と同様な操作で作業状態データを所望の医用システムにネットワークを介して送信したり、記録メディアに保存することができる。この場合、作業状態データを他の診断画像データと一括して送信又は保存することができる。
【0146】
更に、医用データ生成装置1では、医用データが作業状態データであるか診断データであるかの判定、作業状態データに対応するデータ処理の種類の判定、処理アルゴリズムのバージョンのチェックが自動的に行われる。このため、ユーザによる操作労力を低減させることができる。すなわち、ある作業状態データを選択して起動指示を入力すれば、医用データが作業状態データであるか診断データであるかといった情報を入力しなくても、自動的に対応するデータ処理システム16が起動し、アルゴリズムバージョンに応じた作業状態を復元することができる。
【0147】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【0148】
例えば、上述した実施形態では、医用データ生成装置1の構成要素として医用情報データベース5が備えられる例について説明したが、医用情報データベース5がネットワーク2を介して医用データ生成装置1と接続される構成としてもよい。この場合、医用情報データベース5内の医用データは、データベースユーティリティ7を介して医用データ生成装置1の各構成要素に提供することができる。
【0149】
また、上述した実施形態では、画像表示可能なピクセルデータを作業状態データの構成要素として表示させる例について説明したが、ピクセルデータを構成要素とせずに作業状態データの識別情報を一覧表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0150】
1 医用データ生成装置
2 ネットワーク
3 センサ部
4 医用データ生成部
5 医用情報データベース
6 データベース制御部
7 データベースユーティリティ
8 メディア記録部
9 メディア読込部
10 データ受信部
11 データ送信部
12 画面制御部
13 デバイス制御部
14 表示装置
15 入力装置
16 データ処理システム
16A システム起動部
17 医用データ取得部
18 データベースアクセス部
19 データ処理部
20 表示情報生成部
21 操作情報取得部
22 作業状態データ生成部
23 ピクセルデータ生成部
24 識別情報付加部
25 補助情報付加部
26 バージョン情報比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセルデータを構成要素とする複数の医用データを属性に応じた患者、検査、シリーズ及び画像の構造を有するデータレコードとして保存するデータベースから医用データを取得して互いに異なるデータ処理を実行するデータ処理手段と、
前記データ処理の作業状態を表す作業状態データを、患者及び検査を特定する情報、前記作業状態データの識別情報並びに前記データベースに記録可能で画像表示可能なピクセルデータを構成要素とする医用データのデータレコードとして生成する作業状態データ生成手段と、
前記作業状態データを含む前記複数の医用データを前記データベースから取得して、前記作業状態データの識別情報とともに表示装置に一覧表示させる表示手段と、
前記一覧表示された前記複数の医用データから対応する作業状態データが選択された場合に、前記選択された作業状態データに対応するデータ処理の作業状態を前記選択された作業状態データに基づいて復元する作業状態復元手段と、
を備える医用データ生成装置。
【請求項2】
前記作業状態復元手段は、前記データ処理に用いられるアルゴリズムのバージョンと前記選択された作業状態データに対応するアルゴリズムのバージョンとを比較し、前記選択された作業状態データのうち前記バージョン間で互換性のある項目のみを復元させるように構成される請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項3】
前記作業状態データ生成手段は、前記データ処理の対象となった元データの患者属性及び検査属性と同一の患者属性及び検査属性を前記作業状態データに付与するように構成される請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項4】
一覧表示された前記複数の医用データから作業状態データが選択された場合に、前記選択された作業状態データに対応するデータ処理手段を起動させる起動手段を更に備える請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項5】
一覧表示された前記複数の医用データから医用データが選択された場合に、前記選択された医用データが作業状態データであるのか診断データであるのかを前記医用データに含まれる識別情報に基づいて判定する判定手段を更に備える請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項6】
一覧表示された前記複数の医用データから作業状態データが選択された場合に、前記選択された作業状態データの送信または保存の指示を受け付ける指示手段と、
前記選択された作業状態データを送信または保存する送信・保存手段と、
を更に備える請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項7】
前記作業状態データを通信規格の医用データに変換して送受信する送受信手段を更に備える請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項8】
前記データベースを更に備え、
前記データベースは、前記データ処理の対象となった元データが属する患者及び検査と同一の患者及び検査を属性とする作業状態データを保存するように構成される請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項9】
前記表示手段は、前記作業状態データの識別情報を、対応するデータ処理の対象となった元データが属するシリーズと関連することが識別できるように表示させるように構成される請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項10】
前記表示手段は、前記作業状態データの識別情報を、対応するデータ処理の対象となった元データが属するシリーズの識別情報と近接させて表示するように構成される請求項9記載の医用データ生成装置。
【請求項11】
前記表示手段は、前記作業状態データに対応するデータ処理の対象となった元データが属するシリーズの識別情報と、前記データ処理の対象とならなかった画像データが属するシリーズの識別情報とを、互いに区別できるように表示させるように構成される請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項12】
前記互いに異なるデータ処理を実行する複数のデータ処理手段と、
前記複数のデータ処理手段にそれぞれ対応し、前記異なるデータ処理の作業状態をそれぞれ表す作業状態データを前記データレコードとしてそれぞれ生成する複数の作業状態データ生成手段と、
前記複数のデータ処理手段にそれぞれ対応し、一覧表示された前記複数の医用データから対応する作業状態データが選択された場合に、前記選択された作業状態データに対応するデータ処理の作業状態を前記選択された作業状態データに基づいて復元する複数の作業状態復元手段と
を備える請求項1記載の医用データ生成装置。
【請求項13】
ピクセルデータを構成要素とする複数の医用データを属性に応じた患者、検査、シリーズ及び画像の構造を有するデータレコードとして保存するデータベースから医用データを取得して互いに異なるデータ処理を実行するデータ処理手段と、
前記データ処理の作業状態を表す作業状態データを、患者及び検査を特定する情報並びに前記作業状態データの識別情報を構成要素とし、前記データベースに記録可能な医用データのデータレコードとして生成する作業状態データ生成手段と、
前記作業状態データを含む前記複数の医用データを前記データベースから取得して、前記作業状態データの識別情報とともに表示装置に一覧表示させる表示手段と、
前記一覧表示された前記複数の医用データから対応する作業状態データが選択された場合に、前記選択された作業状態データに対応するデータ処理の作業状態を前記選択された作業状態データに基づいて復元する作業状態復元手段と、
を備える医用データ生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−125555(P2012−125555A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244948(P2011−244948)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】