説明

医用情報サービス提供端末及びモバイル情報端末並びにそれらを用いてなる医用情報サービス提供システム

【課題】医用情報サービス提供システムを簡素化して導入ないし普及の促進を図る。
【解決手段】医用情報サービス提供端末1の情報処理手段11は、医用情報サービス提供プログラムに従って駆動され、モバイル情報端末から受信したアクセス要求に当該モバイル情報端末の識別符号と医用情報提供サービスの登録済符号が付されているか否かを判別し、登録済符号が付されていないときは、モバイル情報端末にモバイル情報端末プログラムの配信元のURLを通知してインストールを要求し、モバイル情報端末からインストール完了報告と登録済符号が送信されたとき、アクセスの内容に従って登録すべき医用情報を取り込んで、医用情報に識別符号を付してメモリに登録すると共に、メモリ内の医用情報をモバイル情報端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報サービス提供システムに係り、特にそのシステムに好適な医用情報サービス提供端末及びモバイル情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
自己の携帯電話などのモバイル情報端末に、自己の処方箋データ、薬歴データ、カルテデータ、検査データ等の医用情報を記憶させておき、必要な時に読み出して利用することが可能なモバイル情報端末が提案されている(特許文献1)。
【0003】
同文献の記載によれば、病院や医院等に設けられたサーバー等から専用通信回線などを介して、処方箋データやカルテデータなどの医用情報をモバイル情報端末で受信し、受信した医用情報を任意に検索可能な構造で記憶手段に記憶することが提案されている。これにより、例えば、患者が病院等を初診又は再診で訪れた際に、モバイル情報端末に記憶されている自己の医用情報を病院等に提供して診断に利用することが可能になるとしている。
【0004】
また、同文献の記載によれば、モバイル情報端末に記憶されている処方箋データを調剤薬局等にインターネットを経由して伝送したり、病院等で発行された処方箋シートを調剤薬局等に持参することにより、調剤薬局等において処方箋に基いて調剤情報が作成される。そして、新たに作成された調剤情報は、過去に処方された薬剤を含む薬歴データに加えられ、作成された薬歴データは調剤薬局等のサーバー等から専用通信回線などを介してモバイル情報端末に送信されて、上述と同様に、医用情報として任意に検索可能な構造で記憶手段に記憶することが提案されている。
【0005】
このように、特許文献1に記載のように、患者のモバイル情報端末に自己の医用情報を記憶させることにより、異なる病院等及び調剤薬局に始めて訪れた場合であっても、過去の自己の薬歴データ等を提供できるから、診断効率及び好ましくない薬剤の服用を回避することが可能になる。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の調剤薬局等のサーバー等は、患者の調剤情報の服用スケジュールをモバイル情報端末に送信して服用を促し、そのモバイル情報端末を所有する患者は服用済みの場合は、その旨を調剤薬局等のサーバー等に連絡する。調剤薬局等のサーバー等は、服用済みの連絡がない場合は、その患者又はその家族等に、服用を促すメッセージ又はアラームを患者又は家族等のモバイル情報端末に発報することが提案されている。また、調剤情報の服用スケジュールを患者が保有するモバイル情報端末内に準備したソフトウエアを用いて作成してもよく、この場合も、服用を促すメッセージ又はアラームを患者又は家族等のモバイル情報端末に発報することが提案されている。これにより、薬の飲み忘れ等を低減できる。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載の技術によれば、次のような効果が得られる。
(1)患者自ら医用情報を外部システムの影響を受けずに読み出して利用に供することができる。
(2)患者が調剤薬局や病院等の医用情報サービス提供側に簡単かつ正確に自己の医用情報を伝達できる。
(3)調剤薬局や病院等のサーバーとで医用情報を交換することにより患者個人が医用情報を管理更新が不要になる。
(4)医用情報サービス提供側は提供した医用情報を患者に簡単かつ正確に伝達できる。
(5)服用スケジュールに従って服用を促すメッセージ又はアラームを患者又は家族等のモバイル情報端末に発報しているから、薬の飲み忘れを低減できる。
【0008】
【特許文献1】特開2006−136478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムによれば、モバイル通信会社のサーバーや大規模ネットワークが必要であるから、医用情報サービス提供のシステムが大規模になることが導入ないし普及の障害となるおそれがある。また、患者のモバイル情報端末は、医用情報サービス提供システムに加入して、モバイル情報端末用のプログラムを予めメモリに記憶しておくことが要求されるから、導入ないし普及の障害となるおそれがある。
【0010】
また、患者自身がモバイル情報端末を操作できないような緊急事態が発生したとき、例えば病院等の医療機関がモバイル情報端末内に、その患者の医用情報が記憶されているか否か分からず、記憶されていたとしても、その患者の医用情報を見ることについて配慮されていない。
【0011】
本発明が解決しようとする第1の課題は、医用情報サービス提供システムを簡素化して導入ないし普及の促進を図ることにある。
【0012】
本発明が解決しようとする第2の課題は、第1の課題に加えて、患者自身がモバイル情報端末を操作できないような緊急事態において、例えば病院等の医療機関がモバイル情報端末内の医用情報を見ることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題1を解決するため、本発明の医用情報サービス提供端末は、情報処理手段と、該情報処理手段に接続されたプログラムメモリに格納された医用情報サービス提供プログラムと、前記情報処理手段に接続され個人別医用情報が記録される医用情報メモリと、前記情報処理手段に接続され外部のモバイル情報端末との間で通信回線を介して通信する通信手段と、前記情報処理手段に接続された入力手段を備えてなる。特に、前記情報処理手段は、前記医用情報サービス提供プログラムに従って駆動され、前記通信手段を介して前記モバイル情報端末からアクセス要求があったとき、該アクセス要求に当該モバイル情報端末の識別符号と医用情報提供サービスの登録済符号が付されているか否かを判別し、該判別結果が肯定のときであって前記アクセスの内容が新たな医用情報の登録要求の場合は、登録すべき前記医用情報を前記通信手段を介して前記モバイル情報端末から取り込み又は前記入力手段を介して取り込み、該取り込んだ前記医用情報に前記識別符号を付して前記医用情報メモリに登録するとともに、新たに登録した医用情報を前記通信手段を介して前記モバイル情報端末に送信することを含んでなることを特徴とする。
【0014】
すなわち、本発明の医用情報サービス提供システムは、調剤薬局や病院等に設置する医用情報サービス提供端末と、患者が保有する携帯電話などのモバイル情報端末とで構成できるから、モバイル通信会社のサーバー等を介することなく、簡素な構成で医用情報サービス提供システムを構築できるから、同システムの導入ないし普及の促進を図ることができる。
【0015】
また、第2の課題を解決する本発明の医用情報サービス提供端末は、前記情報処理手段は、前記アクセス要求に前記登録済符号が付されていないことにより前記判別結果が否定のときは、前記通信手段を介して前記モバイル情報端末にモバイル情報端末プログラムの配信元の通信アドレスを通知して、前記モバイル情報端末プログラムのインストールを要求し、該要求に応答して前記前記モバイル情報端末から前記通信手段を介して、前記モバイル情報端末プログラムのインストールの完了報告と前記登録済符号が送信されたとき、前記判別結果が肯定のときの処理を実行する構成とすることができる。
【0016】
これによれば、モバイル情報端末にモバイル情報端末プログラムがインストールされていなくても、医用情報サービス提供端末にアクセス要求すれば、モバイル情報端末プログラムの配信元の通信アドレスが通知されるから、モバイル情報端末プログラムを簡単にインストールすることができる。これにより、患者は調剤薬局等を訪れる前に自己のモバイル情報端末にモバイル情報端末プログラムをインストールする手続をしていない場合でも、その場でモバイル情報端末プログラムをインストールできるから、初めての場合であっても自己のモバイル情報端末に自己の医用情報を記憶させることができる。
【0017】
この場合、医用情報サービス提供端末とモバイル情報端末との間の交信(通信)は、赤外線通信又は専用通信回線を介して直接行うことが好ましいが、インターネットなどの通信ネットワークを介して行うこともできる。
【0018】
また、本発明の医用情報サービス提供端末の前記情報処理手段は、前記アクセス要求に付された識別符号と前記医用情報メモリに登録されている既登録の識別符号とを照合して一致するものがないとき、前記通信手段を介して前記モバイル情報端末に該モバイル情報端末のモバイル医用情報メモリに登録されている医用情報の送信を要求し、該要求に応答して前記モバイル情報端末から送信された医用情報を前記通信装置を介して取り込み、該取り込んだ医用情報を前記医用情報メモリに前記識別符号を付して登録する構成とすることができる。
【0019】
これによれば、患者が過去に訪れたことがない調剤薬局や病院等に初めて訪れた場合であっても、患者が保有する過去の医用情報を医用情報サービス提供端末に登録することができるから、薬剤履歴を誤りなく調剤薬局に提供できるので、好ましくない薬剤の組合せ等の情報サービスを受けることができ、あるいはカルテデータ等を誤りなく病院等に提供できるので、適確な診断を受けることに繋がる。
【0020】
さらに、本発明の医用情報サービス提供端末の前記情報処理手段は、前記モバイル情報端末からの前記アクセス要求の内容が新たな医用情報の登録要求ではなく、自己の前記医用情報メモリに登録されている過去の医用情報の送信要求のときは、過去の医用情報を前記通信手段を介して前記モバイル情報端末に送信する構成とすることができる。
【0021】
これによれば、モバイル情報端末の記憶手段に記憶されている医用情報を誤って消去した場合でも回復することができる。
【0022】
一方、本発明のモバイル情報端末は、情報処理手段と、該情報処理手段に接続されたプログラムメモリに格納されたモバイル情報端末用プログラムと、前記情報処理手段に接続され医用情報が記録されるモバイル医用情報メモリと、前記情報処理手段に接続され外部の医用情報提供サービス端末との間で通信回線を介して通信する通信手段と、前記情報処理手段に接続された入力手段と、情報を表示する表示手段を備えてなる。特に、前記情報処理手段は、前記モバイル情報端末用プログラムに従って駆動され、前記通信手段を介して外部の医用情報サービス提供端末に識別番号とモバイル情報端末の登録済符号を付して新たな医用情報の登録を要求し、該要求に応答して前記医用情報サービス提供端末から送信される前記新たな医用情報を前記通信手段を介して受信して自己のモバイル医用情報メモリに登録することを含んでなることを特徴とする。
【0023】
この場合において、本発明のモバイル情報端末の前記情報処理手段は、前記モバイル医用情報メモリに登録されている前記医用情報を前記表示手段に表示させる指令が前記入力手段から入力されたとき、暗証コードの入力を要求し、該要求に応答して入力される暗証コードを予め登録されている暗証コードと照合し、暗証コードが一致しているときに前記指令に応答して前記モバイル医用情報メモリに登録されている前記医用情報を読み出して前記表示手段に表示させる構成とすることができる。
【0024】
また、本発明のモバイル情報端末の前記入力手段は、緊急セキュリティ強制解除指令を入力する手段を有し、前記情報処理手段は、前記入力手段から緊急セキュリティ強制解除指令が入力されたとき、予め登録された緊急暗証コードの入力要求を前記表示手段に表示し、該入力要求に応答して前記入力手段から入力された緊急暗証コードと予め登録されている登録緊急暗証コードとを照合し、入力された緊急暗証コードが前記登録緊急暗証コードに一致しているときに前記緊急セキュリティ強制解除指令に応答して、前記モバイル医用情報メモリに登録されている前記医用情報を読み出して前記表示手段に表示させる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、医用情報サービス提供システムを簡素化して導入ないし普及の促進を図ることができる。また、患者自身がモバイル情報端末を操作できないような緊急事態において、例えば病院等の医療機関がモバイル情報端末内の医用情報を見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態の医用情報サービス提供端末とモバイル情報端末とからなる医用情報サービス提供システムについて説明する。
【0027】
図1は本実施形態の医用情報サービス提供システムの全体構成図、図2は医用情報サービス提供端末のブロック構成図、図3はモバイル情報端末のブロック構成図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の医用情報サービス提供システムは、パーソナルコンピュータなどにより構成される医用情報サービス提供端末1と、携帯電話又は携帯情報処理端末等により構成されるモバイル情報端末2と、医用情報サービス提供端末1にインストールされる医用情報サービス提供プログラム及びモバイル情報端末2にインストールされるモバイル情報端末用プログラムを配信する医用情報プログラム配信装置3を備え、それらはインターネットなどの通信ネットワーク4を介して通信可能に構成されている。また、医用情報サービス提供端末1とモバイル情報端末2は、専用通信回線5を介して通信可能に構成されている。専用通信回線5は、本実施形態では赤外線通信を例に説明するが、これに限らず、医用情報サービス提供端末1とモバイル情報端末2を有線又は無線の通信回線により直接接続する方式を採用することができる。ここで、無線通信による場合は、本実施形態で説明する赤外線通信の他、周知の無線方式による通信、例えば、モバイルフェリカ、ICタグ等の通信方式を採用できる。
【0029】
医用情報サービス提供端末1のハードウエア構成は、図2に示すように、CPUなどの情報処理手段11と、医用情報サービス提供プログラムと個人別医用情報を記憶する記憶手段であるメモリ12と、通信ネットワーク4に接続された通信手段(I)13と、モバイル情報端末2と赤外線通信する通信手段(II)14と、キーボードなどの入力手段15と、表示手段16を備えて構成されている。
【0030】
一方、モバイル情報端末2のハードウエア構成も同様に、情報処理手段21と、モバイル医用情報を記憶する記憶手段であるメモリ22と、通信ネットワーク4に接続された通信手段(I)23と、医用情報サービス提供端末1と赤外線通信する通信手段(II)24と、操作キーなどの入力手段25と、表示手段26を備えて構成されている。
【0031】
次に、医用情報サービス提供端末1とモバイル情報端末2の詳細構成について、図4〜図7に示したフローチャートを参照して、動作とともに説明する。なお、説明を分かりやすくするために、調剤薬局に設置された医用情報サービス提供端末1を例に説明する。
(医用情報サービス提供端末)
図4は、医用情報サービス提供端末1のメモリ12にインストールされている医用情報サービス提供プログラムの処理手順の一例である。また、図5〜図7は、モバイル情報端末2の一般的な情報処理の処理手順及びモバイル情報端末2にインストールされるモバイル情報端末用プログラムの処理手順の一例である。
【0032】
図4において、医用情報サービス提供端末1は、図1に示す医用情報プログラム配信装置3にアクセスして、医用情報サービス提供プログラムが既にインストールされているものとする。例えば、医用情報サービス提供端末1は、医用情報プログラム配信装置3を開設している機関のホームページにアクセスして、医用情報サービス提供端末となる登録手続を行なうとともに、医用情報サービス提供プログラムをダウンロードすることによりインストールする。
【0033】
図4:(S101)
患者が調剤薬局に訪れたとき、医用情報サービス提供端末1は患者が保有するモバイル情報端末2と交信する(S101)。この交信は、医用情報サービス提供端末1とモバイル情報端末2が、共に赤外通信可能な通信手段(II)14、24を備えているときは、赤外通信で行なうのが好ましい。本実施形態では、赤外通信可能な通信手段(II)14、24で交信するものとして説明する。
【0034】
しかし、いずれか一方が赤外通信可能でない場合は、医用情報サービス提供端末1とモバイル情報端末2を有線又は無線で直接つなぐ専用通信回線を用いることができる。さらに、調剤薬局の店頭で、医用情報サービス提供端末1の通信アドレスを口頭で聞き、モバイル情報端末2からそのアドレスを入力して通信ネットワーク4を介して、通信手段(I)13,23により交信することも可能である。また、モバイル情報端末2から通信ネットワーク4を介して調剤薬局の名称を検索して、該当する調剤薬局の医用情報サービス提供端末1にアクセスすることも可能である。
【0035】
(S102)
医用情報サービス提供端末1とモバイル情報端末2との交信が行なわれると、医用情報サービス提供プログラムは交信しているモバイル情報端末2のアクセス要求に、モバイル情報端末2の識別符号と医用情報提供サービスの登録済符号が付されているか否かを判別する。この判断で、アクセス要求に登録済符号が付されているときは、S105に進む。
【0036】
(S103)
S102の判断で、アクセス要求に登録済符号が付されていないときは、通信手段(II)を介してモバイル情報端末2にモバイル情報端末プログラムの配信元の通信アドレス(URL)を通知して、モバイル情報端末プログラムをダウンロード(DL)して同プログラムのインストールを要求する。なお、URLを通知する方法として、医用情報サービス提供端末1の表示手段16にURLをバーコード形式で表示し、モバイル情報端末2のバーコードリーダを使って表示されたバーコードを読み込むようにすることもできる。また、バーコードリーダを備えていないモバイル情報端末2の場合は、患者のモバイル情報端末2のメールアドレスを医用情報サービス提供端末1の入力手段15から入力し、通信手段(I)13から通信ネットワーク4を介してモバイル情報端末2にURLを送信して、モバイル情報端末プログラムのダウンロード(DL)を要求することもできる。
【0037】
(S104)
S103の要求をした後、モバイル情報端末2からモバイル情報端末プログラムのダウンロード(DL)完了信号を受信したとき、医用情報提供サービスの登録済符号を確認し、いずれも適正な場合はS105に進む。
【0038】
(S105)
ここでは、メモリ12を検索して、アクセス要求に付されたモバイル情報端末2の識別符号又は登録済符号に一致する過去の医用情報が記憶されているか否かを調べ、過去に来店した患者か否かを判断する。初めて来店した患者の場合はS106に進み、過去に来店した患者の場合はS108に進む。
【0039】
(S106)
S105の判断で、初めて来店した患者の場合は、患者のモバイル情報端末2に記録されている過去の処方箋データ(医用情報)の送信を要求する。
【0040】
(S107)
S106の要求に応答して、モバイル情報端末2から処方箋データが送信されたときは、送信された処方箋データにモバイル情報端末2の識別符号を付してメモリ12に登録する。
【0041】
(S108)
S105の判断が過去に来店した患者の場合、又はS107で送信された処方箋データにモバイル情報端末2の識別符号を付してメモリ12に登録したとき、モバイル情報端末2の要求が、新たな処方箋データの登録要求か否かを判断する。
【0042】
(S109)
S108の判断で、モバイル情報端末2の要求が新たな処方箋データの登録要求の場合は、新たな処方箋データを入力又は取り込む。この入力又は取り込み方法は、処方箋データがシートに書き込まれたものの場合は、イメージスキャナなどの読取装置により処方箋データを読み取り、電子データに変換して取り込む。また、病院などによりモバイル情報端末2に処方箋データが電子データで書き込まれている場合は、通信手段(II)14を介してモバイル情報端末2から取り込むことができる。あるいは、処方箋データの内容を、入力手段15を介して打ち込んで入力する。
【0043】
(S110)
S109で入力された処方箋データにモバイル情報端末2の識別符号を付してメモリ12に登録する。
【0044】
(S111)
ここでは、新たにメモリ12に登録した処方箋データをモバイル情報端末2に送信して終了する。
【0045】
(S112)
S108の判断で、新たな処方箋データの登録要求ではなく、過去の処方箋データの読出し要求の場合は、メモリ12にアクセスして要求に係る識別符号の過去の処方箋データを全て読み出して、モバイル情報端末2に送信して終了する。これにより、モバイル情報端末2を紛失、買い替え等によりモバイル情報端末2内の処方箋データを復旧したいときには、直近で訪れた錠剤薬局に新しいモバイル情報端末2を持って行って過去の処方箋データの読出し要求することができる。
【0046】
このように構成されることから、本実施形態の医用情報サービス提供端末1によれば、医用情報サービスシステムに登録していない初めて来店する患者に対しても、モバイル情報端末プログラムの配信元のアドレス(URL)を通知して、そのダウンロードを要求するようにしているから、患者は簡単な手続で医用情報サービス提供を受けることができる。
【0047】
また、医用情報サービス提供端末1とモバイル情報端末2だけで簡素なシステムを安価に構築できるから、医用情報サービス提供システムの導入ないし普及の促進を図ることができる。
【0048】
さらに、図4に示した医用情報サービス提供端末プログラムには記載していないが、処方箋データに示された服用方法に沿って、服用を促すためのアラームなどを通信ネットワーク4を介してモバイル情報端末2に送信することができる。これにより、患者の服用忘れなどを低減できる。また、処方期間を超過しそうな場合にも、モバイル情報端末2にアラームを発報することができる。また、医用情報サービス提供端末プログラムには患者に対する独自に発想するサービスを加えることにより、リピート率を向上させることができる。
(モバイル情報端末)
次に、本実施形態のモバイル情報端末2にインストールされたモバイル情報端末プログラムの処理手順について、図5〜図7を参照して詳細に説明する。
【0049】
図5は、モバイル情報端末2が、図1に示す医用情報プログラム配信装置3にアクセスして、モバイル情報端末プログラムをダウンロードしてモバイル情報端末となる登録手続を行なう手順を示している。まず、モバイル情報端末2は、通信ネットワーク4を介して医用情報プログラム配信装置3を開設している機関のホームページにアクセスして、モバイル情報端末プログラムをダウンロードすることによりインストールする(S200)。そして、同時に、モバイル情報端末2となる登録手続を行なって、登録符号の入手、及び暗証コードの登録を行なう(S201)。
【0050】
図6は、図4で説明した医用情報サービス提供端末1の処理手順に対応するモバイル情報端末2の処理手順を示している。まず、通信手段(II)24を介して医用情報サービス提供端末1と交信を開始し、アクセス要求に付してモバイル情報端末の識別符号及び登録済符号を送信する(S201)。ここで、モバイル情報端末の識別符号として、一般に携帯電話などに用意されている機器の固有番号を用いることができる。
【0051】
これに対して、医用情報サービス提供端末1からモバイル情報端末プログラムのダウンロード要求を受信した場合、患者は自己のモバイル情報端末2は医用情報サービスの提供を受けるために必要な登録をしていないことに気付く(S202)。
【0052】
そこで、図5に示したように、患者は通知されたURLの医用情報プログラム配信装置3にアクセスして、モバイル情報端末プログラムをダウンロードして、自己のモバイル情報端末2にインストールすると共に、自己のモバイル情報端末2の識別符号を登録し、かつ登録符号の交付を受ける(S203)。
【0053】
次いで、患者はモバイル情報端末2を操作して、モバイル情報端末プログラムをダウンロードが完了した旨を、医用情報サービス提供端末1に送信する(S204)。
【0054】
これに応答して医用情報サービス提供端末1から送信される処方箋データを受信して、メモリ22に登録する(S205)。この登録のデータ形式は、モバイル情報端末プログラムに定められている。
【0055】
次いで、患者はモバイル情報端末2を操作して、メモリ22に登録された処方箋データの内容を表示手段26に表示させて内容を確認し、医用情報サービス提供端末1との交信を終了する。
【0056】
一方、S202の判断で、医用情報サービス提供端末1からモバイル情報端末プログラムのダウンロード要求を受信しない場合は、S210に進んで、新たな処方箋データの登録要求、又は登録されている全ての処方箋データの送信を要求して、S205に進む。
【0057】
また、S206の処方箋の確認に並行し、又はその後に、処方箋データに示された服用方法に沿って、服用を促すためのアラームなどを発報するためのプログラムを起動して、医用情報サービス提供端末1との交信を終了する。
【0058】
ここで、服用を促すためのアラームなどを発報するためのアラーム発報プログラムの一例の手順を図8に示す。アラーム発報プログラムは、定期的に、服用についてアラームを出すメニューが選択されたか否かを監視する(S220)。選択されていなければ、S220に戻って定期的に監視する。アラームを出すメニューが選択されていれば、アラーム発報プログラムは、処方箋データの服用方法を参照し、例えば、朝晩の2回服用する場合は、毎日の朝晩の設定された時間を監視して、時間がきたら服用アラームを発報する(S221)。この発報に応答して、患者がモバイル情報端末を操作して服用したことを入力すれば、服用済みを登録するようにすることができる。また、服用アラームの発報前に、患者がモバイル情報端末を操作して服用したことを入力すれば、服用済みを登録すると共に、服用アラームを発報させないようにすることもできる。
【0059】
このように、本実施形態のモバイル情報端末2によれば、モバイル情報端末プログラムをダウンロードしていなくても、また医用情報サービス提供のシステムに未登録であっても、そのシステムに登録されている調剤薬局を訪れることにより、簡単にそのシステムに登録することができるから、医用情報サービス提供を受けることができる。したがって、医用情報サービス提供システムの導入ないし普及の促進を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態のモバイル情報端末プログラムによれば、処方箋データに示された服用方法に沿って、服用を促すためのアラームなどが発報されるから、服用忘れなどを低減できる。
【0061】
次に、図7を参照して、モバイル情報端末2内のメモリ22に記憶されている処方箋データを表示手段26に表示させて参照する処理手順を説明する。処方箋データなどの医用情報は、基本的に患者本人あるいは家族等の予め定めた人のみが参照可能にするため、予め設定された暗証コードを入力しなければメモリ22内の処方箋データを参照できないセキュリティプログラムが組み込まれている。
【0062】
図7に示すように、モバイル情報端末プログラムは、モバイル情報端末2の入力手段25の操作キーから処方箋データの参照要求が入力されると(S230)、その要求が緊急セキュリティ強制解除指令か否かを判断する(S231)。緊急セキュリティ強制解除指令でなければ、表示手段26に暗証コードの入力を要求する画面を表示する(S232)。これに応答して、入力手段25から暗証コードが入力されると、入力された暗証コードが予め登録されている登録暗証コードと一致するか否か照合する(S233)。入力された暗証コードが適正であれば、処方箋の表示内容を選択できるメニュー画面を表示手段26に表示する(S234)。メニュー画面により参照したい処方箋データが指定されると、情報処理手段21は指定された処方箋データをメモリ22から読み出して表示手段26に表示する(S235)。これにより、所望の処方箋データを参照することができる。ここで、メニュー画面には、最新の処方箋データあるいは過去の処方箋データを選択するメニュー、選択された処方箋データのうち薬剤の種類、薬剤の量、服用方法及びタイミング、薬剤の効能、その他の情報を選択可能なメニューが用意されている。
【0063】
次に、モバイル情報端末プログラムに準備することが好ましい緊急セキュリティ強制解除プログラムについて説明する。患者自身が緊急事態によりモバイル情報端末2を操作できなくなった場合、救命士や医療関係者等の第三者がモバイル情報端末2を操作して処方箋データなどの医用情報を参照して、患者の既往歴等を知ることができれば、適切な緊急措置を行うことが可能になる。
【0064】
そこで、モバイル情報端末プログラムに緊急セキュリティ強制解除の機能を持たせることができる。具体的には、図7の処理手順に示したように、モバイル情報端末2の入力手段25の操作キーから処方箋データの参照要求が入力されると(S230)、その要求が緊急セキュリティ強制解除指令か否かを判断する(S231)。すなわち、操作キーから処方箋データの参照要求があると、表示手段26の画面に「緊急セキュリティ強制解除」のメニューが表示されるようにしておく。救命士等が操作キーによって「緊急セキュリティ強制解除」のメニューを選択すると、緊急セキュリティ強制解除プログラムは表示手段26の画面に予め登録された「緊急暗証コードの入力」を要求する(S241)。これに応答して、救命士等が操作キーから「緊急暗証コード」を入力すると、入力された緊急暗証コードが予め緊急セキュリティ強制解除プログラムに設定されている緊急暗証コードと照合し、適正であれば緊急セキュリティ強制解除を行なってS234に移行して、上述した処方箋の参照手順に従って処方箋データの内容を救命士等の第三者により参照することができる。
【0065】
また、モバイル情報端末2の携帯電話などの待ち受け画面に医用情報が記憶されていることを示すアイコンなどのマークを表示すれば、救命士等が容易にそのモバイル情報端末に医用情報が記憶されていることを知ることができる。
【0066】
なお、「緊急暗証コード」は、医用情報プログラム配信装置3を管理する機関により、救命士を管理する機関あるいは医療機関等に予め登録した緊急暗証コードを通知することができる。これに代えて、表示手段26の画面のメニューに表示される「緊急セキュリティ強制解除」を操作すると、通信手段(I)23を介して医用情報プログラム配信装置3にアクセス可能にしておき、医用情報プログラム配信装置3から緊急暗証コードに相当する医療機関等の登録暗証コードの入力を要求し、適正な登録暗証コードが入力されたときに、医用情報プログラム配信装置3からモバイル情報端末2の緊急セキュリティ強制解除を実行するようにしても良い。
【0067】
なお、上記実施形態では、自己の処方箋データをモバイル情報端末に記憶させることを例に説明したが、本発明の医用情報はこれに限らず、薬歴データ、カルテデータ、検査データ等の医用情報をモバイル情報端末に記憶させるようにすることができる。
【0068】
特に、医療現場では緊急を要する手術を行なう際、血液検査を行い、残留薬等の検査を行なっており、これは非常に時間がかかる場合が多い。このため、検査時間によっては手術遅れの原因になることもあるため、本実施形態のモバイル情報端末に記憶された医用情報により、例えば、血液中の残留薬の見当をつけることもできる。これにより、速やかな処置に入ることができる。
【0069】
さらに、緊急セキュリティ強制解除プログラムには、処方箋データの内容を表示する仕組みに加えて、その他の医用情報(薬歴、病歴など)を表示させることができる。また、家族や親族等の緊急連絡先や本人情報を入力させるようにしておき、緊急時にそれらの内容を表示手段に表示させるようにすれば、家族等への連絡及び本人の身元判明を早期に行うことができる。また、緊急セキュリティ強制解除操作が行われたとき、予め登録しておいたメールアドレスに自動的にメールなどが発信されるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態の医用情報サービス提供システムの全体構成図である。
【図2】本実施形態の医用情報サービス提供端末のブロック構成図である。
【図3】本実施形態のモバイル情報端末のブロック構成図である。
【図4】医用情報サービス提供端末にインストールされている医用情報サービス提供プログラムの一実施形態の処理手順である。
【図5】モバイル情報端末にインストールされている一般的な情報処理プログラムの処理手順である。
【図6】モバイル情報端末にインストールされるモバイル情報端末用プログラムの一実施形態の一部の処理手順である。
【図7】モバイル情報端末にインストールされるモバイル情報端末用プログラムの一実施形態の一部の処理手順である。
【図8】モバイル情報端末にインストールされるアラーム発報プログラムの一実施形態の処理手順である。
【符号の説明】
【0071】
1 医用情報サービス提供端末
2 モバイル情報端末
3 医用情報プログラム配信装置
4 通信ネットワーク
5 専用通信回線
11、21 情報処理手段
12、22 メモリ
13、23 通信手段(I)
14、24 通信手段(II)
15、25 入力手段
16、26 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理手段と、該情報処理手段に接続されたプログラムメモリに格納された医用情報サービス提供プログラムと、前記情報処理手段に接続され個人別医用情報が記録される医用情報メモリと、前記情報処理手段に接続され外部のモバイル情報端末との間で通信回線を介して通信する通信手段と、前記情報処理手段に接続された入力手段を備えてなる医用情報サービス提供端末であって、前記情報処理手段は、前記医用情報サービス提供プログラムに従って駆動され、前記通信手段を介して前記モバイル情報端末からアクセス要求があったとき、該アクセス要求に当該モバイル情報端末の識別符号と医用情報提供サービスの登録済符号が付されているか否かを判別し、該判別結果が肯定のときであって前記アクセスの内容が新たな医用情報の登録要求の場合は、登録すべき前記医用情報を前記通信手段を介して前記モバイル情報端末から取り込み又は前記入力手段を介して取り込み、該取り込んだ前記医用情報に前記識別符号を付して前記医用情報メモリに登録するとともに、新たに登録した医用情報を前記通信手段を介して前記モバイル情報端末に送信することを含んでなる医用情報サービス提供端末。
【請求項2】
請求項1に記載の医用情報サービス提供端末において、
前記情報処理手段は、前記アクセス要求に前記登録済符号が付されていないことにより前記判別結果が否定のときは、前記通信手段を介して前記モバイル情報端末にモバイル情報端末プログラムの配信元の通信アドレスを通知して、前記モバイル情報端末プログラムのインストールを要求し、該要求に応答して前記前記モバイル情報端末から前記通信手段を介して、前記モバイル情報端末プログラムのインストールの完了報告と前記登録済符号が送信されたとき、前記判別結果が肯定のときの処理を実行することを特徴とする医用情報サービス提供端末。
【請求項3】
請求項1に記載の医用情報サービス提供端末において、
前記情報処理手段は、前記アクセス要求に付された識別符号と前記医用情報メモリに登録されている既登録の識別符号とを照合して一致するものがないとき、前記通信手段を介して前記モバイル情報端末に該モバイル情報端末のモバイル医用情報メモリに登録されている医用情報の送信を要求し、該要求に応答して前記モバイル情報端末から送信された医用情報を前記通信装置を介して取り込み、該取り込んだ医用情報を前記医用情報メモリに前記識別符号を付して登録することを特徴とする医用情報サービス提供端末。
【請求項4】
請求項1に記載の医用情報サービス提供端末において、
前記情報処理手段は、前記モバイル情報端末からの前記アクセスの内容が新たな医用情報の登録要求ではなく、自己の前記医用情報メモリに登録されている過去の医用情報の送信要求のときは、過去の医用情報を前記通信手段を介して前記モバイル情報端末に送信することを特徴とする医用情報サービス提供端末。
【請求項5】
情報処理手段と、該情報処理手段に接続されたプログラムメモリに格納されたモバイル情報端末用プログラムと、前記情報処理手段に接続され医用情報が記録されるモバイル医用情報メモリと、前記情報処理手段に接続され外部の医用情報提供サービス端末との間で通信回線を介して通信する通信手段と、前記情報処理手段に接続された入力手段と、情報を表示する表示手段を備えてなるモバイル情報端末であって、
前記情報処理手段は、前記モバイル情報端末用プログラムに従って駆動され、前記通信手段を介して外部の医用情報サービス提供端末に識別番号とモバイル情報端末の登録済符号を付して新たな医用情報の登録を要求し、該要求に応答して前記医用情報サービス提供端末から送信される前記新たな医用情報を前記通信手段を介して受信して自己のモバイル医用情報メモリに登録することを含んでなるモバイル情報端末。
【請求項6】
請求項5に記載のモバイル情報端末において、
前記情報処理手段は、前記モバイル医用情報メモリに登録されている前記医用情報を前記表示手段に表示させる指令が前記入力手段から入力されたとき、暗証コードの入力を要求し、該要求に応答して入力される暗証コードを予め登録されている暗証コードと照合し、暗証コードが一致しているときに前記指令に応答して前記モバイル医用情報メモリに登録されている前記医用情報を読み出して前記表示手段に表示させることを特徴とするモバイル情報端末。
【請求項7】
請求項6に記載のモバイル情報端末において、
前記入力手段は、緊急セキュリティ強制解除指令を入力する手段を有し、
前記情報処理手段は、前記入力手段から緊急セキュリティ強制解除指令が入力されたとき、予め登録された緊急暗証コードの入力要求を前記表示手段に表示し、該入力要求に応答して前記入力手段から入力された緊急暗証コードと予め登録されている登録緊急暗証コードとを照合し、入力された緊急暗証コードが前記登録緊急暗証コードに一致しているときに前記緊急セキュリティ強制解除指令に応答して、前記モバイル医用情報メモリに登録されている前記医用情報を読み出して前記表示手段に表示させることを特徴とするモバイル情報端末。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれかに記載の医用情報サービス提供端末と、請求項5乃至7のいずれかに記載のモバイル情報端末とを備えてなる医用情報サービス提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−67237(P2010−67237A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235742(P2008−235742)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】