説明

医用情報処理装置、医用情報処理方法及びプログラム

【課題】文字集合が異なる装置間の連携を図る。
【解決手段】医用情報処理装置では、モダリティにおける検査を依頼するためのモダリティワークリストをRISから取得する(ステップS3)。次に、モダリティワークリストの特定文字集合に応じて、モダリティワークリストから第1の文字情報(患者名、患者コメント、検査記述等)を抽出し、記憶部に一時的に記憶させておく(ステップS4)。次に、モダリティワークリストからモダリティが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除し(ステップS5)、モダリティに送信する(ステップS7)。そして、モダリティから受信したDICOM画像ファイルのヘッダ情報に、記憶部に記憶されている第1の文字情報を書き込み(ステップS10)、第1の文字情報が書き込まれたDICOM画像ファイルを画像サーバに送信する(ステップS11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報処理装置、医用情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院に設置されたモダリティ(画像撮影装置)では、診察医の指示による検査依頼情報に基づいて、患者の撮影が行われている。病院内においては、複数の検査依頼情報に基づき、複数の装置を用いて検査が行われるため、複数の装置に対する医用画像作成業務におけるワークフローを統一的に管理する医用画像作成業務管理方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、ワークリストを簡単に作成することができ、複数の装置からの要求に応じてワークリストを送信することができる。
【0003】
近年、医療施設内の各装置のマルチベンダ化が進んでおり、装置毎に使用可能な文字の範囲(文字集合)が定められている。文字集合とは、国際標準や工業規格で定められている、文字の集まりである。文字集合の種類として、ISO_IR 100(ラテン1(西ヨーロッパ))、ISO_IR 101(ラテン2(東ヨーロッパ))、ISO 2022 IR 87(ひらがな、カタカナ、第一水準漢字、第二水準漢字)、GB18030(簡体字中国語他)、ISO_IR 192(繁体字中国語他)等が挙げられる。
【0004】
例えば、「電子カルテ」から「RIS(Radiological Information System:放射線情報システム)」に検査依頼がなされ、「RIS」から「モダリティ」に撮影条件を含む検査依頼情報が送信され、「モダリティ」において生成された検査画像を「画像サーバ」に登録し、「画像サーバ」に登録された検査画像を「参照端末」から読影するシステムでは、システム内の各装置が対応可能な文字集合が統一されている場合(全ての装置が中国語に対応している場合等)には、問題なく情報のやり取りを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−70817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、モダリティの多くは欧米製であり、台湾・韓国等のアジアの各国では、輸入に頼っている。欧州や米国の扱う文字集合に比べ、アジアの文字は各国で異なり、また、文字数も多い。そのため、欧米製のモダリティに対する多言語対応の要求は高いが、充分に対応できていないのが現状である。
【0007】
従来は、モダリティと、それに接続され得る装置の文字集合を合わせる必要があるため、画像サーバやビューアが欧米製のモダリティに合わせ、患者名等の各種文字情報を英数字(ASCII)に制限することで、医用画像の保存や読影を行っていた。
【0008】
例えば、上記のシステムにおいて、「電子カルテ」、「RIS」、「画像サーバ」及び「参照端末」は中国語に対応しているが、「モダリティ」は英語のみに対応している場合、「モダリティ」で生成された検査画像を保存する「画像サーバ」においても、英語に限定した情報のみとなり、その結果、「参照端末」から参照できる情報も英語のみとなっていた。このように、システム内の各装置が対応可能な文字集合が統一されていない場合には、使用可能な文字が少ない文字集合の装置を通過した段階で、より前段の装置において使用可能であった情報が失われてしまうという問題があった。
このように、文字集合が異なる装置間では、一方の装置が有する全ての情報を他方の装置に伝えることができず、情報の連携を図ることが困難であった。
【0009】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、文字集合が異なる装置間の連携を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、モダリティにおける検査を依頼するための検査依頼情報を取得する取得手段と、前記取得された検査依頼情報から、当該検査依頼情報の文字集合に応じて予め定められた第1の文字情報を抽出し、当該抽出された第1の文字情報を記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、前記取得された検査依頼情報から、前記モダリティが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除する削除手段と、前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報を前記モダリティに送信する送信手段と、前記モダリティにおいて前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報に基づく検査により得られた医用画像ファイルを前記モダリティから受信する受信手段と、前記受信された医用画像ファイルのヘッダ情報に、前記記憶手段に記憶されている第1の文字情報を書き込む書き込み手段と、を備え、前記第1の文字情報は、少なくとも前記第2の文字情報の一部を含む医用情報処理装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、前記第1の文字情報は、英数字以外の文字情報を含む。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用情報処理装置において、前記第1の文字情報は、患者名、患者コメント、検査記述、検査コメント又は医師名を含む。
【0013】
請求項4に記載の発明は、モダリティにおける検査を依頼するための検査依頼情報を取得する取得工程と、前記取得された検査依頼情報から、当該検査依頼情報の文字集合に応じて予め定められた第1の文字情報を抽出し、当該抽出された第1の文字情報を記憶手段に記憶させる記憶制御工程と、前記取得された検査依頼情報から、前記モダリティが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除する削除工程と、前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報を前記モダリティに送信する送信工程と、前記モダリティにおいて前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報に基づく検査により得られた医用画像ファイルを前記モダリティから受信する受信工程と、前記受信された医用画像ファイルのヘッダ情報に、前記記憶手段に記憶されている第1の文字情報を書き込む書き込み工程と、を含み、前記第1の文字情報は、少なくとも前記第2の文字情報の一部を含む医用情報処理方法である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、コンピュータを、モダリティにおける検査を依頼するための検査依頼情報を取得する取得手段、前記取得された検査依頼情報から、当該検査依頼情報の文字集合に応じて予め定められた第1の文字情報を抽出し、当該抽出された第1の文字情報を記憶手段に記憶させる記憶制御手段、前記取得された検査依頼情報から、前記モダリティが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除する削除手段、前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報を前記モダリティに送信する送信手段、前記モダリティにおいて前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報に基づく検査により得られた医用画像ファイルを前記モダリティから受信する受信手段、前記受信された医用画像ファイルのヘッダ情報に、前記記憶手段に記憶されている第1の文字情報を書き込む書き込み手段、として機能させるためのプログラムであって、前記第1の文字情報は、少なくとも前記第2の文字情報の一部を含むプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、文字集合が異なる装置間の連携を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】医用画像システムのシステム構成図である。
【図2】医用情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】DICOM画像ファイルの構成を示す図である。
【図4】RIS、医用情報処理装置、モダリティ及び画像サーバにおいて実行される処理を示すラダーチャートである。
【図5】医用情報処理装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【図6】RISから取得されたモダリティワークリストの例である。
【図7】DICOMタグ(0008,0005)に記述される内容と、その意味する特定文字集合との対応関係を示す図である。
【図8】編集後のモダリティワークリストの例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[医用画像システムのシステム構成]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、医用画像システム100は、電子カルテシステム10と、RIS(放射線情報システム)20と、医用情報処理装置30と、モダリティ40A,40B,40Cと、画像サーバ50と、参照端末60と、図示しないその他の装置とから構成されており、各装置は通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0018】
なお、医用画像システム100では、電子カルテシステム10、RIS20、医用情報処理装置30、画像サーバ50及び参照端末60については、対応可能な文字集合が一致しているが、モダリティ40A,40B,40Cについては、他の装置と対応可能な文字集合が異なっている。
【0019】
電子カルテシステム10は、診療録データ(患者の病状や診断結果等の情報)や処方データ等を記憶し、管理する。電子カルテシステム10は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)等により構成される制御部、ハードディスク等の記憶部、外部機器とのデータ通信を行う通信部等を備える。電子カルテシステム10は、RIS20に対して、画像検査依頼を送信する。
【0020】
RIS20は、放射線科部門内における診療予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫管理等の情報管理を行う。RIS20は、CPU及びRAM等により構成される制御部、ハードディスク等の記憶部、外部機器とのデータ通信を行う通信部等を備える。RIS20は、電子カルテシステム10から受信した画像検査依頼に基づいて、モダリティ40A,40B,40Cにおける検査を依頼するための検査依頼情報を作成する。本実施の形態では、検査依頼情報として、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に準拠したモダリティワークリスト(Modality WorkList:MWL)を作成する場合について説明する。RIS20は、モダリティワークリストを医用情報処理装置30に送信する。
【0021】
モダリティワークリストには、特定文字集合、AE(Application Entity)タイトル、モダリティ種、撮影条件情報(部位、方向、左右、管電圧、管電流、機材等)、検査情報(検査インスタンスUID、検査日付、検査記述、検査コメント、実施医師名、受付番号等)、患者情報(患者ID、患者名、生年月日、性別、患者コメント等)等が含まれる。
【0022】
医用情報処理装置30は、RIS20から取得したモダリティワークリストを編集し、編集後のモダリティワークリストを、検査が行われるモダリティ40A,40B,40Cに送信する。
【0023】
図2に、医用情報処理装置30の機能的構成を示す。図2に示すように、医用情報処理装置30は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、ROM(Read Only Memory)35、記憶部36を備えて構成され、各部はバス37により接続されている。
【0024】
制御部31は、CPU、RAM等から構成され、医用情報処理装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、操作部32から入力される操作信号又は通信部34により受信される指示信号に応じて、ROM35に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、RAM内に形成されたワークエリアに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0025】
操作部32は、カーソルキー、文字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部31に出力する。
【0026】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、制御部31から入力される表示データに基づいて各種画面を表示する。
【0027】
通信部34は、LAN(Local Area Network)アダプタ、ルータ、TA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNを介して接続されたRIS20、モダリティ40A,40B,40C、画像サーバ50等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0028】
ROM35は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。ROM35には、医用情報処理プログラム351が記憶されている。
【0029】
記憶部36は、半導体メモリやハードディスク等から構成される記憶装置である。記憶部36には、RIS20から取得したモダリティワークリスト、モダリティ40A,40B,40Cにおいて生成された医用画像ファイルとしてのDICOM画像ファイル等が記憶される。図3に示すように、DICOM画像ファイルは、医用画像の画像データ(以下、医用画像データという。)にヘッダ情報が付帯されている。
【0030】
また、記憶部36には、第1参照テーブル361、第2参照テーブル362が記憶されている。
第1参照テーブル361には、モダリティワークリストの文字集合と、モダリティワークリストの文字集合に応じて予め定められた抽出項目と、が対応付けられている。抽出項目は、モダリティワークリストに含まれる文字情報のうち、医用情報処理装置30内に一時的に記憶させておくための文字情報を示す項目である。抽出項目として、患者名、患者コメント、検査記述、検査コメント、医師名等が挙げられる。
【0031】
第2参照テーブル362には、医用画像システム100内のモダリティ40A,40B,40CのAEタイトルと、当該モダリティ40A,40B,40Cが対応可能な文字集合と、が対応付けられている。
【0032】
制御部31は、通信部34を介してRIS20からモダリティワークリストを取得する。
【0033】
制御部31は、取得されたモダリティワークリストから、モダリティワークリストの特定文字集合(モダリティワークリストがいずれの文字集合で記述されているかを示す情報)を取得する。制御部31は、記憶部36に記憶されている第1参照テーブル361を参照し、取得された特定文字集合に対応する抽出項目を読み出す。制御部31は、この抽出項目に従って、モダリティワークリストから第1の文字情報を抽出し、当該抽出された第1の文字情報をモダリティワークリストに含まれる患者ID及び検査インスタンスUIDと対応付けて記憶部36に記憶させる。第1の文字情報には、モダリティワークリストに含まれる文字情報のうち、少なくとも、送信先のモダリティ40A,40B,40Cが対応不可能な文字集合で記述された文字情報(後述する第2の文字情報)の一部が含まれる。また、第1の文字情報には、英数字以外の文字情報(日本語、中国語、韓国語等)が含まれる。また、第1の文字情報には、患者名、患者コメント、検査記述、検査コメント、医師名等が含まれる。
【0034】
制御部31は、取得されたモダリティワークリストからAEタイトルを取得する。制御部31は、記憶部36に記憶されている第2参照テーブル362を参照し、抽出されたAEタイトルに対応する文字集合(AEタイトルにより特定されるモダリティ40A,40B,40Cが対応可能な文字集合)を読み出す。制御部31は、このモダリティ40A,40B,40Cが対応可能な文字集合に基づいて、モダリティワークリストからモダリティ40A,40B,40Cが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除し、第2の文字情報が削除されたモダリティワークリスト(編集後のモダリティワークリスト)を記憶部36に記憶させる。
【0035】
制御部31は、通信部34を介してモダリティ40A,40B,40Cからモダリティワークリストの取得要求(DICOM規格に則ったC−FIND要求)を受信すると、取得要求に含まれるAEタイトルに基づいて、当該AEタイトルに対応する編集後のモダリティワークリストを記憶部36から読み出す。そして、制御部31は、読み出された編集後のモダリティワークリストを、通信部34を介してモダリティ40A,40B,40Cのうち、AEタイトルに対応するモダリティに送信する。
【0036】
制御部31は、第2の文字情報が削除されたモダリティワークリストに基づく検査により得られた医用画像ファイル(DICOM画像ファイル)を、通信部34を介してモダリティ40A,40B,40Cのうち、いずれかのモダリティから受信する。
制御部31は、受信されたDICOM画像ファイルのヘッダ情報に、記憶部36に記憶されている第1の文字情報を書き込む。具体的には、制御部31は、受信されたDICOM画像ファイルのヘッダ情報から患者ID及び検査インスタンスUIDを取得し、取得された患者ID及び検査インスタンスUIDに対応する第1の文字情報を記憶部36から読み出し、DICOM画像ファイルのヘッダ情報に第1の文字情報を書き込む。
制御部31は、ヘッダ情報に第1の文字情報が書き込まれたDICOM画像ファイルを、通信部34を介して画像サーバ50に送信する。
【0037】
モダリティ40A,40B,40Cは、患者を撮影する画像撮影装置である。モダリティ40A,40B,40Cとしては、CR(Computed Radiography)装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等が用いられる。
【0038】
モダリティ40A,40B,40Cは、モダリティ40A,40B,40CのAEタイトルに基づいて、モダリティ40A,40B,40Cにおいて行われる検査についてのモダリティワークリストの取得要求(DICOM規格に則ったC−FIND要求)を医用情報処理装置30に送信する。そして、モダリティ40A,40B,40Cは、医用情報処理装置30から編集後のモダリティワークリスト(第2の文字情報が削除されたモダリティワークリスト)を取得する。
【0039】
モダリティ40A,40B,40Cは、取得されたモダリティワークリストに基づいて、患者の診断対象部位を被写体として撮影を行い、医用画像データを生成する。そして、モダリティ40A,40B,40Cは、取得されたモダリティワークリストに基づいて、医用画像データにDICOM規格に則ってヘッダ情報を付帯させ、DICOM画像ファイルを生成し、医用情報処理装置30に送信する。
【0040】
ヘッダ情報は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及び画像情報を含む。患者情報は、患者ID、患者名、性別、生年月日、年齢、身長、体重等の患者に関する情報である。検査情報は、検査を識別する検査インスタンスUID、検査日、検査時刻、受付番号、担当医師名等の検査に関する情報である。シリーズ情報は、シリーズを識別するシリーズインスタンスUID、モダリティ名(検査種)、検査部位、シリーズ番号等の、一つの検査の中で生成されるモダリティ毎の一連の医用画像の単位(シリーズ)に関する情報である。画像情報は、画像を識別するSOPインスタンスUID、画像番号等の医用画像に関する情報である。
【0041】
画像サーバ50は、PACS(Picture Archiving and Communication System)により構成され、医用情報処理装置30から送信されるDICOM画像ファイル等を記憶し、管理する。画像サーバ50は、外部機器からDICOM画像ファイルの取得要求を受信した場合、当該取得要求に応じたDICOM画像ファイルを当該外部機器に送信する。
【0042】
参照端末60は、CPU及びRAM等により構成される制御部、ハードディスク等の記憶部、表示部、外部機器とのデータ通信を行う通信部等を備えるPC(Personal Computer)である。参照端末60は、画像サーバ50にDICOM画像ファイルの取得要求を送信し、当該取得要求に応じたDICOM画像ファイルを取得する。そして、参照端末60は、取得されたDICOM画像ファイルに含まれる医用画像データに基づいて表示部に医用画像を表示するともに、DICOM画像ファイルに含まれるヘッダ情報に基づいて表示部に文字情報を表示する。
【0043】
[医用画像システムの動作]
次に、医用画像システム100の各装置における動作について説明する。なお、モダリティ40A,40B,40Cのうち、検査依頼の対象となるモダリティを、以下、モダリティ40という。
図4は、RIS20、医用情報処理装置30、モダリティ40及び画像サーバ50において実行される処理を示すラダーチャートである。
【0044】
まず、RIS20では、ユーザの操作により、患者リストの中から検査対象患者が選択され、画像検査が依頼されると(ステップS1)、患者情報、撮影条件情報等を含むモダリティワークリストが作成される(ステップS2)。作成されたモダリティワークリストは、RIS20から医用情報処理装置30に送信される。
【0045】
医用情報処理装置30では、制御部31により、通信部34を介してRIS20からモダリティワークリストが取得される(ステップS3)。
【0046】
次に、制御部31により、モダリティワークリストの特定文字集合に応じて、モダリティワークリストから予め定められた第1の文字情報(患者名、患者コメント、検査記述等)が抽出され、当該抽出された第1の文字情報が記憶部36に一時的に記憶される(ステップS4)。例えば、制御部31により、モダリティワークリストから英数字(ASCII)以外の文字情報が記憶部36に一時的に記憶される。
【0047】
次に、制御部31により、モダリティ40が対応可能な文字集合に応じて、モダリティワークリストからモダリティ40が対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報が削除される(ステップS5)。
【0048】
モダリティ40では、モダリティ40のAEタイトルに基づいて、モダリティ40において行われる検査についてのモダリティワークリストの取得要求が医用情報処理装置30に送信される(ステップS6)。
【0049】
医用情報処理装置30では、通信部34を介してモダリティ40からモダリティワークリストの取得要求が受信されると、制御部31により、この取得要求に含まれるAEタイトルに対応する編集後のモダリティワークリストが記憶部36から読み出され、モダリティ40に送信される(ステップS7)。
【0050】
モダリティ40では、取得された編集後のモダリティワークリストに基づいて、患者の診断対象部位を被写体として撮影が実施される(ステップS8)。具体的には、モダリティ40では、医用画像データが生成され、モダリティワークリストに含まれる文字情報が医用画像データにヘッダ情報として付帯され、DICOM画像ファイルが生成される。そして、生成されたDICOM画像ファイルは、モダリティ40から医用情報処理装置30に送信される(ステップS9)。
【0051】
医用情報処理装置30では、通信部34を介してモダリティ40からDICOM画像ファイルが受信される。そして、制御部31により、DICOM画像ファイルのヘッダ情報に、記憶部36に記憶されている第1の文字情報が書き込まれる(ステップS10)。
次に、制御部31により、ヘッダ情報に第1の文字情報が書き込まれたDICOM画像ファイルが通信部34を介して画像サーバ50に送信される(ステップS11)。
【0052】
画像サーバ50では、ヘッダ情報に第1の文字情報が書き込まれたDICOM画像ファイルが医用情報処理装置30から受信され、保存される(ステップS12)。
【0053】
図5は、医用情報処理装置30において実行される処理を示すフローチャートである。なお、この処理は、制御部31と、ROM35に記憶されている医用情報処理プログラム351との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0054】
まず、制御部31により、通信部34を介してRIS20からモダリティワークリストが取得される(ステップS21)。取得されたモダリティワークリストは、制御部31により、記憶部36に記憶される。図6に、RIS20から取得された簡体字中国語で記述されたモダリティワークリスト70の例を示す。
【0055】
次に、制御部31により、RIS20から取得されたモダリティワークリストから特定文字集合、AEタイトル、患者ID及び検査インスタンスUIDが取得される(ステップS22)。特定文字集合はDICOMタグ(0008,0005)に記述されており、AEタイトルはDICOMタグ(0008,0054)に記述されており、患者IDはDICOMタグ(0010,0020)に記述されており、検査インスタンスUIDはDICOMタグ(0020,000D)に記述されている。
【0056】
図7に、DICOMタグ(0008,0005)に記述される内容(ISO_IR 100等)と、その意味する特定文字集合(ラテン1(西ヨーロッパ)等)との対応関係を示す。図6に示すモダリティワークリスト70に含まれる特定文字集合71は「GB18030」であるから、このモダリティワークリスト70は「簡体字中国語他」で記述されていることがわかる。
【0057】
次に、制御部31により、記憶部36に記憶されている第1参照テーブル361が参照され、モダリティワークリストの特定文字集合に対応する抽出項目が読み出される。そして、制御部31により、この抽出項目に従って、モダリティワークリストから、モダリティワークリストの特定文字集合に応じた第1の文字情報が抽出され、当該抽出された第1の文字情報が、モダリティワークリストに含まれる患者ID及び検査インスタンスUIDと対応付けられて記憶部36に一時的に記憶される(ステップS23)。例えば、第1参照テーブル361において、モダリティワークリストの文字集合「GB18030(簡体字中国語他)」に対して、抽出項目「患者名、患者コメント、検査記述」が対応付けられている場合、制御部31により、図6に示すモダリティワークリスト70から患者名72、患者コメント73、検査記述74が抽出され、ステップS22において抽出された患者ID75及び検査インスタンスUID76と対応付けられて記憶部36に記憶される。
【0058】
次に、制御部31により、記憶部36に記憶されている第2参照テーブル362が参照され、ステップS22において抽出されたAEタイトルに基づいて、モダリティ40が対応可能な文字集合が取得される(ステップS24)。例えば、第2参照テーブル362において、モダリティ40のAEタイトル「CR175」に対して、モダリティ40が対応可能な文字集合「空欄(英数字)」が取得される。
【0059】
次に、制御部31により、モダリティ40が対応可能な文字集合に基づいて、モダリティワークリストからモダリティ40が対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報が削除される(ステップS25)。例えば、第2参照テーブル362において、モダリティ40のAEタイトルに対して、対応可能な文字集合「空欄(英数字)」が対応付けられている場合、制御部31により、モダリティワークリスト70から患者名72の漢字表記部分、患者コメント73、検査記述74、撮影条件77のCode Meaning(コードの意味)78が削除される。第2の文字情報が削除されたモダリティワークリスト(編集後のモダリティワークリスト)は、制御部31により、記憶部36に記憶される。
【0060】
図8に、第2の文字情報が削除された後のモダリティワークリスト80を示す。モダリティワークリスト80において、特定文字集合81は「空欄」に変更されており、患者名の漢字表記部分82、患者コメント83、検査記述84、撮影条件85のCode Meaning86が削除されている(null化)。なお、撮影条件85において、Code Meaning86が削除されても、Code Value(コード値)87により、撮影条件の内容を伝えることができるため、モダリティ40での撮影において問題は生じない。
【0061】
次に、制御部31により、通信部34を介してモダリティ40からモダリティワークリストの取得要求が受信されたか否かが判断される(ステップS26)。モダリティワークリストの取得要求が受信された場合には(ステップS26;YES)、制御部31により、この取得要求に含まれるAEタイトルに対応する編集後のモダリティワークリストが記憶部36から読み出され、通信部34を介してモダリティ40に送信される(ステップS27)。
【0062】
次に、制御部31により、通信部34を介してモダリティ40からDICOM画像ファイルが受信されたか否かが判断される(ステップS28)。DICOM画像ファイルが受信された場合には(ステップS28;YES)、制御部31により、DICOM画像ファイルのヘッダ情報から患者ID及び検査インスタンスUIDが読み出され、読み出された患者ID及び検査インスタンスUIDと対応付けられて記憶部36に記憶されている第1の文字情報が読み出される。そして、制御部31により、読み出された第1の文字情報がDICOM画像ファイルのヘッダ情報に書き込まれる(ステップS29)。
次に、制御部31により、ヘッダ情報に第1の文字情報が書き込まれたDICOM画像ファイルが通信部34を介して画像サーバ50に送信される(ステップS30)。
以上で、医用情報処理装置30における処理が終了する。
【0063】
以上説明したように、医用情報処理装置30によれば、モダリティワークリスト(検査依頼情報)の文字集合に応じて第1の文字情報をモダリティワークリストから抽出して一時的に記憶させておき、モダリティ40からDICOM画像ファイル(医用画像ファイル)を受信した後に、DICOM画像ファイルのヘッダ情報に第1の文字情報を書き込むので、モダリティワークリストにもともと含まれていた文字情報が失われることがない。また、モダリティ40が対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報をモダリティワークリストから削除した後に、モダリティ40に送信するので、所定の文字集合(英数字等)で記述されたモダリティワークリストに限定されず、複数種類の文字集合で記述されたモダリティワークリストを利用することができる。したがって、文字集合が異なる装置間の連携を図ることができる。
【0064】
画像サーバ50では、モダリティワークリストに含まれていた文字情報(モダリティ40が対応不可能な文字集合で記述された文字情報を含む。)がDICOM画像ファイルのヘッダ情報に含まれた状態で保存されるので、参照端末60から医用画像を参照する際に、所定の項目に制限されずに文字情報を参照することができる。
【0065】
例えば、電子カルテシステム10、RIS20、画像サーバ50及び参照端末60については、中国語が対応可能であり、モダリティ40A,40B,40Cについては、それぞれ、英語、欧州語、日本語が対応可能である場合、医用情報処理装置30において、モダリティワークリストのうち、英数字以外の文字情報を含む可能性のある項目の文字情報を一時的に記憶させておき、モダリティ40A,40B,40Cから受信したDICOM画像ファイルのヘッダ情報に、一時的に記憶させておいた文字情報を書き込むことができる。これにより、モダリティ40A,40B,40Cが対応可能な文字集合がいずれの文字集合であるかにかかわらず、医用画像システム100内の各装置において文字集合が統一されている場合と同様に、文字情報を利用することができる。
【0066】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る医用情報処理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態では、医用画像システム100において医用情報処理装置30が独立した装置として存在する構成としたが、医用情報処理装置30の機能が、RIS20又はモダリティ40A,40B,40Cに含まれることとしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、RIS20から医用情報処理装置30に対して、モダリティワークリストが自動的に送信される場合について説明したが、医用情報処理装置30が、モダリティ40A,40B,40Cからの要求に応じて、RIS20にモダリティワークリストの取得要求を送信し、RIS20からモダリティワークリストを取得することとしてもよい。
【0069】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 電子カルテシステム
20 RIS
30 医用情報処理装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 ROM
36 記憶部
37 バス
40,40A,40B,40C モダリティ
50 画像サーバ
60 参照端末
100 医用画像システム
351 医用情報処理プログラム
361 第1参照テーブル
362 第2参照テーブル
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モダリティにおける検査を依頼するための検査依頼情報を取得する取得手段と、
前記取得された検査依頼情報から、当該検査依頼情報の文字集合に応じて予め定められた第1の文字情報を抽出し、当該抽出された第1の文字情報を記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
前記取得された検査依頼情報から、前記モダリティが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除する削除手段と、
前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報を前記モダリティに送信する送信手段と、
前記モダリティにおいて前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報に基づく検査により得られた医用画像ファイルを前記モダリティから受信する受信手段と、
前記受信された医用画像ファイルのヘッダ情報に、前記記憶手段に記憶されている第1の文字情報を書き込む書き込み手段と、
を備え、
前記第1の文字情報は、少なくとも前記第2の文字情報の一部を含む医用情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の文字情報は、英数字以外の文字情報を含む、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の文字情報は、患者名、患者コメント、検査記述、検査コメント又は医師名を含む、
請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
モダリティにおける検査を依頼するための検査依頼情報を取得する取得工程と、
前記取得された検査依頼情報から、当該検査依頼情報の文字集合に応じて予め定められた第1の文字情報を抽出し、当該抽出された第1の文字情報を記憶手段に記憶させる記憶制御工程と、
前記取得された検査依頼情報から、前記モダリティが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除する削除工程と、
前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報を前記モダリティに送信する送信工程と、
前記モダリティにおいて前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報に基づく検査により得られた医用画像ファイルを前記モダリティから受信する受信工程と、
前記受信された医用画像ファイルのヘッダ情報に、前記記憶手段に記憶されている第1の文字情報を書き込む書き込み工程と、
を含み、
前記第1の文字情報は、少なくとも前記第2の文字情報の一部を含む医用情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータを、
モダリティにおける検査を依頼するための検査依頼情報を取得する取得手段、
前記取得された検査依頼情報から、当該検査依頼情報の文字集合に応じて予め定められた第1の文字情報を抽出し、当該抽出された第1の文字情報を記憶手段に記憶させる記憶制御手段、
前記取得された検査依頼情報から、前記モダリティが対応不可能な文字集合で記述された第2の文字情報を削除する削除手段、
前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報を前記モダリティに送信する送信手段、
前記モダリティにおいて前記第2の文字情報が削除された検査依頼情報に基づく検査により得られた医用画像ファイルを前記モダリティから受信する受信手段、
前記受信された医用画像ファイルのヘッダ情報に、前記記憶手段に記憶されている第1の文字情報を書き込む書き込み手段、
として機能させるためのプログラムであって、
前記第1の文字情報は、少なくとも前記第2の文字情報の一部を含むプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−185683(P2012−185683A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48426(P2011−48426)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】