説明

医用情報表示システム、医用情報表示装置及び医用情報表示方法

【課題】クライアント端末で取得可能件数に上限がある場合でも、サーバ内のリスト全体を把握可能な患者リストを取得できる医用情報表示システムを提供する。
【解決手段】医用情報が記憶されたデータベースを含むサーバと、サーバで生成した患者リストを表示するクライアント装置とを含み、クライアント装置は、患者リストの取得可能件数の上限を設定して、サーバに対して患者リストの作成要求を行う要求部を備え、サーバは、要求部からの要求に応じてデータベース内の医用情報を処理して患者リストを作成し、作成した患者リストが取得可能件数の上限を超える場合に、患者リストの全体を把握可能であって上限値以内に圧縮した圧縮リストを作成するリスト作成部と、リスト作成部で作成した患者リストまたは圧縮リストをクライアント装置に返却する返却部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用情報を記憶したデータベースにアクセスして、患者リストを取得して表示する医用情報表示システム、医用情報表示装置及び医用情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像診断装置としてX線CT装置(X線コンピュータトモグラフィ装置)、MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)、超音波診断装置等の様々なモダリティがあり、これらのモダリティを使用して医療検査を行っている。また医療機関内の情報を管理するHIS(Hospital Information System)や、PACS(Picture Archiving Communication System)等のシステムが構築され、情報伝達のオンライン化が図られている。
【0003】
例えば、医用画像診断装置で生成した医用画像は、データ量が大きいためサーバにて記憶・管理されている。また医用画像には患者名、患者ID、検査日時等の付帯情報が付帯されており、医用画像や付帯情報等の医用情報のオンライン通信や記憶は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って行われることが多い。
【0004】
一方、ユーザ(医師等)が端末を操作して、サーバに保存されている医用情報、例えば患者リストを取得する場合には、DICOM規格で規定されているQ/R(Query/Retrieve)プロトコルを使用して、サーバに取得要求を行い、サーバからユーザ端末に対して医用情報(患者リスト等)を応答として送信するようにしている。
【0005】
ところで、従来の医用情報表示装置では、DICOM Q/R等を使用してサーバ内の患者情報を取得し、患者リストを表示する場合は、全ての患者の情報を取得するようにしている。しかしながら、サーバ内の全ての患者の情報を取得しようとした場合、膨大なデータ量になることがある。このため、クライアント側の端末でリスト表示できる件数を超えて受信した場合は、全てのリストを表示することができなくなる。またデータ量の増加により処理時間が多くなり通信負荷が大きくなるという問題が発生する。
【0006】
また、クライアント側の端末の制約により取得件数を指定した場合、サーバ内では指定した件数に達した時点でクライアント端末への送信を停止してしまい、ユーザは全ての患者リストを参照することができないという事態を招くことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−206687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の医用情報表示装置では、サーバ内の患者情報を取得し患者リストを表示する際に、クライアント側の端末でリスト表示できる件数を超えて受信した場合は、全てのリストを表示することができなくなり、また通信負荷が大きくなるという問題が発生する。また、クライアント側の端末で取得件数を指定した場合は、全ての患者リストを参照することができないという不具合がある。
【0009】
本発明の実施形態は、上記事情に鑑みて成されたもので、クライアント側の端末で取得可能な件数に上限がある場合でも、サーバ内のリスト全体を把握可能な患者リストを取得することができる医用情報表示システム、医用情報表示装置及び医用情報表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態に係る医用情報表示システムは、医用情報が記憶されたデータベースを含むサーバと、前記サーバで生成した患者リストを表示するクライアント装置とを含み、前記クライアント装置は、前記患者リストの取得可能件数の上限を設定して、前記サーバに対して患者リストの作成要求を行う要求部を備え、前記サーバは、前記要求部からの要求に応じて前記データベース内の医用情報を処理して患者リストを作成し、前記作成した患者リストが前記取得可能件数の上限を超える場合に、前記患者リストの全体を把握可能であって前記上限値以内に圧縮した圧縮リストを作成するリスト作成部と、前記リスト作成部で作成した患者リストまたは圧縮リストを前記クライアント装置に返却する返却部と、を具備したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る医用情報表示システムを示す構成図。
【図2】クライアントのキー設定部の動作を示す説明図。
【図3】サーバにQ/Rを要求する際のクライアントの初期画面を示す説明図。
【図4】サーバから返却された患者リストの一例を示す説明図。
【図5】患者名を情報取得キーとして取得した患者リストの一例を示す説明図。
【図6A】サーバ内の情報圧縮部の動作を示すフローチャート。
【図6B】情報圧縮部の動作を示す図6Aに続くフローチャート。
【図7】第2の実施形態に係る医用情報表示装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る医用情報表示システムについて図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る医用情報表示システムを示す構成図である。図1において、ネットワーク100には、サーバ10と各種の医用画像診断装置(モダリティ)20が接続されている。尚、図1では、1つのモダリティ20がネットワーク100に接続されている例を示しているが、複数のモダリティが接続されても良い。サーバ10は、モダリティ20で生成した医用画像を記憶・管理するもので、サーバ10とモダリティ20は、ネットワーク100を介してオンライン通信可能である。
【0014】
尚、医用情報の通信や記憶は、DICOM規格に則って行われ、モダリティ20の端末(後述)がサーバ10に記憶されている医用情報を取得する場合には、DICOM規格で規定されているQ/R(Query/Retrieve)プロトコルを使用して、サーバ10に取得要求を行い、サーバ10からモダリティ20の端末に対して医用情報を応答として送信するものとする。
【0015】
サーバ10は、Q/Rリスト入出力部11、Q/Rリスト作成部12、情報圧縮部13、データベース14及びデータベースアクセス部15を含む。Q/Rリスト入出力部11は、モダリティ20からの医用情報(例えば患者リスト)の取得要求を受け取り、モダリティ20の端末に対して医用情報を応答として送信する。Q/Rリスト作成部12は、モダリティ20から要求された条件に従って返却用の医用情報(例えば患者リスト)を生成する。以下の説明では、返却用の医用情報として患者リストを生成する例を述べる。またモダリティ20はサーバ10からのサービスを受けるクライアント装置として機能するため、以下、クライアント20と呼ぶこともある。
【0016】
情報圧縮部13は、Q/Rリスト作成部12で作成した返却用の患者リストの件数がクライアント20から要求された取得可能件数を超える場合に、クライアント20からの条件に合うような件数になるように、患者リストの情報を圧縮する。即ち、作成した患者リストがクライアント20の取得可能件数の上限を超える場合に、患者リストの全体を把握可能であって上限値以内に圧縮した圧縮リストを作成する。尚、Q/Rリスト作成部12と情報圧縮部13は、返却用のリストを作成するリスト作成部を構成する。またQ/Rリスト入出力部11は、リスト作成部で作成した患者リストまたは圧縮リストをクライアント20に返却する返却部を構成する。
【0017】
データベース14は、各種の医用情報を記憶するものであり、医用情報としてモダリティ20で生成した医用画像のほかに、患者名、患者ID、検査日時等の付帯情報を一緒に記憶する。データベースアクセス部15は、Q/Rリスト作成部12からの要求に応じてデータベース14にアクセスし、データベース14から患者リストの作成に必要な情報を取得する。
【0018】
一方、モダリティ(クライアント)20は、X線CT装置や、MRI装置、超音波診断装置等で構成される。モダリティ20は、Q/R要求部21、キー設定部22、管理部23及びクライアント用の端末24を有する。尚、モダリティ20は患者を撮影して医用画像を取得するものであるが、撮影部の構成は本実施形態の主旨ではないため説明を省略する。
【0019】
Q/R要求部21は、サーバ10に対してDICOM Q/Rを要求するものであり、キー設定部22は、サーバ10に対してDICOM Q/Rを要求する際に、情報取得キーと一度にリストを取得(表示)できる取得可能件数を設定するものである。尚、Q/R要求部21とキー設定部22は、患者リストの取得可能件数の上限を設定して、サーバ10に対して患者リストの作成要求を行う要求部を構成する。
【0020】
また管理部23は、Q/R要求部21、キー設定部22及び端末24を統括的に制御する。端末24は、Q/Rを要求する際の画面やサーバ10から返却されたリスト画面等を表示することができる。また端末24は、マウス25やキーボード26等のユーザ操作部を含み、ユーザは、操作部を操作して情報取得キーやリストの取得可能件数等を設定することができる。
【0021】
次に、本実施形態の医用情報表示システムの動作について説明する。図2は、クライアント20のキー設定部22の動作を示す説明図である。図2において、クライアント20はサーバ10に対してDICOM Q/Rを要求する際に、メモリ容量等の制約により一度に全リストを取得しても表示し切れない場合があるため、情報取得キーと一度にリストを取得(表示)できる取得可能件数を設定する。例えば、端末24の画面には、図2で示すようなフィルタ設定画面101が表示され、情報取得キーとして患者名を選択し、取得可能件数(例えば100件)を設定する。
【0022】
情報取得キーの選択は、ユーザが選択ボタン31をクリックして行い、情報取得キーとして「患者名」を指定する。また取得可能件数の選択は、ユーザがキーボード26を操作して入力部32に件数を入力する。取得可能件数は、例えば1〜10000件の範囲内で設定することができる。設定した内容で問題がなければOKボタン33をクリックし、修正する場合はキャンセルボタン34をクリックしてやり直すことになる。尚、図2のフィルタ設定画面101は環境設定時に表示されるものであり、一度設定すれば通常は表示されない。
【0023】
図3は、患者リストの表示ボタン(図示略)が操作されたときの端末24の初期画面102を示す。この初期画面102は、DICOM Q/Rをサーバ10に要求する際に表示される。初期画面102では、サーバ10を指定して患者リストの取得要求を行う。クライアント20からサーバ10に対してDICOM Q/R を要求する際に、Q/R要求部21は、予め設定した情報取得キー(患者名)及び取得可能件数に関する情報を付加してサーバ10に要求する。また図3の画面で取得可能件数を修正入力することもできる。指定できる件数の上限は、図2のフィルタ設定画面に表示されている最大件数までである。
【0024】
サーバ10の指定は、選択ボタン35をクリックして希望するサーバを指定する。取得可能件数は、キーボード26を操作して入力部36に希望する件数を入力する。そしてQueryボタン37をクリックすると、指定したサーバ10に対して患者リストの取得要求が行われる。
【0025】
サーバ10は、DICOM Q/R の要求及び返却を管理するQ/Rリスト入出力部11を有し、リスト作成部12にクライアント20から要求された条件を伝える。リスト作成部12は、要求された条件に従って返却用のリスト(患者リスト)を生成する。つまりリスト作成部12は、データベースアクセス部15を介してデータベース14にアクセスし、リスト作成に必要なデータを収集して返却リストを生成する。
【0026】
返却リストを生成した際に、リストの件数がクライアント20から要求された取得可能件数より多い場合は、情報圧縮部13によってクライアント20からの条件に合うような件数になるように圧縮する。その際、情報を圧縮するためのキー情報としてクライアント20から指示された情報取得キー「患者名」を使用する。即ち、情報圧縮部13は、リスト作成部12で作成した患者リスト数が取得可能件数の上限を超える場合に、患者リストの全体を把握可能であって上限値以内に圧縮した圧縮リストを作成する。
【0027】
図4は、サーバ10から返却された患者リスト103の一例を示す。端末24には図4で示すように、患者名に基づいて作成されたリスト103が表示され、患者名のほかに患者ID(ID)、カウント数(Count)、撮影日(Scan Date)、撮影時間(Scan Tome)、性別(Sex)等が一覧表示される。
【0028】
取得可能件数が例えば1000件の場合は、それほど多くの件数を表示することができないため、サーバ10の情報圧縮部13は、クライアント20の取得可能件数に応じて圧縮処理を行う。圧縮は、例えば患者名の最後尾の1文字を「*:アスタリスク」に変換し、取得可能件数が少なくなるほどさらに最後尾の文字を「*」に変換する。即ち、患者名を圧縮のキー情報として使用し、患者名を認識可能な文字列の数を取得可能件数の上限値に応じて規定し、規定した数の文字列を含む患者の情報をグループ化して纏める。
【0029】
例えば患者名として、SASADA、SASAIKE、SASAKAWA、SASAKIが存在する場合、取得可能件数が多い場合は、SASADA、SASAIKE、SASAKAWA、SASAKIのそれぞれのリストが表示される。一方、取得可能件数が少ない場合は、圧縮処理により、患者名の文字列として認識できる文字数、例えば5文字を残しそれ以降の文字は「*」に置き換え、「SASAK*」に変換する。このため、「*」よりも前の「SASAK」に該当する患者(SASAKAWA、SASAKI)が1つにグループ化される。
【0030】
取得可能件数の上限値がもっと少なくなると、さらに先頭から4文字を残しそれ以降が「*」に変換され、「SASA*」に変換される。したがって、SASADA、SASAIKE、SASAKAWA、SASAKIが、1つにグループ化されたリストとして表示され、Countには各グループに属する患者の数が表示される。
【0031】
図4は、圧縮レベル(例えば患者名の文字列として認識できる文字数が4文字)まで圧縮処理された患者リスト103の表示例を示す図である。患者リスト103では、患者名の先頭の4ケタ以降が「*」に変換された場合の患者リストを示している。例えば「SASA*」38は、実際にはSASADA、SASAIKE、SASAKAWA、SASAKI…等を含む。したがって、取得可能件数が少なくても患者リストを圧縮して表示することができる。
【0032】
図4の例では、「SASA*」に該当するデータが実際には250件存在することが分かる。ここでクライアント20側で例えば「SASA*」を選択し、取得可能件数を指定してQueryボタン37をクリックすると、「SASA*」に関するリストの取得をサーバ10に対して要求することができる。サーバ10のリスト作成部では、要求に応じて、「SASA*」とグループ化した患者情報の詳細を、取得可能件数に応じて下位層のリスト情報として作成する。
【0033】
図5は、患者名「SASA*」を情報取得キーとして取得した下位層の患者リストの一例を示す。図5の画面104では、取得可能件数(例えば100件)に応じて圧縮処理が行われ、患者リストが表示される。図5の例では、患者名の先頭から8ケタの文字列以降が「*」に変換された例を示している。
【0034】
図5の例では、例えば「SASAKI TO*」に該当するデータが4件あることを示している。したがって、「SASAKI TO*」を選択してQueryボタン37をクリックすると、「SASAKI TO*」についての4件のリストの取得することが可能となる。
【0035】
また図5において、SASADAやSASAKAWAについては、グループ内に1つしか存在しない情報であることを示している。この場合は、詳細な内容(患者ID、撮影日、撮影時間、性別など)が確定情報として表示される。Count欄には、さらに下位の階層のデータ、例えば画像の枚数(180枚)などが表示される。
【0036】
こうして、サーバ10内の患者のリストを取得し表示する際に、クライアント20側の端末の取得可能件数に上限があるときでも、サーバ10内のリスト全体を把握可能な圧縮リストを取得することができる。
【0037】
図6A,図6Bは、サーバ10内の情報圧縮部13の動作を示すフローチャートであり、情報リストを圧縮し構築するためのフローを示す。このフローチャートでは、圧縮レベルを設けリストの患者名の最後尾から文字を1文字ずつ削除して「*」に置き換え、残りの先頭部の文字列と同じ条件に当てはまる情報を1つのグループとして纏めていくことで全体の情報量を圧縮し、圧縮レベルに従ったリストを構築する。そして構築されたリストが、クライアント20からの取得可能件数以下になるまで圧縮レベルを上げながらリストの生成を繰り返し、最終的に取得可能件数以下になったらクライアント20に結果を返却する。
【0038】
図6A,6Bのステップにおいて、a,b,dはテンポラリのバッファである。また、c(x)は最終的にクライアントに返却するリスト群であり、e(x)は各c(x)のリストの件数を示す。また圧縮レベルは、情報取得キーをもとに情報を取得する際に、患者名の文字を最後尾から1文字ずつ削除して「*」に含ませることを意味する。尚、圧縮レベル=0は、非圧縮の状態を意味する。
【0039】
図6Aにおいて、ステップS0は圧縮の開始ステップであり、ステップS1では、圧縮レベルを初期化し、圧縮レベル=0としてサーバ10がもつ現在の全リスト件数を取得する。ステップS2では、現在のリスト件数と取得最大件数を比較し、現在のリスト件数が、ユーザから指定された取得最大件数を上回っていることを条件に以下のステップの処理を繰り返し実行する。
【0040】
ステップS3では、圧縮レベル+1とし、圧縮レベルに1を加え、削除する文字を増やし、圧縮レベルの段階を上げる。次のステップS4では、a=現在のリスト件数、検索リスト件数=0とし、残りの件数としてaを初期化し検索リスト件数を初期化する。ステップS5は、c,eのリストを初期化し、圧縮レベルの変更に従い、登録されているc(x)、e(x)のリストを初期化する。
【0041】
ステップS6では、現在の圧縮レベルでのリストの振り分けが終わるか、全てのリストの検索が終わるまで、「x=0;a>0 and x<現在のリスト件数」を条件として繰り返し処理を行う。ステップS7では、現在のリストのx番目を情報取得キーとして圧縮レベルに従い取得してb=情報取得キー(x)とセットする。ステップS8では、bがcに含まれるかを判断し、含まれる場合(YES)は、取得した条件が既にc(x)のリストに含まれているため、何もせずステップS13に進む。
【0042】
ステップS8でbがcに含まれない場合(NO)は、新しい条件リストとして登録する必要があるため、ステップS9においてd=bと同じ条件となる情報件数を取得し、新しい条件に該当する件数を全リストから検索して取得する。ステップS10では、a=a−dとし、条件に含まれていない残りの件数を算出する。
【0043】
ステップS11では、c(検索リスト件数)=b、e(検索リスト件数)=d、検索リスト件数+1として、c(検索リスト件数)及びe(検索リスト件数)に新しい条件に該当する件数を登録する。ステップS12及びステップS13では、x=x+1とする。ステップS14は繰り返しステップであり、ステップS14以降は、図6Bの処理ステップに進む。
【0044】
図6BにおいてステップS15は、振り分けされた条件数を現在の件数に設定するもので、「現在のリスト件数=検索リスト件数」とする。ステップS16は繰り返しのステップであり、ステップS17では、圧縮レベル=0か否かを判断する。圧縮レベル=0の場合(YES)は、サーバ10内の全リストがユーザから指定された取得最大件数以下であることを意味するので、ステップS18に進み、全リストをクライアント20に返却する。圧縮レベル≠0の場合(NO)は、圧縮レベルに基づいたリストの振り分けが行われているので、振り分けしたリスト群と各リストの件数(c,e)をクライアント20に返却し、ステップS20で終了する。
【0045】
こうして、本実施形態によれば、クライアント20側で表示可能な件数のリストを取得することができ、通信負荷(量、時間)を低減することができる。またサーバ内の患者のリストを取得して表示する際に、クライアント側の端末の取得可能件数に上限があるときでも、サーバ内のリスト全体を把握可能な患者リストを取得することができる。
【実施例2】
【0046】
第1の実施形態では、ネットワーク100を介してサーバ10とモダリティ(クライアント)20を接続する例を述べたが、第2の実施形態では、モダリティ20内にデータベースを配置し、サーバ10が持つ機能をモダリティ20(クライアント装置)に備えたものである。
【0047】
図7は、第2の実施形態に係る医用情報表示装置を示すブロック図であり、モダリティ20内に、Q/Rリスト入出力部11、Q/Rリスト作成部12、情報圧縮部13、データベース14及びデータベースアクセス部15を設けたものである。またモダリティ20には、Q/R要求部21、キー設定部22、管理部23及びクライアント用の端末24、マウス25やキーボード26等のユーザ操作部を含む。
【0048】
基本的な動作は図1と同様であるが、1Q/Rリスト入出力部11は、Q/R要求部21から医用情報(例えば患者リスト)の取得要求を受け取り、Q/Rリスト作成部12は、要求された条件に従って返却用の医用情報(例えば患者リスト)を生成する。キー設定部22は、DICOM Q/Rを要求する際に、情報取得キーと一度にリストを取得(表示)できる取得可能件数を設定する。情報圧縮部13は、返却用の患者リストの件数がキー設定部22で設定した取得可能件数より多い場合は、リスト情報を圧縮する。端末24は、Q/Rを要求する際の画面やサーバ10から返却されたリスト画面等を表示する。
【0049】
このように第2の実施形態では、ネットワークを介することなく、ローカルな環境内においても患者リストの取得や表示を実現することができる。
【0050】
尚、本発明の実施形態は、以上述べた実施例に限定されるものではない。例えば患者名を圧縮のキー情報として使用したが、撮影日や撮影時間など、複数の文字列で構成する情報をキー情報として使用し、圧縮するようにしても良い。また特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10…サーバ
11…Q/Rリスト入出力部
12…リスト作成部
13…情報圧縮部
14…データベース
15…データベースアクセス部
20…クライアント装置(モダリティ)
21…Q/R要求部
22…キー設定部
23…管理部
24…端末
100…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用情報が記憶されたデータベースを含むサーバと、前記サーバで生成した患者リストを表示するクライアント装置とを含み、
前記クライアント装置は、前記患者リストの取得可能件数の上限を設定して、前記サーバに対して患者リストの作成要求を行う要求部を備え、
前記サーバは、前記要求部からの要求に応じて前記データベース内の医用情報を処理して患者リストを作成し、前記作成した患者リストが前記取得可能件数の上限を超える場合に、前記患者リストの全体を把握可能であって前記上限値以内に圧縮した圧縮リストを作成するリスト作成部と、
前記リスト作成部で作成した患者リストまたは圧縮リストを前記クライアント装置に返却する返却部と、を具備してなる医用情報表示システム。
【請求項2】
前記クライアント装置は、前記患者リストの取得要求を行う際に、患者名を情報取得キーとして設定し、
前記リスト作成部は、前記患者名を前記圧縮のキー情報として使用し、前記患者名を認識可能な文字列の数を前記取得可能件数の上限値に応じて規定し、前記規定した数の文字列を含む患者の情報をグループ化して纏めることを特徴とする請求項1記載の医用情報表示システム。
【請求項3】
前記リスト作成部は、前記グループ化した患者情報の詳細を前記取得可能件数に応じて下位層のリスト情報として作成し、前記クライアント装置は、前記下位層のリスト情報を表示可能にしたことを特徴とする請求項1記載の医用情報表示システム。
【請求項4】
医用情報が記憶されたデータベースと、
患者リストの取得可能件数の上限を設定して、前記データベースに対して患者リストの作成要求を行う要求部と、
前記要求部からの要求に応じて前記データベース内の医用情報を処理して患者リストを作成し、前記作成した患者リストが前記取得可能件数の上限を超える場合に、前記患者リストの全体を把握可能であって前記上限値以内に圧縮した圧縮リストを作成するリスト作成部と、
前記リスト作成部で作成した患者リストまたは圧縮リストを表示可能な表示部と、を具備してなる医用情報表示装置。
【請求項5】
前記要求部は、前記患者リストの取得要求を行う際に患者名を情報取得キーとして設定し、
前記リスト作成部は、前記患者名を前記圧縮のキー情報として使用し、前記患者名を認識可能な文字列の数を前記取得可能件数の上限値に応じて規定し、前記規定した数の文字列を含む患者の情報をグループ化して纏めることを特徴とする請求項4記載の医用情報表示装置。
【請求項6】
前記リスト作成部は、前記グループ化した患者情報の詳細を前記取得可能件数に応じて下位層のリスト情報として作成し、前記クライアント端末は、前記下位層のリスト情報を表示可能にしたことを特徴とする請求項4記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
医用情報が記憶されたデータベースを含むサーバと、前記サーバで生成した患者リストを表示するクライアント装置とを含み、
前記クライアント装置は、前記患者リストの取得可能件数の上限を設定して、前記サーバに対して患者リストの作成要求を行い、
前記サーバは、前記要求部からの要求に応じて前記データベース内の医用情報を処理して患者リストを作成し、前記作成した患者リストが前記取得可能件数の上限を超える場合に、前記患者リストの全体を把握可能であって前記上限値以内に圧縮した圧縮リストを作成し、
前記サーバで作成した患者リストまたは圧縮リストを前記クライアント端末に返却することを特徴とする医用情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−50785(P2012−50785A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197915(P2010−197915)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】