説明

医用情報表示装置

【課題】 医用情報の各種項目を表示又は非表示にする技術に関し、使用目的によって適正に医用情報の各項目の表示又は非表示を区分けする技術を提供する。
【解決手段】 各種項目の情報を含む医用情報を表示する医用情報表示装置であって、医用情報の使用目的を入力する入力手段と、入力された使用目的に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定する判定手段と、判定結果に従って各種項目を表示又は非表示にする表示制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報を表示する技術に関し、医用情報の各種項目を表示又は非表示にする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院内のシステム化が進み、医用情報を管理する様々なシステムが稼働する。例えば、画像管理システム(PACS)、放射線情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)等がネットワークに接続され、ネットワーク上のクライアント端末を用いてこれらシステムと通信を行う。
【0003】
クライアント端末は、システムから医用情報を受信してモニタに表示することで、会計、患者の引継、診察、治療、病状説明、又は看護師巡回等の各種使用目的の用に供する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、医用情報には、プライバシーに関わる情報や病気名や病状を知られるおそれのある情報等、秘匿にすべき情報が多く含まれている。秘匿にすべき情報と表示すべき情報は、情報の使用目的に応じて異なる。
【0005】
医用情報の隠蔽技術としては、操作パネルからの入力等をトリガとして予め定められた所定の項目の表示を抑止する技術が提供されている(例えば、特許文献2参照)。この技術は、所定の項目の表示を一律に隠蔽するものである。予め定めた所定の項目を隠蔽する方式では、使用目的によって必要な情報と不必要な情報とを適切に区分けして表示又は非表示できないおそれがある。
【0006】
例えば、家族が患者への病状告知等を希望しない場合に、医師が患者に対して病状の説明を行う際には、病状が認識できない程度の情報を表示できればよいのにも関わらず、診断に関する項目や投薬物の項目について表示され、病名等がわかってしまう場合がある。病状告知を希望しており告知を行うのにも関わらず、診断に関する項目や投薬物の項目について非表示となり、患者の不信を増幅させてしまう場合がある。
【0007】
また、看護師が病状の経過管理などを行うためにクライアント端末を病室や病室の出入り口に持ち込む場合、体温、食事量、排便回数等の経過管理に関する情報が表示されれば十分であるのに、投薬物が表示され、通りがかりの人や、見舞い客に見られてしまう場合がある。
【0008】
【特許文献1】特開平8−161410号公報
【特許文献2】特開平5−49636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、使用目的に対応した医用情報の各項目の表示又は非表示を行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための、請求項1記載の発明は、各種項目の情報を含む医用情報を表示する医用情報表示装置であって、医用情報の使用目的を入力する入力手段と、入力された使用目的に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定する判定手段と、判定結果に従って各種項目を表示又は非表示にする表示制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【0011】
前記医用情報は、さらに告知希望有無情報を含み、前記判定手段は、入力された使用目的が所定の使用目的であった場合、前記告知希望有無情報に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定するようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0012】
前記医用情報は、さらに告知有無情報を含み、前記判定手段は、入力された使用目的が所定の使用目的であり、かつ前記告知希望有無情報が告知希望を示す場合、前記告知有無情報に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定するようにしてもよい(請求項3記載の発明に相当)。
【0013】
告知若しくは非告知を入力する病状説明内容入力手段をさらに備え、前記判定手段は、入力された使用目的が所定の使用目的であり、かつ前記告知希望有無情報が告知希望を示し、前記告知有無情報が告知無しを示す情報であった場合、入力された病状説明内容に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定するようにしてもよい(請求項4記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、医用情報の各種項目に係る表示又は非表示について、使用目的に応じて区分けでき、それぞれの使用目的で適正な医用情報の開示を行うことができる。特に、告知に関する患者の意向の情報に応じて表示又は非表示を判断するようにした場合、患者に病状を悟られることなく、また別の症状の医用情報を用いる等して患者の不信を増幅させることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、医用情報表示装置たるクライアント端末1が接続するネットワークシステムの構成を示すブロック図である。クライアント端末1は、ネットワークNを介してサーバS1,S2,S3・・・の医用情報を管理するサーバに接続する。このシステムには、同一機能のクライアント端末1がネットワークNに複数接続している。
【0016】
各サーバS1,S2,S3・・・は、PACS、HIS、RIS等のサーバである。管理する医用情報は、医用画像、診断情報、処方情報等の病院で発生する情報である。各種の医用情報は、それぞれ複数種類の特有の項目を含み構成されている。項目の情報としては、患者氏名、住所、電話番号等の患者情報、体温、食事量、排便回数、検査部位、血液成分、又は診断画像等の検査情報、原発部位、病理組織、又は癌ステージ等の診断情報、手術手法、又は投薬物等の治療情報が挙げられる。
【0017】
図2は、クライアント端末1の構成を示すブロック図である。クライアント端末1は、ワークステーション装置2に、モニタ3とキーボードやマウス等の入力装置4を接続して構成される。ワークステーション装置2は、処理部21、主記憶部22、外部記憶部23、送受信部24で構成されるコンピュータである。
【0018】
処理部21は、CPUであり、プログラムに従った演算を行って各周辺部を制御する。主記憶部22は、半導体メモリ等のRAMであり、処理部21の作業領域として、プログラム、若しくは処理部21の演算による演算結果、又はデータが展開される。送受信部24は、例えばLANやモデム等のネットワークアダプタであり、ネットワークNに接続する各サーバS1,S2,S3・・・から医用情報を受信する。
【0019】
外部記憶部23には、ワークステーション装置2を要部としたクライアント端末1を、使用者や使用目的に応じて医用情報に含まれる各種項目の表示又は非表示をする装置として動作させるプログラム(以下、「本プログラム」という)及びオペレーティングシステムプログラム(OS)を記憶している。
【0020】
このクライアント端末1は、本プログラム及びOSに従った処理を実行することで、ネットワークNを介して所望の医用情報を各サーバS1,S2,S3・・・から取得する。さらに取得した医用情報に含まれる各種項目の表示又は非表示を医用情報の使用目的や使用者に応じて判定し、判定結果に従い各種項目の情報をモニタ3に表示又は非表示する。
【0021】
図3は、クライアント端末1が本プログラム及びオペレーティングシステムプログラムに従った処理を行うことにより実現する機能ブロック図である。クライアント端末1は、医用情報を各サーバS1,S2,S3・・・から取得する医用情報取得部11と、取得した医用情報に含まれる各項目の表示又は非表示を判定する判定部12と、モニタ3に各項目を表示又は非表示させる表示制御部13を備える。
【0022】
また、クライアント端末1は、入力装置4を含み構成される取得医用情報入力部14を備え、医用情報取得部11は、入力に対応する医用情報を取得する。また、入力装置4を含み構成されるログイン入力部15と使用目的入力部16を備え、判定部12は、入力されたログイン情報や使用目的に応じて表示又は非表示を判定する。
【0023】
医用情報取得部11は、処理部21及び送受信部24を含み構成され、各サーバS1,S2,S3・・・、及びクライアント端末1自身のIPアドレスやホスト名、及びAEタイトルといった通信に必要な情報を保持する。ネットワークを介して各サーバS1,S2,S3・・・が備える医用情報のファイル情報データベースを参照し、各サーバS1,S2,S3・・・に記憶されている医用情報を取得する。取得した医用情報は、主記憶部22上に展開しておく。
【0024】
判定部12では、ログイン入力部15から入力された使用者の識別情報、又は使用目的入力部16から入力された使用目的の情報に対応する使用者レベル又は目的レベルを取得する処理を行い、医用情報に含まれる各種項目に対応して定義されている項目レベルと比較する処理を行う。この比較結果が表示又は非表示の判定結果となる。使用者レベルや目的レベルは、表示の権限度を示し、項目レベルは、その項目の開示難度を示す。表示の権限度が低ければ、開示難度の高い項目は非表示となる。
【0025】
使用者レベル又は目的レベルを取得する処理では、使用者レベルを取得する使用者レベル取得部121と、使用目的の目的レベルを取得する目的レベル取得部122と、各取得部121,122に対応した使用者レベルテーブル121aと目的レベルテーブル122aを備えている。
【0026】
使用者レベルテーブル121aは、外部記憶部23に記憶されている。図4に示すように、ログイン入力部15から入力される使用者の識別情報121bに使用者レベル121cが対にして定義されている。例えば、「アカウントA」に対しては、この識別情報121bを「会計事務員」であるとして使用者レベル121cとして「8」が定義されている。
【0027】
目的レベルテーブル122aは、外部記憶部23に記憶されている。図5に示すように、使用目的入力部16から入力される使用目的122bに目的レベル122cが対にして定義されている。使用目的122bには、会計、引継、診察、治療、患者病状説明、看護師巡回等の病院で行われる業務が挙げられる。例えば、使用目的122bが「会計」である場合、この目的レベル122cとして「8」が定義されている。
【0028】
使用者レベル取得部121は、ログイン入力部15から入力された識別情報を主記憶部22から読み出し、使用者レベルテーブル121aを外部記憶部23から読み出す。入力された識別情報に対応する識別情報121bを使用者レベルテーブル121aから検索し、該当する識別情報121bに定義されている使用者レベル121cを取得する。
【0029】
目的レベル取得部122は、使用目的入力部16から入力された使用目的を主記憶部22から読み出し、目的レベルテーブル122aを外部記憶部23から読み出す。入力された使用目的に対応する使用目的122bを目的レベルテーブル122aから検索し、該当する使用目的122bに定義されている目的レベル122cを取得する。取得した使用者レベル121cや目的レベル122cは、主記憶部23に展開される。
【0030】
各種項目毎に定義されている項目レベルと比較する処理では、取得した使用者レベル又は目的レベルと各種項目毎の項目レベルとを比較する比較部123と、この比較部123に対応して各種項目毎に項目レベルを定義する項目レベルテーブル123aを備えている。
【0031】
項目レベルテーブル123aは、外部記憶部23に記憶される。図6に示すように、項目123bに対にして使用者レベルと比較する対象となる項目レベル123cと目的レベルと比較する対象となる項目レベル123dが定義されている。項目123bは、医用情報に含まれる項目と対応する。
【0032】
比較部123は、主記憶部23から使用者レベル121c又は目的レベル122cを読み出して、項目レベルテーブル123aに定義されている各項目123bの項目レベル123c又は123dと比較する。使用者に応じて表示又は非表示を判定する場合には、使用者レベル121cと項目レベル123cとを比較する。使用目的に応じて表示又は非表示を判定する場合には、目的レベル122cと項目レベル123dとを比較する。
【0033】
本実施形態では、使用者レベル121c又は目的レベル122cが項目レベル123c又は123dを下回る又は一致する場合、表示と判定され、上回る場合、非表示と判定される。判定結果は、主記憶部23上に項目毎に対応して割り当てられた記憶領域に展開される。
【0034】
尚、判断部12では、入力装置4を用いて、予め使用者に応じてレベルを取得するか、又は使用目的に応じてレベルを取得するかを設定させており、何れか一方の処理を行う。又は、双方の処理を行い、どちらか一方のレベルにより導かれた表示又は非表示の判定を優先するように設定するようにしてもよい。
【0035】
表示制御部13は、表示画面を作成して医用情報をモニタ3に表示させる。表示画面の作成フォームは外部記憶部23に記憶されている。このフォームには、項目の情報や伏せ字データを格納するための各種変数定義と、各変数に格納される項目定義と、変数に格納されたデータの表示位置定義がされている。主記憶部22上に各種変数に対応した記憶領域を確保し、フォームに従って各種変数へ項目の情報や伏せ字データを格納して、変数の内容を定義位置に表示する表示画面の作成を行い、モニタ3に出力する。
【0036】
この表示制御部13は、判定部12の判定結果に従って各種項目の情報を表示又は非表示にさせる。判断部12から表示の判定結果が出力された項目に対応する変数に対しては、項目の情報を格納する。判断部12から非表示の判定結果が出力された項目に対応する変数に対しては、伏せ字データを格納する。
【0037】
伏せ字データは、意味をなさない所定の文字若しくは記号又はその組み合わせを示すデータであり、例えば所定数連続する*(アスタリスク)や、乱数発生によって生成した数字の列である。また、表示の判定結果が出力された項目の情報のみ、画面上部から順に項目名と対にして表示するように制御してもよい。*(アスタリスク)等で隠蔽するよりも、隠蔽していることが第三者に認識されず好適である。
【0038】
このクライアント端末1の動作を図7に基づき説明する。図7は、クライアント端末1の処理を示すフローチャート図である。
【0039】
クライアント端末1は、ログオン画面をモニタ3に表示し(S01)、使用者の識別情報が入力されるのを待機する。識別情報の入力により、入力された識別情報を取得して主記憶部22の識別情報を記憶する記憶領域に展開する(S02)。次いで使用目的に応じて表示又は非表示を判定する設定がされていると(S03,Yes)、使用目的を入力させる表示画面をモニタ3に表示し(S04)、使用目的が入力されるのを待機する。使用目的が入力されると、入力された使用目的を取得して主記憶部22の使用目的を記憶する記憶領域に展開する(S05)。
【0040】
次に外部記憶部23に記憶される表示画面のフォームから医用情報の表示画面を生成し、モニタ3に表示する(S06)。使用者が医用情報の取得操作を行うと(S07)、主記憶部22に医用情報を格納する記憶領域を確保し、ネットワークNに接続しているサーバS1乃至S3の何れかから医用情報を取得して記憶領域に展開する(S08)。
【0041】
使用者に応じて表示又は非表示を判定する設定がされている場合(S09,Yes)、医用情報を取得すると、主記憶部22から使用者の識別情報を読み出すとともに、外部記憶部23から使用者レベルテーブル121aを読み込み、使用者レベルテーブル121aから使用者の識別情報に対応する識別情報121bを検索し、該当する識別情報121bに定義された使用者レベル121cを取得する(S10)。
【0042】
使用者レベル121cを取得すると、外部記憶部23から項目レベルテーブル123aを読み込み、各項目レベル123cと使用者レベル121cを順次比較する(S11)。
【0043】
比較の結果、使用者レベル121cが項目レベル123cを下回っているか一致すれば(S11,下回る)、比較した項目レベル123cが定義された項目123bの表示を判定されて、この項目123bに対応する表示フォームの変数に、取得した医用情報に含まれる該当項目の情報を格納する(S12)。比較の結果、使用者レベル121cg項目レベル123cを上回る場合は(S11,上回る)、比較した項目123bに対応する表示フォームの変数に、伏せ字データを格納する(S13)。
【0044】
S11〜S13までの処理を各項目について行い(S14,No)、各項目について終了すると(S14,Yes)、変数の内容をモニタ3に表示させる(S15)。
【0045】
使用目的に応じて表示又は非表示を判定する設定がされている場合(S16,Yes)、医用情報を取得すると、主記憶部22から使用目的を読み出すとともに、外部記憶部23から目的レベルテーブル122aを読み込み、目的レベルテーブル122aから、入力された使用目的に対応する使用目的122bを検索し、該当する使用目的122bに定義された目的レベル122cを取得する(S17)。
【0046】
次に外部記憶部23から項目レベルテーブル123aを読み込み、各項目レベル123dと目的レベル122cを順次比較する(S18)。
【0047】
比較の結果、目的レベル122cが項目レベル123dを下回るか一致すれば(S18,下回る)、比較した項目レベル123dが定義された項目123bの表示を判定されて、この項目123bに対応する表示フォームの変数に、取得した医用情報に含まれる該当項目の情報を格納する(S19)。比較の結果、目的レベル122cが項目レベル123dを上回る場合は(S18,上回る)、比較した項目123bに対応する表示フォームの変数に、伏せ字データを格納する(S20)。
【0048】
S18〜S20までの処理を各項目について繰り返し(S21,No)、各項目について終了すると(S21,Yes)、変数の内容をモニタ3に表示させる(S15)。尚、使用目的に応じて表示又は非表示を判定する設定がされてない場合、すなわち表示又は非表示の判定設定がされてない場合は(S16,No)、医用情報に含まれる各項目の情報を対応する変数に格納して(S22)、変数の内容をモニタ3に表示させる(S15)。
【0049】
図8は、このクライアント端末1による表示画面の表示例であり、図8(a)は使用目的が「引継」の場合の表示画面例であり、図8(b)は「看護師巡回」の場合の表示画面例である。図8に示すように、医用情報に含まれる各項目の情報は、各項目J01,J02・・・毎にモニタ3に表示される。
【0050】
図5に示した目的レベルテーブル122aによると、「引継」に対応する使用目的122bに定義されている目的レベル122cは「2」であり、「看護師巡回」に対応する使用目的122bに定義されている目的レベル122cは「6」である。一方、図6に示した項目レベルテーブル123aでは、各項目J01乃至J08に対応する項目123bに定義されている項目レベル123dは、患者氏名が「9」、住所が「4」、原発部位が「3」、ステージが「2」、投薬物が「2」、体温が「6」、食事量が「6」、排便回数が「6」である。
【0051】
従って、「引継」に関する目的レベル122cは、全ての項目レベル123dを下回るか一致し、図8(a)に示すように全ての項目J01乃至J08が表示される。一方、「看護師巡回」に関する目的レベル123cは、「住所」、「原発部位」、「ステージ」、「投薬物」に関する項目レベル123dを上回り、図8(b)に示すように「住所」を示す項目J02、「原発部位」を示す項目J03、「ステージ」を示す項目J04、「投薬物」を示す項目J05が非表示となる。
【0052】
これにより、看護師巡回の際に第三者に見られてはならない病名や病状の認識に結びつくような投薬物Bは非表示され、患者自身を含む第三者に病名や病状が悟られることはない。このように、医用情報表示装置たるクライアント端末1では、医用情報の各種項目に係る表示又は非表示について、各種の使用目的に応じて適正に区分けでき、それぞれの使用目的で適正な医用情報の開示を行うことができる。
【0053】
使用者レベルテーブル121a、目的レベルテーブル122a、項目レベルテーブル123aに定義されるレベル121c,122c,123c,123dは、使用者や使用目的に応じて表示しておく情報と非表示にする情報とがフィルタリングされるように調整しておけばよい。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のクライアント端末1は、使用者又は使用目的に加えて、更に告知に関する情報に応じて各種項目の表示又は非表示を判断する。図9は、第2の実施形態に係るクライアント端末1が備える目的レベル取得部122のさらに詳細な機能ブロック図である。
【0055】
目的レベル取得部122は、使用目的判断部124と告知判断部125を備える。また、クライアント端末1は、入力装置4を含み構成される病状説明内容入力部126を備える。説明の都合上図面においては、使用目的判断部124と告知判断部125は、目的レベル取得部122の外部に記載している。
【0056】
使用目的判断部124は、使用目的が入力されると、使用目的の種別を判断する。入力された使用目的を解釈し、「病状説明」か、それ以外かを判断している。病状説明以外である場合には、目的レベル取得部122によって使用目的122bに対応する目的レベル122cが取得される。
【0057】
告知判断部125は、使用目的が病状説明であった場合に、医用情報から告知希望有無情報と告知有無情報を取得して、使用目的を告知希望用病状説明とするか非告知用病状説明とするかを判断する。図10は、医用情報のデータ構造を示す図である。医用情報は、各種項目の情報の格納部K3と告知希望有無情報格納部K1と告知有無情報格納部K2で構成される。告知希望有無情報は、告知を希望するかしないかを示す情報であり、告知有無情報は、既に告知したか未だ告知していないかを示す情報である。
【0058】
告知判断部125は、告知希望有無情報を読み込んで、告知を希望することを示す情報か告知を希望しないことを示す情報か解釈する。さらに告知希望有無情報が告知を希望することを示す情報である場合には、告知有無情報を読み込んで、告知をしたかしていないかを解釈する。告知有無情報が告知をしていないことを示す情報である場合、病状説明内容入力部126を用いて告知するかしないかを選択させる。
【0059】
目的レベル取得部122は、使用目的判断部124の判断結果、又は告知判断部125の判断結果によって、所定の使用目的を選択し、所定の使用目的に定義された目的レベル122cを取得する。
【0060】
図11は、目的レベル取得部122が使用目的、告知希望有無情報、告知有無情報に応じて選択する使用目的の対応表である。「○」は、各情報の内容によって左欄の使用目的が選択されることを示す。「△」は、病状説明内容入力部126の入力に対応することを示す。
【0061】
図11に示すように、目的レベル取得部122は、使用目的が病状説明、告知希望有無情報が希望する、告知有無情報が告知有りである場合、告知用病状説明が選択され、目的レベルテーブル122aから告知用病状説明の使用目的に定義された目的レベル122cを取得する。
【0062】
また、使用目的が病状説明、告知希望有無情報がしないである場合、非告知用病状説明が選択され、目的レベルテーブル122aから告知用病状説明に定義された目的レベル122cを取得する。この場合、告知有無情報を取得しなくともよい。
【0063】
また、使用目的が病状説明、告知希望有無情報が希望する、告知有無情報が告知無しである場合、病状説明内容入力部126の入力を待つ。病状説明内容入力部126の入力が「告知する」を示す情報であった場合には、告知用病状説明が選択され、目的レベルテーブル122aから告知用病状説明に定義された目的レベル122cを取得する。病状説明内容入力部126の入力が「告知しない」を示す情報であった場合には、非告知用病状説明が選択され、目的レベルテーブル122aから告知用病状説明に定義された目的レベル122cを取得する。
【0064】
このクライアント端末1の目的レベル122cを取得する動作を図12に示す。まず、入力された使用目的が病状説明か否かを判断する(S31)。使用目的が病状説明以外であった場合(S31,No)、目的レベルテーブル122aから、入力された使用目的122bに定義された目的レベル122cを取得する(S32)。
【0065】
使用目的が病状説明であった場合(S31,Yes)、医用情報から告知希望有無情報を読み出し、告知希望有無情報が希望を示す情報であるか否かを判断する(S33)。告知希望有無情報が希望しないを示す情報であった場合(S33,No)、目的レベルテーブル122aから非告知用病状説明を示す使用目的122bに定義された目的レベル122cを取得する(S34)。
【0066】
告知希望有無情報が希望するを示す情報であった場合(S33,Yes)、医用情報から告知有無情報を読み出し、告知有無情報が告知有りを示す情報であるか否かを判断する(S35)。告知有無情報が告知有りを示す情報である場合(S35,Yes)、目的レベルテーブル122aから告知用病状説明を示す使用目的122bに定義された目的レベル122cを取得する(S36)。
【0067】
告知有無情報が告知無しを示す情報である場合(S35,No)、告知するかしないかの入力を施し、告知するを示す情報が入力された場合(S37,Yes)、目的レベルテーブル122aから告知用病状説明を示す使用目的122bに定義された目的レベル122cを取得する(S36)。告知せずを示す情報が入力された場合(S37,No)、目的レベルテーブル122aから非告知用病状説明を示す使用目的122bに定義された目的レベル122cを取得する(S34)。
【0068】
以上の動作により、使用目的、告知希望有無情報、告知有無情報から目的レベルが取得され、各項目レベルと比較されて表示又は非表示が判断される。そして判断結果に応じて各項目の情報がモニタ3に表示又は非表示される。
【0069】
図13は、このクライアント端末1による表示画面の表示例であり、図13(a)は使用目的が病状説明であって「告知用病状説明」が表示された表示画面例であり、図13(b)は「非告知用病状説明」の場合の表示画面例である。図13に示すように、医用情報に含まれる各項目の情報は、各項目J01,J02・・・毎にモニタ3に表示される。
【0070】
医用情報に含まれる告知有無情報が既に告知されていることを示し、又は告知希望有無情報が告知を希望することを示しており告知する情報が入力された場合、告知用病状説明の使用目的に122bに定義された目的レベル122cである「1」(図11参照)を目的レベルテーブル122aから読み出し、各項目レベル123dと比較し表示又は非表示を判定する。この結果、図13(a)に示すように、全ての項目J01乃至J08が表示される。
【0071】
医用情報に含まれる告知希望有無情報が告知を希望しないことを示し、又は告知希望有無情報が告知を希望することを示しており告知しないことを示す情報が入力された場合、目的レベル122cである「3」(図11参照)を読み出して各項目レベル123dと比較し表示又は非表示を判定する。この結果、図13(b)に示すように、「ステージ」を示す項目J04、「投薬物」を示す項目J05が非表示となる。
【0072】
このクライアント端末1により、告知に関する患者の意向を反映して適切な表示又は非表示の区分けを行うことができ、患者に病状を悟られることなく、また別の症状の医用情報を用いる等して患者の不信を増幅させることもない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態に係るクライアント端末が接続するネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係るクライアント端末を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るクライアント端末の機能を示す機能ブロック図である。
【図4】使用者レベルテーブルを示す図である。
【図5】目的レベルテーブルを示す図である。
【図6】項目レベルテーブルを示す図である。
【図7】第1の実施形態に係るクライアント端末の動作を示すフローチャート図である。
【図8】第1の実施形態に係るクライアント端末が表示する表示画面を示す図である。
【図9】第2の実施形態に係るクライアント端末の目的レベル取得機能を示す機能ブロック図である。
【図10】第2の実施形態に係るクライアント端末が取得する医用情報のデータ構造を示す図である。
【図11】第2の実施形態に係る使用目的、告知希望有無情報、告知有無情報によって選択される使用目的の対応表を示す図である。
【図12】第2の実施形態に係るクライアント端末の動作を示すフローチャート図である。
【図13】第2の実施形態に係るクライアント端末が表示する表示画面を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 クライアント端末
11 医用情報取得部
12 判定部
121 使用者レベル取得部
121a 使用者レベルテーブル
122 目的レベル取得部
122a 目的レベルテーブル
123 比較部
123a 項目レベルテーブル
124 使用目的判断部
125 告知判断部
126 病状説明内容入力部
13 表示制御部
14 取得医用情報入力部
15 ログイン入力部
16 使用目的入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種項目の情報を含む医用情報を表示する医用情報表示装置であって、
医用情報の使用目的を入力する入力手段と、
入力された使用目的に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定する判定手段と、
判定結果に従って各種項目を表示又は非表示にする表示制御手段と、
を備えること、
を特徴とする医用情報表示装置。
【請求項2】
前記医用情報は、さらに告知希望有無情報を含み、
前記判定手段は、入力された使用目的が所定の使用目的であった場合、前記告知希望有無情報に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定すること、
を特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項3】
前記医用情報は、さらに告知有無情報を含み、
前記判定手段は、入力された使用目的が所定の使用目的であり、かつ前記告知希望有無情報が告知希望を示す場合、前記告知有無情報に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定すること、
を特徴とする請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
告知若しくは非告知を入力する病状説明内容入力手段をさらに備え、
前記判定手段は、入力された使用目的が所定の使用目的であり、かつ前記告知希望有無情報が告知希望を示し、前記告知有無情報が告知無しを示す情報であった場合、入力された病状説明内容に応じて各種項目の情報の表示又は非表示を判定すること、
を特徴とする請求項3記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
医用情報の項目毎に項目レベルを定義する項目レベルテーブルと、
医用情報の使用目的毎に目的レベルを定義する目的レベルテーブルと、
入力された使用目的に応じた目的レベルと各項目レベルを比較して、比較結果によって各種項目の情報の表示又は非表示を判定する比較手段と、
を含むこと、
を特徴とする請求項1記載の医用情報表示装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
医用情報の項目毎に項目レベルを定義する項目レベルテーブルと、
医用情報の使用目的毎に目的レベルを定義する目的レベルテーブルと、
所定の使用目的が入力された場合、前記告知希望有無情報に応じて定められた使用目的に定義された目的レベルを前記目的レベルテーブルから取得する目的レベル取得手段と、
取得した目的レベルと項目レベルを項目毎に比較して、比較結果によって各種項目の情報の表示又は非表示を判定する比較手段と、
を含むこと、
を特徴とする請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
前記判定手段は、
医用情報の項目毎に項目レベルを定義する項目レベルテーブルと、
医用情報の使用目的毎に目的レベルを定義する目的レベルテーブルと、
所定の使用目的が入力され、前記告知希望情報が告知希望を示す情報である場合、前記告知有無情報に応じて定められた使用目的に定義された目的レベルを前記目的レベルテーブルから取得する目的レベル取得手段と、
取得した目的レベルと項目レベルを項目毎に比較して、比較結果によって各種項目の情報の表示又は非表示を判定する比較手段と、
を含むこと、
を特徴とする請求項3記載の医用情報表示装置。
【請求項8】
前記判定手段は、
医用情報の項目毎に項目レベルを定義する項目レベルテーブルと、
医用情報の使用目的毎に目的レベルを定義する目的レベルテーブルと、
所定の使用目的が入力され、前記告知希望情報が告知希望を示す情報であり、かつ前記告知有無情報が告知無しを示す情報であった場合、入力された病状説明内容に応じて定められた使用目的に定義された目的レベルを前記目的レベルテーブルから取得する目的レベル取得手段と、
取得した目的レベルと項目レベルを項目毎に比較して、比較結果によって各種項目の情報の表示又は非表示を判定する比較手段と、
を含むこと、
を特徴とする請求項4記載の医用情報表示装置。
【請求項9】
前記目的レベルテーブルには、告知用病状説明の使用目的に定義された目的レベルと、非告知用病状説明の使用目的に定義された目的レベルが少なくとも定義されること、
を特徴とする請求項6乃至8の何れか記載の医用情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−344110(P2006−344110A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170584(P2005−170584)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)