医用画像処理システム
【課題】読影効率のよい医用画像処理システムを提供すること。
【解決手段】実施形態の医用画像処理システムは、画像データを画像処理する画像処理サーバと、読影医がログインするクライアント端末を複数の前記画像処理サーバの1つに割り当てるログイン制御部と、前記ログインを契機として読影医情報と未読影検査情報を取得し前記読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部と、前記割り当てた画像処理サーバに前記検査リストを送信する検査リスト送信部と、前記検査リストに対応する医用画像データを前記割り当てた画像処理サーバに転送するように医用画像サーバに要求する画像要求部とを備え、前記画像処理サーバは、前記検査リストを受信する検査リスト受信部と、前記検査リストに基づく未読影の医用画像データを前記医用画像サーバから取得する画像受信部と、前記未読影の医用画像データの画像処理を行うアプリケーション実行部と、を有する。
【解決手段】実施形態の医用画像処理システムは、画像データを画像処理する画像処理サーバと、読影医がログインするクライアント端末を複数の前記画像処理サーバの1つに割り当てるログイン制御部と、前記ログインを契機として読影医情報と未読影検査情報を取得し前記読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部と、前記割り当てた画像処理サーバに前記検査リストを送信する検査リスト送信部と、前記検査リストに対応する医用画像データを前記割り当てた画像処理サーバに転送するように医用画像サーバに要求する画像要求部とを備え、前記画像処理サーバは、前記検査リストを受信する検査リスト受信部と、前記検査リストに基づく未読影の医用画像データを前記医用画像サーバから取得する画像受信部と、前記未読影の医用画像データの画像処理を行うアプリケーション実行部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像の読影などに使用する医用画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の医用画像収集装置で生成される画像データは高精細大容量であり、かつ検査数の増加から処理すべき画像データ量は膨大になっている。読影医は医用画像収集装置で生成された医用画像をそのまま見て読影するだけでなく、高機能な画像処理アプリケーションソフトで新たな医用画像を生成し病巣部の読影を行う。このようなアプリケーションソフトの研究・開発は盛んであり、次々に新しいアプリケーションソフトがリリースされている。病院では、アプリケーションソフトの更新や処理能力の高い読影用ワークステーションに更新する必要性から、維持運用コストが増大化してきている。
【0003】
また、医用画像収集装置の高性能化のため短時間で正確な検査できるようになった一方で、検査数の増加に伴う読影医の不足が問題となっている。このような問題を解決するため、従来の読影用ワークステーションに代わり、アプリケーションサーバが導入されつつある。
【0004】
このアプリケーションサーバは、読影医が自身のPC(Personal Computer)やクライアント端末などネットワークに接続された場所からアプリケーションサーバにログインして読影できるため、病院の維持運用コストの低減と同時に読影時間の効率化に有効である。
【0005】
アプリケーションサーバを用いた医用画像処理・読影システムは、例えば、多くの読影医が同時にログインでき、大容量の医用画像データを処理するために、クラスタ構成のアプリケーションサーバ、医用画像収集装置の画像データを保存する医用画像サーバ、および複数のクライアント端末などが病院内のネットワークを介して構成される。
【0006】
読影医は、クライアント端末からアプリケーションサーバにログインし、医用画像サーバ上の医用画像データを、アプリケーションサーバにロードした後、医用画像データを読影可能な医用画像に処理して読影する。
【0007】
CTやMRI等の医用画像収集装置で生成される画像データの容量や検査数が膨大なため、ログインしてから読影すべき検査の医用画像データを医用画像サーバからアプリケーションサーバに転送していたのでは、転送時間がかかり読影の効率が低下するという問題がある。
【0008】
また、読影対象となる医用画像データを、あらかじめ医用画像サーバからアプリケーションサーバに転送しておくことが多いが、アプリケーションサーバが複数の画像処理用コンピュータからなるクラスタ構成の場合、読影すべき医用画像データを全ての画像処理用コンピュータに転送しておく場合と、いずれかの画像処理用コンピュータに転送しておく場合がある。
【0009】
しかし、読影すべき画像データをあらかじめ全ての画像処理用コンピュータに転送しておく場合は、読影医がどの画像処理用コンピュータにログインしても読影すべき検査の画像データ存在するため利便性は良いが、画像処理用コンピュータに大容量の画像保存領域が必要であり大きな無駄が発生するという問題がある。一方、いずれかの画像処理用コンピュータに読影すべき画像データを転送しておく場合は、画像保存領域の無駄は少ないが、画像データを転送した画像処理用コンピュータに必ずログインできるとは言えないため、必ずしも読影すべき検査の画像データが存在するとは限らないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−238093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決し、読影効率のよい医用画像処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、実施形態の医用画像処理システムは、画像データを画像処理する画像処理サーバと、読影医がログインするクライアント端末を複数の前記画像処理サーバの1つに割り当てるログイン制御部と、前記ログインを契機として読影医情報と未読影検査情報を取得し前記読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部と、前記割り当てた画像処理サーバに前記検査リストを送信する検査リスト送信部と、前記検査リストに対応する医用画像データを前記割り当てた画像処理サーバに転送するように医用画像サーバに要求する画像要求部とを備え、前記画像処理サーバは、前記検査リストを受信する検査リスト受信部と、前記検査リストに基づく未読影の医用画像データを前記医用画像サーバから取得する画像受信部と、前記未読影の医用画像データの画像処理を行うアプリケーション実行部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態における医用画像処理システムのネットワーク構成図である。
【図2】同実施形態における医用画像処理サーバ群のブロック構成図である。
【図3】同実施形態における画像処理割当部のフローチャート図である。
【図4】同実施形態における読影医データベースに保存される読影医テーブルの例である。
【図5】同実施形態における検査リスト抽出の例である。
【図6】同実施形態における画像処理サーバのフローチャート図である。
【図7】同実施形態における検査リストの医用画像データ転送状況を示す図である。
【図8】第2の実施形態における優先度情報を有する検査リスト抽出の例である。
【図9】同実施形態における優先度情報を有する検査リストの画像データ転送状況を示す図である。
【図10】同実施形態における読影医情報を有する検査リスト抽出の例である。
【図11】同実施形態における読影医情報を有する検査リストの画像データ転送状況を示す図である。
【図12】第3の実施形態における再ログインの場合のフローチャート図である。
【図13】第4の実施形態における未登録の読影医情報を読影医情報データベースに自動登録するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための実施形態について図1から図13に示す図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の医用画像処理システムは、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)などのシステムと連携して構築することが可能であり、既存のシステムとの整合性が容易に得られる。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本実施形態の医用画像処理システムは、超音波診断装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの複数の医用画像収集装置11A、11B、11Cと、これらの医用画像収集装置11で撮影された医用画像データを保存する医用画像サーバ12、および病院内情報システム(HIS)13が接続されたネットワーク14上に構築され、読影医がログインする複数のクライアント端末15A、15B、15Cと、アプリケーションサーバとして機能する医用画像処理サーバ群16から構成される。
【0017】
複数の画像処理サーバ17A、17B、17Cで構成される医用画像処理サーバ群16とクライアント端末15A、15B、15Cはシンクライアントシステムを形成する。シンクライアントとは、クライアント端末15に必要最小限の処理をさせ、画像処理を含む大部分の処理を医用画像処理サーバ群16側に集中させたシステムである。
【0018】
画像処理サーバ17はクライアント端末15へログインした読影医の操作入力に応じて種々の画像処理を行い、その処理した結果の医用画像をクライアント端末15へ送信して表示させる。画像処理は、例えば3次元のレンダリング処理、画像中の医学的異常を検出するCAD(Computer-aided Diagnosis)処理、画像計測処理、心臓等の機能解析処理などである。
【0019】
医用画像処理サーバ群16は複数の画像処理サーバ17A、17B、17Cと、クライアント端末15からログインする読影医を、どの画像処理サーバ17A、17B、17Cに割り当てるかを制御する画像処理割当部18を有する。画像処理サーバ17A、17B、17Cと画像処理割当部18は、内部バスまたはネットワーク19で接続される。なお、本実施形態では画像処理割当部18と画像処理サーバ17A、17B、17Cは、それぞれ個別にコンピュータを用いてクラスタ構成のアプリケーションサーバを構築しているものとして説明するが、例えば画像処理割当部18と画像処理サーバ17の一部または全部をマルチタスク、マルチコアタイプなどの並列処理コンピュータ内に構築してもよい。
【0020】
次に、医用画像処理サーバ群16のブロック構成について図2を用いて説明する。尚、図2では、画像処理割当部18と、画像処理割当部18で割り当てられた画像処理サーバ17についての関係を示している。
【0021】
画像処理割当部18は、クライアント端末15から読影医のログイン要求に対して、クラスタ内の1つ画像処理サーバ17を割り当てるログイン制御部181、病院内情報システム13から未読影検査情報を含む病院内情報を取得するHIS情報取得部182、クライアント端末15からログインする読影医の読影医情報が保存される読影医情報データベース183、読影医情報データベース183への登録・削除などのデータベース管理を行う登録・管理部184、HIS情報取得部182で取得した未読影検査情報と、読影医情報データベース183に登録された読影医情報を用いてクライアント端末15からログインした読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部185、割り当てた画像処理サーバ17に対して検査リストの送信・受信を行う検査リスト送受信部186、検査リストに対応する医用画像データを、割り当てた画像処理サーバ17に送信するよう医用画像サーバ12に対して要求を行う画像要求部187、および画像処理サーバ17より読影が完了した時点で読影履歴情報を受信する履歴情報受信部188を有する。
【0022】
画像処理サーバ17は、画像処理割当部18の検査リスト送受信部186から送信された検査リストを受信する検査リスト送受信部171、医用画像サーバ12より未読影の医用画像データを受け取る画像受信部172、受信した未読影の医用画像データの登録・読み出し・削除などの画像管理を行う画像管理部173、未読影の医用画像データを保存する画像データベース174、画像処理割当部18から受信した検査リストの保存、削除および検査リストに対応する医用画像データの転送状況などを管理する検査リスト管理部175、ログインした読影医の読影すべき検査リスト一覧とそれに対応する医用画像データの転送状況などをクライアント端末15へ表示させ、クライアント端末15からの読影すべき検査の指示・命令を待つ表示部176、クライアント端末15からの指示に基づき、医用画像読影に使用される所定のアプリケーションを実行するアプリケーション実行部177、読影履歴情報を管理し医用画像データおよび検査リストの削除、病院内情報システム13への通知などを行う履歴管理部178、履歴管理部178の読影履歴情報を画像処理割当部18の履歴情報受信部188に送信する履歴情報送信部179を有する。
【0023】
まず、図3のフローチャートを用いて画像処理割当部18の処理について説明する。ステップST301では、読影医がクライアント端末15からログイン制御部181へログインする。
【0024】
ステップST302において、検査リスト抽出部185は、ログイン制御部181へログインしている読影医ユーザ名に基づいて読影医の名前、専門部位、使用可能な医療診断装置等の読影医情報を登録・管理部184を介して読影医情報データベース183から取得する。
【0025】
ここで読影医情報データベース183から取得する読影医情報テーブルの例を図4に示す。図4の例では「読影医ユーザ名」とその読影医の専門を示す「専門部位」の2つのフィールドを取得する。
【0026】
また同時に、ステップST303において、検査リスト抽出部185は、HIS情報取得部182から病院情報システムに保存されている未読影検査情報を取得する。図5は、病院情報システム13から取得する未読影検査情報の例を示す。図5の例では、「検査ID」、「検査日」、「患者ID」、「部位」フィールドを取得する。
【0027】
次にステップST304では、読影医情報と未読影検査情報をもとに、ログインした読影医が読影すべき検査の抽出を行う。例えば図4で、ログインした読影医が「BBB」の場合は「専門部位」フィールドが「胸部」であるため、図5の太枠で示すように、「部位」フィールドから「胸部」であるものを抽出し、ステップST305では、抽出した未読影検査を検査リストとして作成する。
【0028】
ステップST306では、ログインした読影医に対して複数の画像処理サーバ17から最適な例えば画像処理サーバ17Aを割り当てる。ここでは、各画像処理サーバ17A、17B、17Cがネットワーク19で接続されている場合は、IPアドレスなど画像処理サーバ17A、17B、17Cを一意に識別し通信可能な情報を割当てて通信を行う。
【0029】
ステップST307では、画像要求部187は、ステップST305で作成した検査リストに対応する医用画像を、ステップST306で割り当てた画像処理サーバ17のIPアドレスに転送するように画像サーバ12に対して要求する。
【0030】
同時にステップST308では、検査リスト送信部186は、ステップST305で作成した検査リストを、ステップST306で割り当てた画像処理サーバ17のIPアドレスに送信する。
【0031】
以上のステップにより、クライアント端末15にログインした読影医は、医用画像サーバ16内の所定の画像処理サーバ17と通信し読影の準備が整うことになる。
【0032】
次に、図6のフローチャートを用いて画像処理サーバ17の処理について説明する。ステップST601では、画像処理割当部18の検査リスト送受信部186から送信された検査リストを検査リスト送受信部171で受信する。また、同時にステップST602では、医用画像サーバ12より転送される医用画像データを画像受信部172で受信開始する。
【0033】
ステップST603では、画像管理部173は、転送された医用画像データを画像データベース174に保存すると同時に医用画像データの転送状況を把握し、少なくとも「転送済み」、「転送中」、「転送待ち」の状態を管理する。その他、予想される転送待ち時間を算出してもよい。
【0034】
ステップST604では、検査リスト管理部175は、検査リスト送受信部171で受信した検査リストと、画像管理部173から取得する医用画像データ転送状況とを一覧表にして表示部176へ送信し、表示部176は、医用画像データ転送状況を含む検査リストを読影医がログインしたクライアント端末15の図示しないモニタに表示させる。図7に医用画像データ転送状況を含む検査リストの例を示す。図7では、図5のフィールドに加え、医用画像データの転送状況が表示され、例えば、検査ID1111に対応する医用画像は「転送済み」であることがわかる。
【0035】
読影医はログインしたクライアント端末15で、図7に示す転送状況から「転送済み」が表示されている検査から読影が可能である。ステップST605では、読影医がクライアント端末15に接続されるマウスなどのユーザインターフェースを用いて検査リストをクリックするなどの読影開始の指示を出すのを待機する。読影医の指示待ちの場合(ステップSTST605:Yes)、ステップST603に戻り医用画像データの転送状況を把握する。読影医から読影指示があった場合(ステップSTST605:No)次のステップST606へ進む。
【0036】
ステップST606では、画像管理部173は読影医から指示があった医用画像データを画像データベース174から読み出し、アプリケーション実行部177では医用画像読影に使用される所定のアプリケーションを選択して実行する。これにより、読影医はログインしたクライアント端末15上で、読影が開始できる。なお、読影開始後においても、医用画像データの受信はバックグランドで継続される。
【0037】
ステップST607では、履歴管理部178は、読影医の読影状況を判断し、読影が終了していれば、検査リストから削除し、かつ画像データベース174から読影済みの医用画像データを削除する。また、病院内情報システム13へ読影が終了した検査情報を送信すると同時に、履歴情報送信部179にて、ログインした読影医が読影した医用画像の部位などの読影履歴情報を画像処理割当部18の履歴情報受信部188へ送信する。この読影履歴情報の扱いについては後述する。
【0038】
以上述べたように第1の実施形態によれば、読影医のログインをトリガとして、ログインした読影医が読影すべき検査リストとその検査リストに対応する医用画像データが画像処理サーバ17に転送される。読影が終了すればその医用画像データは削除されるため、画像処理サーバ17の医用画像データ保存領域を小さくできる。これにより保存領域の効率化および医用画像データ転送の効率化が達成され、読影すべき医用画像データへのアクセスが高速化される。
【0039】
また、本実施形態では、読影医情報データベース183の読影医情報テーブルの「専門部位」フィールドを用いて検査リストを抽出する説明をしたがこれに限られない。例えば、CT、MRI、超音波診断装置など操作可能な医用画像収集装置11の種別などをフィールドに加え、これらを抽出条件にしてもよい。
【0040】
(第2の実施形態)
本実施形態は、検査リストに対して読影の優先度やその他の抽出条件を設定する。図8は、優先度情報を有する検査リスト抽出の例であり、図9はそれに対する医用画像データの転送状況を示す図である。ステップST303では、病院内情報システム13より未読影検査情報を取得しているが、この時読影の優先度情報を取得することも可能である。図8によれば、「優先度」フィールドが付加され読影の順番が記載される。抽出された検査リストの優先度情報に基づき、医用画像サーバ12からの医用画像データの転送も優先的に行われ、図9に示すように、クライアント端末15に表示される検査リストも優先度が高い順に表示される。
【0041】
また、さらに抽出条件を付加することができる。図10は、読影医情報をさらに有する検査リストの例であり、読影医を指定する検査などの場合に有効である。図11は、その転送状況を示す図である。図10によれば、読影医情報として「指定読影医」フィールドが付加され読影医の指定がなされる。この場合、ログインした読影医情報により(この例ではBBB)で検査リストが抽出されるため、図11に示すように、指定した読影医BBBの検査リストが優先度の高い順に表示され、医用画像データの転送が行われる。
【0042】
以上述べたように第2の実施形態によれば、読影の優先度や読影医の指定など、所望の検索条件を付加できるので、さらに読影効率が向上する。
【0043】
(第3の実施形態)
本実施形態は、同じ読影医が再ログインした場合について説明する。特に最初のログイン時に表示された検査リストのすべてに対して読影が終了せずにログオフした場合などに対応する。このような場合は、最初にログインした画像処理サーバ17には、未読影の画像データが残っているため、この画像処理サーバ17に優先的に割当を行うものである。
【0044】
図12のフローチャートを用いて、再ログインの場合の処理について説明する。ステップST120では、クライアント端末15からログインする読影医が再ログインかどうか判断する。ここで再ログインかどうかは、所定の期間内に再びログインしたかどうかで判断することが好ましい。例えば当日内のログイン回数について判断してもよい。また、このステップST120は、図3ではステップST301に対応するものである。ここで、読影医のログインが再ログインでなければ(ST120:No)、ステップST302からステップST306で示した通常のログイン処理を行う(ステップST121)。読影医のログインが再ログインであれば、(ST120:Yes)、ステップST122に進む。
【0045】
ステップST122において、ログイン制御部181は、すべての画像処理サーバ17の検査リスト管理部175に対して、管理している未読影検査リスト要求する。ここでいう未読影検査リストとは、以前のログインで読影が終了しなかった検査リストと定義する。
【0046】
そして図2の点線で示すように、検査リスト管理部175は、検査リスト送受信部171、186を介して未読影検査リストをログイン制御部181へ送信する。
【0047】
ステップST123において、ログイン制御部181は、読影医情報データベース183の読影医情報を登録・管理部184を介して取得する。
【0048】
ステップST124では、この未読影検査リストをログインした読影医情報(読影医ユーザ名)を抽出条件として未読影の検査を抽出し、ログインした読影医の未読影検査がより多く存在している画像処理サーバ17を判定する。この判定は未読影検査数、またはそれに対応する医用画像データの総容量などにて判断してよい。
【0049】
ステップST125では、ステップST124で判断した画像処理サーバ17が再割当可能かどうか判断する。すでに、他の読影医ユーザにて再割当がなされている場合には(ステップ125:No)、2番目に多くの未読影検査が残っている画像処理サーバ17へ割当てもよいし、通常と同様に他の画像処理サーバ17に割り当てても良い(ステップST126)。再割当が可能な場合は(ステップ125:No)、再割当を実行する(ステップST127)。
【0050】
ステップST128では、図3に示したステップST302からST305までを行い、今回のログインに対する新たな検査リストを抽出する。
【0051】
ステップST129において、新たに抽出された検査リストの内、過去のログインと同じ画像処理サーバ17に再割当された場合には、ステップST124で算出した未読影検査の医用画像データについては、すでに転送済みであるため、この検査に対応する医用画像データを医用画像サーバ12から転送する必要がない。このため、未転送である医用画像データのみを算出する。
【0052】
その後、ステップST307で未転送である医用画像データの転送要求を医用画像サーバ12に対して行い、割り当てた画像処理サーバ17にステップST128で作成した検査リストを送信する。
【0053】
以上述べたように、第3の実施形態によれば、再ログインした場合に、未読検査の医用画像データがより多く残っている画像処理サーバ17に割当されるため、さらに読影に費やす時間が低減される。
【0054】
なお、この他の方法として、未読影検査が存在して読影医がログオフした場合、履歴管理部178でこれを管理し、履歴情報送信部179、履歴情報受信部188経由でログイン制御部181に未読影検査が存在する画像処理サーバ17をあらかじめ通知しておくことで本実施形態同様のログイン制御が行える。
【0055】
(第4の実施形態)
本実施形態は、読影医情報データベース183に登録していない読影医がログインした場合の自動登録について説明する。これは、遠隔読影や他病院から読影医を招いて読影する場合に有効である。
【0056】
図13のフローチャートを用いて未登録の読影医のログインについて説明する。ステップST131では、ログインした読影医が読影医情報データベース183に登録されているかどうか判定する。ログインした読影医が読影医情報データベース183に登録されていれば(ステップST131:No)、ステップST132において図3のステップST302からST308に示す通常処理を行う。
【0057】
ログインした読影医が読影医情報データベース183に登録されていない場合(ステップST131:Yes)、読影医情報データベース183から読影医情報は得られないため、ステップST133では、未読影検査情報内に含まれるすべての検査リストが抽出される。
【0058】
以下、ステップ134では、図3のST305〜ST308までが行われ、割り当てた画像処理サーバ17に検査リストと医用画像データが送信される。
【0059】
ステップST135では、図6のステップST601〜ST607が行われ、読影医による医用画像の読影が行われる。
【0060】
ステップST136において、読影履歴管理部178は、読影医が読影した検査部位などの読影履歴情報を図2の一点鎖線矢印に示すように、履歴情報送信部179から送信し、履歴情報受信部188で受信する。
【0061】
ステップST137において、登録・管理部184は、読影履歴情報に基づき自動的に読影医情報を読影医情報データベース183に反映する。
【0062】
以上述べたように、第4の実施形態によれば、遠隔地にいる未登録読影医に対しても読影が可能となり、ネットワーク管理者などが不在で登録ができなくても読影が可能となる。また、読影後にはその検査部位により自動登録されるため、次回のログインからは、読影医情報によって抽出された検査リストが表示される。このため未登録の読影医に対しても効率のよい読影が可能となる。
【0063】
なお、未登録の読影医に関しては、数回読影するまでは仮登録としたり、正式にネットワーク管理者などが登録するまでは仮登録とすることで、読影医情報データベース183や病院内情報にはアクセスできないようにすることも可能である。
【0064】
以上述べたように本実施形態の医用画像処理システムによれば、読影医のログインをトリガとして、ログインした読影医が読影すべき検査リストとその検査リストに対応する医用画像データのみが転送される。したがって迅速な読影が可能となる。
【0065】
また読影が終了すればその医用画像データは削除されるため、画像処理サーバ側の保存領域を小さくできる。これにより保存領域の効率化が達成される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
11、11A、11B、11C…医用画像収集装置、
12…医用画像サーバ、
13…病院内情報システム、
14…ネットワーク、
15、15A、15B、15C…クライアント端末、
16…医用画像処理サーバ群、
17、17A、17B、17C…画像処理サーバ、
18…画像処理割当部、
19…内部バスまたはネットワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像の読影などに使用する医用画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の医用画像収集装置で生成される画像データは高精細大容量であり、かつ検査数の増加から処理すべき画像データ量は膨大になっている。読影医は医用画像収集装置で生成された医用画像をそのまま見て読影するだけでなく、高機能な画像処理アプリケーションソフトで新たな医用画像を生成し病巣部の読影を行う。このようなアプリケーションソフトの研究・開発は盛んであり、次々に新しいアプリケーションソフトがリリースされている。病院では、アプリケーションソフトの更新や処理能力の高い読影用ワークステーションに更新する必要性から、維持運用コストが増大化してきている。
【0003】
また、医用画像収集装置の高性能化のため短時間で正確な検査できるようになった一方で、検査数の増加に伴う読影医の不足が問題となっている。このような問題を解決するため、従来の読影用ワークステーションに代わり、アプリケーションサーバが導入されつつある。
【0004】
このアプリケーションサーバは、読影医が自身のPC(Personal Computer)やクライアント端末などネットワークに接続された場所からアプリケーションサーバにログインして読影できるため、病院の維持運用コストの低減と同時に読影時間の効率化に有効である。
【0005】
アプリケーションサーバを用いた医用画像処理・読影システムは、例えば、多くの読影医が同時にログインでき、大容量の医用画像データを処理するために、クラスタ構成のアプリケーションサーバ、医用画像収集装置の画像データを保存する医用画像サーバ、および複数のクライアント端末などが病院内のネットワークを介して構成される。
【0006】
読影医は、クライアント端末からアプリケーションサーバにログインし、医用画像サーバ上の医用画像データを、アプリケーションサーバにロードした後、医用画像データを読影可能な医用画像に処理して読影する。
【0007】
CTやMRI等の医用画像収集装置で生成される画像データの容量や検査数が膨大なため、ログインしてから読影すべき検査の医用画像データを医用画像サーバからアプリケーションサーバに転送していたのでは、転送時間がかかり読影の効率が低下するという問題がある。
【0008】
また、読影対象となる医用画像データを、あらかじめ医用画像サーバからアプリケーションサーバに転送しておくことが多いが、アプリケーションサーバが複数の画像処理用コンピュータからなるクラスタ構成の場合、読影すべき医用画像データを全ての画像処理用コンピュータに転送しておく場合と、いずれかの画像処理用コンピュータに転送しておく場合がある。
【0009】
しかし、読影すべき画像データをあらかじめ全ての画像処理用コンピュータに転送しておく場合は、読影医がどの画像処理用コンピュータにログインしても読影すべき検査の画像データ存在するため利便性は良いが、画像処理用コンピュータに大容量の画像保存領域が必要であり大きな無駄が発生するという問題がある。一方、いずれかの画像処理用コンピュータに読影すべき画像データを転送しておく場合は、画像保存領域の無駄は少ないが、画像データを転送した画像処理用コンピュータに必ずログインできるとは言えないため、必ずしも読影すべき検査の画像データが存在するとは限らないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−238093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決し、読影効率のよい医用画像処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、実施形態の医用画像処理システムは、画像データを画像処理する画像処理サーバと、読影医がログインするクライアント端末を複数の前記画像処理サーバの1つに割り当てるログイン制御部と、前記ログインを契機として読影医情報と未読影検査情報を取得し前記読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部と、前記割り当てた画像処理サーバに前記検査リストを送信する検査リスト送信部と、前記検査リストに対応する医用画像データを前記割り当てた画像処理サーバに転送するように医用画像サーバに要求する画像要求部とを備え、前記画像処理サーバは、前記検査リストを受信する検査リスト受信部と、前記検査リストに基づく未読影の医用画像データを前記医用画像サーバから取得する画像受信部と、前記未読影の医用画像データの画像処理を行うアプリケーション実行部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態における医用画像処理システムのネットワーク構成図である。
【図2】同実施形態における医用画像処理サーバ群のブロック構成図である。
【図3】同実施形態における画像処理割当部のフローチャート図である。
【図4】同実施形態における読影医データベースに保存される読影医テーブルの例である。
【図5】同実施形態における検査リスト抽出の例である。
【図6】同実施形態における画像処理サーバのフローチャート図である。
【図7】同実施形態における検査リストの医用画像データ転送状況を示す図である。
【図8】第2の実施形態における優先度情報を有する検査リスト抽出の例である。
【図9】同実施形態における優先度情報を有する検査リストの画像データ転送状況を示す図である。
【図10】同実施形態における読影医情報を有する検査リスト抽出の例である。
【図11】同実施形態における読影医情報を有する検査リストの画像データ転送状況を示す図である。
【図12】第3の実施形態における再ログインの場合のフローチャート図である。
【図13】第4の実施形態における未登録の読影医情報を読影医情報データベースに自動登録するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための実施形態について図1から図13に示す図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
本実施形態の医用画像処理システムは、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)などのシステムと連携して構築することが可能であり、既存のシステムとの整合性が容易に得られる。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本実施形態の医用画像処理システムは、超音波診断装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの複数の医用画像収集装置11A、11B、11Cと、これらの医用画像収集装置11で撮影された医用画像データを保存する医用画像サーバ12、および病院内情報システム(HIS)13が接続されたネットワーク14上に構築され、読影医がログインする複数のクライアント端末15A、15B、15Cと、アプリケーションサーバとして機能する医用画像処理サーバ群16から構成される。
【0017】
複数の画像処理サーバ17A、17B、17Cで構成される医用画像処理サーバ群16とクライアント端末15A、15B、15Cはシンクライアントシステムを形成する。シンクライアントとは、クライアント端末15に必要最小限の処理をさせ、画像処理を含む大部分の処理を医用画像処理サーバ群16側に集中させたシステムである。
【0018】
画像処理サーバ17はクライアント端末15へログインした読影医の操作入力に応じて種々の画像処理を行い、その処理した結果の医用画像をクライアント端末15へ送信して表示させる。画像処理は、例えば3次元のレンダリング処理、画像中の医学的異常を検出するCAD(Computer-aided Diagnosis)処理、画像計測処理、心臓等の機能解析処理などである。
【0019】
医用画像処理サーバ群16は複数の画像処理サーバ17A、17B、17Cと、クライアント端末15からログインする読影医を、どの画像処理サーバ17A、17B、17Cに割り当てるかを制御する画像処理割当部18を有する。画像処理サーバ17A、17B、17Cと画像処理割当部18は、内部バスまたはネットワーク19で接続される。なお、本実施形態では画像処理割当部18と画像処理サーバ17A、17B、17Cは、それぞれ個別にコンピュータを用いてクラスタ構成のアプリケーションサーバを構築しているものとして説明するが、例えば画像処理割当部18と画像処理サーバ17の一部または全部をマルチタスク、マルチコアタイプなどの並列処理コンピュータ内に構築してもよい。
【0020】
次に、医用画像処理サーバ群16のブロック構成について図2を用いて説明する。尚、図2では、画像処理割当部18と、画像処理割当部18で割り当てられた画像処理サーバ17についての関係を示している。
【0021】
画像処理割当部18は、クライアント端末15から読影医のログイン要求に対して、クラスタ内の1つ画像処理サーバ17を割り当てるログイン制御部181、病院内情報システム13から未読影検査情報を含む病院内情報を取得するHIS情報取得部182、クライアント端末15からログインする読影医の読影医情報が保存される読影医情報データベース183、読影医情報データベース183への登録・削除などのデータベース管理を行う登録・管理部184、HIS情報取得部182で取得した未読影検査情報と、読影医情報データベース183に登録された読影医情報を用いてクライアント端末15からログインした読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部185、割り当てた画像処理サーバ17に対して検査リストの送信・受信を行う検査リスト送受信部186、検査リストに対応する医用画像データを、割り当てた画像処理サーバ17に送信するよう医用画像サーバ12に対して要求を行う画像要求部187、および画像処理サーバ17より読影が完了した時点で読影履歴情報を受信する履歴情報受信部188を有する。
【0022】
画像処理サーバ17は、画像処理割当部18の検査リスト送受信部186から送信された検査リストを受信する検査リスト送受信部171、医用画像サーバ12より未読影の医用画像データを受け取る画像受信部172、受信した未読影の医用画像データの登録・読み出し・削除などの画像管理を行う画像管理部173、未読影の医用画像データを保存する画像データベース174、画像処理割当部18から受信した検査リストの保存、削除および検査リストに対応する医用画像データの転送状況などを管理する検査リスト管理部175、ログインした読影医の読影すべき検査リスト一覧とそれに対応する医用画像データの転送状況などをクライアント端末15へ表示させ、クライアント端末15からの読影すべき検査の指示・命令を待つ表示部176、クライアント端末15からの指示に基づき、医用画像読影に使用される所定のアプリケーションを実行するアプリケーション実行部177、読影履歴情報を管理し医用画像データおよび検査リストの削除、病院内情報システム13への通知などを行う履歴管理部178、履歴管理部178の読影履歴情報を画像処理割当部18の履歴情報受信部188に送信する履歴情報送信部179を有する。
【0023】
まず、図3のフローチャートを用いて画像処理割当部18の処理について説明する。ステップST301では、読影医がクライアント端末15からログイン制御部181へログインする。
【0024】
ステップST302において、検査リスト抽出部185は、ログイン制御部181へログインしている読影医ユーザ名に基づいて読影医の名前、専門部位、使用可能な医療診断装置等の読影医情報を登録・管理部184を介して読影医情報データベース183から取得する。
【0025】
ここで読影医情報データベース183から取得する読影医情報テーブルの例を図4に示す。図4の例では「読影医ユーザ名」とその読影医の専門を示す「専門部位」の2つのフィールドを取得する。
【0026】
また同時に、ステップST303において、検査リスト抽出部185は、HIS情報取得部182から病院情報システムに保存されている未読影検査情報を取得する。図5は、病院情報システム13から取得する未読影検査情報の例を示す。図5の例では、「検査ID」、「検査日」、「患者ID」、「部位」フィールドを取得する。
【0027】
次にステップST304では、読影医情報と未読影検査情報をもとに、ログインした読影医が読影すべき検査の抽出を行う。例えば図4で、ログインした読影医が「BBB」の場合は「専門部位」フィールドが「胸部」であるため、図5の太枠で示すように、「部位」フィールドから「胸部」であるものを抽出し、ステップST305では、抽出した未読影検査を検査リストとして作成する。
【0028】
ステップST306では、ログインした読影医に対して複数の画像処理サーバ17から最適な例えば画像処理サーバ17Aを割り当てる。ここでは、各画像処理サーバ17A、17B、17Cがネットワーク19で接続されている場合は、IPアドレスなど画像処理サーバ17A、17B、17Cを一意に識別し通信可能な情報を割当てて通信を行う。
【0029】
ステップST307では、画像要求部187は、ステップST305で作成した検査リストに対応する医用画像を、ステップST306で割り当てた画像処理サーバ17のIPアドレスに転送するように画像サーバ12に対して要求する。
【0030】
同時にステップST308では、検査リスト送信部186は、ステップST305で作成した検査リストを、ステップST306で割り当てた画像処理サーバ17のIPアドレスに送信する。
【0031】
以上のステップにより、クライアント端末15にログインした読影医は、医用画像サーバ16内の所定の画像処理サーバ17と通信し読影の準備が整うことになる。
【0032】
次に、図6のフローチャートを用いて画像処理サーバ17の処理について説明する。ステップST601では、画像処理割当部18の検査リスト送受信部186から送信された検査リストを検査リスト送受信部171で受信する。また、同時にステップST602では、医用画像サーバ12より転送される医用画像データを画像受信部172で受信開始する。
【0033】
ステップST603では、画像管理部173は、転送された医用画像データを画像データベース174に保存すると同時に医用画像データの転送状況を把握し、少なくとも「転送済み」、「転送中」、「転送待ち」の状態を管理する。その他、予想される転送待ち時間を算出してもよい。
【0034】
ステップST604では、検査リスト管理部175は、検査リスト送受信部171で受信した検査リストと、画像管理部173から取得する医用画像データ転送状況とを一覧表にして表示部176へ送信し、表示部176は、医用画像データ転送状況を含む検査リストを読影医がログインしたクライアント端末15の図示しないモニタに表示させる。図7に医用画像データ転送状況を含む検査リストの例を示す。図7では、図5のフィールドに加え、医用画像データの転送状況が表示され、例えば、検査ID1111に対応する医用画像は「転送済み」であることがわかる。
【0035】
読影医はログインしたクライアント端末15で、図7に示す転送状況から「転送済み」が表示されている検査から読影が可能である。ステップST605では、読影医がクライアント端末15に接続されるマウスなどのユーザインターフェースを用いて検査リストをクリックするなどの読影開始の指示を出すのを待機する。読影医の指示待ちの場合(ステップSTST605:Yes)、ステップST603に戻り医用画像データの転送状況を把握する。読影医から読影指示があった場合(ステップSTST605:No)次のステップST606へ進む。
【0036】
ステップST606では、画像管理部173は読影医から指示があった医用画像データを画像データベース174から読み出し、アプリケーション実行部177では医用画像読影に使用される所定のアプリケーションを選択して実行する。これにより、読影医はログインしたクライアント端末15上で、読影が開始できる。なお、読影開始後においても、医用画像データの受信はバックグランドで継続される。
【0037】
ステップST607では、履歴管理部178は、読影医の読影状況を判断し、読影が終了していれば、検査リストから削除し、かつ画像データベース174から読影済みの医用画像データを削除する。また、病院内情報システム13へ読影が終了した検査情報を送信すると同時に、履歴情報送信部179にて、ログインした読影医が読影した医用画像の部位などの読影履歴情報を画像処理割当部18の履歴情報受信部188へ送信する。この読影履歴情報の扱いについては後述する。
【0038】
以上述べたように第1の実施形態によれば、読影医のログインをトリガとして、ログインした読影医が読影すべき検査リストとその検査リストに対応する医用画像データが画像処理サーバ17に転送される。読影が終了すればその医用画像データは削除されるため、画像処理サーバ17の医用画像データ保存領域を小さくできる。これにより保存領域の効率化および医用画像データ転送の効率化が達成され、読影すべき医用画像データへのアクセスが高速化される。
【0039】
また、本実施形態では、読影医情報データベース183の読影医情報テーブルの「専門部位」フィールドを用いて検査リストを抽出する説明をしたがこれに限られない。例えば、CT、MRI、超音波診断装置など操作可能な医用画像収集装置11の種別などをフィールドに加え、これらを抽出条件にしてもよい。
【0040】
(第2の実施形態)
本実施形態は、検査リストに対して読影の優先度やその他の抽出条件を設定する。図8は、優先度情報を有する検査リスト抽出の例であり、図9はそれに対する医用画像データの転送状況を示す図である。ステップST303では、病院内情報システム13より未読影検査情報を取得しているが、この時読影の優先度情報を取得することも可能である。図8によれば、「優先度」フィールドが付加され読影の順番が記載される。抽出された検査リストの優先度情報に基づき、医用画像サーバ12からの医用画像データの転送も優先的に行われ、図9に示すように、クライアント端末15に表示される検査リストも優先度が高い順に表示される。
【0041】
また、さらに抽出条件を付加することができる。図10は、読影医情報をさらに有する検査リストの例であり、読影医を指定する検査などの場合に有効である。図11は、その転送状況を示す図である。図10によれば、読影医情報として「指定読影医」フィールドが付加され読影医の指定がなされる。この場合、ログインした読影医情報により(この例ではBBB)で検査リストが抽出されるため、図11に示すように、指定した読影医BBBの検査リストが優先度の高い順に表示され、医用画像データの転送が行われる。
【0042】
以上述べたように第2の実施形態によれば、読影の優先度や読影医の指定など、所望の検索条件を付加できるので、さらに読影効率が向上する。
【0043】
(第3の実施形態)
本実施形態は、同じ読影医が再ログインした場合について説明する。特に最初のログイン時に表示された検査リストのすべてに対して読影が終了せずにログオフした場合などに対応する。このような場合は、最初にログインした画像処理サーバ17には、未読影の画像データが残っているため、この画像処理サーバ17に優先的に割当を行うものである。
【0044】
図12のフローチャートを用いて、再ログインの場合の処理について説明する。ステップST120では、クライアント端末15からログインする読影医が再ログインかどうか判断する。ここで再ログインかどうかは、所定の期間内に再びログインしたかどうかで判断することが好ましい。例えば当日内のログイン回数について判断してもよい。また、このステップST120は、図3ではステップST301に対応するものである。ここで、読影医のログインが再ログインでなければ(ST120:No)、ステップST302からステップST306で示した通常のログイン処理を行う(ステップST121)。読影医のログインが再ログインであれば、(ST120:Yes)、ステップST122に進む。
【0045】
ステップST122において、ログイン制御部181は、すべての画像処理サーバ17の検査リスト管理部175に対して、管理している未読影検査リスト要求する。ここでいう未読影検査リストとは、以前のログインで読影が終了しなかった検査リストと定義する。
【0046】
そして図2の点線で示すように、検査リスト管理部175は、検査リスト送受信部171、186を介して未読影検査リストをログイン制御部181へ送信する。
【0047】
ステップST123において、ログイン制御部181は、読影医情報データベース183の読影医情報を登録・管理部184を介して取得する。
【0048】
ステップST124では、この未読影検査リストをログインした読影医情報(読影医ユーザ名)を抽出条件として未読影の検査を抽出し、ログインした読影医の未読影検査がより多く存在している画像処理サーバ17を判定する。この判定は未読影検査数、またはそれに対応する医用画像データの総容量などにて判断してよい。
【0049】
ステップST125では、ステップST124で判断した画像処理サーバ17が再割当可能かどうか判断する。すでに、他の読影医ユーザにて再割当がなされている場合には(ステップ125:No)、2番目に多くの未読影検査が残っている画像処理サーバ17へ割当てもよいし、通常と同様に他の画像処理サーバ17に割り当てても良い(ステップST126)。再割当が可能な場合は(ステップ125:No)、再割当を実行する(ステップST127)。
【0050】
ステップST128では、図3に示したステップST302からST305までを行い、今回のログインに対する新たな検査リストを抽出する。
【0051】
ステップST129において、新たに抽出された検査リストの内、過去のログインと同じ画像処理サーバ17に再割当された場合には、ステップST124で算出した未読影検査の医用画像データについては、すでに転送済みであるため、この検査に対応する医用画像データを医用画像サーバ12から転送する必要がない。このため、未転送である医用画像データのみを算出する。
【0052】
その後、ステップST307で未転送である医用画像データの転送要求を医用画像サーバ12に対して行い、割り当てた画像処理サーバ17にステップST128で作成した検査リストを送信する。
【0053】
以上述べたように、第3の実施形態によれば、再ログインした場合に、未読検査の医用画像データがより多く残っている画像処理サーバ17に割当されるため、さらに読影に費やす時間が低減される。
【0054】
なお、この他の方法として、未読影検査が存在して読影医がログオフした場合、履歴管理部178でこれを管理し、履歴情報送信部179、履歴情報受信部188経由でログイン制御部181に未読影検査が存在する画像処理サーバ17をあらかじめ通知しておくことで本実施形態同様のログイン制御が行える。
【0055】
(第4の実施形態)
本実施形態は、読影医情報データベース183に登録していない読影医がログインした場合の自動登録について説明する。これは、遠隔読影や他病院から読影医を招いて読影する場合に有効である。
【0056】
図13のフローチャートを用いて未登録の読影医のログインについて説明する。ステップST131では、ログインした読影医が読影医情報データベース183に登録されているかどうか判定する。ログインした読影医が読影医情報データベース183に登録されていれば(ステップST131:No)、ステップST132において図3のステップST302からST308に示す通常処理を行う。
【0057】
ログインした読影医が読影医情報データベース183に登録されていない場合(ステップST131:Yes)、読影医情報データベース183から読影医情報は得られないため、ステップST133では、未読影検査情報内に含まれるすべての検査リストが抽出される。
【0058】
以下、ステップ134では、図3のST305〜ST308までが行われ、割り当てた画像処理サーバ17に検査リストと医用画像データが送信される。
【0059】
ステップST135では、図6のステップST601〜ST607が行われ、読影医による医用画像の読影が行われる。
【0060】
ステップST136において、読影履歴管理部178は、読影医が読影した検査部位などの読影履歴情報を図2の一点鎖線矢印に示すように、履歴情報送信部179から送信し、履歴情報受信部188で受信する。
【0061】
ステップST137において、登録・管理部184は、読影履歴情報に基づき自動的に読影医情報を読影医情報データベース183に反映する。
【0062】
以上述べたように、第4の実施形態によれば、遠隔地にいる未登録読影医に対しても読影が可能となり、ネットワーク管理者などが不在で登録ができなくても読影が可能となる。また、読影後にはその検査部位により自動登録されるため、次回のログインからは、読影医情報によって抽出された検査リストが表示される。このため未登録の読影医に対しても効率のよい読影が可能となる。
【0063】
なお、未登録の読影医に関しては、数回読影するまでは仮登録としたり、正式にネットワーク管理者などが登録するまでは仮登録とすることで、読影医情報データベース183や病院内情報にはアクセスできないようにすることも可能である。
【0064】
以上述べたように本実施形態の医用画像処理システムによれば、読影医のログインをトリガとして、ログインした読影医が読影すべき検査リストとその検査リストに対応する医用画像データのみが転送される。したがって迅速な読影が可能となる。
【0065】
また読影が終了すればその医用画像データは削除されるため、画像処理サーバ側の保存領域を小さくできる。これにより保存領域の効率化が達成される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
11、11A、11B、11C…医用画像収集装置、
12…医用画像サーバ、
13…病院内情報システム、
14…ネットワーク、
15、15A、15B、15C…クライアント端末、
16…医用画像処理サーバ群、
17、17A、17B、17C…画像処理サーバ、
18…画像処理割当部、
19…内部バスまたはネットワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを画像処理する画像処理サーバと、
読影医がログインするクライアント端末を複数の前記画像処理サーバの1つに割り当てるログイン制御部と、
前記ログインを契機として読影医情報と未読影検査情報を取得し前記読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部と、
前記割り当てた画像処理サーバに前記検査リストを送信する検査リスト送信部と、
前記検査リストに対応する医用画像データを前記割り当てた画像処理サーバに転送するように医用画像サーバに要求する画像要求部とを備え、
前記画像処理サーバは、
前記検査リストを受信する検査リスト受信部と、
前記検査リストに基づく未読影の医用画像データを前記医用画像サーバから取得する画像受信部と、
前記未読影の医用画像データの画像処理を行うアプリケーション実行部と、
を有する医用画像処理システム。
【請求項2】
前記読影医情報を保存する読影医情報データベースと、
前記読影医情報の登録・削除を行う登録・管理部をさらに有する請求項1記載の医用画像処理システム。
【請求項3】
前記未読影検査情報を病院内情報システムから取得するHIS情報取得部をさらに有する請求項2記載の医用画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理サーバは、前記画像受信部で受信した医用画像データの保存を行う画像データベースと、
前記医用画像データの転送状況の把握および登録・削除を行う画像管理部をさらに有する請求項3記載の医用画像処理システム。
【請求項5】
前記画像処理サーバは、前記検査リストの管理、削除および医用画像データの転送状況を管理する検査リスト管理部と、
前記医用画像データの転送状況を含む検査リストを前記クライアント端末へ表示する表示部をさらに有する請求項4記載の医用画像処理システム。
【請求項6】
前記画像処理サーバは、前記ログインした読影医の読影済み検査の読影履歴情報を管理する履歴管理部をさらに有する請求項5記載の医用画像処理システム。
【請求項7】
前記履歴管理部で管理される読影履歴情報を送信する履歴情報送信部と、送信された読影履歴情報を受信する履歴情報受信部をさらに有する請求項6記載の医用画像処理システム。
【請求項8】
前記未読影検査情報に読影優先順位が付与される請求項7記載の医用画像処理システム。
【請求項9】
読影医が再ログインした場合、未読影の医用画像データが残っている画像処理サーバを優先的に割り当てる請求項8記載の医用画像処理システム。
【請求項10】
未登録の読影医がログインした場合、前記読影履歴情報から自動的に前記読影医情報データベースへの登録を行う請求項9記載の医用画像処理システム。
【請求項1】
画像データを画像処理する画像処理サーバと、
読影医がログインするクライアント端末を複数の前記画像処理サーバの1つに割り当てるログイン制御部と、
前記ログインを契機として読影医情報と未読影検査情報を取得し前記読影医に対する読影すべき検査リストを抽出する検査リスト抽出部と、
前記割り当てた画像処理サーバに前記検査リストを送信する検査リスト送信部と、
前記検査リストに対応する医用画像データを前記割り当てた画像処理サーバに転送するように医用画像サーバに要求する画像要求部とを備え、
前記画像処理サーバは、
前記検査リストを受信する検査リスト受信部と、
前記検査リストに基づく未読影の医用画像データを前記医用画像サーバから取得する画像受信部と、
前記未読影の医用画像データの画像処理を行うアプリケーション実行部と、
を有する医用画像処理システム。
【請求項2】
前記読影医情報を保存する読影医情報データベースと、
前記読影医情報の登録・削除を行う登録・管理部をさらに有する請求項1記載の医用画像処理システム。
【請求項3】
前記未読影検査情報を病院内情報システムから取得するHIS情報取得部をさらに有する請求項2記載の医用画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理サーバは、前記画像受信部で受信した医用画像データの保存を行う画像データベースと、
前記医用画像データの転送状況の把握および登録・削除を行う画像管理部をさらに有する請求項3記載の医用画像処理システム。
【請求項5】
前記画像処理サーバは、前記検査リストの管理、削除および医用画像データの転送状況を管理する検査リスト管理部と、
前記医用画像データの転送状況を含む検査リストを前記クライアント端末へ表示する表示部をさらに有する請求項4記載の医用画像処理システム。
【請求項6】
前記画像処理サーバは、前記ログインした読影医の読影済み検査の読影履歴情報を管理する履歴管理部をさらに有する請求項5記載の医用画像処理システム。
【請求項7】
前記履歴管理部で管理される読影履歴情報を送信する履歴情報送信部と、送信された読影履歴情報を受信する履歴情報受信部をさらに有する請求項6記載の医用画像処理システム。
【請求項8】
前記未読影検査情報に読影優先順位が付与される請求項7記載の医用画像処理システム。
【請求項9】
読影医が再ログインした場合、未読影の医用画像データが残っている画像処理サーバを優先的に割り当てる請求項8記載の医用画像処理システム。
【請求項10】
未登録の読影医がログインした場合、前記読影履歴情報から自動的に前記読影医情報データベースへの登録を行う請求項9記載の医用画像処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−9726(P2013−9726A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142920(P2011−142920)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]