医用画像処理装置、X線コンピュータ断層撮像装置及び医用画像処理プログラム
【課題】被検体以外の構造体を効果的に除去すること。
【解決手段】被検体と被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割する。決定部は、複数の領域から、被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定する。結合部は、第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、第2の領域の候補の少なくとも一部を第1の領域に結合させる。
【解決手段】被検体と被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割する。決定部は、複数の領域から、被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定する。結合部は、第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、第2の領域の候補の少なくとも一部を第1の領域に結合させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
概して、被検体または鼻や耳などの被検体の部分領域を表す画像データを識別しかつ抽出するように画像データ、例えば、ボリュームデータ(volumetric image data)を処理する医用画像処理装置、X線コンピュータ断層撮像装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)等の最新の3次元画像処理方法により、被検体内部構造の立体表現が生成される。これにより、ユーザーは、生成された立体表現を観察したり、任意の断面をリアルタイムで観察したり、個々の内部構造を正確に可視化するために画像処理技術を適用することができる。また、この3次元画像処理方法に関して、被検体内部の構造を正確に可視化できるように適切な画像処理方法が適用される。
【0003】
こうした3次元画像処理により、データサイズの大きい、時系列のボリュームデータが生成される。このボリュームデータは、測定ボリュームの特性を表すボクセルの3次元配列を備える。また、時系列のボリュームデータである3次元ボリュームデータセットが発生される。CTデータセットの場合、各ボクセル値により、通常、X線放射の減衰に関する値が表される。
【0004】
通常、各ボリュームデータセットは様々な特徴を表す情報を含む。その特徴は、検討中の被検体または被検体とは無関係であるさまざまな特徴を表すデータ、たとえば測定が行われている間に被検体が配置されている寝台を表すデータが含まれる。検討中の患者又は考慮中の物体に無関係なデータの存在により、後続するプログラム処理が妨げられる可能性がある。
【0005】
例えば、従来のスラブ用いた投影画像を用いるよりも、被検体の内部構造の一部を表す回転可能なボリュームデータを任意の投影方向にレンダリングした投影画像が、患部の表現に最も有用な画像表示方法である場合がある。このようなボリュームレンダリングされた様々な投影画像を、種々の目的に、たとえば血管造影法のプリセットとして使用することができる。一例として、最大値投影を用いて、ボリュームレンダリングされた投影画像を得ることができる。多くの場合、ある特定の被検体とは無関係な物体表すボリュームデータがボリュームレンダリングされると、被検体の内部構造の可視化が困難になる。そのため、被検体とは無関係な情報を投影画像から除去する手段が必要である。さらに、ボリュームレンダリングされた投影画像を見る時、寝台がスキャンされた視野に含まれ、寝台がスキャンされた領域に含まれ、寝台が遮っている構造を可視化するために寝台を取り除かなければならない。システムによっては、ユーザーが、ボリュームデータの視覚表現を見ながら、寝台を表すデータを1つずつ手作業で選択し削除する必要がある。手作業の場合、寝台を表すデータのみを選択して削除することは、困難である。すなわち、寝台を取り除く際に、通常、寝台周囲の物体又は被検体組織が含まれてしまう。この手作業による寝台除去の作業は、時間がかかる。また、この寝台除去の作業を行うユーザーが変わると、寝台の除去の程度にばらつきが生じてしまう。この寝台除去作業を手動で行う場合には、放射線技師等の熟練した人が特に必要となる。
【0006】
特定の被検体内部構造を決定し抽出するために、従来技術として、自動位置合せに関する画像処理プログラム又は特徴抽出に関する画像処理プログラムが適用される。被検体とは無関係な特徴を表すデータの存在により、こうしたプログラム処理が停止する可能性がある。CT検査において寝台を表す画像データの存在により、特に、自動位置合せプログラム処理又は画像解析プログラム処理が影響を受ける可能性がある。寝台の高吸収部分は非常に均一であり、従って、自動位置合せの結果に著しく影響を与える傾向がある。被検体を表す領域に限定して自動位置合せプログラムを実行することにより、自動位置合せプログラム処理の結果を改善することができる。被検体を表す領域に限定して自動位置合わせプログラムを実行することにより、骨領域の区分(セグメンテーション)、他の後続するアルゴリズム等も改善することができる。従って、後続する画像処理プログラムを実行する前に、被検体とは無関係な特徴を表すデータを削除することが望ましい。
【0007】
被検体を表すデータを決定し抽出するとともに、寝台を表すデータを削除する既知技術ひとつに、連結成分解析が存在する。その連結成分解析に関する画像処理プログラムの第1の段階では、寝台から得られる輝度レベルと被検体から得られる輝度レベルとが、各々推定される。そして、この推定値を用いて、画像ボリュームにおける寝台と被検体とによって占有される領域の位置が特定される。そして、連結成分解析を用いて、被検体を表す画像ボクセルデータが確定される。輝度レベルに基づいて、被検体を表すボクセルデータが保持され、寝台を表すボクセルデータ等、被検体以外を表す他のデータが抑制される。
【0008】
先述した段落に記載の連結成分解析方法は、寝台又は被検体以外の他の無関係な特徴と、被検体との両方に対して予測された輝度レベルを正確に選択することに基づく。その方法の主な課題は、身体から寝台を分離する輝度閾値があることを想定するということである。特定の寝台または特定の被検体に対する実際の輝度レベルは、予測されるレベルに一致しないことが多い。従って、データは間違って保持または破棄される可能性がある。さらに、予測される輝度と十分に一致しない測定輝度をもたらす可能性がある、衣服、ヘッドレスト、パイプまたは管類等、被検体とは無関係な特徴が十分に存在し得る。この場合もまた、データが間違って破棄または保持されることになる。
【0009】
別の既存技術として、固体材料または液体材料を表すCTデータが、測定された輝度レベルに基づいて事前選択される。そして、空気または他の気体を表すデータが破棄される。連結成分解析を用いて種々の連結領域が識別される。そして、寝台を表すものとしていくつかの領域が、ボリュームにおけるそれらの位置に基づいて破棄される。例えば、被検体が測定ボリュームの底部に向かって配置されている寝台に横たわっている場合、ボリュームの底部に向かう位置に対応する測定データセットの連結領域が破棄される。しかし、こうした方法は、測定によって異なる可能性がある。さらに、寝台の位置の推定がわずかに不正確であることにより、データが間違って保持または破棄されることになる可能性がある。こうした既存技術による画像処理では、約60%の確率で、寝台と被検体とを間違って決定してしまう。また、コンポーネントの結合、削除を手動で行っていたため手数がかかり再現性が低かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
目的は、被検体以外の構造体を効果的に除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係る医用画像処理装置は、被検体と被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割する分割部と、前記複数の領域から、前記被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定する決定部と画像データを、前記第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる結合部と、を具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る、X線コンピュータ断層撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のシステムによって実行される、画像データセットにおいて被検体画像データを識別し抽出する画像処理を概略的に示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る画像処理中の特定の段階における画像データセットの投影画像である。
【図5】本実施形態に係る画像処理中の図4とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図6】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図5とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図7】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図6とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図8】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図7とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図9】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図8とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図10】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図9とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図11】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図10とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図12】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図11とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図13】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図12とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図14】2つの緩く連結された(loosely connected)領域に対して実行される収縮(エロージョン)および膨張(ダイレーション)を備えるモルフォロジカルオープニングプロセスの概略図である。
【図15】27個の異なるデータセットに対して実行された本実施形態に係る画像処理の結果を示すグラフである。
【図16】27個の異なるデータセットに対して実行された本実施形態に係る画像処理の結果を示すグラフである。
【図17】27個の異なるデータセットに対して実行された本実施形態に係る画像処理の結果を示すグラフである。
【図18】決定された被検体領域および寝台領域を示し、本実施形態に係る画像処理を用いて処理した後の図4〜図13のデータセットのうちの1つの立体表現の図である。
【図19】図4〜図13のデータセットに対して画像処理を実行した場合の図1のX線コンピュータ断像撮像装置の性能を示すグラフである。
【図20】図4〜図13のデータセットに対して画像処理を実行した場合の図1のX線コンピュータ断像撮像装置の性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用画像診断装置を説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。なお、本実施形態に係る医用画像診断装置とは、本実施形態において説明される画像処理機能を備えたX線コンピュータ断層撮像装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、核医学診断装置のいずれであってもよい。また、本実施形態において後述される画像処理機能は、ワークステーションに代表される医用画像処理装置によって実現するようにしてもよい。以下の説明に置いては、説明を具体的にするため、医用画像診断装置がX線コンピュータ断層撮像装置である場合を例とする。
【0014】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1の構成を示す図である。図1に示されるように、X線コンピュータ断層撮像装置1は、スリップリング2、X線管球3、架台駆動部4、回転フレーム5、2次元検出システム6、データ収集部(DAS)7、非接触データ伝送部8、前処理部9、高電圧発生部10、ホストコントローラ11、記憶部12、表示部13、入力部14、再構成部15、システム制御部16、ネットワーク通信部17、画像処理部18、CT台19を具備する。
【0015】
スリップリング2は、X線管球3を連続回転させるためのものである。スリップリング2は、導体金属でできており、ブラシを介してX線管球3へ電力を供給する。
【0016】
X線管球3は、高電圧発生部10からの高電圧の印加とフィラメント電流の供給を受けてX線を発生する。
【0017】
架台駆動部4は、ホストコントローラ11の制御に従って、天板保持機構を駆動可能である。
【0018】
回転フレーム5には、撮像領域中に天板に配置された被検体を挟んで対向するようにX線管球3と、2次元検出システム6とが取り付けられている。ここで、説明のため、回転フレーム5の回転軸をZ軸、X線管球3の焦点と2次元検出システム6の中心とを結ぶ撮像中心軸をY軸、YZ軸に直交する軸をX軸と規定する。撮像時には、典型的には、被検体Pは、体軸がZ軸に略一致するように撮像領域内に設置される。このXYZ座標系は、Z軸を回転中心とする回転座標系を構成する。
【0019】
2次元検出システム6は、マルチスライス型の場合、チャンネル方向(X軸)に複数のチャンネルを有する検出素子の列をスライス方向(Z軸)に複数配列したものである。2次元アレイ型の場合、2次元検出システム6は、チャンネル方向(X軸)とスライス方向(Z軸)との両方向に関して緻密に分布される複数のX線検出素子を有する。
【0020】
2次元検出システム6には、データ収集部7(DAS;data acquisition system)が接続される。
【0021】
データ収集部7は、2次元検出システム6の各チャンネルの電流信号を電圧に変換し、増幅し、デジタル信号に変換する。データ収集部7で収集されたデータ(純生データ)は、光や磁気を使った非接触型又はスリップリング型の非接触データ伝送部8を経由して、前処理部9に送られる。
【0022】
前処理部9は、画像再構成の前に行うデータ処理を行う。すなわち、前処理部9は、純生データに対してチャンネル間の感度不均一を補正し、画像再構成に先立って、生データに変換する。データの対数を計算し、リファレンス検出器のデータを用いてX線の強度のばらつきを補正する(リファレンス補正)。また、必要に応じてビームハードニング補正、体動補正を行う。
【0023】
高電圧発生部10は、ホストコントローラ11からの指示情報に従って、スリップリング2を介してX線管球3に高電圧を印加する。
【0024】
ホストコントローラ11は、図示しないCPU(central processing unit)及びメモリを含んでいる。ホストコントローラ11は、入力装置からの指示に従って、高電圧発生部10及び架台駆動部4等の動作を制御する。高電圧発生部10の制御を行うことにより、回転フレーム5が一定の角速度で連続回転し、X線管球3から連続的又は一定角度毎にX線が発生される。
【0025】
記憶部12は、ネットワーク通信部17から転送されたデータ、再構成部15によって発生されたボリュームデータなどを記憶する。
【0026】
表示部13は、投影処理された投影画像等を表示する。
【0027】
入力部14は、ユーザーから各種指示、情報入力を受け付けるためのマウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを有する。
【0028】
再構成部15は、前処理部9により補正を受けたデータ(投影データ、生データ)に基づいて、撮像時刻の異なる複数のボリュームデータファイル(時系列ボリュームデータファイル)を発生する。
【0029】
システム制御部16は、X線コンピュータ断層撮像装置1の中枢として機能する。具体的には、システム制御部16によりX線コンピュータ断層撮像装置1全体のハード制御が行われる。
【0030】
ネットワーク通信部17は、各規定に応じた通信制御を行う。ネットワーク通信部17は、電話回線等の電気的通信回線を通じてPACS(医用画像通信保管システム)等に接続することができる機能を有している。
【0031】
画像処理部18は、図2に示す様に、連結成分解析部181、分割部183、モルフォロジカル演算部185、結合部187、及び画像生成部189、を具備する。
【0032】
連結成分解析部181は、互いに隣接する複数のボクセルからなる複数の領域それぞれを別個の領域として決定する。連結されたボクセルの領域を決定するために、任意の適切な既存技術の連結成分解析処理を用いることができる。
【0033】
分割部183は、後述する様々な閾値を用いて、例えば、特定の領域を複数の領域(被検体と被検体以外の構造体など)に分割する。
【0034】
モルフォロジカル演算部185は、後述するモルフォロジカル処理を行う。
【0035】
結合部187は、後述するように寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部を被検体領域に結合する。
【0036】
画像生成部189は、結合されたデータに対して、最小包含凸多角形処理等を実行するとともに、ボリュームレンダリング等の画像生成処理を実行する。
【0037】
架台19は、円環又は円板状の回転フレーム5を回転可能に支持する。
【0038】
図1のX線コンピュータ断層撮像装置1は、図3のフローチャートに従う画像処理を実行するように構成されている。画像処理中の種々の段階での画像データセットまたは画像データセットの一部がボリュームレンダリングされた投影画像を、図4〜図13に示す。画像は単に例として提示したものであり、画像処理プログラムの動作中、ボリュームレンダリングされた画像処理は各段階において生成されないことを想起しなければならない。
【0039】
選択されたCT画像データセットを、サーバ(図示せず)から後述する画像処理のためにシステム制御部16に設けられたメモリ等にダウンロードする。ダウンロードされたCT画像データセットに対して、分割部183で閾値処理等の前処理が行われる。
【0040】
図4は、本実施形態に係る画像処理実行前のCT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像である。
【0041】
図4に示されるようにダウンロードされたデータセットは、各々が異なる空間位置に対応する複数のボクセルを備えている。複数のボクセルそれぞれは、それぞれが異なる空間位置に対応する。各ボクセルの値または輝度は、その空間位置におけるX線の吸収量を表す。X線放射の吸収量は、ハウンズフィールド(Hounsfield)スケールに従って較正される。そのスケールでは、空気は約−1000ハウンズフィールド単位(HU)の値を有する。体脂肪は約−30HUの値を有する。水は0HUの規定値を有する。軟組織は約+40HUの値を有する。骨は約+1000HUの値を有する。ハウンズフィールドスケールに従ってボクセルによって提供されるX線放射の吸収量を、そのボクセルに対するCT値(number)と呼ぶこともできる。
【0042】
メモリには輝度閾値に関するデータが格納されている。データセットがダウンロードされた後、データセットの各ボクセル値は閾値輝度値と比較され、閾値輝度値を下回る値を有するボクセルは破棄される。任意の適切な閾値を用いることができる。例えば−200HU〜−600HUの閾値を用いることが有用である。本実施形態では、閾値輝度値は例えば−300HUに設定される。その結果、骨、組織、またはガントリあるいは他の台の枠等の他の固体材料を表すボクセルが保持される。空気または他の気体を表すボクセルは破棄される。実際には、寝台またはヘッドレスト等の無関係な構造物は、通常、大部分が発泡体または他の軽量材料からなる。こうしたボクセルは、通常、初期閾値処理によっても破棄され、寝台またはヘッドレストの固体枠構成要素のみを表すボクセルが残ることが分かっている。
【0043】
データセットから破棄され、除去されまたは除外されているボクセルまたは他のデータ項目を参照すると、そのボクセルまたは他のデータ項目は、通常、データセットから削除されない(ただし実施形態によっては削除される場合もある)。代りに、そのボクセルまたは他のデータ項目は、通常、データセット内において、破棄され、除去されまたは除外されたものとしてフラグが立てられている。従って、後続する画像処理中に、フラグがたてられたデータは無視され得る。
【0044】
図5に、輝度閾値を下回るボクセルを破棄した後のCT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像を示す。図5における画像の外観は、図4の画像の外観と本質的に同じである。従って、輝度が閾値を下回るボクセルが画像に対して与える影響は、わずかである。
【0045】
以下、図3を参照しながら、本実施形態に係る画像処理のフローチャートを説明する。
【0046】
まず、記憶部12から画像データセットを取得し、上述した閾値処理などの前処理を行う(S11)。
【0047】
次に、モルフォロジカル演算部185により、残っているボクセルに対してモルフォロジカル処理を実行することにより画像データを複数の領域に分離する(S12)。モルフォロジカルプロセスは、閾値厚さを下回る連結領域を有効に破棄するモルフォロジカルオープニングプロセスを備える。モルフォロジカルオープニング処理は、図14において2つの所定以下の閾値を有する厚さで連結された領域70、72に対して例として概略的に示すように、エロージョンステップとそれに続くダイレーションステップとを備える既知画像処理技術である。本実施形態では、任意のモルフォロジカル処理を用いることができる。モルフォロジカル処理の背景情報および例は、Jean Serra著、「Image Analysis and Mathematical Morphology」、ISBN0126372403(1982)に記載されている。
【0048】
図5から、モルフォロジカルオープニング処理に、厚さの薄い領域を分離する効果があることが理解できる。本実施形態では、モルフォロジカルオープニング処理により、緩く連結されている寝台領域から被検体領域を分離できる。モルフォロジカルプロセスはまた、鼻または耳の先端等、薄い構造を除去する副次的効果も有する。
【0049】
実際には、寝台の大部分が発泡体または他の非吸収材料から形成されているいくつかの寝台の場合、上述した閾値処理中に、発泡体または他の非吸収材料を表すボクセルは破棄され、寝台の金属または他の枠を表すボクセルのみが保持される。こうした寝台の場合、被検体領域は、モルフォロジカルプロセスなしであっても寝台領域から分離される。しかし、寝台の構造は予め既知ではないため、モルフォロジカルプロセスは通常すべてのデータセットに適用される。
【0050】
モルフォロジカルプロセスが実行された後、データセットは通常、閾値輝度を上回る複数の連結されたボクセルを備える。画像データセットは、すなわち、閾値を上回る複数の領域を有する。領域は、種々に、被検体と、寝台または寝台の一部と、被検体及び寝台とは無関係な特徴を表す。
【0051】
残っているボクセル(輝度値が閾値を上回るボクセル)に対して、連結成分解析部181により、連結成分解析処理が適用され、S12のモルフォロジカルプロセスで分離された複数の領域を決定する(S13)。連結成分解析部181は、互いに隣接しあうボクセル群のそれぞれを、別の領域として決定する。任意の既知の連結成分解析を、ボクセルが互いに隣接した領域を決定するために用いることができる。
【0052】
ボクセルは、別のボクセルに隣接している場合、そのボクセルに連結されているものとみなされる。隣接するボクセルは、正面が隣接しているボクセルのみであっても良い(その場合、特定のボクセルは最大6つの他のボクセルに隣接している可能性がある)。隣接するボクセルは、正面または縁が隣接しているボクセルのみであっても良い(その場合、特定のボクセルは最大18個の他のボクセルに隣接している可能性がある)。隣接するボクセルは、正面、縁または角の点が隣接しているボクセルであってもよい(その場合、特定のボクセルは最大22個の他のボクセルに隣接している可能性がある)。隣接するボクセルは1つまたは複数のさらなるボクセルに隣接している可能性がある。従って、連結領域は、いかなる形状であっても良い。また、連結領域は、データセットの最大サイズに達し得る。本実施形態に係る画像処理では、S13で決定された連結領域は、データセットのすべてのボクセルが閾値を上回った場合、データセットの最大サイズである。
【0053】
次に、領域の形状及びサイズに基づいて、S13で決定された複数の領域それぞれが、被検体領域であるか、被検体以外の領域(耳、鼻などの被検体領域、寝台領域等)であるかを選択する(S14)。S13で決定された複数の領域のうち、最大の単一領域が被検体を表す領域として決定されるとしても良い。
【0054】
図6に、被検体領域を決定後のCT画像データセットをボリュームレンダリングした投影画像を示す。図6には、選択された被検体領域40とともに被検体以外の他の領域42を示す。
【0055】
体積分率(fractional volume)が所定閾値を上回る、例えば、0.25を上回る1つ以上の領域が、被検体を表すものとして選択される。この場合、領域の体積分率は、その領域における閾値を上回るボクセルの数を、データセットにおける閾値を上回るボクセルの数で割った値である。適切な閾値、たとえば閾値を0.25とすることにより、例えば、例えば、画像データセットが2つの被検体の脚を表すデータを含むが、各脚が付着している胴を表すデータを含まない場合に、各脚を表す領域は身体を表しているものとして決定されることを確実にすることができる。
【0056】
対象となる領域の形状を他の領域の形状と比較すること、又は、対象となる領域の大きさを他の領域の大きさと比較することが被検体を自動的に特定する有効な方法であることが判明した。このように領域の形状、領域の大きさに基づいた分析、及び上述の体積分率を用いた領域分析を以下、領域結合状態分析と記載する。また、対象となる領域の大きさを閾値と比較することも有効な方法である。その被検体決定方法は、被検体の特徴的な形状、サイズが通常、寝台等の無関係な物体のものと異なるという事実に基づいている。例えば、寝台を構成するパーツは、通常小さく、寝台の内部に対する周囲長比が高い。
【0057】
被検体を表しているものとして決定された領域が選び出されると、輝度閾値を上回るが、被検体を表しているものとして識別されなかった領域(例えば、被検体の耳、鼻等)が残っている。従って、画像データの領域のうち、少なくとも1つの領域を、被検体とは無関係な特徴を表しているものとして識別する(S15)。寝台または寝台の一部を表す可能性がある領域を決定するために幾何学的識別器を用いる。
【0058】
幾何学的識別器を用いることにより、閾値を上回る複数の領域各々に対して、その領域の中心点が決定される。次いで、その中心点を通る横断スライスまたはアキシャルスライスが取得される。スライスの断面積(A)および周囲長(p)が計算される。この場合、周囲長pは、X軸およびY軸に沿った最大の長さの合計として定義される。X軸およびY軸は、軸方向スライスの面において直交する軸である。断面積は、スライスの閾値を上回るボクセルによって表され、閾値を下回るボクセルはすでに破棄されている。その領域に対する幾何学的識別器Cの値は、以下のように計算される。
【0059】
C=A1/2/p
そして、C<0.15である複数のボクセルで構成される領域が寝台を表すものとして決定される。その分類は、X線コンピュータ断層撮像装置の寝台が通常中空であり、かつ寝台または寝台の一部が、一般に人間または動物の身体、さらには指等の人体のより小さい領域と比較すると周囲長が大きいという事実に基づく。幾何学的識別器Cは、無次元であり、したがってスケールに対して不変である。サンプルデータセットに作用して、寝台の特徴が概して約0.1のCの値をもたらし、一方で被検体が約0.2から0.25のCの値をもたらすことが分かっている。したがって、0.15という閾値は、寝台の特徴と被検体の特徴とを、ことができる。
【0060】
各領域を通るアキシャルスライスが取得され、各スライスに対してCの値が計算されるとしても良い。各スライスに対するCの値は、寝台の領域の決定に用いられる。例えば同じ領域の異なるスライスに対するCの値が平均され、後に閾値と比較される。
【0061】
上述した特定の幾何学的識別器は、特に有用である場合もあることが分かった。寝台領域を決定するために、異なる幾何学的識別器、たとえばC=A/p2が用いられる場合もある。被検体と被検体とは無関係な物体とを区別することができる任意の適切な幾何学的識別器を用いてもよい。被検体と無関係な物体とを区別するために、各適切な識別器に対して適切な閾値を選択することができる。
【0062】
なお、幾何学的識別器の値を確定するために領域の体積全体が考慮されるとしても良い。例えば、幾何学的識別器の値を、領域の体積および領域全体の表面積に基づいて確定することができる。例えば、幾何学的識別器の値は、二乗された体積を三乗された表面積で割った値に等しくてもよい。寝台領域を他の領域から区別するために、この場合もまた適切な閾値を用いることができる。
【0063】
図7および図8に、CT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像を示す。そこでは、S15において寝台に関係しているものとして決定された種々の領域が強調表示されている。図7は、被検体の背中の真下に位置する寝台として決定された領域44が強調表示されている。図8は、S15において決定されたヘッドレスト領域46が強調表示されている。図7および図8には、S14において決定された被検体領域もまた例示の目的で示す。
【0064】
S15でとられた画像処理は、寝台の構成要素が、通常、人間あるいは動物の身体または他の被検体より小さく、且つ周囲長の充填された内側のサイズに対する比が高いという事実を利用する。比較的大型の寝台の場合であっても、寝台の枠には閾値を上回るボクセルしか存在していない可能性がある。従って、寝台の内側は、通常、画像処理の開始時に破棄されることになる閾値を下回るボクセルを備える。従って、寝台の充填体積または面積は(たとえば、台領域に含まれる閾値を上回るボクセルの数)は、通常、周囲長に対して低くなる。場合によっては、閾値を下回るボクセルが破棄されると、寝台の枠は、複数の別個の領域(例えば、複数の別個のロッド形状)を備えることになる。そうした場合であっても、各領域の充填体積又は面積は、人間または動物の身体の全体又は個々の部位(例えば鼻の先、耳、指先)をそれらの周囲長と比較した場合と比べて、領域の周囲長に対して比較的低いことが分かった。
【0065】
幾何学的識別器を用いて寝台を表しているものとして識別されたすべての領域(すなわち、寝台等の被検体以外の構造物に対応する領域の候補として識別されたもの。以下「寝台等の構造物に対応する領域の候補」と呼ぶ。)が削除される(S16)。なお、この寝台等の構造物に対応する領域の候補に被検体の耳、鼻などに対応する領域が含まれる場合がある。係る場合には、当該S16の処理により、被検体の耳、鼻など、被検体の一部に対応する領域も同時に削除してしまうことになる。
【0066】
図9に、S16後のCT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像を示す。同図においては、S16において削除される領域のうち、被検体の耳、鼻などに対応する領域48、50、52、54、56、58を明示的に示している(例えば、領域48は被検体の耳に対応し、領域54は被検体の鼻に対応する)。図9には、S14において決定された被検体領域もまた例示の目的で示す。
【0067】
結合部187は、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部(領域48、領域54等)を、S14において被検体を表しているものとして決定された領域に結合させ、結合データを発生させる(S17)このとき、連結成分解析手続きを用いて、所定の閾値を上回る寝台等の構造物に対応する領域の候補のうち、被検体を表しているものとして決定された領域に接触し、且つ寝台を表しているものとして決定された少なくとも1つ以上の領域に接触しない領域を特定し、当該特定された領域をS14において被検体を表しているものとして決定された領域に結合させ、結合データを発生させるようにしてもよい。連結成分解析手続きよって特定される領域は、被検体の耳、鼻等である可能性が高い。この様に必要に応じて連結成分解析手続きを実行することで、より寝台除去率の高い結合データを発生させることができる。
【0068】
なお、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部をS14において決定された領域に結合させる際に、所定の評価関数を用いて結合の適否を評価することが好ましい。ここで、評価関数は、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部及びS14において決定された被検体領域のそれぞれ(或いは結合後の全領域)のサイズ、CT値分布、相対的位置のうちの少なくとも何れかを基準として評価するものであればどのようなものであっても良い。例えば、結合後の領域全体のCT値分布とS14において決定された領域のCT値分布との違いを評価し、CT値の分布が極端に異なる場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部に該当しないとし、一方CT値の分布に実質的な変動がない場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部であるとして、結合の適否を評価することができる。また、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部の結合の前後に亘るサイズの変化を評価し、例えばサイズが極端に大きくなる場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部に該当しないとし、一方サイズの変動が一定値以下である場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部であるとして、結合の適否を評価することができる。さらに、S17における結合後の全領域の基準位置とS14において決定された領域の基準位置との間の相対的位置を評価し、例えば寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が体軸を中心として所定範囲内に実質的に左右対称に配置されていれば耳として適切に結合されたと評価でき、或いは寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が実質的に体軸上の所定範囲に配置されていれば、鼻として適切に結合されたと評価できる。
【0069】
この評価関数を用いた寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部を被検体領域に結合する処理には、モルフォロジカルオープニングプロセス中に分離または除去された可能性のある、鼻の先または指先の耳等、被検体領域を表す領域と所定以下の閾値を有する厚さで結合されている被検体の一部に対応する領域を再度組み込むという効果がある。閾値を上回る領域のうちいずれが被検体を表す領域に接触し、且つ、寝台領域に接触しないかを確定するために、モルフォロジカルオープニングプロセスが実行される前であるような閾値を上回るデータセットを用いて実行される。
【0070】
図10に、S17において適切と評価されたCT画像データセットがボリュームレンダリングされた投影画像を示す。そこでは、被検体領域に接触しているものとして確定され、閾値を上回る領域54のうちの1つを示す。この場合、閾値を上回る領域54は、被検体の鼻に対応し、領域54は、被検体領域に後に再度組み込まれる。被検体領域内に他の閾値を上回る領域を再度組み込むことも可能であり、図10では、一例として領域54を強調表示している。
【0071】
図11は、接触している閾値を上回る領域を被検体領域に再度組み込んだ後の、S17に続くCT画像データセットがボリュームレンダリングされた投影画像である。被検体領域60を被検体領域以外の他の領域42とともに示す。
【0072】
画像生成部189により、被検体を表しているものとして選択された領域の各横断スライスを、順に、適合されたより単純な形状に置き換える。画像生成部189により、最小包含多角形処理された被検体領域が選択される。そして、適合された形状内にある全てのボクセルを、出力データセットとして選択する(S18)。本実施形態では、各横断スライスをその最小包含多角形(凸包)によって置き換える。最小包含多角形(凸状多角形)は、定義によると非凹状である。図12に、凸包の結果を示す。寝台領域42及び被検体領域62を見ると、凸包処理されていることが理解できる。
【0073】
こうした適合を用いることにより、たとえば口の内側、洞および肺の内側を表すボクセルが、画像処理の初期の段階における閾値処理手続き中に破棄されることになっても、確実に出力データセットに含まれることになる。
【0074】
凸形状に適合させる代わりに、穴埋め(fill)を行うことができる。しかし、それは失敗する可能性がある。対象となる領域の境界面をつくり、対象となる領域が境界面で覆われるようにすることもできる。クロージング(closing)を採用することも可能であるが、この処理は、通常、最小包含凸多角形に適合させるより計算量が多い。
【0075】
画像生成部189は、被検体または耳、鼻などの被検体のパーツを備え、寝台または被検体とは無関係な物体を表すボクセルを実質的に全て排除する。出力ドメインにおいては、元のデータセットのボクセルのすべてを備える場合がある。係る場合、選択されたボクセルは被検体または耳、鼻などの被検体のコンポーネント(パーツ)を表すものとしてフラグが立てられる。一方、選択されていないボクセルは、被検体を表していないものとしてフラグが立てられる。従って、選択されたボクセルと選択されていないボクセルとを区別し、被検体を表していない領域についてマスキングが施された出力データセットを取得することができる。また、画像生成部189は、被検体領域に対応するボクセルと、鼻、耳等の被検体領域に対応するボクセルとから成る出力データセットを生成するようにしてもよい。画像生成部189は、出力データセットを用いて画像を生成する。生成された画像は、表示部13に表示される。
【0076】
出力ドメインデータを、記憶部12に記憶することができる。また、ネットワーク通信部17を経由して、PACS上のサーバに戻すことができる。出力ドメインデータを、後続する画像処理に用いるために、他の画像処理アルゴリズムまたはシステム、たとえばVoxar 3Dシステム(商標)に渡すことも可能である。図13に、出力データセットの投影画像64を示す。
【0077】
本実施形態に係る、S14における被検体領域の選択を、領域のサイズに基づいて行うものとして説明した。また、幾何学的識別器を各領域に応じて別々に適用することができる。S14における、被検体領域、例えば人間、動物等の身体の決定は、幾何学的識別器の値を閾値と比較することにより可能となる。幾何学的識別器は、無関係な特徴の識別に対して用いられる幾何学的識別器と同じかまたは類似していてもよい。被検体を、被検体とは無関係な特徴から識別するように閾値の値を適切なレベルに設定することができる。
【0078】
図3のフローチャートに沿って説明した本実施形態では、関心となる主体物は、被検体であり、寝台が排除すべき無関係な特徴である。なお、本実施形態において、寝台を削除すべきデータとして説明したが、寝台に限られるものではなく、例えば、寝台に形状及び大きさが似ている物体であればなんでも良い。他の実施形態または動作モードでは、寝台が被検体として扱われ、被検体が無関係な特徴として扱われる。こうした実施形態または動作モードでは、寝台を表すデータが選択され、被検体を表すデータが破棄される。
【0079】
本方法は、被検体もしくは被検体または寝台もしくは他の無関係な物体のX線の吸収の強度を推定する必要はない。本方法では、寝台の特性を知る必要はなく、本実施形態に係る画像処理方法を、いかなるCTデータセットおよびいかなる寝台構成にも適用することができる。本実施系形態に係る画像方法により、寝台に加えて被検体とは他の無関係な特徴を表すボクセルが、被検体とは無関係な特徴が存在し得るかどうかとは関係なく確実に破棄される。本実施形態に係る画像処理方法は、領域の形状またはサイズ等比較的単純な基準に基づいて被検体又は寝台を表しているものとして領域を選択する。従って、本実施形態に係る画像処理は、計算が簡単である。実際には、本実施形態に係る画像処理は、被検体または耳、鼻等の被検体の部位と、寝台と、を区別するのに有効である。また本実施形態に係る画像処理は、モルフォロジカルオープニングプロセスと組み合わせることも可能である。モルフォロジカルオープニングプロセスと組み合わせることにより画像処理の精度が向上する場合もある。
【0080】
本実施形態に係る画像処理方法は、単純な連結成分解析の範囲を超え、寝台および被検体がわずかに連結されている可能性がある場合に寝台および被検体を分離する。本実施形態に係る画像処理方法を、いかなるCT検査に、また、他の医療用画像化データセットに適用することができ、本方法はCT血管造影法のみには限られない。本方法は、被検体領域を識別し、寝台以外の疑似材料を除去することも可能である。本方法は、解剖学的領域または範囲に依存されず、使用される測定装置のCTスキャナの分解能に依存せず、いかなる特定の寝台の台製造業者または特徴にも依存しない。本方法は、寝台のサイズおよび形状の変動とは無関係に画像処理を行い、寝台の特性に関連するいくつかの単純な仮定のみに基づく。本方法は、適切な画像データ、たとえばDICOM画像データ以外のいかなる入力も不要である。
【0081】
図15から図17は、本実施形態に係る画像処理方法を27の別個の互いに異なるCT測定データセットそれぞれに適用することによって得られた結果を示す。各CT測定データセットは、被検体および寝台の両方を表すデータを含む。
【0082】
図15は、27つの互いに異なるデータセットに対して本画像処理方法により被検体の身体が正確に決定された割合を示す棒グラフである。27つのデータセットのうちの26つに対して被検体の体の100%が正確に識別された。また、27つのデータセットのうちの残りの1つに対して被検体の身体の99%が正確に識別されたことが理解できる。
【0083】
図16は、27つの互いに異なるデータセットに対して被検体領域に属しているものとして本画像処理により誤って決定された寝台の割合を示す棒グラフである。データセットのうちの16つに関しては、寝台のいずれも間違って識別されていないことが分かる。データセットのうちの6つに関しては、寝台の5%が、被検体領域に属しているものとして間違って識別された。データセットのうちの3つに関しては、寝台の10%が間違って識別された。データセットのうちの1つに関しては、寝台の20%が間違って識別された。データセットのうちの残り1つに関しては、寝台の40%が被検体領域に属しているものとして間違って識別された。
【0084】
図17は、27つのデータセットの各々に対して本実施形態に係る画像処理によって除去された寝台の割合を示す棒グラフである。27つのデータセットのうちの25つに関して、寝台ボリュームの100%が正しく除去された。データセットのうちの1つに関しては、寝台ボリュームの90%が正しく除去された。データセットのうちの1つに関しては、寝台ボリュームの70%が正しく除去されたことが理解できる。
【0085】
図18は、図15から図17のデータセットのうちの1つからのデータの立体表現であり、そこでは、識別された被検体領域および識別された寝台領域が、異なる色または陰影を用いて示されている。
【0086】
図19は、種々のデータセットに対して画像処理を実行するために必要な実行時間を示す棒グラフである。実行時間は、1秒から6秒で変化し、1.5秒の実行時間がデータセットのうちの9つに対して得られたことが分かる。
【0087】
図20は、図15〜図17の種々のデータセットに対して画像処理を実行するために必要なRAMの容量を示す棒グラフである。必要なRAMの容量は10MB〜60MBで変化し、15のデータセットの場合8MBが必要であったことが分かる。
【0088】
本実施形態に係る画像処理をCT画像データセットの処理に関するものとして説明した。しかし、本画像処理方法は、CT画像データセットの処理に限定されず、本画像処理方法を、任意の適切な画像データセットを処理するために用いることができる。例えば、任意の適切な医療用ボリューム画像化データを、被検体を表す画像データを識別し抽出する方法を用いて処理することができる。例えば、MRIデータを、本方法を用いて処理することができる。MRIデータの場合、初期閾値処理を行う前にボクセル値の初期較正またはスケーリングが必要な場合もある。
【0089】
本実施形態に係る画像処理はソフトウェアにより所定の機能を実施する。しかし、その機能をハードウェアで(たとえば1つまたは複数のASIC(特定用途向け集積回路)によって)単独でまたはハードウェアおよびソフトウェアの混合により実施することができる。このように、本実施形態に係る画像処理方法は、ソフトウェアで実施されることのみに限定されない。
【0090】
以上述べたように、画像処理プロセスの初期の段階で行われる閾値処理で閾値以上のデータを対象として、体積分率、領域の大きさ、及び形状のうち少なくとも1つの指標を用いた領域結合状態分析を用いることにより、被検体領域が決定される。一方、幾何学的識別器により、比較的形状が直線的な寝台領域が決定され、寝台領域は削除される。このように領域の結合状態(領域の大きさ、CT値分布状態)分析や幾何学的な推定を組み入れることにより寝台除去成功率が向上する。その後、モルフォロジー演算及び寝台除去の際に削除された鼻、耳等の被検体の一部に対応する領域を、評価関数を用いて被検体の一部に対応する領域を被検体領域に再結合する。この再結合処理により被検体表面の構造物(鼻、耳)も削除せずデータ上に残留することができる。また、結合、削除する対象物をいちいちユーザー指定する必要がないため操作性及び再現性の向上した医用画像診断装置を提供することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…医用画像診断装置、2…スリップリング、3…X線管球、4…架台駆動部、5…回転フレーム、6…2次元検出器システム、7…データ収集部(DAS)、8…非接触データ伝送部、9…前処理部、10…高電圧発生部、11…ホストコントローラ、12…記憶部、13…表示部、14…入力部、15…再構成部、16…システム制御部、17…ネットワーク通信部、18…画像処理部、181…連結成分解析部、183…分割部、185…モルフォロジカル演算部、187…結合部、189…画像生成部、19…CT台(架台)、40…被検体領域、42…寝台領域、44…寝台領域、46…ヘッドレスト、48…耳、50…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、52…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、54…鼻、56…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、58…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、60…被検体領域、62…被検体領域、64…投影画像、70…第一の連結領域、72…第二の連結領域
【技術分野】
【0001】
概して、被検体または鼻や耳などの被検体の部分領域を表す画像データを識別しかつ抽出するように画像データ、例えば、ボリュームデータ(volumetric image data)を処理する医用画像処理装置、X線コンピュータ断層撮像装置及び医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)等の最新の3次元画像処理方法により、被検体内部構造の立体表現が生成される。これにより、ユーザーは、生成された立体表現を観察したり、任意の断面をリアルタイムで観察したり、個々の内部構造を正確に可視化するために画像処理技術を適用することができる。また、この3次元画像処理方法に関して、被検体内部の構造を正確に可視化できるように適切な画像処理方法が適用される。
【0003】
こうした3次元画像処理により、データサイズの大きい、時系列のボリュームデータが生成される。このボリュームデータは、測定ボリュームの特性を表すボクセルの3次元配列を備える。また、時系列のボリュームデータである3次元ボリュームデータセットが発生される。CTデータセットの場合、各ボクセル値により、通常、X線放射の減衰に関する値が表される。
【0004】
通常、各ボリュームデータセットは様々な特徴を表す情報を含む。その特徴は、検討中の被検体または被検体とは無関係であるさまざまな特徴を表すデータ、たとえば測定が行われている間に被検体が配置されている寝台を表すデータが含まれる。検討中の患者又は考慮中の物体に無関係なデータの存在により、後続するプログラム処理が妨げられる可能性がある。
【0005】
例えば、従来のスラブ用いた投影画像を用いるよりも、被検体の内部構造の一部を表す回転可能なボリュームデータを任意の投影方向にレンダリングした投影画像が、患部の表現に最も有用な画像表示方法である場合がある。このようなボリュームレンダリングされた様々な投影画像を、種々の目的に、たとえば血管造影法のプリセットとして使用することができる。一例として、最大値投影を用いて、ボリュームレンダリングされた投影画像を得ることができる。多くの場合、ある特定の被検体とは無関係な物体表すボリュームデータがボリュームレンダリングされると、被検体の内部構造の可視化が困難になる。そのため、被検体とは無関係な情報を投影画像から除去する手段が必要である。さらに、ボリュームレンダリングされた投影画像を見る時、寝台がスキャンされた視野に含まれ、寝台がスキャンされた領域に含まれ、寝台が遮っている構造を可視化するために寝台を取り除かなければならない。システムによっては、ユーザーが、ボリュームデータの視覚表現を見ながら、寝台を表すデータを1つずつ手作業で選択し削除する必要がある。手作業の場合、寝台を表すデータのみを選択して削除することは、困難である。すなわち、寝台を取り除く際に、通常、寝台周囲の物体又は被検体組織が含まれてしまう。この手作業による寝台除去の作業は、時間がかかる。また、この寝台除去の作業を行うユーザーが変わると、寝台の除去の程度にばらつきが生じてしまう。この寝台除去作業を手動で行う場合には、放射線技師等の熟練した人が特に必要となる。
【0006】
特定の被検体内部構造を決定し抽出するために、従来技術として、自動位置合せに関する画像処理プログラム又は特徴抽出に関する画像処理プログラムが適用される。被検体とは無関係な特徴を表すデータの存在により、こうしたプログラム処理が停止する可能性がある。CT検査において寝台を表す画像データの存在により、特に、自動位置合せプログラム処理又は画像解析プログラム処理が影響を受ける可能性がある。寝台の高吸収部分は非常に均一であり、従って、自動位置合せの結果に著しく影響を与える傾向がある。被検体を表す領域に限定して自動位置合せプログラムを実行することにより、自動位置合せプログラム処理の結果を改善することができる。被検体を表す領域に限定して自動位置合わせプログラムを実行することにより、骨領域の区分(セグメンテーション)、他の後続するアルゴリズム等も改善することができる。従って、後続する画像処理プログラムを実行する前に、被検体とは無関係な特徴を表すデータを削除することが望ましい。
【0007】
被検体を表すデータを決定し抽出するとともに、寝台を表すデータを削除する既知技術ひとつに、連結成分解析が存在する。その連結成分解析に関する画像処理プログラムの第1の段階では、寝台から得られる輝度レベルと被検体から得られる輝度レベルとが、各々推定される。そして、この推定値を用いて、画像ボリュームにおける寝台と被検体とによって占有される領域の位置が特定される。そして、連結成分解析を用いて、被検体を表す画像ボクセルデータが確定される。輝度レベルに基づいて、被検体を表すボクセルデータが保持され、寝台を表すボクセルデータ等、被検体以外を表す他のデータが抑制される。
【0008】
先述した段落に記載の連結成分解析方法は、寝台又は被検体以外の他の無関係な特徴と、被検体との両方に対して予測された輝度レベルを正確に選択することに基づく。その方法の主な課題は、身体から寝台を分離する輝度閾値があることを想定するということである。特定の寝台または特定の被検体に対する実際の輝度レベルは、予測されるレベルに一致しないことが多い。従って、データは間違って保持または破棄される可能性がある。さらに、予測される輝度と十分に一致しない測定輝度をもたらす可能性がある、衣服、ヘッドレスト、パイプまたは管類等、被検体とは無関係な特徴が十分に存在し得る。この場合もまた、データが間違って破棄または保持されることになる。
【0009】
別の既存技術として、固体材料または液体材料を表すCTデータが、測定された輝度レベルに基づいて事前選択される。そして、空気または他の気体を表すデータが破棄される。連結成分解析を用いて種々の連結領域が識別される。そして、寝台を表すものとしていくつかの領域が、ボリュームにおけるそれらの位置に基づいて破棄される。例えば、被検体が測定ボリュームの底部に向かって配置されている寝台に横たわっている場合、ボリュームの底部に向かう位置に対応する測定データセットの連結領域が破棄される。しかし、こうした方法は、測定によって異なる可能性がある。さらに、寝台の位置の推定がわずかに不正確であることにより、データが間違って保持または破棄されることになる可能性がある。こうした既存技術による画像処理では、約60%の確率で、寝台と被検体とを間違って決定してしまう。また、コンポーネントの結合、削除を手動で行っていたため手数がかかり再現性が低かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
目的は、被検体以外の構造体を効果的に除去することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係る医用画像処理装置は、被検体と被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割する分割部と、前記複数の領域から、前記被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定する決定部と画像データを、前記第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる結合部と、を具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る、X線コンピュータ断層撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のシステムによって実行される、画像データセットにおいて被検体画像データを識別し抽出する画像処理を概略的に示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る画像処理中の特定の段階における画像データセットの投影画像である。
【図5】本実施形態に係る画像処理中の図4とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図6】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図5とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図7】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図6とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図8】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図7とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図9】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図8とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図10】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図9とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図11】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図10とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図12】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図11とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図13】本実施形態に係る画像処理中の図4乃至図12とは異なる段階における画像データセットの投影画像である。
【図14】2つの緩く連結された(loosely connected)領域に対して実行される収縮(エロージョン)および膨張(ダイレーション)を備えるモルフォロジカルオープニングプロセスの概略図である。
【図15】27個の異なるデータセットに対して実行された本実施形態に係る画像処理の結果を示すグラフである。
【図16】27個の異なるデータセットに対して実行された本実施形態に係る画像処理の結果を示すグラフである。
【図17】27個の異なるデータセットに対して実行された本実施形態に係る画像処理の結果を示すグラフである。
【図18】決定された被検体領域および寝台領域を示し、本実施形態に係る画像処理を用いて処理した後の図4〜図13のデータセットのうちの1つの立体表現の図である。
【図19】図4〜図13のデータセットに対して画像処理を実行した場合の図1のX線コンピュータ断像撮像装置の性能を示すグラフである。
【図20】図4〜図13のデータセットに対して画像処理を実行した場合の図1のX線コンピュータ断像撮像装置の性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用画像診断装置を説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。なお、本実施形態に係る医用画像診断装置とは、本実施形態において説明される画像処理機能を備えたX線コンピュータ断層撮像装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、核医学診断装置のいずれであってもよい。また、本実施形態において後述される画像処理機能は、ワークステーションに代表される医用画像処理装置によって実現するようにしてもよい。以下の説明に置いては、説明を具体的にするため、医用画像診断装置がX線コンピュータ断層撮像装置である場合を例とする。
【0014】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1の構成を示す図である。図1に示されるように、X線コンピュータ断層撮像装置1は、スリップリング2、X線管球3、架台駆動部4、回転フレーム5、2次元検出システム6、データ収集部(DAS)7、非接触データ伝送部8、前処理部9、高電圧発生部10、ホストコントローラ11、記憶部12、表示部13、入力部14、再構成部15、システム制御部16、ネットワーク通信部17、画像処理部18、CT台19を具備する。
【0015】
スリップリング2は、X線管球3を連続回転させるためのものである。スリップリング2は、導体金属でできており、ブラシを介してX線管球3へ電力を供給する。
【0016】
X線管球3は、高電圧発生部10からの高電圧の印加とフィラメント電流の供給を受けてX線を発生する。
【0017】
架台駆動部4は、ホストコントローラ11の制御に従って、天板保持機構を駆動可能である。
【0018】
回転フレーム5には、撮像領域中に天板に配置された被検体を挟んで対向するようにX線管球3と、2次元検出システム6とが取り付けられている。ここで、説明のため、回転フレーム5の回転軸をZ軸、X線管球3の焦点と2次元検出システム6の中心とを結ぶ撮像中心軸をY軸、YZ軸に直交する軸をX軸と規定する。撮像時には、典型的には、被検体Pは、体軸がZ軸に略一致するように撮像領域内に設置される。このXYZ座標系は、Z軸を回転中心とする回転座標系を構成する。
【0019】
2次元検出システム6は、マルチスライス型の場合、チャンネル方向(X軸)に複数のチャンネルを有する検出素子の列をスライス方向(Z軸)に複数配列したものである。2次元アレイ型の場合、2次元検出システム6は、チャンネル方向(X軸)とスライス方向(Z軸)との両方向に関して緻密に分布される複数のX線検出素子を有する。
【0020】
2次元検出システム6には、データ収集部7(DAS;data acquisition system)が接続される。
【0021】
データ収集部7は、2次元検出システム6の各チャンネルの電流信号を電圧に変換し、増幅し、デジタル信号に変換する。データ収集部7で収集されたデータ(純生データ)は、光や磁気を使った非接触型又はスリップリング型の非接触データ伝送部8を経由して、前処理部9に送られる。
【0022】
前処理部9は、画像再構成の前に行うデータ処理を行う。すなわち、前処理部9は、純生データに対してチャンネル間の感度不均一を補正し、画像再構成に先立って、生データに変換する。データの対数を計算し、リファレンス検出器のデータを用いてX線の強度のばらつきを補正する(リファレンス補正)。また、必要に応じてビームハードニング補正、体動補正を行う。
【0023】
高電圧発生部10は、ホストコントローラ11からの指示情報に従って、スリップリング2を介してX線管球3に高電圧を印加する。
【0024】
ホストコントローラ11は、図示しないCPU(central processing unit)及びメモリを含んでいる。ホストコントローラ11は、入力装置からの指示に従って、高電圧発生部10及び架台駆動部4等の動作を制御する。高電圧発生部10の制御を行うことにより、回転フレーム5が一定の角速度で連続回転し、X線管球3から連続的又は一定角度毎にX線が発生される。
【0025】
記憶部12は、ネットワーク通信部17から転送されたデータ、再構成部15によって発生されたボリュームデータなどを記憶する。
【0026】
表示部13は、投影処理された投影画像等を表示する。
【0027】
入力部14は、ユーザーから各種指示、情報入力を受け付けるためのマウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを有する。
【0028】
再構成部15は、前処理部9により補正を受けたデータ(投影データ、生データ)に基づいて、撮像時刻の異なる複数のボリュームデータファイル(時系列ボリュームデータファイル)を発生する。
【0029】
システム制御部16は、X線コンピュータ断層撮像装置1の中枢として機能する。具体的には、システム制御部16によりX線コンピュータ断層撮像装置1全体のハード制御が行われる。
【0030】
ネットワーク通信部17は、各規定に応じた通信制御を行う。ネットワーク通信部17は、電話回線等の電気的通信回線を通じてPACS(医用画像通信保管システム)等に接続することができる機能を有している。
【0031】
画像処理部18は、図2に示す様に、連結成分解析部181、分割部183、モルフォロジカル演算部185、結合部187、及び画像生成部189、を具備する。
【0032】
連結成分解析部181は、互いに隣接する複数のボクセルからなる複数の領域それぞれを別個の領域として決定する。連結されたボクセルの領域を決定するために、任意の適切な既存技術の連結成分解析処理を用いることができる。
【0033】
分割部183は、後述する様々な閾値を用いて、例えば、特定の領域を複数の領域(被検体と被検体以外の構造体など)に分割する。
【0034】
モルフォロジカル演算部185は、後述するモルフォロジカル処理を行う。
【0035】
結合部187は、後述するように寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部を被検体領域に結合する。
【0036】
画像生成部189は、結合されたデータに対して、最小包含凸多角形処理等を実行するとともに、ボリュームレンダリング等の画像生成処理を実行する。
【0037】
架台19は、円環又は円板状の回転フレーム5を回転可能に支持する。
【0038】
図1のX線コンピュータ断層撮像装置1は、図3のフローチャートに従う画像処理を実行するように構成されている。画像処理中の種々の段階での画像データセットまたは画像データセットの一部がボリュームレンダリングされた投影画像を、図4〜図13に示す。画像は単に例として提示したものであり、画像処理プログラムの動作中、ボリュームレンダリングされた画像処理は各段階において生成されないことを想起しなければならない。
【0039】
選択されたCT画像データセットを、サーバ(図示せず)から後述する画像処理のためにシステム制御部16に設けられたメモリ等にダウンロードする。ダウンロードされたCT画像データセットに対して、分割部183で閾値処理等の前処理が行われる。
【0040】
図4は、本実施形態に係る画像処理実行前のCT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像である。
【0041】
図4に示されるようにダウンロードされたデータセットは、各々が異なる空間位置に対応する複数のボクセルを備えている。複数のボクセルそれぞれは、それぞれが異なる空間位置に対応する。各ボクセルの値または輝度は、その空間位置におけるX線の吸収量を表す。X線放射の吸収量は、ハウンズフィールド(Hounsfield)スケールに従って較正される。そのスケールでは、空気は約−1000ハウンズフィールド単位(HU)の値を有する。体脂肪は約−30HUの値を有する。水は0HUの規定値を有する。軟組織は約+40HUの値を有する。骨は約+1000HUの値を有する。ハウンズフィールドスケールに従ってボクセルによって提供されるX線放射の吸収量を、そのボクセルに対するCT値(number)と呼ぶこともできる。
【0042】
メモリには輝度閾値に関するデータが格納されている。データセットがダウンロードされた後、データセットの各ボクセル値は閾値輝度値と比較され、閾値輝度値を下回る値を有するボクセルは破棄される。任意の適切な閾値を用いることができる。例えば−200HU〜−600HUの閾値を用いることが有用である。本実施形態では、閾値輝度値は例えば−300HUに設定される。その結果、骨、組織、またはガントリあるいは他の台の枠等の他の固体材料を表すボクセルが保持される。空気または他の気体を表すボクセルは破棄される。実際には、寝台またはヘッドレスト等の無関係な構造物は、通常、大部分が発泡体または他の軽量材料からなる。こうしたボクセルは、通常、初期閾値処理によっても破棄され、寝台またはヘッドレストの固体枠構成要素のみを表すボクセルが残ることが分かっている。
【0043】
データセットから破棄され、除去されまたは除外されているボクセルまたは他のデータ項目を参照すると、そのボクセルまたは他のデータ項目は、通常、データセットから削除されない(ただし実施形態によっては削除される場合もある)。代りに、そのボクセルまたは他のデータ項目は、通常、データセット内において、破棄され、除去されまたは除外されたものとしてフラグが立てられている。従って、後続する画像処理中に、フラグがたてられたデータは無視され得る。
【0044】
図5に、輝度閾値を下回るボクセルを破棄した後のCT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像を示す。図5における画像の外観は、図4の画像の外観と本質的に同じである。従って、輝度が閾値を下回るボクセルが画像に対して与える影響は、わずかである。
【0045】
以下、図3を参照しながら、本実施形態に係る画像処理のフローチャートを説明する。
【0046】
まず、記憶部12から画像データセットを取得し、上述した閾値処理などの前処理を行う(S11)。
【0047】
次に、モルフォロジカル演算部185により、残っているボクセルに対してモルフォロジカル処理を実行することにより画像データを複数の領域に分離する(S12)。モルフォロジカルプロセスは、閾値厚さを下回る連結領域を有効に破棄するモルフォロジカルオープニングプロセスを備える。モルフォロジカルオープニング処理は、図14において2つの所定以下の閾値を有する厚さで連結された領域70、72に対して例として概略的に示すように、エロージョンステップとそれに続くダイレーションステップとを備える既知画像処理技術である。本実施形態では、任意のモルフォロジカル処理を用いることができる。モルフォロジカル処理の背景情報および例は、Jean Serra著、「Image Analysis and Mathematical Morphology」、ISBN0126372403(1982)に記載されている。
【0048】
図5から、モルフォロジカルオープニング処理に、厚さの薄い領域を分離する効果があることが理解できる。本実施形態では、モルフォロジカルオープニング処理により、緩く連結されている寝台領域から被検体領域を分離できる。モルフォロジカルプロセスはまた、鼻または耳の先端等、薄い構造を除去する副次的効果も有する。
【0049】
実際には、寝台の大部分が発泡体または他の非吸収材料から形成されているいくつかの寝台の場合、上述した閾値処理中に、発泡体または他の非吸収材料を表すボクセルは破棄され、寝台の金属または他の枠を表すボクセルのみが保持される。こうした寝台の場合、被検体領域は、モルフォロジカルプロセスなしであっても寝台領域から分離される。しかし、寝台の構造は予め既知ではないため、モルフォロジカルプロセスは通常すべてのデータセットに適用される。
【0050】
モルフォロジカルプロセスが実行された後、データセットは通常、閾値輝度を上回る複数の連結されたボクセルを備える。画像データセットは、すなわち、閾値を上回る複数の領域を有する。領域は、種々に、被検体と、寝台または寝台の一部と、被検体及び寝台とは無関係な特徴を表す。
【0051】
残っているボクセル(輝度値が閾値を上回るボクセル)に対して、連結成分解析部181により、連結成分解析処理が適用され、S12のモルフォロジカルプロセスで分離された複数の領域を決定する(S13)。連結成分解析部181は、互いに隣接しあうボクセル群のそれぞれを、別の領域として決定する。任意の既知の連結成分解析を、ボクセルが互いに隣接した領域を決定するために用いることができる。
【0052】
ボクセルは、別のボクセルに隣接している場合、そのボクセルに連結されているものとみなされる。隣接するボクセルは、正面が隣接しているボクセルのみであっても良い(その場合、特定のボクセルは最大6つの他のボクセルに隣接している可能性がある)。隣接するボクセルは、正面または縁が隣接しているボクセルのみであっても良い(その場合、特定のボクセルは最大18個の他のボクセルに隣接している可能性がある)。隣接するボクセルは、正面、縁または角の点が隣接しているボクセルであってもよい(その場合、特定のボクセルは最大22個の他のボクセルに隣接している可能性がある)。隣接するボクセルは1つまたは複数のさらなるボクセルに隣接している可能性がある。従って、連結領域は、いかなる形状であっても良い。また、連結領域は、データセットの最大サイズに達し得る。本実施形態に係る画像処理では、S13で決定された連結領域は、データセットのすべてのボクセルが閾値を上回った場合、データセットの最大サイズである。
【0053】
次に、領域の形状及びサイズに基づいて、S13で決定された複数の領域それぞれが、被検体領域であるか、被検体以外の領域(耳、鼻などの被検体領域、寝台領域等)であるかを選択する(S14)。S13で決定された複数の領域のうち、最大の単一領域が被検体を表す領域として決定されるとしても良い。
【0054】
図6に、被検体領域を決定後のCT画像データセットをボリュームレンダリングした投影画像を示す。図6には、選択された被検体領域40とともに被検体以外の他の領域42を示す。
【0055】
体積分率(fractional volume)が所定閾値を上回る、例えば、0.25を上回る1つ以上の領域が、被検体を表すものとして選択される。この場合、領域の体積分率は、その領域における閾値を上回るボクセルの数を、データセットにおける閾値を上回るボクセルの数で割った値である。適切な閾値、たとえば閾値を0.25とすることにより、例えば、例えば、画像データセットが2つの被検体の脚を表すデータを含むが、各脚が付着している胴を表すデータを含まない場合に、各脚を表す領域は身体を表しているものとして決定されることを確実にすることができる。
【0056】
対象となる領域の形状を他の領域の形状と比較すること、又は、対象となる領域の大きさを他の領域の大きさと比較することが被検体を自動的に特定する有効な方法であることが判明した。このように領域の形状、領域の大きさに基づいた分析、及び上述の体積分率を用いた領域分析を以下、領域結合状態分析と記載する。また、対象となる領域の大きさを閾値と比較することも有効な方法である。その被検体決定方法は、被検体の特徴的な形状、サイズが通常、寝台等の無関係な物体のものと異なるという事実に基づいている。例えば、寝台を構成するパーツは、通常小さく、寝台の内部に対する周囲長比が高い。
【0057】
被検体を表しているものとして決定された領域が選び出されると、輝度閾値を上回るが、被検体を表しているものとして識別されなかった領域(例えば、被検体の耳、鼻等)が残っている。従って、画像データの領域のうち、少なくとも1つの領域を、被検体とは無関係な特徴を表しているものとして識別する(S15)。寝台または寝台の一部を表す可能性がある領域を決定するために幾何学的識別器を用いる。
【0058】
幾何学的識別器を用いることにより、閾値を上回る複数の領域各々に対して、その領域の中心点が決定される。次いで、その中心点を通る横断スライスまたはアキシャルスライスが取得される。スライスの断面積(A)および周囲長(p)が計算される。この場合、周囲長pは、X軸およびY軸に沿った最大の長さの合計として定義される。X軸およびY軸は、軸方向スライスの面において直交する軸である。断面積は、スライスの閾値を上回るボクセルによって表され、閾値を下回るボクセルはすでに破棄されている。その領域に対する幾何学的識別器Cの値は、以下のように計算される。
【0059】
C=A1/2/p
そして、C<0.15である複数のボクセルで構成される領域が寝台を表すものとして決定される。その分類は、X線コンピュータ断層撮像装置の寝台が通常中空であり、かつ寝台または寝台の一部が、一般に人間または動物の身体、さらには指等の人体のより小さい領域と比較すると周囲長が大きいという事実に基づく。幾何学的識別器Cは、無次元であり、したがってスケールに対して不変である。サンプルデータセットに作用して、寝台の特徴が概して約0.1のCの値をもたらし、一方で被検体が約0.2から0.25のCの値をもたらすことが分かっている。したがって、0.15という閾値は、寝台の特徴と被検体の特徴とを、ことができる。
【0060】
各領域を通るアキシャルスライスが取得され、各スライスに対してCの値が計算されるとしても良い。各スライスに対するCの値は、寝台の領域の決定に用いられる。例えば同じ領域の異なるスライスに対するCの値が平均され、後に閾値と比較される。
【0061】
上述した特定の幾何学的識別器は、特に有用である場合もあることが分かった。寝台領域を決定するために、異なる幾何学的識別器、たとえばC=A/p2が用いられる場合もある。被検体と被検体とは無関係な物体とを区別することができる任意の適切な幾何学的識別器を用いてもよい。被検体と無関係な物体とを区別するために、各適切な識別器に対して適切な閾値を選択することができる。
【0062】
なお、幾何学的識別器の値を確定するために領域の体積全体が考慮されるとしても良い。例えば、幾何学的識別器の値を、領域の体積および領域全体の表面積に基づいて確定することができる。例えば、幾何学的識別器の値は、二乗された体積を三乗された表面積で割った値に等しくてもよい。寝台領域を他の領域から区別するために、この場合もまた適切な閾値を用いることができる。
【0063】
図7および図8に、CT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像を示す。そこでは、S15において寝台に関係しているものとして決定された種々の領域が強調表示されている。図7は、被検体の背中の真下に位置する寝台として決定された領域44が強調表示されている。図8は、S15において決定されたヘッドレスト領域46が強調表示されている。図7および図8には、S14において決定された被検体領域もまた例示の目的で示す。
【0064】
S15でとられた画像処理は、寝台の構成要素が、通常、人間あるいは動物の身体または他の被検体より小さく、且つ周囲長の充填された内側のサイズに対する比が高いという事実を利用する。比較的大型の寝台の場合であっても、寝台の枠には閾値を上回るボクセルしか存在していない可能性がある。従って、寝台の内側は、通常、画像処理の開始時に破棄されることになる閾値を下回るボクセルを備える。従って、寝台の充填体積または面積は(たとえば、台領域に含まれる閾値を上回るボクセルの数)は、通常、周囲長に対して低くなる。場合によっては、閾値を下回るボクセルが破棄されると、寝台の枠は、複数の別個の領域(例えば、複数の別個のロッド形状)を備えることになる。そうした場合であっても、各領域の充填体積又は面積は、人間または動物の身体の全体又は個々の部位(例えば鼻の先、耳、指先)をそれらの周囲長と比較した場合と比べて、領域の周囲長に対して比較的低いことが分かった。
【0065】
幾何学的識別器を用いて寝台を表しているものとして識別されたすべての領域(すなわち、寝台等の被検体以外の構造物に対応する領域の候補として識別されたもの。以下「寝台等の構造物に対応する領域の候補」と呼ぶ。)が削除される(S16)。なお、この寝台等の構造物に対応する領域の候補に被検体の耳、鼻などに対応する領域が含まれる場合がある。係る場合には、当該S16の処理により、被検体の耳、鼻など、被検体の一部に対応する領域も同時に削除してしまうことになる。
【0066】
図9に、S16後のCT画像データセットのボリュームレンダリングされた投影画像を示す。同図においては、S16において削除される領域のうち、被検体の耳、鼻などに対応する領域48、50、52、54、56、58を明示的に示している(例えば、領域48は被検体の耳に対応し、領域54は被検体の鼻に対応する)。図9には、S14において決定された被検体領域もまた例示の目的で示す。
【0067】
結合部187は、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部(領域48、領域54等)を、S14において被検体を表しているものとして決定された領域に結合させ、結合データを発生させる(S17)このとき、連結成分解析手続きを用いて、所定の閾値を上回る寝台等の構造物に対応する領域の候補のうち、被検体を表しているものとして決定された領域に接触し、且つ寝台を表しているものとして決定された少なくとも1つ以上の領域に接触しない領域を特定し、当該特定された領域をS14において被検体を表しているものとして決定された領域に結合させ、結合データを発生させるようにしてもよい。連結成分解析手続きよって特定される領域は、被検体の耳、鼻等である可能性が高い。この様に必要に応じて連結成分解析手続きを実行することで、より寝台除去率の高い結合データを発生させることができる。
【0068】
なお、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部をS14において決定された領域に結合させる際に、所定の評価関数を用いて結合の適否を評価することが好ましい。ここで、評価関数は、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部及びS14において決定された被検体領域のそれぞれ(或いは結合後の全領域)のサイズ、CT値分布、相対的位置のうちの少なくとも何れかを基準として評価するものであればどのようなものであっても良い。例えば、結合後の領域全体のCT値分布とS14において決定された領域のCT値分布との違いを評価し、CT値の分布が極端に異なる場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部に該当しないとし、一方CT値の分布に実質的な変動がない場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部であるとして、結合の適否を評価することができる。また、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部の結合の前後に亘るサイズの変化を評価し、例えばサイズが極端に大きくなる場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部に該当しないとし、一方サイズの変動が一定値以下である場合には、寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が被検体の一部であるとして、結合の適否を評価することができる。さらに、S17における結合後の全領域の基準位置とS14において決定された領域の基準位置との間の相対的位置を評価し、例えば寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が体軸を中心として所定範囲内に実質的に左右対称に配置されていれば耳として適切に結合されたと評価でき、或いは寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部が実質的に体軸上の所定範囲に配置されていれば、鼻として適切に結合されたと評価できる。
【0069】
この評価関数を用いた寝台等の構造物に対応する領域の候補の少なくとも一部を被検体領域に結合する処理には、モルフォロジカルオープニングプロセス中に分離または除去された可能性のある、鼻の先または指先の耳等、被検体領域を表す領域と所定以下の閾値を有する厚さで結合されている被検体の一部に対応する領域を再度組み込むという効果がある。閾値を上回る領域のうちいずれが被検体を表す領域に接触し、且つ、寝台領域に接触しないかを確定するために、モルフォロジカルオープニングプロセスが実行される前であるような閾値を上回るデータセットを用いて実行される。
【0070】
図10に、S17において適切と評価されたCT画像データセットがボリュームレンダリングされた投影画像を示す。そこでは、被検体領域に接触しているものとして確定され、閾値を上回る領域54のうちの1つを示す。この場合、閾値を上回る領域54は、被検体の鼻に対応し、領域54は、被検体領域に後に再度組み込まれる。被検体領域内に他の閾値を上回る領域を再度組み込むことも可能であり、図10では、一例として領域54を強調表示している。
【0071】
図11は、接触している閾値を上回る領域を被検体領域に再度組み込んだ後の、S17に続くCT画像データセットがボリュームレンダリングされた投影画像である。被検体領域60を被検体領域以外の他の領域42とともに示す。
【0072】
画像生成部189により、被検体を表しているものとして選択された領域の各横断スライスを、順に、適合されたより単純な形状に置き換える。画像生成部189により、最小包含多角形処理された被検体領域が選択される。そして、適合された形状内にある全てのボクセルを、出力データセットとして選択する(S18)。本実施形態では、各横断スライスをその最小包含多角形(凸包)によって置き換える。最小包含多角形(凸状多角形)は、定義によると非凹状である。図12に、凸包の結果を示す。寝台領域42及び被検体領域62を見ると、凸包処理されていることが理解できる。
【0073】
こうした適合を用いることにより、たとえば口の内側、洞および肺の内側を表すボクセルが、画像処理の初期の段階における閾値処理手続き中に破棄されることになっても、確実に出力データセットに含まれることになる。
【0074】
凸形状に適合させる代わりに、穴埋め(fill)を行うことができる。しかし、それは失敗する可能性がある。対象となる領域の境界面をつくり、対象となる領域が境界面で覆われるようにすることもできる。クロージング(closing)を採用することも可能であるが、この処理は、通常、最小包含凸多角形に適合させるより計算量が多い。
【0075】
画像生成部189は、被検体または耳、鼻などの被検体のパーツを備え、寝台または被検体とは無関係な物体を表すボクセルを実質的に全て排除する。出力ドメインにおいては、元のデータセットのボクセルのすべてを備える場合がある。係る場合、選択されたボクセルは被検体または耳、鼻などの被検体のコンポーネント(パーツ)を表すものとしてフラグが立てられる。一方、選択されていないボクセルは、被検体を表していないものとしてフラグが立てられる。従って、選択されたボクセルと選択されていないボクセルとを区別し、被検体を表していない領域についてマスキングが施された出力データセットを取得することができる。また、画像生成部189は、被検体領域に対応するボクセルと、鼻、耳等の被検体領域に対応するボクセルとから成る出力データセットを生成するようにしてもよい。画像生成部189は、出力データセットを用いて画像を生成する。生成された画像は、表示部13に表示される。
【0076】
出力ドメインデータを、記憶部12に記憶することができる。また、ネットワーク通信部17を経由して、PACS上のサーバに戻すことができる。出力ドメインデータを、後続する画像処理に用いるために、他の画像処理アルゴリズムまたはシステム、たとえばVoxar 3Dシステム(商標)に渡すことも可能である。図13に、出力データセットの投影画像64を示す。
【0077】
本実施形態に係る、S14における被検体領域の選択を、領域のサイズに基づいて行うものとして説明した。また、幾何学的識別器を各領域に応じて別々に適用することができる。S14における、被検体領域、例えば人間、動物等の身体の決定は、幾何学的識別器の値を閾値と比較することにより可能となる。幾何学的識別器は、無関係な特徴の識別に対して用いられる幾何学的識別器と同じかまたは類似していてもよい。被検体を、被検体とは無関係な特徴から識別するように閾値の値を適切なレベルに設定することができる。
【0078】
図3のフローチャートに沿って説明した本実施形態では、関心となる主体物は、被検体であり、寝台が排除すべき無関係な特徴である。なお、本実施形態において、寝台を削除すべきデータとして説明したが、寝台に限られるものではなく、例えば、寝台に形状及び大きさが似ている物体であればなんでも良い。他の実施形態または動作モードでは、寝台が被検体として扱われ、被検体が無関係な特徴として扱われる。こうした実施形態または動作モードでは、寝台を表すデータが選択され、被検体を表すデータが破棄される。
【0079】
本方法は、被検体もしくは被検体または寝台もしくは他の無関係な物体のX線の吸収の強度を推定する必要はない。本方法では、寝台の特性を知る必要はなく、本実施形態に係る画像処理方法を、いかなるCTデータセットおよびいかなる寝台構成にも適用することができる。本実施系形態に係る画像方法により、寝台に加えて被検体とは他の無関係な特徴を表すボクセルが、被検体とは無関係な特徴が存在し得るかどうかとは関係なく確実に破棄される。本実施形態に係る画像処理方法は、領域の形状またはサイズ等比較的単純な基準に基づいて被検体又は寝台を表しているものとして領域を選択する。従って、本実施形態に係る画像処理は、計算が簡単である。実際には、本実施形態に係る画像処理は、被検体または耳、鼻等の被検体の部位と、寝台と、を区別するのに有効である。また本実施形態に係る画像処理は、モルフォロジカルオープニングプロセスと組み合わせることも可能である。モルフォロジカルオープニングプロセスと組み合わせることにより画像処理の精度が向上する場合もある。
【0080】
本実施形態に係る画像処理方法は、単純な連結成分解析の範囲を超え、寝台および被検体がわずかに連結されている可能性がある場合に寝台および被検体を分離する。本実施形態に係る画像処理方法を、いかなるCT検査に、また、他の医療用画像化データセットに適用することができ、本方法はCT血管造影法のみには限られない。本方法は、被検体領域を識別し、寝台以外の疑似材料を除去することも可能である。本方法は、解剖学的領域または範囲に依存されず、使用される測定装置のCTスキャナの分解能に依存せず、いかなる特定の寝台の台製造業者または特徴にも依存しない。本方法は、寝台のサイズおよび形状の変動とは無関係に画像処理を行い、寝台の特性に関連するいくつかの単純な仮定のみに基づく。本方法は、適切な画像データ、たとえばDICOM画像データ以外のいかなる入力も不要である。
【0081】
図15から図17は、本実施形態に係る画像処理方法を27の別個の互いに異なるCT測定データセットそれぞれに適用することによって得られた結果を示す。各CT測定データセットは、被検体および寝台の両方を表すデータを含む。
【0082】
図15は、27つの互いに異なるデータセットに対して本画像処理方法により被検体の身体が正確に決定された割合を示す棒グラフである。27つのデータセットのうちの26つに対して被検体の体の100%が正確に識別された。また、27つのデータセットのうちの残りの1つに対して被検体の身体の99%が正確に識別されたことが理解できる。
【0083】
図16は、27つの互いに異なるデータセットに対して被検体領域に属しているものとして本画像処理により誤って決定された寝台の割合を示す棒グラフである。データセットのうちの16つに関しては、寝台のいずれも間違って識別されていないことが分かる。データセットのうちの6つに関しては、寝台の5%が、被検体領域に属しているものとして間違って識別された。データセットのうちの3つに関しては、寝台の10%が間違って識別された。データセットのうちの1つに関しては、寝台の20%が間違って識別された。データセットのうちの残り1つに関しては、寝台の40%が被検体領域に属しているものとして間違って識別された。
【0084】
図17は、27つのデータセットの各々に対して本実施形態に係る画像処理によって除去された寝台の割合を示す棒グラフである。27つのデータセットのうちの25つに関して、寝台ボリュームの100%が正しく除去された。データセットのうちの1つに関しては、寝台ボリュームの90%が正しく除去された。データセットのうちの1つに関しては、寝台ボリュームの70%が正しく除去されたことが理解できる。
【0085】
図18は、図15から図17のデータセットのうちの1つからのデータの立体表現であり、そこでは、識別された被検体領域および識別された寝台領域が、異なる色または陰影を用いて示されている。
【0086】
図19は、種々のデータセットに対して画像処理を実行するために必要な実行時間を示す棒グラフである。実行時間は、1秒から6秒で変化し、1.5秒の実行時間がデータセットのうちの9つに対して得られたことが分かる。
【0087】
図20は、図15〜図17の種々のデータセットに対して画像処理を実行するために必要なRAMの容量を示す棒グラフである。必要なRAMの容量は10MB〜60MBで変化し、15のデータセットの場合8MBが必要であったことが分かる。
【0088】
本実施形態に係る画像処理をCT画像データセットの処理に関するものとして説明した。しかし、本画像処理方法は、CT画像データセットの処理に限定されず、本画像処理方法を、任意の適切な画像データセットを処理するために用いることができる。例えば、任意の適切な医療用ボリューム画像化データを、被検体を表す画像データを識別し抽出する方法を用いて処理することができる。例えば、MRIデータを、本方法を用いて処理することができる。MRIデータの場合、初期閾値処理を行う前にボクセル値の初期較正またはスケーリングが必要な場合もある。
【0089】
本実施形態に係る画像処理はソフトウェアにより所定の機能を実施する。しかし、その機能をハードウェアで(たとえば1つまたは複数のASIC(特定用途向け集積回路)によって)単独でまたはハードウェアおよびソフトウェアの混合により実施することができる。このように、本実施形態に係る画像処理方法は、ソフトウェアで実施されることのみに限定されない。
【0090】
以上述べたように、画像処理プロセスの初期の段階で行われる閾値処理で閾値以上のデータを対象として、体積分率、領域の大きさ、及び形状のうち少なくとも1つの指標を用いた領域結合状態分析を用いることにより、被検体領域が決定される。一方、幾何学的識別器により、比較的形状が直線的な寝台領域が決定され、寝台領域は削除される。このように領域の結合状態(領域の大きさ、CT値分布状態)分析や幾何学的な推定を組み入れることにより寝台除去成功率が向上する。その後、モルフォロジー演算及び寝台除去の際に削除された鼻、耳等の被検体の一部に対応する領域を、評価関数を用いて被検体の一部に対応する領域を被検体領域に再結合する。この再結合処理により被検体表面の構造物(鼻、耳)も削除せずデータ上に残留することができる。また、結合、削除する対象物をいちいちユーザー指定する必要がないため操作性及び再現性の向上した医用画像診断装置を提供することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…医用画像診断装置、2…スリップリング、3…X線管球、4…架台駆動部、5…回転フレーム、6…2次元検出器システム、7…データ収集部(DAS)、8…非接触データ伝送部、9…前処理部、10…高電圧発生部、11…ホストコントローラ、12…記憶部、13…表示部、14…入力部、15…再構成部、16…システム制御部、17…ネットワーク通信部、18…画像処理部、181…連結成分解析部、183…分割部、185…モルフォロジカル演算部、187…結合部、189…画像生成部、19…CT台(架台)、40…被検体領域、42…寝台領域、44…寝台領域、46…ヘッドレスト、48…耳、50…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、52…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、54…鼻、56…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、58…被検体または寝台のいずれにも決定されず且つ閾値を上回る領域、60…被検体領域、62…被検体領域、64…投影画像、70…第一の連結領域、72…第二の連結領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体と被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割する分割部と、
前記複数の領域から、前記被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定する決定部と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる結合部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記結合部は、前記第1の領域および前記第2の領域の候補の少なくとも一方のサイズに基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる
ことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記結合部は、前記第1の領域および前記第2の領域の候補の少なくとも一方のCT値に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる
ことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第1の領域および前記第2の領域の候補のサイズ、CT値の分布、幾何学的特性のうち少なくとも一つに基づいて前記第1の領域および前記第2の領域の候補を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記複数の領域のうち、最大サイズの領域を前記第1の領域として決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記画像データのうちCT値が所定の値以上を有する領域の体積と、前記各領域のうちCT値が所定の値以上を有する領域の体積と、の比率に基づいて、前記第1の領域を決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記複数の領域の幾何学的分類に基づく値に基づいて、前記第2の領域の候補を決定すること特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記幾何学的分類に基づく値を、前記領域に関する周囲長と断面積とに基づく関数を用いて計算することを特徴とする請求項7記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記幾何学的分類に基づく値を、前記各領域の表面積と体積とに基づく関数を用いて計算することを特徴とする請求項7記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記分割部は、モルフォロジカル演算を実行することにより、前記画像データを前記複数の領域に分割することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記分割部は、前記モルフォロジカル演算において、閾値処理により前記画像データから気体領域に対応するデータを削除することを特徴とする請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記結合された画像データに対し最小包含凸状多角形処理を実行して画像を生成する画像生成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記画像データを撮像する撮像部と、
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の医用画像処理装置と、
を備えることを特徴とするX線コンピュータ断層撮像装置。
【請求項14】
コンピュータに、
被検体と前記被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割させる分割機能と、
前記複数の領域から、前記被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定させる決定機能と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる結合機能と、
を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラム。
【請求項1】
被検体と被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割する分割部と、
前記複数の領域から、前記被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定する決定部と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる結合部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記結合部は、前記第1の領域および前記第2の領域の候補の少なくとも一方のサイズに基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる
ことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記結合部は、前記第1の領域および前記第2の領域の候補の少なくとも一方のCT値に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる
ことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第1の領域および前記第2の領域の候補のサイズ、CT値の分布、幾何学的特性のうち少なくとも一つに基づいて前記第1の領域および前記第2の領域の候補を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記複数の領域のうち、最大サイズの領域を前記第1の領域として決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記画像データのうちCT値が所定の値以上を有する領域の体積と、前記各領域のうちCT値が所定の値以上を有する領域の体積と、の比率に基づいて、前記第1の領域を決定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記複数の領域の幾何学的分類に基づく値に基づいて、前記第2の領域の候補を決定すること特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記決定部は、前記幾何学的分類に基づく値を、前記領域に関する周囲長と断面積とに基づく関数を用いて計算することを特徴とする請求項7記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記幾何学的分類に基づく値を、前記各領域の表面積と体積とに基づく関数を用いて計算することを特徴とする請求項7記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記分割部は、モルフォロジカル演算を実行することにより、前記画像データを前記複数の領域に分割することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記分割部は、前記モルフォロジカル演算において、閾値処理により前記画像データから気体領域に対応するデータを削除することを特徴とする請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記結合された画像データに対し最小包含凸状多角形処理を実行して画像を生成する画像生成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記画像データを撮像する撮像部と、
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の医用画像処理装置と、
を備えることを特徴とするX線コンピュータ断層撮像装置。
【請求項14】
コンピュータに、
被検体と前記被検体以外の構造体とを含む画像データを、複数の領域に分割させる分割機能と、
前記複数の領域から、前記被検体に対応する第1の領域と、前記構造体に対応する第2の領域の候補と、を決定させる決定機能と、
前記第1の領域と前記第2の領域との間の相対的位置関係に基づいて、前記第2の領域の候補の少なくとも一部を前記第1の領域に結合させる結合機能と、
を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−179360(P2012−179360A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−42485(P2012−42485)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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